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作者フリー 短編用スレ ほいく版

1 :ななしいくさん :2007/03/10(土) 20:39
このスレッドは作者フリーの短編用スレッドです。
どなたが書かれてもかまいませんが、以下の注意事項を守ってください。
・アップするときはあらかじめ“完結”させた上で、一気に更新してください。
・最初のレスを更新してから、1時間以内に更新を終了させてください。
・レス数の上限は特にありませんが、100レスを超えるような作品の場合、
 森板(短編専用)に新スレッドを立てることをお薦めします。
 なお、レス数の下限はありません。
・できるだけ、名前欄には『タイトル』または『ハンドルネーム』を入れるようにしてください。
・話が終わった場合、最後に『終わり』『END』などの言葉をつけて、
 次の人に終了したことを明示してください。
・後書き等を書く場合は、1スレに収めてください。
・感想、感想への返レスはこのスレに直接どうぞ。
2 :ななしいくさん :2007/03/10(土) 20:41
短編を書きたかったけど、スレまで立てるほどにはネタがなかったのでつくりました。
3 :snow :2007/03/10(土) 20:42


これからも一緒がいいな。

4 :snow :2007/03/10(土) 20:43
雪が降ってきた。
もう3月なのに、変なの。
そういえばカレンダーを変えてない。
そう思ってカレンダーが2月だったのをビッとめくった。
そしてまだ捨てられていない去年のカレンダーの上にかぶせようとした。
…けど、カレンダーにあるマークを見つけて思わず見入ってしまった。

付き合い始めて何ヶ月になったっけ?

去年のカレンダーについていた印には〔えりか舞美らぶらぶ記念日〕と書かれていた。
その日、私の告白はすんなりと受け入れられた。
5 :snow :2007/03/10(土) 20:44
もちろん付き合い始めてからも楽しかったけど、それまでだっていろいろ障害はあったけど、全部楽しかった。
これからもまだまだいっぱいいろんなことがあるよね。
そんなことを夜中に考えてた。
そしたら急に会いたくなった。

…さすがに今から外に出るのはマズいよね。

どうしようどうしようって考えてて、とりあえず携帯を握った。
起きてるかな?
6 :snow :2007/03/10(土) 20:45
電話していいかな?

寝てたらごめん!

ボタンを少し押せば簡単に出てくる大好きな名前。
通話ボタンを勢いで押した。
ぴったりワンコール。

「舞美」
『えり!電話来ると思ってた!』
7 :snow :2007/03/10(土) 20:45
え!?マジで!?
あたしと舞美ってばテレパシーで繋がっちゃってる!?

『雪だもんね!私思わずみんなにメールしようとしちゃったよ』

あぁ、そういうこと。
ちょっぴり残念。
ほんとにテレパシーだったら面白かったのに。

「舞美、あたしらのらぶらぶ記念日覚えてる?」
『覚えてるに決まってんじゃん。なに?どうしたの?』
「ふふーん、なんとなくっ♪」
『あぁーっ、なにぃ、隠し事するんだぁ?』
「違うよぉ」
8 :snow :2007/03/10(土) 20:46
他愛もない会話。
舞美の声があたしの名前を呼ぶんだよ?
これだけでもすっごい幸せ。
こういう積み重ねこそが一番大切な思い出だって誰か言ってた気がする。
思ったことを舞美にそのまま伝えたら笑い声が聞こえた。

『すっごくロマンチックだよねぇ、あっはは』
「ちょっとぉ、人が真面目に話してるのに」
『ごめん、ごめんね、でもえりらしいよね』
「そう?」
『うん』

ちっちゃな事も幸せと思える、えりのそんな考え方好きだよ。
そんな風に言われたら膨れてたのも忘れて微笑んじゃった。
舞美は結構リアリストだもんね。

『そんなことないよ?あたしだってちゃんと乙女チックに考え事することあるよ』
「ほんと?なになに、どんなことよ?」

電話越しなのに体を乗り出して心を躍らせる。
9 :snow :2007/03/10(土) 20:47


『例えば…、えりのそんなちっちゃな幸せがたくさん降り積もればいいなぁ…とか言って』


照れるー!って言って電話の向こうで枕かなにかをばふばふやっている音が聞こえる。
ねぇ舞美、私はそんな風に恥ずかしくなんてないよ?
だってロマンチスト同士なら気にならないから。
私とずっと一緒にいたらそれぐらい普通だよ!
…だからさ、これからもずっと一緒にいようね。


そしたらさ、この雪みたいにきっとどんどん積もってく。


幸せも、気持ちも、全部全部積もっていって。


10 :snow :2007/03/10(土) 20:48
『…えり、雪みたいに積もったら最後は溶けちゃうよ』



Σリl|;´∀`l| ガーン!!

11 :snow :2007/03/10(土) 20:48
おわり
12 :ななしいく :2007/03/12(月) 08:42
落ちもあったんだww
やじうめ大好物です!ありがとー!
13 :ななしいく :2007/03/27(火) 00:56
やじうめきてたー!
キッズで一番好きなCPです
14 :ななしいく :2007/08/23(木) 17:24

お邪魔します。
最近ハマっている、やじすずで。

15 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:25

「おっき〜!」
「きれ〜!」
「すごいね〜!」

みんなの声が大合唱。

たまたま休憩で移動バスから降りた私たちは、
すぐそばの海岸で、きらきら輝く海を見つめてて。

夏の日差しは痛いけど、太陽を反射してる海が綺麗で
みんなキャーキャー言ってたんだ。

16 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:25

「舞美ちゃん! 泳ぎたくない? 超気持ち良さそう!」
「いいねー! でも、また今度ねー」
「え? 今度一緒に泳いでくれるの?舞美ちゃん」
「舞ちゃんまで。でも、いいよね〜一緒に泳ぎたいねー」
「じゃあ、約束。今度一緒に泳ご?」
「いいよ? ゆーびきーりげーんまん…」

ちらっと横目で、舞ちゃんと千聖に囲まれてる舞美ちゃんを見て
ちょっとだけ溜息。

いいなぁ…舞ちゃん。
私も無邪気に言ってみたいよ。
一緒に遊ぼうって。

17 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:25

「海っていうと水着だよね〜、どんなの似合うかなぁ〜」

言い出したのはえりかちゃん。
暑さに服をパタパタさせながらも、水平線を眺めてる。

「えりかちゃん、身長高いしビキニとかは〜?」
「やだ栞菜、なんでいきなりビキニなのよーえっち」
「えー? なんとなく」

ぷん、と拗ね顔のえりかちゃんに、
栞菜はナッキーの後ろに隠れて、えへへってテレ笑い。
あ、ちょっと、ナッキー、困ってる。

18 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:25

「舞美ちゃんもビキニ似合うよ、きっと」
「えー? そうかなぁー、全然ダメだよぉー」
「なんでー? あたしなんてスクール水着しか着れないんだよ?」
「でも、舞ちゃん顔立ち綺麗だし、おっきくなったら絶対似合うよ」
「えへへ」

ぎゅっと舞美ちゃんの手を繋いで嬉しそうにしてる舞ちゃん。
反対の手は、千聖がしっかり握ってる。

「でも、スクール水着の舞美も可愛いよ」
「やだぁ えりー、やめてよーもー、テレるー」

そっと、背後からボーイッシュな声で囁いたのはえりかちゃん。
舞美ちゃんは、えりかちゃんに身体をぶつけて弾けたように笑い出す。
それを見て、みんなも笑い出す。

19 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:26


私も笑いながら…なんかでも……
…ちょっと、つまらない気持ちになる。


優しいし、いつも笑顔だし、頼りになるし、勉強もできるし、
でも、ちょっとふんわりした舞美ちゃんは、みんなの人気者で。

自然とみんなが寄ってきて、
自然とみんなが笑顔になって、
自然とみんなが…好きになる。

舞美ちゃんも、『みんなが』好きで。

そう、『みんなが』好きだから…。

だから、私だけの舞美ちゃんにはならなくって。

20 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:26

「愛理?」

ふっと呼ばれたナッキーの声に、顔を上げる。

でも、その瞬間、クラっとしたんだ。

夏の太陽が、視界を遮って。
チカチカする目の前。
さーっと身体が冷たくなる感覚がするのに、
心臓の音は、うるさいぐらいにドクドクしてて。

21 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:26


あ…れ…?
身体が思うように動かない…。


「愛理!!」


舞美ちゃん?

いつもからは想像できないぐらいの凄い声で呼ばれる。

でも、その姿はもう見えなくて…。

気がついたら、私は、…意識を失っていたんだ。


22 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:27







「もー、辛いなら辛いって言ってよー、
いきなり倒れるからびっくりするじゃん」
「ごめんなさい…」

バスの中で、寝転がった私の額に、スタッフさんから貰った
冷たいタオルを、ぎゅっと押し付けてくる舞美ちゃん。
ちょっと怒ったみたいに、それでも心配そうな顔で覗き込んでる。

23 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:27

「辛くない? へーき?」
「うん…大丈夫。みんなは?」
「今、サービスエリアにお土産買いに行ってる」
「そう…ごめんね」
「気にすんなー、愛理放ってなんていけないし」

そんなこと言ってくれるけど、
本当は、舞美ちゃんも行きたかったんだろうな。
舞ちゃんとかも、せがんでそうだもん。

きっと…。
きっとリーダーだから残ってくれて…。

想像して、ちょっとうつむいて落ち込んだ。

24 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:27

「ふふっ、なんかそうしてるの見ると愛理もまだ子供だね」
「え?」

言われて舞美ちゃんを見上げると、ちょっと楽しそう。
どうして…?

「愛理って、いつもはフワフワしてるけど、時々凄く大人びててさー、
あたしよりしっかりしてる時あるもん」
「そんなこと…」
「わがままとか言わないし」

舞美ちゃん。
それは違うんだよ?
本当は、すっごく我侭なんだよ?

でも、

25 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:28


「…だって、舞美ちゃんに嫌われたくないもん」

言って視線を外した。

えりかちゃんみたいに、一緒に学校の話ができるわけでもないし
千聖や舞ちゃんみたいに、無邪気に甘えたりも出来ない。
ナッキーや栞菜だって、舞美ちゃんに素直に気持ちを伝えたりするけど
私には、上手くできない。

だから、せめてイヤな子にならないようにするしかなくって。
大人しくするしかなくって。

26 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:28

どう思われたかな…?
ちょっと、不安になりながら、横目で見たら、
呆気に取られたような、ポカンと口を開いている舞美ちゃん。

それから、

「なにそれぇー!ばかだなぁ、愛理はー」
「わっ」

くしゃくしゃっと頭を撫でられた。

27 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:28

「そんなこと考えなくていーの! 愛理は愛理らしく!」
「え…?」
「素直な愛理の方が可愛いよ?」

きっと無意識なんだろうなぁ…。
そうやって、さらっと恥ずかしい言葉を笑顔で言ってのけちゃう
舞美ちゃんは。

凄く顔が熱い。
さっきまでの太陽の暑さにも負けないぐらい。
心臓だって、バクバクしてる。

「愛理? 大丈夫? なんか顔赤い…辛い?」

また心配そうに覗き込んでくる舞美ちゃん。

28 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:29

いいのかな?
本当に、私らしくでいいのかな?
嫌われたりしないかな?

ちょっぴり不安になったけど、
でも、舞美ちゃんだから…、
素直な私が可愛いって言ってくれた舞美ちゃんだから。

「ねぇ、舞美ちゃん?」
「うん?」

そっと、手を伸ばしてその手を握って。


「今だけ私だけの舞美ちゃんでいて?」


ほんのちょっとの我侭を言ってみたんだ。


29 :みんなのもの :2007/08/23(木) 17:29


やっぱり、キョトンとした舞美ちゃんだったけど、
すぐに笑顔になって、握った手を、力強く握り返してくれたっけ。


ずっとずっと一緒にいてほしいけど、
今の私には、これが精一杯。

みんなの舞美ちゃんを、今の時間だけ。

これぐらいなら、みんなも許してくれるから。



END
30 :名無し飼育さん :2007/08/29(水) 01:37
こんなところにやじすずが!
愛理乙女ですね〜
次回作あったら是非書いて欲しいです!
31 :ななしいくさん :2007/09/04(火) 04:43
やじすず 大 好 物 です
またぜひよろしくです!
32 :ななしいく :2007/09/12(水) 18:07

>>30 :名無し飼育さん
ありがとうございます。
乙女な愛理、気に入っていただけたなら嬉しいです。

>>31 :ななしいくさん
レス、ありがとうございます。
やじすず、作者も大好物なので嬉しいです。

もう一つ、やじすず行きます。

33 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:07


大好きなものがたくさんあって。

ありすぎて。

だから、その中の一つを選ぶ方法をあたしはまだ知らない。


34 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:08





「舞美ちゃんっ!」
「わっ」

リハーサルの休憩中、床に座り込んで
汗を拭いていたあたしの背中に軽い衝撃。
そのまま衝撃を与えた張本人は、くんかくんかと
首筋に食らいつくかの勢いで鼻先を寄せてきた。

「あ〜、今日もいい匂い…」
「ちょっ、栞菜、やめてよー汗かいてんだからー」
「なんでー、気にすることないのにー」
「気になるものなの!」

大体ヘンだよ、栞菜。
汗の匂いが好きなんて。
乾かすの大変だし、ものすごく対処に困るんだから。

35 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:08

「まいみー、一緒にジュース買いに行こー」
「えり? あ、うん、行…」
「ダメ!」
「えっ? うわっ」

えりの声に立ち上がりかけたあたしを引き戻したのは栞菜。
「もうちょっと、もうちょっと」なんて言いながら、
まだあたしの首筋にまきついてる。

「か、栞菜、あたし飲み物買いに行きたいんだけど…」
「えー」
「あ、舞美ちゃーん、ここの振り付けよくわかんないんだけど教えて?」
「あたしも!」

弱々しく抗議するしかできないあたしに、
次の声をかけてきたのは舞ちゃんと千聖。
待って待って。
なんでこんな次から次へと…。

36 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:08

っていうか、

「あれ? ナッキーは? ナッキーも同じ振り付けだったよね?」
「ナッキー、今バテちゃってて動けないって」
「え、ちょっと、大丈夫?」

くるっと首だけ回して、ナッキーに呼びかけたら、
タオルを頭にかぶせて俯きながらも、ひらひらと手だけ振ってくれた。
大丈夫ってことかな…?

「まいみー、行こうよぉー」
「舞美ちゃん、あと少しだけ!」
「舞美ちゃん、わかんないー」
「教えてよー」

そんな、いっぺんに言われても。

「ちょっと、舞美は私とジュース買いに行くんだってばー」
「少しぐらいいいじゃん、ちょっと待ってよえりかちゃん」
「てか、なんで栞菜ずっと抱きついてんのさー、離れてよー」
「そうだよー、困ってんじゃん、舞美ちゃん」

あぁ、ケンカしないで…。
こんな時、いつもならナッキーがまとめてくれたりもするんだけど。
グロッキーみたいだし、期待できない。

37 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:09

こうなったら…。

「あ、愛理ー!」
「んぇ?」
「一緒にアイス買いに行く約束してたよねっ!」
「え?」

1人、ほわわっと鏡を見て笑っていた愛理に声をかける。
お願いお願い、頷いて、助けて、この状況っ。
そんな願いをこめながら。

途端にみんなの視線が一斉に愛理に向く。
その当の本人は、きょとんとした目でみんなをくるっと見て、

「だった、かな?」

なんて曖昧な返事。
こうなったら、ちょっと強引にでも。

38 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:09

「ほら、行くぞ。ごめんねみんな、ちょっと行って来る」
「あわわっ」

栞菜から身をよじってぬけだすと、
よろめく愛理の手をとって部屋入り口へ。

「ちょっと舞美ー」
「ごめーん!」

最後まで、みんなの不服そうな視線が痛かったけど、
あたしは聖徳太子じゃないだし、いっぺんにお願いとかきけないんだ。
そのまま、そそくさと逃げるように、愛理とスタジオを後にした。

39 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:09





夏の暑さは、月が変わっても健在。
突き刺すような太陽が、あたしたちの頭上から降り注いできて。

その太陽から逃げるようにコンビニに入ったあたしと愛理は
アイスの入った冷凍庫に頭を突っ込んでた。

「んー…どれにしよう…」
「んはは〜、どれも美味しそうだもんね〜」
「愛理…、ホント食べ物の事になると嬉しそうだね」
「だって嬉しいもん〜」

子供だなぁ、本当に。
でも、どれにしよう…。

40 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:10

「私、これにする〜」

にゅっと、あたしの顔の前に伸びてきたのは愛理の手。
ひょいっとレモン味のキャンディーを指先でつまんで引き寄せて。
まだ食べてもいないのに、この上なく幸せそう。
可愛いなぁ。

あたしは…うーん、うーん、うーん…。

「けろっ、けろっ、けろっ」

隣ではカエルみたいな鳴き声を出してウキウキの愛理。
なんか、そんな愛理を見てると早く選んであげなきゃって思って。

41 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:10

あ、そうだ!
決められないなら、好きなの選んでメンバーにも分ければいいんだ。
よし、じゃあ…

「愛理、カゴお願い。みんなの分も買ってかえろ?」
「はいは〜い」

まるでそうするのが判っていたのか、
いつの間にか愛理はカゴをその手に持っていた。
その中に、6つアイスを落としていく。

「えりは確か苺がダメだったよね…。栞菜はメロンとかがダメで…
じゃあ、これとこれと…」

きっとこれなら、さっきのこともみんなも許してくれるだろうし。
……許してくれるよね? うんうん、大丈夫。
と、心の中だけで言い訳。

42 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:10


「ありがとうございましたー」


アイスの入った袋を下げて、コンビニを後にする。
一気に熱気の空の下へ。
途端に汗が噴出すけれど、そんなことよりも
早くアイスをみんなに届けなきゃって気持ちが足を早めて。

そんなあたしの後ろを、待ちきれなかった愛理が
アイスを頬張りながら、ひょこひょこと付いてきてる。
なんか、そういうところ見てると本当にまだ愛理は中学生で…
リハ室でケンカしてたみんなと同じような子供で。

「みんな子供だよねー」

不意に思ったことが口から出ていたんだ。
あたしの言葉に、愛理はアイスを口にくわえて「ふにゃ?」と声を出し、
ちょっとだけ首を傾げるようにして見上げてきた。

43 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:10

「みんなで一緒に休憩すればいいのに」

続けて言うと、愛理はまた反対側に首を傾げて。
それからちょっと不思議な顔をした。

なんというか、複雑な笑顔みたいな。
言いたいことがあるのに、あえて伝えないような、
もどかしい口元が、ちょっと愛理にしては珍しい感じで…。
「どうしたの?」って訊くよりも早く、

「舞美ちゃんも子供だよぉ」

そんな事を言う。
まさに、鳩に豆鉄砲。
ちょっと、ポカンとしてしまう。

44 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:11

「えーなんでー?あたし結構大人だよー?」

うんうん、そうだよ。
あたしこれでもみんなのこと考えてるし、
ちゃんと迷惑かけないように頑張ってるし
ケンカとかあんまりしないし、なんでなんで?

でも、愛理はそれに答えず「ひゃひゃひゃ」なんて不気味に笑って
自然な仕草で、あたしの手を取って前を歩き出したんだ。

近くの公園を横切ると、セミの大合唱が耳に届く。
もう秋に向かってもいい頃なのに、
全然、陽の暑さはおさまる事を知らずに、
これでもかというぐらい頭上から存在をアピールしてくる。

45 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:11

そんな中、行きと同じように
ひょこひょこと軽い足取りであたしの前を歩く愛理。

ほっそりした白い腕があたしの手を取って楽しそうに揺れてる。
ふと見れば、ちょんと頭のてっぺんでくくった髪の隙間から見える
すらっとした首筋。
汗っかきのあたしと違って、涼しいその後姿は、きっと理想の女の子。

こんな子に好かれる人は、きっとひとたまりもないんだろうなぁ…
なんて思っちゃう。

「ねぇ、舞美ちゃん?」
「わっ、な、なに?」

ぼーっと見とれてたせいで、いきなり振り返った愛理に驚く。
そんなあたしに、一度だけきょとんとして、また愛理は笑顔。

46 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:11

「あのね? 私は舞美ちゃんが好きだよ?」

ドキっとした。
まるで心の中を読んだような言葉に。
いつの間にか、また口から思ってることが出ちゃったのかって
思うぐらい。

でも、小動物みたいに笑う愛理を見る限り、
そんなエスパーみたいなことが出来るわけもない。
きっと、いつもの突然思ったことを突然伝えるクセが出たんだ。

なんか可愛いなぁ。
思わず頬がゆるんじゃう。

「ありがと。あたしも愛理のこと好きだよ?」

わしゃっとそのまま愛理の頭を撫でてやる。
でも。

47 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:11

「うー」

手の下の愛理の顔は、ちょっとつまんなそう。
なんで?

「愛理?」
「うー…。 …ま、いっか。今はそれで十分、かな?にゃはは〜」
「?」

なんか、1人で拗ねたり笑ったり忙しい子だなぁ…。
何が十分なんだか?
今度はあたしが首を傾げる番。

「でもね、舞美ちゃん?」
「え?」

そんなあたしの鼻先まで、ぐっと一歩踏み出してくる愛理。
突然のことに、またびっくりする。
こんな近くで愛理の顔を見るのは、そうないから。

48 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:12

中学生になって、ちょっと顔立ちもスっとしてきたよね…。
くりっとするその目は涼しげな色を称えてて。
それが今、あたしの顔をとらえて。

また笑顔になった瞬間、水のように揺れて…、

「いつかちゃんと、好きなものの中から1つだけ選ばなきゃだめだよ?」

不思議な魔力を含んだような言葉を告げられた。

好きなものの中から…。
愛理の言わんとすることが何なのか、あたしにはわからない。
きっと、とっても大事な事をあたしに言ってるんだ。
でも、この時のあたしには、それがなんなのかやっぱりわからなくて。

49 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:12

「大丈夫! 今度はレモンにするから!」

一番に浮かんだ、アイスのことだと思って返事したんだ。
あれだけ悩んで、愛理の楽しみの時間を先延ばしにしちゃったしね。

ぐいっと、袋をかざしてみせる。
そんなあたしに、愛理はまたふにゃっと笑って。

「やっぱり、舞美ちゃんは舞美ちゃんだ」

何事もなかったように、またあたしの手を取って歩き出したんだ。

心なしか、ちょっと楽しそうな愛理の背中。
でも、心なしか、ちょっと大人びた愛理の背中。

それがなんだか、あたしより何か大切なものを
もう、見つけているように見えて…

「なによそれー」

だらしなく、愛理を巻き込むみたいに後ろから抱きついてやったんだ。
やっぱり、愛理は「けっけっけっ」なんてちょっと不気味な声で
笑うだけだったけど。

50 :大好きなもの1つだけ :2007/09/12(水) 18:12

きっと、あたしには愛理のいう「1つだけを選ぶ」の意味は
もうしばらくわからない。

でも、その1つだけを選ぶその時がきたら、ちゃんと選ぼうと思う。

多分それは…アイスのように、いつか溶けてなくなる
大切なものだと思うから。



END

51 :ななしいくさん :2007/09/13(木) 01:26
やじすずキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━
いいですねぇ…この少女性ともどかしさがたまらないです。
舞美はいつ大人になるんでしょうね。楽しみなような、来てほしくないような…
52 :ななしいく :2007/09/26(水) 13:42

>>51 ななしいくさん
やじすずに、レスありがとうございます。
やっぱり矢島さんは周りをヤキモキさせるタイプですよね。

再びお邪魔します。
一つ、やじうめ+すずを。

53 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:42


特別ってどういうこと?

特別って、そういうこと。


54 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:43

「あちー」

ライブが終わってシャワーも浴びた後、
帰り支度をしながら、ついつい視線は舞美を追いかける。

綺麗な黒い髪が、少し湿っていて、
キャミソールから覗く、鎖骨や首筋に張り付いている。
上気した肌は、うっすらと赤らんで…。
それが妙に艶っぽい。

一昔前では考えられないぐらい成長した姿に
気付いた瞬間、眩暈がした。

あんなに褐色に焼けていた肌が、今では雪のように透き通って。
スラっと伸びた手足は、女の子からだんだんと女の人に。
でも、無邪気に笑う姿は、歳相応の女の子。

55 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:43

その全部が魅力的。
だから。

不意に思うんだ。
触れてみたいって。

ぎゅっとして、私だけのものにしてみたい、とか。
メチャクチャにしてみたら、どんな表情を舞美は見せる?
私だけに、どんな舞美を見せてくれる?

56 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:43

「うん? えり? どうしたー?」

ぼーっとしてる私に気付いた舞美は、無邪気に笑いかけてきた。

途端に、胸がドクンと高く鳴る。
落とした汗も、一気に噴出して。

「なんでもないしー、あー暑い暑いー」
「今シャワー浴びたとこじゃんー」
「だから、暑いのー」

えり、デリケートだもんねー、なんて言いながら、
舞美はまた、自分の荷物をまとめ始める。
それを横目で見ながらほっと溜息1つ。

57 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:44

その真っ直ぐすぎる目で見つめられると、何もいえなくなるんだ。
友達の身体をそんな風に見てることに、少しの罪悪感とか感じて。

全部言ってしまえば楽になるのに。
いつだって私は茶化して伝えることしかできなくて。

ねぇ、私が舞美のこと、そんな風に見てるって知ったらどうする?
やっぱり困る?

あたふたして、噛みまくって、
それでも私が傷つかないように「ごめんね、えり」とかって、
そんな風に………言いそうだな、絶対。

58 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:44

「まいみぃー」
「なにー? って、今度はどうしたの?えり?」

勝手に落ち込んだ私は、舞美を後ろから捕まえて額を背中に押し付けた。
でも、舞美は嫌がるそぶりも見せずに、笑いながら荷物を片付けてる。

「まいみぃー、好きだぞー」
「あたしも好きだぞー、とか言って、あははっ」

あはは、じゃないよ…。
それに、その好きじゃないんだってば。
なんて言えない。

59 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:44

だって、私以外にも舞美のこと好きな子、いっぱい知ってるもん。
私以外にも苦しんでる子、いっぱい知ってるもん。

せめて舞美が、もう少しそういうことに敏感だったら…。
そんな舞美は舞美じゃないって判っていても思ってしまう。

60 :特別の定義 :2007/09/26(水) 13:45

特別ってどういうこと?

特別って…


「舞美ちゃーん」
「なにー愛理ー」
「なんでもなーい、呼んでみただけーひゃっひゃっひゃっ」
「なにそれーっ」


気付いたほうが、損をする。

特別って、きっと、そういうこと。


END

61 :ななしいくさん :2007/09/27(木) 01:17
1レスしか出てこないのに愛理の顔が浮かびます。
作者様の力量ですね。さすがです。
62 :ななしいくさん :2007/10/08(月) 01:17

今更ながら『寝る子は℃-ute』のノリマツとイシゾーのその後的な話を…
63 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:18
明日は、夢にまで見た、アイドルになるためのオーディションがある。
・・・にもかかわらず、夜中の1時になっても石津奏の瞼は重くならなかった。

寝不足の腫れた目でオーディションを受けたらどうなるか、わからない訳ではない。
割と感情の赴くままに行動する友人の則松彩とは違って、奏は状況判断に長けているつもりだ。
しかし、いくら頭で理解していても、こればかりはどうしようもない。
何度羊の数を数えようと、何度数学の教科書に目を通そうと、睡魔は枕元にやって来なかった。

苛立ちを抑えて、ベッドの上で何度目かの寝返りを打つ。
すると、横に置いていた携帯電話が目に入った。
しかもタイミング良く、着信を知らせる青白い光が点滅している。

「・・・電源、切ってなかったっけ」

まだ寝てなかったからいいものの、もし寝ていたらどうするつもりだったのやら。
奏は、その場合の自身と電話相手の両方の対応を想像しながら電話のキーを押した。

「もしもし?」
64 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:19
自然と語気が強くなったのは、眠れないことから来る苛立ちのせいだ。
理不尽な怒りをあらわにしてしまい一瞬相手に申し訳なく思った。
と、同時に願った。
気心の知れた“奴”が、この怒りは本心でないと気づいてくれることを。
そう、こんな非常識な時間に電話をしてくるのは“奴”しかいない。画面の表示を見なくともわかる。

『もしもし、イシゾー?起きてた?』

案の定、だ。
則松彩ことノリマツ。割と感情の赴くままに行動する女。
奏は一つため息をついて、この愛すべき友人に言葉を返す。

「寝てました。・・・あのねぇ、ノリマツ。あんただって明日オーディション受けるんだよ?
電話なんかしてないで、早く寝たほうがいいよ」

特に見栄を張るような相手でもないのに、嘘をついた。
緊張して眠れない、と素直に伝えるのはやはり気恥ずかしい。
65 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:19
『あれ?寝てたんだ。でもその割には、ずいぶんはっきりした声ですなぁ』

あっという間に嘘を見抜かれた。でもどこかホッとした。
この友人、あれで意外と鋭かったりする。とぼけた顔は叔父譲りだというのに。

「そんなことよりノリマツ、なんの用?明日持ってく物の確認?それとも、待ち合わせ場所の変更?」

どうやら自分はあの一族に弱いらしい。
あのおじさんの顔を思い浮かべたら、苛立ちはどこかへ失せてしまった。
今だってそう。電話を片手にあたふたと用件を伝えようとする彼女の姿を想像して、
思わず頬が緩んでいる。
66 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:20
『違うのイシゾー。あのね、あたし眠れなくて・・・それで、イシゾーの声聞きたくて』
「え?」
『イシゾーの声聞いてるとさ、なんか安心するんだよね。で、安心したら眠れるかな〜と思って』

思いもよらぬ発言に、しばし頭が固まる。
寝惚けているわけでもないのに、返す言葉が出てこなかった。

『でもごめん、そっちのこと考えなくて。いちお〜三回コールして、出なかったら
切るつもりだったんだけど』
「・・・・・・星」
『え、なんか言った?』
「星、見ない?ノリマツ。窓開けられる?」
『うん!』

頭がうまく働かない時には、本能が行動を決めることもある。
奏の本能は、なぜだか星を見ろと告げていた。別荘とも東京とも違う、この場所で見える星を。
67 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:20
あらためて星を眺めるのは、あの夏以降初めてだ。
自然と、別荘で見た夜空が頭の中に浮かぶ。
もちろん、別荘で起きた様々な出来事も一緒に。

あの夏を思い返しながら、ゆっくりと窓を開ける。
すると、真夏とは違うひんやりとした風が頬を撫でた。
あまり長くなると風邪をひいてしまうかもしれない。
一瞬、彩を付き合わせたことを後悔したが、先に電話してきたのはあちらだと思い
すぐに後悔を打ち消した。
迷惑をかけているのはお互い様だ。それを許し合えるから親友でいられるのだ。
68 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:21

夜空を見上げると、別荘で見た時より数は少ないものの、いくつもの星が輝いていた。
自分から言い出したこととはいえ、思っていたよりも多くの星が見えることに驚く。
驚きは彩も同じのようで、電話の向こうから小さな歓声が聞こえた。

『結構・・・見えるもんだね』
「うん。別荘ほどじゃないけど、多分東京よりは見えてるよ」
『見えてる見えてる』

二人の会話に主語はない。
同じ気持ちを共有している二人には、主語など必要なかったからである。
それに、今二人に見えているものは一つだけではないはずだ。

『イシゾー、何考えてる?』
「んー・・・・・・いっぱい。昔のこととか、今のこととか、これからのこととか」

数えきれない事象を「星の数ほど」と言うことがあるが、正にこの瞬間がそれだった。
奏は今、星の数ほどの思い出を、想いを、夜空に浮かべていた。
69 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:21
幼い頃初めて好きになった男の子。友達と大喧嘩して口も聞かなかった時期。
親に見せていない出来の悪かった小テストの答案。疲れがすぐに出てしまう顔。
アイドルとしてステージに立つ自分。ごく普通の主婦として家事に勤しむ自分。

様々なことが胸をよぎるが、胸の中の一等星はやはりあの夏の思い出だった。
あの経験がなければ、一瞬一瞬を精一杯生きようなんて本気で思うことはなかった。
ろうそくの灯が一瞬にして消え去る悲しみを知ったからこそ、今の自分がある。
あの人との出会いはこれからもずっと自分の中で輝き続けるだろう。
そして、彼女との出会いもまた――
70 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:22
『あたしも!いろんなこと考えてた。小さい頃の思い出とか、明日のこととか。・・・
夏美さんのこととか。今はね、イシゾーとのこと思い出してる』

この広い夜空の下で同じ星を見て、同じことを想い、同じ夢を追いかける女の子と
友達になれたという事実。
たとえそれが奇跡であろうと偶然であろうと、奏には何より嬉しい現実だった。

『・・・あたしさ、イシゾーと逢えてよかったよ。あんたと一緒じゃなけりゃ、こんなに
自分の夢に積極的になれなかったかも』

おそらく、生き別れの姉妹でもこんなに意見が合うことはないだろう。まるでこちらの考えを
読まれているかのようだ。
それは嬉しくて嬉しくて嬉しいことだけど、伝えたいことを先に言われるのは
悔しくて悔しくて悔しいことでもある。
71 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:22
「・・・ノリマツ!」
『はいっ!』
「そんな“もうおしまい”みたいな言い方、ダメだよ。あたしたちは“これから”なんだから」

悔しいから、今の告白に明確な返事はしない。
悔しいから、次の台詞はこっちが先に言ってやる。

「これからもよろしくね、ノリマツ」
『・・・よろしく、イシゾー』

一瞬の後、糸が切れたように二人で同時に笑い出した。
笑いすぎて、何に対して笑っているのかさえ、わからなかった。
でも、笑っているこの瞬間がとても幸せなものであることは二人にもわかっていた。
わかっていたから、また笑った。

72 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:22


気づくと、時計の針は先程よりもずいぶん先に進んでいた。
さすがにもう睡眠体制に入らないとまずいだろう。

『さて、寝るか!』
「だね!こんな時間まで起きてるなんてわかったら、来夏はカンカンだよ、きっと」
『確かに!・・・じゃ、おやすみイシゾー』
「おやすみ、ノリマツ」

電話を切って窓を閉め、再びベッドの上に横たわる。
彩と話す前の緊張や苛立ちはまったくといっていいほど感じなくなっていた。
むしろ、人生に対する決意のようなものまで芽生えるくらいだ。
73 :夜空の下 ふたり :2007/10/08(月) 01:23

――この先何が起きるかなんて今はわからないが、いつかそのことを笑える日が来る。
それまでは、どんな時も前向きに生きていこう。


もうすぐ、誰もまだ知らない朝が来る。
不安な気持ちは変わらない。
だけど、今度はちゃんと眠れそうな気がした。




おしまい
74 :ななしいくさん :2007/10/08(月) 04:39
青臭さまっすぐさがそのままあの舞台を思い出させてくれました
ありがとう
75 :ななしいくさん :2007/10/17(水) 17:44
原作知らんので解らんかった?
76 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:13




わたしはあなたと一緒にいられるのかな。




77 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:13



『ソーダ水』



78 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:14



忙しい舞美と久しぶりに二人で眠った翌朝、背伸びして入った喫茶店。
日曜日の早朝で、お客さんもまばら。


くはぁ、と彼女があくびする。


「舞美まだ眠いんじゃない?もうちょっと寝ててもよかったのに。」
「ん?ううん、いーのいーの。夕方までしか一緒にいれないもん。
めぐとゆっくりできるのなんてめったにないのにさ、寝てたらもったいないじゃん。」
「でもさ…」
「いーの。」


わたしが返せなくて会話が途切れる。最近いつもこうだ。
その度に目を伏せてしまう舞美は私が泣きそうになってる事を知らないんだろうな。
79 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:14

理由は分かってる。舞美が大人になって、わたしが子供のままだから。
一歩先回りした優しさをさりげなく見せるようになった舞美。
それが意識的なのか無意識なのかわたしには分からないし、分かろうともしてない。

もちろん嬉しくないわけじゃない。
ただ昔は舞美の事ならなんでも知りたがって分かりたがってたのに、今はそうでもない。
気付かないふりした方が楽かなぁなんて思っちゃうそんな自分が、自分たちが…なんていうか複雑。
80 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:14


舞美の白い指が皿に残ったパセリをつまんで口に運ぶ。


「あれ?舞美パセリ食べるの?」
「うん、食べれるようになったんだー。えりの影響かな。」
「へぇ。じゃーわたしの分も食べてよ。」


わたしの知らない舞美がまたここにいた。えりの影響、か。
舞美の新しいところを知って喜んでいたわたしはいつの間にかいなくなってしまった。
それがなんだか悔しくて悲しくて、そしてかまってほしくて
わたしのお皿に残ったパセリをつまんで舞美の口元に持っていく。


「ええ?いいよー。嫌いじゃない程度だし。」
「まぁそこを一つ。ほれほれ。」


舞美の口元でパセリをくるくると回しながら、えいえいと押し付けるように。


「あはは、いいってばー。」
「ええ〜食べてよ」
81 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:15

しつこく。薄っぺらい笑みを頬に貼り付けて半ば喧嘩を吹っ掛けるように。
こんなことで舞美が怒らないのは分かってる。
でもモヤモヤの中に迷い込んで抜け出せないわたしは喧嘩がしたかった。
仲直りか別れか、道がはっきりさせたかった。


けれど思惑は案の定外れて、舞美は曖昧に笑みを浮かべるだけ。
フッと顔を横に向けて頬杖ついて朝の街を眺めてる。日に日に大人びてゆく綺麗な横顔。
それ以上踏み込ませない拒否。
逆らえないわたし。


喧嘩もできないってさぁ。


わたし達は別れるのかもしれない。

頭の中で確かにその意味を理解する。
あくまで可能性としてしか考えてこなかった事を今受け入れている。
82 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:15



告白は舞美からだった。

ダンスレッスンが終わってたまたま楽屋で二人になった時
『め、めぐ、あのね、』って話しかけてきた舞美がいきなり泣きだしたもんだからわたしはそりゃあもう慌てた。
一生懸命隠していたけどずっと大切な人だったから。

わたわたしながら抱きしめてよしよしってして『どうしたの?』って聞いて。
意を決したらしい舞美が涙目でクッとわたしを見上げてきただけでクラっときたのは内緒。
舞美の必死な告白を聞いてわたしまでちょっと泣いたりして。
それくらい嬉しかった。


あの時のまま時間がとまってくれれば。


正直言って、いい加減目指す先が見つからないこの恋に嫌気がさしていた。
以前は高め合っていたお互いの関係はあっけなく崩れて、わたしは舞美のなに?
83 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:16



行き場をなくした私の右手は音もなく緑の葉っぱを皿に戻す。
なんとなく気取られたくなくて、精いっぱいに存在感を消しながら。




この人は、何を考えてるんだろ。


組んだ腕をテーブルにのせて、その上に顔を寝かせる。
目の前に置かれたコップと舞美が重なって、揺らいでいた。
ソーダ水の泡は私たちのどうしようもない想いのようにとどまる事なく湧いては消え、消えては湧いてくる。


ねぇ舞美、私の事わずらわしいって思ってる?
めんどくさいなぁって思ってる?
あなたの事好きなんだけど、いいのかな?
どうしたらいいのかな。住む世界が変わったのにあなたの事しか目に入らないよ。
あたしはなんでこんなに困ってるのかな?
84 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:16



「舞美最近さぁ…」


口に出してから続きを言えない事にハッとして口をつぐんだ。


『忙しそうだね。大丈夫?』
この言葉が言えない。

『忙しそうだね、大変だね、でも頑張って。応援してる。』
言いたいけど言えない。
応援してないわけがない。誰よりも応援しているけれど、遠くに行かれてしまうのがちょっとだけ寂しい。

悩んで悩んで悩み抜いたから、後悔はしてない。あの世界に未練はない。
けれど今でも、℃-uteに戻りたいと思ってしまう。
85 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:16

舞美はわたしのそういう部分に気づいてる。卑屈で子供なところ。
超のつくほど鈍感だけど大事なとこは心の奥で感じ取る人。
わたしが隠してる事もわかってるから、いつだって気付かないふりをして爽やかに笑う。
カラカラと笑って手を引っ張ってくれる。


「んー?」
「あーっと、やっぱなんでもない…」


そんなところが好きだった。不器用で、でも優しさが一生懸命なところ。

なのに、今はそれが苦しい。舞美を苦しませるだけの自分が一番イヤ。
優しくされたってもう素直に泣けないわたし。


「なーにさ。」

目線をチラリとわたしに向けて、フッと笑う。


らしくない笑い方。
きっとわたしはあれからずっと気を遣わせてる。
舞美は、脱落してしまった弱いわたしを傷つけまいとして。
86 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:17




「めぐがさ、抜けてさぁ、もう1年だね。」


舞美がポツリと言葉を漏らした。


「え?」


お互いが避けてきた話題に自分の顔が固まったのが分かった。
そして身構えた。

きっとさよならを言われるんだ。


「えっとさ、なんてゆーか、そ、そのあたしね…めぐの分まで頑張ってるから。」
「…ん。」

けれど続けられた言葉は予想外のもので、
動揺したわたしは相槌さえ満足に打てずに舞美を見つめた。
87 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:17

舞美が頬杖をやめてこちらを向く。
話しづらい事を話すとき普通なら相手の目を見ないようにするけど、
舞美は逆に見ようとする。噛み噛みでも目で伝えようとする。


「だからね、あ、あたし、めぐと別れたくない。
めぐが最近あたしといても楽しくなさそうなの知ってるけど、
でもあんまり一緒にいれなくたって、」


珍しく眉毛の下がったその必死な顔がかわいくて、切なくて。


「めぐ、あたしね、」


あぁそうだ、こんなところも大好きで。

88 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:17


「舞美。」


そんなに泣きそうな顔しないで。


「わたしたち、大丈夫だよ。」
「へ?」


小さく口を開けて眉毛が下がったままの舞美を見て、自然と優しい気持ちになった。


「わたしたちは、大丈夫。」


自分に言い聞かせるようにゆっくり繰り返す。
うん、大丈夫。途切れそうだと思ってた気持ちはちゃんとつながってた。
お互いにちょっと見失っただけ。

89 :ソーダ水 :2007/10/28(日) 03:17

テーブルの上の舞美の手をとる。
舞美はまだなんだかよくわかってないらしい。ポケーッと口を開けたまま。
わたしはそんな彼女に頬を緩める。




「好きだよ。」



カッと赤くなった舞美。

ずっと一緒にいようと思った。
ずっと一緒にいたいと思った。




おわり


90 :ななしいくさん :2007/10/28(日) 03:18
村上さんが今幸せでいてくれたらそれでいいかな、と。
91 :ななしいくさん :2007/10/28(日) 03:24
はぁっ!間違いが!
>>81
仲直りか別れか、道がはっきりさせたかった。
            ↓
仲直りか別れか、はっきりさせたかった。

です。申し訳ない。
92 :ななしいくさん :2007/10/31(水) 15:54
ですね。>幸せでいてくれたら
作者さん、書いてくれてありがとう。
93 :ななしいくさん :2007/11/19(月) 21:57
やっぱりこの組合せが大好きだなって再確認しちゃいました
いや、ますます好きになった!!ありがとう!
94 :ななしいくさん :2007/12/13(木) 18:51
くまいちょーとももち。
短いです。
95 :寝る子は育つ :2007/12/13(木) 18:52
コンサートのリハーサル。
控え室はいつもがやがやとしてるけど、今はやたらと静かだ。
ももとくまいちょーは待ち時間を有効活用するために長机に向かってアンケートに答えていた、けど。

「ね、ね、くまいちょー」
「んー……」

さっきから眠そうにしてたんだよね。
シャーペンを握ったまま、こくりこくりとくまいちょーが船を漕ぐ。
くまいちょーだけに船長……ああ、徳さんがうつった。

「眠いならせめてソファーで寝なよ」
「……ねない」
「時間ならまだ大丈夫だよ」

壁に掛けてある時計を見る。
次の集合時間までは時間がたっぷりあった。
96 :寝る子は育つ :2007/12/13(木) 18:52
「机に座ったまま寝るの良くないよ」
「ねないって……それに座ってるのは椅子」

いちいち細かいなあ。
寝ない、と言いながらも相変わらず頭は前後に揺れてるし。

椅子から腰を上げてくまいちょーの後ろに回りこむ。
立ち上がらせようと腕を引っ張ったら振りほどかれた。

「ももち、そんなにうちの身長伸ばしたいんだ」
「えぇ?」

くまいちょーがぼそっと呟く。
そんなこと言ってないのに。

「なんでそーなるのさ」
「寝る子は育つって言うじゃん」

なるほど。
くまいちょーは身長のこと気にしてるからなあ。
97 :寝る子は育つ :2007/12/13(木) 18:53
「本当は寝るのと育つのって関係ないらしいよ」
「嘘だぁ」
「嘘じゃないってば」

思いっきり嘘なんだけど。睡眠中に成長ホルモンでるっていうし。
でも、見かけは大人! 頭脳は子ども! のくまいちょーだから。

「そうなんだ。知らなかった」
「だからちゃんとソファーで寝よ?」
「うん」

やっぱり簡単に信じてくれた。
立ち上がったくまいちょーを見上げながら、
怒られるかもしれないけど目が覚めたら本当のこと教えてあげようと思った。
背が高いのも悪くないんだよっていうのと一緒に。
98 :寝る子は育つ :2007/12/13(木) 18:53
おわり
99 :ななしいくさん :2007/12/14(金) 12:42
かわいいなあ
ほのぼのしました
100 :ななしいくさん :2007/12/15(土) 01:46
見かけは・・・
そのとうりですねw

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