■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 最新50

続飼育支部

86 :僕はこの場の平和を願わずにはいられない :2012/02/27(月) 19:00
 目が覚めてからすぐに携帯電話を手に取り時間を確認する。午後一時か、寝すぎた。昨夜は色々あったから疲れたのだろう。中澤さんから聞く彼女の呼び方は何通りかあって、重ちゃん、さゆ、さゆみちゃん、道重さん、これらが同じ人物を指していると気づくのにだいぶ時間がかかった。炊飯器には昨日の残りご飯が二人前あった。いや、外にラーメンでも食べに行きたい。カップラーメンも買いにいかなきゃいけない。
 どんよりとした雲が空を覆っている。昼間とは思えない暗さだ。自転車に乗り、駅近くまで出る。ご飯を食べたら久しぶりに古本屋に行ってみよう。予備校の裏にとめ、近くのラーメン屋に入ろうとする。おや、あれは昨日ぶりな道重さんじゃないか。隣に同い年ぐらいの茶髪の女の子もいる。どうせ彼氏がいるんだろうな、やれやれと思いながらラーメン屋の暖簾に手をかけた。「あ! 昨日のお兄さん!」僕は女だ。まあよい、よく男と間違われる風貌だし服装もそうだし、声も低い。ここは男のフリをしてナンパするのもいいかもしれないと近づいていく。「さゆー、この人女性じゃないの?」「いやいや、えり何言ってんの」「いやいや、さゆこそ何言ってんの」「僕は女です」「ほらぁ、さゆが間違ってんじゃん、むふっ」変な笑い方をする女の子だと思った。中澤さんの周りにいる女の子は変な子ばかりだ、保田と三好とか石川と吉澤とか。「君たち、ケーキ食べたくないか?」「はい!」「食べるー」彼女たちのキラキラした瞳と笑顔に騙されてつい「おごるよ?」と言ってしまったので、近くのファミレスへ向かうことにする。
87 :僕はこの場の平和を願わずにはいられない :2012/02/27(月) 19:00
 席に案内されて座ると二人ともぶつぶつ文句を言っていたようだが注文時には「さゆみはレアチーズケーキ」「えりはショートケーキ」「あ、二つともセットでお願いします」元気になっていた。「二人ともミルクティーで」「それときのこのクリームスパゲッティー」店員は注文を繰り返すと、少々お待ちくださいと言って店の奥に消えた。「お兄さん、じゃなくてお姉さんだったんですね」「そうだね」「すみません」「君の人生にそんなに重要なことだったかな」「どっちでもかっこいいです」「あの、この子は親友で」「あはー、亀井っていいますぅー」「さゆとえり?」「はい。中澤さんのことも知ってます」「えー、なんか進展あったの」注文したケーキセットとスパゲティーがきた。皿と皿がぶつかり、ショートケーキの一部がテーブルの上に倒れた。あっ、と言う暇もなく手で支えようとしたが、倒れる方が早くケーキの上に僕の手がむにゅっとのめりこむ。最低だ、僕。僕って最低だ。白いクリームがなんともいえない。指にべっとりとついた白い生クリーム。これを二人が見ている前で拭き取らなきゃいけないなんて、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。「あーあ、いけないんだぁ」絵里は笑いながら僕を責める。僕はこの場の平和を願わずにはいられない。

続きを読む


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:305484 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)