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(仮)

1 :名無飼育さん :2012/04/05(木) 00:51
色々。
2 :ハル :2012/04/05(木) 00:52


春休みは短くてあっという間だ。
四月、桜はまだ咲かない。入学式まで日はあとわずかだった。

小学校と中学校はそこまで距離が離れていなくて、通学路を改めて確認するほどでもないし、
退屈に任せて家を飛び出して中学校の前まで来たものの、なにになるわけでもない。

工藤遥は退屈だった。

宿題もないし、準備すべきものは揃ってしまっている。
新生活に心躍らせようにも、同級生はほとんど小学校からの持ち上がりで代わり映えもしないだろう。

風がまだ冷たかった。
正門の前でうろうろしているのも気が引ける。
そもそも目的があって来たわけではないので、もう帰ろうと思った。
吹奏楽部の鳴らす音が校舎から聞こえるのに背を向けると、ひときわ強い風が吹いて、顔をしかめる。

すると、しかめた顔に、なにかが飛んできた。
3 :ハル :2012/04/05(木) 00:52
右手でそれをむしり取ると、顔面にぶつかってきたものはどうやら帽子のようだった。
なんだよ、とさらに渋面になり、どこから飛んできたのか周囲を見回す。

「ごめんなさい、まーちゃんの帽子が!」

声がした方に顔を向けると、女の子が道の向こうから駆けてきた。
あっという間に目の前まで来て、ぺたぺたと遥の顔を触り出す。

「いや、あの、大丈夫なんで」

初対面で過剰な接触に、引き気味に遥が応えると、おそらく「まーちゃん」というのであろう、
遥とそう歳も変わらないくらいの女の子が「ごめんね」と眉を下げる。
同年配の女の子だから許せるけど、触りすぎではないだろうか。

右手に持った帽子を差し出すと、恭しく両手で受け取られる。

「ありがとう」

笑うと、目がなくなった。
にへへ、とそのままの顔で帽子をかぶって、らんらんと輝いた目で見つめられる。
4 :ハル :2012/04/05(木) 00:52
「ねえ、この辺の子?」
「はぁ、まあ」
「まーちゃんは、まーちゃんっていいます」
「あ、そう……」
「お名前は?」

知らない人の車に乗ってはいけないし、軽々しく名乗ったりしてはいけない。
そう教えられてはきたけれど、目の前の子はそう怪しいものではないだろう。

「工藤遥」
「風邪、引いてるの?」
「引いてない。声は元々こんななの」
「そーなんだ。まーちゃんもね、前髪くねくねなの、元々」
「くせっけだ」
「うん、そうなの」

まーちゃんは頷いて、それから中学校とは反対の方角を指さした。

「遊ばない? あっちにね、公園あるよ」
「えー。公園とかあったっけ」
「あるよ!」

遥がなにか言う前から、手をつかまれて引っ張られる。
初めましてのはずなのに、距離感が狂う。
それでも逆らわなかったのは、ただ退屈していたからだ。
5 :ハル :2012/04/05(木) 00:52
団地の隙間を通り抜け、たどり着いた先には確かに公園があった。
そのブランコと滑り台だけの小さな公園を遥は知らなかった。

「あったでしょ?」

得意げにまーちゃんは言って、ブランコに乗る。
座ってのんびりしているまーちゃんを見て、遥も隣のブランコに腰掛けた。

ゆらゆら揺らして遊んでいるだけなのは性に合わない。
立ち上がってこぎ出すと、まーちゃんが歓声を上げた。
風は冷たいけれど、気分は良い。
ジャンプして着地すると、ひときわ大きな声でまーちゃんが笑う。

「すごいね」
「べつに、すごくないよ」
「まーちゃんは飛べないなあ」
「飛べるよ」

簡単だからやってみなよ、と遥が言うと、できないよーとまーちゃんは首を振った。
渋るまーちゃんを立たせて、タイミングを指導してもなかなか飛べない。
6 :ハル :2012/04/05(木) 00:53
まだ明るいけれど、夕方を知らせるチャイムが鳴る。
冬の間は、もうこのチャイムが鳴る頃には薄暗くなっていたのに、
すっかり春だなあ、と遥は思う。

「帰らなきゃ」

まーちゃんが立ちこぎしながら言った。

「じゃ、飛んでみな」
「むりー!」

座って、足を地面につけてブランコを止める。
ずざざ、と砂をまき上げて、まーちゃんは地上に降り立った。

「簡単なのになあ」

遥が呆れて言うと、まーちゃんはへらへらと笑う。

「でも、もう帰らなきゃ」
「ああ、うん」

遥も暗くなるまでには帰らなければいけなかった。
ただブランコに乗っていただけなのに、名残惜しいだなんて、懐かしい気すらする。
7 :ハル :2012/04/05(木) 00:53
くるっと、きれいにターンを決めるようにきびすを返して、まーちゃんは片手を上げた。
遥も同じように応える。

「またね!」

ブランコに腰掛けたまま手を振り返すと、まーちゃんは駆けだした。
遠くなる背中を見送りながら、遥はつぶやく。

「……名前、聞かなかったな」

手を見ると、茶色く金属で汚れていた。立ち上がって、ズボンになすりつける。
へっくしょい、とくしゃみが出た。
8 :ハル :2012/04/05(木) 00:53




三日三晩を寝込んだ後に入学式があるなんて、ついてない。
鼻をずるずるいわせながら、遥は通学路を歩いていた。
まだ、制服に着られているような感じがする。真新しいセーラー服がなんだか気恥ずかしかった。

桜が少し咲き始めただろうか。
頭上に伸びた枝が日差しを遮り、やはり今日も少し肌寒い。

この桜の花たちも、私たちの入学を祝福してくれている……と思いたいところだったが、
ここまでの道のりで、遥は誰一人として中学生らしき人と行き会っていない。
おかしい、と思った。
9 :ハル :2012/04/05(木) 00:53
クラス分けの掲示も、一人で見ると味気ないものだ。
どうやら遥は三組らしい。上履きに履き替えて、三組のプレートが掛かった教室に入る。
すでにみんな集合していて、一人だけ遅刻だったらどうしようかと思ったが、誰もいない。

そろそろ自分の非を認めなければならない、と思って、ごあんないのプリントを確認すると、
案の定というか、指定された登校時間より一時間ばかり早かった。

一度、家に帰っても良かった。体調だってまだ本調子ではない。
けれど、こんなにがらんとした学校にいる機会は今後そうそう訪れないだろう、と遥は思った。

廊下に出て、渡り廊下に向かう。
閉まっているけれど、購買らしきものがあった。それを横目に真っ直ぐ進む。

入学式が行われる前に、体育館を下見しておこうと思っていた。
10 :ハル :2012/04/05(木) 00:54
小学校の入学式のことは覚えていないから、どうなっているのか少し興味があった。
卒業式と大した違いはないだろうけれど、もしかしたらなにか面白いものがあるかもしれない。

近づくにつれて、聞こえてくる音があった。
それがピアノだと気づいて、すでに誰かがいるのだとわかる。
伴奏をするのは、音楽の先生だろうか、それとも先輩だろうか。
見つかっても、「早く来すぎちゃって」と言えば怒られることはないだろう。

土足でも立ち入れるようにグリーンのシートが敷かれた体育館は、広かった。
重い扉から手を離し、数十メートル先でピアノを弾いているセーラー服を目にとめる。
遥には曲名がわからない。
けれど、弾いている曲は入学式とはなんの関係もなさそうだった。

そっと、足音を立てないように近づく。
癖のある前髪が、指の動きに合わせて揺れているように見えた。
声をかけられるくらいまで距離を縮めて、タイミングを伺う。
邪魔をするつもりはなかった。
11 :ハル :2012/04/05(木) 00:54
「へっくしょい!」

……邪魔をするつもりはなかったのに。
演奏が止んだ。こちらを向いて、目がなくなるくらいに笑って、ピアノの前のセーラー服が言う。

「風邪、引いてるの?」
「引いてる。声は元々だけど」
「そっか。寒かったもんね」

立ち上がって、遥に向き直り申し訳なさそうな顔をしている。
べつにあの日遊んだから風邪を引いたわけじゃない、と遥は言おうとしたけれど、
それより早く左手が差し出された。

「まーちゃんも三組。よろしくね」

新入生だったのか、とか、どこの小学校から来たの? とか、訊きたいことはたくさんあった。

「ねえ」

鼻をすすりながら遥が呼びかけると、手を出したまま、まーちゃんが首を傾げる。

「名前、なんていうの?」

なんで集合時間の一時間も前なのに学校に来ているの、とか、
なんでピアノ弾いてるの、とか、普通出すなら右手でしょ、とか。
それを言うのは、後でも良いと思った。
12 :ハル :2012/04/05(木) 00:54

13 :ハル :2012/04/05(木) 00:54

14 :ハル :2012/04/05(木) 00:54

15 :名無し飼育さん :2012/04/05(木) 01:15
会話がリアル!!!自然と本人たちの声で脳内再生されます
期待!次回更新も楽しみにしてます
16 :名無飼育さん :2012/04/05(木) 10:45
これは…面白くなっていきそうな予感。
マジで期待してます。頑張ってください。
17 :ポジション :2012/05/05(土) 23:39


手から離れたフラッグが帰ってこない。
練習ではできていたのに。

「レッスン室とは天井の高さが違うから」「照明も違うから」

そんなの誰だって条件は一緒だ。
コンサート会場で、本番を数時間後に控えてのリハーサル。

「イントロも間奏も難しさはそこまで変わらない」

早貴にもそれはわかっていた。

約一年ぶりのコンサートツアー、約二年ぶりのフラッグパフォーマンス。
曲のイントロ部分では上手くいくのに、間奏部分になると腕の動きがかたくなる。

その違いはなにか。
わかっていて、きっと誰も言わないのは気を遣ってくれているのだろう。
立ち位置が、違うのだ。
18 :ポジション :2012/05/05(土) 23:40
センターに立つと足がすくむ。
腕が思うように動かない。

イントロでは千聖と舞と三人で横並びだから気にならないけれど、
一人だけで真ん中に立つとなると変わってくる。

中島が一番安定してるから、とセンターを任された時は嬉しかった。
だからこそ成功させて、出来るんだってところを見せたかったし、なによりがっかりされたくない。

そう思えば思うほど、焦る。
焦るほどに成功率も下がった。

「もう、やるしかないじゃん」

舞が言う。
その正論には言い返せないし、弱音を吐いている場合ではないのも知っている。
泣いたって仕方がないけれど、涙は抑えられない。

リハーサル終わりまーす、とスタッフの声がスピーカーから響いた。
舞台裏に戻る前、愛理が近づいてきて、指でとんとんと頬をぬぐう。
涙が少しだけ取り除かれる。
そのままなにも言わずに愛理は行ってしまったから、早貴も黙ったままだった。

愛理はきっと、センターに立つことの重さをこの中の誰よりも知っている。
だからこそ慰められたくなんてなかった。
19 :ポジション :2012/05/05(土) 23:40







昼公演では、案の定、間奏で失敗した。
次は絶対に成功させたい。フラッグの先生に相談して、少しだけ稽古をつけてもらう。
とはいえ、充分に練習はした後だったから、成功させるために必要なものがなにかはわかっていた。

一人、空いたスペースで練習をさせてもらえることになって、薄暗がりの中、フラッグを投げる。
要は気持ちの問題だ。
プレッシャーに弱い、と言ったところで、それは言い訳にはならない。

フラッグが手から、離れて。
帰ってくるところをイメージする。

カンッ、と高い音がして、フラッグは地面に落ちた。
拾い上げて、視線を上げるとあまり会いたくない人がいた。

「飲み物。置いとくから」

衣装ではなく、いくぶんかリラックスした服装に着替えた愛理がペットボトルを床に置く。
そのまま背を向けて戻ろうとするから、とっさに呼び止めた。

「愛理」

その声に立ち止まり、振り向いて首を傾げる。
20 :ポジション :2012/05/05(土) 23:40
「……ありがと」

なにかべつのことが言いたかった気がするけれど、口から出たのは無難なもの。
ふてくされたような感謝の言葉に、愛理は薄く笑って、言った。

「緊張するの、当たり前だから。大丈夫」

じゃね、とにこやかに片手をあげて、行ってしまった。
その背中を呆然と見送って、ぴしゃりと両手で頬を叩く。

「……よっし。もっかい、練習」

フラッグはするりと手から離れる。
真っ直ぐに手の中に帰ってくるイメージで……。
21 :ポジション :2012/05/05(土) 23:40









結局、ツアー初日の成功率は一勝一敗。
成功した夜公演も、完璧とは言いがたい出来だった。

悔しいけれど、現実は現実。

終演後の楽屋でマイペースに顔を洗っている愛理の背中に近づく。

「ねえ」

いきなり背中に覆い被さると、驚いたのか愛理も振り向いて目を白黒させる。
他のメンバーには聞かれたくなかったから、自然と小声になって、身体も近づく。

「ありがと。でも、もっと上手くやるし、愛理には負けない」

前屈みのまま、少し顔に泡をつけたまま、愛理は笑った。

「そうこなくっちゃ」
「ナカジマ、負けず嫌いですから」

身体能力では舞美に敵わないし、たいていの場合でセンターは愛理だ。
正直、フラッグパフォーマンスのセンターも二人のうちどちらかだろうと思っていた。

しょーじき、愛理なら成功させてたんだろうなあ。

思ってても、言わない。
22 :ポジション :2012/05/05(土) 23:41
「ナカジマぁ!」
「うわ!」

愛理と早貴が折り重なってる上に、千聖がつっこんできた。

「これ以上失敗したら、ヘタレ復活な!」
「え、ちょ、ヘタレじゃないし!」

慌てて身体を起こして言い返すと、舞も千聖の尻馬に乗ってきた。

「マジ、このままじゃフラッグセンター交代だね」
「いやいやいやいや」

それは嫌だ、と首を横に振っていると、ジャー、と水が流れる音がする。
のんびりと顔をすすいで、タオルを頬にあてた愛理がひょこっと横から出てきて、言う。

「まあまあ。なっきぃ、出来るって」

ははは、とご隠居様のように笑って、とことこ歩き出す。
ステージ上でどれだけ重いものを背負ってるんだかわからない細い背中。
マイペースに、「あ、あたしもゼリー食べたい」と舞美に話しかけているのを見ていれば、
悲壮感も必死な感じもしないのに。
23 :ポジション :2012/05/05(土) 23:41
……すぐにああなれるとは思わないけど。

「とりあえず、ヘタレじゃないし!」

ヘタレ返上から始めなければいけないとは、なんとも情けない。
でも現実は現実だし、きっと、そんなに悪いものでもない。
24 :ポジション :2012/05/05(土) 23:41

25 :ポジション :2012/05/05(土) 23:43

26 :ポジション :2012/05/05(土) 23:43

27 :名無飼育さん :2012/05/05(土) 23:49
>>2-14 ハル
続き物だと思われていたら申し訳ないです。

>>15>>16
レスありがとうございます。
ほめられのびこなので、素直に嬉しいです。
28 :名無し飼育さん :2012/05/06(日) 00:15
これは素敵なお話
2人とも格好いいですね
29 :名無飼育さん :2012/05/12(土) 08:59
ナカジマさん一人称でこその空気感。
セリフも彼女たちらしくていい。面白かったです。
30 :たら :2012/07/30(月) 01:55


「桃が男の子だったら良かったのに」

ドライヤーの音が止んだと思ったら聞こえてきた言葉に、桃子は目を開いた。
ごろんと横になったベッドの上、桃子の足元に近い部分に腰掛けていた舞美が、身体ごと振り返る。

「こんなにかわいい女の子つかまえて、なんてこと言うの」
「だって……」

少し拗ねたように、舞美が口をとがらせた。
スポーツ万能、身長も高くて容姿端麗、誰にでも優しくて、でもちょっと抜けてて。
そんな舞美の方が、男の子だったら、と桃子は思う。

「舞美の方がさ、背も高いし。絶対、イケメンじゃん」
「背はそうだけどぉ」

指を組んで頭の後ろにおいて、桃子はうとうとと、また目を閉じる。
約束していた本を借りて、もう部屋に帰らなければと思う。
けれど、コンサート後ですでにシャワーも浴びていて、ベッドの上にいたら眠くもなる。
31 :たら :2012/07/30(月) 01:55
「……桃は、私が女の子だったらだめ?」
「なに言ってんの。いいに決まってるじゃん」
「ほんとっ?」

ぐえ、といきなり全身に衝撃がきて、思わず声が漏れる。

「ちょ、苦しい」

上から抱きついてきた背中を強めに叩くと、舞美が顔を上げた。
ひょっとしてこれは、決して公にすることのできない乙女チックシミュレーションのひとつ。
押し倒されている、という状態だろうか。

「……舞美?」

ちょっと顔をしかめた桃子に不安になったのか、困ったように眉を下げる。
落ちてきた髪の毛がまだ湿っていて、少し冷たかった。

シャワー後。ベッドの上。上に舞美。だめ。いいに決まってる。
32 :たら :2012/07/30(月) 01:55
「……ちょっと落ち着こう舞美。桃は」
「いいって言った」
「それは舞美が男じゃなくて女でも好きってことで! いや、そういうことじゃなく!」
「どういうこと? 好きじゃない?」
「好きだけどあのぉ、こーゆー関係ではないじゃないですか、桃たち」

時が止まったかのように、しんとした。
けれど、だんだんと舞美の顔がにやにやしだして、桃子は眉根を寄せる。

「……舞美、桃のこと、からかってるの?」

頬にかかっていた髪が離れた。
舞美が身体を起こして、桃子の手も引く。

「そーだよ、からかってるの」
「ひどい。桃の純情をもてあそぶなんて」
「なに言ってんの。ほら、早く部屋戻って寝なよ」
「ヤダ。もうここで寝る」
「そしたら私、寝る場所ないんだけど」
「一緒に寝ればいいじゃん」
33 :たら :2012/07/30(月) 01:56

人と一緒だとよく眠れない、と主張する舞美をなだめて、横になるように促す。
寝かしつけるように背中をぽんぽんと叩くと、すぐに寝息が聞こえてきて呆れた。

「いや、桃より先に寝てるんですけど」

ふざけんなよやじまぁ。
おどけた声は届いているのかいないのか、寝顔に変化はない。

「どーゆーことなの?」

頬をつついても返事はない。
桃子から言い出した以上、いまさら部屋に帰るのも気が引けた。
それに、眠気だってもうすぐそこに迫っている。

枕元のスイッチを操作して照明を落とす。
真っ暗になった部屋の中で、眠っているとは思えない鼓動を感じながら、桃子も目を閉じた。







34 :たら :2012/07/30(月) 01:56

35 :たら :2012/07/30(月) 01:56

36 :名無飼育さん :2012/07/30(月) 02:01
>>30-33 たら
まいみちゃんとつぐさんのおはなしがよみたいというがんぼうがあります。

>>28 >>29
レスありがとうございます。
すごく嬉しいです。すてきなお言葉ありがとう。
37 :名無飼育さん :2012/08/07(火) 21:52
珍しい組み合わせ…かな?
矢島さんが最初の発言をした真意が気になる。
面白かったです。短編集なんですね。次の話も楽しみにしてます。
38 :名無飼育さん :2012/10/24(水) 07:04
舞美ちゃんも桃子も可愛いですね!次回更新も期待です。
39 :名無飼育さん :2013/07/18(木) 18:51
作者さんの書く自然体のメンバーとリアルさがとても好きです。
更新気長にお待ちしております。
40 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:39


メジャーデビューしてから、学校が終わった後にはほとんど毎日、仕事があった。
そうなると、メンバーでハロウィンパーティーしよう、だなんて話にもなる。

仕事の合間にお菓子を交換したりしていたら、あっという間に窓の外が暗くなっていた。
佳林はノートから目線を上げる。
約束した迎えの時間に遅れる、と親から連絡があって、諦めて宿題をして待っていた。

迎えがない由加とあかりも一緒に会社に残っていてくれて、
嬉しいけれど申し訳ないな、と佳林は思う。

由加はマネージャと一緒に席を離れてしまった。
会議室めいた部屋にいるのは佳林とあかりだけで、けれど会話はない。
41 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:40
「……重い」

左肩にかかる重みに、思わずひとり言が漏れる。
ゆらゆらと眠そうに揺れていたあかりが、完全に寝入って頭をあずけてきたのは
いいけれど、少しでも身動きしたら倒れてしまいそうなのが気になる。

宿題なんか手につかない。
けれど、他のことをするにも、動けないのではどうしようもなかった。

「うえむー、おーい」

控えめに声をかけて、肩に乗せられた頭が落ちないように
気をつけながら頬を指でつつく。

同じ学年なのに、と佳林は思う。
あかりは大人っぽい顔立ちで、どうしても佳林の方が幼く見られがちだった。
中身はこんなに子供なのに、と悔しく思いながら、
それでも、整った顔には見とれてしまう。
42 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:41
ぱちり、とあかりの目が開いた。
あわてて佳林は指先を引っ込めたけれど、あかりは微動だにしない。

「……おはよ」

佳林が声をかけると、へにゃりとさらに体重をかけられた。

「かりんちゃん、お膝」

とんとん、と膝をたたかれて、佳林は椅子を引く。
当然のようにあかりは佳林の太ももの上に頭をあずけて、目を閉じる。

「うぉーい」
「……かりんちゃん細いからあんまり柔らかくない」
「じゃーどいてよ」
「やだよー」

ぐしぐしと髪を乱してやると、あかりが暴れる。
危ないかな、と佳林が思ったのもつかの間。
がつんと一度、頭をテーブルの下にぶつけてあかりはおとなしくなった。
43 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:41
「わ、わ、ごめん」
「……」

あかりは無言で立ち上がって、部屋の隅の洗面台に向かう。
いちいち行動の読めない子だ、と思いつつ見ていると、口をゆすいでいた。

「うえむー、ごめん」

頭をさすりながら戻ってきたあかりが首をかしげ、
にこりと笑って、言う。

「許さないですよー」
44 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:42
そのまま宙を見つめて、難しい顔をする。

「えーと、ハロウィンだから、トリックオアトリック?
 トリートオアトリート?」
「……トリックオアトリートのこと?」
「うん、まあどっちでもいいや」

一人で納得したように、あかりはうんうんと頷く。

「お菓子くれなきゃいたずらしますよー」
「さっきたくさん交換したじゃん」
「頭ぶつけたから覚えてなーい」

メンバー同士でさんざん交換したばかりだから、
鞄の中にお菓子はたくさんあった。
テーブルの上の荷物を引き寄せようと佳林が動くより先に、
隣の椅子にすとんと腰掛けたあかりが顔を近づけてくる。

「いたずら、していいよね?」
45 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:43
甘えてくるのも、抱きついてくるのもいつものことだった。
顔を近づけ合うのもよくするし、撮影で頬をくっつけることもよくある。

……しかし。

「う、わぁ!?」

佳林はあわてて身体を引いて、手の甲で口を押さえた。

「なになになになに!」
「……やっぱりかりんちゃん、動き、はやい」

とつとつとあかりは言って、椅子から落ちそうになっていた
佳林の腕を引っ張る。

「失敗したから、もう一回」
「ちょ、ちょちょちょっと待って待って」

腕を取られたまま硬直している佳林を引き寄せて、
あかりはにこりと笑う。
46 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:43
どうしようもない。
そう思ったときに、ドアががちゃりと開いた。

「すっかり暗くなっちゃったねえ」

マネージャとの話も終わったのか、戻ってきた由加がのんびりと言って、
壁の時計を見上げる。
不自然に寄せられていた身体を離しつつ、佳林はあかりから目をそらした。

「かりんちゃん、顔真っ赤」

ぐい、と耳元に顔を寄せてきたあかりに、そう言われてさらに顔が熱くなる。
うつむくと、腕を離された。
なんでもないように立ち上がったあかりが伸びをして、窓際に歩いていく。
47 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:44
その背中をぼんやりと見ていると、テーブルに置いていたスマートフォンが震えた。
がたがたと音を立ててうるさいそれを、あわてて取る。

「迎え、来たみたい」

立ち上がると、がたんと椅子が鳴った。
落ち着かない様子の佳林を不思議そうに見て、由加も荷物を取りに部屋の隅に向かう。
入れ替わりに、帰り支度を終えたあかりが佳林に歩み寄った。

上着を着て、鞄を肩にかけたあかりが佳林に近づき、指を一本立てる。
由加に背を向けてあかりが立てば、その身長に佳林は隠れる。
つまり、由加からはなにも見えないはずだ。

身構えた佳林の唇に、あかりは立てた人差し指を触れさせる。

「いたずら、また今度ね?」

にやり、とあかりにしてはめずらしい笑い方をして、
佳林が返事をする前に指は離された。

「由加、先に行ってるよー?」
「待ってよー」

部屋の奥にいる由加に声をかけて、あかりはまた佳林に向き直る。

「また明日ね」

そのままドアに向かったあかりを、振り返ることができなかった。
頬が熱くてどうしたらいいかわからなくて、もっと熱い唇を手の甲で押さえる。

いたずらって、なに。
明日それを聞くことができるのか、佳林にはわからなかった。



48 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:45

49 :いたずら、もしくはいたずら :2013/11/01(金) 01:45

50 :名無飼育さん :2013/11/01(金) 01:50
>>40-47 いたずら、もしくはいたずら
じゅーすじゅーすかわいいのでごぞんじないかたもぜひいろいろみてください。
いちどべたべたなはろうぃんものかきたかったのでたのしかったです。

>>37 >>38 >>39
レスありがとうございます。
とても嬉しいです。私にはもったいないお言葉ばかりありがとう。
51 :名無飼育さん :2013/11/21(木) 02:28
ニヤニヤさせてもらいました
翻弄される佳林ちゃんさん可愛い
52 :リボン :2014/03/14(金) 21:54
 
53 :リボン :2014/03/14(金) 21:55
卒業式だというのに、あいにくの雨。
水たまりに足を入れないよう、佳林はゆっくりと歩いている。

隣では、あかりも歩調をあわせている。
くるくると回した傘は、天から降る雨水をはじいている。

中身の少ない鞄と卒業証書を入れた筒と傘。
最後の帰り道、家に到るまでの道筋。ここから先は、他のクラスメイトと一緒に
なることもなく、二人きりだった。

「卒業しちゃったねー」

あかりが、気の抜けた声で言う。佳林は隣で静かに頷く。
雨はしとしとと、勢いは弱いながらも続いている。

「早かったね」
「……うえむーは、一年ちょっとしかいなかったから」
「そうかもだけど」

少しだけ、佳林は傘を上げる。
そうしないと、あかりは傘に隠れてしまって見ることができない。
54 :リボン :2014/03/14(金) 21:57
二年生の中途半端な時期にやってきた、関西からの転校生。
かわいい、と評判になるのも仕方なかった。隣のクラスから違う学年から
よりどりみどり見物人がくるほどには、あかりは見目麗しい。

うらはらに、どこか抜けているのだけれど。

「うえむー、最初は道、ぜんぜん憶えてなかったよね」
「今はもう憶えたよ」
「うん、知ってる」

たまたま近所だったから、慣れてないんだから面倒を見てあげなさいね、と
親に言われていただけだった。

転校で見知らぬ地にきたとはいえ、中学生なのにおおげさな、と佳林も初めは
思っていた。それが、はじめましての挨拶からその後、佳林はあかりのことを
気にしてばかりいる。
55 :リボン :2014/03/14(金) 21:57
一人でも道に迷わなくなっても、佳林はあかりと一緒に帰るために、待った。
委員会や行事の準備が長引いたとき、先に帰ってもいいよ、と気遣う言葉をかけられても、
佳林は首を横に振った。

けれど、あかりも同じように佳林が帰れるようになるまで待っていたのだから、
似たものどうしだ。どちらとしても、いつものことで、慣れきっていた。

「一緒に帰るのも最後だね」

とくに感慨深さも感じさせずに、あかりは言う。

「……そうだね」

佳林が返した声は湿っていて、それに気づいたあかりが笑った。
心細さを感じているのがばかみたいだと、佳林は思う。

この帰り道を一緒に歩くのは、今日で最後。
佳林は知っているし、あかりもわかっている。
56 :リボン :2014/03/14(金) 21:58
 
57 :リボン :2014/03/14(金) 21:58
紅葉が道の端にはらはらと落ちる夕暮れどき。
帰らなきゃいけないんだ、と聞かされ、「どこに?」なんて間の抜けたことを
訊いた日のことを、佳林は憶えている。

受験の話をしていて、さらりと言われたことを憶えている。
もともと関西に戻ることが前提の転校だったこと、卒業まではこちらにいられること。
そうなんだ、と返した声は、たぶん、湿っていた。
58 :リボン :2014/03/14(金) 21:58
 
59 :リボン :2014/03/14(金) 21:59
わざとゆっくりと、佳林は歩く。隣で、あかりも歩調をあわせる。
あかりの手でくるくると回されていた傘がぴたりととまり、足もとまった。

「かりんちゃん」

あわせて歩みをとめた佳林に、あかりが呼びかける。
声だけでなく佳林は目許も湿っていて、それに気づかれたくはなかった。

「泣き虫」

からかうように、あかりが言う。
それには返さずに、今度は佳林がくるりと傘を回す。
60 :リボン :2014/03/14(金) 22:01
「……うえむーのせいだからね」
「あかりのせい?」
「そうだよ」

傘をかたむけて、あかりは佳林を覗き込む。
長い髪が揺れ、制服の肩が雨で濡れていく。

「悲しい?」
「……悲しいよ」
「あかりが引っ越しちゃうから?」
「そうだよ」

だから、あかりが悪い、と佳林は思う。
いつもと同じように話して笑って、ちっとも寂しさを感じていなさそうで。
61 :リボン :2014/03/14(金) 22:01
「一生の別れってわけじゃないし」
「……そうだけど。でも、もう一緒に帰れないじゃん」
「うーん、それはまあ、そうだね」

二人で足をとめたまま、傘は穏やかに降り続ける雨を受け止めている。
顔を隠すように傘をかたむけて、佳林はうつむく。

あかりは佳林を待っているのか、歩き出さない。
下を向いたら、濡れたアスファルトだけが目に入る。

「かりんちゃん」

呼ばれて、顔をあげると、あかりが制服のリボンをするりと外し、
それを指に絡めたままで、佳林に手を伸ばす。

あかりの長い指が、佳林のブラウスからもリボンを抜き取った。
それを顔の前にかかげて、あかりは言う。
62 :リボン :2014/03/14(金) 22:02
「交換しよ」

あかりがつけていたリボンを片手に握らされる。
赤いリボンは雨に濡れて色が濃くなり、湿り気をおびていた。

「第二ボタンじゃ、ちいさいから」

ブラウスの襟を引っ張りながら、あかりが言う。

しとしと降り続ける雨音が耳に優しい。
息をふくんだようなあかりの声も、優しかった。
63 :リボン :2014/03/14(金) 22:03
「帰ろう」

二人とも赤いリボンを指に絡ませたままで、濡れるのも気にせずに手を繋ぐ。
ずっとこの時間が続けばいいのにと、佳林は思わずにはいられなかった。

この帰り道を一緒に歩くのは、今日で最後。
佳林は知っているし、あかりもわかっている。

佳林を寂しがらせないためにあかりが笑っていることも、
交換されたリボンの意味も、わかっている。

それでも、もう、一緒に帰るために待つことはない。







64 :リボン :2014/03/14(金) 22:04
 
65 :リボン :2014/03/14(金) 22:04
 
66 :名無飼育さん :2014/03/14(金) 22:05
>>53-63 リボン
ご卒業おめでとうございます。

>>51
レスありがとうございます。
植村さんには自由に振る舞ってもらって、周りをどんどん翻弄してもらいたいですね。
ニヤニヤしていただけて嬉しいです。私にとって、素敵な褒め言葉です。
67 :名無飼育さん :2014/04/20(日) 20:38
切ない・・・佳林ちゃん
そして、大人うえむー好きです
68 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:51
 
69 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:52
「ほら、とも、真っ直ぐ歩いて」
「んん〜?」

酔っぱらいに肩を貸して歩くのは大変なことだと、由加はこのとき初めて知った。
吐く息が白い。マンションのエレベーターに乗り込んで階数ボタンを押すとほっと一息
つけたけれど、眠たげにしている朋子の処遇を考えると頭を抱えたくなってしまう。

同じ大学の先輩後輩としての付き合いが始まってから、どれくらいが経つのだろう。
友達の友達、という他人同士からのスタートだった。朋子はインドアを自称するわりには
交友関係が広く、自分も数多い知人のうちの一人なのだろうと由加も始めは思っていた。

学内ですれ違えばちょっかいを出され、時々は遊びに誘われ。決して気が合うタイプ
だとは思わないのだけれど、なぜか気に入られたようだということがわかるようになり、
二人はそれなりに親密さを増した。それこそ今では飲み会後の朋子を部屋に迎え
入れることができるくらいには親しく、ただの知り合い、という表現は似合わなく
なっている。

部屋の前にたどり着いて由加は鞄から鍵を取り出す。開錠している間にも朋子は
しなだれかかってきて邪魔なことこのうえない。左肩にかかる重みを感じながら
ドアを開け、玄関に朋子を押し込んだ。
70 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:52
「……ゆかちゃーん」
「どうしたの?」
「おみず、ください」
「はいはい」

ひとまずソファに座らせて、帰宅途中のコンビニで買ったミネラルウォーターを
袋から出して、渡す。受け取ってキャップをひねろうとする手つきすら覚束ない
ものだから、由加は溜息をつきたくなってしまった。

「開けてあげるから。貸して」
「自分でできるよぅ」
「できてないでしょー?」

拗ねたような声を出す朋子を無視してボトルを奪い、蓋を外してやる。もう一度
手渡すと冷えたままの水が朋子の喉を通り、ふは、と彼女は一息つく。

「ねえ、泊まっていい?」
「……だめって言ったら帰るの?」
「もう帰れなーい」

へらへらと朋子は笑っているけれど、終電を逃しておいてどうしてこうも気楽に
いられるのだろう。ノリと勢いで生きている、と以前に朋子は嘯いていたけれど、
今となっては納得だ。
71 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:53
「とも、お風呂入って」
「んー? もうねよーよ」
「だめ。汚い」
「ひどいなあ」

潔癖、と朋子はつぶやく。「ここ由加の家だからね?」従わないのならばどうなるかと
暗に込めて言うと、朋子は仕方なさそうにうなずいた。

「一緒にはいろ」
「嫌です」

提案を却下すると、ええ、と朋子はまた拗ねたような声を出す。ペットボトルが朋子の
手からこぼれ落ちそうになっているのを慌てて支えると、そのまま手首を握られた。

「溺れるかも」
「ドアのとこで見張っててあげる」
「やだー、ゆかちゃんのえっちー」
「ふざけないで」

自分はほとんど飲んでいないものだから応対が冷たくなってしまうのも許してほしいと
由加は思う。朋子が拗ねたような顔をするのは何度目だろう。「わかったよ」彼女は
言って、こてんと由加の肩に頭をあずけてきた。
72 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:54
「……わかってないでしょ?」
「んー。ちょっと休憩するだけ」
「寝るなー」

つかまれた手首が熱いのは、酔いのせいだろうか。朋子が目を閉じたのが気配だけで
わかる。ゆさゆさと身体を揺らしてもしなだれかかってきている姿勢はそのままで、
由加はあからさまに溜息をついてみせた。

「とも、しっかりして」
「……あー、やばい」
「え、なに、吐きそう?」

とっさに背中をさすってやると、違う、と朋子がつぶやく。つかまれていた手首が
離されて、今度は背中に腕を回された。

「……あのね、ゆかちゃん」
「うん?」
「……酔っ払った勢いでキスしていい?」

なぜか気に入られている、というのはあまり正確ではなくて。もぞりと身体を
揺らして朋子は由加の首に顔をうめる。首筋にかかる息が熱くて思わず身じろぎ
すると、それを押さえ込むようにさらに力を込められた。
73 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:54
「……なんで家にあげちゃうかな。わかってるでしょ?」
「だって、終電、ないし」

気に入られているのは、好意があるからで。そのベクトルは恋に向いているのは
由加にもわかっていた。しばらく抱きすくめられたままでいると朋子が深く息を吐き、
身体が離される。

「……あんまり期待させないでよ」

少し俯いて言うその姿はまた拗ねているようで、微笑ましくさえ思える。酔った勢いが
ないと素直になれないのはそういう性格なのか。由加が思わず吹き出すと、恨めしげに
朋子が目だけを上げる。寒風のせいで乱れた茶髪を手で撫でつけてやると、
気持ちよさそうに目が細められた。

「とりあえず今日はなにもしちゃだめ。ほら、お風呂」
「……じゃあ、明日は?」

縋るように言う姿は可笑しいほどに子供じみている。酔っぱらいの首筋に触れると
ひどく熱くて、やけどしそうなほどだった。
74 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:55
「それは明日考えよう?」

だから早く、と追い立てるように肩を叩けば朋子ははっきりと溜息をつき、
唸るように言った。

「……ぜったいだからね?」

向けられる視線は熱を帯びていて、受けとめるだけで精一杯だった。朋子は
由加の手を借りながら立ち上がり、ふらふらとバスルームに向かう。

繋がれた手があたたかく、強く握るとおそるおそる握り返される。
肝心なところで勢いが足りない朋子に呆れながら、由加はその身体を支えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
75 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:55
 
76 :コドモじゃない :2015/12/05(土) 23:55
 
77 :名無飼育さん :2015/12/05(土) 23:58
>>69-74 コドモじゃない
ゆかともが好きです。

>>67
レスありがとうございます。
うえむーって意外と、といったらわるいですけど、大人ですよね。
そしてありかりんもラブなのですよ。
78 :名無飼育さん :2016/02/27(土) 23:37
ともちゃんキャワワ

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