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続飼育支部

22 :おひとりさま :2011/12/11(日) 18:23
せっかく東京に出てきたんやし、なかなか見られへん月蝕、ええとこでみたいやんか。
で。区内やし、暗いところってそう思いつかんかったんやけど。
電車で行けて一人で迷わず戻ってこれて……ってどこやねん。
あ、緑が多いところはまわりに明かり少ないよなぁ。
ええとこ思いついた。

改札抜けて駅舎から出ると、もう月蝕は始まっててん。
人々らが夜空を見上げてた。あたしも見上げてしまう。
「月が食べられちゃいそう」
通り過ぎるカップルの楽しそうな声。
たしかこの道でええはずや。カップルが歩いてきた道をいく。
車も少なく、明かりも少なくなっていく。都内やのに。
坂がきつい。上りきると、高い木々がビルの谷間から見える。
着いた! 夜空のお月さんは、だいぶ太陽さんに隠されとる。
でも間に合うた。公園内の真ん中に大きな銅像が立ってる。
見上げると、ちょうど銅像のかげに入って都会の光は見えへん。
23 :おひとりさま :2011/12/11(日) 18:23
寒いせいもあって、見上げ続けていると首が痛くなる。
まわりを見渡すと、暗いからようわからんが、おっさんが多い。子連れもおるが。
……一人でみてる女の子おるやん。角度気にしてる感じを装いつつ、近づいてみる。
「なぁ、一人で来たんか?」
「あ、あたしですか!? びっくりさせないでくださいよぉ。おねーさんも一人なんですか」
「そうや。で、一人なんか?」
「まぁ、さびしいですけど」
「この季節になぁ」
「あぁ、これからクリスマスとかお正月とかありますもんねぇ」
「ふーん、それどこのなまり?」
「えー、なまってますぅ? ていうかおねーさんだって関西弁じゃないですかぁ」
「そりゃあ、大阪から出てきたばっかりやもん」
「あたしも出てきたばっかりですよ」
「そうなんや、似た者同士やな」
「てゆーか、おねーさんナンパですか?」
「いや、こんなとこに一人で月見に来てる女の子って興味あるやんか」
「まぁ、あたしもおねーさんのこと気づいてたら声かけてたかもしんない」
「やろ?」
「だいいち、月蝕ってゆっくりですよねぇ」
「寒いよなぁ」
「完全に隠れたらどこか行きますぅ?」
「そっちこそナンパやん。まぁええけど」
「やったぁ、じゃあ静かにしててください」
「えー、なんやのそれ」
「あたし、静かに月を見たいんで」
24 :おひとりさま :2011/12/11(日) 18:23
さっきから月なんか見てへんかった。一度も。
見上げると、都会の喧騒なんか忘れるぐらいに小さな星が輝きを繰り返してた。
月はもう小さな欠片しか残ってへんくて。あたしらにはただそれを眺めるしかできひん。
携帯で時間確認すると、そろそろ全部隠れるっちゅー時間やった。
もう一度夜空に視線をうつす。晴れててよかった、雲が多い夜やなくて。
「完全に隠れちゃいましたねぇ。おねーさん、どーします?」
「ん?」
「いや、明けはじめるまで時間かかるじゃないですかぁ」
「あぁ」
「でもこんなゆっくりなのずっと見るのもあれなんでぇ、ある程度時間置いてから来たいな、って」
「んー、体あっためたいよなぁ。あ、いくつ?」
「成人してますよ、だから居酒屋でも」
「じゃあ運動せぇへん?」
「はぁ?」
「や、ホテル」
「えーーー。運動しなくてもいいなら行きますけどぉ」
「まぁ、それでもええか。名前なんちゅーの?」
「松浦です、松浦亜弥」
「かわえぇなぁ」
「てゆーか、おねーさんあたしに惚れたんですね」
「ちゃうわ」
「おねーさん、おねーさんの名前教えてくださいよぅ」
「ホテルに入ったら教えるわ」
「えー、ずるぅい!」

 END.

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