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Only you ― その笑顔のために

1 :雪月花 :2011/09/04(日) 10:03
はじめまして、雪月花と申します。
飼育では初小説になります。

亀井さん、田中さんが主軸です。
あとは高橋さん、新垣さん、道重さんらが登場します。

駄文・遅筆・無駄に長いかもしれませんが、お付き合いいただけたら幸いです。
936 :Only you :2011/12/18(日) 19:34
「それ、プレゼントですか?」

れいなの手にしていた紙袋を見つめ、ワタナベはそう言った。

「え、あぁ…はい。直接渡したいから、また明日持ってきます」
「そうしてあげて下さい。絵里ちゃんも、きっと喜ぶと思うので」

そう話していると、箱は1階へと到着し、ワタナベ、美貴と続いてエレベーターを降りた。

「じゃあ、れなはこれで」

れいなはそう言って頭を下げると、ふたりに背中を向けて正面玄関へと歩いて行った。

「……宜しくお願いします、田中さん」

ワタナベはボソッとそう呟きながられいなの背中をじっと見つめていた。
彼が初めて名前を呼んだことに驚きながらも、美貴はカルテを持つ彼の手が震えていたので、黙って見つめていた。
れいなにその言葉は届くことなかったが、きっと彼女はいちばん、絵里のことを分かっているのだろうなと美貴もれいなに呟いた。

「がんばれよ…れいな」

なんの捻りもないストレートな言葉であるが、もしかしたら結局は、そういう飾らない言葉の方が響くのかもしれないなと、ワタナベはぼんやり思った。
937 :Only you :2011/12/18(日) 19:36
---

938 :Only you :2011/12/18(日) 19:37
れいなは鬼のような形相で自転車をこいでいた。なんども転びそうになるがスピードは絶対に落とさない。落とすことなんて、出来なかった。
今日も雪の影響で部活が中止になったのが不幸中の幸いと言えたが、れいなはユニフォームを着たまま自転車を走らせていた。

事の始まりは10分前、10時という中途半端な時間に部活を終えたれいなが携帯電話を開いたことだった。
そこには不在着信がずらりと並んでいた。着信相手は、ワタナベと美貴、そして、クラスメートのさゆみであった。
この3人に共通していることなどひとつしかない。れいなは慌ててワタナベに折り返したが繋がらなかった。
受話器から聞こえる無機質な通話音が余計に焦燥感を駆り立て、れいなは美貴に折り返した。だが、結局彼女も通話中であり、会話ができなかった。
れいなは祈るような気持ちでさゆみに電話した。
一体なにが起きているというのだ。良い予感なわけはない。そんな予感は微塵もしない。最悪の事態を想定していると、と、3コール後にさゆみが出た。

「れいな、いまどこ?」
「部活終わって学校。どしたと?」

切迫したさゆみの声に、心臓が早くなっているのが分かる。
まさか、まさか、絵里が……?
939 :Only you :2011/12/18(日) 19:37
昨日のワタナベと美貴の声が甦る。


―面会謝絶なんだ


―カメちゃん、体調が良くなくてね


いよいよ最悪の事態が頭をよぎる。
絵里は、絵里は無事なのか?なにが、どうした。

絵里、絵里、絵里、絵里、絵里―――!!!
940 :Only you :2011/12/18(日) 19:38
「絵里がいないの!」

自分の心配の斜め上をいったさゆみの言葉に、れいなは思わず「は?!」と大声で返した。
周りの部員たちも心配そうな顔でれいなを見つめるが、れいなはお構いなしに話を続けた。

「おらんって…おらんってどういうこっちゃ?!」
「だから病院にいないの!いま先生や藤本さんたちと探してるんだけど…とにかくれいなも来て!」

そうして一方的に電話は切られた。
無機質な通話音とともに、絵里の笑顔が浮かんだ。あのだらしがなくて、情けなくて、だけど世界でいちばん可愛い笑顔が浮かんだ。

―うへへぇ、れーなっ

唐突に聞こえたその声に、れいなはそのままカバンを掴んで駐輪場へと走った。
その途中で、「お疲れ様でしたー!」と愛佳に声をかけられた気がしたが、とてもではないが、それに応える余裕はなかった。
心の中で愛佳に謝りながら、れいなは自転車を藤本総合病院へと向けて走らせた。
941 :Only you :2011/12/18(日) 19:39
「絵里っ!」

れいなが702号室の扉を開けると、そこにはだれもいなかった。それは文字通り、もぬけの殻である。
息を整えながら室内を見渡す。シーツは綺麗に畳まれており、着替えや雑誌、見舞いの花はそのままに置いてある。

「朝の診察に来たら、もぬけの殻でした」

れいなの後ろからワタナベの声が降ってきた。
振り返ると、彼はカルテを片手にガシガシと頭をかいた。

「僕は此処を離れるわけにはいきませんので、いま、安倍先生やサトウ先生に探してもらっています。あと、藤本さんや道重さんも心当たりを探しているそうです」

それを聞いて、れいなは頭の中に4人の顔が浮かんだ。
いつもそばで見守ってくれている担任の安倍先生。
赦すことはできないけれど憎むこともできない元担任のサトウ先生。
からかってはいるが、アドバイスをくれる朝陽高校サッカー部OGの美貴。
絵里とれいなのシアワセを誰よりも祈る大切な友人であるさゆみ。彼女のことだから、愛や里沙にも頼んでいるのだと思う。
ああ、こんなにもたくさんの人に支えられているのだと改めて実感し、申し訳なくなると同時に力強いと思った。
そうこうしていると、絵里の父親が廊下に現れた。れいなはそれを認めると反射的に頭を下げた。
父親もれいなを判断したのか「お久しぶりです」と優しく笑いながら、ワタナベに話しかけた。

「まだ家には帰ってません…やはり何処か遠出したのかと」
「無茶な…あんな体で、薬も残り少ないのに…」

ワタナベの顔に絶望の色が浮かんでいることに気づき、れいなも焦った。
なんで急にいなくなったのか、何処に行ってしまったのか、分からないことが山のようにあるが、とにかくいまは絵里の居場所を探すしかない。
942 :Only you :2011/12/18(日) 19:39
絵里の行きそうな場所をれいなは考えた。
初めて行ったデートの場所?
というと、駅前のアウトレットか、れいなの家の近くの公園か。そんな病院の近所だったら、とっくにだれかが発見していそうなものだが。

次のデートの場所は?
といっても、2回目のデートはデートらしいことはしていないし、行った場所は絵里の中学校であった。
確かに初めてキスをした場所でもあるが、忌まわしい過去の記憶がある場所に、絵里が1年振りに訪れる理由が分からなかった。

次のデートは…絵里の家だった。
いまの父親の話を信じるとすれば、家には帰っていないということなのでこれも却下。

あとは……あとは?

そこでれいなの思考が止まる。
もう思い浮かばない。たったの3つでれいなは止まってしまった。

―なんも、なんも知らんやん、絵里のこと……

絵里と過ごしてきたこの2年間。長いのか短いのかなんて判断はできないが、それでも絵里の行きそうな場所すられいなは分からないことが無性に腹立たしかった。
943 :Only you :2011/12/18(日) 19:40
れいなは頭を掻き毟った。
最悪だ。なにか、なにか手がかりはないのかと、絵里の病室の小さな棚を開けた。するとその2段目に気になるものが入っていた。
ボールペンが1本と、使いかけと思われる水色の付箋、そして小さなレシートがぽつんと置かれていた。
れいなはそのレシートを見ると、そこには2冊の購入履歴が乗っている。

それは、『日光へ行こう』と『京都大阪観光案内』という、極めてオーソドックスな観光雑誌であった。

購入日時は12月22日と朝陽高校の終業式が行われた日であった。
購入場所は、れいなたちの街にある小さな書店であり、これは絵里が買った可能性が高いことが分かる。

しかし、ひとつの疑問が浮かんだ。
なぜ、日光と京都なのだろう?
朝陽高校の修学旅行の行先は北海道であるし、日光と京都の関係はなにもない。

れいなが小さな脳みそを回転させ必死に考えていると、ある仮定に行きついた。
まさかと思ったれいなは、いままさに病室を出て行かんとする絵里の父親とワタナベを呼び止めて訊ねた。
944 :Only you :2011/12/18(日) 19:40
「あのっ、絵里って、修学旅行に参加したことってありますか?」

突然のれいなの質問に父親は眉を顰めた。
しかし、れいなの真っ直ぐな視線を認め、首を振った。

「小学校のときは入院、中学校のときは…少し色々あって、あの子は参加していないよ。高校も、手術の直後だから行けなくてね…可哀想なことをしたとは思っているけど」

父親の言葉にれいなは「ああ」と天井を仰いだ。
まさか絵里は…とひとつの仮定に行きついたとき、れいなは父親とワタナベにレシートを見せた。

「これ、たぶん絵里の買った本です」
「『日光へ行こう』と『京都大阪観光案内』……?なんでこんなものを…」
「…絵里、一回も修学旅行に参加したことないんですよね?」

父親の言葉に被せるように、れいなは確認するように言葉を乗せた。
その言葉を聞いた父親は、「まさか…」と呟いてれいなを見つめる。

「たったひとりで、行こうとしたんかもしれません……修学旅行に」

病室にはれいなの言葉が綺麗に反響する。
窓の外には雪がしんしんと降り積もり続けた。
945 :雪月花 :2011/12/18(日) 19:42
本日は此処までになります。
たぶん収まりきらないので次のスレッドも立てますが、感想は此処にお願いします。

では次回まで失礼します。
946 :名無飼育さん :2011/12/19(月) 01:01
いつもコメントしてるのバレてる!!笑

なるほど。
こんな展開になっちゃうわけですね(^○^)
れいな、カッコいいとこみせてよれいな!!


某掲示板のほうもずっとチェックしてます!
あちらではROM専ですが。
作者様の作るどの話も大好きです。
更新楽しみにしています!
947 :名無飼育さん :2011/12/19(月) 12:34
えりりんどこ行ったのー(汗``
不安で仕方ないです…
がんばれいな!!!
948 :名無飼育さん :2011/12/22(木) 23:24
絵里のことがすごく心配ですね。
嫌な予感が…OZL
れいな!早く絵里を探してね!
949 :雪月花 :2011/12/23(金) 18:52
さゆとれいなのディナーショーに参加したかったけど断念した雪月花です。
愛しく苦しいこの夜に初披露だったみたいですね…
れなえり好きとしては、その場で聴いていたら泣いてたかも…ww


>>946 名無飼育さんサマ

いつも温かいコメントをいただいているので励みになります!ありがとうございます
しかもあちらも見ていただけているようで…あちらとは作風も内容もだいぶ違いますが、作者としてはこっちの方が書きやすいですw
カッコいいれいなさんに期待していて下さい。どうなるかは本編で…w


>>947 名無飼育さんサマ

コメントありがとうございます!
絵里の最初で最後の勇気というか無茶だと思います。
何処へ行ったのか、れいなが見つけられるのか、今後どうなるのか見守っていて下さい。


>>948 名無飼育さんサマ

ダンス大会に引き続き、このシーンもかなり書きたかったのですが、確かに心配です…
その嫌な予感が当たるのか当たらないのかも含めて今後も見守っていて下さい。
コメントありがとうございました!


今回もつづきではなく特別編です
読み飛ばしていただいても構いません。では、どうぞ。
950 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:53
クリスマスのイヴイヴって言葉、流行ってるのかな?

私は使ったことないけど、街の雰囲気を見る限り、なんかそんな気がする。

天皇誕生日よりも、クリスマスの方が世間にはあってるみたいで、街は赤と白に染まって、イルミネーションもキラキラ輝いてる。
毎年恒例のことなんだけど、それはやっぱり寂しいんだよね。

絵里はお母さんと一緒にケーキを買いに来た。
これも毎年恒例なんだけど、別にクリスマスのためじゃない。相変わらずケーキ屋さんは満員御礼、1番売れているのは当然、クリスマスケーキ。
サンタクロースさんが白いクリームの上でニコッて笑ってるけど、絵里たちが欲しいのはこれじゃないからって店員さんに伝える。
今年はちゃんと予約しておいて良かったぁ。そういうところはちょっとは成長した気がする。

お母さんとふたりで、自分の誕生日ケーキを持って家へと帰る。
今日は1年に1回の、絵里の誕生日なんだから。
951 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:53
---

952 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:54
思えば、小さい頃からクリスマスと一緒に祝われちゃう寂しい誕生日だったっけ。
別に、ほんとに寂しいってわけじゃないんだけど、なんだかオマケみたいな気がしちゃうんだよね。
街はみんなクリスマス一色だから、絵里の誕生日なんて二の次って感じがしちゃって、ちょっとだけすねちゃったこともあった気がする。
それは理不尽だっていうことも、もう分かる。絵里だって子どもじゃない。
理不尽って言葉、使い方が合ってるかは、自信ないけど。うん、やっぱりまだ子どもだ。

それでも誕生日は楽しいし嬉しい。
モーニング娘。に入ってからは、メンバーやスタッフさんみんなにお祝いしてもらって、もっと楽しくなった。
メンバーやマネージャーさんはちゃんと忘れずにメールをくれる。
同期で親友のさゆ、道重さゆみは超気合入れました!って感じのデコデコのやつ。
先輩で同い年のガキさんこと新垣里沙は、キラキラしてるんだけど中身もしっかりした文章をくれる。

そして、同期の田中れいなは、メンバーの中では平均的なメールをくれるんだけど、絵里はいちばん、貰って嬉しい。
953 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:54
誕生日メールと言えば、もう3年前になるんだけど、あの日を思い出す。
その年は絵里が20歳になるっていう特に大切な日だったんだけど、れーなからは0時ジャストには来なかった。
ちょっと寂しい気分だったんだけど、0時23分に「おめでとう」と「みんなが0時ちょうどだから、あえて23分を狙ったんだよ」って得意そうなメールが来た。
正直、嬉しくて、胸がキュンってして、「大好き!ありがとう!」なんて返信したんだよなあ。
でも、実際は寝ちゃっててギリギリに23分に送れただけだったんだけどね…それをファンの皆さんの前で暴露して……

絵里は笑って許したけど、ホントはとても、とても寂しかった。

なんだか、寝ちゃうような、そんな些細な日だったのかなって。

絵里だって人のこと言えないくせに、ホントにひどいなって思うんだけど、でも、寂しかったんだ。
954 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:54
2年前の誕生日はというと、最初は一緒にお祝いしようって約束してたんだ。
でも、急遽、絵里の方がお仕事が入っちゃったんだよね。ガキさんとのラジオの公開録音。
ファンの皆さんにお祝いしてもらえるっていうから凄く嬉しかったし、れーなも喜んでたけど、あのときれーなは、少し寂しい顔してた。
「行ってらっしゃい」って笑顔で手を振ったし、「がんばってこい!」なんて励ましてくれたけど、れーなは一瞬だけ切なそうな表情を見せたんだ。

でも、れーなはなにも言わない。

絵里に負担をかけたくないからって、お仕事だからって、れーなは笑うんだ。
955 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:55
1年前の誕生日。
その8日前である、12月15日、絵里はモーニング娘。を卒業した。1万人以上のファンの方に見守られて、横浜アリーナで完全燃焼した。
れーなと出逢ってから、初めて1人で過ごした誕生日の夜は、久しぶりに家族と一緒にいたけど、それでもやっぱり寂しかった。
モーニング娘。にいる頃には考えられなかった喪失感が絵里に襲ってきた。
確かに、12月15日のあの日、絵里は完全燃焼したし、得たことの方が大きかったっていまでも思ってる。
それでも、それでも心にぽっかりと空いた穴は、そう簡単に埋めることはできなかった。

みんな誕生日をお祝いしてくれた。
22歳おめでとうって、れーなだって言ってくれたのに、やっぱり逢えない時間があると、胸がぎゅうってなった。
956 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:55
そして今年。れーなはさゆとディナーショーのお仕事をしてる。大切な大切なお仕事で、絵里はそんな邪魔はできない。
たぶん、会場では絵里の話も出てるんだろうけど、絵里は今日も、家族と一緒に過ごすの。

それはとてもシアワセで恵まれてることだって分かってる。分かってるのに……

こんなにも胸が痛むの。
寂しくて切なくて、れーなに逢いたいの。


いたずらっ子みたいに「ニシシ」って笑うれーな。
ステージの真ん中に立って、キラキラ輝くれーな。
「れーな弁」をずっと一貫して使い続けるれーな。
大きい瞳で真っ直ぐに絵里を見るれーな。
小さい体で精一杯に前に進んでいくれーな。
優しい腕で絵里を包み込んで抱きしめてくれるれーな。
甘い声で絵里に「好いとー」って言ってくれるれーな。


れーなに、逢いたい―――


それはワガママだって分かってるのに。
957 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:55
---

958 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:56
絵里は家族にお祝いしてもらって、美味しいご飯を食べて、少しだけお酒を飲んで、大人な誕生日を過ごした。
部屋に戻って「ふう」とひと息ついて、窓を開けたら、夜空に星が輝いていた。
冬の空気は澄んでいるからか、都会なのに星が綺麗に見えた。

「届けぇー」

そうやって子どもみたいに空に手を伸ばしてみたら、冷たい空気が絵里を包む。
うへへぇ、なんだか絵里、酔っ払ってるのかな。こんな子どもみたいなこと、久しぶりにしたなぁ。
ガキさんが見たら「まーたそうやってカメは!」なんて怒るのかな。

「えへへ……」

腕を引っ込めて夜空を見上げる。星に手は届くはずもなくて、相変わらず暗い空高くに星は光る。
はあって息を吐いたら、白く染まって空気に溶けた。

「れーなぁ……」

無意識にれーなの名を呼ぶと、胸が締め付けられる。
そろそろ日付が変わるけど、ディナーショーはちゃんと終わったのかな?

絵里がケータイが鳴っているのに気づいたのはちょうどそのとき。
だれだろうと思っていると、ディスプレイには「田中れいな」という名前が表示されて絵里は慌てて出た。

「も、もしもし?」
「遅いっちゃぁ、何回鳴らしたと思っとーと?」
「ご、ごめん…」

電話から聞こえてきたのは、相変わらず憎まれ口のれいなの声。
ちょっとだけ強気なれいなの声を聞くと、胸が締め付けられるけど、凄く、凄く安心した。
959 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:56
「星に手は届かんよ」
「へ?」
「手近な星の方が輝いとーかもしらんよ?」

絵里の胸がドキッと高鳴った。
まさかと思って開けっ放しの窓から体を出すと、そこに彼女はいた。
絵里の家の前、白いコートに白いスカート、黒のタイツにムートンブーツ、ついでに冬の夜に不釣り合いな大きめのサングラスをかけたれーながいた。
彼女はニコニコしながらこちらに向かって手を振っている。

「絵里ぃー」
「な、な、ななな、なんで、なんでいるの?!」
「アホ、近所迷惑っちゃ、声がでかい」

笑いながらも冷静に宥めるれいなの意味が分からない。
なんでれいなが此処にいるわけ?ディナーショーは終わったの?てかいつからいたの?なに?あーーー、もう!

「ちょ、いまから行くから!」
「は?」
960 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:57
れーなの返答を待たずに絵里は上着だけ羽織って慌てて階段を降りていく。
リビングにいた家族が不思議そうな顔をしたけど気にしちゃいられないって。
サンダルをはいて玄関を開けると、その少し先にはきょとんとした顔のれーなが立っていた。
なんでそんな顔するのよ、もう。なんかムカつく!可愛い!ん?!あー、認めちゃった!

「よ、絵里」
「よ、じゃないでしょ!なんでいるの?」

れーなは「ん?」って言って、サングラスを外した。

「ディナーショー終わったの?どうやって此処来たの?てゆーかいつからいたの?」

矢継ぎ早に質問する絵里の声が鬱陶しいのか、れーなは両手でわざとらしく耳を塞ぐと、大袈裟に肩を竦めた。

「とりあえず、れなから1個だけ言わせて」

そうしてれーなは両手を耳から離すと、絵里の左腕をぐいと掴んで引き寄せた。
「わっ」って声が出たのも束の間、絵里はれーなの胸に吸い込まれて、その腕の中にすっぽり収まった。
961 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:57
「誕生日おめでと、絵里」

耳元で囁かれた甘い言葉は、絵里の中にあったさまざまな疑問や不満、寂しさをぜんぶ消し去ってくれた。
なに、それ。まさか、それを直接言うためにわざわざ仕事終わりに絵里の家まで来たの?ねえ、れーな、ウソでしょ?

「23歳、ホントにおめでとう」

だって…ねえ…
れーな…れーな……れーなぁっ…


絵里はぎゅうとれーなの背中に腕を回して抱きしめ返した。れーなの温もりが伝わってくる。すごく、すごく、ぽかぽかする。
だから、絵里の考えていた不安も寂しさもなくなっちゃったし、嬉しさで溢れたこの想いを口にするしかなかったの。

「…ありがと、れーな」
「どーいたしまして」

れーなは後先考えないで行動しちゃうような人です。
こんなわがままで気まぐれな絵里の誕生日をお祝いしに、わざわざ家まで来てくれちゃうようなお人よしです。
普段は強気で、目つきも怖くて、言葉づかいも荒くて、態度も大きくて、ヤンキーみたいな人なのに、とてもとても優しいです。
そんなれーなが、大好きです。

「絵里……」
「うん?」

そして、絵里が顔を上げた瞬間に、世界一甘いキスをくれる、ちょっとだけ早い、絵里だけのサンタさんです。

「うへへぇ」
「アホ」
「いーの。うれしいんだから」

いままでも、たぶん、これからも、甘い甘いシアワセをくれる、絵里の大切な人なんです。
962 :思い出とこれからと :2011/12/23(金) 18:58
ノノ*^ー^) < いつから絵里見てたの?

从*´ ヮ`) < 窓を開けたときから

ノノ;^ー^) < なんで呼んでくれなかったのよ

从*` ロ´) < 電話したっちゃけん、絵里が出てくれんちゃもん!

ノノ;´ー`) < あ…ごめん。。。






Happy Birthday ERI!!
963 :雪月花 :2011/12/23(金) 18:59
さゆれなディナーショーでは、絵里の話は確実に出たことでしょう。
実際の時間軸とかは無視してますがそこはご愛敬で…w

仕事終わりに逢いに行っちゃうくらいな行動力がありそうなれいなさん
ラブラブしとけばいいんです、このふたりはw

次回から通常更新に戻ります
964 :名無飼育さん :2011/12/23(金) 22:07
えりりんかわいいなぁ(*´∀`)
雪月花さんの言う通り、この2人はイチャイチャラブラブしてれば良いですww

このお話の続き的にはやっぱりれーなが嬉しくなっちゃってえりりんをいただいちゃったって感じですかね??笑
965 :雪月花 :2011/12/24(土) 23:02
クリスマスイブもクリスマスも予定はない雪月花ですw
華の3連休ですので、家に籠って珈琲片手に読書します(泣きながら)


>>964 名無飼育さんサマ

本編がどうしてもシリアスなので特別編くらい甘くしたいのですが…難しいです
うーん、今回は絵里が実家なのでれいなも狼になるのは我慢した…かな?w
いただいちゃったって話も書きたいんですが、需要あるのかしら?


では更新します。
966 :Only you :2011/12/24(土) 23:03
絵里が駅に降り立つと、ロータリーは真っ白な雪に覆われていた。
こっちの方が寒いのかと考えながら「はあ」と吐いた息は、真っ白に染まって空気へと解けた。絵里は傘をさしてバス停へと向かう。ボタボタと雪をかぶり、傘は重くなる。
最初の行先はもう決めてあった。

絵里が此処へ来ようと決めたのは23日の夜、つまりはほんの18時間前のことであった。
22日に書店で観光案内雑誌を購入し、気の向くままに行きたい場所に付箋を付けたりペンで丸を書いたりしていた。
そのときはただ、「行きたいなあ」くらいの気持ちであったのだが、23日の夜、薬で眠ったあとに目覚めた瞬間、絵里は行こうと決めた。
なぜ急に行こうと決めたのかは分からないけれども、いまを逃したらたぶんもう二度とないのだろうと思い、絵里は一歩を踏み出した。
自分の両親や先生、そしてれいなに黙って出てきたことは悪いとは分かっていたが、言えば反対されることは目に見えていた。
だから絵里は敢えてなにも言わずに、たったひとりで此処まで来た。わざわざケータイの電源まで切って。

―れーな、怒るかなぁ…

首元につけた、あの日にれいなからもらったネックレスに触れると、頭の中に博多弁ならぬ「れいな弁」で文句を連ねる彼女の姿が浮かんだ。
そんな姿も愛しいなあと思いながら、絵里は最初の目的地へと向かった。
967 :Only you :2011/12/24(土) 23:04
---

968 :Only you :2011/12/24(土) 23:04
徳川家康を祀った日光東照宮は雪で覆われていた。
日光山内を歩くと、『東照宮』と彫られ、徳川家の家紋が彫られた石柱は、絵里を待っていたかのように静かに佇んでいた。
絵里はたったそれだけを見ただけでなにも言えなくなり、しばしそれを見つめたあと、杉に囲まれた道を歩き、入口へと向かった。

日光東照宮には様々な動物の絵が彫られており、そのほとんどは平和を象徴しているのだとガイドブックには載っていた。
「眠り猫」は、家康を護るために寝ていると見せ掛け、いつでも飛びかかれる姿勢をしているともいわれているのだが、
もうひとつの教えとして、裏で雀が舞っていても起きない、「猫も寝るほどの平和」を表しているのであるという。

神厩舎には猿の彫刻を施した8枚の浮彫画面があり、猿が馬を守護する動物であるという伝承から用いられているのだという。
この8枚で猿の一生が描かれており、ひいては人間の平和な一生の過ごし方を説いたものとなっているのである。
969 :Only you :2011/12/24(土) 23:05
絵里はただただそれに圧巻されながら世界遺産である建造物を見ていく。
世界遺産の価値とかは絵里には分らない。ただ、こういう建造物を見て自然と心が安らいでいくのは、日本人ならではの感性なのだろうかと思った。
実際、自分が中学生の時にこれを見ても感動したかと聞かれれば、絵里は悩みながらも「NO」と答えるだろう。
大人になってからの方が寺社巡りは楽しいとよく聞くが、それは的を射ているなと絵里は思う。

日光東照宮を見ながら、いつだったか、里沙と一緒に近所の神社に遊びに行ったことを思い出した。
あのとき、絵里は無意識のうちに「これから私の人生でなにがあっても負けないように」と願っていた。
果たして、その願いは聞き叶えられたのか、はたまた、自分で叶えなくてはいけない願いなのか。そうであるとしたら、自分はもう負けそうだと絵里は苦笑した。
成功確率40%以下という難関の手術。ワタナベ先生とアサノ先生による執刀のもと、それはもうすぐ行われようとしている。
絵里はただ、自分の生命力を信じ、生きたいと願い、強い意志を持って手術に挑むしかない。だが、その勇気はいま、ほとんどなくなってしまっていた。
雪という儚い存在が、絵里を虚しくさせるのだろうかと、絵里は日光に降る雪を見ながらそう思った。
綺麗で淡い存在は、なんとも幻想的ではあるが、どうしても、心を脆くさせた。
自分の弱さを天候のせいにするのは卑怯かもしれないが、いまの絵里には、それを否定する力はなかった。
970 :Only you :2011/12/24(土) 23:05
---

971 :Only you :2011/12/24(土) 23:06
絵里は軽く昼食を摂ったあと、華厳の滝を目指して歩いていた。
華厳の滝といえば、日本でも有数の滝であり、日本三名瀑として有名であった。
ちなみに、他のふたつは、茨城県の「袋田の滝」と和歌山県の「那智の滝」だとガイドブックには載っている。

落差97メートルの滝を一気に流れ落ちるその様は、まさに壮観であった。
岩壁から流れ落ちる12の小さな滝がつくる景色も非日常的であり、マイナスイオンが出ているような風景に絵里の心が落ち着いて行く。

「ここって自殺の名所なんだろ?」
「やだぁー怖い」

しかし、絵里のすぐ隣にいるカップルらしき2人組がそんな会話をするので、落ち着いた心はすぐになくなった。
確かに華厳の滝ではずいぶん昔に、滝の近くにあった樫の木を削って遺書を残して自殺した人がいた。
それ以来、彼に影響を受けて此処で自殺者が相次いだために「自殺の名所」と呼ばれる様になったらしいが、いまではほとんどなくなっているようだ。
実際に華厳の滝が「自殺の名所」だとしても、それを此処で言う神経が絵里には信じられなかった。
カップルの女の方は「怖い怖い」としきりに言って男の腕を掴んでいる。なんだ、いちゃつきたいだけかと絵里は苦笑しながら滝を見つめる。
972 :Only you :2011/12/24(土) 23:06

―――かつての自殺の名所 華厳の滝

落差97メートルの滝。毎秒0.5トンもの水が一気に流れ落ちていく。
もしなにかの間違いで此処に落ちてしまえば、100%助からないだろう。

いっそ、此処から飛んでみようか。
どうせ助からないというのなら、あの滝壺に、真っ逆さまに落ちてみようか。

絵里の心の闇が一気に広がり、そんな声が何処からか聞こえてきた。
973 :Only you :2011/12/24(土) 23:07
「っくしょい!」

そのとき、盛大なくしゃみが絵里の心の声を遠ざけた。

「やだー、寒い?」
「結構冷えてきたな…戻るか」

どうも先ほどのカップルの男がくしゃみをしたらしく、ふたりは仲睦まじげに展望エレベーターの方に戻っていく。
絵里は苦笑しながら肩をすくめ、そのふたりを見ていた。
確かに今日は寒い。東照宮を見たときに降っていた雪はやむことを知らずに地上に舞い降り続ける。
雪と滝の織り成す世界は確かに綺麗で、絵里は寒さを我慢しながら黙ってそれを見続けた。

瞬間、一陣の強い風が吹き抜けた。
絵里は飛ばされないように思わず持っていた傘を強く握りしめるが、風に煽られ、よろよろと前に体が進んでしまう。
体に雪が沁み込んで寒い。手袋をしていない手が悴んで、どんどん感覚がなくなっていく。吐息の白さが寒さを教え、絵里は大きく身震いをした。

―れーなぁ……

なにも考えずに、絵里は彼女の名を呼んだとき、身勝手だな、何処までもと絵里は苦笑するしかなかった。
彼女には黙って出てきてしまった。
反対されることが怖くて、もう二度と病室から出られずに何処にも行けなくなることが怖くて、勝手に此処まで来てしまったのに、絵里はいつの間にか、れいなを想っていた。
974 :Only you :2011/12/24(土) 23:07

どうしてだろう、彼女に逢いたかった。
たとえ怒られてしまっても、絵里はれいなに逢いたかった。


あの優しい声で絵里の名を呼んでほしくて
あの大きい瞳で絵里を見つめてほしくて
あの子どもっぽい顔で笑ってほしくて
あの細い指で絵里の頬に触れてほしくて
あの温かい腕で絵里を抱きしめてほしくて
あの甘い唇でもう一度キスしてほしかった。
975 :Only you :2011/12/24(土) 23:08
「ふぇっくしょい!」

再び大きなくしゃみが聞こえたところで絵里の思考が中断された。
ああ、今日は本当に寒いなあと思いながら、絵里もそろそろ移動しようかと考え始めた。

「あー、もうバリ寒か!つーか雪ヤバ!」

瞬間、絵里は「え?」と思った。
まさかと思うが振り返ることができない。

「傘忘れるとか最悪やん…こっちがこんな降っとぉとは思わんかったよ」

絵里の心臓が高鳴る。
優しい博多弁は心地良く耳に入り、絵里の凍った心を溶かしていく。ずっと聞きたかったその声が、その言葉が、確かな温もりとなって胸にこだましていた。
976 :Only you :2011/12/24(土) 23:09
「確かに滝は綺麗やけん、夏に見に来た方が涼しげでいーっちゃない?」

そう言うと彼女は絵里の隣に並んで華厳の滝を見つめた。
彼女の前髪は雪で濡れていて、頬は走って来たのか真っ赤に染まっていて、だけど彼女はいつものように笑っていた。
あのいたずらっ子のような無邪気な笑顔で「ニシシ」とその八重歯を見せた。それは歳相応の笑顔、いつだって変わらずに絵里の隣にいた、世界でたったひとりのれいなだった。

「れーなぁ…」
「おう、絵里」

なんだか少し自慢げに笑うれいなは、憎たらしいくらいなんだけど、嬉しくて愛しくて堪らない。ああ、どうして、どうしてあなたは…

「……どうして此処が分かったの?」

泣きそうになりながら目を伏せて聞く絵里に対し、れいなは肩についた雪を払いながら、ポケットの中から1枚のレシートを取り出して絵里に見せた。
それは紛れもなく、自分が先日買った、日光と京都の観光雑誌のレシートであった。ほぼ無意識のうちに棚に仕舞ったんだっけと絵里は思い出す。

「日光か京都か悩んだっちゃん。でも、温泉好きの絵里やったら、温泉の多い奥日光とか行きたいと思って」
「それだけ…?」
「それ以外になんかある?」

れいなの、さも当然だと言わんばかりの回答に、絵里は胸が締め付けられた。
この人は何処にいても私を見つけてくれる。そこに迷いなんて存在しない。絶対にれーなは立ち止まらない。私がどんな暗闇にいても、真っ直ぐな光を射してくれる。
温かくて優しいその光があるから、絵里はいままで笑って生きてこれたんだよ…れーな。
977 :Only you :2011/12/24(土) 23:09
「絵里を、連れ戻しに来たの?」

絵里はこんなにも優しいれいなに対し、自分が意地悪な質問をしていることに気づいていたが、止めることはできなかった。
此処で帰りたくはなかった。確かにれいなに逢えたことは嬉しいけれど、いま東京に戻りたくはなかった。もう少し、せめて今日だけは此処に居たかった。
そんな絵里の心を見透かしたのか、れいなは肩を竦めて笑った。

「ひとりで修学旅行は寂しいやろ?」

そうしてれいなはレシートをポケットにしまう代わりに、右手を差し出した。

「れなも日光初めてっちゃん。だけん、案内してくれん、絵里?」

それだけ言うと、れいなはいつものように八重歯を見せて笑った。
絵里はれいなを真っ直ぐに見つめる。嘘や偽りのない笑顔が何処までも綺麗で、それ以上にれいなの想いが優しくて、絵里は泣きそうになった。
978 :Only you :2011/12/24(土) 23:10

なんで。どうして。だって。だって、絵里……
こんなに身勝手なのに、弱くて怖くて此処まで逃げ出してきたのに、どうしてれーなは絵里に優しいの?
甘すぎるよ、そんなの…。
叱ってよ、れーな。
絵里は逃げ出すような弱くてダメな子だって。

ねぇ、れーな………
979 :Only you :2011/12/24(土) 23:10
「ばかぁ……」

だけど、だけどね、れーな。

「なんよ。れながバカなら、絵里はアホやん」

その優しさが、その笑顔が、れーなの愛が、ずっとずっとほしかったの―――

「ばかばかばかぁ!」

そう言いながら絵里はれいなの胸に飛び込んでいった。
せっかく迎えに来てくれたのに、真っ直ぐに愛をくれるあなたに「ばか」しか言えない自分が嫌いだったけど、それでもこんな言葉しか見つからなかった。
そんな言葉を吐き出す絵里を、れいなは優しく抱きしめてくれた。
傍から見れば、不思議な光景なのかもしれないけれど、それでもふたりは離れることなく、互いの温もりを確かめ合うように抱きしめ合った。
980 :Only you :2011/12/24(土) 23:12
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981 :Only you :2011/12/24(土) 23:12
ふたりは文字通り、日光を観光旅行した。
華厳の滝をあとにし、二荒山神社や輪王寺を巡っていると雪はどんどん深くなっていった。
観光を終え、バスに乗っていちど駅前に戻ろうとしているふたりは、車内に座っても、ずっとその手を離さなかった。

「絵里、旅館とか取ってると?」
「ううん、全然…」
「温泉行きたいとか言いながら、計画性のない奴っちゃねえ」

そうれいなに指摘されるが、絵里は言い返すことができず、ただ「むぅ」と顔を膨らませた。
よりによって今日はクリスマスイヴ。果たしてこんなドがつくほどのメジャーな観光地で、ドがつくほどの祝日にホテルの空きがあるか、れいなは気になった。
行きの電車の中で読んでいた日光のガイドブックを開き、れいなはいくつかの安いホテルに電話してみるか、もしくは駅の観光案内所で聞いた方が早いかなと考える。

「怒ってる……?」

ふいに絵里に聞かれて、れいなは顔を上げる。
不安そうに見つめるその表情は、やっぱり愛しくて、れいなはわざとらしくため息をつき、絵里に話す。
982 :Only you :2011/12/24(土) 23:13
「れなをもっと信頼せぃ」
「え?」
「絵里が行きたいっちゃったられなは連れてく。日光やろうが京都やろうが北海道やろうが、海外やって何処やって連れてく」
「れーな…」

れいなは照れ隠しのように頭をかきながら窓の外を見つめる。
雪はしんしんと降り積もり、バスの速度は徐々に落ちていった。

「怒っとぉけど怒っとらんよ、アホ」

そうしてれいなが優しく笑うので、絵里も「うん」と嬉しそうに笑った。
絵里はれいなの肩に頭を乗せてその温もりを感じていた。れいなはそんな絵里の髪を撫で、彼女の甘い優しさを感じていた。

バスは漸く、駅前へとたどり着いた。
983 :雪月花 :2011/12/24(土) 23:17
中途半端ですが、つづきはコチラで書きます
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/water/1324736169/
984 :雪月花 :2011/12/24(土) 23:18
本章構成

>>2-213 第1章
>>219-311 第2章
>>316-553 第3章
>>560-568 田中れいな生誕記念:そんなシアワセ
>>574-782 第4章
>>789-908 第5章
>>860-867 ライサバ1年記念:果てない約束
>>913-982 最終章
>>950-962 亀井絵里生誕記念:思い出とこれからと
985 :雪月花 :2011/12/24(土) 23:19
>>983でも告知しましたようにつづきは次スレで書きます
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/water/1324736169/

最後までどうぞお付き合いください。
では次スレへどうぞ

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