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青春

1 :independentgirl :2010/08/27(金) 19:08

あの時
僕に少しだけ勇気があれば
運命は変わっていたのかな。
21 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:26
れなまりん
22 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:26
地下にあるライブハウスには行っちゃあかんけんね。
それが両親の反対を押し切って東京に行く娘の背中に向かって
母が吐き捨てるように言った最後の言葉だった。
うん。わかっとう。洪水になったら溺れて死んでしまうけんね。

そしてその娘、田中れいなは今、その行ってはいけないと言われた
地下にあるライブハウスに足を踏み入れようとしていた。
夢にまで見たロックスターになるために。

暗い階段を下りるとドアの外まで爆音が響いていた。
ここかられいなの夢が始まるけん。
重いドアを全身を使って開けると爆音はさらに大きくなった。
耳が壊れそうだ。入口の男とは会話にならない。
れいなは黙って2000円出すと男は受け取り小さな紙切れを差し出した。
そこにはライブハウス名とスタンプで押した日付があった。
6月25日。今日から全てが始まるのだ。
真っ暗なライブハウスの奥にあるステージは眩しかった。
それはれいなにとっての希望の光だった。
23 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:26
「また騙されたっちゃ」
れいなはコンビニでミネラルウォーターを買って一気に飲んだ。
東京に来て早2か月。バンドをやりたいと思っていたのだが
バンドメンバーどころか友達すら出来ないという酷いありさまだった。
とにかく誰かと出会いたい。こうなったら楽器が出来なくてもいい。
楽しくお話出来る相手が欲しかった。

そんな溺れて藁にもすがりたい気持ちのれいなは
とある女の子向け雑誌を購入した。
そこには渋谷が非常に評価の高い出会いスポットであり、
ナンパに最適と書いてあった。
ならばこの渋谷にあるライブハウスもそうであろうと思ったが
みんな音楽に夢中でれいなの事など気にも留めなかった。
未来のロックスターがここに居るのに。
24 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:27
水を飲みほしたれいなはペットボトルをぐしゃりと潰した。
非力なれいななのにいとも簡単に。
最近のペットボトルの潰れやすさは異常だと思った。
こんな風にはならないっちゃ。れいなは大都会に潰されないけんね!
れいなはペットボトルをコンビニ前のゴミ箱に捨てようとしたが
潰し方が悪かったのかペットボトルより少し大きいだけの
穴に上手く入らない。ひとりで穴に上手に入れる事が出来ない!

あまりゴミ箱の前に居ると薄汚い野良猫と思われてしまう。
慌ててきょろきょろといつもよりおかしく目を動かすと
後ろに人が居た。きれいな茶髪の女の人だった。
「れ、れいな野良猫なんかじゃないけんね!かと言って
飼い猫でもないっちゃよ!」
そう。れいなは飼われてなんか居ない。自由な猫なのだ。
誰にも関わらず相手にもされない。そんな自由な猫なのさ。
25 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:27
「ふふっ」
茶髪の女は上品そうに笑った。嘲笑われた。
れいなの頭が一気に沸騰する。
「あんた、れいなを馬鹿にしたけん。わかっとーよ!」
ああ、この子は頭がおかしいのか。クスリをやっているだろうか。
茶髪の女の頭にそんな事が少しよぎった。
「ごめんなさい。あまりに貴女の仕草がかわいかったから。
れいなさんって言うの?私の名前は茉凛よろしくね」
茉凛から差し出された手をれいなは見た。
白髪ネギのように細くきれいな指だった。

「はい。これお詫びに。良かったら飲んでください」
差し出された物はビールだった。
茉凛は同じビールの缶をプシュっと音を立てて開けると
ごくりごくりと喉を鳴らして飲み始めた。
きれいな横顔だとれいなは思った。
「あら?ビールはお嫌いでしたか?」
「ビールは好かん。こんなの飲んだら癖になるっちゃ」
れいなはビールを茉凛につき返した。
茉凛は少し寂しそうな顔でそれを受け取った。
26 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:28
失礼な事をしているとれいなはわかっていた。
わかっていたがれいなは酒を飲む事は出来なかった。
というのも、血縁上は父親にあたる男にこう言われたのだ。
「酒は飲んでも飲まれるな」と。
それが血縁上は父親にあたる男の最後の言葉だった。
最後というのは地元から東京に出てきた時にそう言われて
それから電話などをしていないため最後になっているからだ。


「れいなさんの故郷はどこなのでしょうか?」
故郷の事を考えているのを見透かしたかのような茉凛の質問に
思わずれいなはビクっと反応した。
この女もしかしてエスパーなのか?
エスパーの事は大体知っている。男の子が女の子を見て
どうせ私にクンニリングしたいんだろうなとか
いやらしい事を考えているのがわかるのだ。

ひょっとすると、この女は気づいているのかも知れない。
れいなが今茉凛の事を好意的に思っている事を!
やはり母の言う事は聞くべきだったのかも知れない。
地下にあるライブハウスに行った結果れいなは溺れていた。
茉凛という海の中で!
27 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:28
実際、茉凛はれいなの怪しげな方言を聞いて東京の人ではないと
判断しただけだったが、れいなを驚かせるには充分だった。
「ま、茉凛ちゃん、あんた何者っちゃ?」
茉凛はれいなの問いかけの意味は少し考えた。
そしてカバンから一枚の紙を取り出した。
「これは?」
「私、ラベンダーというバンドでギターをやっているんです」
バンド?ギター?そこでれいなははっと気づいた。
茉凛が背中にギターケースを背負っている事に。
ラベンダーのライブ出演情報の書かれたフライヤーを持つ
れいなの手は震えていた。
運命だ。れいなは運命の出会いだと思った。
28 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:29
れいなが目を覚ますとそこは見知らぬ天井だった。
頭が痛い。風邪とは違う感じで体調が悪い。
そこではっと気づいた。昨日の夜、勢いで茉凛と酒を飲んだのだ。
そして…駄目だ思い出せない。
「おはようございます。そろそろお昼になりますよ」
茉凛の声?声のほうを見ると茉凛が居た。
そうか昨日酔い潰れて茉凛の家に泊まったのか。
「お風呂湧いてますので、よろしかったらどうぞ」

言われるがままにお風呂の脱衣所にて無駄に派手な
服を脱ぎ始めたれいなだったがおかしな事に気づいた。
股間がやけに濡れているのだ。おねしょ?いや違う。
なぜなら服を脱いだ今、体が冷えたのか尿意が凄いからだ。
おねしょしていたなら、これだけの尿は膀胱に溜まらないはずだ。
つまりれいなはおねしょしていないと考えていいだろう。
そしておそらくこのままお風呂でおしっこする事になるだろう。
いやそんな事はどうでもいい。
29 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:29
問題はなぜ股間が濡れているかだった。
まだまだ経験不足とは言え20年以上生きてきた。
そんなれいなの経験上、股間が濡れる理由は大きく分けて2通りある。
ひとつはおしっこ。もうひとつはいやらしい事をした時だ。

本当に茉凛といやらしい事をしてしまったのか?
れいなは確かめるために股間にそっと触れた。
ここを、あの美人ギタリストが上京物語したばかりの
れいなのここを、眠れない夜にたどりついたらいつも雨降りしたのだ。
そう思うとれいな自身も思わず指でタッピングしたり
アルペジオしてしまったりしていた。そして恥じた。
故郷であんなにさゆえりをレズだ淫乱だと軽蔑していたのに
こうして同じような事をしてしまったなんて。
何より他人の家の風呂で自慰行為とか最低すぎるじゃないか。
我に返ったれいなは大慌てで水を浴びて目を覚ました。
30 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:29
れいなが風呂からあがると食事が用意されていた。
まるで実家に帰ってきたかのような安堵感がれいなを包み込む。
まだ酒が残っているのか吐き気がするが茉凛が言うがままに
小さなテーブルの向かい側に座った。
座布団が2枚重ねになっている。
これだけで茉凛の素晴らしい人格がうかがい知れる。

れいなは茉凛の顔を見れなかった。
記憶にはないが昨日の夜、ふたりは越えてはいけない
関係になったかも知れないのだ。
「れ、れいな昨日の事覚えてなか。どげんしとったっちゃ?」
れいなは恥ずかしくて死にそうだった。
さゆえりがそんなれいなを見たら、じゃあ死ねなの。と言うだろう。
しかし茉凛はほのかに笑ってれいなの手に手を重ねた。
「昨日の夜な素敵な夜でした。れいなさんの事をいっぱい知る事が出来て。
れいなさんの夢素敵だと思います。ロックスターになるんですよね」
31 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:30
れいなの血色の悪い顔が見る見る赤くなる。恥ずかしい。
戸籍上は母になる女にもそんな事は打ち明けられなかったのに。
「茉凛ちゃんのギターをバックにれいな歌いたい。そう熱く
私に語ってくれましたよね。ありがとうございます」
れいなは嬉しくて泣きそうだった。夢みたいだ。
酒に酔って調子に乗って喋ったらバンド仲間が出来ていたのだ。
シラフだとそんな事なかなか言えない。
お酒って便利っちゃとれいなが思ったその時だった。
「でも…」
「でも?」
「れいなさんと活動はできません。なぜなら私はラベンダーという
バンドのメンバーで他にボーカルが居るからです!」
そこかられいなはまた意識を失った。
32 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:30
気がつくとれいなは公園でキコキコと音を立ててブランコをしていた。
失恋。そんな言葉がぴったりだった。
また裏切られた。あの日絵里にされたように。
春が来たと思われたれいなの心に春夏秋冬が駆け巡り
気が付くとれいなに心に冬が訪れていた。
れいなは泣いていた。さゆえりはれいなの希望は奪っても
身体までは奪わなかった。それなのに茉凛は奪ったのだ。
意識を失ったれいなの身体を使ってとびきりのギターソロを奏でたのだ。

許せないっちゃ。れいなはあの女に復讐をする。
相手がギターならこっちはボーカルだ。
夜のマイクであの女をシャウトさせてやるけんね。
れいなは立ち上がりいつも使っている夜のマイクを取りに
自身が住むマンスリーレオパレスに向かって走った。
れいなの戦いが今始まる!
33 :れなまりん :2013/06/23(日) 04:31
未完!
先生の次回作をお楽しみに!

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