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天然キャンディッド

1 :みおん :2011/09/17(土) 18:41
大学青春

保田・道重・中澤
201 :陸で泳ぐうさぎ・第八話 :2012/05/17(木) 22:30
小春以外の下級生は全員そろった。安倍さんとジュンジュンとリンリンは不参加。
譜久村さんと飯窪さん、それに二年生の吉川さんが並んでおしゃべりしている。
なんだか変な感じ。去年は石川さんと吉澤さんが必ずそばにいてくれて、後輩は小春しかいなくって。
松浦さんはいたりいなかったりして、それでも集まればさゆみが新入生の時と同じような感覚でいられた。
さゆみもガキさんも可愛がられる頻度は変わらなかったし。

ああ。

人間関係が大きく様変わりしたんだ。卒業ってこういうことだ。
一昨年は安倍さんだってそのまま院に進んだし。
仲良くしてもらってた先輩がいなくなったから、どこかさびしいんだ。
来年はどうなっているかわからない。中澤さんとだって……どうなっているかわからない。
今から心配したってなにもはじまらないのに。

「さゆ? どった? 具合悪い?」

ぼーっと考え事をしてたら、まこっちゃんが話しかけてくれる。
202 :陸で泳ぐうさぎ・第八話 :2012/05/17(木) 22:31
中澤さんと保田さんはいつの間にか新入生と談笑してた。
ううん、と左右に軽く頭を振ると、にっこりしてそっかと呟く。
ガキさんは電話の用件が終わると話し始める。

「はい、小春はいつものとおり遅刻です。これから小川先輩の家に行きます」
「しっかりついてきてねー」

ガキさんとまこっちゃんが声をかけると、新入生の黄色くて明るい返事が聞こえた。
直後、中澤さんと保田さんがぶりっこポーズしながら無理に高い声で返事をする。

「あの、先輩。そういうのいらないですから。ていうか、古いですし」

ガキさんにつっこまれ、ええーっ! と不満そうな二人の先輩。その声もわざわざ甲高くしている。
新入生たちはどうしたらいいかわからないぐらい笑いをこらえている。
さゆみもおかしくって息ができないぐらい我慢してしまう。
笑っていいのかどうなのか、や、さゆみの声は出ないんだから気にしなくていいのかも。
203 :陸で泳ぐうさぎ・第八話 :2012/05/17(木) 22:31
「あ、そっすか」

中澤さんのそっけない返事に、ギャハハと大声で笑い出したのは吉川さん。
もともと声が高い飯窪さんは、アニメのキャラクターみたいに大きな口を開けて笑ってる。
そんな二人を見て、両手を口にあてて笑い出す譜久村さん。
なんだかよけいにおかしくなって、さゆみも口を開けて笑った。
声が出てるかどうかなんて気にしなかった。
あーはっはっはっはっは、はっはっはっ。
たぶん、これさゆみの声だ。かわいくはないけど、さゆみの声だ。

「よっしゃ! 今夜はしげちゃんおめでとうパーティーやな!」

中澤さんの力強い声が聞こえて、やっぱりさゆみはこの人が好きなんだなって思った。
たくさん心配してくれたんだろうなってわかるから。また頑張れる。
ううん、もっと頑張らなきゃ。大人になるんだ。
204 :gZDBsONvs :2016/07/07(木) 19:31
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205 :陸で泳ぐうさぎ・第九話 :2017/08/09(水) 23:59
「ズルいですよ、安倍さん。こんなときだけ」

『元気づける会』を終えた翌々週の月曜日、久しぶりに安倍さんとバッタリ会った。
偶然の出会いだとばかり思っていたが、どうも安倍さんにとっては必然だったようだ。
挨拶代わりに、二人から色々聞いたよ、と声をかけられたら驚いて足も止まる。

「聞きたい?」
「はい」

考える暇もなく頷いて返事をしていた。
安倍さんは、ついてきて、とキャンパスを出て路地裏の小さな喫茶店へと向かう。
午後からはサボタージュになりそうだ。
照明が少く暗い店内にひんやりとした冷房の風が肌を撫でる。
サボりなのか待ち合わせなのか顎の下に手を置いたままぼーっと窓の外を眺めている女性や、読書に熱中する男性。
時代を先取った完全分煙のようで、奥の喫煙室には片手で煙草を吸いながら器用にノートパソコンのキーボードを打ち続けてるおじさんもいる。
平日の昼下がり、喫茶店には意外とたくさんのお客さんが各々の時間を過ごしている。
さゆみの場合は、出席点が減るだけの時間になるかどうか。
注文した飲み物が運ばれてくると、さてと、と手を合わせ演技じみているように感じた。

「シゲさん、ほんと久しぶりだよねー」

それには答えず、視線を落としアイスカフェラテからのびたストローに口をつける。
うん、牛乳の量がさゆみ好みでちょうどいい。
安倍さんの雑談ペースにのっかってしまうと聞きたいことが聞けなくなる。

「それで、シゲさん色々あったんだってね」
「はい」
「裕ちゃん、ずーっと心配してたんだよ。注意散漫でさ、中澤に異変あり! って噂、あ、メールだけどね。まわってきたんだよぉ」

あちこちに話が飛びながら、うふふ、と笑顔で話を進める。

「裕ちゃんのペース乱すなら、付き合うのやめたらいいんじゃない」

そんなつもりはない。
乱されてるのはさゆみだとばかり思い込んでいて違うと気づいたばかりだ。
情報と視線が違うと、こうも見方が異なるのか。

「中澤さんは頑張りやさんなので」
「よぉく知ってるねぇ」

目を丸くして驚いた態度を見せる安倍さんに対し、さゆみは深く呼吸をして、カフェラテを一口すする。

「えぇ、それだけ付き合ってますから」
「そぉ? 振りまわして頑張らせることが付き合うってこと?」
「そういうことはないです」
「シゲさん言うようになったねぇ。嬉しいよ」
「離れていてもお互いを信用して頑張れる環境ならそれでいいと思ってます」
「ふーん、裕ちゃんには伝えたの?」
「まだですけど……」

そう、啖呵を切ったのは良かったのだが、なかなか二人になる機会がなく伝えられてない。
ふぅと息を吐きながらつい俯いてしまう。
大人ってこんなときどういう対応してたっけ。

「裕ちゃん、きっと待ってるよ。シゲさんが伝えにいくの」

安倍さんの言葉にハッとして見上げると、笑顔を向けていた。

「ズルいですよ、安倍さん。こんなときだけ」
「ふふ、なっちはいつもズルいんだよ。シゲさん、知らなかったの?」
206 :みおん :2017/08/10(木) 00:00
もう読んでる人も少ないでしょうが。
更新が遅くなってしまい大変申し訳ないです!
207 :名無飼育さん :2017/09/29(金) 20:17
今日初めて読みました。
ゆゆさゆいいですね
更新まってます!
208 :陸で泳ぐうさぎ・第十話 :2017/12/29(金) 19:40
撮影に理由なんていらない。
愛されたい、愛した記憶を残したい。
記録として残したい。
『SAYUMINGLANDOLL』
編集部から提案されたのは、道重さゆみを表現媒体とするコンセプトブックの出版だった。
学業との両立で写真集の出版が年単位で遅れている。
最後に出版してから二年が経過していた。
そして、書店での流通は約三年。
重版出来でもあればよいが、写真集だけでなく書店での売り上げはどこも右肩下がりだ。
被写体としての道重さゆみ、どう撮られたいか、どう表現するか、屋内外問わずテーマや衣装、小物を考えるのも道重さゆみ。
でも、撮影は本人ではない。
話をもらったときは、写真家としての道を断たれたように感じた。
高校生から美少女写真家として顔は出していたから、顔を出すことに抵抗はない。
新しい表現方法に挑戦してみようというのが大きな柱になっている。
ファインダーから覗かれる、そしてレンズを覗きこむ。
被写体も写真家もあまり変わらないのかもしれない。

連絡は取り合うようにしようと思ったけれど、やはりお互い忙しい身で安倍さんと話し合ってからとうに二ヶ月は過ぎていた。
ズルいんだよ、なんて言ってたけど先輩ってやっぱり優しい存在だ。

編集部との話し合いは重ねる毎に厳しさを増し、ケンカのような言い合いになってしまうこともあった。
カワイイ写真家、それもとびきりの。
ポップでキャッチーな表面とは裏腹に、根底にあるのは劇物とそれを中和する耽美さ。
そんな難題は頭を抱えたところで、かわいいを正面に捉えると波のようにはじけて波の花のように解けていく。
動き始めると案外楽なもので撮影での衣装や小物の提案はすんなりと受け入れられた。
幾度となく重ねた話し合いが結果として良い方向へ導いている。
きっとお互いの覚悟が必要だったのだろう。

学業と仕事とを両立しているとついつい連絡を取るのを忘れてしまう。
わざわざ安倍先輩が声をかけにくる事態だったのに、離れていてもお互いが頑張ってればそれでいいと、中澤さんの不安に応えられないまま。
後悔しても仕方ないのだが、サークルに顔を出さずにいると校内でも視界に入ることはなくなり、本当に中澤さんは目の前から消えてしまったのだ。
209 :みおん :2017/12/29(金) 19:42
>207
書き込みありがとうございます。
励みになります。
僻地の沼へようこそ! ゆっくりしていってね!

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