■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 最新50

続飼育支部

235 :幼さと初恋は夏空に、似る :2015/01/31(土) 02:22
夏の空は突き抜けるほど青く、手を伸ばしても太陽には届かない。
空の青さと自分の幼さとが同化していくような感覚を覚える。
出かける前に塗りたくった日焼け止めも、どこからともなく溢れる大量の汗で意味がないようだ。

終業式までの委員会活動日は塾や習い事の予定で埋まり、名簿で機械的に割り当てられた書架整理が夏休みへとずれ込んだ。
一人で作業かと落ち込んでいたら、同じ一年生の亀井さんとペアを組んで半日で終わらせることになった。
午後一時集合、外気温は三十二度を超え、真夏日となった。
最高気温はもっと上がることだろう。
図書館内の気温は二十八度に設定されているが、ずっと座っているなら暑くならないだろう。

先に着いた紺野は、ぐるっと図書館内を見渡し、すうっと大きく息を吸ってはぁとゆっくり吐き出す。
古くなった紙が独特に持つカビ臭い匂いが紺野は好きだ。
インクの匂いだという人もいる。
出版社ごとに匂いが違うと主張する人もいる。
この匂いが好きで古本屋や図書館に、ついこもってしまう。
リアルな痛みをともなう日常を忘れさせてくれる、非日常へといざなう匂いが本当に好きだ。
すぅはぁ、と大きな深呼吸をしていると

「こんにちはー」

どデカイ能天気な挨拶が聞こえた。
声の主を確認するように振り返ると、女の子が立っていた。
亀井さん。
挨拶に反応してか、隣の教務室からパタパタと急ぐ音がする。

「来たね」

司書の石川先生が教務室からひょこっと顔を出す。

続きを読む


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:311982 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)