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アヴァンセ

1 :エシクスト :2014/03/11(火) 13:09
Juice=Juice。
ともかりん。
とか。
463 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:23
「久しぶり」

ふわりと。
花音の周りの空気が色を変えた。柔らかな暖色系へと。
謁見の場、ガラスの向こう側に静かに微笑むその人の姿を目に留めて。

「彩花」

名前を呼べば、それは甘くも広がりを見せ、この場に似つかわしくないほどの
温かな風さえ呼び込む。
それほどまでに、彩花は花音のすべてだった。

「来なくていいのに」
「ううん、だって花音がいるんだもの」
「…ありがとう」

なんて優しいのだろう、と。
ただ、この場だけを見る者は思っただろう。
だがしかし…、すべては―――

「それに、花音の報告したいことがあって」

ただ一人の女の子が―――

「なに? 聞きたい」

―――― 紡ぎ出していたストーリー上のものだったとしたら、どうだろう。

464 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:24
優しさも。
傷を覆うような愛情も。
寄り添うぬくもりも。
与えた甘い言葉も。
すべてが―――、

「私、結婚するの」

――― 彼女の思い描く未来への『計算』だったとしたら。

彩花の言葉は、花音に届いたか。

「子供も出来たんだ」

愛おしく腹をさする手は、いつかの日花音に向けられた手のひらのようだった。
それを見て、花音は心の中だけで息を零した。

あぁ、私はあの手を求めていたのか、と。

無条件の愛情が欲しかった。
誰の手からも守ってくれる手が欲しかった。
すべてを許して、寄り添ってくれる手が欲しかった。
母親のような、柔らかく抱きしめてくれる手が欲しかった。

なにより…彩花が欲しかった。

465 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:24
けれど、それは―――― もう叶わない。

彼女は一人いってしまった。
花音が手を差しのばしても、届かない場所へ。
花音を置き去りにして。

そこでようやく、思い至った。

―――― 自分は『利用された』のだ、と。――――

「そう。おめでとう彩花」

なのに花音は笑顔だった。

「ありがとう。祝福してくれるのね?」

心から祝福した。

「もちろん」

当然だと思った。

「花音がいてくれて良かった」

そう、自分がいたから彩花は幸せだと笑うのだから。

「嬉しいよ、彩花がそういってくれるなんて」

自分がいなければ、その幸せは手に入らなかったのだから。

466 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:25
「大好きよ、花音」

私も好きだ。誰よりも彩花が。だから――― 憎い。

「私も大好き」

憎いのだ。これから先、彩花を苦しめるだろう相手の男が。

「もう、ここに来るのは最初で最後にするね」

悔しいのだ。自分の居ぬ所で、彩花が苦しむだろうことが。

「うん。私の分も幸せになって」

幸せになってほしいのだ。彩花には誰よりも。自分のそばで。

「ありがとう。じゃ」

ならばどうすればいい? 自分はここから動けない。ならばどうすれば。

「さよなら」

そうだ、肉体はなくとも呪う方法はいくらでも。魂だけでも彩花のそばに。

「さようなら、花音」

そう――― この肉体では、さようなら、彩花。

467 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:25





468 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:25
「おまたせ」
「おう。終わったのか?」
「えぇ。全部」
「じゃあ、車回してくるからここで待ってろよ」
「えぇ」

男は、軽く彩花の身体を引き寄せて微笑むと足早にパーキングへと駆けて行った。
それを見送る彩花の、なんと冷たくも美しい微笑みか。
達成感、そんなものさえ滲み出るかのようだ。

ひゅう、と。
その彩花の髪をなびかせるほどの風が一度吹いた。
と、同時に、彩花の背後に二つの影。

赤と黒の衣を纏った…、佳林と朋子だ。

「ねぇ」
「…何かしら?」

突然の声かけなのに、彩花はたじろぐこともなく振り返り笑みを浮かべた。
まるで、佳林と朋子の存在に気づいていたかのように。
それに、一度眉を顰め、それでも朋子は言葉を続ける。
黒猫の姿でなく、人としての姿で…対等の目線で。

469 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:26
「彼女、あなたの大切な人だったんじゃないの?」
「えぇ、大切な人だったわよ?それこそ本当に最高の人」

だったら何故か、とは朋子は尋ねない。
敏感に感じ取ってしまったからだ。
彩花は――― 『からっぽ』なのだと。

実際、和田彩花という人間は、福田花音と同じように心にぽっかりと穴があった。
完璧な優等生の仮面の下に、花音と似た境遇、過去があり…同類を求めた。
その先にいたのが花音であり…おそらく最大の被害者は…花音だったろう。

だから手に取るように花音の行動がわかっていた。

どうすれば自分の元に来るのか。
どうすれば自分の思い通りに動くのか。
どうすれば――― 優越感の中で、自分が幸せを掴めるか。

そして、終わらせる方法も。

「だから…私が幸せにならないと、花音が可哀想でしょ?」

パッパ、と。
短い車のクラクションが鳴らされ、彩花は柔らかな笑みを朋子に向けて背を向けた。

「じゃ、さよなら」

その背に、黒く怪しい煙が見えたが…、朋子たちがそれを狩るのは遠い未来の話なのだろう。

470 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:26
「やれやれ…」

呆れたように溜息を零しながら朋子はごちる。
こんな人間に会うこともしばしばあったが、間違いなく彩花は特異な方だろう。
心の渇きを埋められぬ、憐れで滑稽で、それでも美しい悪魔、といったところか。

ふと、そこで朋子は眉をしかめた。
彩花に向かってではない。
その彩花の背を見送る佳林を見とめてだ。

まるで射抜くように鋭い眼差し。
ともすれば、怒りさえ滲ませた表情をその顔にはのせている。
今まで朋子は、こんな佳林の姿を一度として見たことはあっただろうか?
いや、こんな感情を見せるとも、思い寄らなかっただろう。

471 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:26
「佳林ちゃん」

ぐっと、僅かに力を込めた手でその肩を掴めば、何事もなかったように瞬きをして
朋子を見上げる佳林。
そのくりっとした瞳は、今まで朋子が見ることを避けていたもので…軽く舌打ちした。
感情、その色が確かにそこにあったのだ。
人間のもつ、あの感情が佳林に。

「この間からおかしいよ、佳林ちゃん」
「…?」
「人間なんかに深くかかわらない方がいい、わかった?」

戒めのつもりだった。
それで佳林は理解するだろうと。
今までがそうだったように、佳林にとってと朋子の存在は絶対だったのだから。
けれど。

472 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:27
「でも…」

小さく声が響く。
それだけでも朋子には驚きだった。
だが、続けられた言葉に―――

「朋も、人間、だったんだよ?」
「…ッ!」

―――― 愕然とした。

まさか佳林の口から、そんな言葉が出るとは思わなかったのだ。
いつも朋子に付き従い、反論たるものなど一切なく、それその通りだとばかりに隣にいた存在。
いや、彩花が思う花音のように…どこか…『都合のいい存在』と思っていた佳林から。

相当に、酷い顔をしていたのだろう。
佳林は僅かに動揺したように瞳を揺らし「……ごめん、なさい」と俯き呟いた。
その姿のなんと人間臭いことか。

473 :Y.福田花音 :2015/01/19(月) 06:27
時間は止められない。
それは、この世界が動き続けていて、人の心に触れ行く限り仕方のない事。
そんなことは朋子には判っていた。
そう、あかりと出逢ってから、変わり続けていく佳林を見ていたのだから。
苛立たしくも、止められない…『もうひとりの自分』の姿を。

くしゃり、と朋子は前髪をかき上げて佳林から数歩離れる。
止められないのならば…、流れに乗るしか、ないのだろう。
受け入れるなんて毛頭無理だと思っていたことに。

「あ…あはは…っ、そうだったね、うん、そうだわ。謝ることない。事実なんだし」

くつくつと身体をくの字に折り曲げながら朋子は笑う。
悲しげに見つめる佳林に瞳から逃げるように。

だが…いつまでもそうしてばかりはいられない。

鋭く感じ取った死の匂い。
惑う魂の気配。
それは始まりの合図。
朋子と佳林がすべき審判の。

「じゃ、その人間を送る仕事に行こうか」

ぽん、と、軽く朋子は笑みを顔に張り付けたまま佳林の背を叩く。
そのまま黒霧へと消えていく背を見つめて…佳林は、ちくりと胸を痛ませながら…
追うように掻き消えた。

474 :エシクスト :2015/01/19(月) 06:28
本日、ここまで。
475 :名無飼育さん :2015/03/02(月) 01:18
待ってます。
476 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:41
「看守ー!!」
「医者を呼べ!!」

世界が一変するとは、こういうことなのだろう。
そのように冷静に今の状況を見つめていたのは、おそらくは朋子だけだった。

毀れた心の末路には二つの道があるのだ。
砕けた想いに感情が追いつかず、ただ涙に伏せ消えていくものと、そして。

「福田花音…!」

―― 憎しみの業火に焼かれ、狂喜にすべてを飲み込まれ堕ちていくもの。

けたたましいサイレンが異常を知らせたのは、朋子と佳林が彩花と別れたあの瞬間だった。
幾人もの人間が入れ代わり立ち代わり花音の個室を駆けまわり、事の重大さを知らせて
いたが…朋子と佳林は部屋に姿を現した瞬間にすぐ、それを体感することなった。

目を覆うような惨状。
いや、地獄というものが存在するのなら、まさに今この瞬間、ここに『ある』ものがそれだろう。

477 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:42
福田花音はすでに事切れていた。
彼女のあの柔和な笑みの仮面に欺かれた職員は、拘束具を施さなかった。
それがすべての明暗を分けたのだ。

古典的とも言える、舌を噛み切るという行動に花音は出た。
どれほど屈強な心の持ち主だろうと、躊躇いさえ浮かぶ選択。
なのに、花音には踏みとどまる形跡もなく、見事に肉塊として舌を噛み切り捨てた。

人間が舌を噛み切って死に至るか。
―――、至れる。
それは決して失血して、というものではなく、噛み切られた舌が胃と肺の経路である
咽頭へと勢いよく巻き付くことによって呼吸の道が塞がれてしまう、いわゆる窒息の形で。

自ら破滅に追い込む行為に向かう者には、優しい結末など訪れたりはしないものなのだ。

478 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:42
朋子は眉を寄せて奥歯を噛みしめた。
隣に立つ佳林も、険しい眼差しで正面を見据えてる。
その足元には、強く負荷をかけるように踏みしめて。
そうでもしなければ、はじき飛ばされてしまいそうになるのだ。
部屋の中心に存在する、そのものから吹きすさぶ暴風に。

今までに見たこともないほどの、大きく膨れ上がった人型の炎が、君臨していた。
そう、まさに君臨していたのだ。
その炎から轟々と獣の咆哮のような腹に響く音が放たれ、鼓膜を震わせる。
憎しみの心に呼応した荒れ狂う暴風は、次々と朋子と佳林の身体を刻むように突き抜けていく。

この嵐の中、近づくのは至難の業に思えた。
おそらく、一歩でも近づけば遠慮なくこちらを攻撃してくるだろう。
すべては、自らの目的の為に。

そう、肉体という柵から解き放たれた花音には、目的があった。
彩花の側に存在するすべてを食いちぎるという。
何者も自分の女神である彩花に触れることを許さないという、狂った意志のもとに。

だがそれは許されない。
決して許してはいけないものなのだ。
だから―――。

479 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:42
「佳林ちゃん、行くよ」

静かに朋子は佳林に促す。
頷く佳林は、黒霧より大鎌を、ぐうんと一度回し取りい出した。

が。次の刹那。
花音からの一撃が繰り出される。
まるで宣戦布告とばかりに。

「ぐ…ッ!」

身構えるよりも早く、強い気流を操るように鋭い突風が佳林の身体を弾き飛ばした。
小さく繊細な身体は成す術もなく吹き飛ばされ、一気に後方の壁に叩きつけられんとする。

「佳林ッ!」

それを阻止したのは朋子だった。
瞬時の判断で黒霧に消えると、佳林と壁の間に再び現れダメージを軽減させたのだ。
だが、しかし、その威力は朋子の想像をはるかに超えていて、全身を切るような激痛が走る。

480 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:43
「痛つぅ…」
「とも…!」
「集中…しなさい…! 今までのとワケが違う」

佳林が支えようと伸ばした腕から逃れ、自らの身体を庇うように抱きしめた朋子は、
膝を折りながらも目を細め前方の花音を睨んだ。
まるでせせら笑うように見えるのは気のせいではないだろう。
肉体を失くしたことで、解放された心が童心のように今この場を楽しんでいるのだ。
それが…朋子には腹立たしい。

「恨み・憎しみ・悲しみ・苦しみ・それから…殺意。その全部が入ってた容れ物が、
人間なんだよ…。佳林ちゃんが向き合う、魂なんだよ」

佳林へ告げる言葉は、どこか朋子自身にも向けられている言葉のようにも思えた。
事実、朋子の中に生まれ始めた佳林の変化への戸惑いが、ちょっとしたミスを呼び
こんな体たらくを晒してしまっているのだと、僅かながらにも思えて仕方なかったのだ。

『ともも、人間だったんだよ』―― その一言が耳の奥にこびり付いて離れない。
今まで考えることも放棄していた事を、佳林の口から告げられて茫然としてしまったのだ。
今ここに、『ここ』へ送り出したものがいたのなら、花音以上に嘲け笑ったことだろう。

振り切らなくてはならない。
目の前の魂を狩ることだけを考えなくては、ここで『消えて』しまうかもしれない。
自分も佳林も。
それだけは、不愉快だ。

481 :Y.福田花音 :2015/03/07(土) 06:43
痛めた脇腹のあたりを庇いながら佳林の隣に立ち、憎々しげに朋子は花音を見つめた。
感情に翻弄されてはいけない。
使命を果たす、淡々と。
それだけだ。
ぐぅんと、伸ばした右手に黒霧が絡みつき、薙ぐように空を切ってボウを取り出す。

「佳林ちゃん、うちがバックアップする。必ず逝かせて」
「とも…」
「あんなのがのさばってたら、他の魂が引きずられて世界の均衡が保てない」
「……うん」

間違いなく花音は、今までで一番の狂気の塊だ。
朋子が、見るのは。
そう、朋子が、見るのは。
つまりそれは…。

「――― うちみたいなやつは、一人で十分」

朋子の呟くような言葉に、佳林は一瞬はっとした表情で朋子を仰ぎ見た。
そこに表情はない。
毅然とそこに立ち、花音に照準を合わせている姿だけだ。
だから、佳林も。

「…うん」

一度手を離れた大鎌を黒霧から呼び寄せ、力強く握ると身構えた。

482 :エシクスト :2015/03/07(土) 06:44
本日、ここまで。

>>475 名無飼育さん

ありがとうございます。
483 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:22
「行くよ…!」

低く言い放った朋子に、瞬時に佳林は反応する。
見えるから攻撃されるのだ。
ならば、と、自身の身体を黒霧にかき消し花音の元へ駆け出す。

異変に戸惑ったのは花音だ。
手に持つものから、狩りゆく方は朋子ではなく佳林だとすぐに判断がついた。
いわば朋子はどうとでもなる者。
そう高を括っていたのに、その佳林の姿は目の前から消えたのだ。
どうすればいいのか、その一瞬の迷いに空白が生まれる。
それこそ、朋子が計算した通りの姿だった。

「くッ!!」

一斉射撃。
まさにその言葉がふさわしいほど、朋子は矢継ぎ早にボウに矢をセットしては
次々と花音に向かって放っていく。
身の丈以上にも膨れ上がった、憎悪に満ち溢れた炎を、端からジワジワと削るように。

一本、二本、三本…、伸ばす腕に絡みつく黒霧は、主の命に従うように、白銀の鋼を
朋子に委ねていく。
それを確実に、花音の急所へ迫るように放つ。
たとえ大きな炎の揺らめきも、止まらない攻撃には形を崩していくしかないのだ。

484 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:23
が、花音はそれを黙って受け入れるような者ではなかった。
やられたことはやり返す。
やられかけたこともやり返す。

冷静さを取り戻すように状況を確かめ、照準を佳林から朋子へ移す。

―― が、それこそが、朋子の本当の狙いだったのだと知るのは、僅か後。

「佳林ッ!」

花音から放たれる暴風が治まりきった瞬間。
鋭い朋子の一声に応えるように、佳林が黒霧を振り払って姿を現した。

花音の、『頭上』に。

「――ッ!?」

花音が佳林を仰ぎ見るが、遅い。
すでに振り上げられていた大鎌は、もう花音の『目』の前に。
そして。

「――――――ッ!!!」

文字通り、花音は…一刀両断されたのだ。
頂点部中心から、ばっさりと。

485 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:23
そのなんと鮮やかな切り口か。
炎が割れる、などという現象がまことにあるのだと、誰が信じよう。
それほどまでに、佳林の一撃は、芸術性までものぞかせたのだ。

普通の魂なら、もう形さえ残らない。
が。
花音は…『普通』ではなかった。
ただでは飲み込まれない。飲まれてなるものか、と。
送られる者へと、一撃を受けてもなお、成り下がらなかった。

もはや執念。
その感情を、けたたましいほどの咆哮に乗せ撒き散らし、――目の前の佳林へ。
最後の…本当に最後の悪あがき。
が、魂を込めたそれは、鋭い炎の矢となって佳林に放たれた。

「…っ!」

振り切った体勢で、身を守ることもできぬ佳林は…その炎に身を――

「ッ!?」

――― 焼かれる寸前に、強く強く抱かれた。

誰、などとは愚問。
この場で佳林の身を守ることが出来るものなど、一人しかいない。

486 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:24
「とも…!」

目の前が紅蓮の炎で広がっていく。
けれどすべて朋子の背後の出来事だ。
守られた佳林は、茫然とその身にかかる負荷に戸惑うばかりだった。

抱かれた腕はギリギリと痛いほどで、視界の端に見えた朋子の唇は強く
噛みしめられている。
鼻をつく焦げた臭いは、どれほどの痛みを朋子へと与えているのか。

やがて、事切れたように花音の意志を失った炎は…跡形もなく消え去っていった。

残されたのは。

「とも…っ!とも!」

まだ佳林の身体を強く抱いたままの朋子だった。
否、抱いているのではない。
支えにしているのだ。
事実、足元の力は抜け、今にもその場にくずおれてしまいそうな体勢となっている。
気付いた佳林は、しっかりと朋子の身体を受け止めようと手を伸ばす。
だが。

487 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:24
「…ったく…、なんでこうなっちゃうかなぁ…こういうの…うちのキャラじゃないってのに」
「と、も…っ」
「佳林ちゃんが人間だったら…絶対見捨ててやるのに」

それはつまり、と佳林が問おうとするより早く、朋子の身体が軽く音を立てて変化する。
人型は一瞬にして消え去り、そう、黒猫の姿へ。
そしてそのまま…床へと崩れ落ちた。

「とも…!とも!!」

膝を折り朋子を抱き上げるが、返事はない。
それどころか微動だにしない。
途端に、佳林は混乱した。

こんなこと初めてだった。
いつも自信満々に隣に立ち、弱い部分など微塵も見せなかった朋子が今動かない。
息はあるがしかし、まったく動かないのだ。
どうすればいい。
どうしたらいい。
わからない。
その知識が、佳林には『なかった』のだ。
ならば…?
488 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:25
「とも…っ、かりん、どうしたら、いいの…?」

胸にこみ上げてくる感情に戸惑う。
抑えきれない身体の震えに、思考が停止していく。
けれど、それではどうにもならない。
佳林に人間の知識などない。
なら、どうする。
人間の知識を得るには…?

そこで、思い至る人物。
彼女なら、あるいは。
考える猶予などもうなかった。
ただただ、佳林は朋子の身体をかき抱き、黒霧に誘われていった。

489 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:25




490 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:26
いただきます、と植村あかりは特等席の屋上でちょうど弁当を広げた瞬間だった。
突然目の前の空間が歪み、屋上一面に黒霧が広がったかと思うと、その中から駆け出す
人影。わっと思った時には遅い。至近距離で現れる人物に仰け反って、手の中の
弁当は無残にも、地面へと散らばっていった。

「わっ、わっ!」

嘆息と落胆で地面を見つめて、むっとしながら顔を上げ…――― すぐ呆然とした。
夢か何かではないのかと、瞬きを何度もしてしまう。
それでも変わらぬ景色に、ごくんと生唾を飲み込んでしまったぐらいだ。

「うえ、むら、さ」

たどたどしく名を呼ぶ声。
小さくか細い、頼りない声。
それだけならあかりはこんな表情にならなかったろう。
その声の人物が、よく知る少女・佳林であったこと。
そして…その佳林が、あの彫刻のように物言わぬ少女だった佳林が…

「りん、か…、泣いて、るん…?」

今は、剥き出しの感情そのままに、その頬を涙で濡らしていたのだ。
痛々しいほどに歯を食いしばり、きつく眉を寄せ。
なんて『人間らしい』姿なのか。
あかりには、あまりのことに言葉がでない。
が、いつまでも呆けてもいられない。
ふるふると、一度頭を振って気持ちを奮い立たせると、佳林の肩に手を置いて
顔を覗き込んだ。

491 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:26
「どうしたん!?りんか…っ」
「うえ、うえむら、さ」
「うえむーでいいよ…!本当にどうしたん…!」

軽く両肩を揺さぶって、気づく。
佳林が、その腕の中に一等大切そうに何かを抱いていることに。
黒くふんわりとしたその姿には、あかりも見覚えがあった。
あったがしかし…記憶の中のその姿はこれほどまでに、弱っていただろうか?
もっと言えば、佳林に大人しく抱かれているような者だったか。
その疑問の答えはすぐに。

「とも、が、動かない…っ、うごかないの…っ」

広げられた佳林の腕の中。
あかりは目をみはった。
艶やかな毛並みは今はなく、所々焦がされたようにちりぢりになっている。
それだけではなく、生々しい朱に染まった皮膚が息づくように覗いている。
お世辞にも、その姿にすぐさま『大丈夫』とは、あかりでさえも言えなかった。

492 :Y.福田花音 :2015/04/30(木) 17:27
「どうしたん…!?酷い怪我!!病院に連れていかんと…!」
「びょう、いん…?」

聞き慣れぬ単語に佳林は、瞳を揺らす。
何度も狩るために訪れた場所も、今までの佳林には記憶に蓄積されるものでは
なかったのだ。
その佳林に、あかりは瞬時に頭を切り替える。
知らないのならば、知っているものが導くだけ。
自分が、佳林と朋子を導かなければ。
強い使命感は、すぐ行動へ。

「どっちがいいんやろ…動物病院?普通の病院?あーもーいいやっ!由加んとこ行こ!」
「ゆか…?」

佳林の瞳から溢れる涙はとどまることを知らない。
捨てられた子犬のようにあかりを見つめる眼差しと一緒に、痛々しく滲んでいる。
あまりにも悲しいその姿に、あかりは居たたまれない気持ちを抑えられずに
強く、佳林を朋子ごと抱き寄せた。

「だいじょうぶ!!絶対助かる!!あかりに任せて!」
「うえむー…」
「あんだけ可愛げないんやで?根性だけはありそうやん!ともを信じろ!助かる!」

こくりと頷く佳林に、あかりは、うん、と強く何度も背を撫でて応えてやる。

「行くよ!来て」
「…うん…っ」

弾かれたように屋上を飛び出していく二人の腕の中で、僅かに朋子がにゃあと鳴いた
声は、吹きすさぶ風に紛れて耳に届くことはなかった。

493 :エシクスト :2015/04/30(木) 17:27
本日、ここまで。
494 :名無飼育さん :2015/06/05(金) 22:14
続きが気になります!!
495 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:00





とも。
呼ばれて、ずっと邪険にしてた。
とも。
目の色を確かめられて、遠ざけた。
とも。
感情を覚え始めて、戸惑った。
とも。
確かな形を成した心に……諦めた。

憎み続けることを、諦めた。





496 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:00


この病院に足を踏み入れるのは、佳林にとっては二度目だ。
いや、もっと行ってしまうならば踏みれたというよりは、呼ばれたのだが。
そう思えば、ここへ建物本来の目的の為に来るのは初めてなのだろう。

「りんか!こっち!」

病院の廊下を全力で駆け抜けるという、常識的に考えていかほどのものかという
行動をとるあかりだが、時は一刻を争う事態なのだ、と佳林も続く。
今頼りにできるのはあかりしかいないのだ。
この世界の理を知らない佳林にとって、あかりは救世主となりうる存在なのかも
しれないという意識しかない。
その腕に抱く、黒猫の命運をすべて委ねるに値する、存在なのかも、と。

「あっ!ゆかっ!」
「? あーりー?」

真っ白な世界の中で、褐色の健康的な肌を惜しげもなく晒した存在が
廊下の先の角から曲がり来た。宮崎由加だ。
あかりの姿を確認するやいなや、怪訝な表情で隣の佳林にも目を向けてくる。
思わぬ場所にいる、思わぬ組み合わせなのだろう。

497 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:01
「あんねっ!ともが怪我したみたいでねっ!どうしていいかわかんなくて!」
「とも? その子?」
「違うっ!こっちはりんかっ!」
「あーりー…、少し落ち着いて話そうか?」

今にも食らいつかん勢いで、鼻先まで顔を寄せてくるあかりに、由加はにっこりと
微笑んで、軽くその背をぽんぽんと二度ばかり弾ませた。
非常事態な時ほど冷静な対応を、まさにそれが目の前の由加にはあった。
だからこそ、院内スタッフも、『院長の娘』以上の信頼を置いているのだろうが。

「この子!りんか!で、この猫!とも!どっかで大怪我して、ともが動かない!」
「うんうん」
「助けて!」

何とも要領を得ない説明なのがだ、これがあかりの精一杯なのだとわかっている
由加は、瞬時に頭の中で言葉を噛み砕き理解していく。
大きく何度も頷いては、佳林と朋子を見比べあかりの言葉を最後まで聞いていた。
そして、そっと朋子を覗き込む。

498 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:01
朋子には、自然治癒の力はある。
人間の速度よりも早く。
が、しかし、それでも追い付かない深い傷は、まだ癒えず朱に熟れた皮膚を
覗かせ、お世辞にも大丈夫とは言えない姿だった。

「あーりー、残念だけど」
「なにっ!?助からんのん!?」
「そうじゃなくてね? まず、ここにきたのがちょっとしたミスかな」
「どういうこと!?」
「ここは、人を相手にする病院。動物はちょっと無理、かな」

至極もっともな意見だった。
どう考えても、この場で猫の治療は不可能だろう。
朋子が人の姿であれば、話は別なのだが。
だがしかし、今の朋子に人になれという言葉は、届きはしない。

がくりとうなだれるあかりは、佳林に向き直り次の案を伝えなければならない。
猶予たる時間は、ないのだから。
が、しかし。

499 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:02
「…本当ならね?」
「え?ゆか?」
「タイミングが良かったよ。なんとかなるかもしれない。ちょっとこっち来て?」

どういうことなのか、と尋ねるよりも前に、由加は二人を連れて歩き出す。
いや、小走りに駆け出す。
それほどまでに、朋子の容体は危険なのだ。

「ゆかっ」
「しーっ。ここ病院だよ?静かにね」
「けどっ」

食い下がるあかりに、しょうがないなぁとひとつ笑った由加は、あのね、と切りだす。
歩みは止めない。スタッフルームに続く関係者通路を横切り、その奥まで駆け出して。

「今ね、私の大学の先輩だった人が来てるの」
「その人がなんなん?」
「その人は、獣医さんなの。だから診てもらえるんじゃないかなって」
「獣医っ! りんかっ!なんとかなるかも」

ぱっと目を輝かせるあかりに、佳林は状況が読めない中でも頷く。
なんとかなる、とは朋子が助かるのかもしれないという意味が込められているのだけは
理解できたから。

500 :Z.矢島舞美 :2015/07/28(火) 06:02
「だけどね、あーりー? あなたも」
「え?」
「病院に動物を…ましてや、傷を負った子を連れてくるのは厳禁。二度とだめだよ?」
「ごめん…」

あかりの姿に、佳林もぺこりと頭を下げる。
そしてふっと、心の中だけで納得した。
動物でだめならば、今度は人の姿の朋子を連れてこよう、と。

どうにも佳林の考えには、あかりとの時間が長かったせいか、ズレた意識が
組みこまれつつあるようだった。

501 :エシクスト :2015/07/28(火) 06:03
本日、ここまで。

>>494 名無飼育さん
ありがとうございます。
更新遅延しております、申し訳ないです。
502 :Z.矢島舞美 :2015/11/27(金) 05:34
獣の匂いがする。
それが、建物に足を踏み入れた佳林の感想だった。
動物ではない、獣のの、と。
しかし今は、と腕の中で小さく身じろぐ朋子の命が最優先だった。

由加が、あかりと佳林を導いたある一室にいたのは、長身の一人の女性だった。
フォーマルなスーツを身に纏い、長い髪は後ろで一つに束ね、見るからに清楚感
溢れる女性。
細身ながらも、しっかりした骨格は女性の柔らかさより、アスリートのような形を
生地の上からも連想させるようで、小柄の佳林はその女性へと歩み寄ることに、
ほんの僅かな躊躇いが浮かんだ。
けれど、あかりの信頼する由加が紹介した人間だ。
今は、それにすがるしか方法はない。

503 :Z.矢島舞美 :2015/11/27(金) 05:34
由加は手短に女性を紹介した。
彼女は、矢島舞美。
獣医として努めて、まだ日は浅いが、腕は確かであると。
端的ながらも、わかりやすい言葉で告げたのは時を争うからなのだろう。
その事に、佳林は感謝しつつ、そっと腕の中の朋子を彼女の前に差し出した。

言葉もなく、ただ、朋子を差し出しただけの佳林に、女性、舞美は何も言わずに
朋子に視線を落とすと、常時持ち歩いているのかゴム手袋を素早く身に付けた。
それから、そっと朋子の傷口に触れていく。
意識さえ落としているのか、朋子は触れられようが傷口を深く探られようが、
動きもしない。それどころか呼吸も荒く、佳林の不安は募っていくばかりであった。

504 :Z.矢島舞美 :2015/11/27(金) 05:35
「ひどいね、どうしたのこの子」詳しく告げるのは後回しだと判断した舞美は
状況確認だけに努めて佳林とあかりへ言葉を投げる。だがしかし、説明を、という
のは佳林には酷な話で、気づいたあかりが結論だけを急ぐように割り込んだ。

「助かりますか?」苦笑したのは由加だ。その様子から、いつもあかりの唐突さに
振り回されているのだろうと推測できるほどに。けれど、舞美は率直だった。

「んー、正直難しい。でも、やるだけやってみようか」できないと公言はしない。
けれど、大丈夫と安直な請け合いもしない。そして、手は尽くすと約束する。
その簡明直截な性格が、舞美が信頼を得て獣医として成功しているといっても
過言ではなかった。事実、舞美の所には早朝・深夜問わず患者が訪れるのだから。

そうして、4人は、舞美の開く病院へと飛び込んだ。
受付にいた女性が何事かと顔を上げたか、舞美を確かめて慣れたように部屋の
準備を始めた所を見る限り、こうした場は少なくないのだろうと佳林は頷く。
信じる、という言葉の意味を佳林はまだ理解できていない。
けれど、この時確かに、佳林は舞美を信じて、朋子を信じた。
それに気づくのは長くあとの話である。
505 :エシクスト :2015/11/27(金) 05:36
本日、ここまで。
少しずつですが、進ませて頂きたいかと。
失礼します。
506 :Z.矢島舞美 :2016/01/23(土) 09:52
時間を要すれば要するほど不安は募る。
それが不安というものなのだと理解できずとも、胸の奥に黒く煙のようにたちこめるものが
冷静さを欠くものなのだと佳林が感じるほどには、落ち着きを取り戻していた。

ただ、それでもずっと自分の背を撫でてくれているあかりの存在が大きいのだが。
そのあかりの背もまた、由加の手によって撫でられている。
人間というものは、身体の一部分に触れることを許した人間が側にいることで安心を得る、
何度かその姿を確かめていたが、自身にそれが巡って初めて気づくのは不思議なものだと
佳林は目を伏せた。

手術中を知らせる赤いランプは、頭上で煌々と存在を主張している。
まるで、朋子の血液のようだと思ってしまう。
もし、審判である自分達が『死ぬ』という事象に巻き込まれたらどうなるのか?
どうなるのか…? 思いめぐらせる佳林は、一瞬にして身が竦んだ。

507 :Z.矢島舞美 :2016/01/23(土) 09:52
『死ぬ』というものが、こんなにも身近にあるものだと知らなかったからだ。
それがまさか、自分の半身ともいえる朋子に降りかかるなどと毛頭考えも及ばなかった。
自分とは違う、『在った』ものが失くなる。消える。その衝撃に胸が抉られるようだった。

人間は脆い。
心も身体も。
そんなことはわかっていた。
わかっていたがしかし…朋子にはそれは当てはまらないと勝手に決めつけていた。
人間ではないから、と。
そう、人間ではない。
元・人間だったから、と。

けれど今その考えが覆されそうになっている。
自然治癒さえ追いつかない、花音から負った傷。
人間でないものからの傷だから、治らない?
だったらこのまま?

508 :Z.矢島舞美 :2016/01/23(土) 09:53
一体自分はどうしてしまったのだろう、と頭の奥が熱くなり混乱を招いてくる。
じんわり広がった黒いシミのようなものが、佳林の理解不能な思考を嗤うがごとく
どんどん迷路へといざなっている。
どうして自分が朋子と共にいることになったのかと疑問を持ってしまうほどに。

「…っ、矢島さん」

その思考を断ち切ったのは、赤の消灯と扉の向こうから出てきた舞美の姿だった。
由加が、すっと前に出て促すように首を傾ける。
続く、佳林とあかりは舞美の言葉を聞き逃さないようと寄り添う。

それぞれの表情を見てとった舞美は、安易な笑顔はふりまかない。
不安を払拭できるだけの結果が、そこに含まれないとわかっていたから。
事実、一瞬佳林の視界に見えた部屋の中にいた朋子は、ぴくりとも動いていなかった。
509 :Z.矢島舞美 :2016/01/23(土) 09:53
「どうですか?」
「んー」

由加の言葉は抽象的だ。
それはあかりと佳林、2人を思っての事なのだと舞美にも理解は出来た。
だからこそ、言葉は慎重かつ…的確なものでなければならない。
獣医として。

「傷が深くて、抑えるには抑えたけど、あとは…あの子次第だね」
「とも、次第…?」
「ともって言うの?あの子」

こくりと頷いた佳林は、虚ろな眼差しでただただ舞美を見つめる。
そこに含まれる感情があるとすれば…その濁った瞳と同じく…『虚無』だろう。
絶望でもなく、悲哀でもない、虚無。
それを埋める者が…朋子なのだと、気づくに容易い。
舞美も、その一人だ。

510 :Z.矢島舞美 :2016/01/23(土) 09:54
「そっか。うん、そうだね、とも次第だね。生きたいって頑張ってくれれば大丈夫かな」

生きたい。
その意志が朋子にあるのかどうか。
もとより、命という概念のない立場にいるのだから、生きたいという言い方は、まったく
当てはまらないのだが、それでも佳林の胸に深く響いた言葉だった。
いままで共にいて、朋子の感情を汲むことは度々あった。
あったはずなのに、根底にあるものを佳林は理解さえしようとしていなかったのだ。
もし、この場で自身を捨てても良いと、朋子が思っていたなら?
同体である佳林の存在は…。

「ありがとうございます」
「ううん、今日はここに泊めて24時間様子を見るからね」

何も言えず中空に視線を落とす佳林を見てとって、由加がそっとあかりとともに
背を撫でた。ここまでだよ、と告げるように。
実際、ここからは由加たちがどれだけしようと朋子次第なのだ。
それをわかっているから、あかりも口を挟めず…ただ佳林の腰を引き寄せるだけだった。

生と死、その審判を下す者が狭間をさ迷うとは…と、きっと朋子なら笑ったろう。
その表情を懐かしく思うほどに、佳林は心の行き場をなくしてしまっていた。
511 :エシクスト :2016/01/23(土) 09:54
今回更新はここまでです。
512 :名無飼育さん :2018/07/08(日) 16:28
続きが楽しみです。

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