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foreseasonz

1 :さるぶん :2007/05/25(金) 18:44

Berryz工房のおはなしです。
325 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:55
「いててっ!」

あたまのうえに本がふってきた友理奈は、あわてて飛びおきました。

「…ちっちゃいきりんが!いっぱい!おちてくるっ!」

しばらくのあいだ、じたばたしていた友理奈ですが、自分がたくさんの
本にうもれていることに気づくと、ぽかんとした表情になりました。

佐紀は、その顔でじっと見られます。

「ちっちゃいとか、よけいだから!」

そのあとも、友理奈は、《あごがつりそうなちっちゃいきりんについての
2〜3のこと》と名づけたくなるような夢のはなしを、えんえんと10分に
わたってふたりに聞かせました。

そのあいだずっとふぐになっていた佐紀は、話のキリがよくなったところ
で、ポケットをまさぐりはじめます。

「はい、これ」

とりだしたのは、図書カードでした。

まる文字で、”菅谷りさ子”と書かれています。
326 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:55
「うん、ありがと」

それを茉麻が受けとると、佐紀は、またポケットからなにか出してきま
した。

「はやく完成させなきゃ」

当番表でした。

「佐紀ちゃん、いつも持ってるの?」

「うん。なんかクセになっちゃった。学校でも、生徒会――と、あと委員
会で書記やってるし」

「へぇ…そうなん…だ…」

友理奈は、元気なくいいました。

そのまま黙りこんでしまいます。

「どうしたの」

「…うん、いまね、ぱっと思いついたの。佐紀ちゃんが書記だから、
佐紀書記でしょ。”サキショキ”って、なんかひびきがおもしろいなぁ…
って。でも、言おうとしたら、きゅうに、ちーの顔が浮かんできて…」

「『熊井ちゃんは、呼びかたにうるさい!』…って?」
327 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:55
引きついだのは、茉麻でした。

「そう。いわれそうな気がして…」

ふしぎな顔で聞いている佐紀に、茉麻が事情を説明しました。

「へぇ…とっくまでもケンカするんだ。いっつも、なんだかんだで、千奈
美ちゃんに合わせてたから、てっきり不満なんてないと思ってた」

ひざの上に当番表をひろげた佐紀は、”とっくま”のところを、指でなぞ
っていました。

「…あ」

また、友理奈は口ごもります。

「なに、また?」

「うん。ちーに『千奈美ちゃん』っていったら、『ちーでいいよ』って言われ
るよ…って、いおうと思った」

「そうなの?」

「うん、ぜったいだよ!ちーのことなら、ぜんぶわかるもん!」

佐紀の問いかけに、自信たっぷりで答えます。

「まあさも、気をつけなよ?まだ、ちーのこと呼んでないでしょ」
328 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:56
「てゆうか熊井ちゃん。だれがなんて呼んだか、全部おぼえてるの?」

「そうだよ」

友理奈は、さも、あたりまえみたいにしてうなづきます。

それで、茉麻と佐紀は、超能力者をみつけたら、ひとはこんなふうに
なるにちがいないといった顔になりました。

「え、でもさ。それこそ、熊井ちゃんって、まーさんのこと、”まあさ”って
呼んでた?」

ふたりの視線が、友理奈にあつまります。

「…あ」

小さくなる友理奈。

「無意識だったんだね」

「だって、なんか、落ちつくっていうか、えっと…その…」

「いいんだよ、恥ずかしがらなくても」

佐紀は、あわてていいます。

「好きなら好きって、素直になれるのがいちばんなんだから」

当番表の”桃子×みやび”と書かれた部分を、佐紀は、じっとみつめて
いました。
329 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:56
「すくなくとも、素直になれなくて暴走して、ひとに心配かけるよりは、
ずっといい」

きっぱりとした、いいかたでした。

「…うん。いつもは、呼んでいい?ってきかないと呼びつけとかできな
いけど、まあさは、自然にいえた」

「わかる。じつは、あたしもいま、はじめて”まーさん”って呼んだし」

と笑う佐紀に、友理奈もつられます。

「なんか、よくわからないけど、うれしい」

茉麻が、いいます。

それで、しばらくのあいだ、3人してぽかぽかの芝生をながめていまし
た。

「そういえばさ」

友理奈が、いいました。

「さっき、”素直になれないで迷惑かけて”っていってたけど、だれのこと
いってたの?」

だれにともつかない問いかけでしたが、答えたのは佐紀でした。

「みやのこと」
330 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:56
「もしかして、りさ子ちゃん?」

友理奈が、背もたれから体をおこしてきました。

「…うん、まぁ、それもあるけどね」

佐紀は、茉麻のほうをチラチラうかがいますが、まぶたのひなたぼっこ
中でした。

もういちどポケットに手をつっこんで、ケータイをとりだしますが、すぐに
引っこめてしまいます。

「みやって、けっこう暴走するから、止めるの大変なんだ」

「へー、そうなんだ、意外。みやとちーって、暴走つながりなんだね!」

それから友理奈は興奮したようすで芝生のほうへはしっていくと、夢中
になってひとり遊びをしていました。

「なんか、なごむねぇ…」

ベンチから足を投げだして、佐紀が、いいました。

すると、ぴょんぴょんと跳びはねるバッタを追いかけていた友理奈が、
ふりかえります。

「…また、ちーに怒られるかも」
331 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:57
「なに思いついたの」

茉麻が、目をあけます。

「この3人の名前」

「そっか、とっくまみたいに」

「うん」

友理奈は、バッタを逃がしてやると、ベンチのところへもどってきます。

そして、いいました。

「なごみストッパーズ!」

首をかしげているふたりに、友理奈は説明しました。

「この3人は、みんな、だれかの暴走をストップさせてるでしょ?佐紀
ちゃんはみや、うちはちー、まあさはりさ子ちゃん。そんな平和を愛する
3人は、《なごみストッパーズ》 なの!」

これには、ふたりともうなづきました。

「すごい。熊井ちゃんにしか出てこない発想だね」

うんうんうなづきながら、佐紀は、あわてて当番表をひらきます。
332 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:57
そして、今日のところを指でさがしあてると、ここっ!といって、ペンを
とりだしました。

「書きかえなきゃ」

佐紀は、”茉麻×佐紀×友理奈”とかかれたところに、上から線をひっ
ぱりました。

そして、友理奈の提案で、代わりに”なごみ”と書きこむことになった
のです。

「名前を気にするのって、熊井ちゃんらしくて、いいとおもう」

茉麻が、いいました。

「ほんとに?」

佐紀も、うなづいています。

「とっくまでいるときは、ちーにツッコまれるかもしれないけど、うちらで
いるときは、いっぱい気にすればいいと思うよ」

茉麻のそのことばに、友理奈は、目をうるうるさせていました。

「とっくまは、とっくま。なごみは、なごみ。くまぁずは、くまぁずってこと
だね」

「ちょっとまって」
333 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:58
そっか、それでいいんだ…とひとりごとをくりかえす友理奈に、佐紀が
ききました。

「”くまぁず”って?」

「うちと、まあさのコンビ名。熊井の”くま”に、茉麻の”まぁ”で、”くまぁ
ず”」

「え、じゃあ、あたしは?」

佐紀にまじまじと見られ、友理奈は、…あ!といいました。

「…わすれてた」

「そんなっ!」

佐紀は、ひどいよ!といいながら、茉麻に泣きつきました。

茉麻は、ただ笑って友理奈をみています。

けっきょく、友理奈の暴走は、だれにも止められないのでした。




334 :foreseasonz :2007/09/08(土) 01:58


(なごみストッパーズ/了)

335 :さるぶん :2007/09/08(土) 02:01
更新です。

>>322
ありがとう。ついにぎやかにしてしまうクセがあるので、
こういうシーンをもっと書きたいなと思います。

【お願い】はじめての方は>>70からお読みください
336 :ななしいくさん :2007/09/09(日) 01:57
大人っぽいのに子供っぽい熊井ちゃんカワイイ!
写真集発売おめでとう
337 :さるぶん :2007/09/15(土) 00:11
ごめんなさい、今夜中に更新できないかもしれません。

すくなくとも本日中には完成すると思いますが、
とり急ぎお伝えしておきます。
338 :さるぶん :2007/09/16(日) 03:23
ほんとうに申し訳ないです、書けませんでした。
なるべく早く更新するつもりですが、いまは寝させてください。
339 :ななしいくさん :2007/09/17(月) 02:12
マイペースでね
340 :ななしいくさん :2007/11/20(火) 00:05
待ってます
341 :ななしいくさん :2008/05/03(土) 21:01
更新しないのかな・・?
342 :ななしいくさん :2009/02/02(月) 20:14
興味あり
343 :ななしいくさん :2009/02/05(木) 03:29
まとめて全部読んじゃいました(>_<)

なごみストッパーズ、いいですねとゆいたい。

茉麻が幸せになれるといいなぁ。
344 :さるぶん :2009/03/25(水) 10:13
おひさしぶりです、作者です

まず、長い間ご無沙汰してしまったことを、お詫びさせてください
いろいろと試してはみたのですが、うまくはかどりませんでした

いまちょっと追い詰められてて、
水板で新作をはじめたのも精神衛生のために、という感じです
また、このスレが更新できないのも恐らくおなじ理由です

自分なりに理由を考えてみたのですが、1つだけわかったことが
あります

あっちはグループの枠を超えたもので、こちらはベリ縛り、
縛りがあると、ABCDEFGの7人がいたら全員を書き分けなけ
ればいけませんが、枠がないとA A’A”B B’B”C C’という
ふうに書き方が変わるので、それで書けてしまうんだと思います
(これがいわゆる”オールスターもの”というやつなんでしょう)

とにかく、このスレを放棄するつもりはありませんので、
あちらともども見守っていただけたらうれしいと思います
345 :さるぶん :2009/03/25(水) 10:22
ちなみに上で”追い詰められてる”と書いたのは家庭の事情です

>>339
ありがとう、かなりのスローペースですが頑張ります(汗
>>340
待ってくれているひとがいるということが、再開の励みになっています
>>341
なんとか近いうちにしたいのですが…
>>342
”更新あり”という報告をできるよう、頑張ります
>>343
なごみを気に入ってもらえて、うれしいですとゆいたいです
346 :ななしいくさん :2009/03/25(水) 14:55
マイペースでも更新していただけると嬉しい限りです
頑張ってください
347 :ななしいくさん :2009/03/26(木) 00:11
生存報告だけでも作者さんが来てくれて良かった

マッタリ待ってます
348 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:57

【前回までのあらすじ】

中学生のみやび、千奈美、友理奈の3人と、
桃子、佐紀という高校生の2人は、
知り合いの茉麻にたのまれて、
らい年から中学校へあがるりさ子のカテキョをするため、
とある田舎町へやってきました。

仲良くなったり、ケンカしたり。
7人はカテキョの当番表に書かれたコンビには
どれも問題がいっぱい

彼女たちは、いったいどうなってしまうのでしょうか…?
349 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:57



 カテキョも、6日目。

 きょうは、お泊り会の日でした。

 やってくる時間も、バッグの大きさもバラバラな4人が、玄関へとあつ
まっています。

 朝の9時だというのにハイテンションの桃子は、みやびにちょっかい
を出しては、距離をおかれています。

 そのようすを2階からみているりさ子は、カーテンをきつくにぎりしめて
いました。

 駅のほうから、茉麻がやってきます。

「いちばんはしゃいでるのは、高校生みたいね」

 あいさつ代わりに、スーパーのふくろをもちあげます。

「よそに泊るなんて、部活やってたころ以来だもん。テンションあがっ
ちゃうな!」
350 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:58
 ぴょんぴょん飛びはねている佐紀は、だれよりも大きなバッグをかか
えていました。

「おくれたー!!」

 千奈美が、走ってきます。

「ちー、遅刻だよ!?」

 ごめん、ごめん、という千奈美。

 友理奈は、もうっ!とふぐになってさけびます。

「なごみストッパーズ集合!」

 佐紀と茉麻があつまってくると、友理奈のもとに、円陣がうまれます。

(…きょうは、はじめてのお泊り会。大暴走が予想されますので、各自、
ゆだんのないように)

 3人は、小声でなにかいっています。

 友理奈は千奈美を、佐紀はみやびを、そして茉麻は、2階のりさ子の
部屋をみました。

「…なに?」
351 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:58
「なんでもない、こっちのこと」

 ふにふに…と、まゆ毛をうごかしてばかりいる佐紀に、みやびは首を
かしげていました。

 家にあがると、テーブルはすぐさまお菓子でいっぱいになります。

 みんなで食べる用にと、自分の好みでそれぞれが買ってきたのでし
た。

 いつだったかのように、それを食べながら、みんなで品ぴょう会をひら
いていると、桃子がいいました。

「あぁー、どきどきするなぁ…」

 両手で、胸をおさえています。

「どうして?」

 みやびが、スナックを口へ入れました。

「だってぇ、みーやんと、はじめての”お・と・ま・り”だもん。やさしくして
ね…?」

「…ほんぐ!」
352 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:58
 みやびは、舌を噛みました。

「いま、ごり!っていったよ」

 友理奈は、ほんとうに気の毒そうな顔をしています。


「…べ、べつり、ふたりらけってわけりゃ、らいれしょ!」

 目くじらを立てながら、みやびは、あごをおさえています。

「二人きりだったら、みとめるんだ?」

 佐紀が、いいました。

 まゆ毛が、きりっ!としています。

「もちろんだよね、みーやんはもーとラブラブなんだから」

 そういって、桃子はベッドのうえに乗っかりました。

「きょうの夜は、ドキドキして眠れないかも…」

 あやしい手つきでベッドをなでる桃子に、みんなは一瞬、ことばを失い
ますが、りさ子だけはちがいました。
353 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:59
 ゆー!とさけびながら、けんめいに、桃子をひきずり下ろそうとします。

 そんな中、佐紀は、ポケットからケータイをとりだすと、これみて!と、
みんなの注意を画面にあつめました。

「このあいだ、”もも”って呼び方については、ムリヤリ言わされてるん
だって、みやいってたでしょ?」

 ゆびをうごかしながら説明します。

「でもね、見て、このメール…」

 みんなにケータイを向けました。

「あ、”もも”って書いてある!」

 友理奈がさけぶと、りさ子も画面にかじりつきました。

「佐紀ちゃんへのメールにまで、”もも”ってつかう約束はしてないはず
だよね」

 友理奈が顔をあげると、ほとんどのひとがうなづいていました。

「もう、みーやんってば、素直じゃないんだからぁ」

 桃子は、ベッドのうえからカモ〜ン!しています。
354 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:59
「…ち、ちがうよ、これは…約束したから…お金で…その…書かなきゃ
とおもって…えっと…」

「まだいってる!」

「だって、本当にお金で…」

 どんどんと小さくなっていくみやび。

「ひどい!」

 友理奈がつめ寄ります。

「りさ子ちゃん、かわいそうだなって思ってたけど、みやのことは信じて
た!でも、ももちが本命だったなら、りさ子ちゃんは、もっとかわいそう!」

 ね、りさ子ちゃん?――といって友理奈はふりかえりますが、りさ子は
口をふがふがさせていました。

「…意味わかってないんじゃない?」

 と千奈美。

「ていうか、ちーは、わかってるの?」

「あんま」
355 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:59
「じゃあ、ダメじゃん」

「でも、りさ子がわかってないことだけは、わかる」

 みょうに自信たっぷりな言いかたに、友理奈はにが笑いしてしまいま
すが、

「ふいんきだけで、あばれてたの…?」

 と念を押してみると、りさ子はきょとんとしています。

 それをみて、友理奈はへたりこんでしまいますが、りさ子は、…かっ、
かわいそうだゆー!とさけびます。

「…メールが…約束で、ももが…呼びすての…えっと、ほんとうは、お金
で、好きだから………あぁぁぁ、わかんないゆー!」

 そのあと、りさ子がベッドにもぐりこんでしまったため、なんとなくしらけ
てしまいました。
 
 
 
356 :ななしいくさん :2009/07/03(金) 23:59
 
357 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:00



 その夜のことです。

 エアコンが切れた室内は暑く、みやびは、なんどか寝返りをうったあと、
布団からおきあがってきました。

 パジャマのおなかをパタパタさせて、おもむろに立ちあがります。

 みんなで一つの部屋に布団を敷いていたので、だれかの足をふんづ
けてしまわないよう、ゆっくり廊下へむかいます。

 ですが、すぐに引きかえしました。

 みんなの寝ぞうが悪すぎて、その場で、タップダンスを踏んでしまった
からです。

 しかたなく、カーテンの裏へもぐりこんで、ベランダへ出ます。

「…すずしい」

 気温はけっして低くありません。

 けれども、わずかに風が吹いています。

 お月さまが明るい空へむかって、おおきく伸びをしました。
358 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:00
 しばらくして、流れ星がひとつ、落ちました。

「…あ」

 みやびは、くやしそうな顔をして、忘れた…とつぶやきました。

「「ねがいごと」」

 ふりかえると、桃子が並んでいました。

「…いつのまに?」

「みーやんのことなら、寝ててもわかるよ?」

 桃子は、しなをつくります。

「…さっきは、ごめん」

 小さい声でいうと、みやびは、うつむいてしまいます。

「お金、お金って、いっちゃって…」

「うん…」

 それきり、ふたりとも黙ってしまいます。
359 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:00
 部屋からは、のにゅ…のにゅ…という、だれかの鼻が鳴る音がきこえ
ています。

 そして、髪が風にゆれるようす、月がすこしずつ傾いていくようす、そう
いったものだけが時間のすすんでいることを教えていました。

 ふいに横目になったみやびは、桃子がすこし口をとがらせていることに
気づきます。

「当ててみて」

 その口が、ひらきました。

「さっきの流れ星、もーは、みてたんだよ」

 これは、ねがいごとを当ててみろと、言っているのです。

 みやびは、まじまじと桃子の目をのぞきましたが、しばらくすると、
いきなり手をにぎりました。

「…え、ちょっと」

 おどろく桃子をよそに、エアコンの室外機に足をかけて、屋根まで
のぼっていこうとするのです。
360 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:00
「あぶないよ!」

「だいじょうぶ!」

 なんども足をすべらせながら、それでも、ふたりは手をはなしませんで
した。

 まっしろくて、あたりにぼうっと浮かんでいるような屋根のてっぺんに
腰をおろすと、すっかり息があがってしまいました。

「…これが、答え?」

「わかんない。テキトウ」

 そういって、ちょっと笑うみやび。

 つられたように笑って、桃子はいいました。

「お金で買えないものはあるかもしれない。でもね…」

 桃子は、つづけます。

「ふだんはお金で買えないものが、お金で買えるときだってあるかも
しれないよ?」

「それ、このあいだのこといってる?」
361 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:01
 みやびはレバーをたおしながら、ボタンを連打するしぐさをしました。

 ゲームセンターでのことです。

 みやびは桃子にゲームの代金を立て替えてもらったいきおいで、顔
が赤くなるようなことをさけんでしまったのでした。

 桃子は、うふ…と、うすくわらうだけです。

「お金で、ひとのこころは買えないよ」

「うん。みーやんがそういうなら、きっとそうなんだね。でも…、もーは、
みーやんになら売られてもいいよ…」

 まともに目が合って、みやびは、顔をそらしました。

「どうしたの?」

「わ…わかんないよ!」

「なにが?」

「ももの考えかたが…それに、どうして顔が熱いのかも」

 もしも、お月さまがもうすこし照れ屋さんでなければ、みやびの顔は
もっと熱くなっていたでしょうね。
362 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:01
「あ…叶った」

「なに」

「ねがいごと。 いまのは、自然に呼んでくれてた」

 目をまるくする桃子。

 みやびは、いっしゅん、頭のうえにはてなマークを浮かべましたが、
桃子のいっている意味に気づくと、すぐそっぽをむいてしまいます。

「…ち、ちがうよ…約束だから」

「またまたー。素直じゃないなぁ、みーやんは」

 そういって、このこのぅ!をする桃子。

 みやびは、くすぐったそうにしながらも、そのひじを、いつまでもいつま
でも受けとめていたのでした。
 
 
 
363 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:01
 
364 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:01



 つぎの朝のことです。

「…おはよ…ぅ…ふわぁ…ぁ…」

 あくびをしながら洗面所へとやってきたみやびは、出入り口のところ
で友理奈とすれちがいました。

「おはよう、みや。お先に…って、おととととっ!」

 友理奈が、あわてて戻ってきます。

「どうしたの?それ」

 ゆびさしたのは、ほっぺたです。

「…ん、ヨダレでも、ついてる?」

「それもあるけど…って、そういえば、眠そうだね」

「ううん…ちょっと、ねるぐしかっただけ」

 口元をこすっているみやびに、友理奈は、ふきだしました。

「え、いまなんて?」
365 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:02
「だから、ねるぐしい…って、ん? ねるぐるしい…あれ?…」

「やっぱ、寝ぼけてるじゃん。夜ふかしでもしてた?」

「…べ、べつにしてないよ!」

 きゅうに大きい声になって、みやびは、背すじがしゃんとします。

「なに、あわててるの?」

 友理奈はふしぎそうな顔をします。

「じゃあ、さっき言いかけたんだけど、これは?」

 ゆびさしたのは、またもや、ほっぺでした。

「だから、ヨダレはふいたって…」

 そういいながら、みやびは、鏡にうつった自分を見ておどろきました。

「なにこれ!?」

 みやびの顔には、まっしろい粉のようなものが、いっぱいついていた
のです。

「ほこり…みたいだね」
366 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:02
 友理奈はゆびさきでそれをすくい取ると、においをかいだりしています。

「おはよう、みーやん?」

 声のしたほうには、桃子が立っていました。

「ねぼすけのみーやんも、かわいい!」

 エプロンをまいて、おたまをふりまわしていますが、見たこともない色
の液体が付いています。

 一体、台所でなにをしていたのでしょう。

「どうしたの? そのかっこう」

「これ? きまってるじゃない。愛するみーやんのために、朝ごはんをつく
ってたの!」

 おたまを使って、赤くなったみやびのほっぺたを、ぺちぺちとやってい
る桃子。

「すごいラブラブだね」

「そうなの。みーやんってば、寝ごとで『もも…』って呼んでくれて、ほん
と感動したのー!」

 みやびは、ちがう!ちがう!といいますが、友理奈は、おかまいなし
につづけます。
367 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:04
「ていうか ももち、ひと晩じゅう、みやのこと見てたの?」

「そうだよ?」

「そ、そうなんだ…」

 友理奈は、あたりまえだよ?みたいな顔を桃子がするので、なに
か苦いものでも食べたような顔をしました。

「それよりさ、みやのほっぺについてるこれ、なんだと思う?」

「ん…、どれどれ?」

 友理奈にきかれて、桃子はみやびの顔にぎりぎりまで近づいていき
ます。

「近い!近い!」

 洗面所がにぎやかなので、ほかのメンバーもあつまってきました。

「それって、ほこりじゃない?」

 おねえさんズとして、桃子といっしょに台所へたっていた佐紀が、
エプロンで手をふきながらやってきていいました。

「どこでついたんだろうね?」
368 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:04
「もー、知ってるよ?」

「えー、どこ?」

「知りたい? そんなに? どうしよっかなぁ…?」

 桃子がもったいぶるので、みやびを囲んでいた輪っかが、ぐっと小さく
なりました。

「じつはね、夕べ、みーやんとデートしたの」

 その発言で、みんなは大さわぎになりました。

 いつのまに?とか、どこで?とか、プロポーズのことばは?とか――
これはまぁ冗談ですが、とにかくみんな興味津々なのです。

「し、してないってば! みんなダマされないでよ!」

 みやびは説得をこころみますが、みんな話を聞いていません。

「このほこりはね、夕べ、みーやんが屋根の上に連れてってくれたん
だけど、そのときにエアコンの室外機からついたものなの」

「そうだったの?」

 みやびは素直におどろいたようすです。
369 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:04
「どうして言ってくれなかったの? よごれてるよって」

「えー、だってぇ、みーやんとデートしたっていうこと、みんなにいっても
信じてもらえなかったら悲しいじゃない? それでだよ」

 桃子はとくい気にいいますが、みんな首をかしげています。

「どういうこと? 意味がわかんない」

「だって、またみーやんが嘘ついて、もーとラブラブなことを否定しようと
するかもしれないでしょ? だから そのときのために 嗣永国会で裁判を
したら、”物的しょーこ”にしようと思ったの」

 うふふ!としなを作ると、みんなが呆れた顔をしています。

 桃子はおかまいなしのようすで、みやびの腕をとると台所へつれてい
きます。

「もーね、みーやんに特製のおみそ汁つくったの、食べて!食べて!」

 みやびはフタをあけて、中から出てきた液体にひめいをあげました。

「た、たすけてー!」

 どこまでも抜け目ない桃子なのでした。
 
 
370 :さるぶん :2009/07/04(土) 00:06
おひさしぶりの更新です。

今日だけでいったい
なんど「書き込む」をクリックしたことか…

こちらも黒板同様、不定期になってしまいそうな感じです
371 :ななしいくさん :2009/07/04(土) 00:31
更新乙です
不定期でも待ってますよ
372 :ななしいくさん :2009/07/07(火) 00:45
更新乙です
みやももいいなw次回も楽しみ♪
373 :さるぶん :2009/07/07(火) 18:15
…タイトル忘れてました。


(流れ星/了)

【お願い】はじめての方は>>70からお読みください
374 :ななしいくさん :2009/11/14(土) 22:02
待ってます

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