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幽閉(飼育)

1 :ELS :2010/05/06(木) 21:17
BQ中心です。
カプはりしゃ中心
りしゃみや、りしゃももなど

更新は基本週に1回でいきたいです。
よろしければどうぞ。
301 :ELS :2010/08/05(木) 22:16

今回の更新を終わります。
302 :名無飼育さん :2010/08/05(木) 23:41
桃の考えてることが分かんない・・・
それぞれの関係性が複雑ですね。深いですw
303 :名無飼育さん :2010/08/06(金) 00:52
前から愛理は舞美を「舞ちゃん」って呼んでたっけ?
どうも「舞ちゃん」だと最年少の子をイメージしちゃって・・・
304 :ELS :2010/08/11(水) 20:28
>>302
レスありがとうございます。
深いとか言われるととても恐縮ですが今後とも読んでやってもらえると
うれしいです。

>>303
ご指摘ありがとうございます。
確かに「舞美ちゃん」のようですね。
なおしておきます。
305 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:02
梨沙子にとってはそのことは絵空事でも何でもなかった。
雅はその後すぐに冗談だと言ったが、監禁状態は一週間以上続いているし、
ここの迷路のような場所自体が尋常ではない。

要するに今の梨沙子を保障するものは何もなかった。
ただみんなが少しでも正気を保っていてもらうのを祈るしかない。
306 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:03
「あたし、どんな目にあわされてもいつかここを出られるって思うから生きていられる。
でも、もしそれが叶わないんだと思ったら。
いつか殺されちゃうんだとしたらすごく悲しい。
すごくつらい。本当に今からでも死んでしまいたいって思う。
あと何ヶ月かしか生きられないって言われた人はきっとこんな気分なんだろうなって思う」
 
「まさか」
 
桃子は言った。

監禁されてから初めて見る桃子の正気の表情だった。
梨沙子の正直な気持ちの吐露が、あれだけ心理的な優位を保っていた
桃子の表情を突き崩したようだった。

それを見て梨沙子は少しほっとした。
307 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:04
「みやがそんなことするわけないじゃん」
 
桃子が急にまじめな顔になって言った。
 
「うん」
 
桃子の勢いに押されて梨沙子はうなずいた。

そういえば梨沙子が相談事を桃子にしていたときはいつもこんな風だったかなと思った。
でも今は、梨沙子が桃子や雅に何かを相談するというのはありえない状況になった。
308 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:05
二人といる時間はこれまでとさして変わらない。
むしろここ1週間は必ずどちらかと一緒にいるような気もする。
すれ違いもないし、大喧嘩をしたわけでもない。

ただ監禁されている者と監禁している者という立場だけが
3人の関係を全く変えてしまったように梨沙子は思えた。
309 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:06
次の日の朝、桃子にかわって友理奈がやってきた。
梨沙子はキッチンの部屋に取り付けられた化粧台の前に座っていた。
後ろに友理奈が立って梨沙子の髪をとかしている。
 
「熊井ちゃんがそういう趣味があって助かった」
 
梨沙子が無邪気に笑った。
 
「両手縛られてることが多いからどうしても髪型とかちゃんとセットできないしね」
 
梨沙子は人事のようにそう言った。
 
「みやとか桃には頼まないの?」
 
友理奈は梨沙子の髪を優しく撫でながら言った。
梨沙子の髪はつるつると光沢があって監禁前と何ら変わるところはない。
310 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:07
 
「頼んでもいいけど」
 
そこまで言って梨沙子は黙ってしまった。
 
「二人って交代ぎりぎりの時間までしてるから」
 
「ああ」
 
そういって友理奈はそれ以上聞くのはやめた。
 
「梨沙子、体大丈夫なの?」
 
自分から聞いておいて友理奈は梨沙子をこんな目に合わせて聞けることじゃないなと自嘲的になった。
しかしそう考えると自分がこうやって梨沙子と普通に会話してること自体も少し異常だと思った。
311 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:08
 
「今のところは。みんなが、桃とかみやみたいなのじゃないから」
 
梨沙子は言った。
友理奈はやっぱり梨沙子を抱いてるのはあの二人だけなのだと少しほっとした。
 
「佐紀ちゃんとかちぃとは何してんの?」
 
「二人ともあたしには何もしないよ。佐紀ちゃんは着替えとか可愛い服とか買ってきてくれるし、
ちぃはずっと傍にいてあたしの話聞いてくれるんだ」
 
「そうなんだ」
 
「ほんと、みやと桃ってうまいこと考えたね。みんなを巻き込んであたしを監禁するなんて」
 
恨めしそうに梨沙子は言った。
312 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:10
「梨沙子はみやと桃のことを憎んでるよね?あたしのことも」
 
友理奈は聞いてみた。
本当はそんなことを聞く勇気も度胸もなかった。
でも梨沙子があまりにすらすらと会話してくれるからつい言ってしまった。
 
「熊井ちゃんのことは憎くなんかないよ。でもみやと桃子は」 
 
「やっぱ許せないでしょ?」
 
梨沙子は一瞬黙った。
 
「うん。そうなんだろうけど自分でもよくわかんない。
でも一緒にいたら前みたいについしゃべっちゃうんだよね。
だって別に喧嘩したわけでもないから」
 
梨沙子はそう言った後、つぶやくように何か慣れるって怖いねと言った。
313 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:11


喧嘩。


そんなものを雅と桃子が梨沙子にふっかけるはずがないと友理奈は思った。
雅や桃子のことをまだ友達のレベルでどうととか考えている梨沙子は
本当に幼くて純粋なんだろうと友理奈は思う。

でも友理奈は雅達にとって梨沙子は極上の獲物なんだとはっきり感じていた。

恨んでいるとか憎んでいるの次元じゃなく、梨沙子はその欲望の犠牲になっているのだ。
314 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:13
友理奈はこんな状態になってもまだ必死に自分達を友達としてつなぎとめようと
いじらしい努力をしている梨沙子が不憫でしょうがない。

そしてこの状況から思わず目を背けたくなる。
 
「あたし、最初の頃は誰からも可愛がられてる梨沙子が正直うらやましかった。
でも途中から梨沙子のこと、何かかわいそうに思った」
 
友理奈は今まで心の中で思ってきたことを言った。
 
「へ?何で?」
 
友理奈の言葉に梨沙子が少し驚いて答えた。
監禁後は分かるにしてもその前は雅と桃子の一番のお気に入りだった梨沙子は、
自分でも何不自由なく暮らしてきたと思っていた。
315 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:14
「よく教室とかでさ、梨沙子ってものすごいセクハラ受けてたじゃん。みやと桃に」
 
「え?セクハラ?」
 
梨沙子はその意味がよくつかめないようだった。
 
「会話してて相槌うつだけで体触られたりしてたでしょ」
 
「そうだっけ?」
 
「こうやって足触られたり胸触られたり」
 
友理奈は椅子に座った状態の梨沙子の足から胸のふくらみまで
わざと手を滑らせる。

それをされて初めて梨沙子はうなずいた。
316 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:15
「みやと桃はよくやってきたね。ていうかあの二人は会えば絶対あたしのどこかに触ってた」
 
梨沙子は言った。
 
「いやだって言わなかったの?」
 
梨沙子は首を横にふった。
 
「だって友達だから。友達同士のスキンシップみたいなものかと思ってた」
 
「あれは絶対セクハラだよ。見ててよく分かった」
 
「そうなんだ・・・」
 
「梨沙子にうちらを拒否することなんてできないってみやも桃も分かってるから。
梨沙子は優しすぎるんだと思うよ。その優しさにうちらはつけこんだんだ」
 
友理奈は言った。
317 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:16
友理奈は今、梨沙子と話している自分の立場がよく分からない。

梨沙子を慰めているのでもない。
梨沙子を助けようとしているわけでもない。
何故なら、友理奈自身も今こうやって梨沙子を監禁しているのだ。

それでも梨沙子は監禁前と全く変わらずに話してくれる。
思わずその状況に眩暈がしそうだった。
ただ友理奈は雅と桃子を裏切ることだけはできなかった。
318 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:17
「そうだ。梨沙子にいいニュースがあるよ。もしかしたらここから出られるかもしれない」
 
友理奈が急に思いついたように言った。
 
「え?」
 
思いがけない友理奈の言葉に梨沙子は目を見開いた。
 
「鈴木さんていたでしょ?愛理って言うんだっけ?梨沙子の幼馴染で桜花から来た子」
 
うんうんと梨沙子はうなずく。
319 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:18
「矢島って子と一緒に梨沙子のこと探し回ってるみたい。
梨沙子が何でいなくなったかうちらのとこにも何度も聞きに来たし」
 
「本当?」
 
梨沙子は目を輝かせた。
 
友理奈は舞美の事故のことはあえてふせておいた。
幸い一命はとりとめたみたいだし、本当に事故なのかどうかも友理奈には分からない。
第一数少ない味方である幼馴染の事故は監禁されている状態の梨沙子に話すには酷すぎると思った。
320 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:19
「それでみや達は何て答えてたの?」
 
「うん。家出のことは聞いてたけどどこへ行ったかは知らないって答えたみたい」
 
「そうなんだ」
 
梨沙子はそう言いながら舞美は雅の嘘なんか絶対に見抜くと思った。
舞美と愛理ならきっとここの場所を探し出してくれる。

幼馴染の梨沙子はそう確信できた。

ただ、舞美が入院していて動けない状態というのは梨沙子の頭にはない。
321 :幽閉(飼育) :2010/08/11(水) 21:20
「もし梨沙子が救出されたら、あたし達はみんな逮捕されて梨沙子は元通りの生活がおくれるね」
 
友理奈は少しやけになって言った。

梨沙子はそんなことを思うぐらいなら最初からこんなことをしなければいいのにと思ったが
結局何も言わなかった。

友理奈は、しきりに謝りながらも取り決めに忠実に従って梨沙子に目隠しをし、
手を縛って部屋を出て行った。
322 :ELS :2010/08/11(水) 21:20

今回の更新を終わります。
323 :名無飼育さん :2010/08/12(木) 00:45
みやもも以外は微妙な立場で辛そうだね
324 :名無飼育さん :2010/08/14(土) 23:34
ももの心理状態が気になる。
あと舞美ちゃんと愛理とか・・・

ん〜楽しみすぎる!
325 :ELS :2010/08/19(木) 20:12
>>323
レスありがとうございます。
読んでくださっていると励みになります。

>>324
レスありがとうございます。
楽しんでいただけているとはうれしいです!
今後ともよろしくお願いします!
326 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:38
 「ねぇ、ちぃもう元気だしなよ」
 梨沙子が立ち上がって言った。
千奈美は梨沙子のベッドのすぐそばのテーブルに座ってうつむいている。
梨沙子がいる場所はいつもの監禁場所だ。
足枷をはめられてベッドにしっかりと固定されている。

夜は連日のように雅か桃子の夜の相手をさせられて梨沙子にとって状況はなんら好転していない。
327 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:39
「監禁されてるのはあたしのほうだよ」
 
梨沙子は言った。
 
「ごめん・・・」
 
千奈美は下をむいたまま言った。
 
「ごめんね。梨沙子」
「謝ってばっかじゃん」
 
梨沙子はあきれたように言った。
それでも梨沙子はそっと千奈美の横に座った。
千奈美は梨沙子を見ると泣き笑いのような表情を見せた。
328 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:40
「ちぃは何も悪くないよ。あたし、ここを出られても警察にはちぃのことは絶対言わないから。
だからちぃ元気だしなよ」
 
梨沙子は千奈美の耳元でそっと言った。
千奈美はうぅっと嗚咽すると泣き出した。
 
「あ・・たしが・・みやを止められたらこんなこと・・」
 
泣きながら千奈美は途切れ途切れに言った。
 
「そんなことできるわけないじゃん」
 
梨沙子はそう断言した。
雅がことさら自分のことに対して他人の意見を聞くはずがない。
 
雅はすでに梨沙子のことを桃子との共同所有物のように思っている。
梨沙子を生かすも殺すも自由なのだ。
329 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:42
梨沙子が雅と知り合う前から雅は梨沙子を様子をじっと伺っていた。
あの視線は単に人見知りなのではなく、今のこの状態を切望した視線だったのかもしれない。

雅がもっとも残酷な方法で梨沙子を知れば知るほど、
もっと言えばベッドの中で梨沙子を知るほど
梨沙子自身も雅のことが前よりもずっと理解できるようになった。

雅の梨沙子への執着心はとてつもなくすさまじかった。
たとえ、梨沙子がここから解放されたとしても雅が梨沙子を自由にすることは
死ぬまでないと梨沙子は確信した。

桃子はそんな雅のもっとも強力な理解者だったのだ。
梨沙子がみやと桃との間で絶妙なバランスをとろうとしたのは
今になって考えたらあまりに危険すぎる行為だった。

梨沙子はまるで雅達に出会った瞬間から監禁される運命にあるようだった。
330 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:44
「そんなことできるはずないよ」
 
梨沙子はもう一度言った。
 
「とにかく、今のみやと桃には絶対逆らわないほうがいい」
 
梨沙子は千奈美をまじまじと見つめて言った。
 
「大丈夫。あの二人はあたし以外には絶対に何もしてこない。二人の邪魔さえしなければ絶対大丈夫」
 
「それで・・・それでも梨沙子は平気なの?」
 
「平気じゃないけど、でも大丈夫」
331 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:44
いつか舞美と愛理が助けてくれるからと梨沙子は心の中だけで思った。
口に出さなかったのは雅にその名前を聞かれることを恐れたからだ。
梨沙子にとってはこの建物自体が雅の手足のようになって梨沙子を監視しているように感じられた。
332 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:45






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333 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:46
エアコンがわずかな振動を部屋に伝えている。
鉄格子の部屋はエアコンが効きすぎて布団をかぶってないと寒いくらいだ。

梨沙子のすぐ目の前で雅が目を閉じている。
すでに行為を数度終ええた上での小休止だ。
白い布団に包まれた雅は美しすぎてまるで天使のように見えた。
雅の様子はいつも変わらなかったが目じりがほんの少しだけぬれているように見えた。
334 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:47
「ねえ、みや。もう寝た?」
 
いつもなら行為のときに梨沙子から話しかけたりはしない。
不用意な言葉をかけるとベッドの上での雅の行為に拍車をかけることもあるからだ。

でもこのとき梨沙子が話すまで余裕ができてきたのはすでに2週間以上も
雅と桃子に毎晩同じことをされ続けたせいもあるかもしれない。
335 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:48
雅は目をぱっちりと開けた。
そしてじっと梨沙子を見つめている。
これまでの梨沙子だったら恐怖心が先立って雅から目をそらして咄嗟に離れようとしたかもしれない。

しかしそれが引き金になって梨沙子は再び終わらない責め苦を存分に味合わされることになるのだ。
しかし、今日の梨沙子は違った。
雅から片時も目を離さなかった。
その目には非難の色も恐怖心もない。

ただ雅の表情をじっと伺っていた。
336 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:49
「んーん。寝てないよ」
 
雅は観念したように少し笑って答えた。
 
「あの、みやは昼間課外授業出てるんでしょ?どうなのかなって」
 
梨沙子は少しどもりながら言った。
 
「どうって?」
 
「んー。学校とかどうなってんのかなって。しばらく行ってないから」
 
梨沙子は何かはぐらかすみたいに言ってしまった。
自分でも何が言いたかったわけでもない。
ただ今の雅と会話するのはまだ少し緊張した。
337 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:50
「心配ないよ。何も変わんないし。第一まだ夏休み中だよ」
 
「そっか」
 
梨沙子は言った。
監禁される前と何も変わらないような雅との会話だ。

梨沙子は今の自分達の関係は何なのだろうと思った。
すでに監禁されたときからはもう親友ではなくなっているのだろう。
かといって喧嘩別れした友達のようでもない。
ただ犯罪者と被害者というのも少し違う。

雅は何ら反省もしていないし、裁かれてもいないのだ。

ただ確かなのは現在進行形で梨沙子の人権を犯され続け、
雅はそれに対する罪の意識は微塵もない。

雅は一体今何を考えているのだろう。
それさえも梨沙子には分からなかった。
338 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:52
「それより、梨沙子昼間暇じゃない?夜はこうやってお相手してあげられるけどさあ」
 
「いいよ。昼間までされたら体がもたない」
 
「違うよ。そういうこと言ってるんじゃなくて。ゲームとか漫画でももってこようか?」
 
「うん・・・」
 
梨沙子は雅の部屋にあった人気の漫画を借りる約束をしたのを遠い昔の出来事のように思い出した。
もうあの頃の二人の関係には永久に戻れないんだと思ったら悲しくなった。
できれば時間を遡って雅ともっと話しがしたいと思った。
339 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:53
「そうだ。夕飯早かったからお腹すかない?夜食に釜玉うどん作ってあげようか?」
 
雅は急に思いついたように言った。
 
「うん。少しすいてるけど」
 
雅が珍しく立て続けにしゃべるから梨沙子は思わずうなずいてしまった。
でも何で暑い夏に釜玉うどんなんだろう。

みやって優しいけど時々変。

以前の関係だったらそんな風に思っただろうなと梨沙子は考えた。
340 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:54
雅はさっとベッドを抜け出すとさっそうとキッチンへ向かった。
梨沙子は両手は自由になっているが足枷がベッドに固定されているのでそこから動くことはできない。
 
「こういうときもあるかと思って買っといたの」
 
雅が冷蔵庫を開けてうどんの麺のはいった袋を梨沙子に見せた。

雅は慌しくガスに点火すると鍋に水をいれて火にかける。
雅の表情は心なしか楽しそうだ。
雅は料理をしているときとか作業に熱中しているときはいつも目が輝いているように見える。

前の雅と変わらないんだなと梨沙子は思った。
341 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:55
雅の姿を見ていると、今まで梨沙子の中にうずまいていた自然な本能である
早くここから脱出しないといけないという意識が次第に薄れてきた。

自分は今、雅の家に遊びに来ていて雅が梨沙子のために釜玉うどんを作ってくれている。
どうかするとそんなふうに思ってしまっている自分がいる。
まるで騙し絵を見たときのように自分の脳が錯覚を起こしている。
342 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:56
梨沙子はそんな自分に危険を感じて、足につけられた足枷を目に焼き付けて、
自分が置かれている状況をしっかりと刻み込もうとした。

しかし、足枷はずっとつけられているせいでつけられていること自体が次第に慣れてしまっている。
そうしたら自分は今、何に一番傷ついて苦しんでいるのだろうとふいに梨沙子は思った。
343 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:58
信じている友達に裏切られたから?
無理やり服を脱がされて裸にされて、ものすごい恥ずかしい思いをさせられた?
その信じていた友達は欲望のままに自分の体を弄んだ?
ほかの友達もだれも助けてくれない?
 
次々と思い浮かんだが、梨沙子の心はいまひとつどれにも反応しない。
多分、自分は監禁され続けたことで徐々に何かを失ってしまったのかもしれないと思った。
344 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 20:59
「ねえ、みや」
 
梨沙子は雅の後姿に話しかけた。
 
「んー?」
 
「もうみやはあたしの友達じゃないの?」
 
雅は作業している手をいったん止めた。
そして口元に微笑を浮かべながらゆっくりとこちらに向かってくる。
 
「そんなことないよ」
 
鉄格子を前にして雅は言った。
345 :幽閉(飼育) :2010/08/19(木) 21:00
「あたし達ってまだ終わってないと思うよ」
 
少し前だったら勝手な雅の勝手な言葉に怒りを覚えたかもしれない。
しかし梨沙子はなぜかほっとしていた。
自分はまだ雅を失っていないと思った。

同様にまだ桃子も千奈美も友理奈も佐紀もまだ失っていないはずだと思えた。
346 :ELS :2010/08/19(木) 21:01


今回の更新を終わります。



347 :名無飼育さん :2010/08/19(木) 22:21
みやも変わってきたのかなぁ・・・

楽しみすぎて1週間が長く感じます><
助けてくださいっw
348 :名無飼育さん :2010/08/20(金) 01:14
まあさ出て無いよね?
まあさに今の梨沙子に対する対応を書くのはキャラ的に難しいのかな?
349 :ELS :2010/08/26(木) 21:55
>>347
レスありがとうございます。
うれしいお言葉、励みになりまする。

>>348
レスありがとうございます。
まあさは、最初のほうだけ少し登場してますが
その後は確かに登場させてないですね。
350 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:13
舞美は病院のベッドからずっと外の景色を見ていた。
ただ考えていることはただ一つ。
梨沙子の失踪事件についてだ。
舞美の意識が戻ってから一度だけ警察の事情聴取があった。
しかし舞美は自分は誰からも押されていない、
自分が勝手に足を滑らせて階段を転がり落ちたと嘘の証言をした。
351 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:14
「あたしの事件は今回の事件の本質じゃない」
 
舞美は意識が戻ってから繰り返し自分にそう言い聞かせていた。
自分の身の上に起こったことにあまりに意識を傾けすぎると
それ以外のことに全くの盲目となってしまう。

突き落とされて悔しいなんて被害者意識なんてさっさと投げ捨ててしまう。

これは極度に理性を重んじる舞美の信仰のようなものだ。
352 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:15
そしてもしかしたら自分の事件と梨沙子の事件はつながっているかもしれないという予感が
舞美をさらに慎重にしていた。

だからこそ捜査の入り口を間違えて自分が誰かに突き落とされたと言って
警察や周囲の人間がそこに集中してしまったら事件の本当の本質、
つまり梨沙子の失踪事件はきっと解決しないと舞美は考えていた。逆を言えば単純に梨沙子の事件だけを丹念に追っていけば犯人を簡単に割り出せるという確信も舞美はもっていた。
353 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:16
ただ舞美はひどく落胆させたのは、全身の打撲が思ったよりもひどく、
歩けるようになるまでまだしばらく時間がかかるということだ。
舞美の鋭い感覚と思考能力は出来事が起こった現場でこそ最もよく発揮される。
病院のベッドで悶々と考えていたのでは、ただ結論の出ない思考の堂々巡りを繰り返してしまう。
そのことが一番よく分かっている人間なだけに舞美の焦りは次第につのっていった。
 
「この足さえ動くようになれば・・・」
 
舞美が恨めしそうに腕や足に巻かれた包帯を見つめていた。
いくら梨沙子のことだけを考えようとしても、
自然と舞美を階段から突き落としたあの黒い影のことを思い出してしまう。
354 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:17
あの影は一体誰なんだろう。

まさか清教徒派・・・?
 
確かにそう考えれば納得できる部分はある。
修道会に反発している清教徒派が自分を階段から突き落とし
梨沙子をそそのかして連れ去ったという一連のストーリーが浮かんだ。

しかし舞美は即座に頭を横に数回ふった。

出来すぎてる。
 
ちょうどそのとき舞美の思考をさえぎるようにちょうどタイミングよく愛理が入ってきた。
355 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:18
舞美は愛理の姿を見て救われたように感じた。
愛理の表情は舞美よりもずっと明るかったのだ。
 
「舞美、頼まれたこと調べてきた。家族の人が梨沙子の書置きに気づいたのは夕方になってから。
そのときはもう梨沙子はいなかったって。それからね、結構すごいことまで分かったんだよ」
 
愛理はそう言ってさっそく持ってきた書類を舞美の前で広げて見せた。

それは梨沙子が家出する一週間前からの梨沙子の携帯電話の通話とメールの記録だった。
356 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:19
「舞美の言ったとおり警察に言って相談してみたら電話会社に連絡いれてくれたよ。
本当に調べられるなんて思ってなかった」
 
愛理はうれしそうに言った。
 
「まあ警察は自分では捜査したくないんでしょうね。家出少女の捜索なんか」
 
言いながらも舞美は食い入るように書類を見ていた。
そこには舞美の真剣な表情とは真逆の絵文字も入ったおよそ能天気なメールがならんでいた。
357 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:20
梨沙子は自分のすぐ隣にお気に入りの熊のぬいぐるみをもってきて
ピースサインをした写真を雅におやすみメールとして送っていた。
 
「梨沙子って結構メール魔だね。相手から返信もまだなのに、写メ送ったり」
 
愛理は梨沙子の様子を思い浮かべるように言った。
梨沙子は雅と桃子を中心としてたくさんのメールのやり取りをしていた。

このときは確かに梨沙子は無事に楽しく毎日を過ごしてメールも送っていたのだ。
愛理は優しそうな笑顔で梨沙子のメールを見ていたが、
その姿はどことなくもの悲しげだった。

愛理はまるで梨沙子が元気でいたという事実だけでも
確認することによって自分自身を慰めているようにも見えた。
358 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:21
そして梨沙子のメールは家出する日を境にぷっつりと途絶えている。
 
「梨沙子、家出することについて全然メールしてないね」
 
舞美は梨沙子が発信したメールの記録を見て言った。
 
「夏焼さん達は梨沙子から家出することは聞いてたんでしょ?
これだけ夏焼さんや嗣永さんとメールしてて直前まで全く家出するって話題がないのも変じゃない?」
 
舞美は愛理を見て言った。
 
「そう言われてみれば・・・」
 
愛理はもう一度メールの内容を見返した。
確かにどこにも家出することなんて書かれていない。
359 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:22
「もしかして知らなかったのかな?梨沙子の家出のこと」
 
「うーん」
 
舞美は頭を抱え込んだ。
 
「知ってて知らないふり。は、よくある。だけど知らないのに知ってるふりなんて
ありえないんじゃないかな。この手の問題について」
 
これには事件の重大なヒントがある。
あたりをつけた舞美は少しだけ笑顔になった。
360 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:25
「考えられることは二つ。梨沙子があえてその話題にふれないように周囲の人に頼んでいたか、
もしくは梨沙子の周囲の人間がそういうふうに梨沙子に頼んでいたかどちらか」
 
「何のために?」
 
「それも考えられるのは二つ。梨沙子が自分自身の居場所を知られたくなかったか、
梨沙子の周囲の人間が梨沙子の居場所を知られたくなかったか」
 
「うーん」
 
愛理が口をへの字に曲げて考え込んだ。
361 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:26
「でもいずれにせよ梨沙子も、その周りも人にしても相当用意周到に
今回の家出の計画を練ってたみたい。とにかくもっとよく調べてみないと」
 
舞美は愛理をまっすぐに見つめて言った。
まるで舞美の視線は自分が全てをお見通しだと思えるくらいに自信に満ちていた。
362 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:27
梨沙子は監禁室でキャンバスに向かっていた。

空の色を描こうと水色をふででそっと撫でた。
すると真新しい新鮮な青が梨沙子の目に飛び込んできた。
梨沙子はそんなふうに感じたのはきっと長い間空を見ていないからだと思った。
 
「それ、みやが買ってきたの?」
 
千奈美がキッチンでお茶をいれながら言った。
 
「うん。漫画も全部読んじゃったし、することなくって。
みやが画材屋で油絵セット買ってきてくれたんだ」
 
梨沙子がほのかに微笑を浮かべた。
363 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:28
千奈美はお茶を梨沙子の傍のテーブルの上においた。
梨沙子はすぐに白いティーカップを口にはこんだ。
千奈美は少しあっけにとられた。
梨沙子が絵を描くのが好きだというのは確かに雅から聞いたことはあった。

しかし、今そんなことをしている場合なのかと千奈美は自分勝手な心配をしてしまっていた。
それでも梨沙子はお茶を一口のむとその後は夢中になって青を描いている。
それは、果物かごの背景に窓があって、そこから晴れた空が覗いているという構図だった。
もちろん実際の梨沙子がいる部屋には窓などない。
364 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:29
「静物画ばっかりじゃつまんないから、次はももがモデルになってくれるって」
 
梨沙子は機嫌よさそうに言った。
 
「桃は可愛く描かないと怒るからなあ」
 
これが、普通の状況だったら何も感じずに梨沙子の言葉を聞いたと千奈美は思う。
でもこの異常な環境では、梨沙子のその表情は気でもふれてしまったと思えるくらい自然だった。
 
「そう・・・なんだ」
 
千奈美はどう答えていいか分からないらしく相槌をうった。
365 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:29
絵を描いている梨沙子からは囚われの身となった悲壮感というものが不思議なほど消えている。
ブロンドの髪はまるではやりの美容院に行ってきたばかりのように滑らかに光沢を放ち、
薄いピンク色のキャミソールは胸元に上品なレースがついて妙に艶かしい。

ただ足元に視線を移すと場違いなほどさびついた金属の分厚い足枷が化け物のように梨沙子を拘束していた。
366 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:31
「あの、みやから借りて読んでた漫画のことなんだけどさ。
すごいいじめで有名になった漫画があるじゃん?」
 
梨沙子は筆を動かしながら流暢にしゃべっていた。

「ああ、これ?」
 
千奈美はベッドの横に置いてある漫画を手に取った。
確かドラマ化されて、あまりのひどいいじめの描写にPTAから苦情がきたような漫画だ。
 
「そう。それって主人公がいじめの標的になって教科書隠されたり、上履きも隠されたり、
机に落書きされたり、あと・・・トイレに無理やり連れ込まれてモップで頭洗われたりするんだけどさ」
 
梨沙子はまくしたてるように早口で言った。
367 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:32
「うん・・・」
 
千奈美は梨沙子の表情を伺いながら聞いていた。
 
「あたしが今されてることとどっちがひどいのかな」
 
梨沙子はさらりと言った。
 
千奈美は何も答えることができなかった。
今、梨沙子がされてること以上のひどいことがあるんだろうかと千奈美は思う。
だけど梨沙子にそう言ったところでとても気がすむとも思えないし、
だからといって千奈美自身も梨沙子を逃がす勇気はない。

雅や桃子のように梨沙子を好き放題に陵辱したいとも思えない。

千奈美はもう自分を残酷な人間として達観した気分になっていた。
368 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:34
「あの漫画の子はね。ものすごく傷ついて苦しんでた。
学校に行こうとしたら体が拒絶反応を起こして途中の花壇で吐いちゃうくらい」
 
梨沙子は平然と言っている。
怒っているのか悲しんでいるのか表情からは全く分からない。
 
「梨沙子はどのくらい傷ついているの?」
 
千奈美は勇気を出して聞いてみた。
 
「それがわかんないの。漫画読みながらあたしは、どのくらい傷ついているんだろうってずっと考えてた。
みやや桃と一緒にいるとき、どのくらい傷つけられているんだろうって。
でもそんなの測る機械なんてないから結局よく分かんないの」
369 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:35
梨沙子は言いながら平然と筆をすすめている。
千奈美はとにかく自分は梨沙子の傍にいることに決めた。

やがて梨沙子が描く青空ははっとするくらい美しく仕上がっていた。
370 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:36
その日の雅は予定の時間より早くやってきた。
両手にはめいいっぱいの買い物袋をかかえている。
雅は千奈美と目をあわすとなにげなく「梨沙子は」と聞いた。

千奈美と雅は同時に芸術家ふうにイーゼルに向かっている梨沙子を見た。

梨沙子は振り返ると絵を見ろと言わんばかりに完成間近の絵を指差した。
雅はさっそくキッチンテーブルの上に袋を置くと梨沙子がいる牢獄の部屋にはいってきた。
371 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:37
「うまく描けてるじゃん。やっぱ梨沙子って絵うまいんだね。
こんだけ描ける人ってめったにいないんじゃない」
 
雅の言葉に梨沙子は機嫌をよくして朗らかに笑った。
 
「みやは買い物?」
「うん。そうなんだけどもう一度行かなきゃなの」
「何で?」
「牛乳買い忘れた」
 
雅が舌を出して笑った。
372 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:38
「あ、それだったらついでにあれも買ってきてよ」
「あれって?」
「あの、あたしがいつも夜食べるやつ」
 
梨沙子の言葉に雅が一瞬上を向いた。
「ああ。あの、牛乳プリンみたいなやつ?」
「そうそう」
「分かった。他には?」
「今のとこない・・・かな」
梨沙子は言った。
373 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:40
雅と梨沙子の会話があまりにも自然すぎて千奈美は頭の中が交錯する糸のようにこんがらがってきた。
雅が出て行くと梨沙子は再び筆をとって絵にむかった。
 
「雅と梨沙子って最近ああいう感じなの?」
 
「ああいうって?」
 
「何ていうか。こんな状況で普通にしゃべるの?」
 
「あー。あたしがもう逃げないって分かってるから安心してるんじゃない?
だってこの部屋から出ても分かんないもん。あんな迷路みたいなとこ。
あたしって本当に完璧に誘拐されたんだね。もう絶望的だね」
 
梨沙子が軽い感じでそう言って千奈美を見つめた。
374 :幽閉(飼育) :2010/08/26(木) 22:41
「どうせ誰も助けてくれないしね」
 
梨沙子の目が一瞬猫のように光った気がした。
千奈美はそれを見て心なしか震えがきた。
375 :ELS :2010/08/26(木) 22:41

今回の更新を終わります。
376 :名無飼育さん :2010/08/27(金) 00:52
舞美!早く助けてあげて〜
377 :名無飼育さん :2010/09/01(水) 00:15
やばい・・・
なんか梨沙子はこのままでも
いい気がしてきた。。。

これって洗脳?w
378 :ELS :2010/09/02(木) 20:19
>>376,377
レスありがとうございます。
稚拙な文章で恥ずかしいこともありますが、
どうもありがとうございます。
調子に乗って次回作をそろそろ考えています。。
379 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:48
「夏焼」
雅の家は古めかしい字体でそう表札がかかっていた。
見るからにお金持ちそうな豪邸だ。
それでも愛理は意を決して中へ踏み込んだ。

門の前にあったチャイムを鳴らすと雅がすぐに出てきた。
用件を話すと雅は意外にもすぐに家を中へ入れてくれた。
 
「梨沙子のことで鈴木さんもいろいろと調べてくれてありがとう」
 
玄関先で雅は、焦燥したような顔で言った。
380 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:49

雅はこの前とは打って変わって何かとてもしおらしくなってしまっている。
梨沙子がいなくなったことが相当ショックだったように思えて、
愛理は再び梨沙子失踪事件の犯人の見当がつかなくなった。
381 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:50
入院していて動けない舞美に代わって、愛理はこの1週間
雅のグループメンバーをずっと尾行している。
誰かが梨沙子の失踪に関わっているならば絶対に梨沙子のいる場所に行くことが予想されたからだ。
しかし愛理は尾行している間、誰一人それらしき場所には行っていない。
わずかに雅の家による人がいたぐらいだ。
ただそれ自身は全く不自然なことではない。
ただ単に帰りがけに寄っただけとか、メンバーの集まり場になっているだけかもしれない。

だったら自分の目で雅の家に梨沙子がいるのか確かめてやろうと愛理は思った。
382 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:51
舞美からは雅の家を探せとまでは言われてはいなかったが、
こういうときには愛理は決まって思い切った行動にでた。
 
「あれから梨沙子からは何か連絡はありませんか?」
 
雅は首を横にふった。
 
「こうやってみんな心配してるんだから連絡があったらすぐに電話するつもりでいるんだけど」
 
雅が困惑したように言った。
383 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:52
「ごめんね。あたしがもっと梨沙子をよく見ていたら良かったんだけど。
本当に梨沙子どこ行っちゃったんだろう」
 
雅が肩を落として言った。
その姿を見ていると愛理は自分が雅を疑って追求しているのが何だか申し訳なくなる。
雅の後に続いて愛理は家の中に入った。
よく掃除されてピカピカの廊下、明るい日差しが入っているリビング。
そこからは広い緑の庭が見えた。
 
「あの、ごめんなさい。お手洗い借りてもいいですか?」
 
愛理は言った。
 
「どうぞ」
 
愛理はリビングの左手にあるトイレに案内された。
384 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:53
その間にも愛理はすばやく周囲の部屋をチェックする。
どの部屋も扉が開いていて中を見ることができた。
愛理はトイレの中に入ると頭の中で家の構造を確認した。

もう一階には梨沙子はいない。

後は2階、

それも雅の部屋が一番可能性が高い。 
385 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:53
「梨沙子が家出する前にここに来ていたってことはないですか?」
 
トイレから出てくると愛理はリビングにいた雅に話しかけた。
もしかしたら雅は梨沙子のことは何も知らないかもしれない。
でもこのまま手ぶらでは帰れない。
愛理は梨沙子の痕跡を何としてでも見つけようと必死になった。
 
「家出する何日か前は確かきてたと思うけど」
 
雅は首を横にふった。
 
「そのときは、夏焼さんの部屋に?」
 
雅はうなずいた。
386 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:54
「部屋を見たらダメですか?」
 
「いいよ。今ちょっと散らかってるけど」
 
雅の家の階段は少し急だった。
明るい木目の入った板がらせん状につらなり、新鮮な木の香りが漂っている。

梨沙子が最後にこの階段を通ったとき一体何を考えていたんだろうと愛理は思った。
家庭の事情や友達関係で人には言えない悩みも抱えていたのかもしれない。

でも勝手にいなくなるというのはどう考えても梨沙子の意思ではないように思えた。
ちょっとした家出の計画はあったにせよ梨沙子は普通に楽しい夏休みを送ろうとしていた。

でも何かの瞬間、梨沙子は日常の生活から引き離されてしまったのかもしれない。
387 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:56
 
「ここがあたしの部屋」
 
雅はドアを開けて言った。
 
「ねえ、どこにも梨沙子はいないでしょ?」
 
その言葉を聞いて愛理ははっとなった。
 
「違うんです。あたしは別に夏焼さんを疑ってるわけじゃなくて」
 
「いいって。あたしは梨沙子の親友だもん。梨沙子をかくまってるって思われても当然でしょ?」
 
雅は目を大きくあけて愛理に言った。
愛理は雅の言い方に何か違和感を感じた。

妙に疑われ慣れした言い方いうか、
この人は絶対に何かを知っているというような予感がした。
388 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:57
「せっかくだから部屋全部見ていきなよ。そのほうがあたしも疑われなくてすむし」
 
雅はまるで全然気にしていないと言わんばかりだ。
 
愛理は雅の家の全ての部屋を見せてもらった。
それこそお風呂場も寝室も全てだ。
中には壁の中に隠し部屋のようになっている広い衣装室があったが、
どこにも梨沙子はいなかった。
 
こんなとき、舞美だったらどんな推理をするだろう。
やっぱり雅は無関係なのだろうか。
 
一通り、部屋を見終わった愛理はリビングに雅とともに戻ってきた。
389 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:58
 
「あたしはてっきりおばあちゃんの家にでも行くのかと思ってたんだけど」
 
雅はお茶をいれてくれていた。
愛理はしばらく考え込んでいたが、ふと頭を上げると愛理が座っているソファからは
雅の家の広大な庭が見えた。

思わず寝転びたくなるような青々とした芝生が一面に敷き詰められていて、
動物の形に刈り込まれた柘植の木がところどころ均等に植えられていた。
庭園と言ってもおかしくないような庭にスレート製の倉庫だけが右端にぽつんと存在している。
390 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 20:59
「きれいな庭・・・」
 
愛理はふとつぶやくように言った。
もしあの倉庫さえなければ庭全体がまるで一つの芸術品のように輝きを増していただろう。
 
「うちとは大違い」
 
愛理は自分の家の庭を思い出して言った。
そこは愛理の父と母がこぞって好きなものを植えるものだから
草花も木も雑然として好き放題に伸びて何かだらしなくなっている。
 
「うちは業者に頼んでるから。パパもママもほとんどあまり家にいないしね」
 
雅は言った。
391 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:00
成果なしか。愛理は心のうちに思った。

結局雅の家に思い切って飛び込んできたものの逆に雅の家に
何も梨沙子の手がかりがなかったことによって
梨沙子からは遠くはなれてしまったような気がする。

舞美が聞いてもきっとがっかりするだろうと愛理は思った。
 
「もう・・・りーちゃん、どこ行っちゃったんだよ」
 
愛理は雅の家を出ると空を眺めてため息をついた。
愛理の脳裏にはありし日の梨沙子の笑顔だけが浮かんでいた。
392 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:01
千奈美は不思議に思いながら暗い廊下を歩いていた。
突然雅から梨沙子の監禁部屋にきてみてとメールがあったのだ。
梨沙子とは昨日の午後一緒に過ごしたばかりだ。
だから梨沙子の監視役という当番はまだ先のはずだった。

雅に限って梨沙子を放っておいて当番を代わってほしいなんて言うはずはない。
だったら自分に何の用があるのだろうか。

もしかしたら梨沙子の身に何か異変があったのではないか。
また脱走しようとして雅や桃子に今まで以上のひどい目にあわされているのかもしれない。
梨沙子だってこれ以上の陵辱を受けたら自殺してしまうかもしれない。

千奈美の思考は嫌な方へとばかり想像がふくらんだ。
393 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:02
通路は両脇に備え付けられたランプの形をした蛍光灯の明かりによってやっと地面が見えるくらいだ。
ゆっくりと歩きながらだったらまだ行く先は分かるが、
もしここを走り抜けようとしたらたちまち方向が分からなくなってしまうだろう。

梨沙子が何度逃げようとしてもこの忌まわしい通路がその度に梨沙子を捕らえて離さないだろう。
そして梨沙子は再び屈辱の世界に引き戻されるのだ。
千奈美は自分達が行っているおぞましい行為に吐き気がした。
394 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:03
ドアの前に立ってみると何やら中が騒々しい。
それが笑ったり叫んだり、何か女子高生でいっぱいのファーストフードの前にでも立っているみたいだ。
何の騒ぎかと思って千奈美が部屋に入ってみると、
中には梨沙子、雅、桃子、佐紀、友理奈と全員そろっていた。

全員テレビに釘付けになって寝転がってゲームをしているようだ。
395 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:04
「あ、ちぃ来たよ。桃、一人追加して」
 
千奈美の姿を認めると梨沙子が桃子に言った。
 
「オッケー」
 
桃子は、完全に寝そべった状態でコントローラを操作した。
見るからにリラックスした格好だ。

この部屋に千奈美が危惧したような切羽詰った危険さは微塵もなかった。
 
「次、みやの番だよ。5が出たらブーだよ。絶対」
 
梨沙子がはしゃぎながら言う。
 
「そんな都合よく出ないよ」
 
雅が梨沙子を軽く小突いた。
396 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:05
「何・・・やってんの?」
 
千奈美は唖然として言った。
 
「ゲーム。最初は梨沙子と二人でやってたんだけど。
みんなでやったほうが盛り上がるの」
 
雅が興奮した顔で言った。
どうやらみんながやっているのはスゴロク方式のRPGのようだ。
メンバーがマス目を進んでいってサイコロで出た数字によっていろんなイベントが起こるらしい。
 
「げ、5だ」
 
雅がサイコロを振って絶句した。
 
「やったー。あたしのホテルへ一泊。毎度あり〜」
397 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:06
ものすごく久しぶりに梨沙子の笑い声を聞いたような気がする。
それも監禁が継続した状態でそれが聞けるとは千奈美は思いもよらなかった。

みんな笑ったり叫んだりこんなに騒いでるのはきっと梨沙子の誕生会以来だ。
398 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:07
 
「ちぃも入りなよ」
 
言われて千奈美もしぶしぶゲームに参加していたが、
サイコロを回してお金が入ったり損したりいろんなイベントが起こって
次第にのめりこんでしまい感覚が麻痺してきた。

千奈美はふと梨沙子の足元を見た。

そこにはこれまでと全く同じ図太い足枷が梨沙子の細い足首にしっかりとはめられている。
それを見て千奈美は再び現実に引き戻されたような気分になった。

しかしその場はひょっとしたら誰もその存在に気づいていないのではないかと千奈美は思った。
399 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:08
梨沙子はとても楽しそうに笑っている。

しかしその笑顔はまるで等しくみんなと同じ立場でゲームに参加しているように
錯覚した笑顔のように千奈美は思えた。

今、この部屋では梨沙子とそれ以外の人間とは違う。
自分達は今、ゲームをやめて家に帰ることもできる。
しかし梨沙子にはそれは絶対に叶わないのだ。

梨沙子にはそれが分かっているのだろうか。
それとも分かった上で笑ってるんだろうか。
400 :幽閉(飼育) :2010/09/02(木) 21:09
千奈美は梨沙子の笑顔がとてもはかなく、今にも消えそうなものにも思えてきた。
きっと夜には、体中を拘束され裸にされてベッドに寝かされるに違いない。
千奈美は自分の体の中に密かにそれを想像して快感を感じようとする危険な心の動きに気づいた。
そして慌ててそれを打ち消した。

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