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しもうまじゃないよ 白馬の王子様

1 :名無飼育さん :2011/09/22(木) 00:18
飼育にやってくるのは久しぶりです。
主に愛ちゃんとガキさんが仲いいところを書くことが多くなりました。

実はブログで作品を書き続けていたのですが、
もっと多くの人に見てもらえたらと思って舞い戻ってきました。
ブログで発表済みの作品の投下と、今後は新作をこちらに上げたいと思います。
そういうわけで完全な未発表作じゃなかったりしますが、ご了承ください。
79 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:10

信じられないくらいに穏やかな微笑みを私に向けてから、
彼女は自分の剣を地面から引き抜き、元来た道へ戻ろうとしていた。

「あっ、…ねぇ! ちょっと!」

その背中へ思わず叫んでいた。
不思議そうに振り向いた彼女に、私もまた困惑していた。

なぜ呼び止めたのか、自分にもよくわからなかったから。

言いようのない心のざわめきがうるさい。
その音に、私の思考は冷静でいられなくなる。
黙って私の言葉を待つ彼女。
彼女が何をしているわけでもないのに、追い詰められたような気持ちになった。

胸に手を当てる。
その時鳴った金属音に、ふと思いつく。

「…これ」

私は胸元に下げた首飾りから、二つあったリングの一つを引き抜いた。

「あなたにあげる」

彼女の手の中に、ポトリと落とした。
80 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:10

「…どうして?」

理由を聞かれた。
聞かれたって、私の衝動的な行動なのだからすぐに説明できるはずもない。

わからない。
わからないけど、こうする必要があると本能が命じたからだ。

「…でも、ありがと。
 大切にする。今日キミと会ったこと、一生忘れん」

うつむいて黙ったままの私の頭を、彼女はぐしゃぐしゃと撫でた。
そういえば、彼女は年上なのだろうか。
そうは思えない無邪気なところばかりだけど、
初めに見せたような覇気も、私に微笑みかけるその顔も、
間違いなく私よりも年上だと感じさせるのに十分だった。
81 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:11

「根拠はないんやけどさぁ」

ふわりとあたたかいものに包まれた。
それが彼女の腕の中だとわかるまでには、数秒ほど必要だった。

「キミとはまた、いつか絶対に会える気がしてる」

その言葉は、耳元でやさしくやさしく囁かれた。
肌で感じる彼女の熱とその声に、身体が震えそうになるのを必死でこらえる。
胸の奥が痛い。目の奥が熱い。
目をきつく閉じてやり過ごそうと、耐えていた。

「…その時は」
「ん?」

声が掠れた。
こんなの、生まれて初めてだ。

「…ハイブリッジにも、遊びに行くから」

顔を上げて、声を振り絞ってそう伝えたら、
―――それはおそらく、彼女の国の挨拶のひとつなのだろうけど―――、
彼女は私に口づけて、そして私の濡れた目元を撫でてからもう一度微笑んだ。

「リサちゃん、出会えて良かった」
82 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:11



どれだけ時間が経っただろう。

彼女の背中はもうとっくに見えなくなっていた。
けれど私は彼女の去った方角を見つめたまま、動けないでいた。

どうして涙が流れ続けるのだろう。
どうしてこんなにも胸が痛いのだろう。

私の名前を呼んだ彼女の声が耳から離れない。
触れ合った唇の熱が、ずっと引きそうにない。

高かった太陽が沈んだ頃、私はようやく答えに気がついた。

「…恋、したんだ…」

アイという、女性に。
83 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:12

初めて誰かに恋をした。
どこの誰ともわからなかった人に。
国交もない、他国の騎士団長という立場の人に。
剣を交え、殺されるかもしれなかったような相手に。

なのに。

あの無邪気な笑顔が。
あの大きな瞳が。
あのあったかい腕の中が。

私を呼んだあの声が。

最後の、口づけが。

何もかも、忘れられそうにない。
84 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:12


その後の生涯の中で、彼女と再会することは出来なかった。

戦乱はよりいっそう混迷して、終わりなき戦いが続いていた。
彼女は、その中で命を落としたのだと風の噂で聞いた。

両手を組んで空を仰いで、神様のいたずらを恨んだ。

「…アイ、ちゃん」

その日、初めて彼女の名前を口にした。
じわりと広がるその名前の響きの甘さと切なさ。

窓からハイブリッジの方角を眺めた。でも、ぼやけてよく見えなかった。


彼女の左の小指に私が贈ったリングがあったということまでは、
当時の私には伝わってくるはずもなかった。


その私の右の小指には、首飾りに残していたもう一つのリングがはめられていた。
彼女のことを、いつでも感じることが出来るようにと。

一生、どんな時も、外すことはなかった。


85 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:12



 * * * * *



86 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:13


「ねー! ちょっと愛ちゃん! これ!」
「あー! これええやん! 着けてみよーや!」

ファンクラブツアー、それからアロハロのために来ていたハワイのとあるお店で、
今度こそ同じものを買おうって決めて、ピンキーリングを探していた。

数年前はお互いの趣味が合わなくて、同じところで買うだけって妥協したけど、
愛ちゃんの卒業を控えた今は、もう絶対に妥協できないポイントだった。

でも、二人とも大人になったんだと思う。
選ぶものも、お互いに合うものもよくわかってきた気がする。

あたしが一目惚れしたピンキーリングは、愛ちゃんにも気に入ってもらえたみたいだった。
87 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:13

「早く早くぅ」
「ちょっと、落ち着いてよ」

ホテルの部屋に戻ったら、早速包みを開いてみる。
愛ちゃんはそんなあたしの手元を覗き込んでくる。
わくわくしてキラキラしてる愛ちゃん。
あたしだって冷静でいるようでいて、すごくドキドキしてた。

合わせて買ったんだからサイズが合わないはずもないし、
デザインが今さら気に食わないってことだってあるはずもなかった。

だけど、いざ本当に身につけようとすると、心が震えて仕方ない。

ようやくケースから取り出した愛ちゃん用のリング。
部屋の照明が反射して、キラリと光った。
88 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:14

「はい、どっちに着けたい?」
「んー、右かなぁ。利き手にあるとなんか落ち着くかも」

右手を差し出した。
愛ちゃんはあたしの手を取って、小指にそっとリングを通してくれる。

「右手のピンキーリングってな、幸せが入ってきますようにって意味あるんやって」
「へぇ〜」
「でな、左は、その幸せを逃さんようにって意味なんやって」

言いながら愛ちゃんは左手をあたしに向ける。
その小指に、あたしも同じようにリングを通す。手が、少し震えた。

「…やから、これで二人手ぇ繋いだら、
 ずっとずーっと幸せでいっぱいやぁ」

“幸せでいっぱいになる”。
なんて素敵なんだろう。
あたしは愛ちゃんの手を握った。
それに笑顔で応えて握り返してくれる。こんな小さなこともすごく幸せ。
89 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:14

ソファーに肩を寄せ合って座って、お互いの小指に通されたピンキーリングを眺める。
もう、どうしようもなくあったかい気持ちでいっぱいになった。

いつまでも一緒だっていうカタチを手に入れたみたいで。
いつでもこの小指を見れば、愛ちゃんを感じることができるみたいで。

「…嬉しい…」

自然と想いがこぼれた。
愛ちゃんがあたしの髪をクシャクシャっと撫でて、それから抱きしめてくれる。

「やっとやなぁ、やっと出会えて嬉しい」
「えっ?」

思わず聞き返した。

「ん? あたしなんか変なこと言ったか?」
「なんか、出会えたとか言うから」
「あぁ、ほらこーやってお気に入りに出会えたなぁって」
90 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:14

そっか。
そうだよね。普通にそういうことだよね。

あたし自身も、別に何の変哲もない会話に感じた何かに戸惑っていた。
愛ちゃんの背中に回した腕を、ぎゅーっと強める。
そんなあたしの様子に、愛ちゃんは笑う。

「…どしたぁ、甘えたさんやん」
「だって、嬉しいんだもん…」

そう言ったら急に胸の奥がきゅんと締め付けられて、
すり寄るようにして愛ちゃんの肩に額を押しつけた。

小さく深呼吸。
でも、吐き出した息がもう震えていた。

「…愛ちゃん」
「うん?」

そんなあたしのことにも気付いていると思う。
あたしを甘やかしてくれるような愛ちゃんのやさしい声。
91 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:15

どうしてだろう。
次々に湧いてくるのはすごく真新しいような純粋な気持ち。
でも、あたしがずっと育てて持ち続けているこの愛しい気持ちも、
変わらないくらいに湧き出て溢れ出そうとしてる。

「あたしね、愛ちゃんに出会えてよかったよ。
 愛ちゃんを好きになって、愛ちゃんに恋して、
 こうして一緒にいられること、ホントに嬉しいの。
 だから…」

あたしの言葉はこらえきれない涙に消えていった。
伝えたいことが声にならなくてもどかしい。
そんなあたしの背中を、愛ちゃんの手はやさしく撫でてくれていた。

「…いつまでも、いっしょ、だよ」

途切れ途切れだったけど。
振り絞った声を愛ちゃんの耳に吹き込んだ。

今まで以上に強められた愛ちゃんの腕の中。
この安らぎは、どこから来るんだろう。
もしかしたら、あたしの知らないくらいに深い記憶の奥底の中にあるんじゃないかってくらい、
あたしはこのぬくもりが大好きで、落ち着けて、他の何にも替えられないもの。

「そや、ずーっと、いっしょや」

愛ちゃんの声も、震えてた。
92 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:15

少し身体を離して今度は額を合わせて、鼻先と鼻先が触れ合う近さで見つめ合う。
重ね合わせた手の、ピンキーリングが触れ合った。

「里沙ちゃん、…好き」
「あたしも好き、愛ちゃん」

キスを交わす。想いを交わす。それは。



───時空を越えた、永遠の誓い。



93 :名無飼育さん :2011/10/18(火) 23:16

>>68-92
[リボーン 〜Another Story〜]

愛サファイアとガキジャンヌが戦ったらかっこよさそうじゃね?
って思って書いた話がああなってそうなってこうなりました。どうしてこうなった。
94 :名無飼育さん :2011/10/23(日) 20:17
愛サファイアとガキジャンヌいいですね
幸せだけど凄く切ない
95 :名無飼育さん :2011/11/03(木) 10:14
>>94
だからこそ現世ではベタベタラブラブだったりして。


と言いつつ、ブログで先行公開してましたが、
上の作品の別視点版も書いてあったりするのでそちらを投下します。
96 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:15

青い海のそばに広がる都会の風景に憧れてやってきたニューフェンス王国。
その国境に、彼女は立っていた。

小さな身体からは信じられないくらいの気迫に、
剣の腕もかなりあるということは一目でわかって、
あたしは、一国の騎士団長という立場でありながら、
彼女の挑発に乗って剣を交えてみようと思った。


…あたしの悪いクセは、いざ熱中してしまうと何もかも忘れること。

力で押さえ込んで、バランスを崩した相手にとどめを刺そうと思った時に、
彼女から発せられた甲高い悲鳴。


それで、はっと我に返った。

申し訳ないとは思うけど、それでようやく彼女が『彼女』だと気付いた。
性別とかまったく気にもせず、ただ手を合わせてみたかっただけだったのだ。
97 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:15

あたしはこの国へ来たいきさつを話した。
彼女の隣に腰掛け、夢にまで見たこの風景を目に焼き付けながら。

さっきまでの威勢を忘れたかのように押し黙った彼女の顔を見たら、
目が合ったとたんに慌てたような顔をして、あたしから顔を背けてしまった。

憎しみから視線を交えないことはよくある。
でも、彼女のはそうじゃないことは一瞬でわかった。
あたしの剣も、彼女の剣も、自分の手から離れている。
お互いに無防備だった。だから、彼女は逃げようと思えばいくらでも逃げられる。


その精悍な表情の下から覗いた、わずかに赤く染まった頬。

それが何を意味しているのか、あたしにはわかってしまった。
―――おそらく、いつの間にかあたしも同じ気持ちになっていたからだ。
98 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:16

だけど、あたしの想い以上に、彼女からはもっと特別なものを感じた。
出会ったのは今日が初めて。
名前だってさっき初めて聞いた。
なのに、警戒の解けた彼女と目を合わせた瞬間、身体の芯を何かが駆け抜けた。

そんな衝撃。

これが、運命ってヤツなんかな。
あたしがこの街を一目でも見たいと願っていたのは、
もしかしたら、彼女と出会う運命に導かれてだったのかもしれない。

運命なら、いつかまた、きっと会えるって信じてええんかな。


彼女は別れる間際、首飾りにあった二つのリングのうちの一つをあたしにくれた。
とっさにそうしたらしくて、自分自身の行動に戸惑っている様子だったけれど、
でも、彼女とあたしを何かで繋ぎ止めようとしてくれる、その想いがあたしには純粋に嬉しかった。
99 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:16

「根拠はないんやけどさぁ、
 キミとはまた、いつか絶対に会える気がしてる」

あたしとたいして変わらない、小さな身体を思わず抱きしめた。
触れ合った肌から伝わる熱を記憶のすべてに刻みつけるようにして。

最初は強ばっていた身体から力が抜けて、
この腕に委ねるようにわずかにもたれ掛かった彼女を、
あたしは、ただただ愛しいと、そう感じた。

「…その時は」
「ん?」
「…ハイブリッジにも、遊びに行くから」

目に涙を浮かべて、掠れた声であたしに告げる彼女。
別れるのが惜しいって、強く思った。
左手の中にある、彼女から受け取ったリングを強く握りしめた。
100 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:17

彼女はあたしにリングをくれた。
あたしも、彼女に残る何かを贈りたい。

渡せるようなモノは何もないけれど。

せめて、このあたしを、いつまでも覚えていて。

彼女の目が伏せられるのを見届けてから、そっと唇を寄せた。
零れて頬を伝おうとする涙を指で拭いながら。



「リサちゃん、出会えて良かった」



101 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:17

あたしはそれだけ言って、彼女にくるりと背中を向けて歩き出した。
彼女が身動き一つせずにあたしを見ているのは、空気で感じていた。

まっすぐに伝わってくる彼女の気持ちが嬉しい。
だけど、もう振り返ることなんて出来ない。

初めて声にした彼女の名前があまりにも愛しかった。
胸が痛くて、苦しくて、涙が溢れて止まらないけれど、
こんな顔は彼女に見せたくなかった。

忘れてほしくない。
だけど、忘れられないのはきっとあたしの方だった。
102 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:18

夕陽に空の色が染まる頃、来た道を初めて振り返った。
ニューフェンスは、もう遠く彼方になってしまった。
ひとつ大きく息を吐き出したら身体が震えて止まらなかった。

握りしめたままのリングを、左手の小指にそっと通した。
まるであたしのために作られたんじゃないかってくらい、
大きさもデザインも、何もかもがぴったりだった。

「…会える、会えるよな、必ず…」

左手を胸に抱いて、地面に崩れ落ちた。
あたしは、声を上げて泣きじゃくった。こんなの、初めてだ。

彼女の顔が、声が、感じた熱が次々に蘇ってくる。
恋しくて愛しくて、今すぐにでも彼女の前に戻りたいと思う。

けれど、それは叶わぬ願い。

一国の騎士団長として、明日もまた続く戦いにこそ戻らねばならない。


空を見上げて、神に祈った。


「―――どうか、守りたまえ、―――」


彼女の、幸せを。


103 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:18



視界が真っ赤に染まった。
傾いていく身体がそのまま地面へと打ち付けられた。

「ぅあっ…」

トドメとばかりに肩口を斬られ、手にした剣を取り落としそうになる。

「行か…せ、るかっ…」

わずかに残った力で柄を握りしめ、相手の胸へと突き刺す。
確かな手応え。地に伏した相手の最後の敵将。

「…勝った、か、な…」

身体を支えていた力が抜けて、地面に仰向けに倒れ込んだ。
全身がひどく痛む。遠のきそうな意識を、必死にたぐり寄せた。

国王のいる城は守った。
この戦いは、もう、これで終わるだろう。


だけど、あたしももう、限界だった。
104 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:18

戦火に燃え上がった空は黒く染まっていた。
…いや、本当は、あたしの目がもう見えなくなっていた。

代わりに、頭の中をぐるぐると思い出が駆け巡る。
あぁ、これが走馬燈というヤツか。
あたしはもう死ぬんだと、妙に冷静に気付いていた。


それなのに。


映し出されたいろんな記憶が、一つの人影でぴたりと止まった。

「…リ、サ…、ちゃ…」

たった一度だけの出会いだったのに。
あれから数年が経った今でも、あたしの心に刻み込まれた彼女のこと。
105 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:19



今、会いたいと、強く願った。


そして、もう会えないのだと、強く思い知らされた。



106 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:19

ほとんど動けない身体だけど、何かに導かれるようにして両手を空に伸ばした。
幻想だとわかっていても、目の前にいる彼女に触れたかった。

指先は空を切る。
だけど、最期に彼女の姿を見れただけでも幸せだった。

最後の、本当に最後の力を振り絞って、左の小指を唇に寄せる。
触れたリングが、じわりとあたたかく感じた。
107 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:19


『アイちゃん』


聞いたことのないはずの、彼女があたしを呼ぶその声。

それは、あまりにも甘く、あたしの頭に響いた。


涙がひとつ、こぼれた。


「―――きっと、また、会おう、な―――」



薄れる意識の中、それだけを強く願って、目を閉じた。


108 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:20



神様は、きっとあたしたちをまた出会わせてくれる。



いつか訪れる未来でも、あのリングが二人を繋ぎ止めてくれるから―――



109 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:20



…and >>85-92

110 :[リボーン 〜Another Story side:Ai〜] :2011/11/03(木) 10:21
>>96-109

前世からの運命で繋がってる二人だったらいいなぁ、という妄想全開のお話。
何か終盤改行しすぎた。ごめんなさい。
111 :名無飼育さん :2011/11/03(木) 18:54
切ないっすね
現世でのいちゃこらぶりがよかったですw
112 :名無飼育さん :2011/11/12(土) 00:12

>>111
ありがとうございます
前世ちょっとかわいそうなのでその分現世でいちゃいちゃと…w


突然季節が冬に近づいたような寒さでしたね。
ちょっぴりセンチメンタルガキさんのお話をひとつ。
113 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:12

「さむっ…」

こないだまで暑いって思ってたのに、あの天気はどこに行ったんだろう。
予報を見ても寒そうなコメントばっかり聞こえてくるし。
秋らしくなってきたといえば、そういうことなんだけど。

でも、寒いのってちょっぴり淋しくなるから。
好きじゃない。
愛ちゃんが卒業しちゃってからは、余計に。


雨降りの寒空、傘を差しながら歩く帰り道。
マフラーに鼻先まで埋めてからほうっと息をつく。

114 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:13

今までは仕事に行けばほぼ毎日会えてたのにな。

その時とは違うんだなぁってつくづく思わされてる。
あたしも、愛ちゃんも、舞台の稽古に明け暮れる毎日。

メンバーとは別に一人だけで稽古に参加することは、あたしには今までにない経験。。
現場ではいろんな人と仲良くさせてもらってるし、
絶対に成功させたいって気持ちも強いからすごく楽しいんだけど、

―――やっぱり、さみしい。

115 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:13

愛ちゃんってすごいなって思う。
舞台そのものの経験だって多いし、一人で挑戦したものだってあるし。

どういう気持ちで稽古に向かってたんだろう。
どういう想いで一人で動いていたんだろう。
そういう話、聞いてみたい。


…それよりも。


「会いたいなぁ」

116 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:14

きっと愛ちゃんなら、あたしの目をじっと覗き込みながら、
あん時はなぁこん時はなぁっていろんな話をしてくれて、
それがあたしにとっては何よりのアドバイスになって、
あたしのちっちゃな不安には、大丈夫やって言いながらぎゅーっと抱きしめてくれたりして。

…ぎゅーっと。


空いた手で、傘を持つ腕をつかんだ。

117 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:14

会いたくて会いたくてしょうがなくて。
こんなに弱っててどうするのって情けなくなる。
愛ちゃんのことは一生頼りにしたいけど、
だからって何もかもを頼ってるわけになんていかないのもわかってる。


早く家に帰ってごはん食べてお風呂に入ればだいじょうぶ。
そういう気持ちの切り替えは、あたしだってプロなんだから出来る。


―――それなのに、この人はこういう時に。

118 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:15

『な、ごはん食べ行かん?』

どうしてなんだろう。
伝えてもないのに、バレてるの?
こんなにも恋い焦がれて壊れそうなの、お見通しなの?

いつだって、あなたはこんなあたしに気付いてくれる。
だからいつまで経っても、あたしは愛ちゃんから独り立ちできないんだよ。

「…うん、行こ」
『ん? 風邪ひいたん? 声ヘンやない?』


―――愛ちゃんがあたしを離してくれないのが嬉しいからだよ。


なんて、言えるわけもなくて。

119 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:15

「寒いんだもん。声だって震えちゃうの」
『なら、あったかいもんがええなぁ、何がいっか』

鍋かなー、鍋あったまるよなー、なんて電話の向こうで考えてる愛ちゃんは、
どこまであたしの言葉の真意を理解してるのかな、って思うんだけど。


『はよ、おいでや。
 ぎゅーってしたいよ、はやく』

120 :[雨模様、焦がれ模様] :2011/11/12(土) 00:16

思わず空を見上げたら、大粒の雨があたしの顔を濡らした。
目を閉じたら頬に感じた雫はなぜか熱くて。ドキドキして。胸があったかくて。


やっぱり一生離れられないよって思いながら、元来た道を戻り始めた。

121 :名無飼育さん :2011/11/12(土) 00:17

>>113-120

二人は会ったらべったりくっついてそうなそんなイメージです。てか理想かもしれない。
ではでは。
122 :名無飼育さん :2011/11/13(日) 12:11

愛ちゃんの寝相が悪いと聞いて、それではこんなお話を。
123 :[Dear sleeping baby] :2011/11/13(日) 12:12

「う゛っ」

ぐっすり寝てたのに、わき腹のあたりを強く押されて目が覚めた。

またか。またこの人は。

「…ちょっと愛ちゃん、寝相わる…」

ぽすん。
頭をはたいてやろうと伸ばした手が空振りする。
叩いたのは頭ではなくて枕。そこに彼女はいなくて。

「…えー?」
124 :[Dear sleeping baby] :2011/11/13(日) 12:13

愛ちゃんの寝相の悪さはもうよくわかってること。
寝苦しかったり眠りが浅いらしい時にはよく、寝返りを打ったときに振り回される手足の被害に遭う。
時には思いっきり殴られたこともあるし、蹴り飛ばされたこともある。
…でも、当然彼女がそれを覚えてるはずもなく。
翌朝いくら咎めてみても、自覚がないんだからどうすることもできないし。

でも、そんな時は彼女の身体をもう一度包むように抱きしめてあげれば、
安心してくれるのか、穏やかな寝息を聞かせてくれるようになるんだけど。
125 :[Dear sleeping baby] :2011/11/13(日) 12:13

掛け布団をめくると、あたしのお腹にピタリと頭をつけて寝ている愛ちゃん。

「ちょっと、どれだけ潜ったのよ」

布団の中に顔まで入れたら暑いでしょうに。
いつの間にそんなに動いてたのか。ちょっと呆れてしまう。

「愛ちゃん、ちょっと」

ぽんぽんと頭の後ろを軽く叩いてみても、彼女は起きる様子もなくて。
それどころか、さっきまでよりもおでこをあたしの身体にすり寄せてくる。
幼く握られた手が、甘えるようにあたしの身体を撫でる。
小さく身を屈めたその寝姿が、まるで…

「赤ちゃんみたい」

…お母さんのお腹の中にいるみたいな。
126 :[Dear sleeping baby] :2011/11/13(日) 12:14

「やだよぉ、こんなにおっきな赤ちゃんは」

人一倍わがままで頑固な、こんな25歳の面倒なんて見たくないけど。

でも、そんな彼女とずっとずっと一緒にいたいって、
少しの迷いもなく言い切ることができるんだから不思議だと思う。

他の誰のものよりも、身体がよく覚えてるこの温度を手放したくない。
今もこうして触れ合ってるところから伝わってくるそれは、あたしにとって最上級の癒し。


お腹になんて頭を寄せて、あたしに甘えてくれてるの?
あたしはそんな愛ちゃんに、たくさんの癒しをあげられてるかな?
127 :[Dear sleeping baby] :2011/11/13(日) 12:15

愛ちゃんに合わせてずるずると身体の位置をベッドの足下の方へと下げる。
小さく屈めたその身体ごと抱き込むようにして、
腕も足も、愛ちゃんにぴたりとくっつけて。

ほんの少しだけ、意識をこっちに浮かべた彼女も、
同じようにあたしの背中にもっと抱きつくように手を回す。

むにゃむにゃと口元が動いて、

「………りさちゃ……ん…」

ぽそっとつぶやかれたあたしの名前と、続けて聞こえた寝息。


愛おしすぎて、言葉にならない。

大きく息を吸い込むと、鼻をくすぐるのは愛ちゃんの髪から香るシャンプーのいい匂い。
一緒に身体の中へじわじわと広がっていく愛情を感じながら、
その髪に、触れるだけのキスを落として、あたしも目を閉じた。

128 :名無飼育さん :2011/11/13(日) 12:16

>>123-127

ガキさんも公の場ですごいこと暴露してくれるので、愛ガキヲタとしては嬉しい限りですw
それではそれでは。

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