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流動マーブル

354 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:27
水が混ざり合う
355 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:29
「……やすしさん、はるなんから聞きました」
「え、なに、何をー?」

楽屋の荷物を片付けていたら、佐藤が怒気をはらんだ声で自分に話かけてきた。
顔を見ると眉間に皺を寄せていて、あからさまに怒っているとわかる。
鞘師は身に覚えが全く無くて、もしかしてこちらの気を引くための狂言かと思って、
片付けを続けながら聞き返したのだが、

「どぅーの、鎖骨、水」

完璧に身に覚えのあるワードを聞かされてしまい、メイク道具を取り落としてしまう。

……そうか、今日が放送日か。
きっと飯窪から十期のLINEでまわってきたんだ。
ということは、工藤本人にも、そしておそらく別件を石田にも知られてしまったのか……
予定ではだいぶ後になってファンからのチクリで発覚してイジられてひとネタひゃっっほーい( ´θ`)ノ
みたいな……そんな想像をしていたのにっ!

「ら、ラジオ? あ、あれはネタだよ? わかってると思うけど」
「……ヤだ。やすしさんでもダメ」
「え、えへ、する訳ないじゃん!」

愛想笑いをしながら、これって謝らないといけないのかなあと思いかけたところで、話題の工藤が寄ってきて、

「どーもすいません、連れていきますんで」

と鞘師に言いつつ同期の肩を掴んでどこかへ連れて行こうとする。
356 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:31
「あ、いや、いいよ別にうん」
「あと、いくら先輩でもあんま変な目で見ないでくださいよー?」
「う、うん……いや“うん”じゃない、ネタだってあれは!」
「やすしさんより、絶対まさが先に水かける」

押し黙っていた佐藤がぼそっとそんなことを言ったので、二人は一瞬凍りついた。

「……よ、よし、じゃあウチはそれをカメラで」

両手の指で四角形を作ってそれを覗き込んだシジミ目が工藤の鎖骨を見ようとしたのに気付いて、
佐藤はその四角を塞ぐようにてのひらを突き出してきた。

「うおっ」

男のように驚いた鞘師を見て工藤が思わず笑ったので、場が少し和む。

「ま、優樹ちゃん撮らせてくれないんだ」
「だめー」
「残念でしたねー」

今度こそ工藤は佐藤を連れてその場を離れた。

……でも、佐藤も、内心では工藤も、鞘師の言ったことを気にしている。
特に佐藤は、水と言いつつ汗のことではないかと勘繰っていた。

「ライバル……」
「いや無いから。……多分」

工藤が絶対と言い切れない程、あの先輩もなかなか“いい趣味”をしているのだった。
357 :名無飼育さん :2014/06/16(月) 00:32
鞘師から遠ざかると、ちょうど石田が自分のスマホを確認しているのが目に入る。
これ幸いと工藤は彼女に近づき、

「あゆみん、いい加減鞘師さんに一言言ったら」

と忠告をした。
しかし年上の同期は首を振り、

「うーん、ごめん怒れないわ」

と拒否されたので工藤は驚く。
てっきり『何度も言うと嘘臭いよね!』と自分に同意を求めてくると思っていたのに。

「なんで? 先輩だから?」
「いや、本気だってわかるから」
「…………へぇ」

思わずシンパシーを感じた。
石田も自分と同じで、ちょっと変だと思っても、相手が真剣だったら同じくらい真面目に
受け取るタイプなのかもしれない。

自分は陥落してしまったけれど、果たしてこの同期は“年下の先輩”という難しい立場の相手に対して、
どう“答えて”ゆくのだろう。

二人の関係を何も知らない工藤はそうして一方的に鞘師と石田のことについて案じたが、
実は先日の新幹線で彼女たちが佐藤の目の前で親密な様子を見せていたこと、
そしてそれを佐藤の口から聞き、もうすでにそんな次元の話ではないのだと工藤が気付かされるのは、
だいぶ後になってからのことである。

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