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流動マーブル

1 :名無飼育さん :2012/11/29(木) 20:24
2012年11月以降の娘。をメインにした短編集になる予定です。

前の短編スレ
好意と敬意
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/grass/1340375988/
338 :名無飼育さん :2014/05/29(木) 20:11
一人でわたわたしてる石田さんは見てるだけで楽しそうだw
特別感はなくてもこの日常感がとてもいいです
339 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:11
Drinker
340 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:12
工藤の目の前に、突然一つの瓶が差し出された。

「……なにこれ」
「あげるから、一緒に飲も」

佐藤が出してきたそれは、今日の差し入れの中からホテルに持ち帰ってきた栄養ドリンク。
ニ本あるうちの一本を、工藤に渡してきたのである。

「ハルはまだ十五歳になってないんだけど」
「知ってる。今年なるんだから別にいいって」

ツンとしているが、佐藤は多分不安なんだろう。
アルコールみたいに年齢制限の設けてあるこの飲み物のことが、怖いけど興味があって。
自分を道連れにしようとしているのだ。

工藤は心の中でそう結論づけると、鼻で笑いながら

「しょうがないな、付き合ってやるか」

と答えて瓶を受け取った。
341 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:16
二人同時にドリンクをまず一口飲んで、それからそれぞれのペースで飲み干した。
工藤にとっては嫌な味で、

「うぇ、マッズ」

舌を出して訴えるが、佐藤は平気そうにしている。

「まさ意外とフツーだわ」
「いやフツーじゃないだろー。やっぱハルにはまだ早かったんだ。
 ……あ゛ー!
 ねえどうしてくれんの? 十五歳マサキサマは」
「別に。どぅーがちゃんと断らないのが悪い」

なおも平然としている同期に少しムカついて瓶を確認してみたが、やっぱり二人とも同じ物を飲んでいる。
歳のせいではなくて、好き嫌いのせいだろうか。
工藤の口内にはまだ不快な味が残っていたので、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して少し飲んだ。

それ以外は体調に変化があらわれないようなので、工藤は例によってブログの更新のため
記事の作成に取り掛かった。
ベッドに寝転がってiPhoneとにらめっこしつつ集中し始め、ふと気が付くと体が熱い。
室温のせいではなく、体温の急上昇であることがすぐにわかった。
一番熱いのが今ドリンクを消化しているはずの胃のあたりだったからだ。
342 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:18
「ねーなんか、熱くなってきた」
「そう! まさもそう思っ、ブヒャヒャヒャ!」

同期が隣のベッドからこっちを指さして笑っている。
すぐに顔色のことだとわかった。

「熱いんだから、顔紅くなるのはしょーがないんだよ!」
「どぅーマジヤッベー! 首の下まで紅……え、待ってよ、どこまで紅いのさ」

相変わらずうちの同期は笑顔と真顔の落差がすごい。
それはともかく、自分の顔が紅くなりやすいのはいつものことなのだが、
今回は顔だけでなく首から下まで紅いらしくて、相手に心配をかけているみたいだ。
工藤は努めてゆっくり起き上がり、Tシャツの襟首を摘んで中を覗きこんで、
首から下を確認してみる。

「……ま、いつもこんなもんだ」

嘘である。
見てみたはいいもの、今までこんなところをまじまじと確認してみたことなんてない。
そんなことをしている間に、佐藤がこっちのベッドに来て縁に座っていた。
しかも工藤のTシャツの裾を捲り上げて、下から覗きこもうとしている。

「やめて伸びる。そこからじゃ見えないって」
「お腹は白いままかー」
「……」

改めてそんな風に言われると、それはそれで恥ずかしいものだ。
無自覚に赤面コンボを決めないで欲しい。全く。
343 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:19
「……あー、暑い」

時間の問題だと思っていたが、案の定額から汗が噴き出てくる。
手で扇いでいると、佐藤も扇いで助けてくれる。

「ありがと。……まーは特に変化なし?」
「いや、なんか、めっちゃ喉渇いてる」

そう言って自分の首を手でおさえているその姿が、美術の彫刻みたいだった。

「なんか飲みな」
「うん。あ、どぅーがさっき飲んでたのもらっていい?」
「なんでよ、自分の飲みなよ」
「……それがさあ〜なんかさあ〜」

佐藤は首を持ったままくねくねしだして、何だキモいなと思って見ていると、
急にピタッと動きを止め(しつこいが首は持ったままだ)、

「まさ……さっき」

……なんだと言うんだろう。

「どぅーの汗を飲んでしまった」
344 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:22
ッピャー!!

超音波みたいな叫び声と同時に自分に抱きついてくる同期。
どれに驚いていいのか混乱する工藤。
その間にも上半身は興奮状態の佐藤に強く揺さぶられていて、視界がぶれにぶれまくる。

「待て待て、待って止まって!」
「もぉ〜まーちゃんヤバ過ぎるわ! ヘンタイになった!」
「お願いだからわかるように説明して、別にくっついててもいいから」

でも揺すらないように!
と、佐藤の手に再び力が入ったのを感じた所で釘を刺した。
念のため額の汗を前髪で隠して話を聞く。

「さっき、ステージで」
「うん」
「どぅーの汗がまーの口の中に入って、まーちゃんビックリして!」
「あ、それは悪かった。髪がショートだからよく飛ぶんだよねゴメン」
「違うの! まさその時疲れて疲れすぎてて気絶しそうだったから、
 あの瞬間パーンッ! て目の前明るくなってさ! あれ絶対汗のおかげだって」
「……」

……これって褒められているのだろうか?
同期は再び興奮しだして、工藤のTシャツの襟を引っ張った。
その手を握って抑止すると、また佐藤が独演会を始める。

「思って、ライブ終わってすぐにどぅーの水もちょっと飲んでみた」
345 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:25
舞台裏にはメンバーの名前を書いたペットボトルの水が用意されていて、
各々が自分のタイミングで水分補給をしている。
佐藤は今日、工藤のいない隙を狙ってその水を少しいただいたらしい。

「なんか、なんかめっちゃホッとして……でもやっぱこれヤバくねー? って思って」
「全然気付かなかった……なんてことしてくれてんの」

盗み飲みとかそんなのどうでも良くなるくらい、その“目的”がヤバ過ぎる。
もうこのドキドキが熱いせいなのか、相方の奇行のせいなのか判別不能だ。

「だから、だからあの瓶のやつ、お礼と“ごめんね”のつもりだったんだよ!?
 どぅーがいつもバテバテなの見ててスタッフさんとかが“飲ませていあげたいけどなー”って、
 “けどまだなー”っていっつも言ってんじゃん。だからまさがもらってきた」
「二本持ってきたのは、自分も興味あったんじゃなくて?」
「違うし! どぅー一人じゃ飲まないと思って!」

握っていた手ごと振り下ろされ、どん、と肋骨あたりを殴られた。痛い。
おかげでドキドキは止んだれど、これじゃ違う意味の“痛み止め”だ。

「ゴホッ、
 あ、あんただって疲れてたんでしょうが。意地張らないでください」
「……ちょっとだけだし」

でも、ステージ上で気絶しかけたんだろう……
工藤はその時のことを慮り、同情して佐藤の頭を二、三度撫でてやる。

「まーちゃん、おつかれさん」

そして少し申し訳なくなる。気付いてやれなかったことに。
……汗は気付いて飛んでいったらしいが。

「あーそんで? ハルの汗で元気になった自分はヘンタイだって?」
「そう、それ」
「別にそんなことないんじゃね? 偶然でびっくりしたからだしさ」
「バカ違う、もっと続いてんじゃんこの話」
「バカ言うな、続きなんて聞いてな……」

あ、と思わず声が出た。
346 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:29




『どぅーがさっき飲んでたのもらっていい?』



その瞬間、思いきり高笑いする工藤。
いつも口喧嘩する仲ではあったが最後は有耶無耶になって、はっきり勝ち負けを意識するような
結末を迎えたことは数えるほどしかない。
でも、今回は完全にこちらの勝ちだった。
勝利に酔いしれた工藤は、逃げ出さないように腰をがっちりと掴んでから佐藤の耳元で囁く。

「ヘ・ン・タ・イ」
「や〜だ〜っ!!」

両耳を塞いでわーわー言っている同期を見下ろすのはなかなか気分が良かった。

「あーところで、そろそろ顔の紅みは引いたかな。
 仕方ないから哀れな同期につ・い・で・に、水を取ってきてやろう」

同期が耳を塞いだまま蹲ってしまったので、工藤はわざとらしく独り言を言いながら
立ち上がって冷蔵庫まで水を取りに行く。
一応鏡も見ておいた。
だいぶ元通りの顔色になっていた。
347 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:31
飲みかけのペットボトル……
本当にこれがいいのか少し躊躇ったが嘘を吐いているようには見えないし、“従う”か。

「ほれ。てか喉渇いてたんだっけ大丈夫?」
「……」

ダンゴムシのようだった佐藤が、耳から手を離しながらゆっくりこちらを見上げた。
睨まれると少し怖いけれど、この顔は好きだ。
同じ表情が作れたらいいのに。

「早く飲みな」

ペットボトルを顔に近づけた所で受け取ったので、自分はさっきの佐藤のようにベッドサイドに腰掛ける。
どうなるのかなーとワクワクして見たが、正座した佐藤は普通に飲んで普通に一息ついただけだ。

「えー、超普通。なんかこう嬉しそうにするのかと思ったら」
「……いや、嬉しくて噛み締めてる」
「なっはっは!
 あー、ある。そういえば見たことある。
 まーちゃん今、田中さんの手の匂い嗅いでる時と同じ顔してるわ」
「……たなさたんと一緒にしないで」
「でも同じ顔ですよ? 佐藤さん」
「どぅーキラーイ」
「はん、そうかいっ」
348 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:32
佐藤の手からボトルを奪うと、泣きそうな顔と声で奪い返そうとしてきた。
腕を伸ばして遠ざけたが、本気で取り上げようなどとは思っていない。

「まだ聞いてないことあんだけど!
 まーちゃん、マジでこれ飲んで気分変わる?」
「変わる! 絶対どぅーが何か出してんだ」
「出してないし、何かってなんですか? って感じなんですけど」

自惚れていいのなら……譜久村が醸し出しているようなものが自分からも出ているのかも?
……いやそんなことはないな、と思い直す。
汗の件でインパクトの強いことがあったから、それの思い込みがまだ残っているんだ。

「まいいや、返してやるよ」

手の届く位置まで腕を下ろしたら、ボトルはすぐ奪い取られた。
その癖それを再び飲むことはせず、佐藤は大事そうに胸に抱えている。

「飲まない?」

不思議に思って工藤が聞くと

「とっとく」

そう短く答えた。
さすがに唖然としてしまった。

……これは結構、本気……っぽい。
349 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:34
佐藤のことは大好きだからこれからも一緒にいたいし、(汗はどうかと思うが)
自分が口を付けた飲料がライナスの毛布みたいな役割をするなんて、異常で、危険で、
だけど強く求められている気がして。

……今、工藤の中にはとてつもない優越感がある。
嬉しすぎると震えるらしい、人間って。
それとも、さっきの栄養ドリンクがまた変に効いてきたのかな?
そう自分の手を見て思った。

だけど同時に心配だ。何日も経った水をまた飲んで、具合を悪くされたらとても困る。
だから、飲むなら飲みきって欲しいと佐藤に頼んでボトルを空にさせた。

「まだ喉渇いてるなら、ハル新しいの先に飲むけど」
「ん、もう要らない」
「寝てる時も喉渇いたら起こしていいよ。必要なら」
「そこまで!? いいよ、まーだって我慢するよ」
「大丈夫?」
「大丈夫だよっ」

もっと頼ってきてくれても……
いっそ依存してくれてもいいんだけれど。
350 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:36
「佐藤さーん、早く早く!」

エレベーターの扉を手で抑えた小田が、もう片方の手で廊下の奥の佐藤を手招いていた。

「待って待って待ーって!」

佐藤はスーツ−ケースを押しながら走っている。
同室だった工藤はとっくにエレベータ−の中にいた。
というより、廊下で後ろに並んで歩いていたはずの佐藤が、振り向いたらいなくなっていて、
引き返してみたらだいぶ遠くの部屋からひょこっと姿を現したので、呆れて先に行くことにしたのだ。
エレベーターホールには小田や鈴木がエレベーターの到着を待っていて、背後では

「どぅー待ってよ〜」

と同期のごねる声が聞こえていた。

工藤がホールに足を踏み入れた所でちょうどエレベーターが到着したので、
三人が乗り込んでも佐藤はまだ廊下を歩いている。
それで開閉係の小田が彼女を手招いたのである。
351 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:39
「まーちゃんもっと急いで!」
「先輩のあたしを遅刻させないでよー」

鈴木の言い分はもっともで、これに乗り込まなければ集合に間に合うかどうかという微妙な時間だ。
見た感じ同期もそれなりに急いでいるので、まあ、間に合うだろう。
ガラガラとやかましい音とともに佐藤が乗り込んでくると

「うーん、まあセーフ? 閉めまーす」
「いや、なんで途中で引き返したのかわかんないからアウトだな」
「なに忘れ物したの? おいおい頼むぜ、サトウ」

三人は思い思いの言葉を口にした。
ドアが閉まるとエレベーターはすぐに動き出す。
息が上がってスーツケースに凭れた佐藤は、無言で右手を掲げて持っていたものを三人に示した。

「水? ……あー、これ買いに戻ってたのか」

部屋からではなく、自販機のスペースから出てきたのか。
工藤がそれを鈴木と小田に説明し、二人が納得した頃、やっと佐藤が立ち上がった。

エレベーターはまだ止まらない。
先輩と後輩は二人とも階数表示を見ていて、同期の自分たちはお互いに顔を見合った。
すると佐藤が、持っていたペットボトルを工藤の胸元に押し付けてくる。
いまのうちに、とでも言いたそうな目をしていた。
工藤は素直にそれを受け取って一口飲んだ。
そして佐藤に返した瞬間を、振り返った小田に見られてしまった。

「あれ? その水って佐藤さんのじゃなかったんですか」

案の定後輩は指摘してくる。
工藤は昨日寝る前に考えた答えを口に出した。

「いや、まーちゃんの。
 なんか知らないけど、ハルが毒味させられることになってサ」

……でもこれは毒味じゃなくて、ある意味毒を入れているんだけどね。
352 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:41
>>339-351 Drinker
353 :名無飼育さん :2014/06/12(木) 23:53
ハル汗 dive to mouthの件は半分実話です。被害者兼報告者は飯窪さん@モー女


レスありがとうございます。

>>337
そんな直後に鞘石ではないのですが……すいません!
今後もチュー目し続け書いていきたいと思っています。
最近は石田さんがよく仕掛けている印象。

>>338
リアルに多忙で大変そうな様子を、当時の新幹線内ブログから
感じ取りました。
今後もなるべく鞘石ではリアルネタに沿ったものを書いていきます。
354 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:27
水が混ざり合う
355 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:29
「……やすしさん、はるなんから聞きました」
「え、なに、何をー?」

楽屋の荷物を片付けていたら、佐藤が怒気をはらんだ声で自分に話かけてきた。
顔を見ると眉間に皺を寄せていて、あからさまに怒っているとわかる。
鞘師は身に覚えが全く無くて、もしかしてこちらの気を引くための狂言かと思って、
片付けを続けながら聞き返したのだが、

「どぅーの、鎖骨、水」

完璧に身に覚えのあるワードを聞かされてしまい、メイク道具を取り落としてしまう。

……そうか、今日が放送日か。
きっと飯窪から十期のLINEでまわってきたんだ。
ということは、工藤本人にも、そしておそらく別件を石田にも知られてしまったのか……
予定ではだいぶ後になってファンからのチクリで発覚してイジられてひとネタひゃっっほーい( ´θ`)ノ
みたいな……そんな想像をしていたのにっ!

「ら、ラジオ? あ、あれはネタだよ? わかってると思うけど」
「……ヤだ。やすしさんでもダメ」
「え、えへ、する訳ないじゃん!」

愛想笑いをしながら、これって謝らないといけないのかなあと思いかけたところで、話題の工藤が寄ってきて、

「どーもすいません、連れていきますんで」

と鞘師に言いつつ同期の肩を掴んでどこかへ連れて行こうとする。
356 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:31
「あ、いや、いいよ別にうん」
「あと、いくら先輩でもあんま変な目で見ないでくださいよー?」
「う、うん……いや“うん”じゃない、ネタだってあれは!」
「やすしさんより、絶対まさが先に水かける」

押し黙っていた佐藤がぼそっとそんなことを言ったので、二人は一瞬凍りついた。

「……よ、よし、じゃあウチはそれをカメラで」

両手の指で四角形を作ってそれを覗き込んだシジミ目が工藤の鎖骨を見ようとしたのに気付いて、
佐藤はその四角を塞ぐようにてのひらを突き出してきた。

「うおっ」

男のように驚いた鞘師を見て工藤が思わず笑ったので、場が少し和む。

「ま、優樹ちゃん撮らせてくれないんだ」
「だめー」
「残念でしたねー」

今度こそ工藤は佐藤を連れてその場を離れた。

……でも、佐藤も、内心では工藤も、鞘師の言ったことを気にしている。
特に佐藤は、水と言いつつ汗のことではないかと勘繰っていた。

「ライバル……」
「いや無いから。……多分」

工藤が絶対と言い切れない程、あの先輩もなかなか“いい趣味”をしているのだった。
357 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:32
鞘師から遠ざかると、ちょうど石田が自分のスマホを確認しているのが目に入る。
これ幸いと工藤は彼女に近づき、

「あゆみん、いい加減鞘師さんに一言言ったら」

と忠告をした。
しかし年上の同期は首を振り、

「うーん、ごめん怒れないわ」

と拒否されたので工藤は驚く。
てっきり『何度も言うと嘘臭いよね!』と自分に同意を求めてくると思っていたのに。

「なんで? 先輩だから?」
「いや、本気だってわかるから」
「…………へぇ」

思わずシンパシーを感じた。
石田も自分と同じで、ちょっと変だと思っても、相手が真剣だったら同じくらい真面目に
受け取るタイプなのかもしれない。

自分は陥落してしまったけれど、果たしてこの同期は“年下の先輩”という難しい立場の相手に対して、
どう“答えて”ゆくのだろう。

二人の関係を何も知らない工藤はそうして一方的に鞘師と石田のことについて案じたが、
実は先日の新幹線で彼女たちが佐藤の目の前で親密な様子を見せていたこと、
そしてそれを佐藤の口から聞き、もうすでにそんな次元の話ではないのだと工藤が気付かされるのは、
だいぶ後になってからのことである。
358 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:33
>>354-357 水が混ざり合う
359 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:36
ノリ*´ー´リ<あゆびるは下から写真を撮りたい
ノリ*´ー´リ<どぅーの鎖骨に水を注いで写真を撮りたい

ソースはりほでり。
ってこんな話されたら、書くしか無いと思ってしまいました……
360 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 03:23
全てを知ったDoどぅーの反応やいかにw
お姉さんなだーさんが素敵です
361 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 21:15
まーどぅーも鞘石もイイ!
汗に執着するのもなかなか”いい趣味”ですよねw
362 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 22:16
まーどぅーの関係が進んでる><
そして、まー助は新幹線でやっぱり見てたんですね。
363 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:44
ブルーハワイ
364 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:46
支給された弁当を食べ終えた頃に工藤がやって来て、手に持っていた箱をテーブルに置いて示した。

「和田さん、良かったらこれ、食べませんか」

そう言われてその箱をよく見ると、誰もがよく知るあのチョコレート菓子である。
でもパッケージが特殊で、本来赤い箱であるはずのそれは青地に白抜きで商品名が印字されており、
その下には南国らしい果実の絵が付いていた。和田はその商品名を声に出して読む。

「コ・コ・ナッツ? ココナッツポッキー」
「夏限定らしいです」
「わぁ〜!」

思わず“限られた品”に惹かれるまま手を出した。
両手でガッチリと掴み、親指で紙のパッケージを擦ってみると、ツルツルとした質感が伝わってくる。

「もう限定ってだけで魅力的だよね。くどぅーはこれ食べたの?」
「いや、来る時コンビニで見つけて買ってきたんで……」
「えーっじゃあ、半分こしようよ。これ確かふたつ入ってるよね」
「たぶん」
「ね、分けよう。彩は今ご飯食べたばっかでお腹いっぱいだから持って帰るけどいい?」

和田が早口でそう尋ねたら、斜め上の工藤は黙って頷いた。
365 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:48
箱を開けたら薄い袋が二列に並んで入っている。
和田はそのうちの一袋を抜き取り、

「あ、ヤバいやっぱこれ美味しそう」

中身を見た途端に気が変わり、鞄にしまうつもりだったそれをテーブルに置いた。
そして、

「ねえこれ、箱どうする? 捨て」

上を向いたら、てっきり立ったままだと思っていた工藤がいつの間にか向かいの椅子に座っている。
パッケージを三十センチ程浮かせたまましばし固まってしまった。

「……あ、あーびっくりしたぁ。居ない! と思って」
「なははっ、すいません」

工藤は笑いながら浮いた箱を受け取って、しばらく弄ぶ。
そして、青い色だけに視線を落としながら話し始めた。

「えっと、あの……八月にハワイツアー行くんですけど」
「ハワイ! そっか、そういえばもうすぐだね」
「和田さん、何か欲しい物あったら買ってきます」
「えっ、いいよそんな気を遣わなくたって」
「いや、ハルが買いたいんですよ」
「えーでも……ほんとにいいんだよ?
 海外だからたくさんお土産買うじゃん。お金かかるし、彩はいいから家族の人とか友達とかの分を」
「和田さんの分はちゃんとお金キープするんで。……これ、っていうもの、ないですかね」
366 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:50
上目遣いで食い下がる中学生をどう諭そうか和田は悩んだが、それも一瞬だけだった。

「あのねくどぅー」
「はい」
「彩思うんだけど、家族の人にはお土産絶対買わなきゃ駄目だよ。
 あれは自分の子供が離れた所でも、時差が何時間もある遠い遠い場所でもするべきことをちゃんとやって、
 食事も睡眠もちゃんととって、しっかり“生きる”ことをしたそのうーえーで!
 くどぅーが、お土産を選ぶために自分たち家族のことを一瞬でも思い出してくれたんだ、考えてくれたんだ
 っていう証拠として受け取ってるんだよ。物はなんだっていいの。友達だっておんなじ。
 だから、彩のためにキープとかしないでその人達のために使うべき!」

一気に持論を吐き出すと、妙に心がスッキリした。
正面の工藤はと言うと、無表情で和田の説法を聞いていた。
相槌も打ってくれていたかもしれないが、話に夢中だったのでわからない。

和田は即座に後悔した。五つも年下の中学生に、ムキになって一方的に話したのである。
自分が相手と同じ年頃だったとしたら、今の行いに対してとことん醒めた感情を抱いただろう。
ずばり“ウザい”と思ったはずだ。

ところが工藤はそうではなかった。
しばらく黙っていたと思ったら徐ろに口を開き、

「もちろん必要な人たちには買いますよ、当然。
 でもやっぱ、和田さんにもプレゼントしたいし。
 ……えーと、何でしたっけ?
 “するべきことをちゃんとやって、飲んで食べて寝て起きて”でしたっけ?
 ……その上で、好きな人のことを想っていた証拠として、受け取ってくれればそれでいいんで」

頑固と屁理屈と純粋な気持ちを綯い交ぜにしてぶつけてきた。
367 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:53
和田は突然“好きな人”と言われて目が回りそうになり、何かに縋りたくて
テーブルに置いていたポッキーの袋を掴む。

「何がいいかわかんないんで、ハルのセンスだけど……とりあえず今手元にハイビスカスの絵が」
「……えっ」
「ハイビスカスですよね? これ」

工藤が爪でコツコツと青い箱を叩いたので、気を取り直してその花の絵をまじまじと見た。
相手の言う通り、それはハワイを象徴する朱色の花だ。

「あ、そうそう、ハイビスカス」

そしてその直後、和田の中に閃きが起こる。
工藤は最初からハワイの話がしたくてこれを買ってきたんじゃないか?
ハワイの話……というか、ひょっとしたら、自分と話がしたくて……?

「和田さんの髪に似合いそう。ほら」

青い箱は工藤の手によって再び和田の目の前を浮かび上がり、視界の左上でその姿を消した。
腕を伸ばした工藤がその消えた方向を見ていて……と思ったら、視線をおろした彼女と目が合ってしまう。
その人は何も言わず口角を上げた。

わかった。
工藤が今、何を思ったのか。

「うん、似合いますね、やっぱ」
「彩の名前に花って付いてるからでしょ」
「…………なんで」

わかったの、と。
弱々しい声を聞いたその瞬間、和田の手の中でチョコレートが溶けた。
368 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 22:54
>>363-367 ブルーハワイ
369 :名無飼育さん :2014/07/16(水) 23:00
武道館動画観た勢いでガーッ!
単発のつもりですのでガーッ!
でも、リアルにお土産買ってくるんじゃないかなーと思います。
ポッキーは取材のため先ほど美味しくいただきました。結構甘かった。
回し者ではありません。

レスありがとうございます。

>>360
どぅーが全てを知るのはまだ先のようです。。。
石田のあれは、まあ、「愛」ですよね  ヤシ

>>361
汗がどうとかを趣味カテゴリで括られて、正直ホッとしています……
そう、趣味……これは趣味よ……!

>>362
川* ^_〉^)<ちゅーとか慣れてるからーまさいちいち報告しなーい
※やり慣れているの意
370 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:30
オントレー
371 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:31
ケータリングで食べ物を選んでいると誰かに腕を掴まれ、その冷たさに和田は思わず悲鳴をあげた。
パッと放した手を顔の横にかざして笑うのは、工藤。
その背後にはトングを持った飯窪が立っていて、

「この子ったら、ずっと彩ちゃんに気付いてもらえなくてこんな悪戯を〜」

と、芝居がかった口調で言う。
和田は意味がよくわからず首を傾げた。
その隙に工藤が和田のトレーに載った皿を奪ったのにも気付かずに。

「実は、さっき二人で飲み物を選んでたんですけど、その時に端っこから彩ちゃんが
 食べ物取りに来たのが見えて、くどぅーがドキドキしてたんですよ」

飯窪は持っていた皿にサラダを盛り付けながら説明する。
和田は話の続きが気になって相手の横顔を見つめた。

「気付くかな、ねえ気付くかなー? ってずっとブツブツ言ってて、もう話しかければいいのになー
 と思ってたら突然」
「突然?」
「クーラーボックスに手をこう、突っ込んで」
372 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:33
そこで和田は閃いた。あの冷たさの原因は、直前にそうやって冷やしていたからだ。
確かに、ケータリング周辺は保温されているおかずや汁物があり、一段と暑く感じる場所ではある。

「くどぅー優しいね!」
「それは私じゃなくて本人に言うべきですよ。でも彩ちゃんこそ優しいですよね、驚かされたのに」

はい、と言いながら飯窪が盛り付けたサラダを和田のトレーに載せた。

「あ、これ、彩のためにやってくれてたの? ありがとう!」

トレーを見ていた和田の視界に横からもう一つの皿が現れて、トンと置かれる。

「これもどうぞ」

そのハスキーな声は、振り向くまでもなく……

「えっ、えっ、くどぅー?」
「ちょっと茶色いかもだけど、ハル的に和田さんに食べてほしいもの選んだんで」

飯窪が続ける。

「春菜と遥の特製ハルハルランチですよ。
 ねえ大丈夫だよくどぅー、それ見越してサラダ多目に入れといたから」
「あそう」
「あーちょっと何? その素っ気ない感じ。言っとくけど邪魔じゃなくてフォローしたんだからね。
 あなたの肉食っぷりで彩ちゃんが具合悪くならないように」
373 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:35
「こっちこそ言うけどさ、ハルとしては本番までに和田さんに体力つけて欲しい訳」
「それにしたって揚げ物多すぎでしょこれ。……特に、唐揚げは鬼門だよ」
「は? キモン? 意味わかんねーし」

和田を置いてけぼりにして、飯窪と工藤が小競り合いしている。
実はあまり食欲が無いとは口が裂けても言えない雰囲気だったので、

「二人が取り分けてくれたし、ちゃんと全部食べるよ」

和田は見栄を張った。
それを見た工藤が、トレーと彼女を交互に見て

「……やっといてなんですけど、もし苦手なものがあったら野菜と混ぜるとか、
 ハルたちに言うとかしてくださいね」

心配を滲ませる。

「いや、大丈夫。絶対完食するから!」

断言するものの、こちらを見ていると思うとどうしても工藤の目を見て言えなかった。
374 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:36
そして今はそんな見栄を張ったことを後悔している。
思った以上にボリュームがあって、半分食べた所で明らかに箸の進みが遅くなっていた。

中でも、一度口を付けてから油の多さで辟易してしまったハムカツは、すっかり冷めてしまっている。
和田はウサギのように少しずつレタスを齧りながら、どうしたものかと工藤セレクションの
器の中身を見詰めていた。

するとまた和田の視界に進入する、何者かの手。
見ると、工藤がハムカツを奪って頬張っていた。

「あ……」

その声は批難するわけでもなく自然と口から出ていたが、犯人は左手で謝るような仕草をして

「すんません、急にハムカツ食べないと死んじゃう病に罹って」

などと見え見えの嘘を吐く。
375 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:38
それを聞いた和田は思わず笑ってしまった。

「じゃ、これで生き延びたんだ」

和田の言葉に親指を立てた工藤は、手洗ってきます、と言い残して踵を返し、離れていく。

背中ならいつまでも見ていられるのに……そう思いながら視線だけで姿を追ってしまう。
そして自分は鈍感なんだと気付いた。さっきのケータリングの時といい、
工藤はいつも自分のことを意識してくれて、自分から近付いてきてくれているんだ。
それなのに、恥ずかしがっていつまでも目を合わせられないのはとても失礼だ。
今度から、ちゃんと目を見て話すようにしたい。
あのハムカツ彩の食べかけだったんだよ、とからかって、今度はこっちから照れ笑いをさせたい。
そう思った。
376 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:39
四人目
377 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:41
骸骨の手がベッドから助けを求めているようだった。

無論、そんなオカルトな状況は寝ぼけた工藤の勘違いで、正解は闇の中でスマホを操作する
石田の青白い手である。
仰向けになって顔の上に端末をかかげて操作していた。
ディスプレイの灯りが眼鏡のレンズに反射しているのが少しだけ見える。

「……まだ起きてんの」

ガラガラの声を絞り出して石田に言う。
すると、彼女は顔だけこちらに向けてきた。
強い反射光が目の前に来て、とても眩しい。
工藤は思わず両目を瞑ってしまった。

「ごめん、眩しかったか」

次に目を開けると、室内から光が消えている。

「いや……別に眩しくて起きたんじゃないけど」
「あ、そうなの?」
「でもまた寝る。あゆみんも早く寝なよ」
「んー、うん」

歯切れの悪い答えだ。
眠れないんだろうか。

今日は珍しくくじ引きで三人部屋に当たって、自分と石田と、その石田の隣のベッドには鞘師が寝ている。
三人だからと言って特にすることはなくて、それぞれが自分のことをやって床に就いた。
378 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:45
一度眠りに就いた工藤が目覚めたのは、寝苦しさからだった。
夏とはいえホテルの室温は保たれているから、それほど暑くは無いはずなのに、何がこんなに苦しいのだろう。
特に不思議なのは、汗かきの自分がたいして汗をかいていないことだ。

「ねーなんか、温度変えた?」

不快さを露わにしながらとうとう起き上がると

「いや? 変えてない」

石田の声だけが闇の中から返ってくる。

「……でも何か暑いんだけど」
「変えてないよ、壁の表示見てみなって」

工藤のベッドは壁際にあり、その壁の角の部分に空調を調節できるデジタル操作盤が付いている。
自分の目で確かめようと、ベッドから一旦降りてその表示を見に行った。
表示されていた室温は、24℃。
寝る前と変わっていない。

「……変わってないなマジで」

口を尖らせてデジタルの文字を指でなぞると、工藤の脳裏にある光景が甦った。
379 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:51
加入したばかりの頃、ホテルの室温が原因で石田と口論になったことがある。
冬だったのだが、石田が暑くて眠れないと言い出して空調の設定温度を勝手に下げた。
風邪気味だった工藤はそれに激昂し、すぐに温度を戻した。
ちょうど今みたいに、操作盤のボタンを押して。

当時はまだエッグ出身の自分にある程度の権限があったから、その時に思わず命令口調で、
ここより涼しいはずの廊下にでも出て頭を冷やせ、と言ってしまい、石田がそれに従って
本当に出て行ってしまったのである。

当時の二人は、小学生と中学生で。
工藤は愚か当人でさえも、“体質の変化”に気付いていなかった。

深夜に部屋を出ることは禁止されているから、内心かなり慌てた。
でも勝手に出て行ったのは向こうだし、体はだるいしで、追うことを諦めた。
ベッドに横になってしばらくしたら眠りに落ち、翌朝起きてみると、
石田が隣のベッドでちゃんと寝ていてホッとした。
その後の事情を聞いたら、廊下でも暑くて行き場がなく、結局フロアの端から端までを
五往復して戻ったらしい。

「……そいえばさ、あゆみんって今でも廊下歩くことあんの」
「いや、もう歩いてない」
「あ、そーなんだ」

ベッドの中を動いた衣擦れの音がして、振り返らなくても彼女が体勢を変えたのがわかる。
しかし、

「一回さ、怒られて」

この告白には思わず振り向いてしまった。
暗闇に慣れた工藤の視線の先には、こちらに背を向けている石田が作り上げた、
シーツの山脈だけが見える。

「え、何、もしかして大人の人に見つかった訳!?」
「いや、同じ部屋だった人に」
「あ、先輩とか?」
「まあ、そんなとこ。
 あんたとか十期はさ、みんな勝手にしろって感じだったけど」
「……そんなこと言ったことありませんけど?」
「空気出てたもん」

何が、出てたもん、だ。負けず嫌いなだけだろうに。
まあ過去のことなので深く追求はせず、水でも飲もうと工藤は壁と反対側の冷蔵庫まで歩いた。
380 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:54
「信じてたのに、って」

冷蔵庫を開けた時石田が呟いたので、閉めないままに振り返る。
ちょうどよく庫内灯がベッドで横を向いている石田の顔を照らしていた。

「悲しませちゃったから、もう二度としないって決めた」

そう言う石田の大きな瞳(いつの間にか眼鏡を外していた)は、隣のベッドの鞘師に向けられている。
いや寧ろ、彼女に伝えているようにさえ見えた。

「そうだ、どぅー」
「えっ」

石田が首を傾けて自分に呼びかけてきたので、凝視していたのに気付かれたかと工藤は少し慌てる。
実際はそうではなく、何かを思いついた様子だった。

「うち冷えピタ持ってるから、あげようか」
「あ、あーいいの?」
「いいよいいよ、使いな」

起き上がった石田が再び眼鏡をかけて自分のバッグから件の物を取り出し、工藤に差し出すと、
工藤は礼を言って受け取ったのだが、パッケージを見詰めて考えこんでいる。
石田は不思議に思って彼女に問うた。
381 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:56
「なに、どうした」
「いや、なんか、大丈夫かなこれ」
「なにが」
「普通オデコなんだろーけどさ、一番熱っぽいのがへそんとこよろしくー的な?
 ここ、ずっと貼ってたら痛くなんじゃね?」

すると同期は、すかさずパッケージを工藤の手から取り上げた。
さすがに驚いて石田を見る。

「場所がヤバい。耐えろ、クドウ」
「……やっぱヤバい?」
「ヤバいね。でもあんたなら耐えられるよ、頑張んな!」
「いや、あんたならとか意味わかんねーし」
「うちとどっちが先に眠れるか勝負するか!」
「はあー? もうまっったく意味不明なんですけど」

肩を叩かれた工藤は、溜息混じりにベッドへと戻った。
それにしても、結構大きな声を出していたと思うのに、鞘師は一切起きてこない。
それを羨ましく思いながらも、寝苦しさと格闘しているうちに、いつの間にか眠ってしまった。
382 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 21:58
翌朝のことである。
三人部屋で唯一熟睡できたと思われる(石田と工藤が二人がかりで何とか起こした)鞘師に
昨晩の話をすると、まだ眠そうな彼女から、思わぬことを言われた。

「まーちゃんにやったドライヤー……試さなかったの?」

それを聞いた工藤は思わず膝を叩き、悔しさで頭を掻きむしった。
もうすっかり理解できた。あの時の佐藤の奇行も、昨夜の自分のことも。
工藤は鞘師が見ているのもお構いなしに、あいつのことなら冷静な対応ができていたのに、
自分自身のこととなるとてんで駄目なのか、とベッドの上で悶絶している。
ちょうどその時、顔を洗い終えた石田がユニットバスから出てきた。

「朝からなーにしてんだお前」

いつものように小馬鹿にしたような口調で見下ろす同期。
工藤は昨日と違う自分を隠すように、シーツの中に潜り込んでしまった。
そんな後輩の代わりに、鞘師が答える。

「……今日もあついねえ、亜佑美ちゃん」
383 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 22:00
>>370-375 オントレー
>>376-382 四人目
384 :名無飼育さん :2014/07/28(月) 22:01
ノリ*´ー´リ<384!

容量も残り少なかったので、一気に二本更新。
途中から目標にしていた384レスに、何とか到達できました。

一本目は前回単発を書いて一旦気が済んだどぅーちょですが、
和田さんがいつまでもどぅーの目を見られないようなので、
願い込みで書いてしまいました。
なお、今回の話になんとなく関連があるひらがな同タイトルの話が、
過去スレ「好意と敬意」内にあります。
なんとなくですので共通ワードが出てきたりする程度なんですが、
少しニヤニヤが増えるかも。
二本目は、集大成的な。



と、いうわけで、お知らせです。
今更新を以って、当スレへの投稿を終了いたします。

お付き合いいただきありがとうございました。
385 :名無飼育さん :2014/07/29(火) 23:22
ちょいと風の噂を耳にしたのでageときますねー。
386 :名無飼育さん :2014/08/10(日) 04:20
どぅー!どぅー!!!1
どぅーが可愛くてたまらないお話がいっぱい!ありがとうございます><

そして、更新お疲れ様でした。またお会いできるのを心待ちにしています><
387 :9tKSclv3 :2015/12/21(月) 18:56
The hotseny of your posting is there for all to see

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