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紅蓮

1 :玄米ちゃ :2012/05/30(水) 11:24
CPはいしよしです。
886 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:09

「ふざけないでよっ!!」

「――いし、かわ・・・さん?」

言葉と共に感情が流れ出して
涙が止まらない。

「ふざけないで、ふざけないでっ」
「ごめん、勘違いさせる気なんて・・・」

「ちがうっ!!」

違うの、違う。
わたし、分かったんだから。

あなたを失うことが、何よりも苦しいって、
辛いって、やっと分かったんだから。

だからお願い――

887 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:09

「どこにも行かないで・・・」

目の前の彼女に抱きついた。

「お願いだから、どこにも行かないで・・・」

更に腕に力を込めて
ギュッと抱きついた。

「――石川、さん・・・」

「そばにいて・・・
 お願い・・・」

888 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:10

「石川さん・・・、自分で何言ってんのか、わかって、る・・・?」

彼女の体から、戸惑う気配が伝わってくる。
けど、分かってるもん。
自分の気持ちくらい、とっくに分かってるもん。

「ちゃんと分かってる・・・」

ほんとは、もうずっと前から
あなたのことが好きだってことぐらい・・・

――そんなの、よく分かってるもん・・・

「好き・・・」

だから、そばにいてよ。
お願いだから、どこにも行かないで――

彼女の目が見開かれる。
大きな瞳が、不安に揺れている。

889 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:11

「・・・アタシに、なんか・・・、本気になったら・・・不幸になる、よ?」
「ならない」

「なるよ・・・アタシ、なんか・・・」
「わたしにとっては、あなたなんかじゃない。
 あなただけなの・・・」

「・・・なに、言ってん、の・・・
 アタシ、みたいのは・・・石川さんに相応しくな――」

「そんなの、わたしが自分で決めるんだもんっ!」

見上げた瞳は、いつものように魔力を湛えた瞳ではなくて
守ってあげなければ壊れてしまいそうなほど、弱々しい瞳・・・

890 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:11

「――好きなの・・・」

だからわたしが、その瞳を守ってあげる。

「ありのままのあなたが好き・・・」

どんな時でも、あなたの心に寄り添って
わたしがずっとそばにいる。

「本気だよ」

こう見えて、わたし
すっごく強いんだから。

だってわたし。

「あなたの月だもん」

891 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:12

「・・・バカ、だよ・・・石川、さん・・・」
「うん、知ってる」

「アタシみたいなのに、マジになって、さ・・・」
「仕方ないじゃない。好きなんだもん」

「石川さん、なら、いい男・・・
 いくらでも捕まえられるのに・・・」

今のわたしなら、そうかもしれないね。
そうかもしれないけど、でもわたし。

「・・・人生、棒に振るよ?」

「あなたと一緒にいられるなら
 それが最高の人生だもん」

彼女の瞳から、まるでダイヤのように
キレイな涙がこぼれ落ちる。

892 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:12



「――ずっと・・・、光が欲しかったんだ・・・」

アタシ、愛人の子だし。
ひっそり生きなきゃって。

疎まれて、蔑まれて。
それがアタシの日常で。

もっと不幸な人なんて、世の中いっぱいいるんだって
必死で自分に言い聞かせても、どうにもならなくて。

ならばいっそ、闇に飲まれて消えちゃえばいいって、
そう思うのに、闇はアタシのことを消してはくれなくて・・・

今夜こそ、今夜こそって。
雨の日はいつも、この身が闇に包まれるのを心から願ってた。

893 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:13

――だけど・・・

だけどほんとはね。
すごく怖かったんだ・・・

消して欲しいのに、消されることが。
吸い込まれそうな真っ暗闇にのまれることが。

震えるほど怖かった。

だから、苦しくて。
誰かに助けて欲しくて――

――ずっと・・・アタシの月を探してた・・・

泣きたくなるくらいに
温かくて優しい光をくれる、アタシだけの月を・・・

894 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:13

「――アタシ、も・・・」

出会った時から。

「石川さんが好き・・・」

嬉しくて、涙が溢れた。
もっと距離を縮めたくて、彼女に触れたくて
思いっきり彼女に抱きつく。

「ねぇ、石川さんまで汚れちゃうってば」
「いいのぉ」

ほっそりとした首に腕をまわして
もっと彼女を引き寄せた。

間近で見つめる彼女の瞳は
宝石よりもキレイ・・・

895 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:14

そっと唇を寄せて、彼女に触れる――

わたしに触れられたまま
ガチッと固まる彼女。

もうっ!
どうしてわたしには、触れるだけなのよ!

一度離れて、もう一度間近で彼女を見つめる。

「ちゃんとしてよ・・・」
「・・・ちゃ、ちゃんとって・・・?」

「恋人がするキス」
「こ、恋人・・・?」

「もう恋人でしょ?わたし達」
「・・・い、いいの?ほんとに・・・」

ここまで来て尻込みしないで。

「・・・後悔、するかもよ?」

探るような彼女の瞳の色。

「しないよ。
 絶対しない」

だってわたし、こんなにもあなたが好きなんだから。

896 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:15

もう一度寄せた唇。

今度は強引に、彼女の中に割り込んでみる。
わたしの中に溢れる思いを彼女に届けたい。

だけど・・・、これでいいのかな・・・?

深いキスなんて初めてで、探るように動くわたしを
不満に思ったのか、彼女が離れた。

ご、ごめ・・・

謝ろうとして、驚いた。
艶っぽい、見たことのない彼女のカオ・・・

ドキンと心臓が大きく跳ねた。

「・・・もう、引き返せないよ?いいの・・・?」
「だからいいって言って・・・」

最後まで言わせてもらえなかった。

897 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:15

彼女の唇がわたしのそれを包み込み
下唇を挟まれて、優しく吸い上げられた。

すぐに上唇を濡れた舌先が這い、そのまま口内に差し込まれる――

・・・っんぅ・・・・・・

体に力が入らない。

砕けそうになる腰を、唇を合わせたまま、強く引き寄せられる。
遠慮がちに差し出していた舌に、彼女のそれが絡みつく。

彼女の指が、わたしの頬を挟み
もっともっととせがまれる。

・・・苦しい。
だけど・・・

――あなたが、欲しい・・・

898 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:16

わたしの中の何かが弾けて、彼女にしがみついた。
本能に任せて、ねだるように彼女の動きを煽る。

好き・・・
大好き・・・

伝わってる?
わたしの想い。

わたしはあなただけに寄り添う月だから。
これからずっと、あなたのそばにいるから・・・

だからもう、あなたは一人ぼっちなんかじゃない――


「初めてなんだ・・・」
「・・・何、が?」

「キスして体が震えたのなんて。
 石川さんが初めてだよ・・・」

彼女の言葉が、最高に嬉しくて
もう一度わたしから唇を寄せた――

899 :第5章 5 :2013/05/23(木) 11:16













900 :第6章 :2013/05/23(木) 11:17


「これでよしっと」

眩しい日差しに手をかざす。
今日も快晴、お手入れ日和。

太陽に向かって、元気いっぱいに花を咲かせる
我が花壇のかわいいお花たち。

HYハウスのように豪華な造りではないけど
塗装もして、花壇も整備して、より素敵なアパートになった。

仕上げに『1444ハイツ』の看板を磨きあげて
大きく伸びをした。


901 :第6章 :2013/05/23(木) 11:18

想いが通じ合ったあの夜、
わたし達は、甘い甘い時間を過ごしていた。

粉まみれの体を共に洗い流し
雨に濡れた体を共に温め

言葉では伝えきれない想いを行為で伝え合い
熱い心と体を共有していた。

予想以上に真っ白で、柔らかい肌にくるまれながら
わたし達は、これから2人で歩む未来の約束を交わした――

・・・と、そこで気づいた重要事項。

  『もうすぐアタシ、ここの大家じゃなくなるから』

  『売ったんだ今日、義兄さんに。
   だから明日、ここを出て行くんだよ』

ということは・・・・・・

902 :第6章 :2013/05/23(木) 11:18

「明日からどうするつもりだったの?」
「んー、とりあえず、5つの別荘のどれかに行こっかなって」
「飛行機は?」
「まだ」
「わたしも着いていっちゃおうかな?」
「もちろん」

と、ここで深くて甘いキス。

「どこから行きたい?」
「そうだな〜、やっぱりハワイかな!」

るんるん気分で、もう一度キス。

水着とか用意しなきゃーとか
日焼け止め絶対買わなきゃーとか

常夏の楽園に思いを馳せながら
愛しい彼女と微笑を交わす。

903 :第6章 :2013/05/23(木) 11:19

「ねぇ、どんな別荘買ったの?」

彼女の輪郭をたどりながら
この上ない幸せをかみ締める。

「パンフあるよ。見る?」
「うん!」

バスローブなんか羽織っちゃって
軽くチュッなんて口付けを交わして
パンフが置いてあるリビングに移動する。

彼女が書類一式を持ってきて
並んでソファーに腰掛ける。

ここまでは良かった。

「すごい!これ。
 プール付、ジャグジー付!」

ここまでも良かった。

一通り目を通して、弾む気持ちのまま
思わず手にした、これらの契約書、及び吉澤タウンの売買契約書――

904 :第6章 :2013/05/23(木) 11:19




「・・・・・・・・・ねぇ。これ同額なんだけど・・・」

「そうだよ、売った金に見合う物件探してもらった」


そっか、蓄えがね。
彼女の場合、たくさん――


「あ、飛行機代ねーや」

耳を疑った。

ね、貯金は?
この吉澤タウンの今までの収入は??

「貯金?してないよ。毎月大体トントンだもん。
 収入と支出と」

愕然とした。
い、いくら何でも・・・

いや、待て待て。
最後まで話は、ちゃんと聞こう。

905 :第6章 :2013/05/23(木) 11:20

「えっと・・・さ。
 不動産とか売ったら、税金かかるの知ってるよね?」

「マジで?!!」

「買ったときも、もろもろかかったりするんだけど
 もしかして、それも・・・」

「知らねー!!!」

「本気で言ってる?!」

「もしかして、今の所持金五百円じゃヤバイ?」
 どうしよ、梨華ちゃんっ!!!」

名前を呼んでもらうのは嬉しい。
青ざめた顔だって、魅力的。

だけど――

906 :第6章 :2013/05/23(木) 11:21

「もう売るしかないじゃん」
「え〜っ!!」

まだ一回も行ってないのに?
豪遊は?酒盛りは??

ジタバタする彼女をなだめすかし
申し訳なく思いつつ、非常事態だと
新垣さんと紺野さんを呼び、対策を練る。

夜を徹して愛しあう予定が、
急遽変更、緊急生存会議へと化す。


結果、一番高いパリの別荘を売り払うことに――


907 :第6章 :2013/05/23(木) 11:21

「え〜っ!ヤダよ、花の都パリだよ?
 行きてーよ」

だだをこね続ける彼女に

「新垣に相談もせず、お義兄さんの言われるままに
 購入を決めたりするからこうなるんですっ!」

と一喝する新垣さん。

「まあまあ」なんて間を取り持ちつつ、

「ヨーロッパは、2人で旅行しよ?
 パリだけじゃなく、ドイツ、フィンランド、イギリスも行こ?ね?」

って、必死に説得し
しぶしぶ彼女が頷いた時には、もう夜が明けていた。

908 :第6章 :2013/05/23(木) 11:22

当面の資金と、税金対策等々はパリの売却で決まり。
しかしながらもう一つの課題、2人の新居へと議題を移さねばならない。

タイムリミットは、ごくわずか。

・・・が、紺野さんの閃きで、瞬時の解決を見た。

「石川さんが以前住んでらしたアパートを
 いっそ買ってしまわれたらどうですか?」

おー
おおっ!
おおお〜っ!!

一同即決。よって、シアトル、バンコクの売却が決定。
結局残ったのは、ハワイと恩納村だけになった――

909 :第6章 :2013/05/23(木) 11:23

図らずも、おばあちゃんのアパートを引き継ぐ形になって、
おばあちゃんも大いに喜んでくれて、ひめも一緒に住めて、オールOK。
わたし的には、最高の結果。
一人だけ、大家用の部屋を『狭い・・・』とかブツブツ言ってるけど・・・

それでも夜には、その狭さを感じさせないほど
熱くて濃厚なひとときを過ごす。

『アタシの女神』

そう囁いてくれるだけで
気分はヨーロッパ。

2人でいれば、どこにいたって
幸せの楽園だもん。

910 :第6章 :2013/05/23(木) 11:23


「う〜ん・・・」

大きく伸びをして、太陽を仰ぎ見る。
今夜も月が輝くためには、太陽の光をたくさん浴びておかないと。

・・・なんちゃって。

彼女がいれば、それだけで
わたしは輝いちゃうんだけどねー。

「ふふ・・・」

思わず、一人で笑いをもらしてしまう。
只今、幸せの絶頂、真っ最中。

911 :第6章 :2013/05/23(木) 11:24

当面のわたし達の夢は、
現在は所有しているだけの、2軒の別荘に行くこと。

それなのに

『働いたことがないから、よくわかんねーし、
 今まで通り、アタシは[大家 吉澤]だけで暮らしていいよね?
 あとは梨華ちゃん宜しく』

なんて甲斐性のないことを言うから
買い物途中で、募集張り紙のあった老舗煎餅屋に、
彼女を無理矢理突っ込んでみたら、即採用決定。

何でも、女将の友人によく似てるだとか
看板メニューの煎餅に印字されてる女王にそっくりだとか言って
よく分からないけど、重宝されている。

912 :第6章 :2013/05/23(木) 11:24

「そろそろ帰ってくるかな?」

腕時計を見ると、もうすぐお昼。
彼女のバイトは、土曜日は半日だから、
まもなく帰ってくるだろう。

管理費節約のために、会社が休みの土曜日に、
こうしてわたしがアパートの清掃、管理に勤しむ。

「ほんとよく出来た奥さんよねぇ」

なんて呟いて
またまた、一人で微笑んでしまう。

何をしていても幸せに感じるなんて
愛のチカラってすごいよね。

913 :第6章 :2013/05/23(木) 11:25

「そろそろかなぁ・・・」

道路を見渡していると、アパートの入口で物音がした。
振り向くと、気まずそうなカオに出くわす。

ふふ〜ん。
逃しませんよ、今日は。

「こんにちは、嗣永さん」
「あは・・・あははは。こんにちは〜
 今日もお天気いいですね〜」

「ね〜って!
 待ちなさいっ!コラ」

自室へと引き返そうとした、嗣永さんの体が
ピキッと固まる。

914 :第6章 :2013/05/23(木) 11:25

「確か・・・、先月分と先々月分のお家賃
 まだ頂いてないですよね?」

支払滞納の常習犯、嗣永桃子。
可愛さで誤魔化そうとする、その根性が許せない。

「あれ〜おかしいなぁ?てへっ」
「てへっじゃな〜いっ!」

その仕種、ひとみちゃんには通じても、
わたしには通用しないんだからねっ!

「嗣永さん、今日と言う今日は・・・」

「ただいまー」

「あ、大家の吉澤さんっ!」

何と言うタイミングで帰ってくのよぉ・・・

しかもこの子、わざわざ『大家の』って強調したでしょ!
そういう微妙な言い回しが、な〜んかムカツクのよね!

915 :第6章 :2013/05/23(木) 11:26

「ももち、どうしたの?
 何かあった?」

も、もも・・・
ももちですって!
いつからそんな仲なのっ?!

「大家の吉澤さんは〜、ももちの〜
 オトモモチなんですっ」

オトモモチ??

「梨華ちゃんもなる?」

「なりませんっ!誰がなるもんですかっ!」

「どしたの、梨華ちゃん?
 そんなに怒っちゃって」

「そーだそーだ」

くぉのぉ〜
いちいち小指立てんじゃないわよっ。

916 :第6章 :2013/05/23(木) 11:26


ちゅっ。


・・・え?
ええ?えええ??


い、今、この子の目の前で、わたしにキスした??

「何かあったの?」

頭を撫で撫でしながら
優しい眼差しをくれる。

嬉しい。
すごく嬉しいけど・・・

917 :第6章 :2013/05/23(木) 11:27

「ではでは、あとはお2人でごゆっくり〜」

「・・・ちょ、ちょっと待ちなさいっ」

そそくさと、この場を去ろうとする
元凶を引き止めた。
今は喜んでいる場合ではない。

「嗣永さん、お家賃の滞納分は
 いつまでに支払ってくれるのかしら?」

「やあだぁ〜
 ももち、滞納なんかしてませんよぉ〜」

こ、この子は・・・この期に及んで・・・

「ねー、大家の吉澤さんっ」
「うん」

はあ??
はあ?はあ?はああ??

「実はさ・・・」

918 :第6章 :2013/05/23(木) 11:28

「ももちの部屋って、アタシ達の部屋の真上じゃん?
 だから聞こえちゃうんだって」

「聞こえちゃう?何が?」

チラリと周りを気にして
ひとみちゃんが、わたしの耳元で囁く・・・

「アノ時の梨華ちゃんの声」

言葉が耳に入るやいなや、途端に頬が熱くなる。

「今まで、布団派だったらしいんだけど
 その所為で眠れなくて、ベッドにしたんだって。
 だから、何か悪くてさ・・・」

ヤ、ヤダ・・・
そんなことが・・・

「せめてものお詫びというか、何て言うかさ。
 んで、2か月分はいらないってことにしたんだけど・・・」

そ、それなら仕方ない・・・というか
こちらこそごめんなさい。

でも、声
すごい我慢してるんだけどな・・・

919 :第6章 :2013/05/23(木) 11:28

「ったく、たまには自重して下さいよ?」

「「はい・・・」」

「毎日のようにラブラブなのはいいですけど
 ちょっとヤリすぎ」

「「ええ、そう思います」」

「まあ、たまたまももちが上だったから良かったものの」

「「恩にきります」」

「先週の日曜だって、そりゃあ激しくって、
 わざわざ耳栓買いに行ったんですよ?」

「「どうもすみま・・・・・・ん?」」

「我慢するのも結構しんどいんですから」

920 :第6章 :2013/05/23(木) 11:29

「先週の日曜は、確かに激しかったよね」
「うん、梨華ちゃんすげぇかった」

「でしょ〜、ももち本当迷惑してますっ」

「けどさ」
「けどね」

「けど何ですか?」

「その日は、たまには思いっきりがいいって
 ホテルに行ったよね?」
「うん。だから梨華ちゃん
 超すごかった」

「ギクッ」

「ということは?」
「耳栓いらないね」

921 :第6章 :2013/05/23(木) 11:29

「コラ待て!
 嗣永桃子」

「許してにゃん!」

脱兎のごとく逃げ出し、
あっという間に自室に入る。

「何が、なーにが許してにゃんよっ!」

出てきなさいっ!コラッ!!

「まあまあ」

隣でひとみちゃんが苦笑する。

「これで思いっきりできるじゃん」

――だから、今からシナイ?

素早く肩を抱かれて、玄関へと滑り込む。
靴も脱がずに、扉を背にしてキスを浴びせられた。

922 :第6章 :2013/05/23(木) 11:30



「――もう・・・、息・・・とまっちゃうかと思った・・・」

見上げた瞳は、艶やかな色を帯びて
わたしだけを映す。

「ごめん。でも欲しくてたまんない・・・」

甘く緩む瞳は、わたしだけのもの――

真っ白な頬に手を伸ばす。
今日もあなたに光を届けるから、
だからあなたのその手で、わたしを輝かせて・・・

もう一度口付けながら、お部屋に上がる。
お互いを隔てるものを、もどかしく思いながら捨て去り
直接熱を伝え合う。

923 :第6章 :2013/05/23(木) 11:30


「・・・ふはっ」

突然吹き出した彼女。

「なによぉ」

「だってさ。声、ほんとに我慢しないんだもん。
 ももちに対抗しすぎ」

むぅ。

「でも、そういうとこ。
 なんかムダに頑張っちゃうとこ、
 すっげぇかわいいよ」

そんなに蕩けそうな瞳で見られたら
わたしまで蕩けてしまいそう。

924 :第6章 :2013/05/23(木) 11:31

「梨華・・・」

囁く声がわたしを導いていく。

「アタシだけの月・・・」

彼女の行為が、わたしを高みへと誘う。

「愛してる・・・
 これからもずっと」

今宵も夜空には月が輝くだろう。
けれど、それ以上にわたしは輝く。

あなたがいる限り。
あなたという美しい地球(ほし)が、そばに居続ける限り――


925 :大家 吉澤 :2013/05/23(木) 11:31


926 :大家 吉澤 :2013/05/23(木) 11:32

    終わり

927 :玄米ちゃ :2013/05/23(木) 11:34

さて、今作はいかがでしたでしょうか?
おかげ様で、無事完結致しました。

本当は、もう一つオチを入れるつもりだったんですが
最終回が長すぎたのでやめました。
それにおめでたい話が出た方ですので、
今回はオチにするのは見送ろうかと・・・

今作は実は872のシーンが最初に浮かび、そこから妄想した作品でした。
そのシーンと最初のシーンから窺えるように
本当は思いっきりコメディーにするつもりでした。
なのに、どっからこうなったんでしょうかねぇ・・・
自分でも不思議です。

ともかくお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。
ぜひご感想など頂けると嬉しいです。

ちなみに、どっかの作品で登場した煎餅屋とのコラボは
今のところ考えておりません。
928 :玄米ちゃ :2013/05/23(木) 11:34

929 :玄米ちゃ :2013/05/23(木) 11:35

930 :玄米ちゃ :2013/05/23(木) 11:35

931 :名無飼育さん :2013/05/23(木) 14:18
完結お疲れさまですm(_ _)m
コメディも好きですけど、こういうのも好きです!てか、玄米ちゃさまのならなんでも好きですw
続きも新作も楽しみにしてます!
932 :名無飼育さん :2013/05/23(木) 23:12
泣かされたのに、エロエロだし笑わされてちょっと悔しい
やっぱり玄米ちゃ様好き
吉澤さんは現実のない(生活感のない?)設定はまりますね
933 :名無飼育さん :2013/05/23(木) 23:25
大切なこと忘れてました
玄米ちゃ作品初登場キャラもうまいこと転がしていて
守備範囲の広さとその手腕に感心しきりです
934 :名無し :2013/10/13(日) 14:03
新作プリーズ(^_^ゞ
935 :玄米ちゃ :2014/01/11(土) 21:39

ご無沙汰しております。
さんざん迷いましたが、こちらの残りも少ないので
夢板に新スレを立ててしまいました。
よろしければ覗いてみて下さい。


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