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続飼育支部

51 :ゆるい放物線を描く :2012/01/14(土) 00:47
――終末がやってくる。金曜夜、三人はいつものように獲物を探しに行く。
この星が終わるなんて誰も知らない昼間と違い、あぶれた少女が街をさまよう。

制服を着たままだと学校が特定されるから、一度誰もいない家へと帰る。
そして、どこの学校のものでもないベストとブラウスを着、スカートと靴下を穿く。靴も変える。
二十一時までに補導されたくなかったら、生きたいなら、そうする必要があった。
愛理は、水飲み場を見つけると皿にたまった水へと舌を伸ばす。
熱くなった体を冷やす。犬がそうしていたと聞く。渇きが癒せるわけではない。
二十二時。高校生はとっくに家に居る時間。補導される時間。
でも、警察は来ない。えんこーしたって、何も言われない。
夜だから。あと一時間も経つと、無法地帯になる東京。

誰もいないと思っていた公園。「寂しいよね」「切ないよね」「遊んでててもね」
幼い少女の声。三人いる。くすくすと笑われているように思う。こわい。
初めて恐怖を感じた。逃げなきゃ。でも足は動かない。夜の寒さが体を凍りつかせていく。
「すごい可愛い子じゃん」「まいは唇舐め回したい!」「ねぇ、喰っちゃおうよ」
いやだ。自分より幼い女の子に襲われるかもしれない。
男の人ならお金をくれる。年上のお姉さんだって美味しいものぐらいは食べさせてくれる。
自覚があるからここにいる。今は、逃げ出したくても体が動かない。
近づいてくる足音が、ただただこわい。
52 :ゆるい放物線を描く :2012/01/14(土) 00:48
「ねー」「おねーさん」「まいとあそぼー」
低い声、可愛い声、幼いのに妖艶な声。
「ひっ」
口から息が吐き出された瞬間、涙が頬を伝う。
「ねぇ! 聞いてんの!?」
低い声の女の子が、一歩近づいた。
「あっ、あっ」
声が出ない、言葉も出ない。ただ涙が目からこぼれていく。
「なに泣いてんの? おもしろーい」
「怯えなくていいのにね、うちら楽しいことしかしないよ?」
「まいもちさともそういうこと言わないの。おねーさん泣くとキレイだね」
プリーツスカートから伸びる膝が尋常じゃないぐらい震えている。

「忘れるぐらいに騒いじゃお」
幼い声の子が言った途端、三人が愛理を取り囲む。
六本の腕が、自分の体を服の上から触っていく。拒めない。怖くて声も発せない。
関係を持った人が頭に浮かんだ。気持ちよくて忘れられなかった人もいる。今夜はどうなるんだろう。
……あ。意外と気持ちいい、と思う。手つきが慣れている。ゆっくり、優しく触ってくれてるのがわかる。
ただ、三人の目的がよくわからなかった。それが反対に怖いとも思う。
体の緊張が解けていくと、快感を吸収して発散したくなる。
小さく吐息が漏れると、それが合図なのか愛理よりも少し背の高い声の女の子が、顔を近づけてきた。
と、唇を舐め回される。温かい熱を帯びた舌が、自身の唇を割り侵入してくる。
いつのまにか自分から応えていた。こんなことは初めてだ。何もケーヤクしてないのに。
冷たいと思い込んでいたのに、肌は汗ばんできている。
「やっぱりおねーさんの唇おいしいね」
舐め回した子は幼い声の子だった。
「なんかケーヤクしないの」
やっと声が出せたから、冷静に問う。
「おねーさんは、そうやって生きてるの? 一緒のグループで活動しない?」
同じ境遇の子たちなのかもしれない。
「いいよ、それがケーヤクなら」

幼い頃、一人で生きるんだとやっていくんだと、強く強く思った。
ここであきらめたわけじゃない。ただ回り道も時には必要だ。
一人じゃ対処しきれないこともある。何があるかわからない世界だからこそ。

 END.

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