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ラブリー×パーチー

1 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:50
                      TT
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        |  .:;i.l |   ラブリー × パーチー   | l.i;:.   |
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        ザ゙ルソバヽ___ 〃ハハヽ _ ______|
        从*・υ.・)     |イチ ^∀^イ |
         (  /ノババ / ̄ヽ/,― 、\ o。。。 〃ノノノ从ヘ 〃ハヽゞ
       .$\株\$ノ;^ー^)| ||三∪●)三mΕ∃ (’ー’i|l川从;´ヮ`)
       (*・e・) (  ) \_.へ--イ\  ゚ ゚ ゚  ( )    ( )
     __゚しJ゚  | ||    |(_)(_)|   || |     | ||_
     □____ ̄ ̄ ̄ ̄~~~~~~~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__□
::::::::::::::::::::□__   愛ちゃんと愉快な仲間たちと大統領   _□ ::::::::::::::::
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2 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:50

9月某日。天王洲スタジオ。

中澤「お、高橋やないか」
高橋「あ、なかざーさん、おあよーございます」
中澤「はい、おはよ。それにしても、あんたら、大変やなあ」
高橋「はい?」
中澤「今日、収録もないのに呼び出されたんやろ?」
高橋「あ、はい、そうです。なんか昨日急に、電話で全員集合って」
中澤「ドリフ世代でもないのに大変やなあ」
高橋「はい?」
中澤「いや、それはええわ。大変つっても、昔は毎日のことやったさかい」
高橋「はあ……」
中澤「それより、集合九時なんやろ?もう五分遅刻してるで」
高橋「あ、ほんとだ、急がんと……」
中澤「遅刻の言い訣(わけ)、考えといた方がええで。それもピントが外れたやつ」
高橋「えーと、はい?」
中澤「普段は一時間くらい平気やろうけど、今日は五分やろうと言い訣した方がええで」
高橋「言い訣……、ですか?」
中澤「そそ。素直に言い訣するんや。開き直るんやなくて、逃げる感じやな」
高橋「あの、それは……」
中澤「ま、行ってみればわかるわ。ほな、うちはもう用事済んださかい。ばぃなら〜」
高橋「行きんさった……。なんだったんやろ。誰かおるんやろか?」
3 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:50

三分後。天王洲スタジオ。某控え室。

高橋「みんな、おあよー」
新垣(やっと来たか……。五分とはいえ、こんな日に遅刻するとは……)
亀井(はあ……、これで一人分は楽になった……;)
道重(リーダーのくせに遅刻か……。でも、そのおかげで格好の標的かも……)
田中(やっぱり昨日のアレでかなあ;。お持ち帰りされてたもんなあ……)
久住(合コンの翌日って、高橋さん、微妙に遅れるからなあ;。別に誰も何も訊かないのに)
光井(また説教が……;、いや、糾弾が始まるのか……;)
ジュン~(……;)
リン~(……;)
高橋「えーと、みんな、あの、おあよー……;」
高橋(うわあ、どうしなさったんやろ。無視は慣れてるけど、みんな黙りこくってる……;)
高橋(ていうか、なんか、見覚えのない人が一人……)
**「おい、おまえで最後か」
高橋「はい?」
**「おまえで最後かって、聞ーてんだよ。これで全員か」
高橋「えっと、あー、はいはい、そうですね、最後です。全員います」
高橋(な、なんなんやろこの人。なんか勝手に仕切ってるみたいやけど……;)
**「そうか。これで全員か。てことは、おまえはみんなを待たせたわけだな?」
高橋「えーと、あ、はい。そういうことになります」
高橋(なんかとてつもない負のオーラが……。自分以外でこんな人がいるなんて……;)
4 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:50

**「そういうことになります?」
高橋「あ、いえ、そうです。はい、遅刻しました。すいません」
**「すいません、じゃ、ねーだろ!」
高橋「ひぃっ……。あ、あの、えーと、えーと;」
高橋(なかざーさんがいってたのは、このことか。たしか、言い訣しろって……)
高橋「あ、あのですね、遅刻したのには、わ、わ、訣がありまして……;」
亀井(おいおい;、言い訣なんてしたら、火に油どころかガソリン地獄だろ;)
新垣(まじかよ;。頼むから空気読んでくれ。怯えた仔犬がいることに気づいてくれ;)
高橋(どうしよ、言い訣とか全然考えてなかったし。それに遅れたのは昨日の……)
**「訣? どんな訣だ?」
高橋「は、はい;、あの;、あのですね;、えーと;、昨日;、そう、昨日ですね……;」
高橋(うわわっ;。つい、昨日に限定してしまった;。たしかに昨日はアレだったけど……)
田中(ここは正直に言ってくれた方が助かるっちゃけど……)
久住(これだから男狂いは……。どうせ朝まで$&%なんだろうけど……)
高橋「あの;、その;、なんというか……;」
田中(もう言うしかないっちゃ!言わないなら、れいながとどめを……!)
田中「あの! 高橋さんは昨日、合コンで一番のイケメンにお持ち帰りされました!」
高橋(な、なんですとーーーー!Σ)
5 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:50

田中「だから、遅れたんだと思います!」
田中(言ってやった……。言ってやったったい。イケメンをゲットした恨みは恐かねえ)
亀井(まじかよ……;。田中と高橋め。最近妙につるんでると思ったら……)
**「おい、今のモヘンジョ太郎の話は本当か」
高橋「へっ? モヘンジョ、太郎?」
**「今発言した奴のことだ。モヘンジョの話は本当か?」
高橋「あ、あの、えーと、そ、その、モヘンジョ太郎の話は本当なんですけども……;」
高橋(なんか勝手にあだ名つけられてるっぽいけど、今はそれどころや……)
高橋「ただですね……、ただ、そう、その後でですね……;」
高橋(考えないと。まさか朝まで$&%してたなんて言えないし……)
高橋「あ、そ、そうなんです! お持ち帰りされたんですけど、そのお持ち帰り先ってのが、
   ……彼の実家だったんです! それも、四人家族どころか、そう、四世代同居!」
新垣(うわわわわ……;。そ、そんな意味不明な言い訣が通用するはずが……;)
高橋「それで、彼のひいおじいさんの疎開時代の話を朝まで延々と聞かされ続けて……」
**「四世代同居……。ひいおじいさん……。疎開時代の話……」
高橋「は、はい;、そ、そうです;」
**「じゃあ、仕方ないな」
高橋「へっ?」
**「疎開時代の話じゃ、断れないからな。うん、許す」
一同「えええええーーーーーΣ」
6 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

**「よし、じゃあ座ってくれ。えーと、おまえ、名前は何だったっけ?」
高橋「高橋です。高橋愛です」
**「うん。じゃあ愛ちゃん。座って」
田中(ガビーーーンΣ なぜか名前で呼ばれてる! みんな勝手につけられたのに!)
新垣(おいおい……、そこはイケメン疎開Wとか、そういうニックネームつけるべきだろ)
**「それじゃ、始めるとするか」
一同「は、はい;」
**「全員に集まってもらったのは他でもない。
    みんなわかってると思うが、今のモーニング娘。には救世主が必要だ」
一同「は、はい;」
**「俺としても、本意ではないんだが、あそこまで頭を下げられちゃ、
    断るわけにもいかないわな。昔お世話になった義理ってもんもあるんだし」
一同「は、はい;」
**「それに、実際、実績ってもんもあるわけよ。ま、みんな当然、承知してると思うが、
    あの不動の人気を誇った国民的ユニット、タンポポに勝ったどころか、
    圧倒的な大差をつけて、ミリオンヒットまで記録したわけだからな。俺のユニットは」
高橋「タ、タンポポ、ですか;?」
高橋(ということは、この人は……プッチモニの……;)
新垣「ハッ! い、市井紗耶香かあああああ!!!」
高橋(あ、あの伝説の……! こ、この人が……!)
亀井(た、たしか勘違いを極めたメンバーがかつて存在したって……)
道重(こいつが市井だったか……。くっ、なんとなくそんな気はしてたけど……)
久住(……誰?)
7 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

市井「おい、鼠コロッケジローラモ」
新垣「は、はい;」
市井「おまえ、今、人様の名前を呼び捨てにしなかったか?」
新垣「あ、あの;、えーと、あ、そうそう、そうなんです! それには訣がありまして、
    鼠コロッケジローラモこと私、新垣里沙がまだ小さい頃にですね、
    コンサートでプッチモニのパフォーマンスを拝見しまして、感銘を受けましてですね、
    さっきのように、声援を送ってたんです。そのことをふと思い出しまして、
    それでまあ、感極まったというか、つい一ファンに戻ってしまった次第でして」
市井「ふーん、なるほどな。まさかネズコロがプッチのファンだったとはな、見直したぞ」
新垣「ははあ、ありがたき幸せ」
亀井(なんてあからさまなオベッカ使い……;)
市井「とりあえず、愛ちゃんとネズコロの二人は、まあいいだろう。
    見たところ、かなりの戦力になりそうだからな。素行もよさそうだし」
亀井(ということは……、さっき言ってた救世主って、この人が復帰するってこと?)
田中(う、うわあ、一人一人を嘗めるような目で吟味しよっちゃ……)
市井「うーむ。とりあえず、モーニング娘。にはある程度の人数が必要だからな。
    減らすのは一人くらいか。ま、つんく♂からも一人で我慢してくれって言われてるし」
亀井(そんな権限まで……;)
道重(リ、リストラ……;)
市井「おい、混ぜるなスナフキン」
亀井「は、はいっ;!」
市井「モーニング娘。に必要なのは何だ?」
亀井「え、えーと……;」
8 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

市井「答えるのは一つでいい。だが、ま、それで正解としよう」
亀井「は、はい;?」
市井「今、混ぜるなスナフキンが答えたように、絵は必須の要素だ。
    番組でフリップに絵を書く。ただそれだけのことだが、それも大事な仕事だ。
    上手下手は関係ない。いかにして自分をアピールするか、その手段の一つとして、
    絵という答えはなかなかだ。よし、マゼキンも合格だ」
亀井「あ、ありがとうございます;」
田中(そんなのありかよ……;)
市井「よし次、台所仮面!」
道重「は、はいっ;!」
市井「じゃあ逆に、モーニング娘。に必要でないのは何だ?」
道重「え、えーと……;」
市井「よし、正解だ!」
道重「は、はい;?」
市井「フリップに絵を書く。それも大事な仕事だが、それは本職ではないわけだ。
    そこがわかってない奴が最近は多すぎる。それを即答するとはなかなかだ」
道重「は、ははあっ;」
田中(なるほど。絵って答えとけば、なんとかなるっちゃか)
9 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

市井「次、モヘンジョ太郎!」
田中「は、はい!」
市井「パンはパンでも、食べられないパンって何だ?」
田中「……フ、フライパン……です……」
市井「よし、合格!」
田中(な、なんで自分だけなぞなぞ……;?)
市井「次、そこの背の高いの!」
久住「は、はいっ;!」
高橋(な、なんで小春ちゃんだけニックネームなし? それともそれがニックネーム?)
田中(大丈夫かな……。なんかこの人、小春ちゃんのこと嫌ってるっぽいっちゃね)
市井「……おまえは、保留だ」
久住「は、はい……;」
高橋(なんですとーーーーーΣ)
田中(やっぱりか。この人、おそらく自分より美人だと敵視するタイプっぽいっちゃ……)
市井「次、電信電話公社!」
光井「あ、はいっ!」
市井「アイドルになるために努力したことはあるか?」
光井「あ、そうですね、私は、努力とは違うんだけど、歯を矯正しました」
10 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

市井「くっくっくっ、おもしろい冗談だ」
高橋(わ、笑ってるよ……;)
田中(ど、どこが冗談っちゃか;?)
市井「その答えだと、努力したのは歯科医ってことになるからな。
    だが、冗談の才能も必要だ。よし、おまけで合格としよう。敗者復活枠だ」
高橋(敗者復活って、もしかしてダジャレ?)
田中(この人の感性、さっぱりわからんっちゃ……)
市井「残りは……、保留を除けば、シャンハイ1号とシャンハイ2号だな」
田中(小春ちゃんはクビか;。この人、小春ちゃん以外には勝ってると思ってそうっちゃし)
ジュン~「あのお、ワタシ、生まれはシャンハイじゃなくて湖南省なんですけど」
新垣(ま、まさかの異議申し立て!)
市井「ああ、そうなのか。じゃあ、コンビじゃない時は腸捻転コナンと呼ぶことにしよう」
ジュン~「チョーネンテンコナン、ですか?」
市井「それで、シャンハイ2号は、江戸川区民だ」
リン~「エドガワクミン……。はい、わかりました」
田中(わかるなよ……;)
11 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:51

市井「とりあえず、シャンハイ1号2号の二人は、つんく♂から残すように言われてるからな。
    二人は残留決定だ。予定調和だが、それも仕方がない」
田中(ということは、やっぱり小春ちゃんか……)
市井「ということで、そこの背の高いの!」
久住「はい……」
市井「そこの背の高いのは、モーニング娘。を卒業することができるようになりました。
    イェイ! おめでとう! ヒューヒュー! パフパフパフドンドンドン!」
新垣(女つんく♂かよ……)
久住「えっ;? 私、卒業なんですか;?」
市井「わからないか?」
久住「何がですか?」
市井「モーニング娘。は美人の集まりじゃないってことだ。
    どこのクラスにも数人くらいは中の上レベルってのが普通にいるだろ。
    男子の人気を集めるほどではないけど、オナペットのリストにはちゃんと入ってる。
    その中で後一押しすれば、上の下レベルに成り上がれそうっていう、
    そういう微妙な位置にいる原石を集めて磨きをかけるってのが、コンセプトなわけだ。
    だが、そこの背の高いのは、そうじゃない。自分でもわかってるだろ。美人だって」
久住「私が……、美人……?」
市井「こっちとしても貴重な戦力を失うことになるが、仕方がない。泣いて芭蕉を斬る、だ。
    そこの背の高いの! 卒業してからの活躍を期待してるぞ!」
新垣「ううう……、なななな、なんていい話なんだ!」
田中(合法的に美人を追放するなんて、この人、あなどれないっちゃ……)
高橋(小春ちゃん、卒業かあ……、寂しくなるなあ……)
12 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:52

市井「さてと、これで新体制が整ったわけだ。何か質問ある奴はいるか?」
亀井「は、はいっ……」
市井「よし、混ぜるなスナフキン、言ってみろ」
亀井「あの、リーダーは、もちろん、市井さんがなるんでしょうか?」
高橋(ほっか……。私、リーダーじゃなくなるってことなんや……)
市井「おいおい、なにか勘違いしてないか? 俺がリーダーだって?」
高橋(ん……?)
亀井(じゃあ、復帰するんじゃなくてプロデューサーみたいな感じなのかな?)
新垣「えーと、ではですね、今のリーダーは、愛ちゃんこと高橋愛ちゃんなんですけど、
    それは今のままということなんでしょうか?」
市井「ああ、愛ちゃんがリーダーなのか。じゃあリーダーはそのままでいいか」
高橋「は、はいっ……」
亀井(なんだ。市井さんじゃないんだ。なら安心かも……)
道重(ふう。圧政は回避か……)
田中(じゃあ市井さんはどげになると……?)
新垣「ということは、市井さんはどのような立場になられるのでしょうか?」
市井「俺か? さっき言わなかったか? 救世主が必要だって言ったろ?」
新垣「えーとですね、その、救世主というのは、たとえば、スペシャルサンクスみたいな?」
市井「おいおい、ネズコロよ。俺をゲスト扱いにする気か? 意外と薄情なんだな」
新垣「あ、いえ;、けっしてそういうことじゃ;」
市井「俺は救世主としてモーニング娘。に復帰するわけだから、当然、その一員だ」
新垣「はい;、それはごもっともです;。お聞きしたかったのは、立場の名称でして;」
市井「ああ、そういうことか。それなら、つんく♂と相談して決めてあるから心配すんな」
新垣「それは、どのような……」
市井「それはな……」
13 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 20:52

市井「ザ・プレジデントだ!」
高橋(……;)
新垣(ただのプレジデントじゃなく、ザ・プレジデントとは! なんという豪快な素直さ!)
亀井(噂は本当だったか……。かつて勘違いを極めた人がいたという……)
道重(これが勝ち馬かどうか……、それを考えないと……)
市井「ということで、これからは俺が仕切るから、愛ちゃん、一つよろしく!」
高橋「は、はい……;」
市井「それと、これから出す新曲は全部、俺が作詞すっから。そこんとこもよろしく!」
高橋「は、はい……;;;」
新垣(お、終わりだ……;。これでモーニング娘。は完全に……;)
亀井(かのシンガーソングライター騒動という噂は、ま、まさか、この人じゃ……;)

2009年9月某日。こうしてモーニング娘。の新体制が開始された。
久住小春と入れ替わるようにモーニング娘。に復帰した市井紗耶香。
ザ・プレジデントとして、そしてシンガーソングライターとして、
市井は今のモーニング娘。に何をもたらすのか……。
そして、リーダーの高橋愛は、市井体制をどのように乗り越えていくのか……。
彼女たちの試練は、まだ始まってもいない。

次回未定。
14 :名無飼育さん :2009/09/20(日) 21:39
羊とか狩の初期を思わせる作風ですね。
私は大好きです。
次回更新に期待です!
15 :名無飼育さん :2009/09/21(月) 01:49
まさか市井のネタが見れるなんて
16 :名無飼育さん :2009/11/03(火) 13:13
おもろい
こういうの好きだ
17 :名無飼育さん :2009/12/06(日) 06:27
うむ確かにいにしえの羊っぽいw
18 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:36
PC新しくしたらスレ立てできなくなったので、
このスレを再利用ってことで。
19 :リッチワン :2010/05/17(月) 21:37

 Barmaid ASUKA


 店の奥にある薄暗いステージから、場違いなクラシックの旋律が流れてくる。二人きりの会話が
途切れ、保田圭はテーブルに頬杖をつきながら顔をそちらに向ける。無人のステージの端に置い
てある古びたピアノを、見知らぬ若い女性が弾いている。保田の向かいに座っている福田明日香
が、すかさず説明を口にする。
「新しく雇ったばかりの音大生のバイトだから、まだ店の空気が掴めてないんですよ、ええ……」
「そんなこと訊いてないわよ」
「でも訊きたいって顔してますよ」
 自信たっぷりの福田の表情に、保田が苦笑を浮かべる。「そう?」
「ええ。なんで……、だれ……、ここにピアノなんてあったっけ……、そんな感じですかね」
「ふーん、さすが明日香ね。ま、たしかにこの店にピアノがあるなんて、はじめて気づいたって感じ
だけど」
「圭ちゃん、友達を大切にするタイプなのに、滅多に来てくれないですからね」
 福田の駄目押しに、保田がわざと怒った表情を作り、すぐに二人同時に笑う。
「ほんとあんたって子は、そういうことさらっというのよね」
「圭ちゃんもですよ。そういうこと、さらっといわせる人って」
「遠慮がいらないってこと?」
「いじりがいがあるってこと。ある意味、天性の素質ですね。こないだの『うたばん』も面白かったで
すよ」
「まったく、あんたまであたしをいじるなんて、世の中どうなってんだか」
「世の中なんてそんなもんですよ。どうなってんだかわからないうちにどうかなる。いい意味でも、わ
るい意味でも」
20 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:37

 福田が薄笑いを浮かべながらカクテルグラスに手を伸ばし、それを見た保田も少し間を置いてか
ら、残っていたカクテルを飲み干す。
「これ、美味しかったわ。さくらんぼの種だけが底に沈んでるってのも、なんか面白いし。なんていう
カクテル?」
「私のオリジナルです。ラブ・シードっていう」自慢げにいいながら、福田がニヤリと笑う。「ま、いつ
も作り方が違うんで、同じ味に遭遇することは滅多にないんですけどね。基本はカシス系のリキュ
ールにアップルジュース。だからカシスオレンジのりんご版ってとこですか。さくらんぼの種は、まあ
一種の嫌がらせみたいなもんですけど」
 福田がいい終わるのを待ってから、保田が疑問を口にする。
「それより、さっきの言葉、ちょっと気になるのよね。いい意味でも、わるい意味でもって。それって、
もしかしてだけど、あんたの今ってこと?」
 福田が肩を左右にコキコキと揺らし、ラブ・シードを軽く飲んでから、保田の目を直視する。ピアノ
の演奏が一度止まり、音大生が脳内で選曲を決めるのを待って、再びクラシックの旋律が流れ出
す。
「世の中全般のことですよ。もちろん、私の存在が抹殺されていなければ、その中には私も含まれ
ますけどね」
「明日香らしい答えね。ひがみっぽいところも」保田が笑いながらいい、ラブ・シードの種をグラスの
中で転がす。「全然変わってないわ」
「私、ひがみっぽいですか?」
「十分、ひがみっぽいわよ」
「そうですか。ま、私は圭ちゃんと違って、ひがみっぽいのは性格だけですから」
「どういう意味よ」
「いっていいんですか? でもレディーに顔のことをいうのはちょっと……」
「いってんじゃない……」
「ま、そういうことです」
21 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:37

 笑いながら福田が席を立ってカウンターにグラスを置きに行く。それからテーブル席を振り返り、
次のカクテルの種類を尋ねる。保田がおまかせと答え、福田はそのままカウンターの中に入る。
 夜になればフィリピン人の女性スタッフが続々と出勤し、店の雰囲気は一変するが、まだ夕方と
いうことで保田以外に客はおらず、従業員もピアノを弾く音大生と奥の厨房にいる福田の母親しか
いない。すでに昼の厨房スタッフは仕事を終えて姿を消している。
 テーブルの上に残っていた柿ピーを一気に平らげ、保田が福田のいるカウンターへ向かう。スツ
ールに腰をかけ、手を伸ばして勝手に中に置いてある柿ピーの袋を取る。
「やっぱりこの店の一番は、オリオン製菓の柿ピーね。おばさんの作るドリアとかシーフードサラダ
もいいけど、あたしの場合、エビを抜いてもらわないといけないし」
「一応、この時間はカフェレストランなんですけど……」
「いいじゃないの。柿ピーが美味しいカフェレストランって、滅多にないわよ」
 いい返してやったとばかりの保田の口調に、シロップ瓶を手にしていた福田が軽く息を漏らす。
「そんなことより、今日はなんか大事な用があったんじゃないんですか。なのに、ずっと雑談ばっか
りですよ」
「そうだっけ?」
「ええ、そうですよ。圭ちゃんがうちに来るなんて一年ぶりだし、圭ちゃんの方から会おうっていって
きたのも、圭ちゃんの方から電話してきたのも、ほんと久しぶりですから」
「やっぱりあんた、ひがみっぽいわね」
「どうせ私はヒガミ・ポイ子ですから。それはいいとして、どうせ卒業のことですよね?」
 福田にいいあてられ、保田が福田の真似をして、肩を左右にコキコキと揺らす。
「ま、そんなとこかな」
「たしか、五月でしたっけ」
「そうよ。五月五日。その日のコンサでめでたく卒業。ま、ある意味リストラって感じ?」
「結構辛いみたいですね」
「そう? そんなことないわよ?」
22 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:38

「そんなことありますよ。圭ちゃんが自分でリストラとか、そんなこというとか、無理してるっていうか、
わざとおちゃらけるとか、圭ちゃんらしくないですもん」
「ふーん、やっぱり明日香にかかると、嘘はつけないわね。全部お見通しって感じで」
「圭ちゃんがわかりやすいんですよ。はい、次のカクテル。モーニング・コーヒー」
 保田が差し出されたグラスを手に取り、顔を下げて真横からグラスの中身を透かし見る。
「今度はコーヒー?」
「前にも出したことありますよ。泡盛をベースにして、うちの特製コーヒー。それにちょっとシロップと
か入れて整えてますけど」
「あんた、まともなカクテル作れないの?」
「今日はいい実験台がいますからね。ちゃんとお金払ってくれるなら、お客として扱ってもいいです
けど、どうせ無銭飲食ですよね?」
「無銭飲食って……、たしかにそうだけど、そんないいかたされると罪悪感覚えるじゃないの」
「それより、飲んでみてくださいよ。結構まとまってるとおもうんですけど」
 保田が左手でカクテルグラスを掴み、モーニング・コーヒーを口に含み入れる。
「あら、面白いわね。泡盛の味も、コーヒーの味もちゃんとしてる。どっちの味も別々だけど、ばら
ばらじゃなくて、並存してる感じ」
「シロップが少なすぎると、二つの味が喧嘩しちゃうんですよ。で、多くすると今度は混ざってしまっ
て、変な味になっちゃうんです」
「ふーん。いろいろと試してるわけね。でも、モーニング・コーヒーって感じではないわね」
「ほんとはモーニング娘。っぽくしたいんですけどね。私がいた頃の」
 福田の口からグループ名が出てきたことに軽く驚きの反応を示しつつ、保田はその味の餘韻を
たしかめ、うん、と軽く頸突く。「そういわれれば、そんな感じね」
 クラシックの演奏が唐突に激しい曲に変わり、福田がカウンターの外に回り、保田の隣に座る。
音大生は長い黒髪を競走馬のテールさながら右に左にと派手に振り乱し、演奏に没頭している。
23 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:38

「やっぱり変ですかね、あのピアノ……。客のいない時間は好きに練習していいってことにしてるん
ですけど。今の時間はある意味準備中ですし」
「別に変じゃないけど、需要があるかどうかってところじゃない?」
「昔はジャズバンドなんかも入れてたらしいですけどね。おじいちゃんがいってました。流しなんかも
いっぱいいて、いつもだれかがなにかを演奏してたって。それに、初代引田天功がマジックショーし
たこともあるって」
「へえ。意外とすごい店なのね。今も夜になるとすごい店だけど」
「圭ちゃんがそういういいかたすると、なんか変な店みたいじゃないですか」
「いいじゃない。私たちだって変なグループにいたんだし。似たようなもんよ」
「たしかに変なグループでしたけど、なんか違うとおもいます」福田が納得のいかない表情で答える。
 店の話題が出てきたせいか、ピアノの演奏が気になったのか、それともただの偶然か、厨房の奥
からミチコが出てきて、柿ピーの袋を補充しながら保田にウインクをする。保田とは来店時にすでに
挨拶を済ませてある。
「それにしても、保田さん、藝能界で磨かれてるせいか、いつのまにかオンナっぽくなったわねえ。カ
レシとかいるんじゃない? それも特別な感じの人とか」
「いや、いないです。そりゃもう、ぜんっぜんっですよ」
「なに本気で答えてるんですか。いないことくらい見ればわかりますよ。今のは中年女性特有の下卑
た挨拶みたいなもんです」
 福田の挑発を聞いたものの、ミチコはニヤリと笑っただけでそのまま奥へと戻って行く。否定して
もらえなかった保田は口をあんぐりと開けたままその後ろ姿を見送り、福田が声を立てて笑う。
「あの人はワイドショーの見すぎですから。自分の娘がデビューした時も、引退した時も、今も、ずっ
とそんな感じですからね」
「かわいいお母さんだけど、やっぱ、明日香のママって感じね」
「私がいうのもなんですけど、大物でしょ?」
「たしかに、大物ね。躰は小柄なのに、あんたもママさんも、なんか大きいのよね」
24 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:38

「圭ちゃんも十分に大きいですよ」
 福田の言葉を保田が即座に制止する。「顔がってのはナシよ」
「あ、バレました?」
「ったく、ほんとあんたって子は……」
 ピアノがベートーベンの『月光』に変わり、店の空気がまたがらっと変わる。知った曲のせいか、
保田はくつろいだ気分で再び柿ピーに手を出す。福田も負けじと柿ピーを口に入れ、話を元に戻
す。
「それより、卒業の話、しましょうか」
「うん、そうね。今日はその話をしに来たんだし。明日香にも訊きたいことがいっぱいあるし」
「なんでも訊いてください。もちろんスリーサイズとかカレシの人数とかは内緒ですけど」
「さりげに“人数”とかいうのよね、あんたって。普通はカレシの“有無”でしょ?」
 保田が厭きれたようにいい、新しい柿ピーの袋を自分の前に勝手にキープする。
「まあまあ、そこは聞き流してくださいよ。プライベートなことなんだし」
「ったく。まあいいわ。とりあえず、単刀直入に訊くけど、あんた、卒業した時、どんな気分だった?
もちろん、あんたとあたしとじゃ、だいぶ違うけどさ。あんたは藝能界からも引退したんだし、あの頃
はまだメンバーがコロコロ入れ替わるなんてシステムはなかったわけだし、グループがずっと続くっ
てことも想像できなかったしね」
 福田がモーニング・コーヒーのグラスをクルクルと回転させながら、保田の顔を見る。
「そりゃ、いろいろありましたよ。気分というか、葛藤ですね。それに、あの頃と、その後と、今とじゃ、
思い返すたびに印象が違うって感じですよ。だから結局、なるようになるってことなんですよ。将来
がうまくいっていれば、過去もそうなるし、悲惨な将来なら、きっと過去も悲惨になる」
「ふーん、理論派の明日香でもそんな曖昧な結論になることがあるのね」
「十分理論的な結論だとおもいますけど。それに、たぶん私の場合は例外だから。だって、圭ちゃ
んはリストラだけど、私は自分で引退を決めて、自分でさっさと降りちゃったわけですから」
25 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:38

「勝手にリストラって断定されても困るんだけど、まあそれはいいわ」
「だから、違うとおもいます。圭ちゃんはグループから外れるだけだし、それに、圭ちゃんはもう何
度もグループの変化を経験してきたわけで、卒業もその延長にすぎないですから」
「延長ねえ……」
「でもまあ、圭ちゃんにとって、モーニング娘。が特別な存在だっていうのはわかります。だってあの
頃から今まで、五年間も在籍してたわけですから、もはや自分の一部だってのは想像がつきます」
「ねえ、明日香は、何年だっけ? 二年はいなかったのよね?」いいながら、保田が右手の指を折
って数える。しかし、人差し指を折ったり伸ばしたりを繰り返すだけで、先には進まない。
「本格的にやってたのは一年半くらいじゃないですか。圭ちゃんと一緒だったのも一年弱ですね」
「明日香はその時、何歳だった?」
「十四歳ですよ」
 福田の堂々とした答えに、保田は手にしていた柿ピーをテーブルに落とし、それを手のひらでご
そっと拾って口の中に一気に放り込み、ガリガリと音を立てて噛み砕く。「十四歳?!」
「ええ。年頃の十四歳でした」
「年頃ってのは餘分だけど、やっぱりあんた、すごいわね……」
「そうですか?」
「そりゃすごいわよ。あんたよく決断したわね」
「ま、モーニング娘。に対する愛着がそれほど強くなかったってのも事実ですけどね」
「それは本気? それとも強がり? 照れ?」
「あの頃はみんなそんな感じだったじゃないですか。もう忘れちゃったんですか?」
「あんたにいわれると強烈ね。でも、そういわれると、たしかにそんな感じだったかもしんない」保田
が後ろを向き、独演会に没頭している音大生の背中を遠い目で見つめる。
 福田はそれには同調せず、カウンターの中を見つめたまま、淡淡と続きを口にする。
「最初はみんな、ばらばらだったんですよ。泡盛とコーヒーみたいに。でも、そこにシロップが加わ
って、いろいろと改良が施されたりして、徐々に味が整っていったんですよ。圭ちゃんはさしずめ
シロップってとこですかね。私も圭ちゃんの存在にはいっぱい助けられましたから」
26 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:39

 保田が顔の向きを戻し、照れ隠しにカクテルグラスを持ち上げ、福田に向かって乾杯の動作を
する。「ふーん、明日香に感謝されるなんて、素直に喜んでいいのかしら……」
「だって裕子とか彩っぺとか、大人風の押しつけばっかりで息苦しかったですからね。あの頃はな
つみも圭織も空気みたいなもんだったし。圭ちゃんたちが入って、中身を掻き乱してくれたおかげ
で、助けられたというか、楽になったというか。彩っぺの標的も私じゃなくて圭ちゃんになったし」
 福田の本気の回顧談に、保田は苦笑し、カクテルを飲んで話をやりすごそうとする。
「そんなこともあったっけ……」
「みんな、昔のことなんて忘れちゃうんですよ。おもい出すのは、今の状態と繋がってることばっか
りで。圭ちゃんは今が順調だから、昔もそれなりに順調だったって感じるんです。きっと」
「順調ねえ……」
「順調ですよ。今やある意味、売れっ子ですしね」
「いじられキャラってやつ?」
「でももったいないですよね。せっかくキャラが立って、一般層にも人気が出てきたのに」
「それは喜んでいいのかわかんないけど……」
「つんくさんも、方向性を見失ってるんですかね。カクテルには無関心で、おつまみにばっかり力を
入れてるって感じで。ま、柿の種とピーナッツをはじめて組み合わせたってくらいのセンスはある人
ですけど」
「変なたとえだけど、あんたがつんくさんを誉めるなんて、珍しいわね」
「あの人は人を見る目がありますから。ただ、その権力がかなり弱くなってるってのは感じますけど
ね。厭きたのか、疲れたのか、それとも疎外されてるのか」
 傾けたグラスに唇を押しつけて最後の一滴まですすり、舌をちらっと見せて保田がいう。「ふーん、
あんたもママさんと一緒で、ワイドショー大好きっ子って感じね」
 福田もモーニング・コーヒーを飲み干し、スツールから腰を上げて再びカウンターの中に戻る。
「次はどうします? そろそろ最後ですかね。ほら、スタッフさんも出勤してきたみたいだし」
 福田の視線の先を保田が追う。いつのまにかフィリピン人のスタッフが出勤してきていて、テーブ
ルを熱心に拭いている。
27 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:39

「そうね。でも、まだまだ帰らないわよ。あんたの部屋、上がってもいいんでしょ?」
「いいですけど。散らかってますよ」
「それくらい知ってるわ。あんた、頭の中は奇麗に整頓されてるのに、部屋だけは滅茶苦茶なのよ
ね。ごっちんほどじゃないけど」
「あ、後藤さんなら、こないだ来ましたよ。圭ちゃんと違って、よくメールのやり取りもしますし」
 福田の言葉に、保田が目をぱちくりさせる。
「あんた、いつのまに真希と? だってあんた、真希とは接点なかったでしょ? コンサの楽屋で何
度か会ったくらいじゃない?」
「それはまあ、人脈とか人望ってやつですかね。つんくさんからも、後藤をよろしく頼むっていわれて
ますから」
「つんくさんって……、あんた、私の知らない間になにを?」
 保田が福田に気づかれるように、もう一度目を大きくぱちくりさせる。福田はそれに気付きながら
も、無視してカウンターの中で大小さまざまな瓶を並べはじめる。
 いつのまにか『月光』は終わっていて、店内にはショパンかリストか、甘い旋律のピアノ曲が流れ
ている。
「まあまあ、それより、最後のカクテルは自信作ですよ。ネバー・フォアゲット」
「ふーん、愛の種からはじまって、最後は明日香の卒業ソングってわけ」
「このレシピは秘密ですから、いくらお金を積まれたって、これだけは教えられませんよ」
「だれもお金なんて積まないわよ。それに、どうせここに来たら明日香に作ってもらえるんでしょ?」
「次はちゃんとお金取りますからね。それに、指名料ももらいますから」
 福田がグククククと妖怪のような変な笑い声を出し、保田は顔を引き攣らせる。
 店内の照明が蛍光灯からオレンジの電球色とブルーのネオンに切り変わり、時間の経過を二人
に知らせる。
28 :名無飼育さん :2010/05/17(月) 21:39

「まだ大した話もしてないのに、もう夜になっちゃったのね。明日香といると時間を忘れるわ」
「記憶喪失ですか?」
「なわけないでしょうが」
「それより、できましたよ。ネバー・フォアゲット。早く飲まないと、変な店になっちゃいますからね。
できれば一気に一口で飲んでほしいんですけど」
「どうせ唐辛子でも入れてあるんでしょ? ネバー・フォアゲットってくらいだし」
「まあまあ、騙されたとおもって」
 福田にせかされて、保田が差し出されたカクテルを一気に飲み干す。
「あら、美味しいじゃない」
「でしょ?」
「うん。さらっとしてて、すんなり溶けていくって感じで。どこがネバー・フォアゲットなの?」
「味の餘韻が残らないから、だからネバー・フォアゲット。忘れないでって意味を込めて」
「ふーん、明日香、もしかして、引退してからずっと寂しかった?」
「そりゃまあ、十四歳でしたからね。寂しかったですよ」
 そう素直に答えてから、福田がつけ加える。「でも、このカクテルは私じゃなくて、圭ちゃんのため
のカクテルです。卒業してみんなから忘れられるであろう圭ちゃんに、愛を込めて」
 保田がブフッと噴き出し、それからごほごほと咳き込み、しばらく息を整えてから、福田に向かっ
て口を開く。「なによそれ。せっかく人がしんみりしたいい気分になったっていうのに」
 福田はそれを無視して、カクテルに軽く口をつけてから、話を続ける。
「ああ、そうそう。ネバー・フォアゲットですけど。練習しといてくださいね。つんくさんから相談された
んですけど、圭ちゃんの卒業曲、ネバー・フォアゲットを提案しときましたから」
「ちょ、ちょっと待ってよ。なんで明日香がつんくさんから相談?」
「今はまだ秘密です。でも、なるようになるもんですよ。世の中って」
「どういうこと? どうなってんの? なんなの?」
 保田の発狂をよそに、福田は涼しげな顔を浮かべながら、グラスを持ち上げて乾杯のしぐさをす
る。
「ネバー・フォアゲット。きっと圭ちゃんにも似合うはずですよ」

 ――おわり――
29 :名無飼育さん :2010/05/20(木) 22:27
二人の会話の流れが心地良いです
そこに音大生とカクテルの2要素がでしゃばらず
でも役割をきっちりこなして三重奏となっているかのよう
30 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:46

 My Life is not... 〜あるサヤカの冒険回想録〜


 魔王を倒した。
 だが、そこに喜びの感慨はなかった。
 目の前にはバラモスのメタボリックな屍(しかばね)が転がっている。
 体長・体重は推定で五メートル、三トン。
 魔王を倒すのにどれだけ苦労したかは今さら語るまでもない。
 苦難の連続だった。
 何度も死にかけた。
 でも、ワタシは死ななかった。
 だから、こうしてバラモスの屍の前に立っている。
 だけど、最後まで立っていられたのはワタシだけだった。
 そう、ワタシだけ。。。
31 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:46

 戦士ダーヤスは果敢に闘った。
 だが、体当たりを喰らわそうとして逆に掴まえられ、首を捩じられて一気に引きちぎられた。
 その首と胴体は、おぞましくも今も巨体の傍らに転がっている。

 魔法使いのヤグヤグは、バラモスの周りをちょこまかと動いては背後からメラゾーマを連発した。
 そのたびにバラモスは後ろを振り向き、ワタシはその隙にバラモスに攻撃を加えた。
 バラモスを倒すことができたのは、ヤグヤグの蚊のような立ち回りのおかげだった。
 だが、ついにバラモスを仕留め、ものすごい轟音とともにその体長三メートルの巨体が地面に倒
れた時、ヤグヤグはその下敷きになって死んだ。
 死亡を確認したわけではないが、三トンの下敷きになったのだから普通なら即死で、仮に生きて
いたとしても、ワタシ一人の力ではもはや救い出すことはできない。

 そしてもう一人のパーティーの仲間、勇者タカハシはバラモスの玉座に辿り着く前に死んだ。

 結局、生き残ったのはワタシだけだった。
 いったい、ワタシはなんのために戦っていたのだろうか。
 多くの仲間たちと出会い、いろんなパーティーに参加した。
 その結果として、ワタシはついに魔王を倒した。
 だが、それはワタシの役割ではなかった。
 ワタシは、そう、仲間たちの死を見届けるために最後まで生きていただけだった。。。
32 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:46

 そもそも、ワタシは魔王を倒すために旅立ったわけではなかった。
 世界に平和を取り戻すなんて、そんな大それた理想を抱けるほど恵まれてはいなかった。
 ワタシはアリアハンの城下町で生まれ育った。
 十六歳になり、ワタシは旅人に話しかける仕事に就いた。
 ――町の外を歩いていると、やがて夜になります。
 それがワタシの唯一のマニュアルだった。
 ワタシは懸命に働いた。だが、ワタシがいくら話しかけても、旅人は皆、無言だった。
 ――ありがとう。いいことを聞いた。助かるよ。
 そんな感謝の言葉をもらったことは一度もなかった。
 ほとんどの旅人はワタシを無視し、ワタシに話しかけたことを後悔するような表情を浮かべた。
 そのうち、ワタシはある疑問を抱くようになった。
 そして、悩みに悩んだ末、ワタシはマニュアルを破った。
 近くにいた城の兵士におもいきって尋ねたのだ。
 だが、その兵士もワタシと同じ、生真面目な人だった。
 ――勇者キヨモリは立派な方でした。このアリアハンの誇りです。
 兵士はワタシがマニュアル以外の言葉を口にしたことに困惑しつつも、そのように答えた。
 それは同じ画面の中で何度も何度も耳にしていたセリフだった。

 それからワタシは、持ち場を離れては違う相手に同じ質問を繰り返すようになった。
 だが、誰もワタシの疑問を解決してくれる者はいなかった。
 いつしか、ワタシのそういう行動さえもが新たなマニュアルと化していた。
 そのことに気づいてワタシは絶望した。
 ワタシはただ知りたかっただけなのだ。「夜」とはなんなのかを。。。
 生まれてからずっと町の中にいるワタシは、「夜」を知らなかったのだ。
33 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:46

 疑問を抱いてからどれくらいの時間が経ったか、その時は不意に訪れた。
 四人組の旅の一行が城下町に現れ、町の住人から話を訊きまくっていたのだ。
 はじめてアリアハンを訪れた旅人らしく、ワタシは久しぶりに元々のマニュアルを話した。
 ――町の外を歩いていると、やがて夜になります。
 だが、彼女たちはほかの旅人とは違っていた。
「なんや、どいつもこいつもマニュアル人間ばっかやなあ」
「しかも、初歩的なことばっかりね。まるでこの町から物語がはじまるみたいな」
「ねえねえ、なっちさあ、さっき武器や防具は持ってるだけじゃ駄目だよっていわれたよ」
「装備の忠告とか、どんだけ素人やねん。ほんま、なんちゅう城下町や」
「アリアハンの城下町です」
「それは知っとるっちゅーねん。ったく、アスカもある意味マニュアル人間やな」
「まあ、お約束ってやつです」
 そのような自由な会話を耳にしたのははじめてだった。
 ワタシはこの人たちなら疑問を解決してくれるとおもい、いつも通りにマニュアルを破った。
 ――あの、変なこと訊くようですけど、夜って、なんなんでしょうか?
34 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:47

 四人はワタシの第二声に顔を見合わせた。
「なんや、フラグが立ったんか? いきなり話しかけられたで?」
「夜ってなにって訊かれてもねえ」
「意味わかんないよね。つーか、もしかして夜を知らないとか?」
「いくらなんでもそんなことあらへんやろ」
「でも、マニュアル人間ならありえるかも。ねえ、アスカ、あんたならわかるでしょ?」
「そうですね。町の中にいるかぎり、夜にはなりませんからね。夜を知らない人がいてもおかしくは
ないとおもいますけど」
「ほんまかいな。まあこんだけマニュアルに忠実な町なら、かんがえられんこともないけど」
「でも、夜を言葉で説明したところで、知らない人には通じないんじゃないかしら」
「せやなあ。説明するより、実際に体験するのが一番やけど」
「それは仲間にしちゃうってこと? なっち、それはヤだなあ。あの人、オカッパだし」
「こらこら、髪型は関係ないやろ。グラフィックの問題やし」
「でもなっちはヤだからね。オカッパと一緒に旅をするとか、ムリムリ。絶対にムリだって」
35 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:47

 四人はワタシの髪型でさんざん勝手に盛り上がった挙句、そのまま行ってしまった。
 ワタシは悲嘆に暮れた。
 髪型が違っていれば仲間にしてくれたのだろうか。
 それとも、ワタシはやはり一生、町の外に出ることができない運命なのだろうか。
 こうしてこのまま、永久に同じセリフを口にし続けるのだろうか。
 それはイヤだ。
 でも、退屈だからイヤなんじゃない。
 ワタシは夜が知りたい。夜がなんなのかを知りたいのだ。
 そのためには町の外を歩く必要がある。
 だけど、どうやったら町の外に出ることができるのか、それがわからない。
 ワタシは行動の自由を保障されている勇者として生まれたわけでもなければ、自らフラグを立て
ることができるような特殊なキャラクターでもないのだ。
 ワタシは悩みに悩んだ。
 ところが、イベントは唐突に発生した。
36 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:47

 ――きゃ、冷たいっ!
 ワタシはこれまで口にしたことのないセリフを無意識に発していた。
 見ると、さきほどの四人組の一人がワタシに水鉄砲を向けていた。
「なんや、やっぱりマニュアル通りかいな。さっきは向うから話しかけてきよったし、期待しとったん
やけどなあ」
「でもユユタン、これでフラグを立てたとおもえばいいんじゃないかしら」
「そうですね。セリフこそマニュアル通りでも、なにがどう繋がるのかわからないのがRPGの醍醐味
というやつですから。とりあえず、さっき立ち寄った店を紹介するだけでも」
「納得いかへんけど、せやな。えっと、イーダの店やったか、さっき寄ったとこ」
「ねえねえ、紹介は別にいいけど、なっちヤだからね。オカッパを仲間にするのだけは」
 四人のうちの一人はなぜだかワタシの髪型を嫌っていたが、ほかの三人は好意的な様子で、ワ
タシは彼女たちから一通の紹介状を受け取ることになった。
 ただマニュアルを話すだけのワタシが、アイテムを貰ったのだ。
 それは、ワタシにはじめて確実なフラグが立った瞬間だった。
37 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2010/08/09(月) 19:48

 ――冒険の書に記録しました――
38 :名無飼育さん :2011/06/20(月) 01:14











.
39 :軍艦ワープ5 ◆Rich1NDNCw :2011/06/20(月) 01:33
おまえら、もし多少の時間の餘裕があるのならば、
俺に娘。の良さというものを本気で教えてくれないか。
俺は自分がかつてモーヲタであったのかどうか、未だにわからんのだ。
俺にとっての娘。は、ただの遊び道具にすぎなかったのか、
それとも保田圭の付属品にすぎなかったのか。。。

とりあえず、今の娘。でもいいし、もちろん昔の娘。でもいい。
個々のメンバーの良さでもいいし、グループの良さでもいい。
誰か俺に娘。の良さを教えてくれ。。。
40 :名無飼育さん :2011/08/28(日) 19:42
そもそもなんでダーヤスに惚れ込んだの?
41 :軍艦ワープ5 ◆Rich1NDNCw :2011/09/11(日) 20:04
それは保田という存在が「究極の美」を具えていたから。
最初にその「美」を発見した時は自分でも半信半疑だったが、
観察し続けるうちにそれは確信に変わり、
そして宇宙のアルゴリズムが崩壊するに至った。
42 :名無飼育さん :2011/09/27(火) 22:11
元モー娘。福田明日香、電撃復帰か!? バンドボーカルとして再デビュー?

これでまた好きになりませんか
43 :軍艦ワープ5 ◆Rich1NDNCw :2011/10/04(火) 23:15
映像見てみた。完全に明日香だね。
とうとう現実と夢想の狭間から戻ってきたか。
ワクワクさせてくれればいいんだけど。
44 :軍艦ワープ5@泥酔中 ◆Rich1NDNCw :2011/11/29(火) 01:44
明日香師匠には長らく精神的な面で色々とお世話になったので、
音楽性に期待したわけではなく、祝儀の心持ちで予約購入したものの、
うーむ、結局は駅前にいる素人レベルでしかなかったという残念な印象。
教え子を売るために身を削るってのも、そりゃありかもしれないけど、
それは一体全体、誰のためのことなのか。。。
明日香師匠の歌声はすごいよかったけど、でも、結局はそれだけ。
それなら堂々と福田明日香で再デビューすればいいわけで、
わざわざ教え子をピエロに貶める必要はないんじゃないかとおもう。
もちろん、二人を売るために明日香師匠がピエロになった、
ということは十二分に理解はしているつもりだけど。
45 :名無飼育さん :2012/09/13(木) 04:43

『彼女と彼女の事情』
46 :軍艦ワープ5 ◆Rich1NDNCw :2012/09/13(木) 04:43

 こちらから電話をかけるといつも不通で、だからいつもいつも、あちらから電話がかかってくるの
を待つしかない。
 それはそういう力関係ということでは決してなく、単に性格の問題で、それもあちら側に問題があ
る、そのことはわざわざ断言するまでもない。

 駅に着いたら連絡して、迎えに行く、ついでに美味しいケーキでも買ってセレブチックな時間を過
ごそう……、なんていってたのに、今日は朝から何度電話しても留守電で、仕方なく駅まで来てみた
ものの、やはり電話は通じず、いつものように不安になってくる。
 急な仕事が入ったとか、ほかの男を優先したとか、あるいは徹夜記録を作ろうとして逆に連続睡
眠記録を作ってしまったとか、彼女には様々な前例があるが、納得のいく答えを聞いたことは一度
もない。
 急な仕事はキャンセルになり、ほかの男というのは勘違い、というのがいつものパターンだ。

 とはいえ、新しい街に引っ越して、新居パーティーをやるから明日香も来てよ、絶対絶対来てよお
願いだから、頼むよ頼むよ明日香が来てくれないと寂しくてすねちゃうよ、とかなんとかいいながら、
駅まで迎えに来ないどころか電話にさえ出ないとなると、単に性格の問題だとしても、その性格には
多少の怒りを覚えざるをえない。

 まあいい。私がこのIT全盛期に携帯電話すら持っていないことにも問題はあるし、彼女もそのこと
を気にしてか、一応は正確な住所を教えてくれている。
 私は駅前の街頭地図を見て、その番地へと向かうことにした。
47 :名無飼育さん :2012/09/13(木) 04:44

 商店街の店でケーキを買い、ついでにシャンパンを買って、目当てのマンションはすぐに見つかっ
た。
 駅から徒歩五分なのにこの家賃なのよ、と自慢していただけあって、彼女の新居はセキュリティが
万全なレトロなマンションだった。
 そのノンセキュリティを突破し、エレベーターを上り、彼女の部屋の前に着く。

 インターホンを鳴らす。
 返事はなく、またもインターホンを鳴らし、それでも返事はなく、鋼鉄製のドアをノックし、脚でゴンゴ
ンと蹴って借金返せごらぁと叫んでみても反応はなく、ドアノブをガチャガチャ回し、キキーとにぶい音
がしてドアが開いてしまってもまだ反応はなく、仕方なく靴を脱いで部屋の中に入ってみてもやはり反
応はなく、さらに中へ中へと入ってみて、ようやく彼女が無反応な理由に辿り着く。

「やっぱり。寝てたんですね……。それも、エロゲーの最中に……」
 そこにはパソコンの前に突っ伏した保田圭の姿があった。

(1)保田を起こす
(2)保田にいたずらする
(3)保田を無視してエロゲーを攻略する
48 :名無飼育さん :2012/09/15(土) 21:56
3で
49 :名無飼育さん :2012/09/15(土) 21:59
3で
50 :リッチワン ◆Rich1NDNCw :2013/05/05(日) 08:31
書き捨てばかりで申し訣ないけど、こちらのスレは終わりにします。
もう自分の文章も固まって、色々と試すようなこともなさそうなので。
51 :名無飼育さん :2013/05/13(月) 20:25
おつかれさまでした

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