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世界はあたしとあなただけA

1 :ななしーく :2011/11/23(水) 00:05

こちら森板で書かせていただいていた同タイトルの続きとなります。

175 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 10:59

三月に入る頃には、常連さんの顔も覚えた。
そして新たに常連に仲間入りした人もいる。

今月のオススメとバナナマフィンをトレーに乗せた真希ちゃんがあたしを見て微笑む。

「おはよう、梨華ちゃん、ごとードリンクはいつものね!」
「おはよう、真希ちゃん、
 カフェオレは出来たらテーブルに持っていくから待ってってね
 ¥860になります」

お会計をして、奥に居る店長にカフェオレをオーダーする。
店長はとにかくこだわりの人で、自分の作ったパンに合うコーヒーは自分で淹れる主義らしい。

そのお味はとっても絶品で、一度味わってしまうと
ココのパンにはココのコーヒーしかない、と思うくらいの絶妙さらしい。
正直、あたしにはそこまでコーヒーの味の違いがわからないんだけど、店長の入れてくれる
カフェオレは優しく円やかで美味しいなと思う。

176 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 10:59

出来上がったカフェオレを乗せたトレーをあたしに渡しながら店長が微笑んだ。

「石川さんが来てから喫茶のお客さん増えたよねぇ…
 いままで決まった常連さんにしか利用して貰えてなかったから嬉しいよ。
 それに美人の常連さんが増えたのが嬉しいなぁ
 もうすぐ来るんじゃない?もうひとりの…」

店長がそこまで言いかけたとき、ドアチャイムが鳴って、そこには美貴ちゃんが
立っていた。

「おはよう、梨華ちゃん!」
「おはよう美貴ちゃん」

あのふたり、いっそのことココで働いてくれないかなぁ…
店長のひとりごとみたいな呟きを、あたしは気づかない振りをした。

177 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:00

「お待たせしました」そう言って、真希ちゃんのテーブルにカフェオレを置くと、
その後ろの席で、真希ちゃんに背中を向けるように座ってた美貴ちゃんが
「今日のブレンドって何だろう?」と首をまわしてあたしを見た。

「モカだよ」
「じゃ、それ、…えーと350円か、あ、ちょうどあるからはい」
「350円、ちょうどいただきます」

あたしは美貴ちゃんの手から小銭を受け取って、「少々、お待ち下さい」笑顔で
そう言ってレジカウンターに戻る。

オーダーを通して、出来上がったモカを「お待たせしました」と美貴ちゃんの
テーブルに置いたとき、背中越しに真希ちゃんが言った。

「美貴さぁ、パン食べないならココじゃなくってどっか他の喫茶店行けばぁ?」
「おいコラ、五歳も年上のおねー様を呼び捨てにすんな、美貴様って呼べ」

間髪入れずに美貴ちゃんが答えると、真希ちゃんがくるりと振り返った。

178 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:00

「だぁれが。美貴なんか呼び捨てで十分だ、美貴美貴美貴…」
「おぉーまぁーえぇーなぁぁーー」

美貴ちゃんが不機嫌そうに目を細めて睨むと、真希ちゃんは片側の口角だけを
微妙に上げて不敵に笑う。

なんだかとっても楽しそうに見える…
そう思ったあたしは二人の顔を交互に見ながら微笑んだ。

「美貴ちゃんと真希ちゃんって気が合ってるよね!」
「「どこがっ?!」」

綺麗にハマった声がして、あたしは思わず噴出した。

あたしがレジカウンターの周りと整えたり、パンの補充をしている間も
二人の不機嫌そうな言い合いに収まりそうな気配はなかった。

179 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:01

焼きたてのパンのいい匂いに包まれて、大好きなふたりの賑やかな声を聞く、
あたしの今日という一日はこんなふうに始まる。
結構、あたしって幸せだ───


そう感じてるそのときでさえ、あたしの胸の真ん中には空白があって
どんなに幸せな気分もそこだけは埋められなかった。


 ───よっすぃ〜、あなたはどんな朝を迎えましたか?
 朝ごはんはちゃんと食べた?
 そこからはどんな景色が見えるの?
 そして、……あなたはいま何を考えていますか?


180 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:01


181 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:01

その日は朝から予感がしていた。
浅い眠りを繰り返して、寝返りをうちながら街が目覚めるのを待った。

バイトもお休みにしてもらっていたあたしは、
朝の柔らかな日差しで満たされてきた部屋の中で、ベッドから起き上がり
ゆっくりとお風呂に浸かる。

落ち着かなく騒ぐ胸を宥めながら、よっすぃ〜が淹れてくれたように
ミルクを沸かして、丁寧にミルクティーを淹れてそれを味わった。

髪をブローして整えて、ちょっとアレンジしてみて似合わなくて止める、
メイクにもたっぷり時間をかけて、少ないワードロープの中からどれとどれを
合わせたら、とびっきり可愛く見えるかな?
なんて思いながら鏡とにらめっこして───

182 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:02

あたしは最終確認に鏡で自分をあちこちからチェックして最後は最上級のスマイル。
うん、上出来!

ずっとドキドキいい続けてる胸を少し押さえながら、

こんなんじゃあたし、早死にしちゃう……そんなことを思ってカレンダーを確認する。
今日は三月十日、展望台に行ってみようと決めていた日───


183 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:02

火の元を確認して、玄関を出る。
ドアに鍵をかけたそのとき、メールを知らせるメロディーが鳴った。


 ( 遅くなってゴメン、展望台で待ってる )



─── やっと、やっと…やっと会える!

なんて素っ気無い文章、
だけどその短い文面だけでどんなに素敵な恋愛小説よりもあたしの胸を高鳴らせる。


あたしは駅までの道を夢中で走り出した。


184 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:02

展望台へ続く階段を上りながら、ビュッと風が吹くとヒッと肩を竦めた。

今日は春めいた温かい日だったけど、それでも海風は冷たい。
それよりなにより、ところどころ崩れてる階段が怖い。

よっすぃ〜と一緒のときは怖いなんて思わなかったのに…
そう思いながら、手すりにしっかり捕まって最後の数段を慎重に上りきる。



─── 景色が開けた、


あぁ、世界はそのままで美しい、唐突にそんな大袈裟なことを感じて、

その風景の真ん中に浮かび上がって見える人影─── 見つけた…


185 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:03


「……よっすぃ〜!」


走り出そうとしたあたしに、よっすぃ〜は咲き誇る花のように大きく笑んで、
「待って」と言った。

よっすぃ〜?
あたしはその場に立ち止まると小首を傾げて、春の陽光が柔らかく降り注ぐその姿を
眩しいなと思いながら見詰めた。


「もう一度、告白したいんだ…」

よっすぃ〜の優しく穏やかな声が静かに響く───
「聞いてくれる?」微笑みながら聞かれて、あたしはゆっくりと大きく一度頷いた。

186 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:03


「───愛してる」



よっすぃ〜… あなたの ───その声もその表情も、
すべてを優しく包み込んでくれるような───こんな声をしてるひと、こんな表情をしてるひと、
あたしはいままで会ったことがないよ?


187 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:04

「いろいろ考えたんだけど、
 ……言いたいことってこれしかないみたいでさ…」

少し、情け無さそうに下がる目尻を見て堪らず走り出すと、両腕が大きく広げられて
あたしはその中に夢中で飛び込んだ。


「あたしも───愛してる」

背中に両腕を回して、ぎゅっとしがみ付くと、力強く抱き返してくれて囁き声がする。


「───ありがとう」

あたしは腕の中でふるふると首を振った。

188 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:04


暫くそのまま抱き合っていた


このあと、どうしたらいいんだろう?… 
あたしがそう思い始めたとき、
よっすぃ〜が少しづつからだを離して手を繋いでくれた。

指先を交互に絡めていく様子を見ながら、あたしは、ふふっ、と笑った。

「…なに?」

よっすぃ〜が蕩けそうに優しく微笑んであたしを見た。

「恋人繋ぎだーって思って」

少し照れながら答えると、よっすぃ〜が笑みを深くした。

「あれ?私たち恋人じゃなかったっけ?……違うの?」

最後は少し、含みがあるような意地悪な声で聞く。
「…違わないよ」そう答えながら、なんだか恥ずかしくなってきて俯くと、
よっすぃ〜が少し屈むようにして顔を覗き込んできた。

189 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:04

「あんま可愛い顔しないで……、いま私、梨華ちゃんに飢えてるから」

そんなこと言われると思っていなかった驚きに、目だけを上げて顔を見ると
こめかみに唇が触れた。

その瞬間、どうしていいかわからない恥ずかしさに身もだえしたくなって、
ボッと燃えそうに頬が熱を持ったのがわかった。

「記憶戻っても、この間までと反応が一緒だ ……あ、当たり前かぁ……
 何もかもこれからだもんね、私たち」

あたしがコクンと頷くと、少し散歩しよう、そう言ってよっすぃ〜は展望台を
後にすると砂浜を歩き出した。

190 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:05

繋いだ手をぶらぶら振りながら波打ち際に近いところをゆっくりと歩く。
平日の午前中、まだ肌寒い静かな海辺にはあたし達以外の人影はなかった。

よっすぃ〜とこうしてただ手を繋いで歩いていける、それは何よりも幸せで
贅沢なことの気がした。

「フッ…それにしても、梨華ちゃんってチャレンジャーだよね、
 私って恋人にするには、かなり最悪な部類でしょ?
 犯罪者みたいなもんだからね」

自嘲的に響く、僅かな笑みを含んだ言い方を聞きながら、そうかな? 小首を傾げて、
それでもやっぱりあたしは、どんなよっすぃ〜でも───

「愛してるっ!」

とびきりの笑顔で微笑んで見上げたら、
真っ赤になったよっすぃ〜が口元を片手で隠しながら…そっか、ありがとう、と
消え入りそうな声で言った。

191 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:06

「…最初の頃は、ね、梨華ちゃんの記憶が戻ったら消えようと思ってた。
 今回のことで、私は梨華ちゃんを手に入れる為ならなんだってするんだって気づいたとき、
 自分が怖くなったんだ。狂ってるんじゃないかと思った……
 だからこそ、一緒にいれる間はいまだけを見て幸せな想いでを作りたいって思ってた」

ポツリポツリと気持ちを話してくれる口元を見上げながら、ずっと言わなくては
いけないと思っていたことを口にした。

「……ごめんなさい…あたしがバカだったの。あの頃は気づけなかったから。
 よっすぃ〜のこと、たまたま傍にいてくれた人だと思ってた…」

192 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:06

違うのにね、
そう言って、あたしがよっすぃ〜の瞳を見詰めると緩やかに首を横に振った。

「私こそゴメン。私は逃げてばかりいた。
 心のどこかで梨華ちゃんの言葉を信じないようにしようとしてた。
 恐れて、怯えていたんだ。もしまた拒否されたら耐えられないって…
 だけど、梨華ちゃんと一緒に過ごした毎日が気づかせてくれたんだ。
 本当の気持ちはいつでもひとつしかなくて、ずっと梨華ちゃんを愛してた。
 ずっとずっと愛し続けてたんだって。」
 
 
193 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:07


 ─── よっすぃ〜…


あたしもずっとあなたを想っていたよ?
長い長いひとりきりの時間だと思っていた。
だけど、ふたりはずっと同じ想いでいたんだ…

そのひとりづつの想いのときがあったからこそ、いまここでひとつになれるんだとしたら
その時間を持てたことは幸せだったのかも知れないね。

194 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:07

あたしはよっすぃ〜の瞳を見つめたまま、微笑んだ。
よっすぃ〜が嬉しそうに微笑み返してくれるから、あたしはもっと嬉しくなって、
また微笑み返す。

あなたが愛してくれるからあたしはこんなにも幸せなんだって、
そう、伝えたくて───


その瞳のずっと奥、そこになにがあるのかわからないけど、
そのずっとずっと奥にまで、届くように願いを込めて口を開いた。

195 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:07

「あたしはよっすぃ〜に愛されるためだけに生まれてきたの。だから愛して?
 どんな時も、どんなあたしでも、どんなふうでもいいから、
 ずっと愛───」

言葉の途中で、
強い力で抱きしめられてそのまま唇を塞がれた。



頭の芯が震えるような甘い声が、愛してるよ、とあたしに囁いた。
梨華ちゃんだけをずっとずっと愛していくよ───


196 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:08

人はひとりで生まれて、ひとりで死ぬから
結局は孤独だなんて、そんなのはたぶんウソだよ───


よっすぃ〜に強く強く抱きしめられながら、あたしはそう思った。


ひとりの想いと、ひとりの想い、それが重なったら、
それは大きな愛になる。


あなたを愛して、
あなたに愛されて、

あたしとあなた、ひとつの愛になる───

197 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:08


きっとこの世界は───
あたしとあなたがいる世界、そこは愛に満ちている。
いまこの世界は愛だけで出来ている。



  
  だから愛して───
     ずっと愛して───



198 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:09



       世界はあたしとあなただけ




199 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:10



         ++──END──++



200 :世界はあたしとあなただけ :2011/11/29(火) 11:10



201 :名無し飼育さん :2011/11/29(火) 11:15
こんなに愛って言葉が普通に感じらるなんて…
さすがいしよし
次回作も期待しています。
202 :名無飼育さん :2011/11/29(火) 13:03
完結おめでとうございます
そしてありがとうございます
85年組最高や
203 :名無飼育さん :2011/11/29(火) 14:56
未完の時から何度も読み返していて
今回完結してくださって感無量です。
私も梨華ちゃんと一緒に混乱しまくりで
作品にかなり引き込まれましたよ。
更新に毎回ワクワクドキドキして楽しかったな。
最後はいしよしの強い強い絆とタイトルの意味に感動。
なんだか私の生きがいがなくなり少し残念な気もします。
単発でもいいから続編とかあればいいなぁ。
いやいや完結だけで十分でした、本当にありがとうございました。
204 :名無飼育さん :2011/11/29(火) 19:02
実はタイトルを読んだ瞬間からうっとりしてました。
すばらしいお話、感動的な最終回でした。
ななしーく様、ありがとうございました。
そしてなにより、帰ってきてくれてありがとうございました。
205 :名無飼育さん :2011/11/29(火) 19:12
あぁ、完結してしまった…
この物語の結末を知りたい、とにかく続きが読みたいと休止以降、願い続けていたのに
再開されてからは、このままこの物語に浸っていたい、続いて欲しいって気持ちになってました
でもすごく、すごーく良かったです、もう何もかも含めてななしーくさん!やっぱりあなたが大好きです!
とても素敵な物語をありがとうございました
そして最後に読者のわがままをひとつ…またななしーくさんのお話が読みたいです!
206 :名無飼育さん :2011/11/30(水) 02:50
脱稿お疲れ様でした
梨華ちゃん視点だったお陰で
最後の最後までよっすぃーの心が謎に包まれていて
何度ももどかしい気持ちになったのですがそこがまたよかったと思います
面白かったです
ありがとうございました
207 :ななしーく :2011/12/01(木) 00:33

201さん
レスありがとう。
いしよしには愛が似合うw

ところでお願いがあります。もしまたレスをいただけるなら
これからは頻繁に更新はしないのでsageで下さると嬉しいです。
E-mail:の欄に半角でsageと入力するだけですのでお試しをw
ご協力をお願いします。

202さん
レスありがとう。
85年組って吸引力があるんだなぁ〜、自分にはw

203さん
レスありがとう。
結局さ、自分の場合シリアス路線の連載モンはワンパに
なっちゃうんだよねー
二人の絆は絶対よっ!的なw

208 :ななしーく :2011/12/01(木) 00:34

204さん
レスありがとう。
うっとりかぁ〜 …女性的だねw
自分的にも未完にしないですんで良かったよ。
一応、ずっと気になっていたので…

205さん
レスありがとう。
待たせてしまってゴメンね。
いしよしのお二人はほんとドラマチックが様になると
思うんだよねぇ。大好きと言ってくれてありがとう。

206さん
レスありがとう。
一人称ってさ、相手サイドがわからないからねー
もどかしさがOKで良かったよ〜w

209 :ななしーく :2011/12/01(木) 00:34

世界は〜を書いてるときに、反動でくだらねー話が書きたくなり
ふざけた話を大マジメに書きましたw
出し惜しみするほどのモンでもないので、暇つぶし程度にお楽しみ
いただけたら本望です。
世界は〜とはまったく違うのでクレームは無しの方向でお願いしますw


ななしの一言、ベスアの梨華ちゃんの髪型スキ〜♪(個人的趣味w)

 
210 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:35



211 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:36

 ───満月の夜

時刻は日付けが変わってもう少し進んだ頃
もちろん、通常そんな時間の公園に人影などない
しかし、
この夜は違ったようで足早に公園を横切っていく男がいた
その表情は喜色満面
足取りは羽がはえたかのように軽い

男は明るく灯る街灯の下で、ふいに何かを思案するように足を止めると
上着のポケットから分厚い封筒を取り出した
舌舐めづりをして、男が封筒からつまみ出したのは帯のついたままの札束だった

「ヒャッハハハハッ!
 やっぱ年増女落とすのは簡単だよなぁ…結婚チラつかせたら一発だぜ!」

男の高笑いが公園に響き渡ったその時───


212 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:36

「待ちなさぁーいっ!
 愛することを貶めるような卑劣な行為は、コードネームLこと
 このLoveちゃんが許しません!
 愛のお仕置き、してあげる!!!」

甘ったるいアニメ声が男の頭でキンキンと響いた
正面にはいつの間にいたのだろう、仁王立ちでびしっ、と、自分を指差す
ロリータファッションの女がいた

 ……ハァ?

頭の残念なコ?
係わり合いになるべきではない、と、瞬時に判断した男はロリータ女の前を
通り過ぎることにした


「待ちなさいってば!」


再度、自分の前に回ってきて足止めしようとするロリータ女に目を向けると
吃驚するほど上玉だった
夜風にそよぐ黒髪も、キッと睨みつけてくる眦も、弾力のありそうな唇も……
そのまま目線を下にさげれば、イカれた格好はさておいてとにかくすべてが
美味しそうに整っていた───ごくっ、男は思わず生唾を飲み込んだ

213 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:37

金の為とは言え、冴えないオバサンの相手に明け暮れていた数ヶ月
ここらで一発自分の為のお楽しみもいいだろう

男は好色そうな卑しい笑いを顔に浮かべると、ロリータ女の腕に手を伸ばした


「イヤ〜イヤイヤ〜、そりゃーダメッすよー」


およそこの場に不釣合いな朗らかな声がして、男が声のした方角を見ると
滑り台の上に髪をトサカのように立てたパンクファッションの女がいた

パンク女は男と目が合うと右手の人差指と中指を額にかざして振った


「ちぃーすっ! 
 Pちゃん、どぉえーす LoveのあるところにPeaceあり、よろしくねー」


 …………。
 なんだ……いったいなんなんだ…

そ、そうかっ、わかったぞ!
こいつらは自分達の存在をかけて、
突っ込み待ちする新手のパフォーマンスグループだな?!
男が他の仲間はどこにいる?そう思って辺りを見回した時、

214 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:37

「トォッ!」戦隊ヒーローものの被りのようなポーズと掛け声で
滑り台の上から軽々と飛び降りて(!?)パンク女が近づいてきた


「Pちゃん、おっそーーーいっ!」
「えっマジ?ちょうどよくなかった?」
「あたしがぁ、攫われちゃったら、どうする気っ!」
「そうだよねぇ、Lちゃん、超可愛いからね 
 怒った顔も超超可愛いけど……ゴメンね、遅れて……許してくれる?」
「もぉ、Pちゃんてばー、あたしが可愛いのはいつものことだけどぉ
 …仕方ないなぁー、今回だけだぞ♪」


男の存在をすっかり忘れたように、ロリータ女は男と自分の間に割って
入ってきたパンク女といちゃいちゃしだした

男はなんとなく腑に落ちない表情になって、パンク女の肩を掴んだ


「おいっ」
「いま取り込み中! ちょっと待ってて」
「……てっめぇら、ふざけんのも大概にしろっ!」


男は掴んでいだパンク女の肩を引きながら拳を繰り出した

215 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:38

パンク女は片手で繰り出されてきた拳を遮ると、瞬時に腰を落として
片足を伸ばすと男の足に引っ掛けた
見事、男の体制を崩したところに飛び蹴りを見舞う「チェーーーストぉぉぉ!」
男の体が地面に倒れ、ロリータ女が歓声を上げた


「Pちゃんカッコイイッ!」
「…フッ」
「Pちゃんステキぃ!」
「…もっと言って」
「Pちゃん……後ろ…」


振り返る暇はなかった。いつの間にか立ち上がっていた男の拳でパンク女は叩きのめされる
その場に崩れ落ちる姿を見ながら、ロリータ女は…チッ、と舌打ちした


「んもぉ、Pちゃんってほんと弱いんだからー」


怒りで目をギラつかせながら、男がふたたび自分へと伸ばしてきた腕を後飛びして
避けながら、ロリータ女は手に持つ物を天に掲げた
それは月の光をキラキラと反射する輝くばかりにデコられた手錠だった

216 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:38

「…Loveパワーーーッ!MAXホールドッ いっくよーーー!」


ロリータ女は高らかに叫ぶと手錠を投げた
手錠は有り得ない高速回転をしながら、男の片側の手首に嵌まるとそのまま男の体を
鉄棒まで引き摺り、カチャリと音を立てて嵌まり動かなくなった


「な、なにすんだー!外せー!」
「いまお迎え呼んであげるね♪」


真っ赤な顔でジタバタ暴れる男に向かって、ニッコリと微笑むとロリータ女は携帯を
取り出した


「…あ。もしもぉし、おまわりさんですかぁ?
 悪い人捕まえたんでー、引き取りに来てくださぁい…場所はぁ…」


ロリータ女は携帯を仕舞うと「お前らなんなんだーーっ」と狂ったように暴れてる男を
綺麗に無視して、倒れているパンク女の許へ向かうと「よーいしょっと!」そう掛け声を
かけながら軽々とお姫様だっこで抱き上げる

217 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:39

「ん…んん」抱き上げられた振動でパンク女が目覚めたらしい
「あ、Pちゃん、起きたの?」
「…コレは夢?……目の前に…女神が…」
「それは夢じゃないからだいじょうぶ、安心して?
 それより、目が覚めたなら変わってね」
「ラジャ!」


ロリータ女がパンク女を下ろすと、今度はパンク女がロリータ女を抱き上げた
ロリータ女はパンク女の首に腕を回すと、むくれた表情をして目の前の顔を覗き込む


「Pちゃん、ヘタレなんだもぉん!Lちゃん、疲れちゃったぁ!」
「ゴメン、ゴメン… でもほら、Lちゃん最強だから
 人にはそれぞれ得意分野ってあるでしょ?」
「じゃさ、Pちゃんの得意分野ってなによ?」
「知ってるくせに〜 今晩はさ、サービスするよ」
「……スペシャルなのにして」

ロリータ女は上目遣いで熱くパンク女を見詰めながら、その鼻先をちょんっと突付いた
パンク女はとたんにでれでれと鼻の下を伸ばしだす
そしてロリータ女を抱く腕に力を込めると夜の街を駆け出した

218 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:40


   
      L&P!L&P!L&P!




219 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:41


進め、進めL&P、今日も行くんだL&P
この惑星を愛と平和で満たす為
愛なき人にはお仕置きを、平和の歌を唇に



220 :L&P見参! :2011/12/01(木) 00:42


行け行けボクらのL&P!!
行け行けボクらのL&P!!!



   ─── L&P見参!終 ───

221 :名無飼育さん :2011/12/01(木) 05:49
おもしろすぎるんですけどっ!!
まさかのアレとアレのコラボですねっ!!
222 :名無飼育さん :2011/12/01(木) 06:27
前作と違いすぎてw
へたれなLちゃんかわいいわぁ〜
223 :名無飼育さん :2011/12/02(金) 20:15
おもしれぇぇ!!
テンポよすぎでサクサク読めました
これ漫画で読みたいわw
224 :名無飼育さん :2011/12/05(月) 01:10
前作最終回からここまで一気に読みました
最終回でジーンとしてからのこの違いが最高です
バカっぽすぎてテンション高すぎて面白すぎる!!!

遅くなりましたが「世界は〜」の完結おめでとうございました
そして本当に素敵な作品どうもありがとうございます
こんなお礼しか書けなくて申し訳ない

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