■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50

ベリーズ ほいく篇

12 :*11 :2009/06/24(水) 19:59
 廊下を行く夏焼に声がかかる。
「悪いねー。何から何まで世話になって。」
 そこには壁にもたれる熊井の姿があった。
「停学の期間はまだ―――。」
 突然熊井が右足で前蹴りを繰り出した。
 夏焼は咄嗟にその足首に右手を回し、脇へと受け流した。
 ハッとして、熊井は流れに乗っかる形で肘鉄を仕掛けようとしたが、
 これは夏焼の顔面に入る前に寸止めされた。ほんの刹那のやりとりである。
「いきなり何をするんだい。」
「気に食わねえ。」
「弱い者いじめはよしてくれ。」
 夏焼の言葉に熊井は口を歪ませた。笑みだ。
「俺の蹴りを捌けるヤツなんざ、そう、ざらにゃいねーぜ。」
「本気じゃないよね、これは。」
 熊井の足を手放した夏焼の目がぎらついた気がした。
「その眼だ。あの時もその眼で見ていた。」
「あの時?」
「駐輪場で雑魚片付けたあと、お前と会ったな。あの時も一瞬そんな目になった。」
 夏焼はため息をついた。
「大方須藤くんあたりから何か吹き込まれたんだね。」
「須藤って誰だ?」
「……番長さ。他になんて呼んだらいいかよくわからない。
ああいうのを番長って言うんだろうね。……ともかく、僕はただの風紀委員だ。」
 もう一度ため息をつくと夏焼は、
「全部言いがかりだよ……。」
「次は、本気でやんぞ。」
 熊井は立ち去り際に告げた。
 彼の後姿を見送りながら、夏焼は自らの内に込み上げるものを感じていた。
 あのまま振り切られれば確実にこちらの頬骨に入っていただろう肘の衝撃を想った。

 嗣永は校門の方へ歩いて行く熊井の背中を見つける。なにかしらの勇気を振り絞り、
「く、くまいくーん! くまいくうーん!」と嗣永は叫ぶと、熊井はピタリと留まった。

続きを読む


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:20683 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)