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眠れる羊

1 :RK :2008/09/22(月) 06:49
ベリキュー中心の短編をいくつか書いていけたらと思っております。
なっきぃ救済になればいいなと。

更新遅めで、拙い文章ですがよろしくお願いします。
68 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:35
2月5日晴れ。
待ち合わせ場所で友理奈ちゃんを待つ。
早く目が覚めてしまった私は、30分前に待ち合わせ場所に着いてしまった。
緊張のせいかそれほど寒さは感じない。

今日は平日。本来なら学校があるんだけどサボってしまった。
だって、中学最後の誕生日。素敵な思い出が欲しかったから。




『明日、友理奈ちゃんの時間を私にください』




今思えば、自分でも随分とすごいことを言ったと思う。
今日は平日だし、ダメもとで言ってみたら友理奈ちゃんはすんなりOKしてくれた。

69 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:36


70 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:36
中学の入学式。
その日も早く目が覚めてしまって、遅刻するよりはと早めに学校に向かった。

これから始まる新生活にドキドキしながら校門をくぐる。
やはり、まだ早いせいか人もまばらだった。

一瞬、風が強く吹き、私は片手でスカートを押さえ目を瞑る。
目を開けた次の瞬間、はらはらと桜が舞い散る中、私は一人の少女の目を奪われた。
その人は背がスラっと高く美しくて、まるでモデルのようでより一際目を惹く。

舞い散る桜を見上げている少女。
その光景があまりにも綺麗で、私はその場を動けずしばらくその人を見つめていた。

私がずっと見つめていたせいか、ふとその人がこちらを向き視線がぶつかる。
慌てて会釈をすると、その人がやわらかい笑顔で会釈をしてくれた。
71 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:37
私は止まったままだった足を進める。

「1年生?」

その人の横を通り過ぎようとしたとき、声をかけられた。
まさか声をかけられるとは思っていなかったので驚く。

「・・・はい。そうですけど」
「私もそうなんだ」
「へっ!?」
「一緒に行こうよ!」

とても大人っぽく、先輩だと思っていた私は同い年と聞いてさらに驚いた。

クラス表が張ってある所までその人と一緒に歩く。
どこの小学校だったとか、何のクラブに入っていただとか他愛もない話をした。
でもその間、なぜだか私の胸はドキドキしっぱなしだった。

クラス表が張ってある所に辿り着き、自分の名前を探す。

「何組だった?」
「私は1組」
「うちも1組」

同じだねーなんてその人が笑うから、私もうれしくて笑顔で頷いた。

「そういえば、名前聞いてなかったね。うちは熊井友理奈」
「私は中島早貴」
「これからよろしくね!」

友理奈ちゃんが手を差し伸べてきたので、私はその手をドキドキしながらギュッと握り返した。
72 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:38




それが友理奈ちゃんとの出逢い。



それからすぐ、私は友理奈ちゃんを好きだと自覚した。
もしかしたら、初めて会った時にもう心を奪われていたのかもしれない。

私は運がいいのか、友理奈ちゃんと3年間同じクラスだった。
けど、特別仲がいいわけでもなく、普通の友達。
クラスでは普通に話すし、たまにメールしたりするけれど一緒にどこか出掛けたりしたことはなかった。
73 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:39


74 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:39
待ち合わせ10分前に友理奈ちゃんがやってきた。

「ごめん。待った?」
「ううん。まだ待ち合わせ時間10分前だし」
「でも・・・なかさきちゃん待ったでしょ?」
「平気。そんなに待ってないから」

友理奈ちゃんがすまなそうに謝る。
早く来た私が悪いし、友理奈ちゃんを待ってる時間は苦にならなかったので私は笑顔で答えた。

すると、友理奈ちゃんがおもむろに私の手を取った。

「でも、なかさきちゃん手が冷たくなってる」

私の両手を包み込むように友理奈ちゃんは両手で握り擦る。
そして、はぁーと息を吹きかけた。

顔が赤くなるのが自分でもわかる。
私は恥ずかしくて、逃げ出したい衝動に駆られたが、友理奈ちゃんの手を振り解くことも出来ず俯く。

「なんとか大丈夫かな?」

手を擦りながら、何度か息を吹きかけて友理奈ちゃんは手を解放した。
友理奈ちゃんが触れた部分が、息を吹きかけられた指先かじんじんと熱を持つ。
75 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:39
赤い顔を見られたくなくて、私は俯いたままでいた。

「なかさきちゃん?」

俯いたまま黙っている私に友理奈ちゃんが声をかける。
仕方なく顔をあげると友理奈ちゃんが噴き出した。

「なかさきちゃん顔真っ赤!」

顔が赤いのは自分でも知っている。
だから顔をあげたくなかったのに。
私はまだ笑ったままでいる友理奈ちゃんを見て口を尖らす。

「もう、友理奈ちゃんのせいでしょ!」
「うちのせい?」
「うん。友理奈ちゃんがあんなことするから」
「そっか・・・ならいいや」

私が頷くと、友理奈ちゃんは優しく微笑む。
その笑顔に私は何も言えなくなった。
76 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:40
「じゃーそろそろ行こうか」

そう言って、友理奈ちゃんが手を差し出した。
私は少し戸惑ったけど、その手をしっかりと握った。

「そういえば、今日はどこに行くの?」
「えっ!?んーと・・・・・」
「・・・もしかして、決めてない?」

友理奈ちゃんが苦笑いを浮かべる。

今日どこに行くかは決めていなかった。
私は友理奈ちゃんと過ごせればどこでもよかったし、
昨日は、今日のことを思うと緊張してそこまで頭が回らなかった。
でも、こちらから誘ったのだからある程度決めておくべきだった。

「じゃ、お昼まで時間あるし映画でも見ようか?
 それで、そのあとお昼食べて買い物兼ねて街をぶらぶらする?」

自分の計画性のなさに軽く落ち込んでいると、友理奈ちゃんが提案してくれた。

「うん。ごめんね・・・私から誘ったのに・・・」
「いいよ、誘ってくれてうれしかったし」

申し訳なさそうに謝ると、友理奈ちゃんは笑ってくれたので私はとりあえず安心した。
77 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:45
それから私達は映画を見てお昼を食べ、そのあと街をぶらぶらした。
ゲームセンターで遊んだり、プリクラをとったり、買い物したり。
プリクラを撮ったとき、友理奈ちゃんが『初デート♪』なんて書き込むから、私はドギマギした。


さすがにいろいろと歩き回って疲れたので、カフェで休むことにする。

注文したレアチーズケーキを口に運ぶと、甘酸っぱい味が広がる。
それはまるで恋の味のようで、私は思わず泣きそうになり急いでアイスティーでそれを流し込んだ。

「今日はいっぱい遊んだねー」
「うん・・・そうだね」

楽しい時間には終わりは来るもので、それは確実に迫っていた。
私は必死で笑顔を作る。

「なかさきちゃんさ、まだこのあと時間平気?」
「へっ!?・・・うん、まだ平気」
「学校の近くの丘に行ったことある?」
「ないけど・・・」
「じゃーそこ行こう!」

思いがけない誘いに複雑な想いで、私は頷いた。
まだもう少しこの楽しい時間が続くと思うとうれしくて、
でも、楽しければ楽しいほど終わったとき悲しくなるから。
78 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:46
友理奈ちゃんに連れられて、学校の近くの丘までやってきた。
ちょうど、夕日が街並みの向こうへと沈もうとしている。

「うわーすごいキレイ!!」
「うん。キレイでしょ?」

私はその情景にすごく感動を覚えた。

「ありがと。私、3年間通ってたけど、学校の近くにこんな場所があるの全然知らなかった。
 卒業する前に知ることができてよかった・・・それに、今日は本当にありがとね。
 私の我がままに付き合ってもらって。友理奈ちゃんにまで学校サボらせちゃって悪いことしたけど・・・
 本当に楽しかった!!・・・・・これで、心置きなく卒業できる」

私は夕日を見つめたまま、友理奈ちゃんに感謝を伝えた。
ほんとは、友理奈ちゃんの顔を見てお礼を言いたかったけど、
友理奈ちゃんの顔を見たら泣いてしまいそうだったから。
79 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:47
今日はすっごく楽しかった。
今日の出来事すべてが素敵な思い出となる。一生忘れられない思い出に。
友理奈ちゃんからたくさんの思い出をもらった。
これで友理奈ちゃんからも卒業する。

私は目を閉じ、心を落ち着かせる。
覚悟を決めて友理奈ちゃんの方を向くと、友理奈ちゃんはじっと私を見つめていた。
私は驚いて何も言えないでいると、友理奈ちゃんが口を開いた。

「なかさきちゃんて、ズルイよね・・・勝手に終わろうとしてるでしょ」

私はなんのことかさっぱりわからない。
私が首を傾げると、友理奈ちゃんは何か言おうとしてやめた。
そして、はぁーっとため息をつくと、まぁしょうがないかと苦笑いした。

「今日、なかさきちゃん誕生日でしょ?よかったらプレゼント受け取って欲しいんだけど」
「え?いいよ・・・今日、友理奈ちゃんの時間をもらったわけだし、それだけで十分」

もう十分もらった。
これ以上もらったら、思い出に出来なくなる。
80 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:47
「もっといいものあげる」

そう笑った友理奈ちゃんの表情が、すっと真面目なものに変わる。
そして、一度深呼吸してから口を開いた。

「これからのうちの時間をなかさきちゃんにあげるよ。 
 今日みたいに映画見たり、プリクラ撮ったり、街をぶらぶらしたり、いっぱい話そう。
 そして、今日出来なかったこともたくさんしたりして、これからを二人でもっともっとエンジョイしよう」

何を言われたのか理解するまで時間がかかった。
理解した途端、涙が溢れてきて止まらない。

「受け取ってくれますか?」

友理奈ちゃんの問いかけに、涙で何も話せない私は無言で頷いた。

「ほら、もう泣かないで」
「ふぇ、だっ・・・て」
「しょうがないなぁ」

まだ、うまく話せない私を暖かい温もりが包み込む。
友理奈ちゃんは私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。
81 :素敵空間 :2009/02/06(金) 06:48
「っていうか、なかさきちゃんて鈍感だよねぇ」
「ふぇ?」

やっと泣き止んだ私に友理奈ちゃんが語り始める。」

「1年の最初の頃、うち結構アピッてたんだけどなぁ。
 なかさきちゃん素っ気なかったし。半ばこの恋は諦めてたんだよね」
「そうなの?」
「そうなの」

確かに、1年の最初の頃は友理奈ちゃんはよく話しかけてきてくれた。
だけど、友理奈ちゃんへの気持ちに自覚した私は、意識してしまってうまく話せなかった。

まぁ諦めなくてよかったけど、なんてうれしそうに笑う友理奈ちゃんを見て、とてつもなく幸せを感じた。


82 :RK :2009/02/06(金) 07:06
なっきぃ誕生日おめでとうございます!
しかし、間に合わなかったorz

最近忙しくなかなか更新出ませんが、2月下旬になればもう少し更新速度をあげられるかと・・・
まぁ、頑張ります。


>>63さん
自分の中でなっきぃはそういうことに鈍感なイメージがあります。
次回は『恋に落ちて』に戻りますので、期待に応えられるよう頑張ります。

>>64さん
くまりしゃいいですよね。私も好きです!

>>65さん
ありがとうございます。
川*^∇^)<なるべく頑張りたいです!
83 :RK :2009/02/06(金) 07:13
すみません。

次回は『恋に落ちて』ではなく『恋に落ちたら』でした。

ちなみに『恋に落ちて』は番外編タイトルです。
84 :名無飼育さん :2009/02/07(土) 02:34
巷で噂のkmskやがなー♪♪

サイコーです。ってかうれしいです。


くまりしゃも好きです。
85 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:07
あれから友理奈は早貴と普通に話せるようになった。
もしかしたら以前よりも話すようになったかもしれない。
友理奈から頑張って話しかけるようにしていたし、早貴からも話しかけてきてくれていた。

放課後、生徒会室に行くと愛理と梨沙子がすでに来ていた。
おしゃべりをしながら作業をしているのだが、早貴がおとなしい。

最近は、生徒会室まで早貴と一緒に行くようになって、今日もいつものように早貴と話しながら来た。
それまでは普通だったのに、今、目の前にいる早貴はたまに相槌をうつくらいであまり会話に入って来ない。
どことなく元気がなそうだ。

「熊井ちゃん。話聞いてる?」
「えっ!?・・・ごめん。聞いてなかった」

もう、と拗ねた表情の梨沙子が寄り添ってくる。
梨沙子はかわいい。素直にそう思う。
だから、こうして甘えられるのは嫌ではない。
でも、今は早貴のことが気になって仕方がない。
86 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:08
「なかさきちゃんどうしたの?具合でも悪い?」
「えっ?」
「さっきから話に入ってこないし、なんか元気なさそうだけど・・・」
「そ、そう?ちょっと考え事してて・・・」
「・・・そっか」

いきなり話を振ったせいか早貴は驚いた様子で顔をあげたが、友理奈と目が合うと視線を逸らし俯きながら答えた。
友理奈は早貴の様子に軽くショックをうけ、それ以上聞くことも出来ず黙った。

生徒会室に沈黙が訪れる。
なぜか、さっきまでわいわい話していた梨沙子と愛理も黙ったままだ。
ちらっと梨沙子と愛理の様子を窺うと、二人ともどことなく元気が無いように思われる。
友理奈はこの微妙な雰囲気を変えようといろいろ考えてみるがいい案が浮かばない。
どうしようか頭を悩ませていると、いきなりガラッとドアが開いた。
87 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:09
「やっほーい!遊びにきたよぉ」

桃子が片手を挙げながら入って来きた。
その後に、すまなそうな顔をした雅が入ってくる。

「ちょっとー。ノックくらいしてよ、ももち」

友理奈はそう言いながらもホッとする。
桃子の特徴的な高い声が、なんとなく気まずかった雰囲気を壊してくれたからだ。

「ってか、なんでももちが中等部の生徒会室に来るわけ?」
「いやーなんとなく遊びにね!久しぶりに愛理にも会いたかったし」

桃子がニヤニヤしながら答えた。
愛理に会いたかったというのは本当だろう。
桃子は愛理のことを可愛がっていたし、梨沙子のこともお気に入りだ。

だが、桃子の顔を見ればそれが目的でないことはわかった。
きっと、友理奈と早貴の様子を見に来たのだろう。
友理奈はわざとらしくため息をついた。
88 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:12
「もも、あたしは?」
「もちろん、りーちゃんにも会いたかったよ!」

梨沙子の問いかけに、プリプリとおしりを振りながら答える桃子。

「うわぁ・・・ももキモい」
「ひどーい!!」

桃子と雅の登場で生徒会室がいっきに騒がしくなる。
桃子と梨沙子の言い合いを見ながら愛理と早貴が笑っている。
でも、早貴はやっぱり笑顔がぎこちない。
友理奈はそんな早貴が気になりながらも、桃子と一緒に来た雅がその輪にいないことに気付いた。

周りを見渡すと、雅は窓際の席に座り片肘をついて外を見ていた。
友理奈は雅のところに移動する。

「どうしたの?みや・・・」
「・・・別に」

雅は外を見たままだ。声もいつもより低い。
相変わらず桃子達はキャッキャッとはしゃいでいる。
そんな桃子達と雅を友理奈は見比べた。
そして、なんとなく思ったことを聞いてみる。
89 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:14
「もしかして・・・みや、ヤキモチ?」
「そんなんじゃない!」

友理奈の言葉に振り向いた雅は、あきらかに不機嫌だった。
言葉では否定しているが、たぶん友理奈の考えは当たっているのだろう。

ふーん、と答えながら友理奈はニコニコと雅のことを見つめる。
そんな視線に耐えきれなくなったのか、雅は視線を逸らしため息をついた。
観念したのか俯いたままぼそぼそと口を開く。

「・・・・・ももってさぁ」
「ん?」
「ももって・・・年下好きだよね」
「心配?」
「・・・別にそういうわけじゃないけど」

そう言うと、雅は机に突っ伏した。
雅らしい答えだと思う。本当は結構心配してるくせに。
強がりだけど恥かしがり屋で、そして他の人に対してはそんなことは無いのだが、何故か雅は桃子のことになると素直じゃない。
90 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:15
そんな雅が可愛くて、友理奈は雅の前の席に座ると頭を撫でた。
友理奈にとって雅は友達だ。でも、つい最近まで好きだった人。
なんか妬けちゃうな、そんなことを思いながら桃子達の方に視線をやると桃子と目が合った。
しかし、すぐに視線を逸らされる。

ん?と友理奈は首を傾げる。たまたまだろうか。
でも、何かひっかかる。

友理奈は雅を撫でる手をやめないまま、こっそりと桃子を横目で観察した。
桃子は梨沙子達と楽しそうに話しながらも、こちらをちらちらと気にしているようだった。

「みやだけじゃないかも」
「ん?」
「気にしてるの」
「・・・何が?」
91 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:16
友理奈の言葉に雅がゆっくりと顔を上げた。
よく分からないという表情をして首を傾げている雅に友理奈は顔を近づけていく。

―――ももちも気にしてるみたい

そう雅に言おうと口を開きかけた時、ガタンっと大きな音がした。
その音にビックリした友理奈は顔を上げ、音がした方を向くと早貴が立ち上がっていた。

「ごめん・・・やっぱり私、体調悪いみたい。今日は先帰るね」
「じゃ、私も帰る。心配だし、家まで送るから!」

鞄を手に取り、そそくさと帰ろうとした早貴に愛理が声をかけた。

「ありがと。でも、大丈夫だから・・・申し訳ないけど、残りの仕事お願いね」

そういうと、早貴が生徒会室から出て行った。
いきなりの出来事に、友理奈は早貴が出て行ったドアをしばらく見つめていた。
92 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:16
「く、ま、い、ちょー」

そのままぼーっとしていたら、いつもより低めの声であきらかに不機嫌まるだしな桃子が近づいてきた。

「な、なに?」
「なに?じゃない!さっきみやに何しようとした?」
「えっ!?別に何もしてないけど・・・」

いつもとは違い、冷たい声の桃子に友理奈はたじろぐ。

「してないのは知ってる。でも、何しようとした?」
「・・・何もしようとしてないよ」
「顔・・・近かった」
「あーそれは、ももち達うるさかったじゃん。聞き取りづらいかと思ってちょっと近づけただけだよ」
「ホント?ほんとにそれだけ?」
「ほんとにそれだけ」

雅と顔が近かったのは自覚している。
桃子の反応が見たくて意識的に近づけた。ちょっとした悪戯だ。
だけど、それ以上のことはもちろんしようと思ってなかったし、
桃子も雅のことを気にしていると教えてあげようとしただけだ。
だから、何もやましいことなどないので本当のことを言ってもいいのだが、
桃子の様子がいつもと違うのでなんとなくそのことは黙っておいた。
93 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:16
ふーんと、まだ納得していないのか桃子が腕を組む。

「とりあえず、罰としてジュース買ってきて。もも、みかんジュースが飲みたい。しかも、つぶつぶが入ってるやつ」
「えーなんで!?それにそのジュース、校庭の隅の自販機にしか置いてないじゃん」
「だって、罰だもん。近くに置いてあるやつじゃ罰にならないじゃん」
「ジュース買いに行くこと自体が罰だと思うんですけど」
「つべこべ言わずにさっさと行く!あと、ダッシュで買いに行って来てよ。遅かったら帰るからね」

桃子に背中を押されて廊下に出される。
ここまでくるともう桃子に何を言っても聞いてもらえそうにない。
仕方なく友理奈は廊下を駆け出した。
94 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:17
下駄箱までくると、ちょうど早貴が靴を履いているところだった。
こちらに気付いていないのか、そのまま帰ろうとする。

「なかさきちゃん!」
「・・・友理奈ちゃん」

声をかけると早貴は酷く驚いた様子だった。

「どうしたの?」
「ももちにジュース頼まれちゃって。なんか、罰なんだって」
「・・・そっか。大変だね」

やっぱり早貴は元気がなさそうだ。どことなく辛そうにしている。
さっきより具合が悪化したのかもしれない。

「なかさきちゃんの方こそ大丈夫?辛そうだよ?」
「うん、大丈夫。ごめんね、仕事残してきちゃって・・・」
「それは気にしないで。とりあえず、途中まで一緒に行こうか」

そういうと、早貴の手を取り友理奈は歩き出した。
95 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:18
早貴の頬がうっすらと赤い気がする。熱が出てきたのかもしれない。
家に早く帰らせてあげたくて逸る気持ちを抑えて、ゆっくりと早貴の歩幅に合わせて歩く。
ふと、友理奈は早貴と手を繋いでいることに今更ながら気付いた。

手を繋いだのは無意識だった。辛そうにしている早貴をまえに出た行動。
意識してしまうとなんだかそわそわして落ち着かない。
心臓のドキドキという音がやけにうるさい。
手を繋いでいたいけど離したい、そんな矛盾した気持ち。

そんな時、スカートのポケットが震えた。
ごめん、そう言って友理奈は繋いでいた手を離しポケットを探る。
離した手を残念に思いながらも、少しだけホッとした。

携帯を開くとメールが届いていた。メールの差出人は桃子。

『なっきぃには会えたかな?ジュースはなっきぃにあげて下さい。
 ということで、ももとみやは先に帰るよ!ばいばい(*^ー^)/"』

あぁそういうことかと、友理奈は一人納得した。
桃子が気を使ってくれたのだ。
あの状況でよく思いつくなと桃子の機転のよさに感心する。
96 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:20
そういえば、早貴と会ってからジュースのことなどすっかり忘れていた。
いつの間にか校門まであと少しの距離だ。

「なかさきちゃん、校門で少し待ってて。すぐ、戻ってくるから!」
「え?」

早貴は不思議そうに首を傾げていたが、友理奈はそのまま走り出す。
校庭の隅の自動販機までは割と距離があるのだが、具合が悪い早貴を待たせては行けないと夢中で走った。

校門で待っている早貴のところに着く頃にはすっかり息があがっていて、喋ることができない。
はあはあと荒い息を吐きながら、友理奈は無言でみかんジュースを早貴に差し出す。

「どうしたの?」
「・・・これ・・よ・・・よく、なったら・・・・・飲んで!」
「でも、ももちのじゃないの?」
「だい・・・じょ、ぶ」

あがった息を整えながら、ジュースを早貴に押し付ける。
ありがと、と言って早貴は素直に受け取った。
早貴が受け取ってくれたことに安心する。
乱れた呼吸も落ち着いてきた。
97 :恋に落ちたら :2009/10/30(金) 18:21
「今日は、ゆっくり休んでね」
「・・・ありがと」

友理奈は早貴の頭をポンポンと撫でると、早貴は俯いて小さな声で答えた。
俯いた早貴を不思議に思い、顔を覗き込むと早貴の顔が真っ赤に染まっていた。

「なかさきちゃん、大丈夫?顔真っ赤だよ!体調やばいんじゃない?」
「うん、なんかフワフワする」

顔を上げた早貴はどこか目も虚ろで友理奈は慌てた。

「早く帰ったほうがいいよ。って、ごめんね。うちが引き止めちゃったから・・・」
「ううん、そんなことないよ。ジュースありがと。また、明日・・・」
「無理しないでね」

うん、と頷いた早貴が手を振って校門を出る。
少しふらふらとした足取りを心配しながらも、友理奈は早貴が見えなくなるまでその背中をみつめていた。
98 :RK :2009/10/30(金) 18:25
かなり間があいてしまいましたorz
更新速度が上がらない・・・


>>84さん
そう言ってもらえるとうれしいです。
熊なき少ないですからね。これから熊なき増えるといいなー
くまりしゃもいいですよね!
99 :名無飼育さん :2009/10/30(金) 20:51
熊なきとはめずらしい

作者さんはみやももも好きなのかな?
100 :名無飼育さん :2009/10/30(金) 20:56
上げてしまいました
ごめんなさい
101 :名無飼育さん :2009/11/09(月) 15:08
なんか新鮮な感じがしていいですね。あまりみない組み合わせですが、ガーデンズ4もあるし、これからにも期待してまってます。
102 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:37
愛理が生徒会室のドアをあけると、今日はまだ早貴一人しか来ていなかった。

「なんだ・・・愛理かぁ」

いきなりドアをあけたせいか、ビクッとした早貴にずいぶんと失礼なことを言われた。

「誰ならよかったの?」
「別にそういうわけじゃないけど、ごめんね」

愛理は拗ねたように口を尖らせながら、早貴の隣に座る。すると頭を撫でられた。
それだけで緩みそうになる顔をなんとかこらえて、拗ねた表情をキープする。
103 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:37
「もう。機嫌なおして」
「・・・もう少し撫でててくれたらなおる」

しょうがないなぁ、と言いつつ早貴が愛理の頭を撫でてくれる。

昔から早貴に頭を撫でられるのが好きで、早貴のことはもっと大好きだ。
早貴に頭を撫でられると、それだけで元気になる。
悲しいこと、嫌なこと、辛いことがどうでもよくなるくらいとても幸せな気持ちになる。
104 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:38

ずっとこのままでいたい。


だけど、愛理にはここに入ってきてから気になっていることがあった。
それは、最近よく早貴と一緒に生徒会室に来ていた友理奈がいないこと。
せっかく早貴と二人きりなのだから、そんなことどうでもいいはずなのに、
なぜか今日に限って、やけにそのことが気になった。

「熊井ちゃん、まだなんだ?」
「うん。なんか呼ばれたから、先行っててって・・・」

苦笑いを浮かべたあと、はぁーと早貴がため息をつく。
それを見た愛理の胸の辺りが痛む。
105 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:39
「りーちゃんは?」
「熊井ちゃんと同じような感じ」
「そっかぁ、二人ともモテるもんね」

そう言って、早貴がまたため息をついた。
愛理は痛む胸の辺りをギュッと握ったまま、早貴に問いかけた。

「気になるんだ?熊井ちゃんのこと・・・」
「・・・なんで?」
「さっきから、ため息ばかりついてる」

自分では気づいていなかったのか、うそ…と呟いた早貴が両手で口を覆った。
106 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:39
胸がキリキリと痛む。そして、そんな早貴を見ているとイライラする。
痛みとイライラが混じって泣きそうになった。

なのに、口からでた言葉はまた自分を追い詰めるようなものだった。

「熊井ちゃんが、誰かと付き合ったらどうする?」

早貴の表情が歪み、瞳が潤む。
その瞬間、ふと愛理に一つの感情が芽生えた。


―――早貴を困らせてやりたい



107 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:41
愛理は無言で早貴と距離を縮めた。

「ねぇ、なっきぃはさ・・・キスしたこと、ある?」
「えっ!?なに、いきなり・・・」

自分でもいきなり過ぎるのはわかっている。
でも、この芽生えた感情をどうすることもできない。

「答えて」

やけに冷たい声が出て、自分でも驚いた。
そんな愛理のいつもとは違う雰囲気に怯えたような早貴が、ないけど…と小さな声で呟いた。
108 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:41
「そっかぁ。私もないんだ。・・・ちょっとしてみる?」

顔は笑っていたが、きっと目は笑っていないと思う。
愛理は、自分が冷たい目をしている自覚があった。

「・・・冗談だよね?」
「ふふ・・・さあ?」

薄く笑い、曖昧に答えてからさらに距離をつめる。

「やめて、愛理」
「大丈夫だから・・・」

何が大丈夫なのか自分でもわからなかった。
でも、ここまできてやめることは出来ない。
愛理の肩を押す早貴の手を取って、顔を近づける。

もう少しで唇に触れるというところで、早貴がギュッと目をつぶった。
109 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:42
それと同時にガラッとドアが開く。
愛理がそちらを向くと友理奈が立っていた。

友理奈は酷く驚いた様子で固まっている。
愛理が声をかけようとする前に、早貴が声をかけていた。

「違うの!友理奈ちゃん・・・」
「あっ・・・。ぐ、ぐぉ、ごめんね、じ、邪魔して!」

我に返った友理奈は、あきらかに挙動不審だった。
視線を彷徨わせながらオドオドしているし、言葉もカミ過ぎだ。

ドアがピシャッと閉められる。

「ちょ、待って!友理奈ちゃん」

友理奈を追って行こうとする早貴の手を、愛理は必死に捕まえた。
110 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:42
「行かないで!」
「でも、友理奈ちゃんに誤解されちゃうよ」
「好きなの・・・・・なっきぃのこと、ずっと好きだった」
「えっ・・・」

ひどく驚いた早貴の顔。
ほんとに全く伝わってなかったんだと改めて思う。

驚いた表情をしていた早貴の顔が、困ったような、申し訳なさそうなものに変わる。
そして、頬を拭われた。

「泣かないで・・・。って、こんなこと言える立場じゃないけど」

いつの間に涙が零れていたのか、自分でも分からないうちに愛理は泣いていた。
111 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:43
「ごめんね、気づいてあげれなくて・・・辛かったよね」

早貴の目も潤んでいるように思う。
そして、愛理は早貴に抱きしめられた。
頭を撫でられ、耳元で早貴が呟く。

「愛理の気持ちはうれしいけど、ごめん」
「・・・ん」
「私ね、たぶん好きな人がいるの・・・」

視界がぼやけてくる。
胸が痛くて、そこを押さえようとした。じゃないと、本当に張り裂けてしまいそうだった。
だけど、早貴に抱きしめられていてそれは叶わない。
かわりに早貴をギュッと抱きしめ、そして愛理は早貴の肩に顔を埋めた。
112 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:44
「愛理のおかげで気づくことできたんだ・・・
 友理奈ちゃんが誰かと付き合ったら嫌だなって思った。
 ・・・さっき、友理奈ちゃんに誤解されるの嫌だった。
 それで・・・・・愛理に好きって言われて・・・
 あぁ、最近、友理奈ちゃんに抱いていた感情はこれだ・・・って思ったの」
「・・・・・」
「・・・だから、ありがと」

その声が優しくて、頭を撫でる手がいつも以上に優しくて、正直ずるいと思った。
そして、その優しさが今はとても辛かった。

なかなか、涙がひいてくれない。
それどころか、どんどん溢れてきて早貴の肩を濡らしてしまう。
愛理は早貴を抱きしめる力を強くした。
早貴は何も言わず、愛理を抱きしめたまま頭を撫で続けた。





113 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:44
どのくらいそうしていただろう。
しばらくして、早貴を抱きしめていた腕の力を緩める。
愛理が顔を上げると、早貴が真剣な表情をしていた。

「こんなんで、許してもらおうとは思ってないけど・・・」

愛理は何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
視界がぼやけるくらい近くに早貴の顔があり、目は閉じられている。
そして、唇に温かい感触。

「ごめんね・・・そしてありがとう」

そう言うと、早貴は鞄も持たずに生徒会室を出て行った。

114 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:45
愛理はそれを見届けると、指を唇にあて、撫でた。
もしかして、もしかしなくても早貴にキスされた。

最後にあの幼馴染は、とんでもないことをしていってくれたものだ。
鈍感で、人の気持ちに全く気付かなかったくせに。
そう思いつつも、ファーストキスだよね…なんて思ってしまう自分が嫌になる。

でも、やっぱりうれしく思ってしまうのは本当で。
こんなことされたら、なかなか諦めきれない。
はぁー、と愛理はため息をつく。

そういえば、もう一人の幼馴染との約束も破ってしまった。
抜け駆けはしないという約束だったのに。

愛理は、ごめんと心の中で呟いて天井を仰いだ。
115 :恋に落ちたら :2010/02/17(水) 21:46
またかなり間があいてしまいましたorz
これからは月一回くらいは更新できるよう頑張りたいですね。


>>99-100さん
熊なきはマイナーですからねw
でも萌えるんです!

みやももも好きです。ってか、実は一番好きなCPだったりしますw

あげ、さげは気にしてませんのでお気になさらず。

>>101さん
ありがとうございます。
ガー4が出来てから前より絡んでくれるのでうれしいです。
小説等も増えてくれるとうれしいのですけど・・・

まったり更新になるとは思いますが、更新速度が上がるよう頑張ります!
116 :名無飼育さん :2010/02/19(金) 14:09
更新キテター!
くまなき大好きだぁぁぁ
舞美ちゃんと愛理もなっきぃラブという設定は珍しいですよね
なっきぃ好きとしては愛されなっきぃは嬉しいです
117 :名無飼育 :2010/02/19(金) 21:50
あいりしゃこはどうなるのかドキドキ!
一気に読んじゃいました^^
たーのしーーーー

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