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ground up

1 :ななしぐも :2008/02/04(月) 23:11
少し長いです。
でも他の板に立てるほど自信は無いのでこちらに…。

℃-ute中心ちょっとたまにバトルもの。
基本的に矢島さん視点萩原さん贔屓。

でもやじうめなんだよ、とか言って。

大体の流れはできているので順調に進むと思うので週に一回更新があるかないか…

よろしくです。
2 :ななしぐも :2008/02/04(月) 23:11
最初は序章のような一章なのでカプ色薄めであまり楽しくないかも…。
3 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:13
maimi.




「最近、事件多いなぁ」

ここは少しだけ小さな組織。
少数精鋭、みんな仲良しの子会社だ。
付近の事件を速やかに解決して戻る。

「えりー?何やってんの出動だよー!」
「ごめん舞美ー!今行くよー!」

私たちはその中でも年下の部隊で、先輩達のようなニュースになるような大きな事件は無い。
それでもいつも命がけの任務。

「みんな揃った?」

5人で目を合わせ、うなずく。

「「「「「℃-ute!!」」」」」

「えりか!」
「舞美!」
「早貴!」
「愛理!」
「栞菜!」

「5人揃って」
「「「「「弾けるぞぉい!!」」」」」
4 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:14


5 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:15
「…で、次どこだって?」

掛け声が終わると、なっきぃがこっちを見て場所を促した。

「えーっと…大人に頼るな!」
「聞いてこなかったんだね…」

無線で連絡を取りながら呆れたように声を出すなっきぃ。

「あはは。舞美はバカだからなぁ」
「ひどいよえり!」

笑いながら応答を待つ。
命がけといっても気楽なもんだ。
まああたしたちの任務がそんなに大きなモノじゃないからなんだろうけど…。

「ラッキー♪その先500m行ったところだって」
「おぉ近いじゃん!」

無線を切って現場に走る。
私はこの瞬間が好きだ。
戦いが始まる前の緊張感漂う疾走感。



「みーたん!速いって!」



…まあ気持ちよすぎてみんなを追いてっちゃうんだけど…。
6 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:15
「そろそろかな?」
「おっ、あれじゃない?」

一番目の良い栞菜が真っ先に異常を発見した。
慌ててそこに目をやると、真っ黒な煙が上がっていた。

「火事?」
「中に居る人がいないか確認、あと原因探しだね!」

パパッと指示を出すと、それぞれに走りだす。
付き合いが長いからこの辺はしっかりしたものです。
みんなが散るのを確認したあたしは誰よりも先に火の中に飛び込んだ。

「誰か居ませんか!?」

くっ…火のまわりが速い…っ!!
中で探し回るのは諦めたほうがいいか…。

「誰か残ってる人はいませんかー!!」

さっきよりも声を絞り出す。
その瞬間に目の前の柱が崩れてくる。
慌てて避けたけど、この建物が限界なことを知った。
戻るために後ろから追いかけてきていたえりを振り返る。

「…えり、もう出よう」
「これ以上は無理そうだね」
7 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:16
建物から出ると、なっきぃが待っていた。

「愛理と栞菜が裏側を調べに行ったよ。なっきぃはここで不審人物がいないか見張ってました」
「ありがとなっきぃ。それで何かあった?」
「ううん、表っ側はなんにも…」




ドン




「「うっひゃああああああああああああああああああああ!!!!!!?」」




急に聞こえた奇声に出てきたところを振り返る。
8 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:16
さっきの爆発音は愛理の好きな爆弾だ。
本人曰く便利だから使ってるらしい…怖っ。
っていうか建物崩れてきてるし…。



「ちょっと千聖!小規模だから強いのは来ないって言ってたじゃん!何?あの爆弾!」
「舞だってそうだよねーとか言って納得してたくせに!」
「だってフジモトさんも小規模だって言ったんだもん!」
「じゃあ千聖のせいじゃないじゃん!」



崩れた建物から転がるように出てきたのは、小さなかわいらしい二人組。
思わぬ風貌にその場に居たみんなの時が止まった。
でもそんなことは関係が無いのか、二人はあたしたちを見て焦りだした。

「やっべ、顔見られた」
「逃げるよ千聖!」
「しまった、重要参考人!捕まえて!!」

えりとなっきぃより先に我に返って指示を出す。
9 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:17
その言葉に慌てて二人を追いかけていこうとするも、ちょこまかと逃げてなかなかつかまらない。

「このぉ!ちょこまかと!!」
「わぁ!?」

えりが怒ってショートカットの男の子みたいな子に飛び掛った。
右手を掴めたみたいでやった!と思った瞬間油断した。

「千聖!」

もう片方の女の子が叫ぶと、丸い小さな玉を取り出した。

「えい!」
「痛っ!?」

つかまった子がえりの腕を思いっきり噛んだ。
その瞬間もくもくと煙が湧き出し、あっというまに何も見えなくなった。

「嘘!?なにこれ!!」
「しまった!煙幕!!」

慌てて煙を払うけど、そのときにはもうえりとなっきぃと私しか残っていなかった。
10 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:18





…つまり、逃げられた。




11 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:18
「やられた〜っ、あんな小さな子達にしてやられるなんて!」

我に返ったなっきぃがいち早く悔しさを見せる。
どうでもいい話だけどなっきぃも実は同じサイズだよ?

「くぅっ、まさか逃げられるなんて…」

なっきぃに続いてえりも不機嫌をむき出しにして地団駄を踏んだ。
とにかく物証だけでも無いかと付近を捜索する。
顔を上げると、愛理と栞菜が戻ってきていた。

「うぅ…逃げられた」
「犯人みたいなのを見つけたんだけど捕まえられなかった…」

しょぼしょぼと帰ってきた二人は、簡潔に経過を述べた。

「愛理、爆弾まで投げてたよね」
「だって怖かったんだもん!」

思い出すだけでもムカムカすると、愛理はあっちであったことを話してくれた。
っていうかやっぱり愛理の爆弾だったんかい。
12 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:19
「うろうろ何か探してる子達がいたからね、話しかけたの」
「それでなぜか男の子みたいな方の子が攻撃してきたんだよね」
「そう!それでついやり返したの」

栞菜のフォローにうんうんと頷く愛理。
だから"つい"で爆弾を投げるな。

「で、爆弾投げたら見失ったと…」
「ご、ごめん…」
「いやいいよ。こっちも逃げられたから」
「あ、そっちに来てたんだ」

こちらの状況も簡潔に話す。
横を見るとなっきぃが首をかしげていた。
なんか変なとこあったかな、と思ったけどそれとは関係なかった。


「あのさ、私あのショートカットの子見たことある気がする…」
「まじで!?」


全員でなっきぃに詰め寄ると、なっきぃに近いって怒られた。
とりあえず離れて続きを促す。

「小さな頃だけどね。たぶんハローで一番最初に話したのあの子だったと思う」
「少なくとも片方は元ハローの子ってことか…」
13 :一章 初めての逃走 :2008/02/04(月) 23:19
それなら調べれば何か出てくるかもしれない。
無線を一番慣れたダイヤルに繋ぐ。

『ハロー?』
「桃、調べ物頼んでいい?」
『またぁ?こっちも暇じゃないんですけどー』
「食堂のソフトクリーム1個でどうだ」
『ストロベリーパフェ』
「…お願い」
『おっけーまかせて♪』

無線を切ると、みんながこっちを見ていた。

「今日は残念ながら任務失敗だけど、次こそ捕まえようね」

みんな凄く悔しそうだった。
14 :ななしぐも :2008/02/04(月) 23:20
ノ<隠すっす!
15 :ななしぐも :2008/02/04(月) 23:21
・)ノ<どーもこーもないっしゅよ
16 :ななしぐも :2008/02/04(月) 23:22
ミ サッ
17 :ななしいくさん :2008/02/05(火) 00:17
楽しそうなお話ですね
続き待ってます
18 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:53
ぶらぶらと訓練室に向かうと、愛理となっきぃがトレーニングをしていた。

「あ、舞美ちゃん」

嬉しそうにぶんぶんと手を振ってくれる愛理はとても可愛かった。

「みーたんもトレーニング?」

なっきぃは武器を下げるとこちらを振り向いて笑ってくれた。

「二人とも朝早いね。えりなんてまだ寝てたよ?」
「だって悔しかったんだもん」
「次こそは逃がさないかんね」

やる気まんまんでこぶしをあわせる二人。
いいけどあんまし張り切りすぎるなよー?
ま、人のことはいえないんだけどね。

失敗なんて今まで色々あったけど、犯人かもしれないのを逃がすなんて初めてだ。
次こそは捕まえて理由を聞きださなくちゃ。
19 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:54


eri.


朝起きたらとりあえず舞美がいないか確認しに行く。
いない。
トレーニングかな。
とりあえずご飯食べよう。

「あ、えりかちゃん」
「おっ、栞菜だ」

まるで計ったかのようにまったく同じタイミングで食堂の前のドアで遭遇したあたし達。
運命かと思ったけどあたしの運命の人は舞美であってほしいので考えるのをやめた。

「…なんか失礼なこと考えられてる気がする」
「気のせいだよー」

トレーを持って並んでいると、後ろからよく知った人がきた。

「おはよう、とゆいたい」
「おはようまぁ」
「おはよー」

朝ごはんを確保して椅子に座る。
あとの二人も当然のように付近に座った。

「まあさ」
「ん?」
「どうかな、何か見つかった?」

昨日の話。
逃げていった二人の片方をなっきぃが見たことあると言ったことから、監査であるBerryz工房に調査を頼んだんだ。
まあさは残念そうに眉をしかめると、首を横に振った。

「せめて名前とか顔写真とか無いの?」
「無いねー」

まったりと枝豆を口にしながら笑顔で言う。
そしたらあっちも素晴らしい笑顔で言い返してくれた。

「じゃあ無理」
「そこをなんとか」

まあ物証も無いから確かに無理そうだけどねぇ。


20 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:54


maimi.


ザッ カチャ

「はい」
『そちら℃-ute?出動だよ』
「了解です」

無線にノイズが入り、ボタンを押すと出動命令がかかった。
待ちに待った出動。
あの子達がいますように!

『じゃあよろしく』

簡潔に述べられた説明。
そのまま愛理となっきぃに伝える。
それと同時にえりと栞菜に緊急信号を送る。

「また火事?」
「そう、それも今度は2件同時」
「じゃあ分担するの?」
「そうなるね」

どっちになにがあるかわからない。
メンバー選びは慎重にいかないと。
と、いっても場所は近いんだけど…。

「妥当な線でえりとなっきーと愛理。あたしと栞菜でいいかな」
「わかった。じゃあ私たちはB地点のほうに行くね」
「うん、結構近いから何かあったらすぐ連絡して」
「了解」

いつもの号令を済ませ足早に目的地へ向かう。
栞菜の手を引っ掴み、強引に走る。

「いたたたた!痛いって舞美ちゃん!」
「ごめん、今度は逃がしたくないんだ!」
「気持ちはわかるけど…いだだだ」
21 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:56
現場では一つの家から火が燃え盛っていた。
既に突入できる状態じゃない。

「栞菜、裏まわるよ!」

言ってまず自ら裏に行くと、案の定そこには小さな人影が。



「げっ!?」
「見っつけたぁー!!」



走ってきた勢いそのままにうろたえる相手へジャンプ!
胴の部分に喰らいつくようにしがみつく。

「栞菜!ロープ!!」
「ちょっと待ってて!っつーか舞美ちゃん強引!」

背中の道具からロープを取り出す栞菜。

「くっそ、放せぇー!!!」
「そうは行くか!」

えりと同じ目に合わないように片手で口を押さえる。
強引に腕を極めて栞菜にロープを促した。

「痛い痛い痛い!!」
「でないと逃げるでしょ!」

ロープでぐるぐるにして脇に抱える。

「よしっ、もう一つの現場に行こう」

我ながらかなりスムーズに行った。
あたし天才?



「…舞美ちゃんは強引なんだよ…」



なぜか栞菜に疲れた顔をされた。
22 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:56


eri.


現場では火が既に沈下していた。
黒こげの家には誰かが住んでいた気配は無かった。

「空き家かな?」

表の警備をなっきぃに任せ、愛理と二人で黒こげの家に入り込んだ。
中は狭く、ところどころ焼け落ちていた。
ゆっくりと、でも心持ち早く中を進んでいく。
ひとつ、ドアが焼け落ちていない部屋が奥にあった。

「愛理、行くよ」
「うん」

勢いをつけて開けると、そこにはなにやらごそごそと探し物をしていた様子の例の小さい子の姿があった。
相手もこちらに気付いて素早く姿勢を変える。
…が、愛理を見て驚いた。

「嘘!?爆弾のやつだ!」
「今度は逃がさないかんね!」

逸る愛理に相手を任せて、自分をしっかりと出口を塞ぐ。
まあ確かにあの爆弾はトラウマになるよね。
でも逃がしはしないよ〜。

「…うぅ」

じりじりと後退する敵。
と、急にピタリと止まってくるりと背中を向けた。




「「!?」」
「知ってた?火事の後の壁ってもろいんだよー!」



23 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:57
そう言い残すと、思いっきり壁にぶち当たっていった。
火事でスカスカになっていた壁はいとも簡単に崩れ、部屋を抜けられてしまった。

「待って!」
「待てって言われて待つやつなんていません!」

慌てて追いかけると、丁度なっきぃがいる辺りに向かっていった。

「なっきぃ!そっちいった!」
「よっし!」
「う!?3人とかついてない!…でも捕まるわけにはいかないんだよー!」
「わっ!!?」

捕まえようと構えるなっきぃに、なぜか女の子はそのまま突っ込んでいった。
避けるものだと思っていたので軽くうろたえるなっきぃ。
タックルされてそのまま二人揃って床に転がった。

「いたたた…」
「痛い…って待て!」
「うわぁ!?」

痛みをこらえてなんとか足を掴んだなっきぃ、ナイス!
けど女の子はまだ抵抗しようとする。

「放してよ〜!!」




「そこまでだ!!」




まるで歌舞伎役者のように横から参上した栞菜。
後から追いかけてきた舞美。
舞美の手にはこないだのショートカットの子がロープでぐるぐるにされていた。
24 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:57
「くっ、千聖!」
「抵抗を止めて大人しくお縄につきなさい!」

時代劇みたいだよ舞美。
…舞美はバカだからなぁ。
女の子は抵抗を諦めて大人しく手を縄で巻かれていた。
舞美は女の子の横にショートカットの子を並べると、顔をしっかり見た。

あ、そうだ写真撮っとこう。

舞美が尋問してる後ろから携帯でパシャパシャ写真を撮る。
はい、笑って笑ってー。

「さあ吐きなさい。あなたたちの目的はなに?」
「ここ最近の火事、あなたたちの仕業だとわかってるんです」

なっきぃと舞美が尋問を始めると、女の子達は顔を見合わせた。

「どうする千聖ぉ」
「どうするも何も逃げないと、舞」
「この状況から逃げられると思ってんの?」
「お も って ん の !?」
「ちょっとえり黙ってて」
「あはははは!!!!」
「栞菜も笑わないで黙ってようねー」

軽く投げやりな舞美に追い詰められながらも、女の子達はあまり焦っているわけではなさそうだった。
なんだろう、まるで追い詰められてるわけじゃないような…。
25 :一章 掴み :2008/02/07(木) 11:58
そう思ってじっと見ていると、女の子が急にニヤリと顔をゆがめた。


「よし、行くぞ千聖」
「おっけ」


しまった!と思った瞬間にはもう煙でいっぱいだった。
何が起こったのか全然わからなかった。

「みんな!大丈夫!?」
「げほっ、なんとか…」
「あ、いない!」
「あー…逃げられたー…」
「うぅ、今回は逃がさないって思ったのにぃ〜」

口々に逃げられたことを思う。
なんてことだろう、ロープで縛ってまでいたのに逃げられた。

どうやら私たちは同じ人間に2度も逃げられてしまったらしい。
26 :ななしぐも :2008/02/07(木) 12:00
ここの梅さんは基本的に空気よまない子です。

Σリl|;´∀`l|

>>17さん
ありがとうございます!
期待に添えられるかどうかはわかりませんがこれからも読んでやってくれると嬉しいです。
27 :ななしぐも :2008/02/07(木) 12:01
(o・D・)ノ<隠れましゅ
28 :ななしぐも :2008/02/07(木) 12:01
Σリl|;´∀`l|<でも嘘なんだよぉぉぉぉ
29 :一章 友人の情報 :2008/02/10(日) 22:27
maimi.


あれからしばらくが過ぎた。
あの後事件は起こらず、えりの写真をベリの子達が調べることをただひたすら待っていた。
火事は空き家ばかりが狙われていたらしいけど、それでもあれは悪戯の域を超えた行為だ。
彼女達が探していたものはなんだったんだろう。
あの後、被害のあった家を探索したけど何もわからず終いだった。
悔しさにみんなでトレーニングに明け暮れることになった。
そんなとき、今日はベリからやっと連絡が入った。
一体何がわかったんだろう。
℃-uteのみんなを引き連れて、ベリの会議室に入る。

「舞美ちゃん、全員連れてきた?」
「うん、それで桃たちは何についてわかったの?」
「まぁまぁ、がっつかないでとりあえず座りなよ」

適当な場所に座らされると、桃はスクリーンを引っ張り出した。
スクリーンに映し出されたのはあの2人組の改まった顔写真。
でもそれはかなり古い物のようで、小さな二人は更に小さく写っていた。
ショートカットだった子は髪の茶色い写真が映っている。

「あ、これ…」
「そう、ハロー!プロジェクト加入時の写真。やっぱり二人ともハローの子だったみたい」
「そうだったんだ」

映し出された映像には、二人の能力なども記載されていた。
30 :一章 友人の情報 :2008/02/10(日) 22:28
「こっちの子は岡井千聖。愛理と同じ年だね。変な方向に力強いパワフルな戦闘能力と、人懐っこい顔で先輩達と仲が良かったらしいよ」
「あ、やっぱり私この子知ってる」

なっきぃは見たことがあるって言ってたっけ。

「なかさきちゃんだけじゃなくてみんな知ってるはずだよ?この子達加入後しばらくは私たちと同じ訓練受けてたんだから」
「そうなの?」
「うん、あの頃Kidsが集められてたでしょ?初期のKidsは十五人。そのうちの二人だよ」

まったく覚えが無い…わけではないかもしれない。
思い出そうとするけど、私はあの頃そんなに年下の子達とは絡まなかったから覚えてないだけなのかも。

「んでこっちの子は萩原舞。Kidsでは一番の年下だったみたい。この子の能力はまだこの頃未知だったみたいでどう成長してるかはわかんない」
「そっか…」

あの縄抜けについてわからないかな、と思ったけどやっぱりそう簡単には行かないみたい。
それでもこれだけわかったのなら大したものだ。

「ありがと、桃」
「いえいえ、ストロベリーパフェよろしく」
「って言ってもあんただけの協力じゃないでしょ?」
「バレた?まあ差し入れでも今度持ってきてよ」
「了解」

軽く拳を合わせて挨拶する。
桃との協力ももう慣れたものだ。
31 :一章 友人の情報 :2008/02/10(日) 22:28
「あ、あともう一つ」
「ん?」
「この子達が破壊してった空き家なんだけど、元の持ち主が全員行方不明なんだ」
「へぇ」
「でも気になるのが持ち主の一致する条件が元ハローの人っていうことなんだ」
「なんか凄くハローの関係強くない?この事件」
「実はそうみたいだね」

思ったよりも重い事件なのかも。
私たちで大丈夫だろうか。

「舞美、うちらで大丈夫かな」
「えり、あたしも同じこと思ってた」

顔を見合わせて唸る。
正直、小さくまとまるような事件では無かったみたい。

「でもあの子達が気になるよ」
「そうだね…」

あんな小さな子たちがなぜあんな犯罪紛いのことをしてるのか。
元Kidsのあの子たちに何があったのか。
あたし達はちゃんと知ってなきゃいけないような気がする。
32 :一章 友人の情報 :2008/02/10(日) 22:28
「とりあえず、次の事件に備えてよう。しばらくはこのまま」
「うん」

不安そうなえりの手を握って頷かせると、逆に安心した。
うちらは大丈夫。
みんなでこれからのことを話し合おうとベリの会議室を出て行く。


ザザッ


無線が音を立てた。
無言でみんな顔を見合わせた。

「はい、こちら℃-ute」
『出動お願いします。場所は…』

きた!

「みんな、なんとしても今回は捕らえるよ!」
「「「「うん!」」」」
33 :ななしぐも :2008/02/10(日) 22:30
ル ’ー’リ<あたしは仕事の出来る女なんだよ

今回は短い部分なので早めの更新です。
一章の黒幕はバレバレですがまあ一章なので勘弁してください;;
34 :ななしぐも :2008/02/10(日) 22:31
从;´∇`从<もともと出番少ないのに一章は名前も出てこないもんにー!
35 :ななしぐも :2008/02/10(日) 22:32
从o゚ー゚从<ベリーズはほとんど桃しか出ないからねぇ
州*‘ -‘リ<ベリーズも好きらしいのにね
36 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:23
maimi.


もはや慣れっこになってしまった事件の爪あと。
既に火は消えている。
家は脆く、慎重に中に押し入る。

「民間人は…いない」

表の警備はなっきぃ。
裏の警備は愛理に任せてある。
3人で少し広めの家を動く。

カタン

すぐ隣の部屋から音がした。
無言で顔を見合わせると、一気に突入する。



バタン

ゴン

「〜っ!?」



なんか、間抜けな音がした。
気にせずに相手を探そうとする。

「舞美、下。下見て」
「痛そ…」
「あちゃあ〜…」

下を見ると、目を回している岡井千聖が倒れていた。
37 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:23


38 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:24
今回は念のため手錠の上に更にロープを巻き、足のほうも固定しておいた。
気絶していたので施設まで運んでもおいた。

「あ、起きた」

なっきぃの言葉にショートカットの子を見る。
彼女は思いっきりこちらを睨んでいる。

「縄を解け!」
「それは無理な話だなあ」

なんか悪役みたいだよ舞美、とか言う声が聞こえたけど無視無視。
身動きのとれない彼女のために自ら動いて目線を合わせにいった。
真正面から曇りの無い目で睨まれる。

「まず、目的を話してもらおうか」
「私だって知らないよ!だって千聖命令に従っただけだもん!」

むっ、反抗的だなあ。

「じゃあその命令を出したのは誰?」
39 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:24
「…」

今度はだんまりか!
お姉さんさすがに切れちゃうよ〜。

「待って舞美ちゃん」
「お?なっきぃ」
「ね、君。私に見覚えない?」

あたしの横に並んでショートカットの子の目をじっと見つめた。

「そんなはず…あ、れ?」
「見覚え、あるでしょ?」

なっきぃがにっこりと笑うと、岡井千聖は毒気を抜かれたように顔を唖然とさせた。

「早貴ちゃん?」
「そうだよ、千聖ちゃん」

もう一度なっきぃが笑うと、岡井千聖は顔を真っ赤にさせた。
ほんとに知り合いだったようだ。
やっぱり桃たちの調べは正しかった。
岡井千聖は真っ赤にした顔でなっきぃに笑いかけた。
どうやら安心してくれたみたい。

「お?お?これは良い雰囲気で…」
「えり、空気よめ」
「舞美ちゃんに言われちゃお終いだ」

みんなの茶化しになっきぃまで真っ赤になった。
いやぁ、初々しいねぇ。
40 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:25



「あ、そうだ。もう一人の子は?えーっと…萩原舞ちゃんだっけ」



愛理が思い出したように岡井千聖に話しかけた。
萩原舞の話をした途端、顔が険しくなった。

「舞の話なんかしたくない」
「あんなに息ぴったりだったのに?」

ツーカーの仲のようだったけど。
そういうと、岡井千聖は憤怒を露わにして話はじめた。

「舞は千聖を裏切ったんだ。藤本さんに取り入って千聖を裏切り者にしたてあげたんだ!
 ずっと一緒に居た千聖より藤本さんを選んだんだよ!?
 …ずっと藤本さんに憧れてたの知ってるくせに、裏切ったんだ…」

その行為が相当ショックだったらしい。
もう目には涙も滲んでいる。

「じゃあなんであんたはあそこで火事を起こしてたの?」
「だって他に何をすればいいかわからないよ。だから藤本さんに迎えに来てもらえたらいいな…って…」

段々と尻すぼみになっていく岡井千聖。
どんなに強力だって小さな女の子なんだ。
41 :一章 進展 :2008/02/15(金) 19:26



…しょうがないか。



「岡井千聖。しばらく℃-uteであんたを雇っていいかな」



「舞美…」

みんなの顔を見回すと、凄く優しい顔をしていた。
良かった、みんな同じ思いだ。
こんな小さく怯えている子を一人になんてしておけない。
放っておけるような酷い人なんてここにはいない。

「いいの…?」
「うん、だって放っておけないし」
「でも千聖、悪い事してたんだよ?」
「悪いことって自覚があるなら大丈夫!なんとかなるさあ」

近くに寄って肩を抱く。
堪えきれなくなった涙が、服の上に落ちていく。
腕の中で震える姿は、完全に子どもだった。
この子を見つけたのがあたしたちでほんと良かった。
42 :ななしぐも :2008/02/15(金) 19:28
やっとこさ次回はちょーっとだけやじうめ分が…。

リl|*´∀`l|人从・ゥ・从
43 :ななしぐも :2008/02/15(金) 19:29
川*^∇^)||<でもうちらの出番がないんだよ!(にこにこ
44 :ななしぐも :2008/02/15(金) 19:30
川´・_・リ<…。
45 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:39
maimi.


千聖が来て数日が経った。
社員じゃないから一人で暮らさせるわけにはいかないから今のところはなっきぃと同じ部屋に住ませている。
もうみんなともだいぶ打ち解けたみたい。
なにより、ずっと笑うようになった。
こないだなんか凄い変顔してたし…。

ザザッ

「あ、事件」
「なにそれ?」
「無線だよ」

千聖にちらりと無線を見せてから電波をとる。

「はーい?」
『出動です。℃-uteは準備してください』
「了解です」

みんなに緊急信号を送る。
それにも千聖は興味深々に覗き込んでいる。

「千聖は信号受信するやつが無いから絶対誰かの傍に居てね」
「うん。わかった」
46 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:40
二人で待機していると、バタバタと足音が聞こえてくる。

「この会議室に集合してから出動。ほんでみんな揃ったら号令かけて出発だよ」
「あいあいさー!」

千聖と二人で笑って顔を見合わせると、ドアが思いっきり開いた。

「間に合った!!」
「セーフ!」
「よーし、後はなっきぃとえり…」
「お待たせしました!!」
「あー、疲れた…」

なだれ込むようにみんな入ってきた。

「みーたん、全員揃ったよ」

なっきぃが切れた息を整えつつ報告する。


「じゃあ今日はこのメンバーで出発!行くぞ〜?」
47 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:40


「「「「℃-ute!!」」」」
「きゅ、きゅーとぉ?」


「えりか!」
「舞美!」
「早貴!」
「愛理!」
「…ち、千聖ぉ!」
「栞菜!」


「6人揃って」
「「「「弾けるぞぉい!!」」」」
「ぞーい?」

軽くハイタッチをいなして出撃準備をする。
千聖もなんとか参加してくれたみたいだ。
うん、良いことだ。
なんだか楽しそうだしこれはこれで良しっ!

「じゃあみんな、D地区に出動!」
「「「「「はい!」」」」」

48 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:40



49 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:41
走って現場につく。
今回は火事ではなかった。
それどころかD地区は人の居そうな場所じゃない。

「ここは…崖?」
「人、居ないし…」
「油断しちゃダメだよ」

現場は何が起こるかわかんないんだから。
気を引き締めていかなきゃ。

「なんで呼び出されたの?」
「確か人民救助…」
「じゃあ崖下に人がいるかも!?」

慌ててなっきぃが崖下を覗きこむけど、何もなかったのか首を横に振った。

「…ガセ?」


…ためしに辺りを散策してもなにも起こらない。


「…なんかあるとしたらやっぱり崖下?」
「だよねぇ」

崖のほうをちらりと見ると、なんだか寒かった。
危ないよね…。

「私がもう一度崖下を確認するからみんなは後ろを…」
50 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:42





「舞美危ない!!!!」




51 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:42


え。


しゃがんだ瞬間思いっきり重力に逆らう感覚がして、地面に上げられた。
そして引っ張った手の感覚が沈んだ気がした。

「えりかちゃん!」

栞菜の声に意識がハッとなる。

「えり!?」

目線を崖の方に戻すと、えりの姿が見えなかった。




え、落ちた?




まるで後頭部を殴られたような感覚がする。
52 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:43
いつ死ぬかもわからない仕事だけど、死ぬはずないってタカをくくってたんだ。






「えりぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーー!!!!」






自分の脳裏が寒くなる。
もう目の前が真っ暗だ。
自分で立つ気力も無い。

ザザッ

無線の音がする。
動けないあたしの代わりに誰かが無線をとってくれた。

「…はい」
53 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:43




『あ、その声はなっきぃ?あたし生きてるからね!』



54 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:44
「え、…えりかちゃん!?」
『やー、もうだめかと思った』

音だけが耳に響く。
何も考えられない。

「えりかちゃん生きてるって!」
「良かった…!」
「さっすがえりかちゃん!」

口々に喋るメンバー。


あたしは…。



あたしはえりのこと…。




「舞美ちゃん!」




「え…」
55 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:44
「聞こえてた!?えりかちゃん生きてるよ!!」

栞菜に覗き込まれてやっと世界が色を取り戻す。
言葉が脳を通ってやっと理解ができた。



「…はぁー…」



長い溜息をつくと、体全身が活動を始めたように熱くなった。

「まぎらわしいよバカえりー…」

立ち上がって崖下を覗く。
残念ながらえりは見えない。
岩肌がごつごつしていて横穴や段差があるのかもわからない。
なっきぃから無線を受け取って連絡を取る。

「えり今どうなってんの?」
『おぉ!舞美ー!舞美のために生きてるよあたし!!』
「いいから答えてっての」

赤くなる顔を誤魔化して無線に怒号を送る。
でも舞い上がっちゃってるえりには関係無いみたい。
56 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:45
『たぶんそこから見えないと思う』
「まっすぐ落ちたわけじゃないんだ?」
『今ね、横穴の中にいる』
「横穴?」

恐る恐るギリギリまで首を伸ばして覗き込むけど、残念ながら見えなかった。
横穴って言ってもここから見えないほどのところじゃかなり下のほうだと思う。

「なんで生きてんの?」
『ひどい舞美…』
「違う違う!単純に不思議に思ってるだけだから!」

危うくもう一回崖下にダイブしそうなえりの声に慌てて訂正を入れる。
あんな思い二度としたくないしお願いだから止めてね。
っていうかあたしを助けて飛び込むなんてほんとバカだよ…。

『まあそこは色々事情があるんだけど…』
「ん?」
『とりあえず舞美、今日はみんなに解散命令出していいよ』
「ってえりどうやって登ってくる気?」

えりの無茶な話に思わず突っ込む。
みんなが帰っちゃったらどうやって帰ってくる気なんだろう…。
57 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:45
『いいから、すぐ帰ってくるから』
「でも」
『夜になって帰ってこなかったらまた来て』

自信満々で言い切られてしまったらどうしようもない。
えりが不安がったりしてないことは声色からわかるし、これ以上何も起きないというのならここにいる必要は確

かにない。
それにしても…。

「なんでそんな大丈夫って言い切れんの?」
『…』
「えり?」
『アテはあるから』
「待ちなさい。なんだ今の間は」

怪しい。
絶対に何かを隠してる。
えりは嘘をつくのが全然上手くないからすぐわかる。
本人曰く、あたしに嘘つくのが嫌だからなんだとか…。

『とにかく!絶対帰ってくるから!』
「…ほんと?」

えりはすぐ前言撤回するし。
それにさっきだって助かってなかったら大変だったんだぞ?
正直えりの約束はあまり当てにならない。
58 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:46



『お願い、今回だけはどうしても…』



でも、えりは大事なことはちゃんとわかってる子だ。
ここまで言うならちゃんとなにかしらの理由があるんだろうけど…。
今回は事が事だ。

「…だめ」
『頼むよ舞美ぃ…』

半分泣きそうなえりの声。
組織的にはぜんぜんよろしくないことなんだけど…。



…もう、ほんとえりに弱いなぁあたし…。



まあ今回はえりに助けられてたわけだし、大目に見よう。

「…今回だけだからね」
『…!』
「ちゃんと帰ってくるんだよ」
『ありがとう舞美!』

あっちで見えないっていうのにおおはしゃぎで喜んでるえりの姿が見えるようだ。
59 :一章 ひっかかる :2008/02/19(火) 23:46

「…はぁ」

ほんとにしょうがない。
とにかく全員いるかしっかり確かめて戻ることにしよう。

「えりかちゃんなんだって?」
「先に戻っとけって」
「えぇ?大丈夫なの?」
「なんかね、大丈夫だって」

正直、えりが何を考えてるのか一切わからない。
あたしに隠し事をするえりなんて少ししか見たことないし…。
ただえりは嘘ついてまで悪いことをするような人じゃないし、嘘をついて他人を守るほど器用じゃない。

「わっかんないなあ」

なんとなくえりのいない帰路は長く感じた。
みんなの話もほとんど耳に入っていなかった。
でもえりが死んでなくて本当に良かったと心から思った。
60 :ななしぐも :2008/02/19(火) 23:49
州・v・)<空気だなあ…

そろそろ少し乗り込んできた感じです。
まあ次かその次くらいに出番あるかもですよ鈴木さん。

(o・D・)<まだなんでしゅか

萩原さんまだなんです。
61 :ななしぐも :2008/02/19(火) 23:50
从・ゥ・从
62 :ななしぐも :2008/02/19(火) 23:51
ノk|‘3‘)
63 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:48
chisato.


あの後、えりかちゃんはちゃんと帰ってきた。
普通に元気にただいまーって笑いながら。
私は喜んで迎えたし、みんなも笑ってた。
でも舞美ちゃんは笑ってたけどなんだか複雑そうだった。

「大丈夫かな」

そう呟いて、あのときみんなに言えなかった重大な秘密を思い出した。

「ねえ、舞…」

そう呟いて隣を見て、止まる。
そうだ、今千聖の隣に舞はいない。
右を見れば絶対に舞が居た。
でも舞を思い出すのは今の自分にはかなりヘビーな行いだった。

「…っ」

唇を噛む。
64 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:48
舞のことを考えるとお腹の中が熱くなった。
正直どうしていいか全然わからない。


舞を守るのは千聖だった。


そして千聖をフォローするのはいつだって舞だった。


その舞が裏切ったんだ。





-岡井、なんだよこれ





心に残る憧れの人の言葉。
大好きな尊敬する人の冷たい言葉。
65 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:49

-お前がやったんだって?

目の前には荒らされた藤本さんの部屋。
知らないことだったからとにかく謝って誤解を解こうと思った。
でも次の言葉に我を忘れた。

-萩原がお前の仕業だと言っていたんだよ

舞…が?
そう思った瞬間、すぐ横を振り返った。
でもそこに舞は居なくて、その人の後ろに暗い目でこっちを見つめる影を見つけた。
叫んでも叫んでも舞は返事をしない。

-おっけー!任せて千聖!!

そんな思い出が頭を回るほど致命傷だった。
ずっと一緒だった舞が自分を裏切った。
舞のためなら命だって張れると思っていた自分だから尚更信じたくなかった。
気づけば自分は走ってあの建物から走り去っていた。
戻れば藤本さんにヤラレル。



-千聖、次どうしよっか



どんなに辛い時だってその言葉と右手に繋がる存在があれば頑張れた。
泣きそうな自分の隣で一切泣こうとしない舞がいれば頑張ろうと思えた。
66 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:50

「くっそ…」

一つ、壁を殴りつける。
どうしようもない苛立ちと悲しみ。


えりかちゃんが落ちるとき、私だけが気づけたこと。


また舞は千聖の居場所を奪おうっていうの?
千聖は舞に何かした?
些細な喧嘩だって今まで仲直りしてきたじゃないか。

「なんなんだよ!もう!」
「うわっ!?」

苛立ちまかせに叫ぶと、なっきぃが居た。
昔は早貴ちゃんって呼んでたけどみんなはなっきぃって呼んでるみたいだから自分もそう呼ぶことにしたんだ。
なっきぃは壁に向かって拳を突き出していた姿勢を見て眉を諌めた。

「そんなことしてたら手がボロボロになっちゃうよ」

握っていた手を優しく包んでくれる柔らかい手。
舞とは違う柔らかさを持つ暖かい手。

-そうだよ、千聖ちゃん

あの言葉と笑顔に凄く救われた。
だから今度は彼女達の力になりたいと思った。
居場所が欲しいから、みんなについていくことにした。


そうだ、もう舞が居なくたっていいんだ。

67 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:50
私にはみんながいる。
舞に遠慮なんかしない。
舞がそういうつもりなら、とことんみんなを守るまでだ。

「なっきぃ、話があるんだけど」
「なに?」
「えりかちゃんが落ちたときのことなんだけど…」

息を呑んで一回深呼吸する。
舞のことは気にするな。
これでみんなに舞がどう思われたって千聖には関係ない。

「あの日、どうやってえりかちゃんが落ちたか覚えてる?」
「…確か縄が崖下から舞美ちゃんの腕に絡んできたんだよね」
「そう、そしてそれを無理矢理引っ張ったえりかちゃんが落ちた…」

そこが問題なんだ。
あんなに縄の扱いに長けた人間を、千聖は一人しか知らない。
そしてあんな崖なのに悪戯のような罠で扱おうとする大胆な人。



「あれはたぶん舞の仕業だ」



なっきぃが息を呑む音が聞こえた。
68 :一章 pain :2008/02/26(火) 22:51

「機械的な動きをした縄だったから本人が居たのかどうかはわからないけど、舞だよあれは」

縄の扱いについて舞の知識は一級品だった。
ロープでぐるぐる巻きにされた日も、手だけ縛られた舞は自分の指の関節を外して無理矢理ロープを抜け出したんだ。
だから二人なら怖いものは無かったんだ。
千聖は守るし、舞はフォローする。

「…そっか」
「うん。舞だね、確実に」
「それで、千聖はどうするの?」

そう言われて、すごくお腹が熱くなった。
もう居場所を失いたくない。

「…舞は千聖が捕まえる」
「それでいいの?千聖は…」
「舞は悲しまないよ」

舞はいつだって泣かなかった。
舞が泣いていたのを見たことなんて一回も無かった。

「舞は千聖のことなんかで泣かない。舞はああ見えて全然しっかりものなんだ」
「…」
「私は舞を、敵として扱う」
「なんか悲しいね…」

つらそうな顔をしてくれるなっきぃ。
それだけで十分だった。
一緒に泣いてくれる、一緒に苦しみを感じてくれる。
そんな仲間と出会わせてくれたことだけを舞に感謝した。
69 :ななしぐも :2008/02/26(火) 22:54
リ ・一・リ<独白だ。

千聖楽しいよ千聖。
でも矛盾多いんだよーorz
次は今までほとんど空気だった愛理の独白です。
70 :ななしぐも :2008/02/26(火) 22:55
ノk|‘−‘)<一番空気だかんな。
71 :ななしぐも :2008/02/26(火) 22:56
从・ゥ・;从 シュジンコウナノニナァ
72 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:23
airi.


「舞美ちゃん、怒ってるの?」
「…なんでもない」

あからさまにえりかちゃんを気にする舞美ちゃん。
怒ってるわけではないかもしれないけど、何か思ってることぐらい丸わかりだよ。
こんなとき何もできない自分が辛い。


歯がゆい経験は何も今回限りじゃない。


前にも一度あったんだ。
今日膝から崩れていく舞美ちゃんを見て、思い出したことがいっぱいある。
人間はなんてたくさんのものを忘れていくんだろう。
そしてなんで辛い記憶を全部閉じ込めてしまうんだろう。


それは私にとって大事な記憶の欠片。


誰かに聞いて欲しかった。
誰かに慰めて欲しかった。


本来ならいつも頼りがいのある舞美ちゃんのところに行くんだけど、今日ばかりは無理そうだ。
こんなとき頼れるのは大事な親友。
73 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:23
「栞菜」

私の声に気づいた彼女は小走りに近寄ってきてくれた。

「ちょっと話いい?」
「いいよ」

栞菜は即答してくれた。
この微妙な空気の中、栞菜もどう行動していいかわからなかったんだろう。
無理なく私のうしろについてきてくれた。

誰にも聞かれないように自分の部屋に来ると、とりあえず栞菜に座ってもらった。
これから話すことは場合によっては行動に支障をきたすかもしれない。
それでも誰かに自分の苦しみを和らげてほしかった。
ごめんね、栞菜。

「で、どうしたの?」
「うん、あのね。思い出したことがあるんだ」
74 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:24
舞美ちゃんが崩れ落ちたとき、私は小さい頃の記憶を引き出した。
それは大事な記憶。



「私、舞ちゃんを知ってる」



その言葉にはっとなる栞菜。
そりゃそうだよね、私だって驚いたんだから。

「萩原舞もハローだったなら知ってる可能性はあったもんね…」
「うん」

ただ、あまりにも変わりすぎててわからなかったっていうのもあるかもしれない…。
だって昔のあの子は…。

75 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:24



76 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:25
そのとき私はまだ小さかった。
Kidsが2グループに分けられて先輩の手伝いをさせられたときがあった。
私はたった4人のほうに分けられ、そのとき舞ちゃんが一緒だったのだ。
ベリの茉麻とりぃちゃんと4人で楽しかった。
舞ちゃんはいつも誰かの後ろにくっついてもぞもぞしてて可愛かった。
傍に誰かがいないと落ち着かないみたいで必ず誰かに引っ付いてた。

ある日、舞ちゃんがなかなか仕事が上手くいかなくて大泣きしていたんだ。
茉麻もりぃちゃんも別でやっていることがあって、その場にいたのは私だけ。



-舞、やっぱり一番年下なんてやだ…



こんなに大人数の中で一番年下であったことがないし気持ちがわからない。
それになんて言葉をかけていいかもわからない。
ただ泣きじゃくる舞ちゃんを見ながら私はただ立っているだけだった。



-はやくおっきくなりたい



今思い出せば舌ったらずな声は相変わらずだったな、とか度胸が据わってるままだとかそんなことまでわかる。
どうして忘れていたのかな。
ボロボロと大きな涙を流す舞ちゃんを眺めてた。
あの可愛かった小さな舞ちゃん。
77 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:25



78 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:26
「…ふーん、そんなことがあったんだねぇ」
「ごめんね、Kidsの話はヤだった?」

栞菜は℃-uteとベリで唯一Kids出身じゃない。
それでもみんなと打ち解けてるし問題は無いんだけど、どうしてもたまに気にしてしまう。
だって私ならきっと耐えられない。

「ううん、愛理の知らない頃を知れるのは嬉しいよ」

そういって笑う栞菜は最高にかっこいい。
だから私はついつい栞菜に頼ってしまうんだ。

「ごめんね、変な話して」
「それで愛理はどう思うの?」
「あ…」

そう、それが言いたかった。
私の記憶では舞ちゃんはほんとに小さかった。
愛理ちゃんと慕ってくれる姿はほんとに可愛かった。
それに空気よめないし悪戯が過ぎるけど悪い事するような子じゃなかった。



「私、舞ちゃんはそこまで酷いことを出来る子じゃないと思う…」



千聖の言っていたことはほんとだと思う。
でも、私は舞ちゃんを疑いきれない。
79 :一章 elekto :2008/03/03(月) 23:26
「…舞ちゃんと話したい」
「真相を知りたいね」

ずっと一緒にいた千聖の言うことのほうが正しいかもしれない。
理由も無い。
けど、それでも信じたい思いがあった。

「もし次舞ちゃんと会ったとき、私はどうすればいいのかな…」

きっと千聖と舞ちゃんの激突は避けられない。
千聖は知り合ってわかったけどかなり熱い性格だ。
たぶん舞ちゃんが平然としてる限り、ガチンコで舞ちゃんにふっかけると思う。



そのとき、私は…?



今はただ、悩んで見守るしか思いつかなかった。
栞菜はそんなあたしの気持ちを察してくれたのか、何も言わずにただ傍に居てくれた。
80 :ななしぐも :2008/03/03(月) 23:29
(o・D・)<出番まだー?

愛理の思い出です。
色々無理設定だとか勘弁してくださいorz
うぅぅ…けど愛理も栞菜もみんなみんな良い子なんですorz
だからこそ書きにくい!(まて
81 :ななしぐも :2008/03/03(月) 23:29
州・v・)
82 :ななしぐも :2008/03/03(月) 23:29
リ+・一・リ
83 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:08
maimi.


えりが無事に帰ってきた。
相変わらずえりは笑ってる。
あたしは正直わからない。


えり、えりになにがあったの?


突然えりが消えるなんてことがあったら…。
あたしはどうなるんだろう。



-舞美、ごめん



さっぱりとした声が記憶に滲む。
ダメだ、今思い出すべきことじゃない。
記憶を無理矢理頭から追い出し、えりの部屋に向かう。
そろそろシャワーからあがったとこだろう。
84 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:09
「えり」

ドアを開けると、パジャマでぐいぐいと水を飲んでるえりがいた。

「お、舞美ー!なに?夜這い?」
「えり」

ふざけるえりに強い口調で詰め寄る。
笑っていた顔が一転して困り顔に変わる。

「舞美、さっきのことなら言えないって…」
「なんで?」
「…舞美」
「ねぇ、なんで隠すの?任務としても、親友としても、えりのことを聞き出したい」

正直な気持ち。
それでもえりは気まずそうな顔をやめない。
えりのこんな顔見たくない。
でも、知りたいよ…!

「えり…お願い…」

すがるように服を掴んでえりの胸に額を押し当てる。
みっともないけどどうしてか知りたくてしょうがないんだ。
安心させてほしい。
ほんとになんでかすっごい不安なんだよ。



えりが、あの子みたいに消えそうで、嫌なんだ。


85 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:10




ザザッ



86 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:10
世の中ってなんてタイミング悪くできているんだろう。
あまりの情けなさに唇を噛む私の代わりにえりが応対する。

「はい、℃-uteです」
『出動です』

今日ばかりは元気に笑って走る余裕は無さそうだった。
87 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:10



88 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:12
現場につく。
それは最近お馴染みになりつつあった火事現場だった。

「…舞」

千聖が困った顔でビルを見上げる。
それは廃ビルだった。
上のほうから順に燃えていっている。
一般人がいる気配はなさそうだし、急ぐ必要はない。

「一応中に人がいないか確認しよう」

心なしかみんなの返事も頼りなかった。
だめだ、あたしがしっかりしないから…。

「よーっし、頑張るよぉー!」

元気に声を張り上げてくれるえり。
こんなときでもあたしをフォローしてくれようとする。
その優しさが今は少しだけ痛い。
でも頑張らなきゃ。

「うん、みんなよろしく」

小さなビルだし周りに気配もない。
今日は外の見張りもいらないだろう。
89 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:14
全員で中に入る。
火は下までまわってきていないけど、かなり熱かった。
視界はかなり悪い。

「みんな、気をつけて」

先頭を急ぎ足で歩く。
でも慎重にかつまわりに気を配る。
上から崩れてきているのならいつビルが崩壊するかもわからない。
いくら火のまわりが遅そうでも急いで調べなければ。
途中にあった2階への階段は使い物にならない状態だった。
爆風で壊れたんだろうか…。
階段より奥に部屋を見つける。
調べられるのはここぐらいか。


ゆっくり開いた。
焦げ臭い匂いがする。



「…!」



人影がある。
煙で視界が悪くて誰かわからない。
90 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:17
「誰!?」

叫んでも返事は返ってこない。
どうやら倒れてるみたいだ。
助けないと!
急いで走り寄る。


「…う…ぐぅ…」


小さく呻き声が聞こえた。
意外と広い部屋だ…。
ぼんやりと人影がシルエットを作り始めた。
小さい。
もしかして一般人…
91 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:17


…違う!一般人なんかじゃない!


92 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:18
それは先ほど千聖が呟いた人物だった。

「舞!!」

叫んで走り寄る千聖。
よく見ると体には擦り傷がたくさんある。
背中は見えないけど血が出ているんだろう。
ドアから彼女の場所まで血を引きずった跡があった。
どういった状況かはわからないけど、敵といえど怪我人は助けないと。
そう思って抱えようとした瞬間に、強い力で撥ね退けられた。


「わっ!?」
「…んぐっ…!」


撥ね退けたのは意外にも倒れていた本人だった。
反動で背中を打ちつけたらしい。
肩で息をしながらこっちを睨んでる。

「…んはっ…はぁ…」

そして、視線を逸らした。
でも逸らした先には…。
93 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:18




「舞…!」



「…ち…さと…」



94 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:21
なんて皮肉な再会。
二人とも何を言えばいいのかわからないのか、黙ってお互いを見つめている。
千聖なんか文句とか色々言いたいことがあったろうに。
怪我だらけの元相棒に面食らって何も言えないんだろう。
…でもあまり時間がない。
出来ることならこのまま二人を納得行くまで話させてあげたいけどそうもいかない。
慌てて舞ちゃんを介抱しようと再度手をのばす。

「や…だっ…!」
「大人しくしなさい!」

どこにそんな体力があったのか、舞ちゃんはあたしを突き飛ばした。

「…いたっ…!?」
95 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:22
舞ちゃんは渾身の力でみんなを振り切って外に逃げようとした。




ドッ




ドア付近で意外な人物がそれを阻止する。
荒々しく子どもの腹を殴ったのは、愛理だった。
96 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:23
「…ごめん、話…したかったから」

泣きそうな顔で倒れた相手に謝る愛理。
あたしたちは安堵の息を漏らした。
とにかく倒れた舞ちゃんを担ぎ上ようとする。
ぐったりと力の抜けた様は完全にただの子どもだった。



突然、あたしの横で風が切れた。



それは突然で、でも前触れはあったのかもしれない。
手から舞ちゃんの重みが無くなる。





「ごめんみんな!」





一瞬で舞ちゃんを担ぎ上げて外へ飛び出した。

「えりかちゃん!?」

いち早く栞菜が追いかけようとする。
97 :一章 弾 :2008/03/09(日) 22:25
けどそれと同時に天井が崩れてきた。
予想以上に火のまわりが早い!?
このままじゃあ建物が崩れる!

「くっ…全員とにかく逃げて!」

指示を出すとみんな弾けるように外に駆け出す。
私も追いかけるけど、頭はぐるぐるなままだ。

えり。


えり。



えり!



どうして…?




外に出たとき、えりの姿も、舞ちゃんの姿も無かった。
98 :ななしぐも :2008/03/09(日) 22:28
今回ギャグのギャの字も無いです。
それならそれでもう少し緊迫感など出せればいいのですが…。
そしてわかりやすいほどの伏線祭り(笑

orz
99 :ななしぐも :2008/03/09(日) 22:30
今回の空気組

ノk|‘−‘)
ノソ*^ o゚)
100 :ななしぐも :2008/03/09(日) 22:31
ノk|‘−‘)<いつか仕返ししてやるかんな。
ノソ;^ o゚)<現場には居るのになあ。
101 :一章 遠い日 :2008/03/14(金) 20:40
???.


痛い。


痛い。




もういやだ。





千聖。





助けて





102 :一章 遠い日 :2008/03/14(金) 20:41
「…っ!」
「あー、動いちゃだめだよ」

目を覚ますと、見覚えのある洞窟。
そっか、ここはあの崖の横穴だ。
体が軋んで思わず後ろ向きに倒れる。

「…どうして…」

見覚えがないのはただ一人、彼女だ。

「いや、ほっとけないでしょ。あれは」

…耳鳴りがする。
あの機械の音みたいなやつ。
そっか、やられたんだ。
まさか当たりだと思わずに探っていたら罠でドッカン。
一階まで逃げたはいいけど、ダメージで力尽きたんだった。
千聖とそのお友達に連れて行かれるのを彼女は阻止してくれたんだと思う。

「ごめんね」
「ううん。舞美なら許してくれるからあたしは大丈夫」
「…そっか」
103 :一章 遠い日 :2008/03/14(金) 20:41
千聖はもうこっちを見てくれないと思う。
なによりまっすぐなヤツだから、裏切り者な自分は許せないと思う。
…千聖といるのはなにより楽しかったんだけどな。
でもそれは千聖にとって嘘の世界に変わるんだ。
ちぇっ。

「ま、終わるまで付き合うよ」
「…いいのに」
「遠慮しない!なんといわれようとあたしはやりきることを決めたのだよー!」
「そっか。…ありがと。ごめんなさい」

笑顔の彼女が千聖と重なる。
問答無用で自分の助けをしてくれるヤツと。
何日かぶりに見た千聖はまだ綺麗な目をしてた。
彼女たちの元に居たのならむしろ綺麗になって当然か。
それに比べて…。

「大丈夫、全部終わればなんとかなるよ」
「そうだね」

終わらせる。
そしていつかあの子に会ったときに自慢するんだ。
あの子が居なくても誰かを助けられたよ!って、言ってやるんだ。
それまで泣かないって約束したんだもん。




それまで泣かない、そう決めたんだもん…。



104 :ななしぐも :2008/03/14(金) 20:42
短いのでもう一個続けて更新します。
105 :一章 1st Priority :2008/03/14(金) 20:43
maimi.


えりとこんなに離れたのはいつぶりだろう。
割と昔から傍にいたから、わからない。

「えり」

いつもなら呟いただけでも聞きつけてやってくるくせに…。
どうしてなんだろう。
どうしてえりが傍に居ないだけでこんなにショックを受けてるんだろう。
…あの子が居なくなったときを思い出すから?

「…そんなまさか」

思い出さないようにしてるのは認めるよ。
でも吹っ切れたはずなのに。
しかたないって思ってるのに。
…でも、そうじゃなかったら何?
親友が居ないとすごく寂しいと思う。
でもほんとにその寂しさ?
いや、これは寂しいというよりは…。



「つらい…」



無意識に心臓あたりの服を掴む。
106 :一章 1st Priority :2008/03/14(金) 20:44
舞ちゃんはボロボロだった。
防御型のえり一人で舞ちゃんを抱えて遠くにいけるはずもない。
むしろあたしたちから逃げ切れただけでも良いほうだ。



でも一度見えなくなれば、あたしにはえりがどこに行きそうなのか全然わからない。



極たまに遊びに行くことはある。
でもえりがほんとに行きたい場所なんて想像もつかないんだ。
あたしはえりの何を知ってたんだろう。
あたしはえりにとってなんだったんだろう。
あたしにとってえりってなんだったんだろう。
親友?仲間?家族?

たくさんのえりを思い出してみる。
いつもえりは笑ってて、泣いてるときまで笑ってる。
怒った顔もすぐに華やかに笑いだす。
笑顔しか、出てこない。
107 :一章 1st Priority :2008/03/14(金) 20:45



「あ、れ?」



ほんとに今まで何を見てきたんだろう。
えりのことならなんでもわかるつもりだった。
だって誰よりえりに近いのは自分だと思ってた。
むしろえりに一番近いのは自分じゃなきゃ嫌だと思う。



この気持ちはなに?






えりの、一番じゃなきゃ、嫌だ。





108 :一章 1st Priority :2008/03/14(金) 20:46
「…ははは…」

馬鹿だなあたし。
だんだん、なんで自分がショックを受けてるかわかってきた…。
こんなの無いよ。
離れて気付くなんてどんだけ鈍感なんだあたし。


あたし、えりのこと親友だなんて思ってないんじゃん。


居て当然の存在として見てたんだ。
そっか。
そうなんだ。
まるで恋を知らずに結婚した夫婦みたい。





いまさら好きだなんて気づく。





あたし馬鹿だし。
えりも普段からあたしのこと馬鹿馬鹿言ってたし。
ほんっとに、えりにどう謝ろうか。
実は好きだったんだけど知りませんでした、とか言って?
えりの最優先を何も考えずに受け取っていた。
何も考えずにえりを自分の物だと思っていた。
そんなはず無かった。



謝らなきゃ!



えりを向かえに!!






事件を解決させよう!!!






どんな状況でもいい。

突っ走る想いさえあればあたしはきっと走れる。

「よしっ!待ってろえり!!」
109 :ななしぐも :2008/03/14(金) 20:46
やじーは単純仕様なので割とあっさりしてる子になってます。
110 :ななしぐも :2008/03/14(金) 20:47
(o・D・)
111 :ななしぐも :2008/03/14(金) 20:48
(o▼D▼)
112 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:55
chisato.


えりかちゃんと舞の捜索開始から4日目。
沈んでた舞美ちゃんが爆発したように元気になってすぐに捜索を始めた。
かなりいろんなとこを探したけど手がかりはゼロに等しい。
…藤本さんの居場所は教えてない。
きっとえりかちゃんが居るなら舞も藤本さんのところに戻るってことは無いだろう。
藤本さんは赤の他人を面倒見てやるような人じゃない。
むしろ知らない人間が急に家に入ってきたら半殺しにするような人だ。
…それに、私は、正直あまり探したくなかった。
もう舞を見るのは耐えられない。



あのとき、時が止まった。


113 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:55
思わず走り寄った。
でもどうしていいかわからない。
別れた日を後悔した。
舞をひとりにさせなければこんな目には千聖が遭わせなかったのに!!

そして、舞美ちゃんをはじきとばした舞を見て違う思いが生まれた。
それは怒り。
千聖を裏切ったのは舞なのに、どうして千聖が舞を守ることを考えてるんだ?
忘れちゃいけない。
舞はもう千聖の相棒じゃない。
もう舞は敵なんだ。

…なのにどうしても切れない。
舞を倒す覚悟だった。
なのにいざとなったらそんなの悲しくてやりきれなくて出来るはずがなかった。
ずっと守ってきた相手を傷つけることができない。
114 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:56
それに舞を殺すだけなら単体であの人のところへ乗り込めばいいはずだった。
千聖ならあの人に見つからずに舞だけのところへたどり着く自信はなくもない。
それでもしないのは、舞のことだけじゃなくあの人に嫌われたくないからだ。
どんなに酷い言葉を吐かれても優しいところを知ってるから尊敬は尊敬のまま。
でももう心の痛い思いはしたくない。

きっとこのままじゃどちらも離れてしまう。
℃-uteのみんなも舞も。
どっちだ。



どっちだ!?



きっとしらみつぶしに探すよりは伝えたほうが良いことがある。
でも選べない。
言えない。
千聖はまだ舞たちにしがみついてるのか!?
115 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:56




「舞美ちゃん、頑張ってるね…」



116 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:56
ぽつりと呟いた言葉は誰のだったんだろう。

「なんとかしてえりかちゃんを見つけたいね」

そう、舞美ちゃんはすごく頑張ってる。
えりかちゃんが消えて、痛ましいほどにえりかちゃんを探し続けている。
休めといっても見つけるって聞かないんだ。
優しい優しい舞美ちゃん。
千聖の寂しい気持ちを見抜いてくれた優しい舞美ちゃん。

「千聖?」
「ご、めん」
117 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:57




あの人に嫌われたくない。




でも、このまま舞美ちゃんを放っておくなんて…。


「おぉ?どうした千聖ー?」



できないんだ…。



「…ごめん舞美ちゃん!」

きっと今の千聖の顔は泣きそうだ。
罪悪感と吹っ切れた感じがごちゃまぜでもうなにがなんだかわからない。

「もうひとつだけ…あるんだ」

声が震える。
きっとこれを言ってしまえば戻ることはできない。
元々戻ることなんて出来なかったのかもしれない。

ただ、ここにいる暖かい人たちを、助けたい。
118 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:58





ごめんなさい。




119 :一章 dilemma :2008/03/18(火) 19:59
「…舞と千聖に命令を下してた人…」














「藤本さんのところへ、行こう」














最後の手がかり。


最後の、帰り道。
120 :ななしぐも :2008/03/18(火) 20:00
一章はあと8〜9回で終わるかと。
121 :ななしぐも :2008/03/18(火) 20:00


122 :ななしぐも :2008/03/18(火) 20:00


123 :ななしいくさん :2008/03/19(水) 01:19
更新お疲れ様です
千聖……
124 :一章 先 :2008/03/25(火) 22:42
maimi.


「ふ、じもと、さん?」

その名前には覚えがあった。
ごく最近モーニングから抜けてソロで動き始めた大先輩。
その原因は色々な噂があったはずだ。
でも今は行方不明のはずのあの…。

「ごめんね、千聖がもっと決断力ある子だったら…」

千聖の声が震えている。
相当悩んで言ってくれたんだろう。
あたしは千聖を腕の中に迎え入れた。
千聖には悪いけど、凄く嬉しかったから。

「…ありがとう千聖。ごめんね、辛い決断させて…」
「違う!千聖の心が弱いから…!!」
「大丈夫、大丈夫だよ千聖」

ゆっくりと千聖の犬みたいにふわふわな頭を撫でる。
こんな小さな子があたしなんかのために辛い思いをしてくれた。
…じゃあ、その気持ちに応えなきゃ。


「行こう。えりを探しに」


会って、今度こそ真相を聞くんだ。
親友だって誤魔化さないで、ちゃんとえりを見て話そう。
舞ちゃんだってまだ子どもで出し抜くなんてなかなか考えられないはず。
きっとそうしなければならない何かあるはずだ。

上手くいく。




きっと上手くいく。




まるで呪文のように唱えた。
目的は、千聖の言っていた藤本さんの場所。
待ってて、えり。
絶対手がかり見つけるから。
125 :一章 Justice to Believe :2008/03/25(火) 22:44
maimi.


そこはまるで廃ビルのような場所だった。
いや、きっと元は廃ビルだったんだろう。
穴やひびなどの目立つものは無いものの、壁は薄汚れてとても人が住んでいるとは思えない。
でも人の居る気配がする。
しっかりと人の住める環境だ。
ただ、上の階にあがるにつれ、空き部屋が多くなっていく。
下の階はほとんどが機械で埋め尽くされていた。
…一体何なんだろう。

「…千聖、平気?」

進むにつれ、だんだんと顔の青くなっていく千聖。
このままでは平常に行動を行えるかも心配だ。

「だ、だいじょぶ…」
「千聖、手繋ご」
126 :一章 Justice to Believe :2008/03/25(火) 22:45
なっきぃから手が差し出された。
千聖がそれをおずおずと握り返す。
僅かに笑う千聖。

「…これから修羅場かもしんないのに…らぶらぶだねぇ」
「もう!栞ちゃん違うって言ってるでしょ!?」

栞菜の冷やかしに小声で器用に怒鳴るなっきぃ。
…なんていうか緊張感無くすなあー…。
ま、いいか。これが℃-uteだ。

「うん、よし」
「いっちゃおう」

目の前には最上階のドア。

「舞美ちゃん」

くいくいと袖を引っ張られる。
愛理がにこにこと嬉しそうに笑ってる。

「どした?」
127 :一章 Justice to Believe :2008/03/25(火) 22:45
「んーん、6人で℃-uteだよね」

目を剥いた。
…愛理、そうだね。
うん、そうだ。

さっきの撤回。




えりがいなきゃ℃-uteになんないよ。




あの号令は無しで行こう。
あれはみんな揃ったときにやる。

「行こう!!」

思いっきりドアを開ける。
そこに待っているのがなんであろうと、あたしはえりを迎えにいく!
128 :ななしぐも :2008/03/25(火) 22:51
短いので二つ更新です。
洞窟は探さないのかという指摘がありましたが、

>かなりいろんなとこを探したけど手がかりはゼロに等しい。

に、洞窟が含まれてます;;
わかりにくくてすみませんorz


>>123
ありがとうございますー!
これからも更新頑張ります!
リ ・一・リ<千聖だってやるときゃやるんだよ!
(o・D・)<いまだ後ろ組でしゅけどね
リ+・一・リ<これからだよ!これから!
129 :ななしぐも :2008/03/25(火) 22:52
今日のいいとこどり

州・v・)
130 :ななしぐも :2008/03/25(火) 22:53
州`v´)
131 :ななしいくさん :2008/03/26(水) 08:24
これから先、どうなるか楽しみにしてます
132 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:01
maimi.


「…なに?」

そこは既に戦場だった。

「ノックも無しかよ」

目に映るのは転々とした赤。
そしてそこに倒れている…。

「えり!!」

壁に寄りかかって倒れ臥しているえり。
背中は破れ、砂利と血が入り混じっているのが遠くからでもわかった。
こっちにガン飛ばしてる相手を無視して慌てて駆け寄る。

「えり」

応えられる状態じゃない。
背中を強打してるんだ。
骨は折れてないかもしれないけどひびぐらい入ったかもしれない。
…ごめん、えり。
もっとはやくこれば良かった。
えりを楽な体勢にしてやり、恐らくこの事態を起こしたであろう張本人に向く。
133 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:02
「なんだ、もう終わり?なかなか面白いドラマだったけど」

…確かに。
千聖の言ったことは本当だった。
目の前にいるのは本物の藤本美貴だった。
…正直、あたしたちで適う相手じゃない。
でも逃げるわけにもいかない。
背中を見せた瞬間やられるのがオチだ。

「ふん、生意気な目」

気に入らなかったのか目線を逸らして他のメンバーも見回した。
ある一人のところで顔の動きが止まる。

「へぇ…岡井の友達なわけ?」

体に緊張を走らせる千聖。
顔は相変わらず真っ青だ。
134 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:03



「賢明だね。戻ってきたんだ」



そうだ。
この人は千聖の元仲間…。
ここで千聖が寝返っても不思議はない。

…でも、千聖はそんなことする子じゃない。
ここ数日一緒にいてちゃんと知ってる。
千聖は前の仲間だからって今の仲間を粗雑にするような子なんかじゃない!
135 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:05


「ち、違う!…これはどういうことですか!?」


泣きそうな声で叫ぶ千聖。
なっきぃの手をしっかりと握って、自分を奮い立たせて喚く。
頑張れ、千聖。

「どういうことって、不法侵入者は捕まえないと」
「でも、きっと何か理由があったはずです!それを…」
「理由があればいいわけ?」
「そうじゃなくって…」

言葉が段々と尻すぼみになっていく。
どういうこと…。

「それに、裏でこそこそしてたヤツをぶちのめしたって別に良くね?」

…なに?
じゃあえりはやっぱりなにかをしようとしていたってこと?
ならどうしてあたしに相談してくれなかったのかな…。
136 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:07
「それで殺したら今度は藤本さんが犯罪者になっちゃうじゃないですか!」
「今さらそんなの気にするか?」
「…っ!」

藤本の言葉はどこまでも軽い。
千聖と話してるのに千聖のことなんてまるで目に入っていない。

「それじゃあ!こうやって無断で出て無断で帰ってきた千聖のことも殺す気なんですか!?」

千聖の言葉に、非情な声で笑う藤本美貴。







「当たり前じゃん」







「え…」
「そこまで解ってるのになんで戻ってきたんだよ岡井。殺しちゃうよ?」
137 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:07
ニヤニヤと口だけで笑いながらナイフをちらつかせる。
千聖はきっと否定してほしかったんだろう…。
でも、この人は…。
仲間を仲間とも思わない行動。
カチンとくる。
怒りで震える。
口が開いた。

「あなたは…どうしてこんなことを」
「聞かなくてもいいことだよ」

ヒュンと音をたててナイフが飛ぶ。
目で確認できる速さではなく、気づいたときには右後ろの壁にナイフは移動していた。
それがどういうことか、わからないほど子どもじゃない。

「…なんで…」



でも、それで逃げ出せるほど大人でもない!!


138 :一章 みちしるべ :2008/04/02(水) 23:09
「このっ!」

一気に間合いを詰めて体を押さえつけようと手首を狙う。
その手は弾かれ、素早く胴に当身を食らわせられた。
跳ぶほど強くはないその当身に、遊ばれていることを実感する。
急いで姿勢を変え、防御にまわす。
その間もニヤニヤとこちらを見て笑う藤本。
どこまでもあたしたちを捕らえていない藤本の態度。
次の瞬間、壁まで吹っ飛ばされて意識を失いそうになるのをなんとか耐えた。



「…うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



ベルトからナイフを抜き出し、走る千聖が視界の隅に映る。
藤本も視界にそれを入れたのか、浮かべていた笑いを消すと腰からもう一つナイフを抜いた。
ダメだ…、千聖!
そう思うのに痺れた胴が言うこときかない。
なっきぃ達からの距離じゃ届かない。


お願い!やめて!!


…誰か!!!!











グッ ズズッ









「…あ…」
「な!?」

二人の、動きが止まった。
二本のナイフも一つの身に吸収されて、動きを止める。
139 :ななしぐも :2008/04/02(水) 23:14
ほんとはへらっとしたバカみたいなミキティが大好きです。
みちしるべは長いので二つにわけて更新します。


>>131さん
あんまり納得できそうもないオチばっかつくるかもしれませんがよろしくです。
リl|*´∀`l|<でも倒れてるだけなんだよ!
140 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:22
???.


痛い。



痛い痛い。



もう、いやだ。




どうして自分がこんなめに。






それもこれもあいつとあの人が悪い。






大体、悪い人なんてそんなにたくさん居るわけないじゃん。





そんなこともわからないあいつはきっとバカなんだ。





だから舞がフォローしてやらなきゃ。





…だから、舞が…しっか、り、しな…きゃ……。





141 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:23
maimi



温かい血が噴出して、時間が止まる。
それはきっとほんの少しの時間だった。
でもあたしからしたらそれはコマ送りで起きた出来事みたいだった。

刺された女の子は、倒れることなくナイフを手にとる。

血は流れ、既に足元で水音がしている。
青い綺麗なキャミは赤く染まって模様なんてもう見えない。
表情は暗く、何を考えているかなんて全然わからない。

刺された女の子は、泣くこともなくナイフを抜き取る。

右腕に刺さったナイフを抜き取る。
血は温かく、生ぬるい。
左脇腹に刺さったナイフを抜き取る。
勢いよく噴出す血は止まることなく流れる。

刺された女の子は、叫ぶこともなくナイフを落とした。





「千聖、痛い」





淡々と吐き出された言葉すら温かかった。
142 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:23
耳に痛い小さな女の子の言葉。

「あ…あぁ…」

千聖は泣いていた。
いつも大事にしていた。
いつも自分が守ってやっていた。
そう自嘲気味に話していた千聖を思い出す。
その少女を、今、自分自身が刺した恐怖。

「いつも考えなしで突っ込むなっていつも言ってんじゃん」
「ま、い…?」

女の子はただ淡々と喋る。
でも、時折り悲しそうに千聖を見る。

「っ舞ちゃん!」

真っ先に動いたのは愛理。
その後に我を取り戻したなっきぃが千聖に走り寄る。
なんで愛理が舞ちゃんを?とか、これどういう状況?とか色々頭を回る。
わからない。
えりも起きない。
わからない。
143 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:25
「…おいおい、どーもこーもないっすよハギティ」
「藤本、さん」
「汚れるような泥試合は嫌いじゃなかったっけ?」

淡々と交わされる言葉。

「さすがにさっき美貴がやった左腕は上がんなかったんだ?」
「どーもこーもないっすよ…、ぅ、千聖が戻ってこなかったらこんなことには…」
「ふーん。やっぱり、岡井を追い出そうと企んだのはお前かよ」
「気づいてたんだ…」
「抜け抜けなんだよ。大方、全部終わったらお前らを殺そうとしてたの気づいてたってところか」

それは終わった間の会話だった。
お互いに悲しい目をしてる。
まるで二人以外の時が止まってるみたいに動けない。
あたしを置いてみんなと時が回ってく。

「何も急に後ろから蹴り飛ばさなくていいじゃないですか…」
「いいじゃん、一撃目はそこの大林○子が受けたんだし」
「それ余計ダメっす」
「お前が変なの連れて来るからだよ」
144 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:26






「だって…あの機械じゃ、松浦さんは生き返らないです」






145 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:27
藤本の空気が激変する。
松浦亜弥。
それは誰もが知ってる伝説レベルの人。
一人でたくさんの功績を残し、それは戦闘や救出のみならず色々なところで残されたもの。
そしてただ一人、藤本美貴が全てかなぐり捨てて甘えることのできた人。
しかしそれは数ヶ月前の話。
だって松浦さんは…。




「亜弥ちゃんは死んでない!!!!」




大規模なテロ事件だった。
爆弾の解除に成功した松浦さん。
誰もがそれで終わったと思った。
大量な火薬を詰め込んだ爆弾だから、それで全部だと思った。
近くでほんの少量の小さな爆弾が爆発し、全ての火薬に引火。
かろうじて逃げたものの、体は全身火傷。
体が全て吹き飛ばなかったのが奇跡。
結局、松浦さんはその数日後に亡くなったという連絡が報道された。
遺体は盗まれ、藤本さんは行方不明。
一気に世間は暗くなった。
146 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:28
「今は冷凍保存してるけどそれじゃ松浦さんが目覚めても体はすぐに朽ちます!」
「あの機械は完璧なはずだ!そんなはずないんだよ!!」
「あるんです!!!」

言い切る舞ちゃんに、言葉を切る藤本さん。
…松浦さんが冷凍保存?
じゃあ、遺体を盗んだのは藤本さん?
機械って…なに?

「…まさか、お前」
「部屋にはトラップがかけてありました。作った本人がかけたんでしょうね」

ひらりと紙を取り出し、一瞥する舞ちゃん。
そして藤本さんが詰め寄る前にびりびりに破いてしまった。

「…説明書見つけてたのかよ…!」
「紺野さんが使用法を知らせなかったのは、それが失敗作だとわかっていたから」

支えようとする愛理を押しのけて藤本の体にしがみつく。
それはまるで母親にしがみつく子ども。
頭一つ分違う体の二人が重なる。
舞ちゃんはまっすぐに藤本を見ている。



「使えば最後、本当に立ち直れなくなるのは藤本さんです…!」


147 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:28
なんて耳に痛い会話だろう。
本来なら関係ないはずのあたしたちまで耳が痛い。
世の中に、救われない。

「うるさい…!」

朦朧としているだろう頭で必死に藤本さんにしがみつく舞ちゃん。
姿すら痛々しく、血はいまだ止まらない。





「う、るさい…!!!!!!!!!」





急に上げられた大声に、やっと体が動き出す。
それでも遅く、藤本は既に舞ちゃんを振り切って後ろに下がっていた。

「それでも、美貴はやらないわけにはいかないんだ!!!」

駄々をこねるように叫ぶ藤本。
もはやこの人を悪人とは思えない。
でも止めないわけにはいかない。

「藤本さん!」

何をしようとしてるかはわからないけど、とにかく止めようと痺れる体に鞭を打ち腕を掴む。
興奮状態のその人に適うわけなく振り払われる。
148 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:31
「…ぜんぶ、おまえたちのせいだ…。
 美貴はただ、亜弥ちゃんと一緒に居たかっただけなんだ」

手には小さな機械。
恐らく何かのリモコン。

「もうアレの動かし方はわからない。
 亜弥ちゃんは戻らない。
 美貴だっていずれお偉い方にバレる」

最後通告のように淡々と語る藤本さん。
その目は既に生きてない。
自分の後ろでジャリジャリと音がした。
目線だけでそれを見る。
満身創痍のえりが立ち上がっていた。

「えり!」
「舞美…?」

呆然とこっちを見るえり。
えりが立っているのを見れただけで嬉しかった。
えりの目線はすぐにあたしから藤本さんのほうに動いた。

「…まさか!」
「え…」
「だめです藤本さん!それじゃあ松浦さんも一緒に…!」
「だからだよ」

悲鳴のようなえりの声に、淡々と暗く返す返答。
それで恐らく次に起こるアクションがわかった。
たぶん、あれはこのビルごと崩壊させるものだ。
それがどのぐらい強い物かはわからない。
でもあれは作動させちゃいけない!

「藤本さん!!」

スイッチは既に指にかかっている。
間に合うとは思えない。
それでも走らずにはいられない!!
149 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:32






「…またね、亜弥ちゃん」





150 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:33
藤本さんの後ろで小さな爆発が起こる。
爆風をもろにあびて気絶した藤本さんを急いで抱きかかえる。
たぶんこれはだんだんと大きな火薬に引火させるタイプの爆弾だ。
急げば間に合うかもしれない!

この人をこのまま死なせちゃダメだ。

そんなの、きっと松浦さんは喜ばない!

「みんな、逃げるよ!」

藤本さんを抱えると、えりに近寄る。
爆発はすでに小さなのが何発も起こっている。
急がなきゃ大きな爆発がくる。

「いいよ舞美、重いっしょ」

ああもう、こんなときまで笑うな!
あたしはもっと色んなえりを知りにきたんだから。
このままえりを放っておくなんて自分が許さない。

「いいから行くよ、えり」

帰ったら謝るんだから。
そんで勝手にこんな行動したこと、謝ってもらうんだから。
反対側でなっきぃが支えてくれている。
爆発は小さく、少しずつ大きくなってる。
急がなきゃ。


ドサ


人の倒れる音に慌てて後ろを向く。

「舞!!」
151 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:34
走り寄る千聖。
そうだ、誤解は解けたんだからちゃんと仲直りさせなきゃ。
でも今は逃げないと…。
って舞ちゃんも動けるような体じゃない!

「千聖!はやく舞ちゃん抱えて!逃げるよ!」

爆発は大きくなる。
爆発は隣の部屋で起きている。
その部屋ももう限界だろう。




ドン




一際大きな爆発が起きて、空気が止まった。
あまりにも静かなその空間に、もしかしたら死んじゃった?と思った。
死ぬときって痛くないんだなあ、とか。
最後にえりと出会えてよかった、とか。
152 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:34




「よーし、止まったー!」



153 :一章 みちしるべ :2008/04/14(月) 18:35
あまりに気の抜けるその声に目を開く。
あ、ちゃんと見える。
それは良く知った声。
そういえば彼女はこの部屋に入った後から見てなかった気がする…。

「もう爆発しないよー!火薬はもう全部パーにしたから!って言っても火は残ってるからなるべく急ごう!」

どうやら彼女、あたしたちが修羅場ってる間に隣の部屋にいたらしい。
…そこで言い合いを聞きながらせっせと火薬に水を撒いてたんたんだとか…。


「か、栞菜…」
「ほら、あたし藤本さん持つから舞美ちゃんえりかちゃんしっかり持って。早く逃げよ」


どこまでもマイペースにうぎゃうぎゃ叫んでいる栞菜に、今回ばかりは感謝した。
154 :ななしぐも :2008/04/14(月) 18:38
すいません、前回隠すの忘れてたうえに少し間があきました。
みちしるべだけ12KBという暴挙。
あと5回で一章終わりますー。
といっても全部短いです。
155 :ななしぐも :2008/04/14(月) 18:40
ノk|‘−‘)<今まで出番無かった分良いとこどりだかんな。
156 :ななしぐも :2008/04/14(月) 18:41
リl|*´∀`l|<結局ちょっとしゃべっただけなんだよ!
157 :ななしいくさん :2008/05/01(木) 23:06
かんなスゲェー。
やるときゃやるね、かんな(笑
158 :第一章 事の終わり :2008/05/05(月) 15:00
maimi.


爆発が止まってしまえば脱出はたやすかった。
外に辿り着くと、全員膝をついて汗だくだったけど。
急患は三名。
無線で信号を送り、救急車と偉い人を呼び出す。

これはあたし達にしては奇跡なぐらい大きな事件。
やりきれない気持ちでいっぱいの悲しい事件。





そう、誰も悪い人間なんていなかったんだ。





その証拠に結局死人は出ず、結果的には何も起きなかった事件。
あったのは松浦さんの遺体と、藤本さんの身柄。
笑っていたのは相変わらずえりだけだった。
159 :第一章 事の終わり :2008/05/05(月) 15:01

「やー、栞菜すごいね。なんであんなことできたの?」
「みんなが入っていくときに他の扉が見えてさー、調べてから合流しようとしたんだけど火薬だらけだったんだもん」
「あー、なるほど。っていうかそっか水撒けばよかったんだ!」
「もしかしてあるの知ってたの?」
「うん、でも湿気させるとか思いもしなかった」

ほんとに、この二人は空気ってものを知らない。
気は抜けるけどなんだか嬉しかった。

それとは正反対に、まだ泣きっぱなしの千聖。

「舞、舞!」

舞ちゃんは一度気を失うと、そのまま起きることなく運ばれた。
大量出血で起きる余裕なんてないんだろう。
160 :第一章 事の終わり :2008/05/05(月) 15:01
だから救急車が来て安心した。
これで舞ちゃんは助かるかもしれない。
舞ちゃんが助からなかったら、それこそ救われない。
付き添いにはなぜかやたらと心配していた愛理と、もちろん千聖を乗せてもらった。
そしてえりに栞菜を付き添わせて乗せる。
ほんとはえりにはあたしが付き添いたかった。
でもあたしはリーダーだからこの後の処理とか報告とかしなきゃいけない。
あたしたちは軽傷である藤本さんを暴れないように手だけ拘束して迎えを待った。

「待たせたね」

息荒く車で駆けつけたのは現役で活躍中の上司。
そして藤本さんと仲の良い、吉澤ひとみさんだった。
吉澤さんは藤本さんをちらりと見て、あたしたちのほうを見直した。

「ありがとう。こいつは私が責任持って連れ帰るよ」

そう言って車に藤本さんを乗せた。
吉澤さんの目は悲しみでいっぱいだった。

その後、たくさんの人が来てビルを調べていった。
その中にはベリの子達も含まれていて、なんだか良い顔はしていなかった。

「…舞美ちゃん」

もうあたしたちがここにいる必要はない。
なっきぃの声に振り向いて頷く。
もう帰って体を休めよう。
161 :第一章 事の終わり :2008/05/05(月) 15:02
「帰ろうか」
「うん」

沈んだ声のなっきぃ。
…結局みんなの心には悲しみしか残らなかった。
あたしとなっきぃは悔しさと悲しさを胸に抱えて帰った。
162 :ななしぐも :2008/05/05(月) 15:07
ゴールデンウィークに休みがないとはいかほどかっ!!!?
遅れました、更新です。
事件は一旦終わり、残る一章での話は数日後からの話となります。
もう少しお付き合いいただければうれしいです。

>157
ノk|‘−‘)<途中加入はダテじゃない!

州・v・)←オロオロしてただけだった人

ノk|;‘−‘)<あ、別に愛理がダテだと言ってるわけじゃ…
163 :ななしぐも :2008/05/05(月) 15:08
(o・D・)<ほんとに悪い人なんて…
164 :ななしぐも :2008/05/05(月) 15:09
(o・D・)<千聖以外いないんでしゅよ
リ;・一・リ<なんで!?
165 :ななしいくさん :2008/05/28(水) 23:05
ちっさーも悪くなんて無いよ〜。
最後の〆小説楽しみにしてます。
166 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:45
maimi.


翌日。

えりの骨は思ったより頑丈にできていたらしい。
朝になったら元気に会議室に出てきた。
まだ頭とか背中とか包帯ぐるぐるだけど、顔は晴れやかだった。

「おはよー!」
「おはようえり」
「おはようえりかちゃん」

二人で報告書を作成していたあたしとなっきぃは普通に返事を返すことにした。
やっぱりいつも通りが好きだから。
でも完全にそういうわけにはいかない。
事件の爪痕はビシバシ残っているんだから、全てケリをつけないと。

「今日はこれから舞ちゃんのとこにお見舞いに行くから」

直属の病院に送られた舞ちゃんは危ないところで一命を取り留めたらしい。
血液型は千聖が知っていたし、丁度同じ血液型の子が組織にいたんだとか。
舞ちゃんのこれからとか、藤本さんがどうなった、とか話すことはたくさんある。

「…舞ちゃん大丈夫かなあ」
「着いたらえりにもいっぱい質問するんだからね」
「うわ、あたし難しい話無理だよ」

あくまで笑っているえりに、今は安心する。
きっとちょっとだけ暗くなると思うから少しでも笑っていたい。
やっぱりえりに助けられてるなあ、あたし。
167 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:45


168 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:45
そこは真っ白な空間。
髪の色と愛理たちの服の色だけは映えていた。
病室には愛理と栞菜、そしてベッドに舞ちゃんが横たわっていた。

「こんにちは」

見上げる目にはもう鋭さは無く、困ったように眉を寄せた。
見た目には完全に女の子だ。

「…こんちは」

舌ったらずな声。
あの事件の最中は気付かなかったけど、こんなに頼りない声だったんだ。

「舞ちゃん、でいいかな」
「うん」

じっと見つめられる。
こんなに小さな顔であの藤本さんと張っていたのか。
今更ながらこの子の色々なところに驚かされた。

「千聖は…やっぱり来ないんだ…」

悲しそうに出された声は一人ぼっちにされた子どもとまったく同じものだった。
やっぱりこの子は千聖を裏切ったんじゃない。
訳があったんだ。
…大体の予想はついてるけど、任務的に細かいところまで聞かなくちゃならない。
それになにより、本人から聞かないと、気が済まないんだ。
169 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:45
mai.


「ごめん、話聞かせてくれないかな」
「千聖には内緒だよ」

千聖に知られたらまたバカって怒られるもん。
…もう怒ってもくれないのかもしれないけど。
170 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:46
何も知らずに藤本さんのもとで動いてた舞たち。
その前はよく知らない施設にいた。
もっと前はハロー!のKidsだった。
施設から藤本さんの下で働くように言われた舞たちは素直に従った。
藤本さんのことは前から知ってたし、なにより憧れの対象でもあった。
それに藤本さんは禁句言ったり問題を起こしたりしなければとても優しい人だった。
お茶目で、たまに甘えたさんで、かと思えばお姉さんらしく叱ってくれた。
舞も千聖も大好きだった。
171 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:46
ある日、機械がやってきた。
それは魔法の機械。
大切な人を生き返らせる奇跡の機械。
でもその使用方法は知らされなかった。
教える前に紺野さんはどこかへ消えちゃった。

それからだ。
藤本さんが冷たくなったのは。
ただひたすら紺野さんの居た形跡のある場所を調べ、そこにはもう戻らないように火事で潰す。
藤本さん自体が動くのは見つかる危険性がある。
だから舞と千聖が使われた。
紺野さんの筆跡を覚え込まされ、ただひたすらに使用法を書いた説明書を探す。
172 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:46
あるとき舞は藤本さんの部屋に入った。
聞きたいことがあったんだ。
藤本さんはいなくて、そこにあったのは小さな二本のナイフ。
それには名前が刻まれていた。




mai chisato




それはきっと、藤本さんから舞達への最後の思いやり。
使用法を見つけたら口封じに藤本さんは舞達を殺すつもりだ。
舞たちを殺せば、「松浦さんに知られる」ことはない。
そんな人を生きかえすなんてこと、知られたら困るから。
そして見つからなくてもいずれ藤本さんは壊れるだろう。
なにをしたって殺される。
藤本さんは一度決めたら覆したりはしない。
173 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:47
だから千聖を追い出した。
だって千聖が死んじゃったらやだもん。
自分はなんとか生きのびれる道を、藤本さんを止めれる道を探す。
でも千聖一人じゃきっと無理だ。
千聖は舞より強いけど、ちょっとまっすぐ過ぎるところがあるから。
だからリーダーにだけ会って千聖を頼むつもりだった。
だから罠を張った。
それは舞の千聖への願い。
でも予想外に来てしまったのはえりかちゃんだった。
見え辛いところに縄を地上に繋げてあったから、脱出は可能だった。
だからすぐに帰してあげようと思った。



-なにがしたいのか言ってごらんよ



予想以上に暖かいその声に頼った。
この人が居る場所なら千聖は大丈夫。
その後えりかちゃんは協力を申し出てくれた。
部外者を巻き込みたくない。
でも確かに舞一人じゃ無理なのも事実。
だから動きがあるまで帰ってもらった。
頼るか頼らないかは別に、心配してくれてる人がいるなら帰してあげなきゃって…。
舞にはもう誰も居ないし、藤本さんももう信頼はできないし。
だから仲間がいるなら、そこに帰してあげなきゃって…。
174 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:48
その後、やっと見つけた使用法には、紺野さんの罠がしかけられていた。
そしてハローの人に見つかった。

怖くって、でも捕まるわけにはいかなくて。

えりかちゃんが連れ出してくれたけど、これじゃあえりかちゃんも帰せない。
急遽、藤本さんと話をすることにした。
そして最近藤本さんが篭っていた部屋に入った。
そこにはたくさんの火薬があって、慌てて振り返ったときにはもう藤本さんに蹴り飛ばされていた。
藤本さんはえりかちゃんを隣の部屋に放り投げ、舞と少し会話した後にナイフで切りかかってきた。
そんで左腕をナイフで張り付けにされた。
その後でえりかちゃんはまた乱暴されたみたい。

そして…。
175 :第一章 全ては彼女の中 :2008/06/16(月) 13:48



「あたしたちが来たわけだ」

頷く。
意思の強い、綺麗な目。
藤本さんには無い暖かさ。
少しだけ千聖を羨む。
舞は間違えたのかな…?



まあ、千聖が幸せならいっか。



176 :ななしぐも :2008/06/16(月) 13:54
レポートラッシュにかなり小説を忘れそうだった私ですor2
お待たせしてすいません;;
今回は真相編だったわけですが、結構想像ついてた方いらっしゃったんだろうか。
ありきたりといえばありきたりなのですが、そんなことよりなにより…

性格違いすぎですよ萩原さん。

(;o・D・)<やむをえないじじょうでしゅよ

>>165さん
リ;・一・リ<そうだよね!千聖なんにも悪くないよね!!
(o・D・)<どっちかっていうと一人で先走った舞が悪いんでしゅよ
リ;・一・リ<うぇえ!?自覚あるんじゃん!!舞のばかぁ!
177 :ななしぐも :2008/06/16(月) 13:57
今回の居るのに空気組

ノk|‘−‘)
ノソ*^ o゚)
州・v・)

出てもいないのに話にバシバシ出てきてた人

リ;・一・リ
178 :ななしぐも :2008/06/16(月) 13:59
ノk|‘−‘)<どーせ千聖なんて火つけ役だかんな
ノソ*^ o゚)<キーポイントであるけどあんまり活躍はしてなかったよね、千聖
州・v・)<まぁ愛理のほうが舞ちゃんに関わること多かったからさあ

リ;・一・リ<なんかひどいよみんな

いい子なのにね。
179 :ななしいくさん :2008/07/14(月) 08:29
舞ちゃん偉い!!
千聖の事本当に好きなんだね〜。
180 :ななしいくさん :2008/07/27(日) 08:38
舞ちゃんの行動にはそんな理由があったとは…。
続き待ってます。
181 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:34
maimi.


話を聞いて、人間ってなんて不器用なんだろうと思った。
そして世界はとても上手く行かない。

「…藤本さんは?」
「今は牢屋暮らしかな。連続火事と遺体泥棒の犯人として長いこと幽閉されるんだって」

藤本さんは全ての罪を被った。
舞ちゃんと千聖に思いやりが無かったわけじゃない。
ただ運命が悪かっただけ。

「…うん、じゃあお世話になりました」

舞ちゃんはそう言うと体を起こした。
あまりにすんなりと言うものだから、急に対応できない。

「え?お世話になったって…」
「舞やることあるし」

そういってベッドから出ようとするから慌ててみんなで押しとどめる。

「せめて怪我が治ってからにしなさい!」
「でも治療費とか持ってないよ?」

まあ話聞いてると最もな意見なんだけどね…。
って違う違う。

「子どもが治療費とか言うな!」
「子どもだろうとなんだろうと言うよ、そこは。だって舞にはもう保護者もいないもん」

なんだかんだとベッドから出ようとする舞ちゃんを無理矢理押さえつける。
あまりに動くもんだから血が染み出てきた。

「うわわわ!動くなっての!」
「舞ちゃんも舞美ちゃんも落ち着いて…」

あわわわこのままじゃもっと悪化しちゃう…!


182 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:35





「舞」




183 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:35
騒がしくなった病室が水を打ったように静かになる。
入り口には千聖が立っていた。
顔は険しく、目も鋭い。

「千聖…」

舞ちゃんは凄く辛そうな顔をしている。
…そうか、まだ仲直りしたわけじゃなかったんだ。
でも千聖がここに来たことによって話は進むことができる。

「舞、千聖がなんで怒ってるかわかってるよね」
「…ごめん」
「さっきから全部聞いてたんだ」


二人だけの空気に思わず体が凍りつく。
184 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:35





…と、いうわけでもなかったりして。





「えり、りんご剥いて」
「しょうがないなあ舞美はー」
「いや、ちょっとは気を使ってよ!」

思わず空気を忘れて突っ込んでくる千聖。
いや、だって…。

「どんなに暗くしたって見た目がね…」
「くっ!千聖だってもう少ししたら大きく!」
「舞もう千聖より大きいよ?」
「…いいさ、いいよもう身長は…」

いろいろないがしろにされて千聖は激しく落ち込んだ。
だって見た目子どもだからなー。

「いいよもう、じゃあ仲直りっ」

舞ちゃんの手を無理矢理掴んで握手する千聖。
千聖の顔は真っ赤で、すごく微笑ましかった。
185 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:36
「…舞はいいけど、千聖はそれでいいの?」
「んー…そりゃ納得はいかないけど…」
「だったら…!」
「でもまあ千聖は舞のお姉さんだからな」

舞ちゃんは千聖を見上げた。
あたしの位置からじゃ顔が見えない。

「…そっか」

小さく手を握りなおすのが見えた。
これで一安心…かな?
千聖が嫌がらないんだったら舞ちゃんはここに居てくれるだろう。



「…舞がいないと、やっぱ千聖だめだ」
「千聖がいないと調子出ないや」



かくして小さなコンビは元通り。

「…あの、舞美ちゃん、お願いがあります」

改めて千聖がこっちを見る。
手は繋いだままだ。



「舞も…ここに居ていいかな」



舞ちゃんが驚いた顔でこっちを見る。
いや、追い出すつもりも一切無いんだけど。
186 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:36
「千聖も、正社員じゃないけど…だけど、舞と一緒にハロー社員の適正テスト、受けるから」

千聖…。

「舞ちゃんは、どうしたいの?」

えりが優しく舞ちゃんの頭に触れた。
舞ちゃんは泣きそうな顔であたしを見ている。

「舞は…」

少し躊躇った後、舞ちゃんは頭を下げた。



「舞も…ここに居たい」



舞ちゃんの頭と、千聖の顔を交互に見た。
…まったく、この子たちってば。

「ちゃんと適正テスト、受かってよねー?」
「あ、ありがと舞美ちゃん!良かったね舞!」
「うん!うん!」

全身で喜びを表す千聖と、何度も首を縦に振る舞ちゃん。
良かった。
世の中、悪いことばっかじゃないね。


あとは…。



「えり」


187 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:37
「んー?」

お見舞いのりんごをもっしゃもっしゃと食べているえり。
そんなえりの首根っこを掴んで病室を出る。

「んわぁ!?なに!?なに!?」
「うるさいえり!いいからついておいで!」

まだあたしの問題が片付いてない!
いっつもいっつもニコニコニコニコ!!!!
あんたはマ○ドナルドの基礎をしっかりしている店員か!

「えり、そこに座りなさい」
「はーい」

中庭みたいな場所まで引き摺って丁度いいベンチに腰を下ろさせた。
上目線でえりに話す。
えりは何が起こるかわからずに目を白黒させていた。

「えり、まず言うことは?」
「んー…、舞美」
「なに」



「舞美が一番可愛いよ」


188 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:37
「違う!」

そういうことを聞いてるんじゃなあーい!!
相変わらずにこにことしているえりは、自分が何をしたかわかっていないみたいだった。

「えりの行動は規則違反になるんだよ!?」
「だから謝ったじゃん」
「いつ?」
「いなくなる前」
「わかるかそんなの!」

ガーッと怒鳴ると、さすがのえりもおろおろし始めた。

「だってだって、舞ちゃん死にそうだったし…」
「それなら治療してみんなで解決すればいいじゃん!」
「いやでも、内緒って舞ちゃんに言われちゃったし…」
「約束とか守ってる場合!?」
「約束は大事だよ舞美」
「そういう話じゃない!!」

ぜぇ、はぁ。
だめだ、えりに頭ごなしに叱るのは時間の無駄だ。
えりはあたしのことバカバカ言うけど絶対えりのほうがバカだとあたしは思う。
とにかく、正攻法じゃダメだ。

「えり、約束は大事って言ったよね?」
「うん。大事だよ」
189 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:38
「じゃああたしと一つ約束してくんない?」
「おっ、なになに〜?」



「二度とあたしから離れるな」



「…」
「…」
「それ、どっちかっていうと命令じゃない?」

う…悪かったですね、口が悪うございまして…。
それでもえりは笑ってる。
きっとあたしが真っ赤なことにも気付いてない。

「えりはバカだからなあ…」
「人の台詞とらないでよお…」

二人して落ち込んで、目が合った瞬間に爆笑に変わった。



あぁ、ダメだ。

あたしえりのこと好きだ。



どうしようもなく嬉しくて、でも切なくて。
思わず上から抱きしめてしまった。
意識して初めてするハグはなんだかすごくいい匂いがした。
190 :第一章 腹の底 :2008/08/15(金) 13:38
そうだ、もう一つ言うことがあったんだった。
謝らないと、えりに。

「…ごめんね、えり」
「お?ちゃんと約束…命令?…まあいいや、ちゃんと守るよ?」

何を勘違いしたか、えりはめちゃくちゃな約束に謝っていると思ったみたいだ。
…まあ、それは当然なんだけど。
なんとなくムカーってきたからそのままえりを締めてみた。

…しばらくするとえりの意識は無くて、もう一度病院で検査を受けるハメになった。
191 :第一章 愛する人を :2008/08/15(金) 13:40
???.


暗い暗い籠の中。


結局、最愛の人は墓の中へ。




「亜弥ちゃん」




美貴はどこで間違ったんだろう。

美貴は何をしでかしたんだろう。



ただ大切な人を亡くしたくなかった。



既に生きる価値のないこの身はどうすればいい?



死ぬこともできず、ただ暗闇に落ちる。



「あぁ、そうだ」



あいつら、大丈夫かな。

ごめん、刺したりして。

でも亜弥ちゃんのほうが大事だったんだ。



願うなら、あいつらの幸せと。



そしてまたいつか亜弥ちゃんに抱きしめてもらえる日が訪れますように。
192 :从*・ゥ・从 :从*・ゥ・从
从*・ゥ・从
193 :ななしぐも :2008/08/15(金) 13:55
192 :ななしぐも :2008/08/15(金) 13:45
かなり久し振りの更新です。
お待ちいただいた方はほんとありがとうございます;;
やっと一章が終わったので次はちょろっと番外編と二章に入っていきます。
二章は一章の伏線を思いっきり消化していくのでアルエーっていうことが起こるかも…


>>179さん
(o・D・)<えらいだなんてそんな…事実でしゅよw
リ;・一・リ<舞、自重自重。

(o・D・)<べ、別に千聖のことが好きなわけじゃないんだからね!
リ;・一・リ<つんでれ?

>>180さん
舞さんの自己犠牲な態度は私の趣味です。

(o・D・)<実際はもっとおこちゃま…そ、そんなことないっしゅよ!
リ・一・リ<リアルじゃありえないよね
(o・D・)<ちしゃとぉおおおおおお
194 :ななしぐも :2008/08/15(金) 13:56
投稿を失敗しまくっている!;;
すいません、少し落ち着いてきますorz
195 :ななしぐも :2008/10/16(木) 10:43
お久しぶりです。
ごめんなさい、番外編と言っていたのですがそれでは終わりそうもないのでそのまま二章へ走ります;;
番外編はまた機会があれば書きたいと思います。
196 :変動と平和より :2008/10/16(木) 10:51
maimi.


あの事件から1ヶ月経った。
あたしとえりは相変わらずだった。
愛理と栞菜は相変わらず変なことで楽しそうに笑ってるし、なっきぃはなんだかんだ言いながらもみんなをまとめてくれる。




そして…。



197 :第二章 変動と平和より :2008/10/16(木) 10:52
「やったぁー!見てこれ見てこれ!」
「無事合格っすー!」

千聖と舞はハロー!の再入試験を受け、今見事に合格通知を受けたらしい。
もちろん所属は℃-ute。
これで新生℃-uteのできあがり。
何もないほうが平和だってよく言うけど、これは嬉しい変化だ。

千聖と舞はあの事件の後、ハロー!の再入試験を受けることにした。
そしてそれまではお手伝いとして℃-uteのメンバー監修のもと生活を送っていた。
千聖はなっきぃの部屋で、舞はあたしの部屋で。
舞は最初はきょどきょどしてたものの、いまじゃあ千聖と二人で元気にみんなを引っ張ってくれている。
相変わらずしっかりものだけど、たまに見せる笑顔は年相応の可愛いものだ。
そして今、千聖と舞は正式なハロー!の組員となった。

「おめでとう二人とも!」
「おかえりって言ったほうがいいのかな?」
「まあなんにせよお祝いしないと!」

わぁわぁと盛り上がるメンバー。
救われない事件だったけど、良いこともあるもんだ。
198 :第二章 変動と平和より :2008/10/16(木) 10:52
あたしは嬉しくなって舞と千聖の頭をぐりぐりと撫でた。

「んー、良かった良かった!」
「いたいいたい」
「あだだ…」

最終的に「舞美ちゃんの怪力!」と言われてしまった。
あたしそんなに力いれてないのになー?

「じゃあ今日は空いた時間は引越し準備?」
「あ、そっか。一人部屋もらえるんだっけ」
「今のままでもいいけどねえ」
「まあ悪いことじゃないしいいでしょー」
「さみしくなったらいつでも駆け込んでおいでー!」
「あはは、舞美ちゃんウェルカムすぎるよ」

休憩がてらに話をしつつスポーツドリンクを探す。
あたしたちは基本はトレーニングしたりして待機している。
今日はみんなで筋トレ。
体が成長期であるあたしたちは今の時期はひたすら体を鍛えることになっている。
先輩達なら新しい技を身につけたり一風変わった工夫をするみたいだけど、あたしたちはまだまだ地道に頑張らなきゃ。
199 :第二章 変動と平和より :2008/10/16(木) 10:53
「はい、舞美」

横から出てきたコップに入ったソレをなんの疑いもなく頂こうとする。
…でも、中身を見て飲むのをやめた。

「…なにこれ」
「梅さん特製のスポーツドリンク」
「なんか…枝豆くさい…」

少し緑色したそれはあからさまに枝豆だった。
前にご飯に砂糖をかけられたときは気付かなかったけど、さすがにこれは気付く。
っていうかあれはみんな気付かないって。
むしろ甘くて美味しいお米だなあとか思ったよ、普通に。

「…えり、美味しい?」
「あたしは好きだけどなあ…」

なんの抵抗も無くぐいぐいと飲むえりを軽く白い目で見る。



一ヶ月経った。
それでもあたしとえりはなにも変わらない。



…まあ告白したわけでもないから当たり前なんだけど…。
200 :第二章 変動と平和より :2008/10/16(木) 10:53
あのとき変わったのはあたしの心構えだけでえりは相変わらず。
必要以上ににこにこしてるし、態度だって変わらない。
なんかムカつく。

…枝豆が好きになれば変わるかな。
コップに入った枝豆とDAKARAの合成物を見る。
一呼吸置いてから一気に喉に通した。

「…う゛ぇ…」
「さっすがあたしの舞美、良い飲みっぷりだね!」

ほとんど勢いだけで飲み干したけど、これはない。
ないわこれは…。

「えり」
「ん?」
「まずい」
「じゃあ飲まなきゃいいのにっ」

おろおろと水を用意しだしたえりを見て少し笑えた。
おいしいって言ったのえりじゃん。
このままでいいやって思う気持ちと、もっと色々なえりを知りたいと思う気持ち。
そもそも長く一緒に居すぎてどうやって知らないえりを引き出せばいいのかもわからないし。
悲しませたいわけじゃないから想像もつかない。

「えりのばーか」
「ば、バカな舞美にバカって言われた…」
「あたしはバカじゃないよ!」
「でも嘘なんだよ」
201 :ななしぐも :2008/10/16(木) 10:54
平和がいいけど変動も欲しい。
高校生って微妙なお年頃ですよね。
202 :ななしぐも :2008/10/16(木) 10:55
リl|*´∀`l|<でも嘘なん…じゃないよ
203 :ななしぐも :2008/10/16(木) 10:55
Σ(o;・D・)
204 :いつも :2008/11/16(日) 21:37
楽しみにしています。
205 :第二章 ココロころころ :2009/02/01(日) 21:30
chisato.


「千聖と舞ちゃんもまだトレーニングするの?今日は暇な時間は引っ越しに使うし休んどいたほうがいいんじゃない?」
「うん、でも体力有り余ってんだよねー」
「それならいいけど」

ほんとはもうちょっとみんなといたいだけなんだけど…。
トレーニングするっていったら舞も付き合ってくれるっていったし、ちょっとでもみんなと居れるならこれほど嬉しいことはない。
と、いってもみんなやることはバラバラなんだけど…。

「じゃあ舞はあっちで背筋鍛えてくるから」
「あ、うん…」
206 :第二章 ココロころころ :2009/02/01(日) 21:30
声をかける前に舞はあっちに一人でトレーニングしにいってしまった。
…どうしよう。
何も考えてきてなかったから何を鍛えるか悩んじゃう。

「千聖。一緒に握力鍛えよっか」
「うん!」

そのまま悩んでるとなっきぃが声をかけてくれた。
なっきぃは千聖の微妙な心境を理解してくれる。
だから千聖はなっきぃが大好きだ。
呼ばれるままについていって同じ機械に手をかける。

「これってぶらさがってるだけだから一人でやるとつまんないんだよね」

苦笑しながら早速ぶら下がろうとするなっきぃ。
昔流行ったぶら下がり健康器みたいなやつだ。
ぶら下がりつつ掴んだ棒をニギニギする。
手しか動かないから口が暇なんだよね。
その代わり腕は超しんどいんですけど。

「千聖から見て舞ちゃんはどう?」

目線だけ合わせてなっきぃが質問してくる。
207 :第二章 ココロころころ :2009/02/01(日) 21:31
「うん、ここを気に入ったみたいだよ」
「舞美ちゃんのことお姉ちゃんみたいに慕ってるもんね」
「うー…」

舞のお姉ちゃんといえば千聖だったのに。
でも千聖にとっても舞美ちゃんはお姉ちゃんみたいな存在だから…。

「まあいいのか」
「?」

千聖のお姉ちゃんなら舞にとってもお姉ちゃんになるよね。
それならいいのかー。
むしろぜんぜんおっけー、問題ないや。



「なんか千聖も舞ちゃんもずっと離れてたはずなのに小さな頃から一緒に居たみたい」



嬉しそうな顔に思わずドキッとする。
…なんか、なっきぃと居るとたまにドキドキする。
舞と一緒ならそんなことないのにな…。
208 :第二章 ココロころころ :2009/02/01(日) 21:31
「千聖はラ・フランスが好きなんだよね」
「え、うん」

昔藤本さんが食べさせてくれたあの果物はほんと美味しかった。
本人曰く腐りかけで安かったから買ったらしいんだけど、千聖が今まで食べたなかでトップに君臨する美味しさだった。
藤本さんは基本的に安売りのものしか買わなくて、なぜかお米をとぐのが上手かった。
だからご飯は美味しかったし、事実上の育て親だった。
…別にお金が無いわけじゃないんだけどね、って言いながら節約しまくる藤本さんを見ててなぜか涙が出たことがある。
あれはなんの涙だったんだろう。

「舞ちゃんは何が好きか知ってる?」
「あー…」

なんだったかなー。
名前長くてなかなか覚えにくいもんだった気がする。
確かまだハロー!に来る前にお母さんが作ってくれてたらしいやつ。

「インゲンと…豚肉の辛子醤油和え…だったかなー」

舞はお母さんの記憶はソレしかないんだって。
そういうとなっきぃはしばらく考え込んだあと、ふぅんと呟いて舞のほうを見た。
つられてそっちのほうを見る。
栞菜と愛理の横でせっせと背筋を鍛えている舞。
209 :第二章 ココロころころ :2009/02/01(日) 21:31
「…喜んでくれるかな」
「?」

なぜか嬉しそうに舞を見ているなっきぃが気になった。
…別に嫌とかそういうんじゃないけど。

「気合入れてぶらさがろう」
「え、うん?」

なんとなく舞のほうを見ないように下を向いてぶら下がった。
なんでだろう、もやもやする。
嬉しいことしか、ないはずなのにな。
210 :ななしぐも :2009/02/01(日) 21:34
すみません、間が空きました;;
今回は千聖少年の百合への軽いジャブです。基本はめざせ百合アクションです。

>>204さん
ありがとうございます!
更新頻度の低い話ですが長い目で見ていただけると嬉しいです;;
211 :ななしぐも :2009/02/01(日) 21:36
(o・D・)<今更でしゅがこの物語はフィクションでしゅ。
212 :ななしぐも :2009/02/01(日) 21:37
リl|*´∀`l|<でも嘘なん…じゃないよ?本当なんだよ。
213 :ななしいくさん :2009/02/04(水) 23:41
楽しみ☆
214 :不思議っこ :2009/05/01(金) 21:43
kanna


「…愛理、どうしたー?」
「なんか複雑な匂いがする」

下がり眉をさらに下げている愛理。
気になって声をかけると変な返答をされた。

「匂い?」
「匂いっていうか…空気?」

くねくね〜ってする愛理は可愛いけど言ってることがよくわからない。
愛理はたまに変に賢くってあたしじゃわからないことを口走る。
そんなとこも可愛いとは思うけどもうちょっと理解してみたいときもある。

「まあ、大丈夫かなあ」
「なにが?」
「なんかね、複雑な感じ」

たまにこの子は言葉が足りてないんじゃないかと思うときがある。
別に支障はないけどなんか危なっかしい。
215 :第二章 不思議っこ :2009/05/01(金) 21:43
そして面白い。今だって噴き出すのをこらえてるとか言えない。

「空気が複雑なの?」
「うん、栞菜はわかんない?」

言われてみて天井の方を見てみるけど特に何もない。
まず空気なんて見えない。
そして空気なんて読めない。

「わかんない」
「そっかあ」
「なんにも起こらなきゃいいけどね」
「そうだね」

あ、最後だけ会話が噛みあった。
この会話はこれで最後だろうと思って他の話題を愛理に振ろうとする。


「愛理、あの…」
216 :第二章 不思議っこ :2009/05/01(金) 21:44





ピー





被る緊急信号。
…舞美ちゃん、全員この部屋に居るんだから普通に呼びなよ。
217 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:45
maimi.


会議室に向かうことなく、そのまま全員で現場へ走る。
横に大きな建物だった。
中は暗く湿っぽい。
目の前には4つにわかれた部屋。
218 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:47
なんでも、自動的に動く防衛ロボットに異常が発生したらしい。

「…被害者は無し、か」

中に居た従業員は全員逃走。
それでも怪我人は出たらしく、たまに血の痕を見かけた。
警備のロボは簡潔に倒したけど、中は更に凶暴なんだろう。
現代のロボットがどれほどの進化を遂げてるかあたしは詳しくないけど、容易にはすまないことは空気でわかる。

「4つに割るかな」

恐らくこの先には各部屋に防衛設備を施したロボットが待っているだろう。
簡単な説明で聞いたのはここがアミューズメントパークであること。
219 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:47


水の部屋。


自然の部屋。


電気の部屋。


そして配線室。

220 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:53
水の部屋は言葉通り水の張ってある部屋。
プールとして機能していて、低学年用に作られたものだそうだ。
ただし部屋自体は狭く、システムも薄い。

自然の部屋は広く入り組んでいる。
部屋全体にジャングルが広がり、ロボットやトラップも数多い。
ジャングルといっても全部が雑木で、動物っぽいものはすべてロボットだそうだ。

電気の部屋は本来ゲームをする部屋で足場が少なく、かといって下手なことをすると部屋自体が故障し暴走する危険性もある。
…まぁ、これ以上暴走するっていうのもあり得ない話な気がするけど。
ロボットとトラップがどれだけあるかもわからない。

配線室には文字通りたくさんの配線が並んでいる。
ロボットは最低限しか置いてなくて、全ての部屋のロボットやトラップはここの信号を元に動いている。
つまり配線室をどうにかすればいい。
けどそれには各部屋の命令が施されている一番格上のロボットを倒さなければならない。
でないと各部屋のロボットが配線室に押し寄せて再起不能になるかもしれないからだ。
それまで配線室を守る役目がいる。
これがつんくさんから聞いた説明だ。
説明を聞く限りじゃ、ほんとにアミューズメントパークだったのかと疑うほどの怪しい設備。
221 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:54



「さて、どうしようか…」



℃-uteは7人。
どう割り振ろう。

「とりあえずあたしは配線室だよね」

配線室の配置を聞いたのはあたし。
だから配線を正しく繋ぎなおすことができるのはあたしだけだ。

「あと愛理は水の部屋ね」
「うん」

愛理は河童が好きなせいか、水の中でも素早く動くことができる。
水の部屋は狭いから愛理一人でも大丈夫だろう。
と、いうか他の人がいると逆に足手まといになる可能性がある。
222 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:55

「舞美ちゃん、千聖は電気の部屋には向かないと思う」
「あー…」

千聖は接近戦しかできないうえに、細かい作業には向かない。
そのかわり、単純な攻撃力ならピカイチだ。

「じゃあ千聖は自然の部屋ね」
「うんわかった」
「うーん、じゃあ舞ちゃんも自然の部屋?」
「ううん、舞は電気のほうがいいと思う」
「お?なんで?」

千聖と舞が二人でいればなかなか心強いんだけど…。

「舞はたくさんのモノを相手するのは向いてないよ」
「それもそっか…」

自然の部屋はロボットも多い。
いくらちょこまかしてるからってトラップを避けるのがうまいだけじゃ無理か。
その上、舞の得意な武器は大多数と戦うのに向いてない。
223 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:56
「じゃあ舞は電気ね」
「それならなっきぃも電気かな」
「あぁ、なるほど」

割り込んだなっきぃに納得する。
射撃ならなっきぃが得意だし、意外と良いコンビかもしれない。
二人とも冷静だから危なくもないだろう。
舞が少し無鉄砲なところはなっきぃにフォローしてもらうとして。

「じゃあえりと栞菜は千聖と一緒に自然の部屋ね」
「舞美は一人で平気?」
「大丈夫、あたしはみんなが強いの倒してくれたら配線直すだけだから。ぶっちゃけ一番楽してる」
「ずるい!」
「へへーん、リーダー特権でーす」
「うーん、そっか、ならまあ大丈夫だね」
224 :第二章 運命と別れ道 :2009/05/01(金) 21:57
進むドアは決定した。

水の部屋には愛理。
自然の部屋には千聖と栞菜とえり。
電気の部屋にはなっきぃと舞ちゃん。
そして配線室にはあたし。

「一番強いのを倒したら無線で連絡だよ」

全員の顔を見てうなずく。
よし。



「Go!」



一斉にドアを開ける。
みんな各部屋に吸い込まれるように入っていった。
225 :ななしぐも :2009/05/01(金) 21:59
ご無沙汰しております;;
開きなおって二つ一気に更新してみました。
我ながら…ものすごく展開が早いです…。

>>213さん
ありがとうございます☆
亀更新なのに応援していただけて嬉しいです!
226 :ななしぐも :2009/05/01(金) 22:00
隠します
227 :ななしぐも :2009/05/01(金) 22:00
隠します
228 :ななしいくさん :2009/10/24(土) 23:12
面白いですよ
続きに期待しています
229 :ななしいくさん :2009/11/09(月) 16:33
今日初めて読んで一気に全部読んでしまいました
やじうめもこういう設定も好きなので面白かったです
続き待ってます!

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