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砂糖をあなたに

1 :名無飼育さん :2018/08/06(月) 21:05
砂糖は麻薬だそうだ。
ゆっくりゆっくり効いていく遅効性の毒。

最初の印象が悪いなら、ゆっくり私の存在をあの人に貯めていく。
時間をかければ、人への想いは変わる。
変わったその時に毒が貯まっていればいるほど、あの人は私から逃げられなくなると信じて。
56 :十三話 :2018/09/25(火) 22:55


「で、本題はなに?」


ひとしきり、お互いの近況報告で盛り上がったあと工藤が尋ねた。


「あ〜、うん。あのね、聞きたいことがあるんだ。」

「うん。」

「どぅーって、まーちゃんと付き合ってるでしょ?なんでまーちゃんと付き合うことにしたのか聞いてみたくて。」

「へ?」


工藤は不思議そうな顔になった。
それはそうだ。
二人が付き合うまで、話を聞いたり、時にはお節介を焼いていたのは石田と飯窪だったからだ。


57 :十三話 :2018/09/25(火) 23:06


「えーと。いきさつはあゆみんが見てきたまんまなんだけど、そういうことじゃないこと?」

「そう!好きってなんで思ったの?まーちゃんと他の人への、好きってなにが違うの!?」

「ちょっと。あゆみん、落ち着いて!」


工藤は近くにあった水を石田に飲ませる。


「うー、ごめん。落ち着いた。」

「そういう話なら、場所変えようか。ハルん家来る?」


カフェを出て、工藤の家に向かう。
工藤の実家に向かうのかとおもいきや、駅と反対に歩いていく。
しばらく前に都内に部屋を借りて、のちのちには一人暮らしをする予定だという。
知らない間に、知らない成長をしている工藤に寂しく感じる石田だった。



58 :十三話 :2018/09/25(火) 23:08


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59 :十三話 :2018/09/25(火) 23:16
>>53 

ありがとうございます!
小田さん、こんなこと考えそうだなぁってとこからはじまりました。
石田さん、パンクしかけですw


気にならないかもしれませんが、時系列がちょっとごちゃってます。
完結したら整理したいなと思います。

読んでいただいてありがとうございます。 
60 :十三話 :2018/10/02(火) 01:16



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61 :十三話 :2018/10/02(火) 01:17


「どーぞ。何もないけど、上がって。」


工藤がドアを押さえて、中に入れてくれる。
本当にこちらにはあまり帰っていないらしく、物は少なく綺麗な部屋だ。


「あゆみん、奥の部屋行ってて。ハル、これ片付けてから行くし。」


ワンルームかと思ったらもう一部屋あるらしい。
奥の部屋は、工藤らしい居心地の良さそうな部屋だった。
石田は、部屋の真ん中にあるローテーブルの前に座った。


「玄関入ってすぐって、落ち着かなくてさ。ほとんどこっちの部屋で過ごしてるんだよね。向こうはほぼ物置。」


あちこち見たら悪いかなと思いつつ部屋を眺めていると、両手にコップを持って工藤がやってきた。


「いい部屋だね。」

「どうも。はい、お茶。」


コップ二つをローテーブルに置いて、石田の向かいに工藤は座る。

62 :十三話 :2018/10/02(火) 01:17


「さて。さっきの話の続きだけど、その前に聞いていい?好きな人でもできたか告られたの?」


コップに手を伸ばしたままの姿でガチンっと固まる石田。


「小田?」


じっと石田を見つめてさらに追い討ちをかける。


「な、な、な、なんでそうなんの!?」

「なんでそうならないと思うんだよ。」

「そんなに、私と小田ってそういうふうに見えんの?」


石田は工藤の冷静な返事に、真っ赤になって頭を抱えた。

63 :十三話 :2018/10/02(火) 01:18


「もうさ、好きとかわかんなくて、わけわかんなくなってて。」

「ほー。んで、ハルがどうだったのか参考にしようってこと?」

「うん。どぅーもまーちゃんとずっと一緒にいてたけど、最初から好きとかじゃなかったでしょ?なんで好きって気づいたのかなとか、親友じゃダメだった理由とか改めて聞きたくて。」

「うーん。あゆみんの期待してるようなもんじゃないよ。多分、あゆみんには理解できないと思うよ。それに、ハルがそうだったからって、あゆみんもってわけじゃないでしょ?てかあゆみん、舞台で結構経験してるでしょ?」

「舞台と現実じゃ違うんだよぉ。お願いします。」


へたれた声にすがるような目で見られたら、工藤には冷たくあしらうことなどできない。

64 :十三話 :2018/10/02(火) 01:19


「先に言っておくけど、これはまさも知ってるからね。ハルがまさと付き合うことにしたのは、まさの束縛がしんどくなったからなんだ。」

「は?」


目と口がポカンと開く。


「ハルね、みんなといる時はみんなと仲良くしたいんだ。でも、まさはそうじゃなかった。いつでもどこでもハルを独占したがってた。あゆみんも覚えあるでしょ?」


たしかに、今はそんなことないが佐藤には工藤を独占したがるところが合った。
飯窪がそんな佐藤に注意をしたこともある。
しかし、それがなぜ付き合うことにつながるのか石田にはよくわからない。


「まさにハルの時間をあげるかわりに、みんなといる時はハルを自由にしてってことで付き合うことにしたんだ。」

「……。それは付き合うって言うの?」

「好きなのかどうかって聞かれたら正直まだわからない。でも、ハルにとってまさは大事な人だよ。始まりはこんな理由だったけど。」


穏やかな顔で工藤は続ける。

65 :十三話 :2018/10/02(火) 01:20


「ハルはさ、人に合わせちゃうところがあるじゃん?だから、時々自分を見失いそうになっちゃうんだ。そんなハルをまさはしっかり捕まえていてくれるんだ。」


頬杖をついて 、穏やかなまま石田を見る。
石田には、その姿が自分より大人に見えた。
真っ直ぐ、ちょっと中二病だけどひねくれたところのない可愛い妹と思っていた工藤がこんなことを考えていたとは。


何か言わなければと思うが、何を言ったらいいのかわからない。
ただ、そういう形もあるのだとは心にストンと落ちた。


「こんな形もあるからさ、そんなに悩まなくてもいいんだと思うよ。」

「んー。」

「付き合ってから好きかどうか考えてもいいんじゃない?」

「でもそれってなんか失礼じゃない?」

「言うと思った。でもさ、悩むくらい好きで相手もそれで良いって言うなら甘えてもいいんじゃない?」


工藤の言葉に石田は「でもなぁ」と渋る。


66 :十三話 :2018/10/02(火) 01:20


「なんやかんやと話したけど、その辺りはあゆみんが決めることだからね。こんな考え方もあるんだって聞き流してもいいよ。」


工藤は、考え込んでいる石田に声をかける。


「うん。どぅー、ありがとう。まだ直接言われたわけでもないから、それまで考えてみるよ。」

「え!?言われたんじゃないの!?」

「うん。はるなんと小田が喋ってんの聞いちゃって。」


それを聞いた工藤は「なにやってんだよ。」と頭に手をやる。


「あー、うん。あんまり悩み過ぎないようにね。」


苦笑いする工藤は、なんだか昔の工藤だった。

67 :十三話 :2018/10/02(火) 01:21


そのままいつもの空気になった。
あのあと、二人でゲラゲラ笑っているところに佐藤が帰ってきたり、どうせならと飯窪を呼び出したり色々とあった。

いつものような騒がしさの中で、工藤と話せて良かったなと思う石田だった。



68 :十三話 :2018/10/02(火) 01:22


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                            十三話 終

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69 :十四話 :2018/10/07(日) 21:39


収録前の楽屋。
集合時間にはまだまだ時間がある為、それぞれが好きなことをしている。
そんな楽屋の片隅で、石田はスケジュール帳を前に考え込んでいた。


「この日は仕事とかぶってるしなぁ。…」


ぶつぶつ言いながら真剣に考えている。
他のグループの公演や舞台のチケットを前もって申し込みするために頭を悩ましているのだ。
フッと石田の手もとに影が落ちた。


「石田さん、ここの時間が空いてるならこの日に行きません?」


小田が、スケジュール帳を覗き込んでいた。

70 :十四話 :2018/10/07(日) 21:39



「でも、撮影場所が離れてるから間に合うか微妙なんだよ。」

「ここ、意外と近いんで間に合いますよ。小田と一緒に行きましょう。」

「えー、小田と一緒かぁ。」

「可愛い可愛いちぃちゃんもいますよ!だから、一緒に行きましょう!」

「ふっ。なんでそんな必死なの。しょうがないなぁ、一緒に行くか。」


なぜか必死に誘う小田に笑ってしまう。
石田は誘われた日の他にも何点か申込書に書き込んで、ボールペンを机に置いた。


「よし!じゃあこれスタッフさんに出してくるわ!ありがとう、小田。」

71 :十四話 :2018/10/07(日) 21:40


申込書を出しに楽屋を出ようとしたところで、入ってこようとしていた譜久村とぶつかりそうになった。


「わわっ!すみません、譜久村さん!大丈夫ですか!?」

「いや、こっちこそごめんね。あゆみちゃんも大丈夫?」

「あたしは大丈夫ですよ!丈夫なのが取り柄ですし!」


譜久村は、元気に答える石田の頭をついつい撫でてしまう。
石田は、「なんですか〜」と言いながら嬉しそうにしている。


「あれ?あゆみちゃん、それ…」

「あぁ!すみません、これ早く出さないといけないんで行ってきます!」


石田は、指摘されて慌ててスタッフを探しに行った。
残された譜久村が複雑な表情をしたことにも気づかずに。

72 :十四話 :2018/10/07(日) 21:40






73 :十四話 :2018/10/07(日) 21:41


「遅くなってすみません。チケットの申し込み、これでお願いします。」

「はい。じゃあ、これで調整しておきます。」

「では、失礼します。」

「あ、石田ちょっと待って。」


無事に申込書を渡せたので、楽屋に戻ろうとすると引き止められた。


「石田、したいことあるか?そろそろ、考えておけよ。」

「え?」

「時間なんて、あっという間だな。もう、そういう年齢になるなんてな。どういう形になるかはまだわからないが、考えておいてくれ。」

「……わかりました。」

74 :十四話 :2018/10/07(日) 21:42



まことしやかに囁かれる定年説。
年下の先輩、年下の同期に後輩。
もうすぐ半分になる同期。
自分もそろそろなのかなとは思っていた。


舞台が面白いと思ったから、色々な舞台を見に行った。
好きなダンスを続けるなら、どうしたらいいのか先輩に聞いたりもした。

でも、娘。より大切なことも、したいと思うこともなかった。





あたまがぐるぐるしている中でふと浮かんだのは、なぜか小田の顔だった。




75 :十四話 :2018/10/07(日) 21:42


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                            十四話 終

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76 :十五話 :2018/10/21(日) 00:04


将来のことを考えておくように言われたあの日、譜久村さんも同じことを言われたそうだ。


帰りに譜久村さんにご飯に誘われ、色々と話し合った。
譜久村さんは、私よりも色々と聞いたようだったけれど詳しいことは教えてくれなかった。
ただ、私たちのことはまだ不確定なことで今すぐにどうこうというわけではないらしいとは教えてくれた。
それでも、そういう声がかかったという事実に落ち着けるわけがない。
だけど、私もプロだ。そんな話があったことなど隠せると思っていた。
思っていたけど、わりとすぐ顔に出てしまう性格、それに私をよく見ている小田にバレないわけがなかった。


77 :十五話 :2018/10/21(日) 00:06


仕事終わり、小田をご飯食べに行かないかと誘った。
最近やけに目が合うし、何か言いたそうな顔して黙っているしでいい加減気になっていた。




「小田、なに食べたい?」




仕事がかなり早く終わったおかげで時間はたっぷりある。
個室のお店を検索しながら小田に問いかけると思いがけない返事が返ってきた。




「石田さんの手料理が食べたいです。」


「はぁ!?」




おもわず、小田しかいないのに自慢のキレを披露してしまった。




「石田さんの手料理が食べたいです。」




繰り返した小田はニコニコしているが、いつもと様子が違うような気がする。
やっぱり何かあんのかなぁ。


メンバーを自分の家によんだことはなくて少し迷う。
周りを気にせずに話すには確かに家は最適だ。
それに今日は誰もいない。
遅くなったとしても小田一人ぐらいなら布団はあるか。




「しょうがないなぁ。いいけど、なにも用意してないから期待しないでよ。あと、スーパー寄るから付き合ってもらうよ。」


「はーい。」




とても嬉しそうな顔で返事する小田になぜかホッとした。
78 :十五話 :2018/10/21(日) 00:09


家に帰って、小田にはTVでも見といてとリビングに案内して私は食事の準備をする。


「石田さん。」

「ん?面白そうなのやってなかった?」


小田が呼ぶが、振り返らずに返事をする。
もうすぐ卵がなくなりそう。さっき買ってくればよかった。


「いえ、あのこっちにいてもいいですか?」

「なに、寂しいの?」


ちらっと小田の方を見ると後ろの壁にもたれて所在なさげに、ちょこんと座っている。
いつものどことなく堂々とした姿と違っていて、ふっと笑いがもれた。

79 :十五話 :2018/10/21(日) 00:10


リビングなんて気取って言ったがそんなに広いマンションじゃない。
後ろを向けば、すぐに見える距離だ。
なのに小田はTV前のソファから離れて、邪魔にならないくらいのところまで近づいてきた。
それがなんだか可愛いし、少し嬉しい。


「いいけど、床冷たいでしょ。そこの椅子持ってきて座りな。」


キッチンの隅に置いてる椅子を指差すと、小田は嬉しそうに椅子に座った。

80 :十五話 :2018/10/21(日) 00:12


料理を作りながら、小田と他愛もないことを話す。
穏やかな時間に、じんわりと心が温かくなる。



作った料理を「美味しい美味しい」と食べる小田は可愛い。
いつもの色っぽさはどこへやら。ただの食いしん坊の子どもみたい。



これが幸せってやつなのかなぁ?
理想の幸せな空間ってたくさん笑っているのを想像していたけれど、こういうのもありかもしれないなぁ。
その相手が小田であることも別に悪くはない。




これは『好き』って気持ち なのだろうか……






81 :十五話 :2018/10/21(日) 00:13


「石田さん?」


ぼーっとし過ぎたみたいで、食べ終えた小田がこちらを覗き込んでいた。


「ん、あぁごめん。なんでもない。おなかいっぱいになった?デザート食べれる?」


自分のお皿を持って立ち上がる。


「美味しいご飯でお腹いっぱいで幸せですけど、デザート食べます!ごちそうさまでした。」


小田も自分のお皿を持ってついてくる。
流しに食器を置いて、冷蔵庫に入れていたプリンを出す。
どうせだし、紅茶でも入れるかな。

82 :十五話 :2018/10/21(日) 00:15


「小田、紅茶入れるからプリンとスプーン持って行って。」


小田は素直に持って行き、私はお湯が沸くのを待つ間にティーバッグを探す。



紅茶を入れながら、このままでもいいんじゃないだろうかと思いがよぎる。
いやいや、小田の悩みを聞くためにご飯に誘ったんだ。
なに自分本意なこと考えてんだか。


ブンブンと頭を振って、入れたての紅茶を運ぶ。


「はい。ミルクと砂糖はお好きにどうぞ。」

「ありがとうございます。」


83 :十五話 :2018/10/21(日) 00:17


小田の正面に座って、紅茶を一口。


「ねぇ小田。最近、なにか悩んでる?」


直球すぎたのか、小田がきょとんとした顔でこちらを見る。


「最近、何か言いたそうにこっち見てるし、前もって言うならまだしもいきなり私の手料理食べたいとか言うし。らしくないよ?」

「んー。悩んでいることもありますけど、それより気になってることがあります。皆がいるところで聞くのもなと思ったので聞ける機会を窺ってました。石田さんこそ、悩んでいるんじゃないですか?」

「お、おう…」


84 :十五話 :2018/10/21(日) 00:18


てっきり小田が悩んでいるものだと思っていたので、まさかの返事にとまどう。

小田が姿勢を正して、真面目な顔になる。


「石田さん、卒業を考えていらっしゃいませんか?」

「え?」

「いや、卒業することを考えているというよりもその先のことを考えているように見えますね。最近、舞台をたくさん見に行ったりダンスの先生や先輩方に色々と聞いていらっしゃいましたよね?」

「………。」

「小田の目は誤魔化せませんよ。」


85 :十五話 :2018/10/21(日) 00:19


黙ってしまった時点で白状したようなものだ。
しかし、なんで


「なんで…。」

「石田さんのことはよく見てますから。」


小田がスッと息を吸う。
ライブ中、さらにギアを入れる時に小田がよくする呼吸。


なにを、言われるのだろうか。










「私、石田さんのことが好きです。」








86 :十五話 :2018/10/21(日) 00:21


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                            十五話 終


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87 :十五話 :2018/10/21(日) 00:23










88 :十五話 :2018/10/21(日) 00:24





89 :十五話 :2018/10/21(日) 00:25
ちょっとやってみたかった流し。
90 :名無飼育さん :2018/10/25(木) 00:48
リアルな展開で続きが気になります…
91 :名無飼育さん :2018/10/30(火) 20:35
楽しみにしてます。
92 :十六話 :2018/11/06(火) 19:33


「私、石田さんのことが好きです。」



小田は意外と素直に感情が目に現れるのに、今の目からはなにも読み取れない。


「初めて会ったときから。だから、ずっと見ていてなんとなく石田さんの考えていることがわかるようになりました。」


わかるんだったら、隠したいと思っているのもわかれよ!てか、なにしれっと告白?告白だよな?してんだよ!
と心の中で叫んだ。


93 :十六話 :2018/11/06(火) 19:35

「隠そうとされたのもわかってますよ。でも、一人で抱え込むの辛くないですか?石田さん、モーニング娘。のこと大好きですもん。」




「そりゃ、大好きだし今のメンバーで叶えたい夢もあるし辞めたくないから辛いよ。でも、タイムリミットだって言われたらどうしようもないじゃん。それまでに出来ることをやるだけだ。」




「タイムリミットだ、って言われたんですか?」




「やりたいこと考えておきなって。そろそろだとは思ってても実際に言われるのは、結構くるね。」



結局、全部言ってしまった。
なんでもないように言ってみたけど、小田にはバレてるんでしょ?


「ねえ、石田さん。しんどくなったら小田に言ってくださいよ。小田になら、事情知ってるから話しやすくないですか?」

「やだよ。そんなの小田もしんどくなるじゃん。」


楽しいことは人に話したらもっとみんなで楽しくなれるからいいけど、辛いとか悲しいとかを他の人にも広げるのは好きじゃない。
人からされるのはいいけど、自分がするのは嫌だ。
周りの人にはいつだって楽しくいて欲しいんだ。


94 :十六話 :2018/11/06(火) 19:36


「しんどくないですよ。小田は石田さんのことが好きだから、石田さんを支えることができるならむしろ嬉しいです。」

「でも…」

「では、石田さん。譜久村さんに相談とか悩みを話されたらどう思います?」

「……。心配だけど、頼ってくれたみたいでちょっと嬉しい。」

「それと同じことですよ。」


小田が優しい顔で微笑む。

95 :十六話 :2018/11/06(火) 19:38


「小田の好きはどういう好きなの?」



小田の言葉を信じたくて、でも信じることに怯えてしまって、出た言葉は最悪だった。
今、その答えを聞いても返事は一つしかないのに。


小田の顔が見れない。



「今は、どういう『好き』かは答えられないですけど一つだけ。石田さんが愚痴っても八つ当たりしてきても、絶対見捨てない『好き』ということはたしかですよ。」


いつの間にか側に来ていた小田に顔を持ち上げられる。
目をあわせてはっきり言われた。



「だから、遠慮なく甘えて下さい。」




96 :十六話 :2018/11/06(火) 19:40



あぁ、もう降参だ。


小田の優しさとその深さに。
小田のことを好きになっている自分に。


小田は本当に全部分かったうえで言ってるんだ。
今は娘。に全力を注ぎたいからたとえ好きな人であってもちゃんと告白されたら、絶対に断ることも。
私が小田を好きになってきていることも。




もう降参したから、いいや
遠慮なく小田に甘えさせてもらおう



石田は小田をハグする。
無言の降参を受け取った小田の顔が緩んで、ぎゅっと抱き締め返した。




小田の優しさに浸ってみれば、とても心地よいものだった。




97 :十六話 :2018/11/06(火) 19:40







98 :十六話 :2018/11/06(火) 19:40






99 :十六話 :2018/11/06(火) 19:41
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                            十六話 終


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100 :十六話 :2018/11/06(火) 19:49

待っていてくださった方、ありがとうございます。大変お待たせしました。

>>90さま
続きが気になるといってくださって嬉しかったです。

>>91さま
ありがとうございます。難産だったのではげみになりました。

101 :名無し飼育さん :2018/11/11(日) 15:59
素晴らしいだーさくですね!
続きも楽しみです。
102 :十七話 :2018/11/28(水) 22:51
小田は砂糖みたいだ。

名前を呼ぶ声、抱きついてくる柔らかい身体、小田が纏う空気

その全てが胸焼けしそうなぐらい甘くて嫌だった。
なのに、一度受け入れた後は無意識に求めてしまっている。

ふと思い出した『砂糖は麻薬みたいなものだ』という話。
嘘か本当かは知らないけれど、小田が砂糖だとしたら間違いなく麻薬だ。



最近、気づけば小田の側にいる。
小田と別仕事が続くと寂しくなる。
たった一度、小田に甘えただけでこんなに求めるようになってしまうとは思わなかった。

今のいつも一緒にいられる状況が変わった時、私はどうなってしまうんだろうか。

103 :十七話 :2018/11/28(水) 22:53


最近、気がつくといつも側に石田さんがいる。


石田さんは心を許した人には、とことん許す。
その一人にようやくなれたようで嬉しい。
でも私は欲張りだから、心を許されるよりも求められたい。


甘えてくれるようになった石田さんは、輝きに深みが出てきたように思う。
それは、愛されていることを知ってくれたからだと思うのは自惚れだろうか。

このまま、もっと石田さんに必要とされるようになろう。
いつか必ずくるその日以降も、一緒にいるために。

104 :十七話 :2018/11/28(水) 22:54


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                            砂糖をあなたに  <完>

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105 :十七話 :2018/11/28(水) 23:03
拙い語りにお付き合いありがとうございました。
完結させることができてよかったです。


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