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いしよしメイン

1 :つかさ :2012/03/17(土) 20:54
いしよしは初挑戦です。

ドリムス。でいしよしにやられました。
まだまだいしよしに関しては新参ですが、よろしくお願いします。
236 :隠し事 :2012/10/21(日) 22:27
 気づかねぇ?

 吉澤は自分の手を石川の鼻先につき出す。

「え?何、この匂い」

「普通気づくっしょ。ネギ、切ってた」

「…………はぁ?」

 少しだけ、呆れた視線。

「しばらく、青ネギ切らなくていいよ」

 台所。
 ざるいっぱいのネギ。

「…………どれくらい切ってたの?」

「ん??1時間ぐらい?」

 あ、だから、別にアタシ、晩御飯の支度とかしてたわけじゃないからって、え?
237 :隠し事 :2012/10/21(日) 22:28
 胸元。
 抱きつかれて。
 吉澤の言葉は止まる。

「…………ごめんね…………」

 呟かれた言葉に。
 今更ながらに、石川のシャンプーの匂いなんて、感じて。

 吉澤の腕はうろうろと、石川の背中。
 空中をさまよう。

「いや、だから」

「いーよ、別に。だから、ちゃんと抱きしめて」

 ぎゅっと。
 背中に回された腕。

 石川の胸の中。
 愛しさがこみ上げる。
238 :隠し事 :2012/10/21(日) 22:28
「…………大好き」

 そっと触れ合うだけのキスが。
 深くなるのに時間はかからないけれど。

 さすがに。

「…………続きは、シャワー浴びてきてからね」

「…………ほいよ」

 さすがに自分の手の匂い。
 自覚している吉澤は苦笑い。

「あ。ひめちゃんは?」

「ん?ご飯あげて…………アタシ、相手しなかったら寝ちゃった」

「そっか…………」

 いつの間にか。
 ソファーの上。
 吉澤が押し倒されている構図で。
 石川は、吉澤の上。
 動こうとしない。
239 :隠し事 :2012/10/21(日) 22:29
「えーと、あの。アタシ、シャワー……」

「もーちょっとだけ」

「あのー、石川さん?寝ようとしてねぇ?」

「んー最近、睡眠不足だったの」

「そりゃ良かった…………って違うっしょ?そーいや話し、まだ終わってない」

 …………ん?

 ずりずりと。
 石川は頭を移動させ。
 吉澤と視線を合わせる。

「…………土産、期待してるから」

 …………パチクリ、とした眼。
 きょとん、とした石川の表情に。
240 :隠し事 :2012/10/21(日) 22:30
「アタシがさ、ロサンゼルスから買ってきたお土産ほど、とまでは期待しないけど」

 吉澤はにやっと笑う。

「あんとき、アタシ、結構奮発したんだよ?」

「…………あ」

 何か言いたげに口をパクパクさせる石川に。

 軽く吉澤はキスを落とし。

「あと、寝る前に台所の片付けもよろしく?」

 なんて。
 軽やかに言ってのける。

 こんなふうに。
 過ごしていける幸せ。
 ささいな食い違い。
 掛け違いがあっても。
 二人で歩んできた、歴史。
 そして。
 これから二人で歩んでいく
 二人の軌跡――――――――――――――。

                                             END
241 :つかさ :2012/10/21(日) 22:38
〉216 名無飼育さん
〉ケメコさんがかわいい.....と思えてきました。
なんとなく、保田さんは……貧乏くじひいてるイメージがあります(笑)

さて、白くてもちもちしてるネタより、自分的にツボったのは
こっちでした(笑)

一気書きの勢いだけの一気あげなんで、何か矛盾点あるかもですが、
そこは笑ってスルーしてください(^^;;

書く時間確保できればおまけ編があるかもです。
ちょい時間あくと思いますが。
本当はそっちが最初に思いついたシーンだったんです(笑)

今日の更新は以上です。
242 :名無飼育さん :2012/10/22(月) 00:42
更新待っておりました!おまけ編 ですか?鼻の下を長くして待ちますよ!
二人そろってのダイビング が実現しますように.........
243 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:45
―――――――――

 いつのことだか 思い出してごらん
 あんなこと こんなこと あったでしょう

――――――――――――――

 隣にいなくても。
 わかってくれてる、なんて。
 そんな甘えた考え。

 伝えなくても。
 理解してくれてる、なんて。

 いなくなるなんて、そんなこと、考えもしなかった。
 矛盾しているけれど。
 傍にいなくても。
 ずっと、傍にいてくれると思っていた。
 そんな風に思っていたあの頃。

 ん?

 机の上に放り出していた、携帯。
 ランプが点滅しているのに気づいて、手にとる。

『石川梨華』

 珍しい。

 最初に頭に浮かんだのは、そんなこと。

 最近は、めったに連絡を取るなんてことはなかった。

「もっしもーし」

「あ、よっちゃん?」

「おー、そーよ。どしたぁ?」

「………今、大丈夫?」
244 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:46
 いつもの声と違う。
 少し硬い石川の声に、吉澤は眉根を寄せた。

「何、気取った声出してんだよぉ」

 茶化すようにそう言ったのは。
 何か、嫌な第六感が働いたのだろうか。
 何となく。
 続きを聞きたくない、気がして。

 一瞬の、沈黙。
 そして。

「………真面目な話だから」

 今度は。
 吉澤が黙り込んだ。

 それから、何分がたったのか。

 吉澤は切れた電話を握り締めたまま。

 自分の部屋。
 立ち尽くしていた。

―――――――――

 次の日。
 ほとんど眠れなかった吉澤は。
 収録現場の楽屋。
 2時間前には到着していた。

『卒業するの』

 昨日の石川の言葉。

 もう、何百回と頭の中でリフレイン、された言葉。
245 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:46
『同期だし、よっすぃーには先に言っておきたくて』

『明日、発表するから』

 静かに、告げられた、言葉たち。

 吉澤はちらっと腕時計に眼をやる。

 集合時間まで、後、10分…………。

 楽屋に置いてきた、鞄。
 その中に、あえて、置いてきた携帯電話。

 今、楽屋に戻れば。
 何もなかったように振舞えば。
 知らないふりができれば。

 吉澤は拳をぎゅっと握り締めた。

 石川の卒業。
 それも勿論、ショックだったけれど。

『同期だし』

 胸に突き刺さった、言葉。

 そうだよな、なんて。

 冷静に受け止めようとする気持ちと。

「……………ったく」

 吉澤は。
 非常階段の最上階。
 施錠された屋上へ続く階段の踊り場。
 ずるずると座り込む。

『キショい、キモイ』
246 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:47
 ずっと。
 そんな風にしか言えなかった自分。

 一緒に。
 支えていくんだ、と。
 信じて疑わなかった。

 だからこそ、甘えていた。

 今なら、思う。

 でも。

「もう、遅いっつーの」

 自嘲が漏れる。

『同期だし、先によっすぃーには言っておきたくて』

 そんな風に言わせたのは、自分だ。

 腕時計は、もう集合時間の五分前を指している。

 行かなきゃ、と思う気持ち。

「………よっすぃー」

 聞こえてきた声。
 吉澤は、顔をあげる。

「…………何?」

 驚きは、なかった。
 当然、という気持ちと。
 何でくるんだよ、という気持ち。

 そんな吉澤から出てきた言葉は、いつもどおり素っ気なく響く。

「…………うん」
247 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:48
 少しだけ、困った顔?

 石川は。
 地べた、座り込んだままの吉澤の前、しゃがみこむ。

「……………ごめんね」

「…………謝ることじゃないじゃん」

「そーだけど」

 いつから。
 こんな風になってしまったんだろう。

 触れれそうで、触れれない距離。

 吉澤はぐっと唇を噛み締めた。

「ごめん」

 そっと抱きしめられた、石川の腕の中。
 吉澤はふっと。
 やっと息をつく。

「謝んの、アタシの方でしょ………」

 拗ねて。
 楽屋から逃げたのは、吉澤のはずだ。

「もっと言い方あったんじゃないかって。昨日、ずっとそう思ってたの」

「……………」

「よっすぃー気にするってわかってたのに。嫌な言い方しちゃった。大事なことなのに」

 石川の腕の中。
 吉澤はそっと身じろぎする。
 聞かなければいけない、とわかっている。
 理解している。
248 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:48
 それでも。

「あのさ、時間……………」

「みんなには言ってきた。30分時間くださいって」

 弱いように見えて。
 いざとなると。

 誰よりも。

 真っ直ぐな視線で。

「聞いて、よっすぃー」

 いつか。
 自分のそばから離れていくって。

 わかっていたのに。

「卒業って言われて、本当は嫌だった」

 え?

 思いもかけない言葉に。
 吉澤は視線をあげる。

「よっすぃーにまで、綺麗事言う気、ないよ。私、そんなに強くないし」

 苦笑いを浮かべる石川に。

 あぁ。

 一抹の安心感。

「いつもいきなりだもんね」

 やっとまともな言葉を発した吉澤に。
 少しだけ、ほっとしたように、石川は笑う。
249 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:48
「うん。自信、ないしさ」

「だいじょーぶ……………」

「よっすぃー」

 強い石川の瞳に見据えられて。
 吉澤の言葉は遮られる。

「私、よっしぃーの本音、聞きたい」

 ぐっと。

 吉澤は唇を噛み締める。

「そーゆーの、嫌いだってわかってるけど」

 そうじゃない。

 そうじゃない。

 ただ。

「そしたら、私、頑張れる。だから」

 ぐっと。
 吉澤は石川を引き寄せた。

「さみしいよ。さみしいに決まってるじゃん」

 感じる、石川の温もり。

「いなくなるなんて、思ってもなかった。いつだっていてくれるって思ってた」

 こらえきれない。
 溢れてくる想い。

「ひどいこと言ってごめん。謝るの、アタシのほうだから。可愛いって思ってるから」
250 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:49
 いつかの収録。
 いつだって。
 石川の様子は伺っているが。

 一瞬。

 本気で傷ついた表情。

 後で保田に怒られた。

 でも。

 素直になれなくて。
 謝れなくて。

「甘えてたんだ。……………り、梨華ちゃんなら許してくれるって」

 噛むのくらい許して欲しい。

「いっぱいごめん。んで」

 ぐっと。
 痛いかな、って思うくらい。
 強くなってしまう、腕の力。

「これからも、よろしく」

 腕の中。
 反応がない……………。

 え?駄目?

 何か、駄目だった?

 思わず。
 弱気になるが。

 そっと。
 吉澤が石川の顔をのぞきこむと。
251 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:49
 ぐっと、唇を噛み締め。

 眼にたまった大粒の雫。

「……………言ってくれないと、不安になること、多いんだからね」

 こくり。

 吉澤は殊勝に頷く。

 どこまでわかってるんだか。

 目元。
 涙を拭いながら、石川は少しだけ、笑みを浮かべる。

「変わらないよね?」

「あったりまえじゃん」

 久々に触れた、吉澤の温もり。

『さみしいよ』

 やっと言ってくれた、本音。

『梨華ちゃん』

 大切な、存在なのに。
 距離が空いてしまったような気がして。
 こんな状態で、卒業、だなんて。

 残された時間は。
 きっと長いようで短いのだろう。

「ご飯、行こうよ」

 え?
252 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:49
 吉澤の言葉に。
 石川は不思議顔。

「いろんな話、しよう」

 いつの間にか。
 すれ違っていた気がする。
 かけちがいかけたボタン。

『言ってくれないと不安になること、多いんだからね』

 言葉が足らなかったことは、百も承知だから。

「うん」

 泣き顔よりも。
 石川には笑顔が似合うと思うから――――。

―――――――――

 春のことです 思い出してごらん。
 あんなこと こんなこと あったでしょう

――――――――――――――


「いよいよだねぇ」

「早かったよね」

「……………後、一週間、かぁ」

 何気ない吉澤の一言に。
 ご飯を食べる石川の手が、止まる。

「何て顔してんのさ?」

「……………よっちゃんの意地悪」
253 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:50
「……………」

 そこで拗ねた顔、されても。
 吉澤は黙って目の前の料理。
 片付けることに専念する。

「さみしい?」

「んなわけねーじゃん。それよか、冷める。食え」

 クスリ。

 石川は笑うと。

 再び食事を再開して。

「……………身体、大丈夫なのかよ?」

「ここまで来たらやるしかないでしょ」

「そりゃそーだ」

 決して多くない、二人で交わされる、言葉。

 それでも。

「武道館、だもんな」

「……………うん」

 共通する想いは、変わらない。
 言葉がなくても。
 伝わっている、と。
 そんな感覚。

 それは二人にしかわかりえないものだろうけれど。

「……………いろいろあったね」
254 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:50
「ありすぎだろー」

 ぼやく、吉澤は何も言わない。

 だから、何も聞かない、というのは言い訳だろうけれど。

「ちょっとは頼ってくれていいのに」

「ん?」

 きっと。
 聞こえないフリをするのが吉澤の優しさなら。

「べっつにー」

 何も言わないフリをするのが石川の優しさで。

「まぁ、さ」

 カラン。

 完食。

 皿にフォークを転がした吉澤。
 行儀悪いよ、と言いたくなるが。

 吉澤の横顔。
 妙に真面目な顔。

「さいっこーの卒業式にするから」

 宣言、というのが相応しいのだろうか。
 その横顔からは。
 吉澤の本音は見えてこない。

「あのね」

 ん?
255 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:51
 柔らかい瞳が、石川の方を向く。

「私の卒業式なんだよ?」

「……………ん」

「私が最高の卒業式にするんだから。よっすぃーたちは黙ってついてくればいーの」

 ぷはっ。

 吉澤が破顔する。

「言うようになったね、おねーさん」

「そりゃ、ね。何たって一番年上なんだから」

「……………ん」

 細められた目線。

 後はよろしくね、なんて。

 きっと言わなくても。
 吉澤は。
 吉澤なりに頑張るだろうから。

「泣いてね」

「……………げ」

「何よぉ」

「だってさぁ」

「いーじゃん、たまには」

「嫌だよ」
256 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:52
 ひそめられた眉。

「笑って終わろうよ。武道館だよ?」

「見たい」

「……………ステージじゃなかったら」

 見つめ合い。
 吹き出す二人。

「何よそれ」

「えーだってさ」

 ファンの子が見たいのは笑顔だろうから。

 そんな風に言われるのは百も承知だけれど。

 そんな風に答えを返さない吉澤。

 きっと。
 正直なところは、泣き顔を見られるのが恥ずかしい、とか。
 そんなことなんだろう。

「まぁ、いーけど」

「いーの?」

「よっすぃーの泣き顔、独占させてくれるってことでしょ?」

「……………何かやだなぁ、それ」

「同期なんだし、いーじゃん」

 ふっと。
 吉澤の表情が変わる。

「……………違う」
257 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:52
「え?」

「同期だからじゃない。梨華ちゃんだから」

「……………あ」

 少しだけ、むっとしたような表情に、既視感。

「……………ひとみちゃん」

「……………うん」

 少し、さがる目元に。

『梨華ちゃんだから』

 そっか。
 そーゆーことだったんだ。

 なんて。
 石川は今更ながらに納得する。

「わかった?」

「うん」

「ほんとにわかってんのかよー」

「えーだってよっすぃー、言葉足んないよ?」

「恥ずいじゃん」

「それでもさー」

「んじゃ、梨華ちゃんから言ってよ」

 少しだけ、おもしろがってる目付き。
258 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:52
「……………ひとみちゃん」

「何だよそれ」

 吉澤が笑う。

「何よー、よっすぃーがもったいぶるのがいけないんじゃん」

「何をもったいぶってんだよ」

「ふーんだ」

 今はまだ。
 この距離でいい。

 少しづつ、近づいている距離。

 今は、まだ。

「とりあえず、がんばりましょっか」

「そーだね」

 立ち上がる二人。

 同期だけれど。
 それをも越えて。

 目指す場所は変わっていくのかもしれないけれど。
 きっと。
 二人の関係は変わらない――――。

―――――――――

 嬉しかったこと おもしろかったこと
 いつになっても 忘れない

―――――――――
259 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:53
「何やってんの?」

「んー、昔の写真、見てる」

 ……………その様子をしばらく吉澤は眺め。
 うーんと腕を組む。

「アタシの思い違いじゃなければさ、おねーさん」

「うん、誕生日だよ」

 さらっと流され。
 吉澤はさらにうーん、と首を傾げる。

「ひめが寝てるときじゃないと落ち着いてこーゆーの、見れないじゃない。
 あ、ひとみちゃんも見る?」

 ほら、麻琴、おっかしーんだよ。

 それはいーんだけど。

 吉澤はどすん。
 存在をアピールするように石川の隣。
 腰をかける。

「あのね」

 もーしょうがないなぁ、なんて。

 パタン。

 アルバムを閉じて。

 石川はそっと吉澤の顔をのぞき込む。

「あんだよ」

 少しだけ、むくれ顔。
260 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:53
「来てくれて、ありがと」

「……………ん」

 そっと。
 石川は吉澤の頬に触れる。

「真っ先に『誕生日おめでとう』って言ってくれてありがと」

「あったりまえじゃん……………柴ちゃんよりは遅れたけど」

「そこで拗ねないでよ。ちゃんとブログには親友のって書いたでしょ」

「そーだけどさ」

「傍にいてくれて、ありがと」

 そっと。

 軽く。
 触れるだけのキス。

「プレゼント、ありがと」

「なーんか、ありきたりのばっかだけど」

「私のこと考えて選んでくれたって思うだけで嬉しい」

「……………っば」

 赤くなる頬に。
 石川が笑う。

「好き」

「なーらーさ」

 さっきの態度は何よ?
261 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:53
 もう一度。
 むっとしかける吉澤に。
 石川は、しょうがないな、と呆れ顔。

「ここにいちゃいけないんじゃなかったっけ?」

「だって」

「仕事でしょ?」

「大丈夫じゃん」

「あのねぇ……………」

「会いたかったんだよ」

 ぐっと。
 強く引き寄せられて。
 腕の中。

 石川は眼を閉じる。

「いつだって、さ」

 同じ風景を見て。
 同じように感じなくてもいい。

 一緒にいてくれれば、いい。

「好きだから、さ」

「ん」

 こつん。

 吉澤の腕の中。
 俯く石川の表情は見えないけれど。

「ありがとう、はアタシのセリフだよ。産まれてきてくれて、ありがとう」
262 :おもいでのアルバム :2013/01/20(日) 17:54
 そっと。
 今度は吉澤から。

 俯いたままの石川の顎をあげる。

「誕生日、おめでと」

 そっと。
 触れるだけのキス。

 優しく。
 宝物を扱うような。

「「好きだよ」」

 その気持ちがあれば。

 一年じゅうを思い出してごらん
 あんなこと こんなこと あったでしょう

 一年中じゃなくても。

 一生忘れれない、気持ちになる。


                                 END
263 :つかさ :2013/01/20(日) 17:57
一日遅れ、申し訳ありません(汗)

>>242 名無飼育さん
おまけ編ではまったくないんですが(苦笑)

とにもかくにも。

石川さん、誕生日おめでとうございます。

年末から怒涛のいしよしでしたが。
今年もできるだけいしよしで突っ走ってくれることを期待します(笑)
264 :名無飼育さん :2013/01/21(月) 00:41
あの頃のことを思い返して胸が熱くなりました。そして二人は今もずっと進行形なんですね。
この二人の物語をもっともっと読みたいです。
265 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:19
「んーーーーーー」

 リビング。
 ソファーの前に陣取って。
 テレビはついているものの、お笑い番組。
 とてもお笑い番組を見ているとは思えないむつかしい顔をして、腕を組んでいる人。

「………………」

 一瞬。
 声をかけるか悩んで。

 石川は、そっとキッチンに引き返す。

 だいたいにおいて。
 吉澤がこんな表情をしているときは、ろくなことがない。

 過去の経験から十分にそれを学んでいる石川だが。

「ねーー梨華ちゃん」

 対面式のカウンターキッチン。
 ひょい、と石川の顔を覗き込んでくる吉澤の表情に。

「なに?」

 答える声は、甘い。

 久しぶり、というわけではないが。

 落ち着く空気感は、やはり、吉澤がいるからで。

 吉澤じゃないと駄目なのだ。

「あのさぁ、最近、アタシとの写真、ブログにあげてくれる回数少なくない?」

 はい?

 脈絡のない吉澤の問いかけに、石川はきょとん、とした表情を見せ。
 次の瞬間には、苦笑いを漏らす。
266 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:19
「一緒にいるじゃん」

「だからだよーー。前は結構いろいろあげてたよね?」

 少しだけ、不満顔?

 そんな吉澤の頬を石川は指でつつく。

「何言ってんの。ほら、できたから持って行って」

 ことり、と置かれる皿からは湯気が立つ。

「お、うまそーーー」

「でしょ?自信作よ」

 吉澤好みの味付け。
 いつの間にか、覚えていた。
 いつの間にか、増えていた吉澤の好む、酒の肴。
 石川自身もそれが美味しい、なんて思うようになって。
 もう、長い時間が経つ。

「ねぇ、早く食べよーよ」

 石川の部屋なのに。
 妙に馴染んでいる、風景。

「はいはい、お待たせ」

「待った」

「………誰が作ったんだっけ?」

「えー?だって梨華ちゃん、最近アタシが台所入ったら怒るじゃん」

「いつもひとみちゃんが作ってくれてたら、私の料理の腕、あがんないじゃん」

「もー十分上達したと思うけど?」

「そーなんだけどね」
267 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:20
 クスリ。

 石川は微笑む。

 一瞬、吉澤は眩しそうにそんな石川の表情を見つめ。

「冷めちゃう前にさっさと食べよ」

 ふっと笑う。

 そんな吉澤の表情は石川にとってたまらなく愛おしくて。
 料理を作るきっかけなんて、そんなもの。
 大事な人が自分の作った料理を前に、嬉しそうにしてくれる。
 そんなささいな幸せ。

 何だかんだと食事中の話のネタは尽きなくて。

「ほら、手止まってる。さっさと食べる」

「………だから、誰が作ったと………」

「いや、ほら、すげー美味いからさ」

 少しだけ、不機嫌に寄せられた眉に、吉澤は慌ててフォロー。

 そのあたりの阿吽の呼吸も、わかった上でのじゃれあい。

 ひめは先ほどから吉澤に遊んでもらい、石川からご飯をもらい、すっかりご機嫌で眠ってしまっている。

「もー」

 ほら。
 少し拗ねた口調だけれど。
 石川の眼は笑っていて。

「なんか、久しぶりだね」

 そっと。
 石川が吉澤に触れる。
268 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:20
「ん」

 柔らかく。
 吉澤が眼を細める。

「沖縄、楽しかったけど」

「一ヶ月たつ?」

「んー、あっという間だよね」

「クリスマスもあったけど」

「忙しいのは良いことだっていうけど」

「年々、早いよねぇ」

「梨華ちゃん、何かおばちゃんくさいよ」

「何よ。ひとみちゃんだってもうすぐ同い年じゃない」

「そーだけど、さ」

 ちょいちょい、と吉澤は石川を手招きする。

「何よ?」

 立ち上がって石川は吉澤の傍に近づいて。

「ちょっとだけ」

 そのまま吉澤の腕に抱きしめられる。

「………急すぎ」

「駄目?」

 吉澤の上目遣い。
 めったに見れない、そんな表情。

「片付け、しないと」
269 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:21
「後でアタシ、やるよ」

 もう、しょうがないなぁ、なんて。
 そんな風に言いながら。
 石川は柔らかく笑った。

―――――――

「凄かった。誘ってくれてありがと」

 ダイビングを終え。
 撮影も終わって。
 夕食後のひと時。

 石川は吉澤のベッドの上。
 ちょこんと腰掛ける。

「でしょー?」

 自慢気に。
 吉澤が胸をはる。

「この部屋もすげーけど」

 コテージのクィーンサイズのベッド。

 吉澤はごろごろと転がる。

「奮発してくれちゃった?」

「………何?」

「ホントは撮影用だけのための部屋だったって」

 クスリ、と石川は笑う。

「スタッフさんが言ってるの聞いちゃった」

「……………知らねぇ」

 少しだけ、ぷい、と横を向いて。
270 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:21
 その耳がほんのりと赤い。

 石川はそっと。
 吉澤の髪の毛に手を伸ばす。

「ありがと」

「……………別に。アタシも泊まってみたかったし」

 柔らかい、髪質。
 さらさらと石川の手から溢れる。

「今年はクリスマス、一緒だね」

「ん。何、くれる?」

「何よそれ」

「別に何でもいーけどさ」

 うつぶせの状態から。
 コロン。
 吉澤は転がる。
 そのまま石川の顔を見上げて。

「ディナーショー終わったらどこ行きたい?」

「……………打ち上げなんじゃない?」

「みんなの邪魔しちゃ駄目っしょ」

「そう?愛ちゃん、楽しみにしてたよ?」

「……………ふーーん」

 少しだけ、不満気な視線が。
 石川の嬉しそうな笑顔に。

「その後は?」

 尋ねる。
271 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:22
「んーーーどーしよっかな」

 もったいぶった石川の返答。
 それでも石川は笑顔で。

 ちぇっと。
 吉澤は後ろ手。
 ベッドにつき。
 身体を起こす。

「アタシじゃご不満ですか、お姫様?」

「私もたまには王子様、やらせてよ」

「んーーー?」

「打ち上げの後、空けといてね」

 不意打ちの、軽いキス。

「え?」

「たまには私だって」

 拳を握りしめる石川をきょとん、と吉澤は見つめる。

「梨華ちゃん?」

「最高のクリスマスにしてあげる」

 こーゆーときの石川に。
 何を言っても無駄だとはわかってるが。

 吉澤は少しだけ、困ったように笑った。

「……………頼むから、気合入れすぎないでね……………」

―――――――

 ベッドの上。
 吉澤はそっと石川の髪の毛を撫でた。
272 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:22
「んーーーー?」

「起きた?」

「あれ?」

 まだ、少しだけ。
 潤んだ瞳。
 見つめられて。

 吉澤はそっと視線を外す。

「だいじょーぶ?」

「……………ん」

 もぞもぞと。
 石川は吉澤の腕の中。
 そっと吉澤の顔に手を伸ばした。

「……………ごめん、手加減できなかった」

 率直な吉澤のセリフに。
 少しだけ、石川の顔が紅くなる。

「……………年末、風邪なんてひくから……………」

「何よ、私のせい?」

「心配してたんだよ」

 ぼそっと呟いて。

 吉澤は石川の横。
 ゴロン、と横になる。

「……………圭ちゃんに言わないでくれてありがと」

 クリスマスから。
 少し、調子を崩してそうな様子が気になっていた。
273 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:23
 普段なら。
 フォロー入れようとするのだが。

「後で圭ちゃんに怒られたんですけど、アタシ」

『梨華ちゃんの体調悪いこと、アンタ知ってたんでしょっ!?
 何で教えないのよっ!!!』

 すごい剣幕だった。

 けれど。
 この季節の新島。
 海。
 どれだけ寒いか、なんて。
 調子を崩しかけているのはわかっていたけれど。
 それを伝えると。
 何だかんだといいながら。

 石川の体調を最優先に考えてしまう、そんな優しい先輩だから。

 だから、伝えなかった。
 だから、伝えれなかった。

 まぁ、最大級の負けず嫌い。

 伝えた瞬間に、保田からは怒られなくとも。
 石川から怒られるのも火を見るより明らかで。

「……………だと思った」

 意外と、と言っては失礼か。
 厳しいようで、後輩に甘い先輩。

 石川は微笑む。

「まぁでも、自業自得っていえば自業自得だしねぇ」

「……………………うーーー」

「拗ねない拗ねない」
274 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:23
 吉澤はクスリ、と笑う。

「一緒に行きたかったんだ」

 ぼそっと。
 石川は呟いて。
 吉澤の首筋。
 顔を埋めた。

「梨華ちゃん?」

「圭ちゃんと行くのわかってたから。
 だから、その前にひとみちゃんと行きたかったの」

 両親との思い出の場所。

 どうしても保田と行く前に。

 自分の大事な人と。

―――――――

「り、梨華ちゃん…………」

 確かにプロデュースは任せる、とは言ったが。

 真っ暗な海。
 街灯もなく。
 吹きすさぶ海風……………………。

 吉澤の言葉は。
 梨華ちゃん、をこえ。
 りがちゃん、になりかけている。

「何でそんな軽装なのよ?!」

「海に来るって教えてくれりゃ、それなりの格好してきたよっ!!」

 それくらいは言わせて欲しい。

『何処行くの?』
275 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:24
 聞いても。

『内緒』

 だなんて。
 超ゴキゲン。

 それはそれで楽しかったのだが。

 この寒さは…………。

 さすがに限界を超えている。

「……………………もーーー」

 少しだけ、困った表情を見せた石川だったが。

 確かに。
 海へ行く、と伝えなかったのは、自分で。

「ほら」

 スルリ。
 少し大きめのベンチコート。
 腕から抜くと、そのまま吉澤をくるむ。

「暖かい?」

「…………梨華ちゃんが寒いじゃん」

「大丈夫だよ。だから」

 もーちょっといよ?

 吉澤は考え込み。
 くるまれたベンチコートを腕に通し。
 そのままぎゅっと石川を抱きしめて。

 ベンチコートで石川をくるむ。

「これで、二人、暖い」
276 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:24
 石川の耳元。
 囁かれた声。

「海、見えないじゃーん」

「アタシとここに来たかったんでしょ?なら、いーじゃん。間違ってない」

「そーだけど」

 石川を抱きしめる吉澤の身体はまだ冷たくて。

 石川はそっと吉澤の身体。
 腕を回す。

 耳に届く、波の音。

 二人とも、寒がりで。
 こんな風に。
 夜の海、なんて。
 来たことなかったなぁ、なんて。

 改めて、思う。

「ホントはね。ひとみちゃんに撮って欲しいなぁ、なんて思ったりもしたんだけど」

 エッセイ集発売が決まって。

 真っ先に思ったのはそのことだった。

 けれど。

「私だけが満足するだけじゃ、駄目だって思ったから」

「圭ちゃん、喜んでたよ」

「あれ?知ってたの?」

「『アンタ、勝手に誤解して、落ち込んでんじゃないわよっ!!』って電話きた」

 トクン、トクン。
277 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:24
 ぎゅっと。
 抱きしめ合う二人には。
 お互いの胸の鼓動が聞こえている。

 何よりも、落ち着く音。

「なーんだ。そういえば、私も麻琴に言われちゃった」

「ん?」

「『吉澤さんのフォローちゃんとしといたほーがいーよ』って」

「何だよそれ」

 アタシ、どー思われてんだ?

 そう思わなくもないけれど。

「そこまでガキじゃねぇって」

「そう?」

 見上げてくる石川のいたずらっぽい瞳に。

「んーガキかも?」

「何よそれ」

「アタシとここに来たいって思ってくれたの、すげー嬉しいもん」

「……………………ん」

 優しい言葉。
 暖い言葉。

 この人で良かった。

 石川はそっと吉澤の胸に顔をうずめた。
278 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:25
―――――――

「あれで体調崩すんなら、アタシだと思ったんだけどなぁ」

「何よー。何とかは風邪ひかないって言うからでしょっ」

「基礎体力、無くなってんじゃねぇ?ほら、だからそこで拗ねんな」

 少しだけ。
 吉澤の身体から、身をひく石川の身体。

 剥き出しの肩が、布団の外にでそうで。
 吉澤は石川を引き寄せる。

 暖いぬくもりと。
 馴染んだ、互の匂い。

「…………気持ちいー」

 思わず溢れ出た石川の言葉。

「さっきの思い出しちゃった?」

「バカ」

 憎まれ口の叩き合い。

 居心地のいい、空間。

「セブ島、どーだった?」

「何回聞くのよ?」

「えー、何回でも聞きたい」

「ひとみちゃんだって、今度麻琴と沖縄でしょ?」

「うーーー」
279 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:25
 梨華ちゃんとが良かった、なんて。

 言ったらきっと。
 腕の中のこの人は。
 嬉しそうに、麻琴に伝えてしまったりなんて、するのだろうから。

 懸命な吉澤は言葉を濁すが。

「麻琴に言っとこ」

 クスクスと笑う石川には敵わない。

「たまに本気でムカツクんだってアイツ。加減しらねぇから」

「兄弟みたいだよね」

「……………………どうせなら、姉妹っつってよ……………………」

「悪ガキコンビ」

「…………麻琴に伝えとくよ」

「多分、喜ぶんじゃない?」

 そーだった。

 吉澤は苦笑いを浮かべる。

 りっちゃん、りっちゃん、と。
 何だかんだで石川になついている小川は。

 吉澤を兄貴と慕い。
 石川を一応守ってあげなければいけない姉ちゃんだと思っている節がある。

 小さく石川は欠伸をする。

「……………………眠い?」

「んーーーーちょっとだけ」
280 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:26
「寝ちゃう?」

「ううん」

 3月からの舞台。
 その前の稽古。
 しばらく、すれ違いの生活が続きそうで。

「寝ない」

 言いながら。
 石川の眼は半分閉じかけで。

「いいよ。寝ちゃいな」

 優しい声が。
 眠りの世界の扉を開こうとするが。

「……………………だって」

「また、来るし。どうせなら、いりびたっちゃうよ?」

「んーーー」

 そっと。
 石川の手が。
 無意識。
 吉澤の腰を撫でる。

「沖縄からもメールするよ。麻琴にもメールさせるし」

「……………………麻琴はいーー。返事、めんどくさい」

 半分眠りかけで。
 石川は、自分が何を言ったかあまり覚えてないだろうが。

 ピコン。

 吉澤の目がニヤリ、と。
 光ったのも見えなかったが。
281 :何でもない日の何でもない話 :2013/02/03(日) 08:26
『悪ガキコンビ』

 その二人が揃って。
 沖縄から送った石川へのメッセージ。

 石川が激怒するのは、また別のお話―――――――。


                                 END
282 :つかさ :2013/02/03(日) 08:29
>>264 名無飼育さん
>そして二人は今もずっと進行形なんですね。
これからも進行形であって欲しい。ってか進行形でいてくれるだろう、と。
本気で好きですねぇ、この二人。

ってことで。
前回の誕生日更新があまりにもやっつけになってしまったもんで(汗)

反省と自戒を込めて。

楽しんでいただければ嬉しいです。
283 :名無飼育さん :2013/02/04(月) 00:34
進行形のいしよし最高です!次の更新のタイトルは「梨華ちゃん大激怒!」ですか?
284 :名無飼育さん :2013/02/04(月) 01:24
タイムリーなネタ来ましたね!!
次回も(勝手に)期待してますw
285 :名無飼育さん :2013/02/04(月) 06:30
浮気中なう(笑)を見てからこっそりお待ちしてました(すみませんw)
今回もおもしろかったです。ありがとうございました!

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