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熊井チャンネル

1 :名無飼育さん :2010/07/06(火) 23:40
「基本に忠実」が合言葉です。

短編。

登場人物は、キッズ、スマイレージが主です。
何卒よろしくお願いいたします。
401 :_ :2014/06/11(水) 23:12



 
402 :_ :2014/06/11(水) 23:12



 
403 :寺井 :2014/06/11(水) 23:13


以上です。
 
 
404 :名無飼育さん :2014/06/30(月) 19:46
一気に読んでしまいました。
ベリーズそれぞれの性格が再現されていてすごいです。
405 :寺井 :2014/08/25(月) 23:07
>>404 :名無飼育さん
お読み頂きありがとうございます!
コメントまで頂きとても嬉しいです。
もっともっとかわいい7人だぞ!と思いながら文字にしておりますが。それぞれの性格が再現されていて、とおっしゃって頂けて励みになりました。
406 :寺井 :2014/08/25(月) 23:10
更新しまーす
須藤さん視点
登場人物は、熊井ちゃん、嗣永さん。
やっつけなのですが。一生懸命考えました。
Berryz工房の未来がとても楽しみず。
407 :寺井 :2014/08/25(月) 23:12
間違えた。熊井ちゃん視点です。
408 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:15

 ◇ ◇ ◇


 
409 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:16


 「まーちゃーん」
 人通りの多い廊下でモーニング娘。'14の佐藤優樹ちゃんを呼ぶ声が響いた。10期メンバーの誰かの声だろう。ぶっきらぼうに響いた声は少々怒りを含んでいるみたいだ。
 廊下と違い、私が身を隠している室内はひっそりと静かだった。ハロー!プロジェクトのコンサート中野サンプラザ公演の初日の今日、本番前の慌ただしい時間にももと二人きりで倉庫代わりされている楽屋にいた。
 空調の電源は切られ窓も開いていない楽屋はとんでもなく暑い。衣装や機材が所狭しと置かれて他の部屋よりも窮屈に感じられた。暑さの所為だけじゃなくて息苦しい。一つ、息を吐いてから黙ったままのももの横顔を見つめた。
 衣装に着替えメイクも済ませ、髪型もばっちりというかカッチカチに固めてあとは本番を迎えるだけの状態のももは汗ひとつ額に浮かべず涼しげな様子に見えた。

 「はーやーくー」
 まーちゃんを急かしている声がまた廊下に響き渡った。別の声で「何してるの」と「行くよ」が続けて聞こえた。集合する時間が迫っていた。じっとしているだけなのに、汗が滲んできてしまう。ステージへ出れば汗をかくのは同じことだけど。息がつまりそうなこの場所から解放されたい。本番まで時間もない。ここでじっとしている場合じゃないのは重々承知だったけれどももの側を離れることができなかった。

 
410 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:16

◇ ◇ ◇


 
411 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:17

 ベリーズの楽屋は変にそわそわしていた。本番前は誰だって緊張するし、テンションも高くなる。でも、10年も毎年コンサートをしてくると緊張だってベリーズらしいた空気があった。
 今日のそわそわ感は今までに経験してきたのとは違うような気がした。
 Berryz工房のグループ活動に区切りを付けることを伝えるのが今日だった。活動停止の発表をいつするかは、前もって決めていたから覚悟する時間は十分にあったグループにとって初めて経験する重大な発表だったから10年活動していたとしてもいつも通りとはいかなかったのかもしれない。
 
 本当に大事な発表なのだから切り出しを述べるキャプテンはきちんと伝えるべきだとプレッシャーを与えたり、一生残る瞬間は最高にかわいい表情でいなければならないと梨沙子に諭していたり、ももは比較的落ち着いているみたいだった。

 会場にはすでにファンの人たちが集まっていた。ホールへ近づくと盛り上がっている声が聞こえてくる。本当に、これからコンサートが始まる。私も、ももも出番がある。ファンの人たちが待ってくれていた。
 「逃げよう」
 と、ももは言った。私は緊張で頭の中が真っ白になりそうなのをこらえるのに自分のセリフを確認していた。「くまいちょー」と、ももだけが呼ぶその呼び名に反応した時は既に腕をがっつり組まれていた。
 お手洗いだったら一人で行ってぐらいの軽い気持ちで断ろうと思っていたのに。小さい体に似合わない怪力に驚いて隙を見せてしまい私はももにあっけなく連れ去られた。
 「どこ行くの? 」
 「逃げるの」
 「え?! 」
 「やっぱり、Berryz工房辞めたくないもん」

 コンサートから逃げ出して、Berryz工房の活動停止発表の時にメンバーが揃っていなければ発表が取りやめになると子どもみたいな発想から衝動的にももは行動を起こしてその巻き添えを食らっていた。

412 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:17

◇ ◇ ◇


 
413 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:21

 20歳も越えて、学生ではあるものの。責任を負うことも周囲から徐々に求められてきた。ももの強引さに驚きはしたものの。楽屋に隠れているのは自分の判断で行った事実。本番に間に合わず迷惑をかけてしまったら自分の責任だ。
 大学の友達に言われて気が付いたのは、これまで疑うことをあまりしてこなかったということ。自分は騙されやすいのかもしれない。でも、それがどういうことなのかはよく分かっていなかった。
 誰もいない倉庫のような場所まで来ていたけれどまさか、本番をドタキャンするはずがないと疑っていなかった。これをどう説明すれば分かってもらえるのか。癖みたいなものかもしれない。ももが、仕事に穴をあけるはずがないという思い込みでしかないけれど。モーニング娘。の10期メンバーが佐藤優樹ちゃんを探している焦りみたいな気持ちは全然なかった。

 廊下は徐々に人の気配が少なくなり静かになってきた。コンサート開始まで刻一刻と時が迫っている。
 こめかみから首まで一筋の汗が流れた。
 「あっつい」
 もう、行こうよと心の中で念じて隣を見たけれどももは顔色一つ変えずに無言のままだ。「行こう」と口にする瞬間にももがこちらを見上げた。
 「明日、くまいちょーのお誕生日だね」
 今日は8月2日。そして、明日8月3日は私の誕生日だ。明日もここでコンサートをする予定だから大勢の人に自分の誕生日を祝ってもらえる特別な日になる。この時期はコンサートをしていたり秋からの舞台リハーサルが始まっていたりすることが多く、毎年多くの人たちにおめでとうと言ってもらえていた。
 「発表、くまいちょーの誕生日の後にすればいいのに」
 「そんなこと言ったら、次はみやの誕生日がくるし」
 「だったら、活動停止なんて発表しなければいい」
 やだやだやだー、と駄々をこねる聞き分けの無い子どもが現れた。その様子がももに似合っていて思わず笑ってしまった。
 「なんで笑うのくまいちょー。もも、本気で嫌だって言ってるのに」
 「やだやだやだー」
 私はももの真似をして体をじたばたさせてみて、すぐに後悔した。やるんじゃなかった。余計に暑くなってきてしまった。隣のわがままな子どもは真似をされるとは思っていなかったようで驚いていた。
 「ももが本気で嫌だったらこんなトコでじっとしてなさそう」
 何年一緒にやってきたと思っているのだろう。ももは、ちょっと私のことを甘くみている。詰めが甘いと自覚する部分があるからももの上から目線も仕方ないと思う部分もある。
414 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:21

 風なんて全然起きないけれど、手ぱたぱたさせて顔あたりを煽ってみた。涼し気な様子のままのももを恨めしく思う。巻き添えを食ったこっちの方が本番に影響が出そうだった。
 「今までだって、ももは自分で決めたことは何がなんでもやってきたから」
 誰になんと言われようとこだわりを曲げず完成度を高めていったももち結びも、大学へ進学して先生の資格を取ったことも。自分を持っていてそれを貫く強さはちょっとだけ憧れる。
 「もし、本気でBerryz工房を続けるって決めたらもも一人でもやってるんじゃない」
 「嫌だよ」
 今日のももはやたら嫌だという。珍しいと思った。生きていれば嫌なこともたくさんあるだろうけどあからさまに嫌がったり態度を悪くしたりすることはなかなかないことだ。なんだかんだいっても、キャプテンとももは年長者のおおらかさがある。
 「一人でベリーズやってもつまんないもん」
 口を尖らせて不意に私の腕と自分の腕を絡めてきた。暑がっている私を苦しめるのが面白いのかもしれない。腕を組まれないように体を捩ったら下から睨まれた。責められる筋合いは全くなく、こっちが文句を言いたい立場だっていうのに。自分勝手な人だ。
 くっ付かれることはなんとか逃れて衣装のジャケットを脱いだ。暑い。マジ暑すぎる。
 つまらないことが嫌なら、答えは出ていた。

 「ここでじっとしててもつまんない」
 「くまいちょーと二人でいるから楽しいし」
 「私はコンサート出たいからもう、行くね」
 「ちょっと待ってちょっと待って」
 「まーちゃんじゃないんだから。いくら待っても誰も探しに来てくれないよ」

415 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:22

 モーニング娘。10期やハロプロ研修生みたいにかまったりかまわれたりの関係はBerryz工房も通った道だ。いつからか個人が尊重される関係になっていた。ケンカしたり仲直りしたりそういう関係に懐かしさを覚えるけど昔に戻りたいとは思わない。だって、今の方がカッコイイって思うから。
 私たち二人が本番前に姿を見せなくても心配されないのは興味がないとかじゃなくて。やるときはやってきたから信頼されていると思っていいんじゃないかな。

 ももは、私のジャケットを力づくで奪った。私とももの体格差はハロプロの中でも開いている方なのに。小さいももに何故こんなに力があるのか不思議だ。
 「もも」
 「花火するって約束してくれたらこれ返す」
 「花火? やったー。やろうよ花火」
 よく分からない交換条件だとは思ったけど。花火なんてなかなかできないことだったから嬉しくなってしまった。
 「ベリーズで花火するの? 」
 Berryz工房7人で花火をしたらどんな風になるのか少しだけ想像してみても面白かった。
 千奈美が変わった花火を用意してきそうだ。梨沙子は線香花火にハンパない集中力を発揮してそれを茶化してももが怒られて許してにゃん、の流れまで一気に思い浮かんできた。

416 :ゆびきりをした後 :2014/08/25(月) 23:22

 「約束」
 そう言って、ももが小指を突き出してきた。
 ゆびきりをした後、ももが雑にジャケットを返してくれた。畳んで返すとか、着せてくれるとかももに期待したところでなんか違うのだろう。
 暑苦しい楽屋のドアを開けると廊下には誰もいない状況だった。
 ああ、ちゃんと発表のコメントを間違わずに言えるか不安になってきてしまった。
 本番前から汗だくだし。色々落ち着かせる為に風に当たりたい。
 しかし、そんな時間はないと分かっているからまた汗をかくのに急いでももと廊下を走る羽目になった。
 ケータリング場所を横切る時、横目に見慣れた姿を2人確認してはっとした。
 「千奈美、まあさん」
 「熊井ちゃんの分もアイス確保しておく? 」
 疑う余地がないほどのんき過ぎる。大学の友達たちはこういう人たちが身近に存在しないのだろうか。
 「ちょっと、ちーちゃんももの分も取っておいてよ」
 カッコイイって思いたかったBerryz工房の実態はアイス一つでケンカが始まるグループだった。
 これでもやるときはやるのだから、未来もきっとなんとかなる。先の未来よりも。近くの本番。
 「アイスは7人分取っておこう」
 「さすが熊井ちゃん」

417 :_ :2014/08/25(月) 23:22



 
418 :_ :2014/08/25(月) 23:22



 
419 :寺井 :2014/08/25(月) 23:28
以上です。
夏焼さん、お誕生日おめでとうございます!
今回更新分で登場しなかった痛恨のミス。
Berryz工房の姫君は夏焼さんだと思っています。
420 :名無飼育さん :2014/09/02(火) 16:03
雰囲気が素敵です!
熊井ちゃんの「花火? やったー。やろうよ花火」に和みましたw
桃熊いいなあ
421 :寺井 :2014/09/04(木) 22:43
>>420 :名無飼育さん
コメントありがとうございます。
どんな雰囲気なんだろうーーー?と気になりつつ。お褒め頂き嬉しいです。
Berryz工房は、和むんです。
422 :寺井 :2014/09/04(木) 22:55
更新しまーす
熊井ちゃん視点
登場人物は、熊井ちゃん、嗣永さん。

自分の体重は自分で支える派の熊井ちゃんと人にくっつきたくなっちゃう派のももちです。
Berryz工房 DVD MAGAZINE Vol.35 参照
423 :寺井 :2014/09/04(木) 22:56

 ◇ ◇ ◇


 
424 :Momo take it all :2014/09/04(木) 23:00
 両手でスマートフォンを支えて、撮影ボタンに触れる直前だった。
 私の右腕と左腕の間から黒い頭がぬっと現れ、思わず「おっ」と声が漏れた。二つ結びがトレードマーク。そのおじゃま虫が振り向かなくても誰なのかすぐに分かった。

 「じゃまだよ」

 被写体のブレスレットを私から隠して明後日の方へ視線を向けていた。
 ブレスレットは今日の撮影用に衣装さんが手作りで用意してくれた一点ものだ。ゴールドのバングルにラインストーンが等間隔でちりばめられていてシンプルだけどとてもかわいくて自分好みだと思った。
 残念ながら、梨沙子の為に用意されたブレスレットだったので私は身に着けることができなかった。せめて、画像を保存しておこうと休憩中の梨沙子から借りたのに。邪魔が入った。

 「もも。写真撮らせて」
 私はももが隠しているブレスレットの写真を撮らせて欲しいと伝えたつもりだったのだが、相手は唇を鳥みたいにつぼめ、瞬きを繰り返している。どうやら自分のことを撮影するように促しているみたいだ。
 仕方ないので、ももをスマートフォンで撮影してみる。何枚か撮ってみたけれどこれといって手応えはなかった。
 ご機嫌な様子のももは、いつの間にか私の膝の上に座り我が物顔でスマートフォンを覗きこんでいる。さっき撮ったばかりの自分の画像を見比べどれが一番好きか聞かれたが正直どれも同じに思えた。
425 :Momo take it all :2014/09/04(木) 23:00

 「ブレスレット返してってば」
 写真撮りたいの。
 「返して欲しい? 」
 私の膝の上に乗り同じくらいの目線なのに、上目遣いのようにももはこちらを見る。わざとらしく、どうしようかなとかでもももの方がかわいいと思うとか冗談ばかり言ってなかなかブレスレットを返してくれなかった。
 「梨沙子から借りたから、すぐ返さなきゃなんないのに」
 ブレスレットの画像を今残すことは諦めた。それより、重たい。
 「もも、降りてよ」
 観念しました、と態度で示すようにスマートフォンを側の机に置いて背中を叩く。
 「い・や」
 と、強く区切ってももは降りることを拒否した。そればかりか、背中に体重をかけて寄りかかってきた。
 夕べはたくさん眠ることができたのだろう。今日のももは元気だと思った。
 
 「熊井マッサージ機、スイッチオン」
 何かと思えば、私のことをマッサージチェアに見立てたようだ。スイッチオンと、言いながらももは手の甲を小指で連打してくる。地味に痛かった。
 「えー、何で」
 「スイッチ」
 「分かった。分かったから。ももの小指マジで痛いんだって」
 ももは振り返りこちらへ小指をかざした。ふぅっと息でピストルの白煙を吹くドヤ顔を見せている。
 本当に本当に仕方なく、ももの肩を揉みはじめた。
 いつも知らない間にもものペースに乗せられていてそんなつもりはなくても度々茶番に付き合わされた。真面目に淡々と過ぎていくよりは面白いけれど。割を食っているのは自分なんじゃないかと思うときもある。

 
426 :Momo take it all :2014/09/04(木) 23:01

 「力加減はこのくらいですか? 」
 半ばヤケクソになりながら御用を聞く。
 「いい感じだよ。熊井マッサージ機さすがですね」
 いいですねー。もうちょっと左右全体的に動くかな。あー、そうそう。いやー気持ちいいなぁ。
 全部棒読みでももがマッサージの感想を述べている。
 
 「はい。終わりー」
 両手でももの背中を押して、膝の上から降ろそうとした。
 私が力を込めれば込めるほど、ももは脱力して抵抗してくる。
 「背中のマッサージもいい感じですねー」
 いつまでマッサージ機ごっこをしなければならないのか、溜息が漏れる。
 ももにはいつも敵わない。
 「もーもー」
 不満の気持ちを込めて呼んだのに。
 「はーい」
 愉快そうにももが返事をした。まともにやりあってももに勝ったことなんてなかった。力も負ける、口数でも負ける。頭の回転が速い相手はいつだって一枚上手だった。

427 :Momo take it all :2014/09/04(木) 23:01

 しかし私は今、マッサージ機なのだ。
 意地悪かもしれないと、ひらめきをちょっだけためらった。
 もしかしたら今回は勝てるかもしれない。と、脳裏をかすめると実行せずにはいられなかった。
 「次は、腕のマッサージをします」
 私の膝の上でだらけていた隙を逃さず、ベリーズで最近評判のももの二の腕を掴んでみた。
 「待った、待った」
 「お客さん、凝ってますね」
 「違う、二の腕凝る人なんていないから」
 「でも大分固いですよ。すっごい凝ってますね」
 「やめてよ。凝ってないから筋肉だからって。何を言わせて」
 「はい。じゃあ、次は左腕のマッサージ」
 「やだって。腕のマッサージはいーらーなーいー」
 降参寸前のももに心打ちでにんまりしていると。

 「くまいちょーセクハラだ」
 手を掴まれて心外な言葉を浴びせられた。
 もも相手にセクハラだなんて、ショックだ。
 「先にももがマッサージ機って言い出したのに」
 「ももの所為にするなんて最低だね」
 容赦ないももの言いがかりに腹を立てても良いのだけれど。性格柄、うやむやにしてしまうことが多かった。
 今回こそももに勝てるかと思ったが、こちらが傷を負って結局理不尽な目に遭った。こんなことなら大人しくしていればよかった。あーあ。セクハラするのだって、相手を選びたいよ。
428 :Momo take it all :2014/09/04(木) 23:02

 拗ねた気持ちでされるがままにしていたら。突然頭を撫でられた。
 「しゅんとしてるくまいちょーってかわいい」
 らしい。そんなことはどうでもいい。ブレスレットを返して欲しかったし。膝の上からどいて欲しい。
 そして、許してニャンはマジでいらない。
 膝の上に乗ったまま、首にまで絡み付いてきて重いったらない。
 かわいい、かわいいと、繰り返されるものだから。

 「ももが一番かわいいよ」
 と、真顔で言ってみたら相手は黙ってしまった。心なしか耳が赤くなっている気がしないでもない。
 「どうしたの? 」
 尋ねたところで返事はなく。膝の上から大人しく降りてくれた。顔を背けて隣の椅子に座って動かなくなった。もしかしたらももの弱点は・・・。
 ここぞという時はコレが一番ももにきくのかもしれない。何か手ごたえを感じた今日。少し大人になった気分を味わえたのだった。

429 :_ :2014/09/04(木) 23:02




 
430 :_ :2014/09/04(木) 23:02




 
431 :寺井 :2014/09/04(木) 23:02
以上です。
432 :名無飼育さん :2014/09/25(木) 01:18

いつも素敵な文章ありがとうございます。
嗣永さんの熊井ちゃんいじりが、自分の欲求満たしてる感強くてにやにやしました。

熊井ちゃんで遊びつつ癒されてる嗣永さんかわいい。
嗣永さんに翻弄されつつ、真顔でキザなセリフ言っちゃう熊井さんかわいい。

つまり桃熊はかわいい!

433 :寺井 :2014/11/28(金) 21:51
>>432 :名無飼育さん
コメントありがとうございます。
桃熊かわいい!おっしゃって頂けてうれしいです。
10年経っても初々しいかわいさがあって熊井ちゃんズルい。って思っております。
嗣永さんの不意をついて欲しいなって思って書きました!
434 :寺井 :2014/11/28(金) 22:01
更新しまーす
清水キャプテン視点
登場人物は、キャプテン、夏焼さん。

9/20,21に開催されたトラベリーズ.com3がすっごい羨ましかったです。
2015年2月のトラベリーズ.com FINAL!も楽しみですね。
435 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:02

 ◇ ◇ ◇


 
436 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:03
 スペジェネのイントロが始まる。照明が一瞬で落とされスポットライトでベリーズのメンバーがステージ上に浮かび上がる。私はこの場面で会場全体を煽る役割だった。ステージも客席も同じタイミングで空気が一瞬で変わる感覚に鳥肌が立った。
 その大事な場面で顔の中心がむずむずしてきた。どうしてもくしゃみがしたくなって集中力が途切れてしまう。どうしよう。後ろの大きなビジョンにも私のアップが抜かれるのに。こらえられない。たまらず、思い切りくしゃみが出てしまった。
 瞬く間、歓声もBGMも聞こえなくなり辺りは真っ暗になった。今までの熱気が嘘みたいに静かだ。しかし、誰かの気配がある。よく目をこらして何者かを判別しようとする。
 真っ暗闇の中ワープするみたいに、ピンクの物体が近づいてくる。これは、鯛だ。
 鯛の着ぐるみを着た千奈美がお抹茶をすすっている。千奈美、あんなに抹茶が苦手だって言っていたのに。いつの間にそんなみやびやかな趣味を持つようになったのだろう。
 千奈美は、鯛の格好のままお抹茶をズズっと音を立てて啜っていた。そして、私に気が付くと。キャプテン、と嬉しそうに目を細め。

 「ぉぱよ! 」

 ぉ、ぱ、よ? 一体これは何が起こっているのだろう。何が起こっているも、何もないのだ。これは、夢だ。

437 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:03

 覚醒までには少しだけ時間が必要だった。
 ここはどこ?
 ゆっくりと瞼を持ち上げまた閉じる。何度か繰り返してやっと思い出す。ホテルの1室だった。
 今何時?
 布団にもぐったまま手を伸ばして携帯電話を引き寄せた。画面が眩しくて眉間に皺が寄る。午前5時前だ。起床するにはまだ早い。

 このまま大人しくしていればまた夢の中へ戻れそうだったが。間が悪くも喉が渇いた。変な夢を見た所為でどうやら汗もかいている。思わず溜息がもれて意識もはっきりしてくる。
 夢かうつつか曖昧なまま、再び眠りにつけばよかったと後悔しても遅かった。

438 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:03

 ◇ ◇ ◇


 
439 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:04

 昨日から、ファンクラブのバスツアーが始まっていた。バスツアーの前にベリーズのメンバー7人で遊んだこともあり浮遊感に拍車がかかっていた。今日もこれからファンの人たちと一緒に過ごす時間がたっぷり用意されている。高揚感と緊張感が入り混じったバスツアーだけど、今回は今までで一番メンバー自身が楽しんでいた。

 掛け布団を捲って上半身だけ起き上がる。喉がからからでこのままでは眠れそうもなかった。
 立ち上がるのは本当に億劫な気持ちだったが観念して水を買いに部屋から出ることを決めた。
 お財布はキャリーバッグの側に置いていたから、廊下へ出る時にすぐ持ち出せる。昨日のうちに水を買っておけばよかった。こんな時間に目を覚ますのは想定外だった。

 ゆっくりと首を回して深く静かに息を吐いた。
 立ち上がろうと手のひらを布団についた途端、手首を掴まれて小さく悲鳴が漏れてしまった。
 隣で眠っていたはずの雅が私の手首をしっかり掴んでいる。
 「佐紀? 」
 「ごめん。起こしちゃった」
 もごもごと何か言葉を口にしたみたいだが、雅が何を言っていたのか聞き取ることができなかった。

440 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:04

 「どうしたの? 」
 「喉渇いたから、お水買ってくる」
 「どっか行く? 」
 「廊下に自動販売機あったから。そこまで」
 「うちのお水、あるから。それ飲みな」
 朝になって今の会話の内容を尋ねたとしても殆ど忘れてしまっている他愛もない時間でも、雅はお姉さんのように部屋から出ることを少し心配しているみたいだった。

 「ありがとう」
 1度飲み始めると一気に大量の水を欲してしまうのできっと足りなくなってしまう。
 結局は水を買いに出ることになるだろうから雅の好意だけは受けて、お財布を持ち明るい廊下へ出た。
 光が室内に入り込み他のメンバーの眠りを妨げるかと危惧したが、みんなぐっすりと眠りこけていた。
 鍵をかけてから廊下を歩く。自分のスリッパの音が妙に大きく聞こえた。

441 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:05

 ◇ ◇ ◇


 
442 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:05

 数え切れない程ベリーズのメンバーで宿泊はしてきたけれど、7人全員が1つの部屋で一晩過ごすのは10年で初めてだった。
 熊井ちゃんが眼鏡をかけたまま眠ってしまったり、梨沙子が熱を出して冷えピタをおでこに貼って眠っていたり。昔のことが昨日のことのように浮かんできた。
 お化けが出るといっては大騒ぎになってマネージャーさんたちにこっぴどく叱られたり、寝坊して怒られたり。周囲の大人から怒られてきたことばかりがすぐに浮かんで1人でちょっと笑ってしまった。
 7人でいる時は怖いものがなくて、今思えばどうしてあんな無茶ができたのだろうと自分たちのことが不思議で仕方がない。
 それが10年も続くとは思っていなかったし、終わりがやってくることも分かっていなかった。

 ペットボトルの水を1本買ってその場で口を付ける。
 1口で済めば雅から水を分けてもらえばよかったけれど、飲み始めると半分近くペットボトルの中身が減ってしまった。
 ふと視線を上げると窓が一つあった。ホテルの白い壁に夜明け前の薄ら暗い空が見える。星も見えた。他の寝ている6人はどんな夢を見ているのだろうか。

443 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:06

 Berryz工房7人が離れ離れになることがうまく想像できないでいた。美味しいものをたくさん食べて、いっぱい笑って、そんな未来がいいなと思うけれど。今までだって楽しいことも大変なことも両方あった。
 楽しいことばかりではないこれから先、何かあった時だってきっと大丈夫。ももがいる、千奈美がいる、茉麻がいる、熊井ちゃんがいる、梨沙子がいる。そして雅がいる。一人じゃない。
 思い耽るとすぐ泣き出しそうになるから深呼吸をして明日のことを考えた。
 今日のライブ楽しかったな。
 ステージの上では夢中になっていてリハーサル通りに本番が進まないこともある。終わってみんなで楽屋へ戻る時はいつも変なテンションになっていて現実感がなかった。
 それから家に帰って、ほっと一息ついたときに思い出して一人で笑っちゃう。今日も楽しかったなって。
 きっと、明日もそんな日になる。っていうか、してみせる。

444 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:06

 朝ご飯は何かな。お水飲んでいたら、アイス食べたくなってきちゃったなんてのんきに部屋へ戻ろうと進行方向へ体を向けると人影がありドキっとした。髪の毛ぼさぼさの雅が、目の前にいた。

 「遅い」

 雅は不機嫌そうに一言呟いた。
 別に私が悪いことをしたワケでもないけどごめんと一応謝った。
 雅が突然現れて本当に驚いた。けれど迎えに来てくれたことが嬉しくて。誰が来てくれても嬉しいとは思うけど雅が来てくれたことは特別に感じた。他のメンバーだったら申し訳ないと思ってしまうこんな時、雅だと甘えたい気持ちが込み上げてきてしまう。年は私の方が上だけど、雅からの些細な甘やかしが嬉しくて嬉しくて。緩む表情が抑えられなかった。

 「お水飲む? 」
 どうせ断られると分かっていたけど雅に尋ねる。
 「ありがとう」
 相手は私からペットボトルを受け取ったが飲む様子はなく、戻ろうとそのまま私の手を握った。

445 :希望の夜 :2014/11/28(金) 22:07

 「一人でお酒でも飲んでるかと思った」
 あくびをしながら雅が言った。
 「飲んでいく? 」
 目が合った。眠そうな雅は普段よりも幼く見える。
 「また、今度ね」

 雅は覚えているだろうか。
 夢の続きだったと、勘違いしないで欲しい。
 密やかに願いながら5人が眠っている部屋へと歩いた。
446 :_ :2014/11/28(金) 22:07




 
447 :_ :2014/11/28(金) 22:08




 



 
448 :寺井 :2014/11/28(金) 22:09




以上です。
449 :寺井 :2015/01/19(月) 23:51
更新しまーす
梨沙子視点
登場人物は、梨沙子、夏焼さん。

夏焼さんが嬉唄ちゃんファンになったと聞いて。
 
450 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:52

 ◇ ◇ ◇


 
451 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:53

 たった1年なのに、景色が変わったな、と思った。
 ハロー!プロジェクトが毎年夏と冬に開催するコンサートへ参加するようになって10年以上。毎回変化があるけれど、今年の冬は若いメンバーが急増した所為なのかハローのコンサートではない違う現場にいるみたいだ。

 パタパタと軽やかな足音や、ポップコーンがはじけるみたいな笑い声があちこちから聞こえてくる。
 大人数で盛り上がる子たちもいれば、一人で音楽を聞いている子やダンスの振りを黙々と確認する子もいる。不意に視界に入ったのは、モーニング娘。の10期メンバーだった。

 佐藤優樹ちゃんが、体の小さい石田亜佑美ちゃんの背中にぴったりくっついて離れず、どうやら亜佑美ちゃんがまーちゃんをなだめているみたいだった。二人が何を話しているかはさっぱり分からない。まーちゃんが何か言う度に、亜佑美ちゃんが、「大丈夫」と慰めているように笑ってみせたり、頭を撫でてあげたりしている。
 ケンカが多いと聞いていた10期だけど、なんだかんだで一番頼るのも、気を許して甘えられるのも同期のメンバーなのだろう。

 それにしてもあんなにきつく抱き付かれていて、亜佑美ちゃんは苦しくないのだろうか。まーちゃんの頑なな様子に、昔の自分を見ているみたいで、微笑ましいはずの後輩たちの姿になんだか胸が苦しくなった。

452 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:54

 ◇ ◇ ◇


 
453 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:54

 Berryz工房の楽屋の扉を開けて室内へ入ると誰の姿も目に入らなかった。桃と千奈美は本当に不在で、きょろきょろと辺りを見渡してみればみや、キャプテン、茉麻と熊井ちゃんがいた。それぞれ静かに時間を過ごしコンサート本番前だけどリラックスした雰囲気が漂っていた。

 給水コーナーから取ってきた飲み物に口を付けてから、鏡台にコップを置く。メイクはほぼ済ませていたけれど、衣装に着替えるにはまだ早い。どうしよう、と思う。
 飲み物が入っているコップをもう一度手にしようかと一瞬迷った。でも、体は心以上に素直だった。どうしよう、と躊躇したところで方法は一つしかないと分かっていた。

 自分では相応に大人になったつもりでいても、メンバー6人からすれば私はいつまでも末っ子の梨沙子のままだ。周囲からの子ども扱いに不満を覚えることもある。でも、こういう場合って便利だなって思う。
 楽屋のソファに座っていたみやの背後から肩辺りに両腕を回して匂いを嗅ぐわけでもないのに自分の鼻先を相手の髪に触れさせる。みやは驚くこともなく、咎めることもなく、ただ「お帰りー」とのん気そうに迎えてくれた。
 私も「ただいま」と、返事をした。かまって欲しいという主張だったはずだが。みやは手に持っている携帯から視線をこちらに向けることはなかった。誰かとメッセージのやり取りをしている最中らしい。
454 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:54

 くっ付きたい、と思うが早いかするが早いか。許可を得なくても拒まれることがないのは末っ子の特権だと思う。

 この私を差し置いて、末っ子扱いされる人物は今まで現れなかった。後輩はたくさんいたけど、自分たちが幼い頃からハロー!プロジェクトに在籍していたお蔭でなかなか先輩風を吹かせることが身に付かなかったからかもしれない。すっかり年下扱いに慣れっこモードでいたけれど、ここ最近は様子が変わってきた。

 道重さゆみさんがモーニング娘。から卒業し、Berryz工房は名実ともにハロー!プロジェクトで一番お姉さんグループになった。周囲の大人の態度も変わり、ハロー!プロジェクト内にこれだけ若いメンバーが増えると、自然と意識も変化していった。自分が年の下の若いメンバーを甘やかしたりからかったり振る舞いが変化していくと。おのずと、末っ子として他のメンバー甘やかされる地位も揺らいでいった。

 
455 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:54

 ◇ ◇ ◇


 
456 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:55

 「梨沙子、見て」
 宝物を見せてくれる少年のような笑みでみやが振り返った。それから、隣へ来なさいという指示なのか、ソファを叩いて座る場所を知らせた。
 「じゃーん」
 ソファに深く腰を下ろすや否や、さっそくみやが携帯の画面を見せてくれた。
 「寝顔」
 興奮気味にみやが自慢しているが、見れば分かる。カントリーガールズ島村嬉唄ちゃんのあどけない様子が写されていた。14歳とは思えない赤ちゃんみたいな寝顔はちょっとヤバいくらいだ。

 「超かわいい」
 と、私が思わず呟くと、変なタメを作って「でっしょう。めっちゃめっちゃめーっちゃ、かわいいの」とみやが泣き出しそうな表情で「ヤバいヤバい」と訴えてくる、ヤバいのはみやの方だった。

 「もう、超かわいい」
 「その画像どうしたの? 」
 みやが嬉唄ちゃんを撮ったのではなさそうだったので聞いてみた。カントリーガールズでプレイングマネージャーを務める桃が嬉唄ちゃんの寝顔を撮影して画像をみやへ送るとは考えにくいし。まさか、マジで盗撮とかだったら、嫉妬を通り越して心配になる。

 「ちぃちゃんがね」
 「ちーが撮ったの? 」
 「ちぃちゃんって、千奈美じゃないよ。カントリーガールズのちぃちゃんだからね」
 そんなかわいい声で言ってもごまかされない。危ない。みやは森戸知沙希ちゃんにまで手を出していたんだ。いつの間に。
 「ちぃちゃんのLINEもめっちゃヤバいんだって」
 メッセージのやり取りを見せたいらしく、携帯の画面をスクロールして流れの説明をみやは早口でまくしたてた。「ね、ヤバくない? 」と同意を求められたけど。素直に頷くことができないのは、みやを心配しているからだけではなかった。

457 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:55

 その子と私。どっちがかわいいの?

 なんて、口にすることはできない。相手は本当に子どもだし。みやが質問に答えたとして若い子を選んだら冗談にならない気がした。かなり落ち込む。

 ねえ。その場所、私の場所なのに。

 本当に嬉唄ちゃんも、知沙希ちゃんもかわいいから。私なんかよりもずっとかわいいと思うし。何の落ち度もない彼女たちに後ろ暗い気持ちを向けるのは間違っている。間違っていると分かっているのにむくむくと膨れ上がる嫉妬染みた感情は抑えることができなかった。

458 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:55

 だらしない表情だったみやの表情が一瞬固まった。
 携帯の画面をわざと遮るように腕を伸ばし、Tシャツから露わになっていた相手の首筋に手を掛けて力を込めた。こちらに引き寄せそのまま勢いにまかせてみやの白い肌に歯を立てる。
 「った」
 なんでもないように澄ました様子を取り繕ったけど、すぐに笑いが込み上げてきた。
 「ちょっと、梨沙子。痛いよ」
 「嬉唄ちゃんにでも、ちぃちゃんにでもお薬塗ってもらえば」
 「はぁ? 何それ」

 みやは鏡で自分の首の状態を確認して「痕ついてるし」と、慌てていた。
 いい気味だと、思ったらなんとなく気分もすっきりして私はソファから立ち上がり、本番に向けて準備を始めることにした。

459 :Flowerwall :2015/01/19(月) 23:56

 ◇ ◇ ◇

 一方、同じ楽屋にいた他の4人は。
 (噛んだ)
 (噛んだ)
 (噛んだよね)
 (噛んだ噛んだ)

 (痕できてるよ)
 (噛み痕)
 (痕できてるの)
 (みやに噛み痕って)

 言葉を口にしないで会話が成立していた。


460 :_ :2015/01/19(月) 23:56




 
461 :_ :2015/01/19(月) 23:56




 
462 :寺井 :2015/01/19(月) 23:57




以上です。
463 :寺井 :2015/01/20(火) 00:04
>>459
1人多く会話に参加する状況になってしまいました。すみません。
3人ですね。
大変失礼いたしました。
464 :寺井 :2015/01/22(木) 23:49
更新しまーす
熊井ちゃん視点
登場人物は、熊井ちゃん、夏焼さん。

完熟Berryz工房 The Final Completion Boxのアルバムジャケット撮影メイキング映像が素晴らしかったので。
465 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:51

 ◇ ◇ ◇


 
466 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:51

 仕事の集合時間が夕方以降に設定されることにも当たり前になっていた。
 大人が付いてなくてもタクシーだって自分一人で乗ることができるし、家の人に迎えを頼まなくても帰宅できるようになった。深夜に及ぶ仕事も珍しいことではない。
 小学生や中学生の時は仕事現場へ母親がついてきてくれていたが高校生にもなれば一人で行動することも平気になっていた。10年の年月で年齢はもちろん、行動も心配されないほどには成長し、今ではすっかり大人扱いされている。
 一人で時間を過ごすことにも飽きてきて携帯電話で時間を確認する。いい時間だった。そろそろ駅へ向かおうと気持ちを切り替える。午前中から学校があったので今日は長い一日になりそうだと思った。

 集合まで時間を潰すのにお買い物をしていたけれど、あいにく目ぼしい品物には巡り会えず休憩の時みんなで食べようとチョコレートのお菓子だけ買った。ピーカンナッツがチョコでコーティングされていて最近はまっているお菓子だ。新しい味に宇治抹茶があってちょっとテンションが上がってしまった。

467 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:52

 ◇ ◇ ◇


 
468 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:52

 夕方のラッシュに巻き込まれたらしく駅へ到着するとたくさんの人で溢れかえっていた。インフルエンザが流行している所為か、いつもよりもマスクをしている人が多い。寒い時は防寒の役割もはたしてくれてマスクって便利だと思う。そのマスクだらけの駅のホームで一際目を引く女の子がいた。オーラがあるというか、目立つ髪の色と華奢な体型は景色に溶け込むことなくはっきり主張しているように見えた。半分以上マスクで覆われて顔は隠れているけどまぎれもない、雅がいた。
 混雑している駅でよく見つけられたと思う。人波をかき分けて雅の近くへたどり着く。一瞬だけ警戒した表情を見せたけれど私だと分かると雅は目を細めて笑ったみたいだった。

 今日はこれからBerryz工房7人での仕事だった。お買い物をする場所が似ている所為か、この駅では雅とばったり会うことが2、3度あった。
 「お疲れ」
 「ふふふ」
 雅が目立つからか、視線を多く感じる気がして笑ってしまった。他人から注目を集める彼女らしいと思った。
 「みや、すごい見られてる」
 「いや、熊井ちゃんだから」
 確かに、自分も雅とは違う意味で目立つ。でも、今日は特別振り返る人が多い。雅はそういうことに慣れっこなのかもしれない。
 電車が間もなく到着し、半ば押されるように車内へ乗り込んだ。大勢の人が次から次と車内へ流れてくる。その流れに乗って見えなくなりそうな雅の腕を思わず掴んでしまった。
 はぐれても目的地は同じだから、別に側にいる必要はなかった。咄嗟に掴んだ雅を離さないように自分の方へ引き寄せ、ドア横の袖仕切り付近に居場所を確保できた。
 自分と同い年くらいの女の人が顔をしかめて苦しそうにしている。場所は確保できたとはいえかなり窮屈な車内状況だった。満員電車に乗っていてもあまり息苦しさを感じないのはこの身長のお蔭だと思った。

 しばらく黙ったまま電車に揺られていた。これだけ人と密着しているとなんとなく声を出すことが憚れる。肩の下に雅がいて私と同じように彼女も俯いて黙っていた。髪の分け目が私の視界から見える。理由は説明できないけど、分け目までアイドルっぽいと至近距離で雅を見ているとそんな感想が浮かんだ。
469 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:53

 持っていたバッグを引かれて一緒に意識もそちらへ向く。すると雅と目が合った。
 「今日、学校だったの? 」
 「もうすぐテスト」
 頷きながら答えた。「お疲れ様」と雅が労いの言葉をかけてくれた。
 「みやは? 」
 「テストの予定はないよ」
 「テストじゃなくて」
 今日、雅が何をしていたのか質問したつもりだったけれど冗談で返されてしまった。
 「さっきまではお買い物してたけど、朝は撮影があったんだ」
 真面目に質問をし直そうとする前に、雅はちゃんと答えてくれた。そんな他愛もない会話をしている間にも電車は加速と減速を繰り返して着々と目的地へと進んでいく。
 一旦、車内の人波が落ち着いたと思ったけれど私たちが降車する駅の1つ手前でどっとお客さんが乗り込んできた。
 できれば、ドア付近から車内中ほどへ移動を避けたかった。両足で踏ん張っただけでは奥に押されてしまう。このままでは雅を押し潰しかねない。
 ドアが閉まる直前の勢いで居場所を確保しきれなくなり、袖仕切りの支柱を掴む。空間を作って雅をその間に収めた。発車すると私の背中を人が代わる代わる押してくる。
 「苦しくない? 」
 私が聞くと雅は「平気」だと何故か笑いを堪える様な声で言った。
470 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:53

 学校に行ってから買い物をし、そのまま仕事の現場へ移動する電車に乗っているので、ただ仕事だけに出掛ける時より少し荷物が多かった。
 周囲に当たらないようにバッグの持ち手を肩にかけ直す。
 目下の雅と視線が合った。バッグを当ててしまったのかと思い少し慌てた。
 「ゴメン、大丈夫? 」
 と、尋ねてみたが雅は無言だった。上目遣いをしたまま軽く頭を振って当たっていなかったことを伝えてくれた。マスクで隠れていて雅の表情を確認しようとも目元しか見ることができない。
 バッグが当たったのではないのなら、一体何が気になっているのだろう。こちらをじっと見つめている。どうしたのかと思い、顔だけ少し近づけ「みや? 」と名前を呼んでみた。
 今度は視線を逸らされ、胸あたりに雅が頭突きをしてきた。
 これはちょっと苦しかった。背中は相変わらずたくさんの人の圧力がかかっていたし、支柱を掴んでせっかく作った息継ぎの場所を塞がれたら腕に込めている力が無駄になる。
 「え、具合悪い? 」
 立ちくらみか何かがが起こって具合が悪くなったのかと思い一瞬心配したが。雅はお礼を口にした。
 「ありがとう」
 周囲では何度かうめき声が上がっていた。加速していた電車がブレーキを掛けると一方へ圧力がかかってくる。次で降りるから、この窮屈さからもあと少しで解放される。図らずも溜息が出てしまった。ドアが開くまで雅は私の胸に額を押し当てたままじっとしていた。時々、私の服を噛むみたいに笑いを堪えていた。

471 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:53

 ◇ ◇ ◇


 
472 :熊井ちゃんの仕業 :2015/01/22(木) 23:54

 電車から降りると人ごみから逃げ出すようにホームを速足で移動した。二人とも息がぴったり合う歩幅で改札へ向かう。
 普通に歩くことができるようになっても雅は私の腕と自分の腕を組み、離れなかった。
 「熊井ちゃん、カッコ良すぎるんだよ」
 雅は酔っ払いみたいに顔を赤くしながら私の肩を叩いてくる。お仕事の前なのに夕ご飯にお酒でも飲んだのだろうか。
 「ヤバイ、めっちゃ照れた」
 飲酒の所為で赤ら顔になっているのではなかったらしい。マスクを少しずらして自分の手の甲を頬に当てて雅が熱を冷まそうとしている。
 「壁ドンじゃん」
 「壁ドン? 」
 壁ドン、といえば。映画とかマンガで有名なあのシーンだと頭では分かっているが。そんなシチュエーションがいつ起こったのか心当たりはなかった。
 「いつ? 」
 「さっき、満員電車でみやを守ってくれたでしょ」
 そう言われると、雅を守った形になるのかもしれない。でもあれは、次の駅で降りるのに人の波に押されて降車できなくなるのが嫌だっただけだ。しようと思ってしたのではなく不意の行動だったが。された当人がそう言うのだからあれは壁ドンだったのだ。
 「あぁ」
 私の間の悪い返事に雅は「もう、熊井ちゃん。かわい過ぎる」と届かない手を伸ばして頭を撫でようとしてきた。
 大人しく少し頭を下げて撫でられると、雅は「よしよし」と満足げな様子だった。
 カッコいいと言ったり、かわいいと言ったり。雅はちょっとしたことでも人を褒める。今の自分の身長も誇らしいと思ってはいるが。本当は雅ぐらいの女の子にずっと憧れていた。カッコイイと褒められれば嬉しいし自信にもなる。ただ、憧れはまた別の話で。明るい性格も含め、雅みたいな女の子になりたかった。
 「壁ドンいいなぁ」
 と、なんとなく口にしてみた。
 「分かった、みやがしてあげる」
 張り切って雅は言ってくれたが、私と雅では大分高さのある踏み台を用意しないと無理だろう。踏み台に乗って格好つけている雅を想像したらちょっとダサくて思わず笑ってしまった。
 「なんで笑うの。熊井ちゃーん」
 「期待してるよ。みやの壁ドン」

473 :_ :2015/01/22(木) 23:54




 
474 :_ :2015/01/22(木) 23:54




 
475 :寺井 :2015/01/22(木) 23:55




以上です。
476 :名無飼育さん :2015/05/03(日) 00:59
更新お疲れ様です

ポンコツ構成員や謎のれいれいルー大柴口調に笑いましたが続きを読みたくなります
ぜひ続編を…
477 :寺井 :2015/07/03(金) 23:52
更新しまーす
須藤茉麻ちゃん視点
登場人物は、須藤さん、ちょっとだけモーニング娘。'15。

お誕生日おめでとうございます!
須藤さんも23歳かぁ。
 
 
478 :GREEN_ROOM :2015/07/03(金) 23:53

 ◇ ◇ ◇


479 :GREEN_ROOM :2015/07/03(金) 23:53

 同じようでまったく違うこと。10年以上、通い慣れた稽古場も顔ぶれが違うと部屋の大きさが広く感じられた。出演者の人数でいえばこれまでよりも大勢だ。いつもの壁、いつもの天井、いつもの床。改装工事をしたわけでもないのに知らない場所へ来た時のようにほんの少し不安を覚えた。
 稽古場の中央ではモーニング娘。'15の子たちがレッスン着姿でセリフを言い合っている。出演しない場面なので私は壁に寄りかかってお稽古の様子を眺めていた。
 台本を持ちながらお稽古をしている出演者はほとんどいなかった。お守りみたいに側には置いてあるものの演出家さんや他のスタッフさんが厳しい視線を送る中、セリフは全部頭に入っているみたいだ。みんなすごいなぁ、と後輩たちを素直に尊敬する。自分たちの出来が悪かった、などと比べるわけではない。ただ、一緒に演じている後輩達の飲み込みの速さは素晴らしいと思った。

480 :GREEN_ROOM :2015/07/03(金) 23:54

 * * *

 「まーちゃん」
 無意識だった。その呼び名に返事をしていた。おそらく佐藤優樹ちゃんを呼んでいたであろう相手は石田亜佑美ちゃん。返事をした私を見て目を丸くしている。
 「はーい」
 わざともう一度返事をして亜佑美ちゃんを見つめる。
 須藤茉麻。20年以上前から私はずっとまあちゃんだ。亜佑美ちゃんが何か言うよりも早く、佐藤優樹ちゃんが後ろからタックルをしてきた。
 「須藤さんはまーちゃんじゃなーい」
 まーちゃんは、まーちゃんだ、と叫びながら優樹ちゃんがけらけら笑っている。
 「まーちゃん」
 と、優樹ちゃんが呼ぶので「はーい」と返事をすると呼んだ相手が大笑いする。くっ付いたまま笑うので、優樹ちゃんの笑いの振動が伝わってくきてくすぐったい。2、3回それを繰り返していると「すみません」と、何故か亜佑美ちゃんが謝った。
 「どーしてあゆみんが謝るの? 」
 優樹ちゃんは思ったことを口にするのが素早い。
 だって、と亜佑美ちゃんが言葉を繋ごうとするも答えあぐねている。「須藤さんがまーちゃんじゃないのにはーいってまさが返事する前に言っちゃうから須藤さんが悪いんですよ」。と、何がそんなにおかしいのかさっぱり分からないが笑いながらおしゃべりするので何を言っているのか判断つかない部分もあったけれど。優樹ちゃんはそんなこと伝えたかったんだと思った。
 「まあちゃんもまあちゃんだから。まあちゃんも悪くないと思う」
 「何言ってるのか意味分かりません」
 本当に、優樹ちゃんは素直に思ったことを口にする。
 「まーちゃんがまーちゃんなの」
 「まあちゃんもまあちゃんだもん」
 「あゆみーん。まさがまーちゃんなのにー」
 私から離れたかと思うと、優樹ちゃんは亜佑美ちゃんに泣きついていた。
 「あゆみんのまーちゃんまさだよね」
 二人の仲を窺い知るには十分のセリフだった。
 後輩もできて、優樹ちゃんも随分大人びたと感心していた。しかし、体の小さい亜佑美ちゃんにすがるように尋ねる優樹ちゃんは胸がきゅんとしてしまうほどかわいらしかった。
 「もー、まーちゃん」
 呆れたように、亜佑美ちゃんは優樹ちゃんを呼んだ。その言葉に甘さはなく、「ロッカーから物が出てるからきれいに片付けて」と要件を伝えていた。

481 :GREEN_ROOM :2015/07/03(金) 23:54

 * * *

 お稽古中の真剣な様子と、そうではない時のギャップに安堵するような気持ちになった。この子たちも普通なんだ。この子たちも、ということは私たちのことも含まれる。飲み込みの速さは比べ物にならないかもしれないけれど。ベリーズのメンバーも、お仕事を真剣に取り組んだり、メンバー同士でふざけ合ったり目の前の後輩達と同じようにうちらにとっては普通の毎日を過ごしていたんだった。

 今はまだ一人でいることに慣れなくて、不安を感じるのも本音だけれど。寂しいとは違う感じだった。これまで過ごしてきた普通の毎日を無駄にしたくないという気持ちと。今を頑張ろうっていう必死な気持ち。こぶしファクトリーのメンバーと作った作品も、今回の作品もきっと。Berryz工房として出演した作品と同じくらい思い入れの強いものになる。
 千秋楽を迎えてもないのにベリーズメンバーにも思ったことのない"ありがとう"って気持ちがお稽古中から込み上がってきていた。こうして同じ舞台に立てることへ感謝の気持ちが溢れてくる。年の所為かもしれない。

 「どぅーがいなーぃ」
 控室でマンガを読んでいたら、そんな声が聞こえてきた。
 通り過ぎるかと思いきや、「どぅー! 」と、返事をしてくれるまで何度も叫び続けるようだ。
 「はーい、どぅーはここにいますよー! 」
 また怒るんだろうなぁと予測しながら私はマンガを読むのを中断して"どぅー"こと工藤遥ちゃんを探している優樹ちゃんへ向けて大きな声を張り上げた。
 私に気が付いた優樹ちゃんは向こう側でニヤりと含み笑いをして「いたーっ」と、こちらに突進してきた。
482 :_ :2015/07/03(金) 23:54




483 :_ :2015/07/03(金) 23:55




484 :寺井 :2015/07/03(金) 23:58


以上です!
演劇女子部 ミュージカル「TRIANGLE -トライアングル-」での須藤の茉麻ちゃんと、まーちゃんとどぅーが仲良しでとってもかわいかったです。
485 :名無飼育さん :2015/07/08(水) 13:31
トライアングル、観に行けなかったんですが
ブログやツイッターを見ていてもすどぅーさんがモーニング娘。の子たちに愛されてるのが伝わって
そんな素晴らしい世界を須藤さん視点で読むことができて
名無し、嬉しいです
486 :寺井 :2015/07/10(金) 23:20
>>485 :名無飼育さん
コメントありがとうございます。
寺井、とっても嬉しいです。
は!自分もトライアングルを観劇することが叶っておりませんが。見たくて見たくてシュミレーションしていた結果。このような文章ができあがったのでした。
487 :寺井 :2015/07/10(金) 23:22
更新しまーす
清水佐紀ちゃん視点
登場人物は、清水さん、熊井ちゃん、ちょっとだけ徳永さん

こちらのスレッドを立てさせて頂いて5年経過しましたよ。びっくり
488 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:23

 ◇ ◇ ◇


 
489 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:24

 パソコンに向かうと独り言が多くなる気がする。無意識なのに鼻歌を歌っている時もあり、最近は"こぶしファクトリー"の「念には念」がお気に入りだった。
 「わーすれんなあんぶれーらー」
 作成していたテキストを保存して顔を上げると待ってましたと言わんばかりに熊井ちゃんがこちらに近寄ってきた。
 「キャプテンも行こうよ」
 ね、と小首を傾げて熊井ちゃんがにこにこしている。アイドルってすごいな、と言いたくなる満面の笑みに思わず誘いに乗りそうになってしまった。熊井ちゃんはこの後、徳永千奈美ちゃんとお出掛けをする予定らしい。
 会社での用事を済ませた彼女は徳永千奈美ちゃんと私、いわゆるアドバイザーズが仕事をしているフロアにやってきた。黙って、雑誌を読んでいる様子は私よりも千奈美よりも仕事をばりばりこなす出来る女のオーラが漂っている。
 それからスタバの差し入れを持参してきた出来る子に成長していて感動しそうになったが。マイペースな性格だったけれど、もともと周囲に気を配ることが出来る子だったと思いなおした。
490 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:24

 「そうだね」
 と、一度は熊井ちゃんのお誘いに肯定的な態度を取りながらも内心遠慮をしていた。
 「また、今度ね」
 机の上で書類の端を揃え、クリアファイルに綴じながら熊井ちゃんに告げると彼女は口先を尖らせ一変して不満をあらわにした。
 もう少し仕事をこなしたかったのと、今日はお家でご飯を食べると母親に伝えてあったのと。お誘いを断る理由はそれなりにあるけれど、それが熊井ちゃんの納得のいくものかは分からない。
 「キャプテンとも久しぶりにご飯行きたかったのに」
 ℃-uteの横浜アリーナ公演の時も行ったし、その前のアンジュルム武道館公演の時も熊井ちゃんとは一緒にご飯を食べに行った。結構一緒に出掛けている方だと思う。そこまで一緒にご飯を食べに行きたいと言って貰えるのはとても光栄なこと。なんだかくすぐったいような嬉しい気持ちになった。
491 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:25

 * * *


 
492 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:25

 千奈美は7月から始まるハロー!プロジェクトのコンサートについてケータリングの打ち合わせに出ていた。今日はその打ち合わせが終われば帰宅する予定だそうだ。熊井ちゃんは学校を終えた足で会社へやってきた。モノトーンの装いだったけれど、小さめの襟がつているシャツが女の子らしくとてもかわいらしい。社会人の畏まった雰囲気はなくて、抱えている大きな鞄の所為か学生っぽさが新鮮に思えた。
 千奈美を待つ間、熊井ちゃんは私のところへやってきて時間を潰している。しばらくの間は、パソコンとにらめっこをしている私に話しかけることなく大人しくしていたのだが。2、3度視線が合うと空気が和んで熊井ちゃんは取り留めのない会話をし始めた。
 主に、須藤茉麻ちゃんが出演している舞台作品についてのことだった。2パターンある作品の1パターンを見たらしい。私も見に行く予定だったから、内容を話されてしまうとネタバレになる。熊井ちゃんも気を遣って内容について触れないようにおしゃべりしてくれる。中でも力説してくれたのは、「アサダ」を男装で演じるモーニング娘。'15の工藤遥ちゃんについてだった。
 「"くどぅー"がほんとにだんだん男の子にしか思えなくなってきちゃうんだけど。でも、歌うとめっちゃかわいいんだよね」
493 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:25

 そんなこと言われたら、"くどぅー"に注目して舞台を見たくなってしまう。12期の子たちはどうなのだろう。鞘師里保ちゃんも物語の中心人物演じているけどどんな感じなのだろうか。
 「うちのまーちゃんはどうだったの? 」
 いろいろ聞いてみたかったが。まず、須藤茉麻ちゃんについて熊井ちゃんに尋ねると。
 「パパって感じだった」
 そのあとにも、何か説明したかったみたいだけど。ネタバレを恐れて説明に苦慮していた。熊井ちゃんの表情がころころ変化する。ひらめいたような明るい表情をしたかと思えば、あっと何かに気が付いたように口をつぐむ。それから少し難しい表情になり「パパって感じだった」ともう同じ言葉を繰り返した。これは、自分で舞台を観劇するしかないと悟ったところでスマートフォンの液晶画面が明るくなり会社の人から電話がかかってきた。
494 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:26

 * * *


 
495 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:26

 通話を終えてフロアに戻ると、一面だけ窓になっている壁側に熊井ちゃんが立っていた。手には自分のスマートフォンを持っていて外の様子を撮影しているみたいだった。先ほどまで座っていた自分の場所へ戻ったものの熊井ちゃんが何をしているのか気になってしまいもう一度、立ち上がって背の高い彼女の隣へ並んで外を見遣った。
 最近は、夜の7時を過ぎても外が明るい。今の時間帯でも外の様子ははっきり見てとれた。いつもと変わらない風景の何を気に入って熊井ちゃんが撮影しているのか首を伸ばしてきょろきょろ見回してもこれといって目ぼしいものは思い当たらない。しかも、動画を撮影しているらしい。
 「面白いもの撮れた? 」
 熊井ちゃんの横顔は真剣そのものだった。
 「キャプテン」
 見て、と言って熊井ちゃんはとれたての動画を見せてくれた。セピア色に加工された画面を注意深く見続けたけれど15秒ほど外の様子が映っただけだった。
 「ね」
 熊井ちゃんは満足気な様子だった。しかし、私は何を見たのかさっぱり分からなかった。
496 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:27

 「え、もう1回見ていい? 」
 私はもう一度同じ動画を見た。やっぱり何が映っていたのか分からない。
 「これ、何撮ったの? 」
 「屋根」
 ああ、屋根か。納得したかった。屋根が映っていたのは分かった。でも、何故それを撮影したのか理由が分からなかった。
 「そう、ね。屋根だね」
 鈍い返事をすると、熊井ちゃんが驚いたように「分かんないの? 」ともう一度動画を見せてくれる。
 「板チョコみたいに見える」
 屋根の模様が面白いなって思って、こうやって加工すると古いフィルム映画の映像みたいになるでしょ。ハワイの海やパリのエッフェル塔、海外で見る絶景と同じように会社から見えるいつもの景色を熊井ちゃんは説明してくれた。
 夕暮れでセンチメンタルな気分になってしまったようだ。なんだか懐かしい気持ちが込み上がってきた。
 ああ、これが熊井ちゃんだ。
 腰を折って視線を合わせてくれる、この距離感。普通は見過ごしてしまうなんでもないようなことを大事にするちょっと面倒くさい所。Berryz工房として過ごしていた時間がなんだかずっと前のことのように思えた。懐かしむには早すぎる。全然分かんないとか、そうだね、板チョコみたいだねとか。返事をしようとしたけど言葉が出てこなかった。
497 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:27

 * * *


 
498 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:27

 「キャプテーン」
 私と熊井ちゃんの後ろから能天気な声が聞こえてきた。
 「熊井ちゃーん。運ぶの手伝って」
 声がした方へ振り向くと千奈美が業務用の寸胴鍋を抱えてやってきた。
 「まだたくさんあるの! 」
 アイドルってすごいな、と言いたくなる屈託のない笑みで千奈美が鍋をずいっとこちらに差し出した。
 「どうしたの」
 「どうしたもこうしたも。予定変更だよ」
 キャプテンも休憩しよう、休憩。鍋を机に置きながら千奈美はなんだかはしゃいでいた。打ち合わせが終わったみたいだ。けれど、これは一体。
 「ケータリングで出したいものを用意したら予想よりもお店のサービスがよくて。たくさん試食を頂いたから一緒に食べよう」
 だから、熊井ちゃんお出掛けはまた今度。というのが千奈美の予定変更の内容だった。熊井ちゃんはお出掛けキャンセルにさぞがっかりするかと思いきや、隣で万歳をしていた。
 「すごい。千奈美。ちゃんとお仕事してるんだね」
 「もちろん」
 千奈美は力こぶを作って自分の二の腕を叩いてみせた。
 「まだ、あっちにお箸とかいろいろあるから。こっちに持って来よう」
 「他のスタッフさんはもういいの? 」
 「うん、お腹一杯みたい。私はまだ食べられるよ」
 きりっとした表情で千奈美は答えてくれた。千奈美のてきぱきとした指示に従い私と熊井ちゃんは様々な大きさのランチボックスを運んで、ソース類や器など首尾よく机に揃えた。
 現役のハロー!プロジェクトメンバーよりも一足早くケータリングを食べることに後ろめたい気持ちがあるものの美味しそうなお料理を目の前にして食欲を抑えることができそうもない。
499 :GREEN_ROOMその2 :2015/07/10(金) 23:28
 
 「大人はずるいね」
 熊井ちゃんが食前の合掌の時に呟いた。
 「いいんだよ。ちょっとくらい大人だって得をしないと。アイドルはわがままなんだから」
 「千奈美はわがままなスタッフにならないでね」
 真顔で千奈美が私を見た。「よろしく頼むぜ、相棒」とハイタッチを求めてきたので軽く手を合わせると。
 「いただきまーす」
 誤魔化すように千奈美はさっさと食べ始めた。
 「誰か呼ぼうか? 」
 たくさんのご馳走を前にして、3人で食べることに気が引けるのは熊井ちゃんも同じみたいだった。いつも7人で過ごしていたから癖みたいなものだ。7人揃っているか気になるし、ちゃんとみんなに行き渡っているかどうか気になる。もう、その必要はないと確認してから気が付く。この癖が抜けないのは自分だけじゃない、と思うと安心する気持ちになった。
 「今日は、3人で食べよう」
 そう熊井ちゃんに促すと頷いてお箸を取った。
 「残っても大丈夫だから。お持ち帰り用にパック買ってきたし」
 ケータリングについて有能なスタッフとなりつつある徳永千奈美ちゃんにBerryz工房のキャプテンとして私は人知れず安心感を覚えたのだった。
500 :_ :2015/07/10(金) 23:29





 

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