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彼女の革命

1 :名無飼育さん :2008/11/16(日) 23:42
幻板「彼女の魔法」の続きみたいなものです
登場人物の年齢と性別をかなりいじっています。苦手な方はお読みにならないほうがいいかと思います
突然エロになる可能性もありますので、15歳未満の方、心がピュアな方もお読みにならないほうがいいかと思います
720 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:55
(マジかよ)
(マジマジ)
(マジで真野?)
(うん、マジで真野)
目線で会話をしていると、夏焼くんの番になった。

真野?なんで真野?

頭の中はとても混乱していたが、シュートはきっちり決める。

夏焼くんは振り返って久住くんを見る。
バスケに夢中で、真剣な横顔。正直かっこいい。
モテないはずないって思う。だけど、だけど、そりゃねえよ。

(…愛理ちゃんはどうなんだよ)
721 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:56


「えっ、どういうこと?」

その話を梨沙子ちゃんにすると、彼女の表情が険しくなった。
彼女の隣をゆっくり歩く夏焼くんは首をひねるしかなかった。

「久住さん、カノジョいないって言ってたじゃん」

彼女は明らかに怒っていたけれど、何とも言えない夏焼くん。

「カノジョいるのに愛理と仲良くなろうとしてたってこと?」
「わかんないよ。小春に直接聞いてみないと」
「とにかく、小春に聞いてみるから。愛理ちゃんにはまだ
黙っててよ」
「当たり前だよ…」
722 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:56


帰宅した夏焼くんは何をするよりもまず久住くんに電話をかけた。
でも、久住くんは出なかった。何回かけても、出なかった。

「なにやってんだよ…」

いらだった様子で呟いて、ケータイを投げ出す夏焼くん。

よくよく考えてみれば、久住くんが転校してきてまだ1ヶ月も経っていない。
それなのに、もうまのえりちゃんと付き合ってるなんて。
手が早い。早すぎる。そんなの恋愛上手すぎる。
あいつ童貞のくせに!(夏焼くんはそう思い込んでいる)

『もしぼくが勝ったら、可愛い女の子を紹介してよ。
恋人のいない、フリーな女の子』

その約束をして、愛理ちゃんを紹介して、
彼女とうまくいってくれたらとずっと思っていた。
彼女は失恋したばかりだったし、久住くんにもカノジョが
いなかったんだし、2人とも幸せになって欲しいと。
だけど、もし久住くんがまのえりちゃんと付き合い始めたのなら・・・
723 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:56


新垣法律事務所。

「あっ、安倍さん。おかえりなさい」

安倍さんが外出先から事務所に戻ってくると、
他の弁護士仲間たちが輪になって固まっていた。
なんだなんだ。トラブルか。安倍さんは彼らに近づいてゆく。

「どうしたんですか?」
「ねぇ、安倍さん知ってた?所長の坊ちゃんの話」
「坊ちゃんさ、ピースカンパニーの社長令嬢と付き合ってたでしょ」
「でもその社長令嬢、KBMの御曹司と婚約が決まったんだって」
「それで、坊ちゃん、彼女と無理やり別れさせられたらしいんだ」
「ひどい話だよな。昼ドラかよ」
「だから、所長、それでかなり落ち込んでるらしいの。
息子の幸せを奪ってしまった、って。かわいそうだと思わない?」

『私は、最低の親なのかもしれないな…』

安倍さんはあの日のことを思い出していた。
どうして所長はあんなことを言ったのだろうとずっと考えていた。
あの言葉は、そういう意味だったのか。
724 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:57
所長の坊ちゃんとは、連絡先を交換してからしばしば
メールのやりとりをしていた安倍さん。
帰宅するため乗り込んだ車の運転席で、携帯電話を取り出す。
坊ちゃんあての、新しいメールを作成する。

坊ちゃんは自分の将来についてとても悩んでいるようだった。
父親のように優秀な弁護士になれるのかという、
大きなプレッシャーで押し潰されそうになりそうだとか、
それよりもまず司法試験にちゃんと合格するのか不安だとか。
男のくせに超長文メールを安倍さんに送ってきていた。
全部読むのはさすがに目が疲れたけれど、
少しでも力になってあげたかったから、がんばって返信もした。

でも、悩んでいたのはきっとそのことだけじゃない。
恋人との未来についても、苦悩していたはずだ。

困っている人を放っておけない、おせっかいな性格を自覚している安倍さん。
だからこそ弁護士という職業を選んだんだし、
やっぱり、坊ちゃんのために何かしてあげたい、と強く思っていた。
725 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:57


リンリンリリン、リンリンリリン。

さっきから久住くんの携帯電話は何度も鳴っていた。
だけど、久住くんはそれをチラリと見るだけで、
読書をやめようとはしなかった。

クリストファーが久住くんのそばに心配そうに立っている。

「ボス。鳴ってますよ」
「うん、知ってる」

顔も上げずに答えた久住くんは、本の次のページをめくる。

「出なくていい」

そして、そう冷たく言って、真面目に本を読み続けた。
726 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:57


*****



727 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:58
次の日。
朝の練習が終わった男子バスケ部の部員たちが、
体育館の中からぞろぞろと出てきている。

「小春」

夏焼くんは、1人で部室に向かっていた久住くんを呼び止めた。
でも久住くんは歩くのをやめず首だけ振り返る。

「なに?」
「あのさ」
小走りで久住くんの横に並ぶ夏焼くん。
タオルで汗を拭きながらスタスタ歩く久住くんは、
夏焼くんの顔をまったく見ない。
その態度はとてもクールで、なんか威圧感というか、
話しかけづらい雰囲気を感じた夏焼くんは少し動揺する。

「…」
「なに?」
久住くんは強い口調でもう一度言う。
見かけによらず気の弱い夏焼くん。うっ、となる。
結局何も聞けないまま、部室にたどり着いた。
728 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:58

どうも様子がおかしい。

転校してきてからいつも授業中は張り切って
手を挙げていた久住くんが大人しい。
夏焼くんは後ろを振り返って久住くんを窺う。
ぼんやりとした表情で教科書を眺めている。
いつもの目の輝きが、今日は全然ない気がする。

なんか、あったのかな。
昨夜、全然電話に出なかったし。
なんて思いながら、夏焼くんはまた前を向く。
すると教壇に立っている安藤先生とバチッと目が合ってしまう。
わざとらしいけどニカッと笑顔を作って、誤魔化した。

昼休みになったら、少し話をしてみよう。
そう決めた夏焼くんは、机に突っ伏した。
729 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:58

そして昼休み。

「あれ、小春は?」

授業が終わって、夏焼くんが後ろのほうの席に行くと、
徳永くんと須藤くんの姿しか見当たらなかった。

「トイレじゃない?」
「あー、マジ腹減った。早く食堂行こうぜ」
「…」

教室の出入り口を見つめる夏焼くん。

「ちょっと探してくる」
「うえっ?」

駆け出した夏焼くんを見送って、残された2人は顔を
見合わせ首をかしげた。
730 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:58

夏焼くんはとりあえず近くの男子トイレに向かった。
だけど、久住くんはいない。やっぱりおかしい。
廊下に出て、周りをきょろきょろ見回しながら走る。

「あっ、みーやん」
「ツグさん」

すると、両手に今日のお昼ご飯を抱えた桃子ちゃんとすれ違う。

「小春見なかった?」
「久住くん?さっき階段ですれ違ったよ」
「どこの階段?」
「すぐそこのだけど」
「ありがとう」
「えっ、なに」

また走り出した夏焼くん。
何だかよくわからない桃子ちゃんは首をひねった。
731 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:58
階段を上って、3階までたどり着く。
勢い良く扉を開けて、屋上に出る。

カップルがちらほらいるけど、久住くんはいない。
ため息をひとつついて、校舎の中に戻る。

「どこ行ったんだよ…」

夏焼くんは小さな声で呟く。
誰もいない3階の廊下を、とぼとぼ歩いている。

「…?」

なぜか、音楽室のほうからピアノの音色が聞こえてきた。
そこまで行って、夏焼くんは中を覗く。

(小春!)

ものすごく真剣な表情で、久住くんはピアノを弾いていた。
ピアノとか全然弾けない夏焼くんは、慣れた手つきで
鍵盤を押さえている久住くんをまじまじと見つめた。
732 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:59
何なんだろう。この話しかけづらいオーラ。
なんか、何も聞いちゃいけないような、何も聞かない
ほうがいいんじゃないかみたいな、そんな感じ。

転校してきて、仲良くなって、一緒にバスケもするようになった。
だけど、まだまだ久住くんのことをほんの少ししか知らない。
家庭の事情とか、いま悩んでることとか、全然知らない。
人懐こいニコニコ笑顔で、元気な久住くんしか知らない。

廊下から、夏焼くんがずっと久住くんを見つめていると、
久住くんは突然ガン!と乱暴に鍵盤を叩いた。
その大きな音に驚いた夏焼くんだが、とても厳しい表情の
久住くんにも驚く。あんな怖い顔、するんだ。

昨日、電話に出なかったのだって、何か理由があるのかもしれない。
気になるけれど、久住くんのことをもっと知りたいのだけれど、
今は、1人にしておいたほうがいいのかもしれない。
なんとなくそう思った夏焼くんは、静かにその場を後にした。
733 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:59


*****



734 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 22:59
ガキさんが家庭教師のために訪れている前田邸。

「おお、すごい!よくがんばったねー」

返ってきたばかりの小テストの結果を見せられて、
ガキさんはオーバーなくらい大きなリアクションをした。

「いえ…先生のおかげです」

褒められたけど謙虚な憂佳ちゃんは耳まで真っ赤にして、
モジモジしながら照れている。
純粋というか純情というか、可愛らしいなあ。
ついつい頬が緩んでしまうガキさん。

イマドキの女子中学生はもっとおませで生意気なもんかと
思っていたけど、憂佳ちゃんは全くそんなことなかった。

「わたし、ハロ高の特進クラスに行きたいんです。
だからこれからもがんばって勉強します」

ガキさんは優しくウンウン相槌を打ちながら、
彼女の話を聞いてあげる。
735 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:00
「これ、パパとママに見せたら、すっごい喜んでて、
新垣先生のおかげだねって言って」
「いやいや。これは憂佳ちゃんの努力の結果なんだからさ」
「でも、先生と一緒に勉強したから、点数が良かったんです」
「えー、そう?」
「はい」
ニコッと笑った彼女。うん。可愛い。
ガキさんは彼女に優しく微笑みかける。

ブーブー

「うおっと」
ポッケの中の携帯電話がいきなり震えだして、
ガキさんはビクッとした。
「電話ですか?」
「いや、たぶんメール」
「もしかして、カノジョからだったり」
「いやいやいやいや…」
女子中学生の言葉を必死で否定したガキさんは、
一応メールの相手を確認する。
736 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:00
受信箱の一番上には”安倍なつみ”という名前があった。

「……」
「やっぱりカノジョだ」
憂佳ちゃんがなぜかうれしそうに言う。
いやいやいやいや。ガキさんは苦笑する。

実は安倍さんから来週の金曜日に食事に誘われているのだ。
最近、美味しいレストランを見つけたから、と。
その日は特に大事な用事がなかったし、家庭教師もないし、
せっかく誘われたのだから『行きます』と返事をした。
今来たメールはきっとそのメールの返事だろう。

ケータイをまたポッケに仕舞ったガキさんは、
ぱん、と手を叩く。

「さあ、そろそろお勉強を始めようか」
737 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:00


ブーブー

帰宅途中の車内。
安倍さんからのメールを確認して、返事を打っていると、
電話がかかってくる。絵里ちゃんからだった。

「もしもし」
『あ、ガキさん?もう終わった?』
「うん終わった。いま帰ってるとこ」
『そう、お疲れさま』
「どうしたの?」
『あのね、来週の金曜のことなんだけどさ』
「うえっ?」
『あれ、言ってなかったっけ。松浦さん家のパーティ』
「うん。聞いてないけど」
『うっそー。でも大丈夫だよね?ガキさん来れるよね?』
「行けないよー。用事ある」
『えぇ、用事って何の用事?』

ここは、安倍さんと食事に行く、と正直に言うべきところだった。
だけど何を血迷ったか、ガキさんの口からぽろっと出てきた言葉は・・・

「ケンちゃんとさ、会う約束してるんだよね。
なんか、相談したいことがあるらしくて」
738 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:01
ガキさんと仲良しのケンちゃんの名前を出されて、
絵里ちゃんはまったく疑う様子もなく納得してくれた。
良いような、悪いような。いや、全然良くない。

何でこんな簡単にウソなんかついてしまったのだろう。
彼女にウソなんて、今までついたことないのに。
ついてもどうせすぐバレるって、そう思っていたのに。

いざウソをついてみると、彼女は全部信じてしまう。
ウソなのに。ケンちゃんとなんか会わないのに。

ああ!なんてことを!
ガキさんはすぐに後悔したけれど、言ったことを
引っ込めるわけにもいかずに、電話を切ってしまった。
しかしながら、バレなきゃいいや、なんて開き直ることもできず、
悶々とした夜を過ごすことになってしまったのだった。
739 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:01


*****



740 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:01

あおーげばーとおーとしー 

3月に入り、湾田高校では卒業式が行われていた。
田中くんは『仰げば尊し』をみんなと合唱しながら、
高校3年間の思い出を振り返っていた。

高1のときに初めてカノジョができて、童貞も捨てた。
柔道もめきめき強くなって、湾田高の大将にもなった。
斉藤くんや林くんと同じクラスになって、バカばっかりした。

「ちょ、タナやん、なに泣いてんだよー」
「泣いとらんし!ていうかおまえが泣いとるやん!」
「だってー」
うわーん。斉藤くんがボロボロと涙を流している。
子供か。田中くんは呆れながらも、溢れてくる涙を制服の袖で拭う。
大人の林くんは笑いながら2人の頭を優しく撫でている。

「別に、卒業したってまた会えるだろ」
「そうだよな。うん。そうだよな」
「そうそう」
741 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:01
高2のとき、大金持ちのお嬢様と合コンで出会い、短く切ない恋もした。
大好きだった。でも、ささいなことで別れてしまった。
後悔して、もう恋なんてする気になれない。そこまで思った。
そんな傷心の田中くんを癒してくれたのは、道重さゆみだった。

「れいなぁ!」

式が終わった後、会場の体育館から出てきた田中くんは、
自分の名前を呼ぶ声に振り返った。

「さゆっ!?」

なぜか私立のハロ高の制服を着たさゆみが、
田中くんのところへ一直線に駆け寄ってくる。
メガネをかけて、地味なおさげ髪で、スカートも長い。
なんちゅう変装や。田中くんはちょっと引きながらも、
闘牛のように突進してくる彼女をしっかり受け止める。
まだたくさん生徒たちがいる渡り廊下で、抱き合う2人。
うっひょー。斉藤くんは思わず林くんに寄り添う。
742 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:01
「卒業おめでと!」
「ちょ!!」
田中くんは恥ずかしいのでさゆみから離れようともがくが、
彼女はメチャクチャな力でぎゅうぎゅう抱きしめてくる。

(あれ田中のカノジョ?)(マジ?地味っ!)(ハロ高かよ)
(てか公衆の面前でありえなくない?)(ありえなーい)
クラスメイトの派手なギャル集団が、抱き合う田中くんたちを
冷めた目で眺めながら通り過ぎてゆく。
その視線が快感だったのか、さゆみがさらに興奮して、
田中くんのほっぺにブチューっとキスをかました。

「…もう勘弁して…マジで」
「もー、照れちゃって。かわいいんだから」

やっと解放されて、田中くんはぐったりしながらさゆみを見た。
さゆみはその場でくるっと1周まわって、「似合う?」

言いたいことが色々あったけど、優しい田中くん。
「似合っとうよ。チョー可愛いやん」と普通に言って、彼女を喜ばせた。
743 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:02
その夜。
とあるお店で田中くんたちの卒業おめでとうパーティが行われていた。
パーティの主催者はもちろん道重さゆみ。
そして今夜は貸切のこのお店は、彼女の所属する事務所の女社長が
小銭稼ぎで始めたお店だった。

「ほんまに卒業おめでとう!」
「ありがとうございます」
田中くんは、ビールジョッキを掲げてきた女社長に笑顔で応えた。
コーラの入ったグラスをジョッキに合わせて、乾杯する。
「なんや、ビールやないんか」
「当たり前じゃないですか。まだ未成年ですよ、ボク」
そんな優等生発言をした後、イヒヒ、と笑う田中くん。
関西弁の女社長もアッシャッシャと高らかに笑う。
「じゃあ、ハタチになったら飲もうな。お姉さん、おいしいお酒、
いっぱい知ってるから」
「ハイ」
「もー、中澤さんったら、お姉さんって歳じゃないでしょ」
さゆみが2人の間にゴリゴリっと割り込んでくる。
彼女の手にはカクテルの入ったグラス。
それで何杯目なのか、彼女はかなりハイテンションだった。
744 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:02
「それにしても、れいなのおともだちはイケメンぞろいやなぁ」

パーティに参加している男性陣を、舐めるような視線で見つめる中澤さん。
バカみたいに騒いでいる斉藤くんに、その横でクールに微笑んでる林くん。
柔道部の仲間たち。それから、可愛い後輩たち・・・

「ねぇねぇ、あそこにおる子たちは何なん?」

田中くんは首を伸ばして、中澤さんが指差した先を見る。
そこでは田中くんと同じ学校の制服を着た高校生たちがおしゃべりしていた。
夏焼くんと須藤くんだった。ちなみに愛佳ちゃんもいた。

「あそこにおるのは、仲良い後輩です。夏焼に須藤に、あと愛佳」
「愛佳ぁ?」
さゆみが眉をひそめて田中くんをにらむ。
そして、カレシのアゴをぐいっと掴む。
「なに馴れ馴れしく下の名前で呼んじゃってんの?デキてんの?」
「でっ、デキとらんって。何言いよん」
「あやしい」
目を細めながら、さゆみが迫ってくる。
田中くんの顔は嫌な感じに引きつる。
745 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:03
「あやしい」
「あやしくないあやしくない!」

中澤さんはニヤニヤしながら2人を眺めているだけ。
ちょっと!仲裁くらいしてくれよ姐さん!
田中くんは心の中で助けを求めるけれども、
そんなの知ったこっちゃない彼女はフンフン鼻歌を
歌いながらお酒を飲んでいる。

「ていうか愛佳は、須藤とデキとるやん」
「え?」
「あれ、言わんかったっけ。付き合い始めたって」

さゆみがバッと愛佳ちゃんのほうを見る。
なんか須藤くんと隣同士で座ってて、妙にくっ付いていた。
あれは恋人の距離だ。付き合ってるに違いない。
勘の鋭いさゆみは、そう断定する。
その瞬間、田中くんのアゴを持つ手を離して、
ニコッと笑顔になる。
746 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:03
「そういえば、雅くんのカノジョはなんで来とらんと?」
「梨沙子ちゃんはまだ中学生やけね。誘っとらん」
「へぇ。オトナ」
「やろ?」
イヒヒと笑うと、さゆみがもたれかかってくる。
田中くんは彼女の黒い髪を一度撫でる。
すると彼女はすぐにまた元の体勢に戻った。
なんでかと思ったら、1人の女性がこちらに
向かって来ていたからだった。

その女性に気づいた中澤さんが手を挙げる。
「おお、なっち!」
「ごめん遅くなって。なかなか仕事片付かなくてさ」
両手を合わせて謝ったなっちは、田中くんに微笑みかける。
「本日はどうもご卒業おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「安倍さんって毎日ホントによく働きますよねぇ」
さゆみが感心したように言う。
いやいや、と手を振って否定するなっちこと安倍さんは、
ヨッコラショと中澤さんの横に腰を下ろした。
747 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:03
「そんなに働いてたら、カレシに捨てられちゃいますよ」

冗談で言ったつもりのさゆみは、ニコニコ笑顔の安倍さんの
目が笑ってないのに気付いて田中くんを見る。
(まさか地雷踏んじゃった?)
(…そうみたいやね)
中澤さんも微妙な顔になっている。
さゆみはアハハと笑い飛ばして、ぐいっとお酒を飲み干した。


パーティがお開きになってから、安倍さんは中澤さんと
ゆっくりお酒を飲んでいた。

「あのね、裕ちゃん」
「ん?」
裕ちゃんこと中澤さんは、安倍さんを見る。

「別れちゃった」
「…やっぱりな」

中澤さんの反応に、安倍さんはアハッと笑う。
748 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:03
「もう、これ以上付き合えないって言われちゃった」
「だから君は仕事しすぎなんやって。がんばるのもええけど、
休むときはちゃんと休まんといつか身体壊すで」
「うん。前、お母さんにも同じこと言われた」
「仕事、やっぱり忙しいん?」
「実を言うと、そうでもないんだよね。でも勉強しなきゃ
いけないことまだまだあるしさ、休んでる暇なんてないの」
「相変わらず真面目やなぁ」

頬杖つきながら安倍さんを見つめる中澤さん。
安倍さんは楽しそうにお酒を飲んでいる。
その充実した横顔といったら。
けっこう長く付き合っていた恋人と別れて、
ちょっとは落ち込んでるかと思っていたけども、
そうでもないようだった。安心というか、何と言うか。

「あ、そうだ」
どっかのおばちゃんみたいな仕草で、安倍さんが手を叩く。
「今度の金曜の夜、ここ来ていい?」
「なんやいきなり」
「ちゃんこ鍋のコースで」
「別にいいけど、何人で来るん」
「2人。なっちと、坊ちゃん」
「坊ちゃん?」
749 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:04
「うん。所長の坊ちゃん」
「ボンボンか」
「そ。なんかその坊ちゃんさ、いま色々大変みたい
だからさ、お姉さんが相談に乗ったげようと思って」
「恋の悩みか」

中澤さんのツッコミを聞いて、安倍さんは少し考える。
恋の悩み?そうだ。坊ちゃんは今、大変なのだ。
恋人が政略結婚させられようとしているなんて、
まるでドラマみたいなのだ。正直実感がない。
無理やり別れさせられるって、一体どういう状況なのだろう。

いやいや。安倍さんは首を振る。
興味本位で、軽い気持ちで、彼と会おうとしているわけじゃない。
ちゃんと悩みを聞いて、相談に乗ってあげたいのだ。
本能が叫んでる。坊ちゃんの力になってあげたい!って。
そして、悲しんでいる所長にも、元気を出してもられえたらと。

安倍さんの脳裏には、あの日の所長の顔が焼きついている。
所長はいつも自信満々で、どんなことにも動じない人だと思ってた。
だけど、あのときはとても弱い人に見えた。ビックリした。
息子の一大事は、父親の一大事でもある。
あの人たちの、ほんの少しでも役に立てればと、そう思っていた。
自分の別れ話なんて、とっくの昔に忘れ去っていた。
750 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:04

つづく


751 :彼女の革命 :2009/09/09(水) 23:04

从*・ 。.・)<地雷踏んでも無傷なの
从*´ ヮ`)<ヒヤヒヤしたばい


752 :名無飼育さん :2009/09/10(木) 03:33
更新キター!!
いろんな話が急展開でハラハラします!
753 :名無飼育さん :2009/09/13(日) 22:57
(●;´ー`)<大丈夫だべ、うん。…大丈夫だべさ。
754 :名無飼育さん :2009/10/07(水) 22:48
あぁいつものガキカメに戻ってよ
はやくいつものいちゃこらしてるのみたいよ
755 :りしゃみやヲタ :2009/10/09(金) 16:15
久々に読み返してみました
いまとなっては熊井ちゃんの不可解な行動にも納得の行くほどのベリ好きになりました。私。
ありがとうございますw
756 :名無飼育さん :2009/10/31(土) 21:58
いつまでもお待ちしております
757 :名無飼育さん :2009/11/02(月) 13:12
待ってます
758 :名無し募集中。。。 :2009/11/02(月) 18:07
楽しみに待ちつつも、
びっくりしたんで落とします。。。
759 :sage :2009/11/19(木) 01:07
更新待ってます(>_<)
760 :sage :2009/11/19(木) 04:16
もー
761 :名無飼育さん :2009/11/19(木) 04:18
落とします
762 :名無飼育さん :2009/12/31(木) 15:10
HPのブログすら更新してないけど
大丈夫なんだろうか
763 :sage :2010/01/04(月) 03:37
>>762
お主が書き込んだちょいと後にブログ更新きてたぜ
取り合えず生きてるみたい・・・気長に待つかな
764 :名無飼育さん :2010/01/04(月) 03:39
みすったOrz 
765 :名無飼育さん :2010/05/02(日) 19:56
ゆっくり更新してください
ずぅーっと待ってます
766 :名無飼育さん :2010/05/06(木) 18:40
あげんな
767 :名無飼育さん :2010/05/08(土) 21:02
待ってます
というよりAKBに流れそうで心配です
768 :名無飼育さん :2010/05/08(土) 21:03
すみません
769 :名無飼育さん :2011/06/24(金) 18:06
まだまだ待ってます

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