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続飼育支部

212 :三寒四温 :2013/03/08(金) 21:18
久しぶりのお誘いは、やっぱりあゆみちゃんからだった。

紅梅も咲き誇る三月。昔の人は、花見と言ったら梅だったらしい。
この東京で江戸時代に桜の花見が楽しまれるようになったとか。
今年はいつだろう。雪が積もるぐらい寒かったから。
それでも、入学式前には咲くんじゃないかな、とみんなは噂している。

「みずきちゃん、聞いてる?」
あゆみちゃんとおしゃべりしていたのも忘れ、いつの間にか寝ていたようだ。
「……うーん」
試験も終わり、もうすぐ終業式。最終学年の卒業式は終わってしまった。
文化祭でお世話になった飯窪先輩が卒業してしまい、ちょっとさびしく感じる。
「ね、今日、暑いからさ、これからアイス食べに行こ?」
アイスかぁ、冷たくて美味しいけど糖分が多いから、太る。
特に、女の子なら大きさが気になる胸にお肉がついちゃう!
みずきの場合は、だけど。
「あゆみちゃんは太らないからいいけど、みずきは太っちゃう」
いじけて言ったのに、ちらっと顔を見たらキラキラした笑顔で
「こっから自転車で三十分ぐらいのとこに美味しいソフトクリーム屋さん、できたんだって」
なんて言われたら、みずきは黙って頷くしかない。
213 :三寒四温 :2013/03/08(金) 21:19
初めてのお誘いは五月。
こんな風に自転車こいで、途中でアイス買って食べた。
あの日も、春にしては夏のような暑さだったっけ。今日も今日で春の初めにしては暑い。
秋以降、みずきはダイエットと称して自転車で通っている。
あのときみたいに、二人乗りであゆみちゃんを困らせることはできない。
けれど、隣を走っておしゃべりはできる。
並走は危険と校則に書いてあるけど。だって、かわいいあゆみちゃんの横顔を眺めていたいじゃない。
「どんなソフトクリームがあるかなぁ。ねぇ、みずきちゃん。紫いも味とかあったらどうする!?」
「ふつうにチョコレートでいいよぅ」
上り坂があるなんて聞いてない。いつもと違う道。いつもと違う風景。
目に映る景色の先にあゆみちゃんがいつでも目に入って、新鮮な感じがする。
どの季節も、あゆみちゃんが隣にいてくれたなぁ。
暖かい風が強く、みずきとあゆみちゃんの間を抜けていく。
先を行く、あゆみちゃんの制服がふわりと風に浮く。
スカートの中は見えるようで見えない。
あゆみちゃんからの好きは、言ってくれるようで言ってくれない。

来年になったらクラス替えが行われる。
文系理系、選択科目の違いによって明確に分けられるクラス。
同じのにしようね、と約束したけれど、それでも同じになれるとは限らない。

「みずきちゃん、早くぅー! もうすぐだよぉ!!」
坂の上で自転車から降り、あゆみちゃんはみずきに向かって手を振ってくれている。
うん。今はソフトクリームを食べることだけに専念しよう。
そして、あゆみちゃんを可愛がろう。
あゆみちゃんがさびしがらないように。
みずきがさびしくならないように。

 END.

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