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MIND

1 :名無飼育さん :2008/09/24(水) 23:06
アンリアル
いしよしっぽく
555 :MIND :2009/03/09(月) 16:54

***

556 :MIND :2009/03/09(月) 16:54

「ごめんね、これ、取り上げるの忘れてた」

忠犬のごとくその場から一歩も動かず待っていた吉澤のところに戻り、
藤本は門に向かって歩き出した。しかし後ろからついてくる気配がない。
立ち止まったまま俯く吉澤の胸倉を掴み、睨みつける。

「・・・・逃げんじゃねぇよ。あの子のせいにして、逃げんじゃねぇ。
 あんたの自殺願望ぐらい、分かってる。絶対、逃がさねぇ。梨華ちゃんとこに返すんだから」

きょとんとした顔をして、吉澤はまるで自分が何故動けなかったか分からず、
その答えをやっと理解したように呟いた。

「あぁ、そうかも。うん・・・・そういうとこ、あったかも」

少しずつ、何かが抜けていく。軽くなった足は一歩、たやすく進んだ。
見届けて、藤本はまた歩き出した。

「言いたいこと、いっぱいあったんだ」
「あの子に?」
「ううん。梨華ちゃんに」

振り返らない背中に語りかけるように、ただ自分の中で整理をつけるように、
吉澤はゆっくりと口を開く。

「屋上でさぁ、まぁ・・・遺言みたいなこと、考えたんだ」
「なに?愛の告白でもしたわけ?」
「あ、それは言わせてもらえなかった」
「は?なにそれ?」

557 :MIND :2009/03/09(月) 16:55

「もちろん、それも言ってみたかったんだけど・・・・
 あー、なんかいっそ好きって言えたら死ぬような気がしてきた」

そんな説明で分かるはずもなく、藤本はイラついた顔で前を見ていた。
一人でブツブツ言いながら吉澤は頭を掻き毟る。
伝えられずに死ぬことはないのではないか。言わせてもらえない限り死なないのではないかと、
吉澤は思い返して感じた。そんな妄想を口にすることはなく、ちらりと藤本を確認し、
フッと笑みを零した後、動きを止め、すっと目を伏せた吉澤は、思い出すように話し始めた。

「・・・・聞きたかったんだ。なんで優しくすんのって」

好きだから、なんて都合のいい答えを妄想したわけではない。
ただ、疑問に思った。
動けないわけでなく、動かない吉澤に合わせ、藤本も立ち止まる。

「でも、そんなの本当はどうでもよくて、あたしを見てくれるだけで嬉しくて」

どんな目でもよかった。バカな後輩を見るでも、図々しい居候を見るでも、
ただの変人を見る目でも構わなかった。

「あの子は、あたしみたいだったから恨まれてはないと思うんだけどな」

困った生徒でも、妹みたいにでも、吉澤は彼女を見ていた。
思い出の中の彼女に笑みを返し、顔を上げ藤本に言った。

「あのさ、美貴ちゃんさんにお願いがあるんだけど」
「何?」
「結局なにもなかったでしょ?これで、終わらせてほしい」

558 :MIND :2009/03/09(月) 16:55

やっぱりな、そう思って、噴き出しそうになるのを堪えて、
清々しいまでの笑顔で藤本は答えた。

「これはゲームだった」
「・・・・へ?」
「でしょ?高校生の遊びに警察が何すんのよ?知らない、通報してきてもブチッてやる」
「美貴・・・・?」

お見通しだ、と藤本は笑って、再び歩き始める。
近づいてきた吉澤の足音が、少し大きく聞こえる。
追い越されないよう、気付かれない程度に歩く速度を速めた。

「言うと思ってた。じゃなきゃ放置して帰らないでしょ?」
「さんきゅ。でもあの子は・・・・望まないだろうね」
「ガキの気持ちになんて構ってらんない。こっちも仕事なの」

敷石に転がる石を、藤本は邪魔そうに蹴り飛ばす。
おもむろに振り返ると、思い出したように、吉澤に言い足した。

「飼い主は自分で説得しなよ?梨華ちゃんが騒いだら、ミキは仕事するしかないから」
「善処します」

空が明るむ。長い夜だったと二人は思う。

「よっちゃんってさぁ、昔から変なとこでモテるよね」
「好きな人には足蹴にされてんだけどね」

ふざけあうように、笑い声が響く。

559 :MIND :2009/03/09(月) 16:55

「あたし、言っちゃいそうだった」

この場所でしか感じられない言葉を、吉澤は絞りきるように吐き出す。
見上げれば屋上が見える。振り返れば体育館の屋根も見える。
この校舎から逃げ出した吉澤の脳裏に、声が蘇る。

「本当は名前も呼びたくないんだ。あんまり、呼んでやらなかったから」

―――名前呼んで? ―――・・・・ヤダよ

「言えなかったのに、絶対そんなこと言っちゃダメだって、あの頃毎日のように思ってたのに」

―――せんせぇ、好きな人いるんだよね? ―――・・・・うん

「嘘でもいいから言えって?言えるわけねーじゃんか」

笑みが崩れていく。砂塵のようなそれの後に、吉澤の目からは涙が零れた。

「それだけは・・・・言っちゃダメじゃんか・・・・」

思わせぶりなことは、したくなかった。
精一杯の誠意のつもりだった。空っぽなんて、分かってる。
ちっぽけな思いやりは、残酷だったかもしれない。

「乗り越えなきゃならない壁?あたしはそうは思わない」

乗り越えた先に何がある。ただ空虚が待ち構えているだけだ。
その壁の内側で、大切な人を見つける。声が聞ける。触れることができる。
キミが、思わせてくれた。生きている、それだけで、幸せだと。

560 :MIND :2009/03/09(月) 16:56

「あの子のことを何もなかったみたいに思いたくない」
「そこまで言わないけど・・・」
「でも、うんざりしてるでしょ?」

涙を拭い、唇を噛み締め、吉澤は前を見る。
生きた証を残せない体に生まれたと嘆きながら、
それでも、一度も涙を見せなかった彼女のことを、

―――忘れないでね。
  ―――うちがここに居て、
    ―――こうしてて、この時間を・・・

「絶対に、忘れない」

吉澤は、そう決めていた。

「弱いと思うなら思ってていい。でもあたしは変わらない。
 乗り越えて笑うことが強さなら、あたしは強くなんてなりたくない」

笑いたければ鈍感になればいい。目を瞑れば、いくらでも虚勢を張れる。
偽りの強さならいらない。

「・・・・って思っちゃうあたしは重症なんだろうね」

この傷は、癒えなくていい。永遠に刻み込んでおきたい。
一生抱えていくモノでいい。強さのせいで、約束を見失いたくなんてない。

話の終わりが門の形で見えてくる。こんな姿は、見せなくていい。
あなたにだけは、知られたくない。十年の想いと共に秘めさせてくれ。
上っていく朝日の中に石川の影を認め、吉澤は眩しそうに目を細めた。

***

561 :MIND :2009/03/09(月) 16:56

翌日の夕方、石川は藤本に呼び出され、近所のカフェに一人で座っていた。
しばらくして、石川の前に少女が現れた。
藤本に連れられ、昔は石川も着ていた制服に身をつつみ、
なんともいえない懐かしさを纏っていたが、つい最近の記憶が戸惑いを誘う。
藤本が駆け寄ってきて、慌てて浮かべた愛想笑いで迎えた。

「お待たせ。よっちゃんは?」
「置いてきた」
「そっか。ごめんね、急に」
「もーいい。なんかいろいろどうでもよくなってきた。
 ママから今日休みにしたとか言われてもう台無し。入社以来頑張ってきた私が台無し」

石川は高熱をだしていることになっている。
我を張って、突き進んできた道に思わぬ泥がついた。
躓いたときは、とりあえず小休止。吉澤に説き伏せられて開き直った結果だ。

「なんかさぁ〜・・・」
「あー、愚痴なら今度で!」
「えぇ?」
「ほら、言いたいことあるんでしょ?」

そう言った藤本に押し出された少女に、石川が初めて視線を向けた。
舞美は石川の目も見ずに、俯き加減でもじもじしている。

「おーい。昨日の威勢はどーしたの?」

からかうように言った藤本を、舞美は恨みがましい目で見た。

562 :MIND :2009/03/09(月) 16:56

「・・・あなたにだけは謝らなきゃ、と思って」

藤本の前に出て、舞美は改めて石川の顔を見る。唇を噛み締め、意を決してやっと言う。

「すみませんでした。こんな言葉で許してもらえるとは思わないけど、ごめんなさい」

深々と頭を下げた舞美を、石川は無言で遮り、頭を上げさせた。

「舞美ちゃん、だっけ」
「・・・・はい」
「どうぞ、座って。美貴ちゃんも」

大体の事情は、昨夜、待っている間に佐紀から聞いた。
座らせた二人のために飲み物を注文する。
飲みかけのレモンティーをくるくると混ぜ、
一口付けると、舞美に問いかけた。

「舞美ちゃんのお友達は、ひとみちゃんをどう思ってたのかな?」

“来てほしくない”、そう言った吉澤の意思を汲めば、
石川が舞美と話す必要はないと思っていた。
しかし本人が謝りたいと言うならば、真正面から話してみよう。
石川は躊躇う舞美の言葉を待った。やがて、か細い声が返ってくる。

「えりは・・・彼女は、あの人が好きでした」
「えりちゃんっていうの?」

舞美があえて仕舞い込んだ名を石川は手繰り寄せた。
話と現実との距離が縮まる。一瞬唇を噛み締めて、舞美は言った。

563 :MIND :2009/03/09(月) 16:56

「・・・えりか、です。梅田、えりかっていうんです」
「そう、えりかちゃんね」

舞美の言葉を受けて、いとおしむように石川はその名を呼んだ。
優しげなその瞳に、舞美は初めて気がついた。

「舞美ちゃんはね、私みたい」
「え?」
「あの人はね、良くも悪くも自分の世界で生きてるの」

いったいどれほどの顔を持ち、一番大切な人にはどんな顔を見せているのだろう。
石川が語る“吉澤先生”に、舞美は耳を傾ける。

「昔の私、舞美ちゃんくらいの頃ね、周りばっかり見てた。
 誰にも負けたくないとか、上手く行かなかったら誰かのせいだって思ってて」

石川は懐かしむように目を細めていた。
思い出の隣には、あの人がいたのだろうか。
わずかな変化も見逃さぬほどに、注視する。

「あの人は違うの。傷ついて閉じこもるのもそうなんだけど、自分の中で戦うの」

舞美は神妙な顔をして聞いていた。石川にだけは、どんな理由もなかった。
ただ、あの人の想い人だというだけで、巻き込んだ。

「それで・・・・死んじゃうの」

寂しそうに微笑む石川を見て、何故か舞美の胸がちくりと痛んだ。

564 :MIND :2009/03/09(月) 16:57

「悲しいことがあるとね、どこまでも沈んで、簡単に死んじゃうの」

吉澤の根底にある諦観。厭世観。

「私と美貴ちゃん・・・あ、そこの刑事のお姉さんね。
 ひとみちゃんが悲しいと死んじゃうの知ってるんだ」

必死で思い出を語ってくれた藤本の話と重なる。
消えちゃいそうだと、そう言っていた刑事は横で興味なさげに携帯を触っていた。

「だから、あなたくらいの頃、ううん、もっと前から見てたの」

石川は、思い出す。藤本は、改めて言葉にされると恥ずかしいのか、
顔を背けてコーヒーを飲んでいた。真っ直ぐに舞美を見つめ、石川は言葉を続けた。

「生きててほしいから、ちゃんと傍で見てたの」

石川は、また思い出す。消え入りそうな背中を引き戻し、その手を離さなかった。
最後の一瞬まで、離してやるものかと決めていた。

「舞美ちゃんは、ちゃんと――――」
「梨華ちゃん」

最後の言葉は、携帯を閉じた藤本によって遮られた。
目だけのやりとりが短く終わる。意図を汲んだ石川が小さく笑った。

「ダメかな?」
「うん、やめといて」

565 :MIND :2009/03/09(月) 16:57

しばらく見詰め合った二人の中で決着が着いたらしく、
石川は言葉を飲み込んで改めて舞美を見た。

「私は勝手な大人だから言うんけど・・・私は、えりかちゃんに文句言いたいな」

血が出そうなほどに、唇を噛み締める舞美をじっと見る。

「ごめんね、ひどいよね。ひどい大人でごめんね」

言い返したいだろうに、堪えるこの子は冷静だ。
そう思いながらそっと手を伸ばし、頭を撫でる。

「でもね、なんで死んじゃうの、ひとみちゃんが悲しんでるじゃない、って言いたいの」

それだけではなかった。

「舞美ちゃんだって悲しんでるじゃないのって、言ってやりたいの」

一瞬、舞美の目が見開かれる。
子供らしい表情の変化を見て取り、石川は優しく微笑んだ。

「舞美ちゃんは悲しませないでね」
「私がなにしたって・・・あの人は・・・」
「悲しむよ。そういう人なの」

距離の測れない人だから、きっと舞美のために涙を流す。
また誰にも言えず、一人、どこまでも沈んでいってしまう。
次は、間に合うかどうか分からない。紙一重で掴んだ手を、離したくない。

566 :MIND :2009/03/09(月) 16:58

「死んじゃダメだよ」
「・・・・あの人が、悲しむからですか」
「違うよ」

キッと目に力を込めた石川に、舞美の背筋が伸びる。

「ひとみちゃんのことも、私のことも、究極的には、えりかちゃんのことも関係ない」

石川は圧倒されそうなほど真剣な目で言う。

「理解しあおうなんて言わない。許すとも、許さないとも、許してとも言わない。
 あなたは、死んじゃダメ。それだけは絶対、間違ってる」

射抜くような目をして舞美を見て、しばらくすると石川はふっと笑った。

「だよね?美貴ちゃん」
「そだね」
「うん。じゃあ、これで終わりね」
「はいよ」

あっけに取られて何も言えずに見上げる舞美の頭をもう一度撫で、
石川は伝票を手にすると立ち上がった。軽い調子でコーヒーを飲み干すと、藤本もそれに続いた。

「元気でね。大人になったらまたおいで。また一杯おごってあげるから」

ひらひらと手をはためかせながら舞美に見せた石川の背中はぴんと伸び、
少しだけ、眩しく感じた。
567 :MIND :2009/03/09(月) 16:58

「あ、ミキ払うよ」
「いいよ。お給料カットされてるんでしょ?夕飯も食べに来ていいからね」
「・・・・申し訳ないです」

会計を済ませて外に出ると、傾きかけていた太陽は沈む寸前だった。
藤本が大きく伸びをして思い出したように訊ねる。

「ってかさぁ・・・・昨日よっちゃんとキスしてたよね?」
「鼻を摘んで口から息吹き込んだら人って死ぬらしいよ」
「・・・・殺人未遂だったって言いたいの?さすがに無理があるんじゃない?」
「いーの」

どこから見ていたのかとも訊かれない。用意してあったような答えは頑なで、
意地を張ったらもう手がつけられない。これ以上話しても何も変わりはしないだろう。
諦めた藤本が小さく笑った。

「さっきさ、あの子に言おうとしてたこと当ててあげようか?」

黙ったまま、石川は自宅の方を見ていた。角を曲がればすぐ見える。
大きなペットはおとなしく待っているだろうか。

「人のせいにしてんじゃねぇ、大事な人ならその手でちゃんと掴んでろ」
「そんな言い方するつもりはなかったけど、ね」

―――ちゃんと見てたの?
本当は藤本も支持したいくらいだったが、吉澤なら言わせないと思ったから止めた。
舞美を責めたら、全てが終わる。少なくとも、舞美の世界は終わってしまう。
形は違っていても、きっと舞美も脆いから。吉澤と同じくらいに、儚く、脆く、それゆえに美しい。

568 :MIND :2009/03/09(月) 16:58

「でもね、よっちゃんにとっても大事な生徒だったんだと思うよ。だから、
 よっちゃんが掴んでてくれればよかったのにってあの子の言い分も、まぁ分からなくもない」
「美貴ちゃん、ひとみちゃんにそんな余裕あると思ってるの?」
「思ってないよ。でもあの子は知らない。先生、大人、頼りがいはあってしかるべき、でしょ?」

成長しなければ分からない。
ましてや常日頃から偉そうにしている教師というものからは、
同じくらいの年頃を経ているのだとは想像がつかない。
どこまでいっても、何歳になっても、人間なのだと考えられない。
演じきれないほどのスーパーヒーローを、押し付けてしまう。

「子供には分からない。それを察してあげないのは、大人気ないと思わない?」
「・・・ちょっと頭に血が上ってた気はするかな」

死ぬなと言いつつ自分で追い詰めていたのでは辻褄が合わない。
石川は素直に認め、藤本に礼を言った。

「止めてくれてありがと。酷いこと言っちゃうとこだった」
「そうそう。せっかく大人ぶってたんだから最後まで貫いてよね」
「あは、無理してたの分かった?」
「あったり前じゃん。何年友達してると思ってんの?」

笑いながら帰っていく石川を見送って、同情はしないつもりだったが、
いつの間にか庇っていた自分に気付き、何をやっているのかと自分に首を傾げた。
置いてこられたというあのバカが乗り移っていたに違いない。
バカバカしいついでに、藤本はもう一仕事終えることにして店に入った。

569 :MIND :2009/03/09(月) 16:59

「はい、おつかれー、帰ろっか」

陽気な藤本が戻ってきて、舞美は無言で促されるままに立ち上がった。
黒のセダンに乗せられて、しばしの沈黙の後、藤本は尋ねた。

「そーいやさ、なんでよっちゃん刺さなかったの?」
「・・・・手元が、狂っただけです」
「うあ、可愛くないねぇ」

窓の外を眺めたまま、舞美が見向きもせず平易な声で答えた。
納得しただろうかと顔色を窺うが、難しい顔をした舞美からは読めない。
可愛げはないが、嫌いではない。だから、関わりたくないとは思わない。

「君はまだ高校生なんだからさ、お母さんを悲しませちゃダメなの。
 分かったら帰ってお母さんに甘えなさい」
「だから、地方公演って言ったじゃないですか。今週はいません」
「そうかな?」
「は?」

言い聞かせるように言う自分が随分年を取ったような気がして、藤本は小さく笑った。
その笑い声に反応して、舞美はちらりと藤本を見る。
どうしたのだと問いかけようとした瞬間、車が止まった。

「家の前まで警察に送られるのイヤでしょ。ここから歩きな」
「・・・・はい」

問いかけは飲み込んで車を降りた舞美は、走り去った藤本の車を見送った。
見えなくなってから角を曲がると、家の前に見覚えのある高級車が止まっているのに気付く。

570 :MIND :2009/03/09(月) 16:59

「舞美!」

ドレスの上にコートを羽織った母が駆け寄ってきた。

「お母、さん?どうしたの?帰りは来週じゃ・・・・」
「急いで帰ってきたのよ。警察から、電話があって・・・舞美が、舞美がっ」

あの刑事・・・・、と苦々しげに顔を背けた舞美の肩を母が掴む。

「夜中に出歩いて補導されたって!」
「・・・・え?」

予想外の言葉に、舞美は目を見開いて固まった。
すでに必死の形相の母が真相を知ったらどうなるのだろう。
意味ありげに笑っていた刑事に、少しだけ救われた気持ちになる。

「ちゃんと見てなきゃダメだって言われて、身に染みたのよ。ごめんね、舞美」

舞美は傷ついてたのにね、そう言いながら、母は涙を浮かべ舞美を抱きしめた。
全身の力が抜ける。じわじわと、母の温度に何かが溶け出される。

「お母さぁん・・・・うっぐ・・・・ひっく」

初めて涙を流した娘を、母は優しく、強く抱きしめた。
温もりの中で泣くんだ。気が済むまで、泣き続けるんだ。
前にしか進めない。歩んできた道は、母と同じ道。舞美はこの道を行くしかない。
忘れるわけじゃない。受け入れるために、泣くのだ。
洗い流すわけじゃない。深く刻み込むために、泣くのだ。

「うわぁぁ・・・・!」

悲しいよ、えり。寂しいよ、えり。ごめんね、えり。えり、えり・・・・・
――――大好きだったよ、えり


571 :MIND :2009/03/09(月) 16:59

***

572 :MIND :2009/03/09(月) 17:00

「ただいまぁ」
「・・・・おかえり」

ソファに寝転がった吉澤からおざなりな返事が返ってきた。
拗ねているのか、玄関まで出てくることはない。
なんとも中途半端な反抗が可愛すぎて泣けてくる。

「美貴ちゃん、愚痴なら今度聞くとか言って全然聞いてくれないのよ?」
「ふぅん」

藤本に呼び出されて、突然出来た石川の休日に邪魔が入り、
振っていた見えない尻尾を引きちぎられた思いの吉澤は、
つまらなそうに見ていた雑誌のページを捲った。
上着を脱いで、石川は横まで行くと頬を軽く突いてやる。

「ちょっとぉ?何怒ってるの?」
「別に怒ってないよ。置いて行かれたくらい平気だもん」
「置いてったから怒ってるの?いつものことじゃない、引きこもりのくせに」
「さりげに酷くね?棘があるよ、棘が」

ふてくされたまま雑誌から目を離さない吉澤を眺め、
少しだけ迷った後、石川は言った。

「・・・舞美ちゃんに、会ってきたよ」

573 :MIND :2009/03/09(月) 17:00

そっと、教えてやると、吉澤の手が止まった。
予想していたかのようにゆっくりと雑誌を置いて吉澤が体を起こすと、
空いたスペースに石川が腰を下ろした。

「なに、話したの?」
「多分、ひとみちゃんが言いたくても言えなかったこと。代わりに言っといた」

―――死んじゃダメだ。
嵐の夜、あの瞬間にも、言えなかった理由。
吉澤も、同じだったから。ずっと、消えてしまいたいと、
神なんていないと思い知ってしまったあの日まで、生きようとしていなかったから。

生かされるだけのなかで、息も出来ず、ただゆるゆると真綿で絞められるように、
生きてみな?そう言うことは出来たのに、死ぬな、とは言えなかった。
きっかけを掴めずに生きていただけの自分には、死ぬななんて言えなかった。

敵わない、と目を細める。

「そんなに分かってるくせに・・・・一番言って欲しいことは言ってくれないよね」
「何を言ってほしいの?」

吉澤はそっと目を閉じる。
ありがとうは伝えた。きっと、矮小な自分のことなど石川は承知している。
だから、もう。日常に、戻るのだ。気持ちを入れ替え、とっておきの笑顔で言う。

「愛してるぜベイベー、って」
「別に愛してないもん」
「わぁ納得。即答?そうだね、そりゃ言わないよねー・・・・泣いていい?」
「いいけど静かにね。あ、その前にお茶淹れてくれない?」
「・・・・・はい」

律儀にも言われたとおりお茶を淹れ、部屋の片隅で丸くなる吉澤を視界の隅に捉え、
石川は優雅に口の端を持ち上げた。

574 :MIND :2009/03/09(月) 17:00



575 :名無飼育さん :2009/03/09(月) 17:01
これで本編いちおー終わりです。
以下、言い訳短編。
576 :MIND :2009/03/09(月) 17:01

MIND −Angel’s last day−

577 :MIND−Angel’s last day- :2009/03/09(月) 17:02

センセーへ

もうちょっと生きてみろって言われてたのに、ごめんね。
もっと大事なものは、見つけられそうにないです。
私が何か見つけたって言っても、きっと誰も信じてくれないと思います。
先生以外は、みんな私をかわいそうって言い続けるんだと思います。
誰も悲しませたくないから、終わりにします。今までありがとう。

ちゃんと伝えたかったけど、会ったら決心が鈍っちゃうから、手紙にしました。
突然ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。
知ってると思うけど、大好きです。優しくしない先生の優しさが、大好きでした。
本当に、かっこよかったです。ありがとう。さようなら。

P.S. 先生に紹介したい人がいました。今は留学中の幼馴染です。
音楽の才能があって、音楽のために留学しています。
隣のクラスなんだけど、知ってるかな?きっと先生は知らないんだろうな。
うちのおばあちゃんの名前忘れちゃう人だもんね。
三ヵ月後くらいかな?帰ってくると思うので、頑張って、って伝えてください。
舞美の弾くバイオリンが大好きだったって伝えてください。

舞美にも手紙書けばいいじゃんって思ったでしょ?
でも、舞美には未来があるから、邪魔したくないんです。
先生にはないって言ってるわけじゃないよ?
舞美は、私にとって特別なんです。集中してほしい。煩わせたくない。
めんどくさがりの先生に頼むのは悪いんだけど、先生なら、分かってくれるよね。
ずっと応援してるって、伝えてください。おねがいします。

578 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:02

「・・・・ふぅ」

何度も書き直すのは性に合わない。一発勝負で書ききった。
でも読み直してみると、舞美に伝えたいことの方が多くて、
ちょっとおかしかった。

やっぱ舞美にも手紙書こうかな。でも、送らないといけないのかな。
置いておけば、ママが渡してくれるかも。あぁ、ダメだ、ダメだ。
うちのせいで舞美が集中できなくなったら大変だ。動揺させたくない。

でも手紙に書いたから、きっと先生が伝えてくれる。
お昼休みに渡してぇ、帰ってから読んでねって言えば、きっとそうしてくれる。
先生って嘘つかないから、約束してもらおう。きっと、伝えてくれる。

あ、そしたら舞美と先生、初対面だ。
これはちょっと見てみたいような気もするけど、
うちはいない方がいい気がするなぁ。

ぼんやりとしながら無意識につけたテレビから、音楽が聞こえた。

579 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:03

「あ、舞美だ」

パッヘルベルのカノン。コマーシャルのBGMだった。
パッヘルベルはこれ一曲だけが有名なんだって、教えてくれたのは誰だっけ。
舞美だったかなぁ。うちはもう寝る時間だけど、舞美は何してるだろ。
サマータイムで七時間、だったかな。時差ってよく分かんない。
あ、なんか怒られてたし、明日の準備してるのかな。

うちはパッヘルベルに憧れる。たった一曲でも、確かな生きた証を残した彼に、憧れる。
うちの生きた証って、残らないんだ。この先何年生きたって、残せない。
パッヘルベルと同じ方法でなら、残せるかな。でも、特別な才能もない。うちは舞美とは違う。
どこになら残せるだろう。やっぱ、心の中かなぁ。そう思って、浮かんだのは三人。

まず先生。かっこいい。綺麗。優しい。本当に、憧れる。

舞美にも、憧れる。一つのことに打ち込む舞美はすごく綺麗。
頑張ってるんだろうな。明日何があるんだろ。学校って言ってたから、
きっと明日も演奏するんだろうな。

あとは、ママ。
ママはぁ、うちを見るたびに悲しそう。夜になると、泣きそうな顔をしてる。
一度だけ、酔って言ってた。ちゃんと生んであげられなかったって。
ママ、うちの方こそ、ごめんね。欠陥品で、ごめんね。悲しませて、ごめん。

580 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:03

***

581 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:03

四時間目が終わって、うちは屋上の扉をめがけて教室を飛び出す。
終わった、終わった。これから少し、先生との時間。
うちが過ごす、最後の時間。

校内放送が流れた。午後から休校。雨は激しさを増していく。
授業がないなら、今日は先生といっぱいいられる。
ドキドキしながら、屋上に続く階段の踊り場で待っていた。
しかし一時になっても、先生は来なかった。

「あ・・・・そっか」

授業ないから、昼休みもないんだ。なぁんだ。渡せないじゃん。この手紙。
気付いたら、力が抜けて、その場にへたり込んだ。
揃えた靴の上に、なんて、この雨じゃどうなるか。
考えるのが億劫で、ここはさっぱり処分することにした。

「あれぇ?」

先生のライターは、上手く扱えない。
せっかく舞美に教えてもらったのにな。
ま、いいや。道具なんて使えればいいんだから。

582 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:03

こんなことを思ってたら、舞美に怒られる。
楽器の全てを引き出す舞美は、使えればいいなんて思ったことないだろう。
舞美の音は、すごく綺麗。どこまでも心地よく響く。
これでも音楽はよく聞いてるから、耳はいいんだ。
舞美は知らないポップミュージックだけど、まぁ、音楽には違いない。

あ、これもきっと怒られる。
うちに合わせてるつもりだろうけど、あんまり興味なさそうだから。
舞美の音楽と一緒にしたら、きっと拗ねちゃう。
一生懸命興味ある振りしてたけど、ちゃんと分かってたんだよ?

「ふふっ」

ひっそりと、笑みを漏らした。

もう悲しまなくていいよ。
パパも、ママも、おばあちゃんも、舞美も。
うちを見て、言葉を詰まらせなくていいんだよ。
悲しませたくないんだよ。

「・・・・ばいばーい」

うちは不恰好に、両手で手紙に火をつけた。

583 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:04

それからずっと座り込んでいたうちは、誰かが来るのを期待してたのか。
決心が着いたときには、すでに暗くなっていた。

雨が激しくなっていく。稲光が空を走る。

うちは扉を開けて、屋上に立つ。
せんせぇと一緒に座ってたベンチ、ぐっしょりと濡れて、寂しげ。
うちもぐっしょり。今出てきたばかりなのに、警報が出るというのは伊達じゃない。

体を濡らすこの雨は、きっと空の涙だろう。
舞美は、泣いてくれるかな。先生は、大丈夫かな。
ママ、許してね。

一人きりで、フェンスを越える。

いよいよという時を迎えて、頭に浮かんだママは本当に悲しそうな目でうちを見ていて、
舞美も、悲しそうにうちを見ていた。大丈夫、もう悲しまなくていいよ。
あなたの音楽は、いつでも鮮明に思い出せる。今も心でカノンが流れる。
先生の声が好き。同じくらい、舞美の音楽が好き。あなたのことも、大好き。
だから悲しまないで。あなたの優しさで、火傷してしまった醜いうちを許して。

584 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:04

真っ暗な街を眺めていたら、軽快なメロディが携帯の着信を告げた。
最新のヒット曲は、きっと舞美知らないんだろうな。
ぼんやりしながら耳に当てると、柔らかなセンセーの声がした。
何かを言いかけた先生は、いつもと違うことを瞬時に悟り、声を低くして訊ねた。

『・・・・今、どこにいるの?』

先生って、ホントいいよね。
小さなこと一つ一つで、本当にそう思う。

「屋上」

沈黙、それだけで全部分かったんだなって、思った。
そんで、うちのために何を言おうか考えてくれてるんだろうなって感じた。

「せんせぇって、映画のヒーローみたい」

後に続く沈黙も、嬉しかった。受け止めてくれてるって実感した。
からかうように話すうちの言葉に一々答えてくれて、

『・・・・今、学校にいるから。待ってて、すぐに行くから』

甘えさせてくれる。でも、だから、

「来ないで」

585 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:04

もう、ずるずると悲しませたくない。
終わらせたい。
消えてしまいたい。

でも、あなたの姿を見たら、また繰り返すだけだから。

名前呼んで、そう言っても、先生の返事はなかった。
荒くなる息遣いがかすかに聞こえる。

いい加減な言葉より、黙り込む真面目なあなたが好きだった。
ふわふわと漂うようで、ひらりひらりとかわすようで、
なのに、真っ直ぐに受け止めてくれているあなたが、大好きだった。

「ダメかぁ・・・センセー、一途だもんね」

最期にあなたと話せてよかった。
手紙を渡せなかったのは、きっと、この時間の代わりだね。

「何度も何度も、助けてくれてありがとね」

ちゃんと、自分で言えた。そう思ったら、ホッとした。

586 :MIND−Angel’s :2009/03/09(月) 17:05

そういえば先生も、泣いてくれたことがあった。
それは、欠陥品って言ったうちを、みんなと同じように哀れんで?
・・・・違うよね。だって、先生、うちのことなんて見てなかった。
クールビューティーを体現したあなたが、子供のように小さくなって泣いたのは、
きっと、うちと同じ場所を見ていた。神様を、責めていた。
分かるよ、悲しいんだね。先生も、悲しいんだよね。
先生の涙だけは、辛くなかったよ。

今、空に、風に、涙を流す世界と一つに、
肉体は魂の器に過ぎない。壊れた体に別れを告げる。
誰にも言わなかった。恨み言だけは口にすまいと決めていた。
この手を広げ、降りしきる雨と共に空を舞う。

「・・・・・バイバイ」

あなたが辛そうに握っていたライターを持って、
あなたの代わりに届けよう。
神に願いを届けよう。


愛した人に、どうか救いを―――――アーメン



―――Would you mind if I die?
     If I die, would you forgive me?






                                  -END-
587 :名無飼育さん :2009/03/09(月) 17:05


588 :名無飼育さん :2009/03/10(火) 01:19
完結お疲れ様です。
素敵な作品をありがとうございました。
589 :名無飼育さん :2009/03/10(火) 01:40
ありがとうございました。

590 :名無飼育さん :2009/03/10(火) 03:52
本当にありがとうございました。

やじうめいしよしみき、最高でした。
591 :名無飼育さん :2009/03/10(火) 04:15
素晴らしい小説をどうもありがとうございました
次回作期待してます
592 :名無飼育さん :2009/03/11(水) 06:15
完結お疲れ様です。
この小説の世界観がとても好きでした。
素敵な小説をありがとうございました。
593 :名無飼育さん :2009/03/11(水) 22:20
だめだ、涙が止まらない。
救われて良かった。本当に救われたか救われるのかなんて分からないけど、良かった。

お疲れさまでした。ありがとう。
594 :名無し飼育 :2009/03/11(水) 23:51
泣いちゃいました!
完結お疲れ様です
最高の作品をありがとうございました
595 :名無飼育さん :2009/03/12(木) 00:02
>>594
sageくらい覚えようね
596 :名無飼育さん :2009/03/12(木) 20:10
一応落としておくね
597 :名無飼育さん :2009/03/12(木) 23:29

レスを下さった皆様、
こんな話にお付き合いいただいて
ありがとうございました。

いくつかお礼だけで成立しない感じのレス頂きましたので、
気になった分だけ、今さらながら返させていただきます。

>ベリキュー勉強中の方
申し訳ないのですが、ぶっちゃけ自分も詳しくないです。調べながら書きました。
結果、やじうめにハマりました。名作紹介してください。

>他に何書いてんだという件
こちらttp://m-seek.net/test/read.cgi/dream/1192600405/ですね。
あまりにも雰囲気が違うので黙秘させていただきました。
期待しない方がいいです。マジで別物です。涙どころか半笑いで読むようなもんです。

>実写、映画
こちらもいくつか頂きました。光栄です。恐れ多いです。
ですが、個人的には小説実写化なんて贅沢は申しません。
ただ休日にお二人が一緒に歩いてるだけの映像がニ時間見たいです。
しょうもない会話とかだけでいいです。どうにかなりませんかね?

>次回
この設定で続きのような別のお話書こうかなとは思ってますが、
いつになるかは未定です。

というわけで、ありがとうございました。
598 :名無し飼育さん :2009/03/13(金) 00:18
完結お疲れ様でした。
>>579の下2行と同じことを思っていたことがあるので
泣き疲れるくらい泣きながら読ませてもらいました。
無事に終わってよかったけど終わってしまって寂しいです。
この設定の続きのような別のお話を楽しみにしています。

それにしてもあの作品の作者さんだったとは・・・
そちらの作品もめちゃくちゃ楽しみにして読んでいましたYO!
599 :名無し飼育さん :2009/03/13(金) 01:21
すごい!あの作品の作者様だったとは!
衝撃です。好きです。付き合って下さい。
最後は悪質な嘘ですけれど、本当に尊敬します。
「ただ休日にお二人が一緒に歩いてるだけの映像がニ時間見たいです。」

おっと俺の脳内を覗くのはそこまでだ。
お疲れさまでした。次回作もまったり応援します。
600 :名無飼育さん :2009/03/14(土) 19:02
こんなに色の違う作品を書けるなんて凄いです。
なんて書いてプレッシャーになったらすみません。
次のお話も楽しみにしてます。
601 :名無飼育さん :2009/03/14(土) 20:32
作品を読んで脳内で石川と吉澤、それに藤本らが意思を持って鮮明に動く。
こういう感覚を覚えるのは過去に数作品経験があったけれど、圧倒的でした。
作者さんありがとう。
602 :名無飼育さん :2009/06/06(土) 14:02
また読み返して泣いちゃったよ
603 :名無飼育さん :2009/09/25(金) 22:36
今ごろですが、作品完読しました。コミカルからシリアス、息詰まるスリル…最後には切なく甘い余韻が残りました。硝子の少女たちと『かつての』少女たち。その対比が素晴らしかった。それぞれキャラ良かったけど、私はやっぱり『天才的』な吉澤先生、大好き!

604 :名無飼育さん :2013/11/15(金) 20:22
今更ながらにですが面白かったです

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