■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 最新50

Growing

1 :信長 :2003年07月31日(木)19時52分18秒
なちまりアンリアルです。
その他の娘。さんも多数登場予定。

基本はsage進行、更新時はageでお願い致します。
2 :信長 :2003年07月31日(木)19時58分34秒
―――――見ているだけで、満足している。

高校の寮から最寄の駅まで徒歩5分。そこから5分乗って、乗り換える。
その乗換駅のホームは、同じ制服の女の子だらけで。それらに軽く挨拶をしながら、
それでも視線は向かいのホームから逸らされる事はない。

「せんぱーい」

そんな少女は後ろから大柄な少女にのしっと乗りかかられて、
むぅーとした表情で振り仰いだ。

「よっすぃー………」
重いよ、あんた。

寮で同室の吉澤ひとみは、そんな事を言われて『ひどーい』と喚いた。そう言いながらも、腕は少女の事を抱きしめ続けていて。
「どうして吉澤を置いて、先いっちゃうんですかー?」
 酷いですよー、と訴える後輩に、先輩である矢口真里は深々と息を吐いた。

3 :信長 :2003年07月31日(木)19時59分55秒
「矢口は起こしてるよ」
 それを無視して、寝続けてるのはそっちの方。

「寝汚いよね、よっすぃーは」
「………へ?いぎたない?」
 意味がわからず首を傾げるひとみの頭をぺしっと叩くと、真里はびしりと告げた。

「あんたはちょっと勉強しなさい」
「部活で精一杯でーす」

 そう訴えながら、目の前を次々と通っていく同じ制服に向かって
『おはよー』とか『おはようございます!』とか色々忙しいヤツである。
4 :信長 :2003年07月31日(木)20時01分43秒
「それにしても」
 先輩、どうして電車通学なんですか?

「んーーー?」
 はぐらかすようにひとみの腕を外す真里に、ひとみは腕組みをしながら続ける。

「だって、寮の前のバス停から40分かかりますけれど、直通バス出てるのに」
 吉澤はー、そっちの方が楽だと思うんですよー。

 のんびりとした口調で告げるひとみに、真里は『うっさいなぁ』と呟く。そのまま前を向くと、向かいのホームには反対方向にある進学校の制服の群れで混雑していて。
5 :信長 :2003年07月31日(木)20時04分34秒
 それでも、判る。

 なんだか、その人の周りだけスポットライトが当たってる感じで輝いて見える。
 そこまで考えて、何だか自分がバカらしくなって、真里は頬を掻いた。

 その瞬間、視界を列車が遮る。

「そう思いませんか、矢口先輩?」
 何気なく、通り過ぎるそれを目で追いながら、ひとみは続けた。

「矢口はバス酔いするんだよ」

 そう答えると、唇を尖らせながら続けた。
「それに、なんか、閉じ込められてる感じがしてイヤなんだ」

 その答えに、ひとみは『へー』と感心した様に頷いて。
「なーんか、矢口先輩って………可愛いっすねぇ」

 へらへらとした笑いを浮かべた後輩の脇腹に、手刀を『てぃ!』とお見舞いすると、
のたうちまわる後輩を無視して真里は視線を三度、反対側のホームに向けた。。

6 :信長 :2003年07月31日(木)20時06分01秒
 さらさらとした少し茶色がかった髪。
少し俯き加減な視線は、いつも手元にある本に向いていて。その本は新書だったり文庫だったり色々である。
その本に向けられている瞳は、眼鏡の下に隠れている。

 だけども、その目がどれだけ綺麗なのか真里は知っている。

―――――偶然に、それを見てしまった日からずっと、恋に堕ちている。

7 :信長 :2003年07月31日(木)20時08分02秒
 先に電車が来るのは、向かいのホームの方。ほんの数分の逢瀬の時間は、それで終わり。

駅員のアナウンスにぱたんと本を閉じて、少女は立ち上がる。
そんな相手に、近くにいた知り合いなのだろう同じ制服を身に着けた少女達が声をかける。
その時に見せる笑みに、心臓がどくんと跳ね上がって。

「………ぐち、せんぱい?」
 低めの心地良い声が真里の耳に届く。それにようやっと我に返り、真里は隣にいる後輩を見上げた。

「あ………?」
「なんですかー、吉澤の話、聞いてなかったんですかー?」

 どこかふてくされたように唇を尖らせる後輩に、真里は気まずい感じの表情をする。

 この恋心は、自分の胸の内だけのモノであって。
誰にも言わないし、言う気もない。そう、決めているのだ。
8 :信長 :2003年07月31日(木)20時09分04秒
 真里は出来るだけ穏やかな笑みを作り、後輩の背を叩く。

「ごめんごめん、ちょっと考え事してたんだ」
 謝るからさ、許してよ。

素直にそう言われて、許さない訳にはいかない。
そう思ったのか、ひとみは尖らせた唇を戻し、普段どおりの笑みを浮かべた。

「仕方ないっすねー」
「調子に乗るな!」

へらへらと微笑う後輩の頭をジャンプしながら、叩く。そうしないと届かない事が、無性に悔しいが、
如何せん約20センチの身長差を埋めることは今は出来ない。

 そんないつもの朝の風景に、電車が到着するアナウンスが届く。
9 :信長 :2003年07月31日(木)20時13分27秒
「あー、そうだ、先輩」
「んー」

 朝の通勤・通学ラッシュの電車の中、もちろん座れるはずも無く、手すりに届かない真里は、
席の端の方にある棒に捕まりながら、ひとみを見上げた。

「あのですねー」
「………何だよ?」

 なにやらもじもじとしているひとみを、真里は胡乱げに見た。それに気付いたひとみは、がしがしと前髪をかき上げると、ちょっとだけ身を屈めて、誰にも聞こえない様な声で囁く。

「ウチ、あの人と付き合うことになりました」
「へぇ………………………って、マジで?」

 一瞬、話を流しかけた真里は、我に返り思わず突っ込む。それに、ひとみはへらへらと笑った。

「やー、ダメ元で告白したんですけども………オッケーもらっちゃいました」
 照れたように鼻の頭を掻くひとみに、真里はぱちぱちと拍手をした。
10 :信長 :2003年07月31日(木)20時14分47秒
 目の前の後輩は、他校の2つ上の先輩に一目惚れしていて。
その悩みや相談を受け止めていたのが、同室の真里なのであった。

「そっか〜〜〜、良かったねぇ、よっすぃー」
「はい」

 こっくりと深く頷くと、ひとみは真っ直ぐな視線のまま、徐に告げた。

「それで、ですね」
「ん?」
「その人が、一度、矢口先輩に逢いたいって言ってるんで………逢ってもらえますか?」
「………はぁ?」

 なんで、オイラがーーーーー?
『どっひゃー!』と喚いてしまった真里は、
周囲の咎める様な視線に思わず首を竦めたのだった。

11 :信長 :2003年07月31日(木)20時17分18秒
「お願いしますってば!」

すたすたと前を歩く真里に纏わり付く様に、ひとみは頼み込む。
しかし、それに聞く耳を持ってくれる訳が無く。

「矢口先輩〜〜〜〜」
 吉澤の一生のお願いです〜〜〜〜。

元々下がっている眉を更に下げて、ひとみは情けなさそうな声をあげる。
そこで、真里は深々と息を吐き、ぴたりと足を止めた。

「あのねぇー」
 だからって、何でオイラなんだよ?
「や………ほら、良く寮の事、話してて」
 そしたら、興味持ったみたいで。『一度、逢ってみたい』って言うんですよー。

すっかり年上の彼女に主導権を握られているらしい男前の後輩の顔を見上げると、
真里はきっぱりと『イ・ヤ』と告げた。

「ひっでーーーー!」
 酷いっすよ、矢口先輩!これでウチの恋路が上手く行かなかったらどうするつもりなんですか?

 ぎゃーぎゃーと喚き散らす声を尻目に、耳を大げさに塞ぐ仕草をしてみせて。

「………そんなんでダメになる恋路なんて、知らないね」
ふん、と鼻をひとつ鳴らすと、真里は校門へと足を向ける。
それに、ひとみは『待って下さい、矢口せんぱーい!』と声を張り上げながら追いかけて行くのだった。
12 :信長 :2003年07月31日(木)20時19分20秒
「ていうか………なんで、オイラはここにいるんだ」

普段、通学に使う最寄りの駅前にあるファミレスで、
チョコパフェを前にしながら真里は思わず呟いた。

「やっぱり、矢口先輩って優しいっすね」
体育会系の口調をしつつ、にこにこ顔のひとみは、
メニューを真里の前に差し出しながら続けた。

「どんどん好きなの選んで下さい。おごりますから!」
「………当たり前だろうが」
 必死に頼む姿にほだされたのと、後輩が一目ぼれをしたという『彼女』を見てみたいという好奇心も手伝って、
結局、折れてしまった真里なのである。

「あ、駅に着いたみたいです」
 震える携帯を手に取ると、ひとみは画面を見ながら告げる。
「ふーん」
 パフェをスプーンで突付きながら、真里は興味なさげに言葉を返して。

「友達も連れてくるみたいです。―――――気ぃ、遣ってくれたのかなぁ」
 でれでれとした表情で呟く後輩に『あー、もー勝手にしてくれ』と心で呟いた真里は、ふっと表通りに視線を向ける。
13 :信長 :2003年07月31日(木)20時21分18秒
「………あ」
 反射的に立ち上がってしまう。そのまま、エントランスに向かおうとする真里の手を、ひとみは掴んだ。

「ちょっと、矢口先輩、どうしちゃったんですか?」
 もう直ぐ来るんですよ?逢ってくれるんじゃなかったんですか?
「ごめん、ヤボ用」

だって、目の前を通っていくのだ。背の高いモデルのような少女と連れ立って歩いているあの彼女が。
声をかけるとかそうゆうのじゃなくって、身体が勝手に反応してしまう。

 しかし、ひとみはきっぱりと言葉を返した。
「ダメです!」
 それに、もう、来ちゃいましたし。

「………へ?」
真里が追いかけようとした二人組は、あろう事か、今まさに真里が向かおうとしているエントランスの扉を開いていて。
入り口できょろきょろと誰かを探しているらしい背の高い少女は、こちらに視線を向けると、真っ直ぐ向かってくる。
もちろん、『彼女』もその後ろを着いてきていて。
 一体………どういうこと?
今にも勢い込んで飛び出そうとしている真里と、その腕を掴んでいるひとみ。

モデル張りの少女は、ひとみに向かって柔らかく微笑むと、
「待った?吉澤」
 そう問いかけたのだった。
14 :信長 :2003年07月31日(木)20時23分36秒
「あ、飯田さん」
 思ったより、全然、早かったですね。

 ひとみの問いかけに、『飯田』と呼ばれた少女は軽く頷くと、
『メール送った時は、もう直ぐそこまで来てたし』と答えた。

「で、一体、何してるの?」
 小首を傾げながら、ひとみに問いかける。

「や、いきなり『用がある』って出て行こうとしてたんで、引き止めていたトコです」

そう告げてから真里に視線を向けると、
相手はどこか冷たい目でひとみを見返していて。

「何言ってるの?」
 そんなこと、ひとっことも言ってないよ、矢口は。

 『ハッ』とひとみをバカにしたように鼻で笑うと、とっとと元の位置に戻って。そんな先輩の態度に、ひとみは唖然とした。
しかし、直ぐに、机に手を付き立ち上がる。

「ひっでー、矢口先輩!ウチを騙したんですねーーー!」
「騙してなんか無いよ!ただ………」

 そこで、一旦言葉を切り、ちらりと不思議そうな表情をしている二人を見てから、
「用が、済んだだけ」
 ぽつりと答える。
15 :信長 :2003年07月31日(木)20時26分44秒
「………へ?」
 不意に大人しくなってしまった真里に気勢を削がれたひとみの肩を、恋人は軽く叩く。

「話は終わった?」
「あ………ああ、はい」
『すみません、立たせてしまって』と呟きながら、ひとみは席を真里の隣に移動して。
向かいのソファに、遅れてきた少女達が腰掛ける。

「えーと………なんていうか、ですね」
かりかりと頬を掻きながら、ひとみはどこか照れくさそうに
目の前に座るゴージャスな美人さんに視線を向けて。

「矢口先輩、この人が飯田圭織さんです。えーと、飯田さん、この人が」
「はじめまして、飯田です。話は良く、吉澤から」

ふんわりと木漏れ日の様に微笑む圭織に、真里は、
一瞬、目をぱちぱちとさせたが、直ぐに普段通りに『ニッ』と微笑んで。

「こちらこそ、よろしく。矢口って呼んで下さい」
そう言いながらも、真里の神経は圭織の隣に座る、小柄な少女に集中していて。
『気にしちゃダメ、気にしちゃダメ』と呪文の様に心で唱えながらも、
やっぱりそれは難しい事だった。
16 :信長 :2003年07月31日(木)20時28分12秒
「飯田さん、お隣の方がメールで言ってたお友達ですか?」
えらいぞ、よっすぃー!良くやった!寮に戻ったら、褒めて遣わす!

なんて、心でガッツポーズをしている真里を知ってか知らずか、
ひとみの問いかけに圭織は頷く。

「そうだよ。これから予備校だしさ、ちょっと付き合ってもらったんだー」
予備校ってことは………同学年じゃないのか?てっきり同じかと………
なんて、ぐるぐると考えている真里の横で、ひとみはのんびりと問いかける。

「飯田さんと同級生なんですか?」
 ひとみの問いかけに、小柄な少女は小さく頷いた。
「圭織とは、クラスも一緒なんだ。………良く、話聞かせて貰ったよ?吉澤さん」

どこか含むような笑みを浮かべる相手に、
圭織は『何か言いたげだねぇ、なっち』なんて肘で突付いて。

「まぁまぁ、それはともかく………あたしは、安倍なつみって言います」
初めて聞いた彼女の声は、思ったより低くって。
それでも、心地良く真里の胸に響いたのだった。
17 :信長 :2003年07月31日(木)20時30分01秒
「矢口と吉澤って寮で同室なんだってね」

いきなり、圭織が話題を変えてきて。それに、真里はこくりと頷く。
なつみと談笑していたひとみも、それに気付いたのか首を傾げた。

「普通、同学年同士じゃないの?珍しくない?」
「あー、うん。そう、かもしれないねぇ」
 紅茶を啜りながら、真里は続ける。

「でも、3年になると個室だし。後輩に、先輩から教えて貰ったことを伝えるって感じで………いわゆる伝統かなぁ?」
 勉強になるよ、いろいろと。よっすぃー、素直ないい子だしね。

 その言葉に、ひとみはにっこりと微笑んだ。
「ウチも、矢口先輩と同室でよかったって思いますよ?」
 ほら、ウマがあうとか合わないとかあるじゃないですか?

そういう部屋もあるらしい。一応、そのことも考慮して、
1ヶ月経ったぐらいに、微妙な部屋替えはあるのだった。

「仲良いんだねぇ」
 しみじみと呟く圭織に、ひとみは目をぱちぱちとさせた。それから、慌てて口を開く。
18 :Growing :2003年07月31日(木)20時32分04秒
「でも、そういうんじゃないですから!」
 ウチが、好きなのは!
「はーい、ストップー」
「ふが!」

口元を手で覆われ、ひとみは思わず変な声を出す。
恨みがましげな視線を口を押さえて下さった先輩に向けた。

「こんな公共の場面で『好きだ』とか大声で言うんじゃないの」
もうちょっと考えなさい、このバカたれが。

ひとみは言い返そうと真里の手を外したが、
目の前に座る恋人が『うんうん』と頷くモノだから。

「………やっぱ、迷惑ですかね?」
 恐る恐る問いかけてみる。
「う〜〜〜ん」
 ちょっと考えてから、圭織は罰悪そうに微笑んだ。
「そんなんじゃないけど………やっぱり………」
 恥ずかしい、かな?
「―――――判り、ました」

反省したように俯いた相手に、圭織は何かを言おうとする。
しかし、そんな時、なつみが不意に口を開いた。
19 :Growing :2003年07月31日(木)20時35分26秒
「圭織、そろそろ講義始まっちゃうよ?」
「え………?」
その言葉に、反射的に時計を見た圭織は、
何とも言えない不思議な表情でなつみを見つめた。だが、直ぐに小さく頷くと、
「そう、だね………」
 じゃあ、矢口、あたし、そろそろ。
「うん、気にしないでー」
 それから、ふと思い出したように、手帳に走り書きをすると圭織に手渡す。

「何?」
「オイラのケータイとメルアド。圭織の知らない吉澤情報流したげるから」
 そう言って軽くウィンクをすると、圭織は『うん』と頷いて。
「後で返事するから、待ってて」

『吉澤を無視してなんですかー!』と喚く後輩を無視して、二人は友情を成立させていたりして。
それに対抗してか、ひとみは同じ様にメモに何かを走り書きをして、あろうことかなつみにそれを差し出した。

「………どしたんだい?」
 いきなり水を向けられたなつみは、びっくりした表情でひとみを見つめる。
20 :Growing :2003年07月31日(木)20時36分38秒
「あたしにも飯田さん情報、教えて下さい!」

それに、なつみはくすっと微笑うと『じゃあ、あたしのも教えないとね』と呟いて、
さらさらと丸っこい字で同じようにペンを走らせた。

「ありがとうございます!」
 それを一度眺めてから、ひとみは手帳に丁寧に挟んだ。

―――――ううううう、羨ましい。
心で『きぃ!』となってしまった真里の事に気付いたのかいないのか、
ひとみは立ち上がり、圭織に声をかける。

「行きましょう、飯田さん」
「え?」
「予備校、授業始まるんでしょう?送りますよ、予備校まで」
 その申し出に、圭織はじぃっとひとみを見つめていて。

『………何をしてるんだろう?』と思って真里が見ていると、こっくりと頷いた。
どうやら、彼女には独特な『間』が存在するらしい。

「ありがとう」
 その言葉に、ひとみは満足げに微笑った。あんな表情、今まで見たこと無いと、真里は思う。
21 :Growing :2003年07月31日(木)20時37分38秒
「じゃあ、お先に失礼します。安倍さん、後でメールしますね?」
「うん、わかった」
 浮かれた様子の後輩に、真里は釘を刺すことも忘れない。

「門限までには帰ってくるんだぞー」
「はーい」
ひらひらと伝票を振りながら―――ここにいる全員分をおごってくれるらしい。リッチな奴だ―――
ひとみは、圭織と連れ立って、出て行ったのだった。


「………………」
「………………」

っていうか、何でいきなり二人っきりになっちゃうんだーーーーー?
と、ハタと真里が気付いたのは、これから数秒後の話である。

22 :Growing :2003年07月31日(木)20時39分53秒
ヤバイヤバイ、どうすりゃいいんだよぉ〜〜!

心でじたじたと暴れまわるけれども、それを態度に表すことなど出来ず。真里は、手元に合ったカップの中身を意味もなくスプーンでかき回した。

「………あの」
声をかけると、黒目がちな瞳が自分に向けられていて。
そんな至近距離で見つめられて、真里の心臓はどくん!と跳ね上がる。

「えと………その………」
「良く、駅のホームで見かけるよね?」
 不意に話題を振られて、真里は目をぱちぱちとさせる。
 今………この人、何て言いました?
『良く、駅のホームで見かけるよね』って………っつーことは。
「気付いて、たんですか?」
 その問いかけに、なつみは小さく頷いた。

「圭織から、吉澤さんの写真、見せて貰ってたから」
 その言葉に、真里の肩の力はがくーーっと抜ける。
 そっか………そう、だよな。『あの時』のこと、覚えてる訳なんてないか。
 一気に身体から力が抜けてしまった真里を見て、なつみは小首を傾げた。
23 :Growing :2003年07月31日(木)20時41分20秒
「どうかした?」
「や………何でもないっす。それより、よっすぃーの写真って?」

真里の問いかけに、今度はなつみが驚いた表情をした。
それから、少し考える素振りを見せて。

「これ、吉澤さんには内緒ね」
片目を閉じて、人差し指を口許に当てる。
そんな仕草が物凄く可愛くて、真里は思わずこくこくと頷いていた。

「圭織ね、吉澤さんに一目惚れだったの」
「………へぇー」
「矢口さん達の学校と、ウチの学校って文化交流盛んじゃない?部活とかでも良く練習試合やってるし」
 その繋がりで写真手に入れて、それ、見せてもらったんだ。

「そう、だったんですか」
腕組みをしつつ、真里はソファに背を預ける。
そんな真里を意味ありげな視線で見つめると、
「でも、ね」
 なつみは言葉を続けた。

「最初、駅の向かいのホームであなた達見た時、『ああ、圭織、勝ち目ないな』って思っちゃったの」
「………はぁ?」
思わず真里はぽかーんと口を開けた。バカみたいに見えるだろうけれども、
それ以外のリアクションが思い浮かばなかった。
24 :Growing :2003年07月31日(木)20時43分51秒
「だって、凄く仲が良くて」
 見てるこっちも楽しくなってしまう感じ。
大型犬と小型犬がきゃっきゃっとじゃれあってる様は、見ているだけで柔らかい気持ちになってしまう。
「結構ね、ウチの学校でも人気あるんだよ、矢口さんと吉澤さんのコンビ」
「………………はぁ」
 何とも言えない表情で、返事をするしか術がない。

「あ………気ぃ悪くした?」
真里の反応を勘違いしたらしいなつみは、小首を傾げて顔を覗き込んだ。
それには、ふるふると首を横に振って。
「や、ちょっとびっくりしただけです。そっか………そんな風に見られてるのか………」
 ぶつぶつと呟く真里に、なつみは慌てて続ける。
「でもでも気にすること無いからね?」
「あー、はい」
 気のなさそうに答えてから、真里はハタと気付く。
25 :Growing :2003年07月31日(木)20時44分22秒
「っつーか、オイラ、よっすぃーとそんなんじゃないですから!」
『圭織に勝ち目がない』と思った、ということは………即ち『よっすぃーと矢口が付き合っている』
って勘違いしてたってことだよ!と、言うことに。

それは困る。非常に困る。困るったら困る。

両手をぶんぶん振りながら、真里は懸命に訴えた。
それに、なつみは『うんうん』と頷く。

「うん、ごめんね」
だから、今日、会えてよかった。

そう呟いて微笑むなつみの表情は、真里をメロメロにするのに十分すぎるぐらい魅力的だった。
26 :Growing :2003年07月31日(木)20時47分59秒
「まだ、時間大丈夫ですか?」
 のんびりとした口調でひとみが問いかける。それに圭織は小さく頷いた。
予備校近くの小さな公園。時々、近道として通り抜けをする人が通るぐらいで。
「うん、大丈夫」
その言葉にへにゃっと微笑うと、ひとみは圭織の手をきゅっと握り締める。思わず、圭織は身体をびくんと強張らせた。
それを勘違いしたのか、ひとみは『すみません』と呟き手を離す。

「ちが………」
「あたし、結構考えなしなんで」
 飯田さんがイヤだって思うこと、しちゃうかもしれませんけども。
「吉澤、違う」
 ひとみの袖口を圭織は引っ張った。ひとみは足を止め、きょとんと小首を傾げる。
27 :Growing :2003年07月31日(木)20時48分29秒
「イヤなんかじゃ、ない」
「飯田、さん」
「ただ………急でびっくりしただけ」
 それだけ、だから。
ぼそぼそとぶっきら棒な感じで告げる圭織に、ひとみは目を数度瞬かせてから、そぉっと目を細めた。

「………かわいー」
 飯田さん、物凄く可愛い事言ってるの、自分で気付いてます?
「え?」
 そのまま、ぎゅっと抱き寄せられる。
「吉澤?」
周囲の目を気にしないその行動に、圭織は少しだけうろたえる。
だけども、その腕の中はどうしようもないぐらい心地よくって。
「もぉ、大好きです」
微かな声でそう告げてから、その綺麗な長い髪に口付ける。
それから、そぉっとその身体を手放した。
28 :Growing :2003年07月31日(木)20時51分42秒
「これぐらい、許してくださいね?」
 ぺろりと舌を出してひとみは言った。その子供の様な仕草に、圭織の胸がドキリと鳴った。
 ああ、こういう仕草も凄く似合うなぁ。
 そう考えながら、じぃっと自分を見つめて来る視線に、ひとみはがしがしと髪をかきあげて。
29 :Growing :2003年07月31日(木)20時52分37秒
「えーと………」
 きょろきょろと辺りを見回して誰もいないことを確認すると、その頬にちゅっと唇を当てた。
「!!」
 目を見開いて驚いた表情をする圭織に、ひとみはへらっと微笑った。
「飯田さん、すっげーかわいー」
 先程から何度も言われる言葉。くすぐったいような感覚が心を撫でてゆく。
 だって、今までそんな風に言ってくれる人なんていなかったから。
「―――――ありがとう」
「お礼言われる事なんて、してないっすよ?」
「でも、なんかそれしか思い浮かばない感じ」
 ぽつんと落とすように答える言葉に、ひとみは圭織の心が少しだけ覗き見えた様な気がした。
 無意識に、ひとみは圭織の頬を手のひらで触れた。その行動に、圭織は小首を傾げる。
「吉澤?」
「何でもないっす」
 それでも、手を離すことは出来なかった。
ずっとずっと触れていれば、彼女の『寂しさ』が溶かせるようなそんな気がしてた。
30 :Growing :2003年07月31日(木)20時53分47秒
「あー、いいお湯でしたー」
 首にかけたタオルでがしがしと頭を拭きながら、ひとみは自室の扉を開ける。
そこには『むぅ〜〜〜』っとした表情の小さな先輩が目に入って。

「矢口、先輩?」
 恐る恐る問いかけた後輩に、机に置いた携帯を睨み付けたまま、『ああ?』と声を出した。
「あんだよ、よっすぃー?」
「や………だって、携帯とにらめっこしてるから」
 その言葉が引き金になったのか、真里は『うがーーー!』と叫んで立ち上がる。

「よしざわ〜〜〜〜〜」
 携帯、貸しやがれ〜〜〜〜〜!
「ちょ………ちょっと待ってくださいよ〜〜〜」
 いきなり何、言うんですか〜〜〜?

携帯を頭上に持ち上げると、ひとみはベッドの上に飛び乗った。
それを追い掛ける様に、真里もベッドに足をかける。
31 :Growing :2003年07月31日(木)20時55分31秒
「矢口先輩ってば〜〜〜!」
「いいから、黙って寄こせ!」

あの後、結局、あれ以上会話が弾むことも無く。
『時間だから』『あ、はい』なんて味気ない会話で別れてしまった。
ちっくしょ〜〜〜、どうして、もっとスマートに連絡先とか聞き出せなかったんだろう?
ああ、それより、自分の携帯とかメルアドとか教えられなかったんだろう?

後悔してもし足りない。だから、こうして、後輩に迫ってるのであって。
解ってる、これが八つ当たりだってこと。
でも、そうでもしないとひょんなことで繋がった、彼女との糸が、切れそうで怖かった。
32 :Growing :2003年07月31日(木)20時57分48秒
腕を一杯に伸ばしたひとみにぴょんぴょん飛び跳ねる。届くわけがないのに。

「あぶっ、危ないですってば、そんな跳ねたら」
「おわっ!」

案の定、言ってる傍からバランスを崩した真里の身体を抱き寄せて。
しかし、格好良く決まるわけもなく。

 バッタ〜〜〜〜ン!
 そのまま、床へと転がり落ちた2人なのであった。
33 :Growing :2003年07月31日(木)20時58分46秒
「あいたたたた………」
「ひどいっす、矢口先輩」

真里の下から、恨めしげな声が届く。
ハッとして顔を下に向けると、そこにはしかめっつらをした後輩が睨み付けていて。

「あら、よっすぃー、折角の男前が、だ・い・な・し」
「可愛こぶってもダメっす」
 っつーか、とっとと退けてください。

 にべもなく告げるひとみの頭を、べしっと叩くと、
「そーれーがー先輩に対する態度かい?」
 頬を引っ張りながら声をかける。

「いひゃいっすー!」
足をばたばたさせるけれども、
マウントポジションを取ってしまった真里に敵う訳が無く。

「や〜〜〜、何か、よっすぃー見下ろすのって新鮮だねぇ」
「謝りまふから、どいてくだひゃーい」
「ん〜〜〜、どうしよっかなぁ〜?」

 と、楽しげに呟く真里の耳に、
勢いよく扉が開く音と、『矢口、五月蠅い!』という声が届いた。
34 :Growing :2003年07月31日(木)21時00分53秒
扉を開けてきた相手が目にしたのは、
ちっちゃな同級生が大柄な後輩の上で馬乗りになっている光景で。

眼鏡の奥のきつく見える目をぱちぱちとさせると、小首を傾げながら問いかけた。

「………お邪魔だった?」

その言葉に、ひとみはぶんぶんぶんと力一杯首を横に振る。
それから懸命に訴えた。

「たすけてくださーい」
 矢口先輩がウチのこといじめるんですー!
「何だよ、コイツ!人聞きわりーなぁ」
 そう告げると、真里はひとみの頭をパコッと殴る。
「だから、痛いっすー」
 そんな時、扉の所で立っている少女の肩に不意に重みが圧し掛かってくる。

「あ〜〜〜、やぐっつぁんがよしこ襲ってる〜〜〜〜!」

 その声に真里は、『げっ!』という表情になる。
35 :Growing :2003年07月31日(木)21時03分12秒
「ちょ………ちょっと後藤!人聞きが悪い事言わないでよね!」
やっとひとみから離れると、真里は『ぎゃわん!』と吼えた。
それに『後藤』と呼ばれた少女は、先輩を背中から抱きしめながら、へらへらと笑って明るく問いかける。

「だってさぁ、今のどうみてもそうだよねぇ、圭ちゃん」
「ん〜〜〜〜」
『圭ちゃん』と呼ばれた少女は、後輩の行動に頓着する素振りもなく軽く肩を竦めて。
倒れたままのひとみに手を差し伸べる。

「………助かったぁ」
 その手を借りて起き上がったひとみは、やれやれと息をつき、先輩にぺこりと一礼をした。

「で?一体、何でこうなったの?」
 真里の同級生である保田圭は腕組みをしながら、不思議そうに問いかける。
「や………別に………そんな、深い意味は」
「酷いんですよぉー、矢口先輩ってば、ウチの携帯取り上げようとしたんですよ!」

 ここぞとばかりに圭に訴えるひとみを、真里は
『余計な事は言うなっちゅーの!』とばかりにぎろりと睨み付ける。
36 :Growing :2003年07月31日(木)21時04分52秒
「………へぇ」
 何でまた、そんなけったいなことを?
「う………まぁ、色々と………あってさ」
 思わず口篭る真里に、圭は軽く息をつくと、『ま、いいけどね』なんて話を終わりにしてくれて。

「とりあえず、静かにしてよね、うるさいったらありゃしない」
「ちがうよー、圭ちゃん、凄い心配してたもん。『何かあったんじゃないか?』って」
ひとみの同級生である後藤真希は、黙っていればクールと見える表情を崩して微笑う。

それに、圭は唇を尖らせて、
「言うなってば!ったく」
なんて反論をする。

実はこの二人は、真里の部屋の隣で同室であり、
また真里の中学時代からの友人でもあった。

「へへ、圭ちゃん、だいしゅきー」
 この真面目で心配性な同級生の照れぶりに、真里は思わず圭に抱きつく。それには『うっさいなぁ、もぉ!』
と振りほどく態度をするけれども、本気ではない事は一目瞭然である。

「あー、やぐっつぁん、ずるいー」
後藤だって、圭ちゃん大好きだもんねー、と言うなり、突進してきた真希を受け止めきれずに、
先程のひとみの様に情けなく床に寝転がった圭の姿があったのだった。
37 :Growing :2003年07月31日(木)21時06分09秒
「………何、緊張してるんですか?」
 翌朝、いつも通りの電車に乗ろうとしていた真里に、ひとみはのんびりと声をかける。
「べべべべ、別に?」
 オイラ、緊張なんてしてないよ。
がちがちに強張った笑顔に、ひとみは目をぱちぱちとさせて。
それから、同じ様にぎこちなく笑みを返した。そのまま、所在なさげにきょろきょろt辺りを見回す。次の瞬間、ぱっと表情を輝かせた。

「あ、安倍さんだ」
 ほらほら、矢口先輩。ねぇってば。

そう言いながら、小さい先輩の肩を軽く揺さぶる。あまりの反応の無さに視線を下に向けると、
先程よりも更に硬直している真里と目があった。

「―――――あの………」
 矢口先輩………ウチ、なんか変なことを………。

 不安げなひとみを横目に、真里は両手で気合を入れるように頬を叩く。
それから、心で『うし!』と気合を入れて。視線を向かいのホームに向けると、
言われた通り、なつみがそこにいた。
38 :Growing :2003年07月31日(木)21時07分58秒
昨日まで見る事が出来なかった柔らかい微笑みが自分達に向けられていて。
それに、『ほぇー』となってしまう自分がいた。

ひらひらと手を振ってくるなつみに、真里は目をぱちぱちとさせる。
それに答えようと右手を上げかけた真里の隣で、ひとみが大きく両手を振った。

「おはよーございまーす」
 元気良く挨拶をするひとみに、なつみは驚いた様に身を引いたが、直ぐに笑みを浮かべて小さく頷く。

 ちくしょー、よっすぃーばっか目立ちやがってー。
だけども、いざ、なつみを目の前にすると身体が硬直したように動かなくなる。そんな自分が、どうしようもなく情けなく思えて。

真里は所在無さげにホームにある時計に目を向けた。
あと2分程でなつみの乗る電車が来る。―――――迷うのは一瞬だった。

「よっすぃー、これ、ちょっと持ってて」
「え………え?あれ、先輩?」
 荷物を押し付けられたひとみが真里を振り返った時、制服を翻して連絡通路に繋がる階段を駆け上っている真里の背が見えた。
39 :Growing :2003年07月31日(木)21時09分21秒
「安倍さん!」
 自分の学校の制服の中に混じる他の学校の制服の少女が目の前に立つ。茶色の髪を揺らし、息を切らせながら。
 その理由が判らなくて、なつみはちょっとだけ小首を傾げた。そんな相手に、真里は大きく深呼吸すると告げた。

「―――――あの!」
 昨日、言えなかったんですけれども。
「はい?」
 ああ、そんな小首傾げてこっちを見つめないで欲しい。

走ったせいか、それともなつみの前に立っているせいか、
高まる鼓動を懸命に押さえつけながら、真里は口を開く。

「あたしと、友達になってくれませんか?」
 ………………………。

微妙な間があった。きょとんとしているなつみが口を開こうとしたその瞬間、
後ろをなつみが乗る電車が到着してしまう。

あああ〜〜〜〜、タイミング、悪すぎるぅ〜〜〜。

思わず座り込みたくなる勢いの真里の横を通り過ぎて、なつみは車両に乗り込む。
奥まで行かず、扉の所で立ち止まり真里に向き直った。
40 :Growing :2003年07月31日(木)21時10分28秒
「もう、友達だって思ってたんだけど?」
「………え?」
 思わずなつみを見つめてしまう真里に、なつみは柔らかい笑みを浮かべたままで続けた。
「矢口さんは、違う?」
 ふるふるふると首を横に振る真里に、なつみは右手を差し出した。

「あの………」
右手をなつみの手を見比べながら、真里は戸惑う様に口を開く。
それににっこりと微笑みながら、なつみは答えた。 

「握手」
「………あ………はい」
 
きゅっと握り締めた手は、ひんやりと冷たかったけれども、物凄く柔らかかった。
41 :Growing :2003年07月31日(木)21時12分07秒
「いきなりあっち行くから、びっくりしちゃいましたよー」

自分達の乗る電車にぎりぎり間に合った真里に、ひとみは言う。
それに、未だぼーっとしている真里は『うんうん』と頷いて。

「もー、聴いてますか、矢口先輩?」
「あー、うん」

見ているだけで良かったと思っていた相手が、目の前で微笑んでくれたのだ。
それで、浮かれない訳がない。

見ているだけじゃ、物足りない。
ゆっくりでもいいから、君に近付きたい。そう、願う。

真里はなつみに触れた手を確認するかのように、きゅっと握り締めるのだった。

42 :Growing :2003年07月31日(木)21時12分57秒
今回はここでおしまいです。
まだまだ序章………。
43 :名無しさん :2003年07月31日(木)22時17分21秒
なちまりサイコ〜
44 :名無し読者 :2003年07月31日(木)23時46分39秒
なんだか面白そう^^
これからさらにどんなメンバーが出てきて、どんな風に話が向かっていくのか楽しみです。
頑張って下さい〜
45 :∬´◇`∬<ダメダモン… :∬´◇`∬<ダメダモン…
∬´◇`∬<ダメダモン…
46 :信長 :2003年08月01日(金)08時14分00秒
>43
サイコ〜ですか(笑)。読んで頂いて、そう思って下されば
嬉しいです。

>44
ありがとうございます(笑)。
書いてる本人、正直どのような話になるのかは判りません。
生暖かく見守ってください

>45
………
>1〜>6のメール欄を読んで下さい。
お願いします。
47 :読んでる人@ヤグヲタ :2003年08月01日(金)15時15分40秒
強烈に素晴らしいなちまりを発見した予感・・・。
続きも期待してます!!
48 :くり :2003年08月02日(土)10時12分49秒
更新おつかれさまです!
最近『なちまり』減ってきていたので
すごくうれしいです!
それに、ほかの小説ではみれないような
矢口さんもみれてかなりいいっス!
次の更新もがんばってください!
49 :赤鼻の家政婦 :2003年08月05日(火)23時32分15秒
>>45
削除依頼してください。


作者さんの文、本当に好きです。
生温く(殴)、更新、楽しみにしてます。
50 :名無しさん :2003年08月10日(日)02時45分16秒
おおっ、赤鼻さん発見。。。
51 :信長 :2003年08月10日(日)17時44分02秒
「おはよー、矢口」

 普段通りに駅のホームで電車を待っていた矢口真里は、聞き覚えのある声に振り返った。
 そこには同級生で親友の保田圭が立っていて。

「あれー、圭ちゃん、電車なんてめずらしー」

 真里の言葉に、圭は『そぉ?』と呟きながら真里の隣へと歩みを進めてきた。

「矢口こそ、いっつもこの時間なの?」
 結構、早いじゃない。八時前に学校に着いちゃうよ?

「………いいじゃんよー」
 そんなん矢口の自由じゃんか。

 わざとふて腐れた口調で答える真里の事を、ちゃんと知っている圭はひょいと肩を竦めた。
52 :Growing :2003年08月10日(日)17時44分46秒
「はいはい、そうでしたねー」
 あたしには関係ないことでした。

 そう返す圭に、真里はぐっと言葉に詰まると、

「そーゆー意味で言ったんじゃないよ………」

 ぽそりと続ける。そんな親友の頭を圭はくしゃりと撫でて、

「ごめんごめん、あたしもちょっと言い過ぎたわ」

 ちゃんと謝った。

「………いや、こっちこそ、ごめん」

 圭の目を真っ直ぐに見つめながら、真里も謝る。それから、ハッと我に返って。

「って、何で、矢口達、朝からこんな事しなきゃなんないんだよー」

 いつもの口調で訴える真里の頭を、がっしとロックすると、

「素直じゃない矢口さんのせいですー」

 どこか楽しんでいる口調で、圭は答えたのだった。

53 :Growing :2003年08月10日(日)17時45分32秒

「く………苦しい」

 ギブギブ、と腕をぱしぱしと叩いてくる小さい親友の頭を離すと、
 恨みがましい視線が圭に向けられる。

「―――――ったく、もぉ」
 髪、乱れちゃったじゃんかよぅ、と毛繕いをするように両手で髪を整える真里は、どこか小動物の様で。

「まぁまぁ、それより今日は吉澤は一緒じゃないの?」

 その言葉に、真里は小さく頷く。

「練習試合が近いからって。先の電車に乗ってった」
 そーゆー時だけは、早起き出来るんだから。ほんと、バレー馬鹿だよねぇ。

 言葉は悪いけれども、口調は優しい。それを知っているからこそ、
 あの大柄な後輩はこの小さな同級生に懐いているのだ。

「まぁ、吉澤はバレー推薦で来たからねぇ」
 バレー馬鹿っていうのは、あながち間違ってないよ、うん。
 
 真面目な顔でうんうんと頷く圭を見て、今度は真里が問うた。
54 :Growing :2003年08月10日(日)17時46分28秒
「それよりごっつぁんは?」

「さぁ………まだ寝てるかもね」
 何で、あたしが起こさなきゃならない訳?

 真顔でそう問い返されて、真里はうっと言葉に詰まる。

「や………ほら、同室だし、先輩だし………」

「矢口だって知ってるでしょ?」
 中学の時から、あいつが遅刻魔って事ぐらい。出席日数足りなくて、ぴーぴー泣いてたのだってさ。

「あー、まぁ、そうだけども」
 ある意味、問題児って言えば問題児だけれども。それを補って有り余る魅力を、その後輩は持っているのだ。

「だからこそ、寮監は圭ちゃんと一緒の部屋にしたんじゃないの?」
 何てったって、生徒会長だもんねー。

 きゃはは、と微笑う真里に圭はやれやれと息をつく。

「いい迷惑だよ、ほんと」

 そう言いながらも、目は優しい。彼女の不器用なまでの優しさと気遣いを、真里達はちゃんと知っている。
55 :Growing :2003年08月10日(日)17時47分27秒
 圭と話していながらも、意識はやっぱり向かいのホームに向かっている自分に、真里は心で苦笑する。

 そして、その姿が視界の隅に入った瞬間、心がそっちに持っていかれるのだった。

「………矢口?」

 勘の良い圭のこと、ばれてしまうかもしれないとも思ったけれども、それでも気持ちは止められなくって。

 視線が合う。隣にいるのがいつもの後輩じゃないことに、一瞬、不思議そうな表情をしたけれども、
 直ぐにあの天使の様な微笑みを向けられて。

『お・は・よ・う』と口が動くのが判った。それに、真里も同じように返す。

 それ以上、言葉を交わす事はない。あっちはにこにこと微笑んで、こっちはもじもじとしているだけで。

 そうこうしているうちに、電車が来て。それで終わってしまうのだ。
56 :Growing :2003年08月10日(日)17時48分18秒
「………ふーん」
 
 名残惜しそうに出て行った電車を見送っている真里に、圭の呟きが届いた。

「………なんだよぅ」

 言いたいことあったら、言えよ!

 照れ隠しに喧嘩を売る感じで睨み付けてくる真里に、圭は何とも言えない表情をしていて。

「まぁ………人の恋路に口出しはしませんけどね」

 なっちに惚れるとは、なかなか面食いだったんだね、矢口。

「―――――え?」

 いきなりの言葉に、真里はぴきん!と身動きが取れなくなってしまったのだった。
57 :Growing :2003年08月10日(日)17時49分25秒

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
58 :信長 :2003年08月10日(日)18時00分32秒
>>45
あ………あんまり期待されても。
程ほどに生温くお願い致します(笑)。
でも、今回、ほとんどなちまりありませんが………大丈夫でしょうか?

>>48
ありがとうございます、その言葉で頑張れます(笑)
でも、今回からはこのペースで行かせて下さい。
の………のんびりと、お待ち頂ければと思ってます

>>49

あらー、家政婦さんでしたかー(苦笑)。
ぜんっぜん気にしてませんよ<大嘘

家政婦さんトコ、実はひっそりこっそり覗かせて頂いてます。
今度、ご挨拶行きます………。
59 :赤鼻の家政婦 :2003年08月10日(日)22時27分43秒
私のレスの仕方が悪かったみたいです(^^;)

>>45は私じゃないです。
で、>>49は、作者さんに向けたのではなく、>>45を投稿された方に対しての依頼です。
紛らわしいレスしちゃって、ゴメンナサイm(_ _)m

>家政婦さんトコ、実はひっそりこっそり覗かせて頂いてます。
>今度、ご挨拶行きます………。

更新、止まっててすいません………<逃走。
60 :LOVE :2003年08月11日(月)13時02分13秒
なちまりマンセー!!!
続きに期待してます!!

なんか、ここの矢口さん・・・めっちゃ可愛い・・・(笑
61 :タケ :2003年08月12日(火)11時55分22秒
勢いで全部見てしまいました。
これからも読んでいきたいと思います
ってことで続きを期待してます。
62 :Growing :2003年08月23日(土)22時42分34秒
「なんだよ、なんだよ!」
 昼休み、食堂へと向かいながら真里はぶつぶつと呟いている。

 結局、あの後、『どういうことだよ?』と圭を問い詰めても、思った通り、飄々とはぐらかされて。

「あー、もぉ。訳わかんない」
 しかも、圭ちゃん、彼女の事『なっち』って呼んだ。オイラなんて『安倍さん』って呼ぶのが精一杯なのに。

 さらさらの茶色の髪をがしがしとかきあげると、小さく息をつく。

「バカみたい、ほんと」
 ぽつんと落とすように呟くと、込み合い始めた学食の中へと足を踏み入れるのだった。
63 :Gro :2003年08月23日(土)22時44分23秒
「あ〜〜〜、矢口せんぱーい」
 足を踏み入れると、恐ろしいまでに器を載せているトレイを持っているひとみと鉢合わせる。

「お、よっすぃー」
 相変わらずいい食欲してるねぇ。
 
 感心したように声をかける真里に、『育ち盛りですから』と満面の笑みでひとみは答える。それから、首を傾げて言葉を続けた。

「一人ですか?」

「あー、うん。今日、みんな忙しいらしくってさ」
 コンビニ行くのもめんどいし、だったら学食でいいかなって。

「一緒にどうです?ごっちんもいますけど」

 一人で食べるのは慣れているとはいえ、やっぱり淋しい。だから、真里はその申し出に甘んじて受けた。

「じゃあ、お言葉に甘えて」
「はい!じゃあ、あっちに席とってるんで、来て下さい」

 にっこりと微笑むと、ひとみはぺこりと頭を下げて、その場を去ったのだった。
64 : :2003年08月23日(土)22時46分32秒
「あー、やぐっつぁんだー」
 真希がのんびりした口調で、手をひらひらと振る。

「なんだよ、悪かったな」
 トレイを持っているので、肘で真希の頭を押すと、『いったーい』とふざけた口調が返ってきた。
 それにけらけらと笑い返しながら、真希のトレイに目をやる。

「ごっつぁんも、相変わらず食欲旺盛だね」

 ランチセットに付け足して、麺類の器が乗っている。運動しているひとみはともかく、何もしていない真希がそれだけ食べられるのは正直、感心に値する。

「えー、これでも抑えた方だけどなぁ」
 よしこなんて、2時間目の終わりに、早弁してるのに、これだよ?

 親友のチクリに、ひとみはむぅっと膨れる。

「朝、6時過ぎに朝ご飯なんだよ?朝練したら、カロリーも消費するっつーの」
「はいはい」
 
そんな会話を交わしながらも、手は休むことなく食事を摂っていて。ある意味、凄い二人である。
65 :Growing :2003年08月23日(土)22時48分05秒
「そうだ、矢口先輩」
「んー?」

 ご飯をまくまくと食べていた真里は、ひとみの声にチラッと視線を上げる。

「あのですね、今度の週末って、学院との対抗戦じゃないですか」
「ああ、そうだねぇ」

 真里達が通っているのは、私立桜学園。近所である私立乙女学院とは文武ともに交流が盛んで、春は体育会系での対抗戦、秋には文化祭等で
お互いに助け合ったりしているのだ。

「それで忙しいんでしょ?よっすぃーは」
「ええ。だから、そのかわいーい、同室の後輩のお願い、聴いてくれます?」
「………聴くだけな」
「ひっでー!」

 よよよ、と泣き崩れる後輩の足を、テーブルの下で蹴り飛ばすと、本気でひとみはテーブルの上に突っ伏して痛がっている。
66 :Growing :2003年08月23日(土)22時50分07秒
「で、何よ?」
「先輩、バレー部の応援団に入ってくれません?」
「えーーー」

 ヤダ。絶対ヤダ。そんな目立つこと。

 きっぱりと答える真里に、ひとみは眉を下げて、しゅーんとした表情になる。

「あー、やぐっつぁん、よしこ、泣かしたー」
「や、泣いてないし」
 あっさりと答えるひとみに、真希は『あれー?』と呟く。

「―――――しかも、学ランじゃん。応援団って」
 ダボダボで、笑いものだよ、そんなん着たら。

「や、可愛いと思うんですけど………ってぇー!」

 再び、向こう脛を蹴られて、今度も本気で痛がるひとみ。

「とにかく、お断り」
 そうきっぱりと答える真里に、ひとみは情けない表情をしながらも頷く。
「―――――はい」

 あー、先輩に怒られちゃうなぁ。
 そう呟きながら、ひとみは天井を見上げるのだった。

67 :Growing :2003年08月23日(土)22時51分21秒


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
68 :信長 :2003年08月23日(土)22時59分46秒
>>59
こちらこそ、すみません(苦笑)
お互いにのんびりまったり行きましょう。

>>60
なんか、モジモジしてる様が目に浮かびます(苦笑)<矢口さん
可愛いといってもらえて光栄です!

>>61
えーとえーと、のんびりまったりと進んで行きますので、
同じ様についてこられると嬉しいです(^ ^)


タイトル、チョコチョコ間違えてるんですが
気にせずに………(苦笑)
69 :名無しさん :2003年08月24日(日)13時58分40秒
いい!
なちまり&よしめし最高。
70 :Growing :2003/09/20(土) 21:57
「なんて言われようと、矢口はしないからね」
 言い出したらそれを貫き通す強さを持つ真里の性格を良く知っている同室の後輩は、諦めたように頷いた。その隣でまくまくとご飯を食べていた真希に、真里は視線を向ける。

「ごっつぁんに頼めばいいじゃん。これでも人気あるんだし」
「ああ、それも手ですねぇ」
「んぁ?」
 いきなり話を振られて、真希は顔を上げる。そして、真里とひとみを見比べると、ほわんと微笑んだ。

「ごとーは無理」
「何でよ?」
「何で?」
 ウチを助けると思ってさぁー、お願い!学ランがイヤなら、なんとかするから。

 自由応援という制度のせいで、人気のある部とない部の応援人数の差が激しいのだ。だからこそ、人気のある生徒を応援団として迎え入れる事により、観客動員を増やすという手が使われているのだった。
 過度に期待されるのはプレッシャーになるけれども、やっぱり応援という名の後押しは必要なのだ。
71 :Growing :2003/09/20(土) 21:59
 両手を合わせて拝むひとみに、真希は困ったように長い髪をくるくると指で弄びながら続けた。

「別に学ランとか着るのは平気なんだけどさ」
 生徒会の手伝いしろって言われてるんだ、圭ちゃんに。

「………え、何で?」
 ごっつぁん、別に何もしてないじゃんかよ。

 真里の言葉に、真希はへらっと笑って答える。

「『こーゆー時に先生方にアピールしておかないと、あんた、内申下がっちゃうんだからね!』って」
「ああ、そういうことね」
 なんだかんだいって、圭ちゃん、優しいもんね。

 目を細めて呟いた真里の言葉に、真希は大きく『うん!』と頷いた。そして続ける。

「だから、ごとー、よしこの頼みきけないんだ、ごめんね」
「それだったらしょうがないや」

 ひとみも微苦笑しながら肩を竦める。そのまま、頬杖をつくと誰ともなしに呟いた。

「折角、飯田さんも応援に来てくれるって言ってたのになぁ」
 ごっちんも先輩もいないんじゃ、ちょっと張り合いないかも。

 その言葉に、真里の肩がぴくっと動く。
72 :Growing :2003/09/20(土) 22:00
「ちょっと、よっすぃー」
「あい?」
「今、なんて言った?」
「や………ごっちんも先輩もいないんじゃ張り合いないかもって」
「違う、その前」
「ええと………『飯田さんも応援に来るのに』って」

 余りの真里の勢いに、ひとみは大きく目を開いて、続けた。

「それを先に言えっつーの!」

 圭織がくるってことは、『彼女』も一緒に来るって確率が高い。そういうことに興味がなく受験モードの3年生は、応援に来ない事の方が多いのだ。

「よし、よっすぃー、その話乗った!」

 びしぃ!と親指を立てながら、真里は告げた。いきなりの言葉に、ひとみも真希も呆然としていて。

「ふぇ?」
「応援団だよ!学ランでも何でも着ちゃる!」

 あの人ともうちょっとお近付きになりたいと、心のそこから願っている真里にとって、ある意味『渡りに船』なのだった。
 例えそれが下らない話題だとしても、少しでも興味を持って貰えれば、真里はそれだけで嬉しくなる。

「ホントっすか?」
「ホントっすよ!」
 立ち上がってがっしりと握手を交わす凸凹コンビの横で、真希はのんびりとお茶を啜っているのだった。
73 :信長 :2003/09/20(土) 22:03
み………短くて申し訳ないっす<平謝り
しかし、アホアホ師弟だなぁ………(苦笑)


>>69
よしめしはともかくなちまりはまだまだ絡む気配すらございません。
それでもそう言って頂けると嬉しいです。
ありがとうございます

74 :名無し読者 :2003/09/22(月) 01:02
更新うれしいです。
先が楽しみ。
75 :名無し読者 :2003/09/25(木) 15:37
ほんのりやすごまにも萌え…
続き楽しみに待ってます
76 :名無し読者 :2003/10/13(月) 11:09
保全
77 :名無し読者 :2003/10/16(木) 22:18
そろそろ一ヶ月だよ、作者
78 :Growing :2003/10/17(金) 20:00


         ■■■■■
79 :Growing :2003/10/17(金) 20:01
「一体、どーゆー風の吹き回し?」
 目の前で夕飯を食しながら、圭が不思議そうに問い掛ける。

「あにが?」
 大きな口でメインディッシュのエビフライに噛み付いた真里は、口をもごもごとさせながら言葉を返した。

「応援団にはいるだなんて。中学ん時も去年も、あんた、イヤがって逃げてたでしょうが」
 すばしっこいあんた、追っかけまわすの大変だったわ……と、遠い目をしながら圭は呟く。

「いいじゃんか、別に」
 以前の事は思い出したくもないという感じに不機嫌な表情になった真里に、圭は『はいはい』と肩を竦めて。

「まぁ、今週末まで大変だろうけど頑張って」

「……ホント、思ったより、大変なんだよねぇ」
 学校を挙げてのお祭りみたいなものだから、ちゃんと真里みたいな臨時の応援団も統制を取らなければならない。 もともと委員会というレベルで本家本元の『応援団』も存在する高校なのである。女子高なんだけれども。

 と、いうことで本日より居残り練習が始まっている真里なのであった。

「たまには真面目に学校行事に参加してくれたっていいんじゃない?」
 生徒会長らしく発言をする圭に、

「うっさい、もぉ」
 真里は大仰に膨れてみせたのだった。
80 :Growing :2003/10/17(金) 20:03
「矢口ー、応援団やるんだってー?」

「学ラン着るんじゃなくって、着られるんじゃないのー?」
 トレイを持って圭や真里の脇を通り過ぎていく面々が、からかいの言葉をかけていく。

「うっさいなー」
 おいらの勇姿を見て、惚れんなよーー、とこちらも冗談混じりで返していく。

 何だかんだ言って、目の前に座るこの小さな友人は学校内でも寮内でも、人気者なのだ。
 目の前で、凄い勢いで食事をしている真里を見ながら、圭はぼんやりと考えた。

「そういやさ、圭ちゃん」

「んー?」

「おいら、部活とか入ってないけれども、そーゆー時は、どんな風に申請すればいいんだろ?」

 部活等入っていない生徒の門限は17時30分。これが第1門限である。
 学校内の用事でどうしても遅くなると判っている場合には19時の第2門限。
 部活等に入っていて、尚且つ、大会が近い場合には20時に第3門限と、段階が踏まれているのだ。

 しかし、常勤している寮監が学校及び寮のOGであることから、例え直前であっても事前であれば、
了承してもらえるという不文律が成り立っていた。

 ただし、嘘がバレた時には、風呂&トイレ掃除半月という厳罰が待っている。

「や、正直に言えば大丈夫だって」
 第2か第3になると思うけれども、それは言い方次第。

 さらりと答える圭に、真里はにっこりと微笑んで『ありがと』と礼を述べたのだった。
81 :Growing :2003/10/17(金) 20:05
「それよりもさ、圭ちゃん」
 矢口、ちょっと訊きたい事あるんだけども。

 食堂を後にして、廊下を歩いていた真里が圭を見上げた。

「んー?」
 一体、何よ。そんな怖い表情して。

「や……怖いのは圭ちゃんの方じゃ……」

「あ?なんか言った?」
 即座に返されて、その迫力に真里はふるふると首を横に振るしか術がない。

 『よろしい』と頷く圭に、真里はホッと胸を撫で下ろして。

「っていうか、何?」

「あー………うん、あの、さぁ」

 珍しく言葉を選んでいるのか、言いよどんでいる友人に圭は足を止める。それから、不思議そうに小首を傾げた。

「あの、さ………朝の話、なんだけども」

「朝の話?」

 圭は怪訝な表情で、眉を寄せた。そして、次の瞬間、ぽんと手を叩く。

「ああ、『なっち』のコトね」

「そうそう………って、だから、何で『なっち』なんて親しげに呼ぶんだよ!」
 むっきーっとなってしまった真里は、圭に右拳を繰り出す。それを平手で受け止めながら叫び返す。

「ちょ………、何よ、あんた」
 いきなり、その態度はっ!

「そーゆー事言うと、教えないわよ?」

 圭の言葉に、真里は神妙な表情になった。しかし、直ぐに首をぶんぶんと横に振る。

「あー、いい。やっぱいい」
 聴いたらショックかもしれないし。

 そんな気弱な態度の真里に、珍しく圭の悪戯心が湧きあがって来て。

「いーや、説明してあげるから」

「ヤダヤダヤダ」
 うっさい、黙れ、圭ちゃん。

 両手で耳を塞ぎながら、真里はふるふると首を振る。

「あのねー、実はねー」

「あー、もー、わざとだ、絶対、わざとだ!」
 耳に手を当てながら駆け出す真里を、にやにや笑いながら圭は追いかけるのだった。
82 :信長 :2003/10/17(金) 20:10

>74
お待たせ致しましたm(_ _)m。
これからも気長にお待ち頂ければ嬉しいです

>75
ほんのり具合が好きな作者です(^ ^)。
今回は出す機会がなかったですが、後藤さんはきっと大物です。


>76
すみません、保全ありがとうございました。
放置じゃないですので。


>77
気長にお待ち下さい。


83 :信長 :2003/10/17(金) 20:12
月1更新になりつつありますが、
のんびりと見守っていただければ嬉しいです。

それでは………
84 :名無し読者 :2003/11/03(月) 22:59
矢口と圭ちゃんの掛け合いがいいっすねえ
85 :信長 :2003/11/08(土) 17:18

■■■■■■■■■■■■■■■■
86 :Growing :2003/11/08(土) 17:19
「ただーいま」
 風呂から上がってきた真希は、こちらに背を向けてなにやら熱心にノートを取っている圭に声をかけた。
「ああ、おかえり」
 お風呂、混んでた?
 振り返らずに問いかけてくる圭に、真希は首を横に振る。しかし、直ぐにそれだとこちらに背を向けてる圭に判らないと気付き、
 言葉にして答えた。

「んーん」
 ガラガラだったし、それにこんな時間だから、掃除当番の子達に追い出された。
 入浴が好きな真希は、少しだけ残念そうに告げる。そんな相手に圭は椅子ごと振り返ると、おかしそうに微笑った。
「そりゃそうだ」
 あんた、お風呂入ってないのに、学校から帰ってくるなり爆睡してるんだもの。
「………だってぇ」
 春だから眠いんだもん。
 子供の様に唇を尖らせる真希に、圭は少しだけ肩を竦める。
「―――――あんたは、年がら年中睡眠不足でしょうが」
 どっかのアニメの主題歌の様に、さ。
「………うん、そうかも」
 真面目な表情で頷く真希に、圭は『バーカ』とだけ呟くと、
「とっとと髪乾かしなさいよ、まだ冷えるんだから」
 再び、机に向かったのだった。
87 :Growing :2003/11/08(土) 17:20
 ドライヤーの音が止む。次の瞬間、椅子ごと圭の身体は真希の腕に包み込まれた。

「こぉら、邪魔するな」
 まだ、勉強してるんだってば。  

 少しだけ身動ぎをする圭に、真希はあっさりと答える。

「うーん」
 ちょっとぐらい休憩してもいいじゃん。

 真希のさらさらの髪が圭の頬をくすぐる。ふわりとシャンプーのいい香りがした。しかも、風呂上りのあったかいその身体。
 心地悪い訳がない。

 圭は、ひとつ息を吐き出すと、その提案に乗ることにした。
88 :Growing :2003/11/08(土) 17:21
「………そういやさっき誰かが話してたんだけれども」
 場所はベッドの上に移ったけれども、未だ背後から圭を抱きしめたままである真希が、ふと思い出したように口を開いた。

「ん?」
「やぐっつぁんと派手に追いかけっこしてたんだって?」
 しかも、逃げるやぐっつぁんを圭ちゃんが意地悪く追い回してたって聞いたけれども。
「………人聞きが悪いわね」
 誰よ、そんな事言ってたの?

 圭の言葉に、『まぁまぁ、落ち着いて』と真希は呟いて、その頬に唇を当てる。

「こら」
 圭の訴えはさらりと流されて、真希は不思議そうに小首を傾げた。

「珍しいね、圭ちゃんがそんな風にするなんて」
「ん〜〜」

 圭は視線をちょっとだけ上げると、思い出したように口元を綻ばせた。
 そんな圭の気配を感じて、真希は顔を後ろから覗き込もうとする。

「や、だってさ」
 矢口、どうやら好きな人いるみたいでさ。その表情見てたら、なーんか、からかいたくなってね。
 楽しそうに続ける圭に、真希は口を開く。
89 :Growing :2003/11/08(土) 17:22
「………へぇ」
 そんな言い方するってことは、その人、圭ちゃんの知り合い?

 その言葉に、圭はちょっと動きを止めた。ゆっくりと身を捩り、向かい合う形になる。

「―――――あんた、時々、鋭いわね」
「そう?」
 思うままに口にしてるだけなんだけどなぁ。

 困った様に呟く真希の頬に、指をそぉっとなぞらせると、圭は柔らかく笑んだ。

「でも、あたしは」
 あんたのそーゆートコ、嫌いじゃない。

 圭の言葉に、真希も同じ様に微笑むと、
「圭ちゃんが、そういうんだったら、いっか」
 頬を撫ぜる圭の手を取り、素早く唇を奪うのだった。

 もちろん、その後、『いい加減にしなさい!』と叩かれるのだけれども、それはそれ。
90 :信長 :2003/11/08(土) 17:26
と、いうことで、この2人はこんな仲でした。

………久々にCP絡みの更新だよ。・゚・(ノД`)・゚・。

>84
2期メンは大好きなので(^ ^)。
ふざける事も真面目なことも出来る2人に乾杯です<ヲイ

次回は、もうちょっと早めに更新したいと思います。
長い目で見守ってくれれば、と思います。
91 :名無し読者 :2003/11/08(土) 23:28
やすごまブラボーーーー!(w
92 :センリ :2003/11/16(日) 20:13
矢口さんと保田さんのかけあいがおもしろいv
93 :名無し読者 :2003/11/21(金) 01:51
ごっちんのマイペースさが可愛い
なんとなく主導権握られちゃってる圭ちゃんもw
94 :信長 :2003/12/05(金) 21:08
>>91
やすごまは初挑戦なので、そういって頂けるとホッとします。
こんな感じでいいんでしょうかね(^^)?

>>92
2期メンヲタなもので………。
お互いがお互いを認め合ってる二人は、見てて微笑ましいですものね

>>93
私の書く後藤さんは、どうもこうなってしまいます<マイペース
圭ちゃんは………うーん、ヘタレ(^^)ですかね?


更新が滞ってて申し訳ございません
放置はしないので、気長にお待ちください

次回更新は未定ですm(_ _)m
95 :名無し読者。。。 :2003/12/20(土) 13:01
待ってるよん
96 :信長 :2004/01/09(金) 19:26
更新します
97 :Growing :2004/01/09(金) 19:27
「随分と大騒ぎだったらしいじゃないですか」

 濡れた髪をタオルでがしがしと拭きながら部屋に入ってきながら
ひとみは問うた。

「ああん?」
 ベッドの上で寝転がり雑誌を読んでいた真里は、胡乱げな表情で
視線をひとみに向けた。

………ヤバイ、また、馬鹿な事言ったか?

 ひとみの本能がそう囁く。だけども、逃げ場所なんてなかった。
だって、ここは自分の部屋でもあるんだし。

 ぐるぐると考えている間に、ちっさな先輩はひとみの目の前に立っていて。

「………生意気な事を言う口はこれか?」

 慌てて両手で防御しようとしたが、一瞬だけ遅かった。
 ひとみの唇は、しっかりとその小さな手にひねり上げられてしまう。

「い………いひゃいれす」
 この俊敏さ、放置しておくのは勿体無い、とひとみは心から思った。
場違いとは判っていたけれども。

「あー、何かなー?」
 ぜんっぜん聴こえないなぁ、と意地悪く笑いながら力を強める真里に、
ひとみは懸命に訴える。

「すみまひぇん、吉澤がひゃるかったです」

 その訴えが届いたのか、真里はようやっと手を放してくれた。
98 :Growing :2004/01/09(金) 19:28

「ったく、誰から聞いたんだか」
 確かに目立つ行動をとった自分がいて。それを後悔しているから、こんなにまでも
些細な言葉に反応してしまう。

 ベッドに戻りちょこんと腰掛けると、ひとみも向かいにある自分のベッドに同じように
腰掛けて、小首を傾げる。

「どうしちゃったんですか?」
 普段の事じゃないですか、保田先輩と矢口先輩がじゃれあうのって。

 ひとみの言葉に、真里は不機嫌そうに唇を尖らせた。しかし、すぐに息を吐き出す。

「………まぁ、色々あるんだよ」

 まさか『彼女』のことを知ってる知らないで、どたばた騒ぎを起こしただなんて、
格好悪くて言える訳がない。

 どこか憂い顔の先輩を、困った表情で後輩は見つめていたのだが、おずおずと口を開いた。
99 :Growing :2004/01/09(金) 19:28
「そう、ですよね」
 誰でも、言いたくない事はありますよね。

 その言葉に、真里はひとみに視線を向けた。

「ウチはですね」
 元気で笑ってる矢口先輩が好きなんです。

「だから、そんな表情させたの申し訳ないです」

 へにゃっと眉を下げて、ひとみはぺこっと頭を下げた。その潔い態度に、真里は首を横に振る。

「こっちこそごめん」
 変に反応し過ぎちゃったね、オイラ。普段だったら流せるんだけどさー。

 明るく告げる真里に、ひとみはあからさまにホッとした表情になって。

「―――――まー、色々あるっすね」

「そうっすね」

 真里の言葉に、ひとみも同じ様に軽く返すのだった。
100 :信長 :2004/01/09(金) 19:32
短いながらも、更新終了

新年明けましておめでとうございます。
のんびりまったりと進めて行く予定なので
呆れずについて来て頂ければ、と思っております

>>95
待ってて頂いて感謝です。
ちょっとだけですが更新致しました。

続きを読む


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:248519 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)