■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50

transition

1 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:52

  はじめまして。
  
  不慣れなのでおかしな点があれば教えてください。
  
2 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:54

  みやももです。

  アンリアルです。   
3 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:56

  「いいな。」
 
  ここ最近、いっそう寒くなったせいなのか、仲睦まじげに歩くカップルを見ると自分にも相手が欲しくなる時が増えた気がする。

  ――別に好きな人がいるわけじゃないけど――

  恋愛ごとに興味がないといったら嘘になるけど、実際に誰かと付き合うとなると、なんとなく気が引けてしまう。

  そういうことに憧れが強すぎるせいなのかなぁなんて思ったり、もっと大人になったらすることだと思っているせいもあるのかもしれない。

  なんてことを考えてしまうのはきっと、寒さのせいだけじゃない。

  多分それは――
4 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:57
  「やっほー嗣永先輩。今日も会えるとはやっぱり運命だね。」

  そう言いながら、向かいの席に断りもなしに座ってくる。この人。

  夏焼雅。一年後輩でいろいろ恋愛絡みの噂が絶えない人らしい。小悪魔だとか、人たらしだとか、

  にわかに信じられない噂話を前に彼女に話しかけられたところを見た友人が教えてくれた。

  最初のきっかけなんてとっくに忘れてしまったが、約一ヶ月ほどこういうふうに話しかけられる。

  「今日も待ち伏せですか。」

  「やだなー。人をストーカーみたいに言わないでよ。」
  
  「だっていつもタイミングいいじゃん。」

  朝から講義があるときや、午後からのときだってあまり関係ない。必ずどこかでタイミングよく会う。

  今だってそうだ。お昼ご飯でも食べようと食堂に来てまだ5分ぐらいしか経ってない。

  なんて疑いの目を向けても、気にしないような素振りで笑っていた。
5 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:58
  「一応、昼休みだしここかなって。ところでさ、来週の水曜日あいてる?」

  「バイトです。これ毎日聞いてくるけどばかなの。」

  「あいかわらず冷たいなぁ。なんというか確認ってやつよ。」

  「あっそ。じゃあ、もういいでしょ。はやく向こうのテーブルいきなよ。」

  「いいじゃん。たまには一緒に食べようよ。ていうか、イブにバイトとかもったなくない?大学生なんだからもっと遊ぼうよー。」

  「うるさいなー。私はそういうチャラチャラしたのがイヤなの。」

  別に遊んでいることが悪いとは言わない。ただ、自分はそういうタイプじゃないし、何故か昔から集団でなにかをするのが苦手だった。
6 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 00:59
  「あ、この新メニュー当たりだ。先輩も一口食べる?」

  「いりません。夏焼さんさ、モテるのに何で私なんかに声かけてくるの?」

  「みやでいいって言ってるのにー。先輩のことが好きだから一緒にいたいの。って毎日言ってんじゃん。」

  「なんでもいいけど、いい加減諦めたら?私そんな気無いよ。それに、夏焼さんなら他の人からすぐOKもらえるでしょ。」

  「だーかーらー先輩がいいの。なんで毎日言ってんのにわかんないかなー。」

  わかるわけがない。見た目からして正反対の自分達。きっと彼女は、気まぐれでこんなことをしているに違いない。

  本気になったら負けなのだ。そう思わないと勘違いをしてしまいそうになるなんて彼女は知らないだろう。

  「とにかく、無理なものは無理!じゃあね。」

  いつもより早めにを食べ終わり席を立つと、慌てた様子で着いて来た。

  「えっ、ちょっと待ってよ。私このあと暇だから講義終わったらどっか遊びに――」

  「行きません。もう着いて来ないでよ。」
  
  これ以上話すと流されそうになるのが怖くて少し早足で歩く。
7 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:00
  素直に止まる足音になんとなく物足りなさを感じて、ちらりと後ろを見ると少し寂しそうな顔をしていた。

  「……っ……!」

  あんな表情をさせてしまったことへの罪悪感からか、足が止まってしまった。

  はやく、はやく、ここから離れないと。そう心が叫ぶのに、思うように体が動かない。

  どうしよう、どうしよう、そんなことばかり考えていると、後ろで動く気配がした。

  腕を引かれたと思ったら、背中を壁に押し付けられ、顔をしかめる。

  「……った……なにすんの!」

  目を開けると彼女の近さに胸が潰されそうになる。

  「あ、ごめん。そんな強くしたつもりはなかったんだけど。」

  あっさり言って離れる彼女に腹が立つ。からかわれている、そう思うと目頭が熱くなって、顔を伏せた。
8 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:03
  「なーんてね。」

  笑いを含んだ声に顔を上げると、片方の腕を顔の横について、逃げられないようにするためかもう片方の腕を腰に回してをさっきよりも距離を詰めてくる。

  「えっ、ちょ……やだ。やめてよ。」

  「ね、これわかんない?今流行りの壁ドン。一回やってみたかったんだー。どう先輩ドキドキしない?」

  「っ……する……わけないじゃん。」

  こんなことしか返せない自分が情けなくなる。

  「そっかー残念。やり方違うのかなぁ。別にどっちでもいいけどさ、」

  少し声のトーンを下げて、目を覗きこまれる。

  「先輩、私のこと好きでしょ。」

  認めたら楽になれるのだろうか。いっその事泣いてしまったら諦めてくれるのだろうか。

  こっちの事情なんて知らずに、楽しそうに笑みを浮かべている彼女が顔を近づけてくる。
 
  ――キスされる――思わずぎゅっと目を瞑る。
9 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:03
  
10 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:04
  触れてこない感触にほっとしつつも、どこか残念に思うと、耳元で震えたように息を吐かれた。

  「……好きだよ。もも。」

  いつもと違う真剣な声色になにも考えられなくなる。

  「たぶん、ももが思ってるよりずっと好き。」

  そう言いながら腰に回る腕に力が入って、はっと我に返る。

  「おねがいだから、離して。おねがいだから……もうほっといてよ。」

  「いや。つーか無理。でもまぁ、みやって呼んでくれたら今日はもう帰るよ。」

  こんな状況が悔しくて、悲しくて、でもどこか少し期待している自分。

  「離して。……みや。」
   
  「ふふっ。よく言えました。」

  満足そうに微笑んで離れる彼女を見ると、だんだん視界が滲んでくる。

  顔を見られたくなくて俯くと、するりと伸びてきた手に頬を掴まれ顔を上げられる。

  「ごめんね。別に泣かせたかったわけじゃないんだけど。」
  
  申し訳なさそうに言いながら、涙を拭うように動く指が優しくて、あたたかくて、涙が止まらなかった。

11 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:07







                    
12 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:07
  「大丈夫?」

  私が落ち着くまで頭を撫でながら、ずっと抱きしめてくれてた彼女の服の色がすっかり変わっていた。

  ――こんなはずじゃなかったのに――ぼんやりとしながらふと目線を下に向けると、

  押し返そうとしたはず手がいつのまにか彼女の服をきつく握られていて心の中で苦笑した。  

  「じゃあ、今日はこれで。」

  温もりがなくなるのを名残惜しく思っていると、一瞬、頬になにか触れた。 

  「今度はちゃんとしたのしてあげるね。」
  
  少し艶やかな顔で触れた頬を撫でるその仕草に心がざわつく。
  
  「では先輩、また明日ね。」

  いたずらが成功した子供のような笑顔でその場を去る彼女は小悪魔というより、もはや悪魔だ。

  触れられた頬に手をあてると熱をもったように熱い。

  なんだか質の悪い夢を見せられていたような気分だ。

  ――覚めなければいいのに――なんて馬鹿なことを思った。
13 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:10

      
     
          
14 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:11
  

  終わり












15 :名無飼育さん :2015/10/07(水) 01:13
  

  こんな駄文ですみません。

  どこにでもありそうな文章ですが大目にみてください。

  飼育載せたくて書いてみました。

16 :名無飼育さん :2015/10/12(月) 02:13
みやもも大好きなのでとても嬉しいです。
ドキドキしながら読みました。更新楽しみに待ってます。
17 :名無飼育さん :2015/10/31(土) 01:52
素敵なみやももをありがとうございます!
ドキドキが止まらなかったです。
ぜひまた何か書いて頂けたら凄く嬉しいです。
18 :名無飼育さん :2015/11/09(月) 05:17
みやもも発見!
雅ちゃんの雰囲気がすごくいいですね。
キュンキュンしました!
19 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:37

 読み返してみると、誤字脱字がちらほら…。

 脳内保管でお願いします。

 <<16、<<17、<<18

 まとめての返事で申し訳ないですが、

 まさか感想を頂けるとは思ってなかったのでとても嬉しいです。

 ありがとうございます。

 
20 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:38

 蛇足のような気もしますが、せっかく書いたので

 載せます。
21 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:40
  
  今日でテストが終わり、レポート提出も無事に終えて、少し早めにバイトに行こうかと思い教室をあとにする。

  「じゃあね、もも。」

  「来たくなったらいつでも来ていいからね。なんだったら走って迎えに行くし!」

  「ふふっ。ありがと。うん。気が向いたら連絡するね。バイバイ。」

  寒さを感じさせない言葉に笑みがこぼれる。

  今日はクリスマスイブ。街中どこもイルミネーションで煌びやか。

校内でもその雰囲気は朝からあって、行き交う生徒は特にどことなく心が弾んでるいるようだ。
22 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:41

  正門で友人達と別れると、駅に向かう足取りは徐々に重くなる。

  ――あれは夢。あれは夢。いいかげん忘れないと――

  でも心のどこかで、またあの声で呼んでほしい。あれからずっとこんな事ばかり考えてる。

  あの日の後は正直覚えてない。彼女が去ったあと、通りかかった友人が声をかけてくるまでしばらく呆然としていた。

  『もも?そこで何してんの?講義始まっちゃうよ。』
 
  『へ?あああ、違うのごめん!あの、その、ごめん帰る!』

  『えっ?あ、ちょ、ももー!』 
23 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:42

  気づいた時にはもう次の日の朝で、目覚めは最悪だった。

  ――そういえばサボったの初めてかも。はぁー。テスト前なのになにやってんだろ―― 

  ただただ、ため息がでる。

  『また明日。』

  去り際にそう言った彼女。昨日の今日のことだから出来れば会いたくない。でも、声が聞きたい。

  ――また、ももって呼んでくれるかな――

  思い出すだけで体が熱くなる。

  ――キス……されちゃうのかな――

  「あー!もーなに考えてんの!バカバカ!」

  恥ずかしくて布団を頭までかぶる。ここまでくると隠し通せない。

  素直になったら喜んでくれるだろうか。また、ぎゅっと抱きしめてくれるだろうか。

  「……みや。」

  その後に続く言葉は恥ずかしくて言えそうになかった。
24 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:42


  ☆☆☆


25 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:47

  それから浮ついた気分のまま学校へ行き、友人から挙動不審だと笑われた。

  心休まる時は講義中だけで、それ以外はずっと彼女の声が待ち遠しくて、用もなく校内を歩き回った。 

  しかしそんな期待も虚しく彼女は現れなかった。

  会えなかったのはこの日だけじゃない。今日に至るまで一度も姿を見ることがなかった。
 
  たぶん、暇を持て余して思いついたのがこれで、恋愛に疎そうな子を探してそれがたまたま自分で、反応が気に入ったから毎日声をかけていた。

  だけどその気になったのがわかったから離れた。ただそれだけのこと。
26 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:48

  勘違いした方が悪い。本気になったら負けって初めからわかっていたのに。

  ひと時の夢を見せてもらっただけでもいいじゃないか。学生の本分は学業。こんなことに現を抜かして留年でもしたら元も子もない。

  だからテストやレポートを頑張った。もともと成績はいい方だが、今回の出来は今まで一番と言ってもいい。

  そうでもしないと、すぐに彼女の事が頭によぎる。

  気を紛らわさないと泣いてしまいそうで、校内にいる時は無意識に彼女の姿を探す自分に嫌気がさす。

  よくよく考えてみると、彼女の事を知らなさ過ぎる。

  興味さえなかったのに、今は知りたくて仕方がない。

  どこにいて、誰と話して、何を思って、なんて言えるはずがない。重い。重すぎる。
27 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:48
   

  ☆☆☆


28 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:50

  「ももちゃん、休憩いってきて。」

  「え、でも大丈夫ですか?」

  「いいの。いいの。明日も忙しいし休んできて。」

  店長のお言葉に甘えて二階の控え室へと向かう。

  「ふぅー。意外と時間経つのはやいなー。」

  窓から見える空はどんよりしてて雨でも降りそうで一層寒さを際立てる。しかし街ゆく人達は身を寄せ合ってどこか楽しそうだ。

  その姿が微笑ましくて、ほっと一息吐く。   
29 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:50

  ――やっぱり、バイト終わってからでも行こうかな――

  クリスマスが終わるとそれぞれ実家に帰ったり、家族で旅行の人もいるから今日みんなでパーティーでもしようということになった。

  ちなみに相手がいる人は明日、会うらしい。

  気が置けない友人達だから、一緒にいてすごく楽しい。だから遅くなっても嫌な顔せず迎えてくれるだろう。
 
  ただ、この混み具合で帰してもらえるのかわからない。

  結構有名な店らしく、開店前から行列ができてたみたいで、いつもより30分くらい早めに入ったのに落ち着く暇がない。

  「とりあえずあと2時間。」

  気合を入れ直して階段を降りた。
30 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:51


  ☆☆☆


31 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:52

  「ごめんね。最後まで入ってもらって。」

  「そんなの気にしないでください。」

  「じゃあ明日もよろしくね。おつかれ。」

  「おつかれさまでした。」

  結局、閉店時間まで残ることになって、店長の申し訳なさそうな顔に別れを告げる。

  終電まで余裕はあるが、この時間帯はいつ乗っても混む。それに今日はイブだ。

  歩いて帰ろうと思い、駅と逆方向に足を向ける。
32 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:52
  
  バイト先から家まで徒歩で約40分ぐらい。歩いて帰るには些か遠い気もするが夜道を歩くのは意外と楽しくて、たまにこうして帰る。

  大通りを抜けると、人もまばらになるから、空気が少し澄んでいて、晴れてる日は星が綺麗に見える。

  だけど今日は曇り空。少し残念に思いマフラーに顔をうずめて歩く。

  この時期の駅周辺の通りはちょっとしたデートスポットになるからだろうか。さっきからすれ違う人のはカップルばかりだ。

  わかってはいたが自分一人だけがこうして帰る状況に、なんとなく取り残されたような気がして、

  やはり友人達の家に行こうと思い、駅の方に向き直す。
33 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:53

  少し先に見えるバイト先に目を向けると、人の群れに逆らうように 立つ人がいて、何故かじっと店を見つめているように見えた。

  不思議に思いながらバックから携帯を取り出す。

  《遅くなったけど、今から行くね。》

  そう送ってバックに仕舞い顔を上げると、人とぶつかりそうになった。

  「あ!ご、ごめんなさい。」

  案外、前を見てなかったことに驚いて辺りを見渡すと、どこからか見られているような感じがする。

  僅かに寒さが増した気がして、先を急いだ。

  「やっほー。先輩こんばんわ。」

  ふと聴き慣れた声に足が止まり、聞こえてきた方に顔を向けると、街灯に照らされ微笑む彼女がいた。
34 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:54






35 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:56
  
  なんで、どうして、言いたいことはたくさんあるのに言葉にできなくて、無視するように歩いた。

  「あ、先輩待って!」

  すぐさま着いてくる。

  「あのちょっとでいいから話せないかな?」

  むかつく。むかつくから早足で歩く。

  「ほんと5分、いや3、1分でいいから。」

  それでも諦めてくれないから逃げるように走った。

  「えっ!ちょっと!待って!」

  目に付く脇道を次々と走った。ただひたすら走った。ひたすら全力で。
36 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:56





37 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:57

  「……はぁはぁ。」

  予想以上に全力は短かった。たぶん、3分も走れてない。空気が澄んでいるせいか喉の乾いてヒリヒリする。

  「なっんで急に走るかなっ……はぁー。」
  
  「はぁはぁ……ストーカーのくせにうるさい。」 

  「だから待ってって言ったじゃん!」

  二人共肩で息しながら話す。乱れたマフラーを直して、歩く気力もないが少しずづ足を動かす。
  
  「ああっ!もう!」

  焦った様子で着いてくる。

  「だから待ってってば!」

  そう言って腕を掴まれる。

  「離して。しつこいよ。」

  「じゃあ話聞いて。」

  「なんで!どうせからかいに来たんでしょ!」

  掴まれた腕が熱を持ちさらに全身が熱くなる。次第に頭の奥まで伝わって考えがまとまらなくなり、だんだん視界が滲んでくる。

38 :名無飼育さん :2015/11/23(月) 23:58

  「そんな意味わかんないことでこんな寒い中待たないよ!1分。1分でいいから話聞いて。」

  すると彼女は一瞬迷ったような素振りを見せ、掴まれてる腕を引かれ抱きしめられる。

  「……っ……なにこれ。」

  「こうでもしないと先輩逃げるから。そんなに私のこと嫌い?」

  「きらい。」

  「そう。でも私は好き。だから付き合って。」

  「やだ。」

  「じゃあどうしたら好きになってくれる?」

  「…………もういいでしょ。1分経った。離して。」

  「だめ。まだ返事聞いてない。」

  「だから!好きじゃないって、……うっ、言ってるのにっ。なんっで、……っ……!も……うっ……やだ。」

  「うん。ごめん。ごめんね。」

  しがみついて咽び泣く姿はまるで子供だ。
39 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:00

  「先輩がなに聞いたか知らないけど、これだけは信じて。」

  体を少し離して目を見つめられる。

  「好きです。別に、私のこと好きじゃなくてもいい。少し、少しだけいい。一緒にいてもいいかなって思うならそばにいて。」

  「うっ……っ……」

  「あと、今日で最後にする。先輩の事もうこんなふうに待ったりしないし、学校でも話しかけない。」

  「…………」

  「そっか。わかった。先輩の気持ち。今日までずっとごめんなさい。」

  腕の力を緩めて離れようとする彼女を逆に力を入れ引き寄せて、肩に顔をうずめる。
40 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:00

  「え?あの、どうした?」

  「……もも。……ももって呼んで。」

  「へ?あ、あの、もも?」

  「……ももも好き。」  

  「ほんと?」

  「うん。」

  「ほんとにほんと?」

  「うん。」

  「嘘じゃない?」

  「しつこい。」

  「だって、なんか、信じられなくて。」

  嬉しそうな息遣いが耳に触れて、くすぐったい気持ちと恥ずかしさがこみ上げてくる。

  それがちょっとだけ悔しくて、肩に乗せてる頭をぐりぐりと押し付けてやった。
41 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:01

  「いたい、いたいって。」

  そういうからやめてあげた。頬を膨らまして睨んでいると、頬に手を添えられ涙を拭われる。

  その仕草と彼女の優しげな表情に胸がきゅっと痛む。こういう雰囲気に慣れなくてわざと拗ねた口調で呟く。

  「また明日ねって言ったくせに。」

  「また明日?あっ、あれはごめん。ほんと破るつもりじゃなくて。……あれ?えっ!」

  「うるさい。」

  「ご、ごめん。でも、もしかして待っててくれたの?」

  「あっ、いやっ、その、そうじゃなくて。」

  しまった。墓穴を掘った。でも彼女は気づいてないのかそのままの口調で話す。
42 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:05

  「ほんとに会いに行くつもりだったんだけど、教授にさ、単位落とすぞとか、留年させるぞとか、いろいろ脅されてて。

  今までサボってたのとか一気にきちゃって、ちょっといろいろ頑張ってた。」

  「なんでサボってたの。ダメじゃん。」

  「ももに会いたくて。ずっと学校中探してた。でもでも、いつもサボってたわけじゃないよ。」

  「でもどうしてバイト先わかったの?教えてないよね?」

  「会えないなってわかったから、友達に調べてもらった。

  結構時間かかちゃってさ、ここだっていうのも今日わかって。とりあえず学校終わってすぐ来た。」

  「どれくらい待ってたの?」

  「うーん。たぶん、4時間?いや、5時間くらいかな?わかんない。」

  「風邪ひいたらどうすんのバカ。ほんとにバカ。」

  「そんなバカバカって。だって、ももなんにも教えてくんないし。」

  拗ねた様子の彼女がなんだか愛しくて、ばれないように心の中で微笑んだ。
43 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:05

  「もも。」

  「なに。」

  「そんな嫌そうな声ださないでよ。」

  「だって、やだもん。」

  「あのさー、いくらなんでも傷つくよ。」

  少しの謝罪の気持ちを込めて腕に力を入れる。

  「もーなに?」

  「あの、その……キスしたい。今度はちゃんとしたやつ。」

  その言葉にまた全身が熱くなる。

  「ってダメだよね、ごめん。ていうか、そろそろ帰ろうか。」

  そのわりに動く気配がない。すると彼女は困ったように笑った。
44 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:06

  「ちから、緩めてくんない?」

  どうやら離れたくないのは自分だったらしい。

  「いいよ。しても。」

  「ありがと。」

  体を離して見る彼女の顔に、今までで一番胸が高鳴る。

  頬に手を添えられ、近づいてくる彼女を想って目を閉じる。

  触れる感触に心が痺れ、伝わる熱に頭がくらくらする。

  唇が離れてぎゅっと抱きしめられる。

  そんなに長くはなかった気がする。でも、ずっと続けばいいなと思った。      

  「大好き。」

  素直に好きと返せなかったが、ちょっとでも、想いが伝わるようにその心地よい腕に身を預けた。
45 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:06





46 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:07


  終わり
47 :名無飼育さん :2015/11/24(火) 00:08

 勢いで書いてしまいました。

 結構、楽しかったです。

 ありがとうございました。

新着レスの表示


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:22559 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)