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おこのみで

1 :名無飼育さん :2009/06/30(火) 00:04

みきえりスレですよ?
_  _______
  \|

     ノハハヽ フフン♪
    川*VvV)
     /つノハ0
    (0ノ*^ー^)0 
     ヽ   /
     し―J

2 :名無飼育さん :2009/06/30(火) 00:09
都合上年齢設定等は2、3年前ぐらい前と考えて頂けると有難いです。
3 :  :2009/06/30(火) 00:10

「亀ちゃん」
耳元で名前を呼ぶと、肩がびくっと震えた。
「もー、やめてくださいよぉ」
けらけらと笑いながら亀ちゃんは、美貴の肩に手を掛ける。
あ、まずい。

「待っ、」
て、と言い切る前に美貴の身体はベッドに押し付けられた。
ああ、またこのままじゃ亀ちゃんの好きにされてしまう。
今日は美貴が色々してやりたかったのに、と思って、
上から美貴の両肩へ下ろされた腕に手を掛ける。
少しの力で押してみても、びくともしない。
見上げれば亀ちゃんの可愛らしい唇が美貴を笑っている。
くっそー、これから体勢入れ替えようとしても、それだけで疲れるし。

美貴は諦めて腕に掛けた手をそのまま首の方へ上らせた。
「その口角がさー」
「ふぇ?」
「誘ってんだよねぇ…」
唇の端から端を、舐めるように舌を這わせる。
4 :  :2009/06/30(火) 00:11

キスの時必ず、律儀に目を瞑る亀ちゃんは可愛い。
舌で攻撃するたび微かに瞼が揺れて、震える睫毛に触れたくなる。
けど、キスをやめるのが勿体ないから我慢する。ほんの少しの葛藤。
それなのに亀ちゃんの唇は逃げていく。
長いキスは苦手だってよく言われる。
美貴は逆だ。
こらえ切れずに漏れる息が、やらしくていいんじゃん。
はぁ、と苦しそうに息を吐く亀ちゃんに、再び喰らいつく。
「や、藤本さ…」
逃げそうになる頭をしっかりと掴んで逃げ場を無くすと、
諦めたように亀ちゃんの舌が動き出した。
丁寧に美貴の舌をなぞり、いやらしく滑る。

あー、やばい。
こうやっていつも呑まれるんだ。

だって亀ちゃんの愛し方はいつも、
凄く丁寧で、恥ずかしくなるくらいに冷静で、時々燃えるように熱い。
そうやって美貴を翻弄する。

美貴は何もかも忘れてセックスしたいのに。
すべてがどうでもよくなるのに。
亀ちゃんはそれこそ食事でもするように、冷静に美貴の身体を愛撫する。
その温度差が、まるで羞恥プレイ。
もっと、もっと。
もっと触れて、感じさせて

そうやって冷たい目をして、身体でなじって欲しいんだ

5 :  :2009/06/30(火) 00:15
 
6 :  :2009/06/30(火) 00:16
川*VvV)
7 :  :2009/06/30(火) 00:17
 
8 :名無飼育さん :2009/06/30(火) 00:43
みきえりキター!
亀井ちゃんのエロスは奇跡ですね
作者さんが誰なのか分かってしまった気がしますw
9 :  :2009/07/01(水) 03:06


    ☆ノハヽ
    ノノ*^ー^)
  _(_ っ/ ̄ ̄ ̄/_
 /\ \/___/  \
ノ*゜。\_______\
~\*。/* 。* 。** 。゜。ヽ
  ヾノ* ノ从VvV)* 。ヽ,
    ~⌒~~~0    0~~⌒~

10 :  :2009/07/01(水) 03:07

「ねー亀ちゃん」
「何ですかぁ?」
「そういうのって、どうなの」
「どうって?」
「そのさー、人呼んどいてずっと雑誌読んでんのとかどうなの」
「そ〜ですね〜」
「やる気ねえな」
「春ですからねえ〜」
「お前は年中やる気無いけどな!」
「そんなことないです〜ウヘヘヘヘ」
「どーでもいいけど、美貴の寝る場所が無いんだけど」
「だってこれ絵里のベッドですよ?」
「あ、そーゆーこと言うんだ。わかった美貴帰る」
「あ〜待って待って。しょーがないなあ美貴サマは。
 ハイじゃーポンポン、ここどうぞ?」
「なんだよポンポンって。てか狭い」
「文句言うなら美貴サマの寝るとこ無いですよ〜だ」
「…お邪魔します。ってヤダやっぱ狭いよー亀ちゃん」
「違うの、こうするの。こう、ぎゅ〜って」
「すると何なの」
「気持ちーの、ウヘヘヘ」
「……」
「気持ちーでしょ?」
「…別に」
「うそだ〜」
「…うん、うそ」
11 :  :2009/07/01(水) 03:09

「美貴サマ美貴サマー」
「何?オシオキキボンヌ?」
「ちーがいます、見てぇこれー」
「なにそれ。美貴にそういうの見せないで。
 何かそーゆー情報誌的なモノ。アウトドア的なモノ」
「絵里コレ行きたいんです、見て見て♪」
「ちっ、聞けよ。…なにコレ、超期間限定・行列人気○○店のスイーツビュッフェ…、
 期間限定に超を付けるイミがわからない。」
「日曜日行きましょうよー」
「どーでもいいけど何で美貴?重さんと行きなよ、こーゆーのは」
「絵里は美貴サマと行きたいんですぅ」
「…美貴はやだよ、スイーツとか…、てか外出んのめんどいし」
「えー、でも普通にご飯とかもあるしぃ、行きましょ行きましょ♪」
「やだ。めんどい」
「……」
「行かないよ?」
「……」
「…か、亀ちゃんあのね」
「………」
「…、肉料理が不味かったら文句言うからな!」
「わぁーい!美貴サマ大好きぃ♥」
「ひっつくな暑い」
「照れちゃってぇ♥」
「うっさい!」
12 :  :2009/07/01(水) 03:11

「亀ちゃん何見てんの」
「美貴サマの高校時代の写真です♥」
「何でそんなん持ってんだよー」
「石川先輩に借りたの♪髪短い頃ですよぉ?懐かし〜」
「…ちっ、あいつマジで余計な事しかしねーな」
「絵里にとっては嬉しい事だもん」
「美貴は別に嬉しくないから。あとでひとりで見てよ、恥ずかしい」
「あ、見てホラこれとか超可愛いですよぉ♥」
「だーかーらやめろっつーの」
「じゃぁ美貴サマはこれでも見ててください、ハイ」
「…何これ」
「絵里の中学時代の写真です。可愛いですよ?」
「…しょーがねーから見てやんよ」
「あ〜ねぇ見てこの美貴サマ超可愛い!」
「この亀ちゃんも可愛いじゃん」
「でしょぉ?うへへへ」
「あーこれも」
「えー何かもう絵里恥ずかしいですぅ」
「ふーん、可愛かったんだね亀ちゃん」
「今も可愛いでしょ?」
「うん…、て何言ってんだ美貴」
「ウヘヘヘヘェ」
「笑うなつーの。キモいから」
「美貴サマも可愛いですよぉ♥」
「あーそう?ありがと」
「ウヘヘヘェ」
「…ハイハイ、可愛いよ。亀ちゃんは」
13 :  :2009/07/01(水) 03:13

「美貴サマ美貴サマ〜」
「なんだよ。マワりながら来んなキモイ」
「勉強教えてください」
「ヤダ。無理。めんどい」
「テストなんですぅ〜。赤点とりたくないんですぅ。」
「やだよー。てか亀ちゃんがアホ過ぎて教えんのが難しいよ」
「お願いします、絵里困ってるんです、ほんっとに困ってるんです。」
「しょーがないな。教えたら何してくれんの」
「…えっとぉー」
「焼肉ね。オッケやろう」
「ちょ、ちょっと待って下さい、焼肉じゃなくてぇ、えっとぉ、ほら、」
「なんっだよ、それ以外は認めないから」
「あ、じゃぁ、お泊り一回!」
「ハァ?」
「美貴サマがぁ、淋しくなった夜は、いつでも絵里が駆けつけますよ?」
「…別にいいし」
「じゃぁお泊り一回で!」
「勝手に決めんな。てか一回かよ」
「じゃぁ二回で!」
「……三回ね。オッケやろう」
「はぁーい♥」
14 :  :2009/07/01(水) 03:14

「美貴サマはぁ、絵里のどこが好きですか?」
「ぶっ、ちょ、…なに、いきなり」
「ね〜どこですかぁ?」
「…なんっで答えなきゃいけねーんだよ」
「あのね、さゆとれいなは絵里の頼りになるとこが好きって言ってたの」
「…あー、そーゆーこと」
「だから美貴サマは絵里のどこが好きかなあって」
「さー。どこだろ。わかんない」
「絵里はですねぇ…」
「ちょ、いいし別に。言わなくて。恥ずいし。」
「絵里もわかんないです」
「…なんだよ…」
「でも、わかんないってことは、全部好きってことだと思います♥」
「……」
「だからぁ、絵里は美貴サマの全部が好きです♥」
「…恥ずいし」
「うへへへへ」
「ちょ、キモ。ひっつくなってもー」
「美貴サマはぁ?何か無いんですかぁ?」
「さー。」
「えぇ〜」
「わかんないね。…わかんないから、全部好きかもね」
15 :  :2009/07/01(水) 03:15


    ☆ノハヽ
    ノノ*^ー^)
  _(_ っ/ ̄ ̄ ̄/_
 /\ \/___/  \
ノ*゜。\_______\
~\*。/* 。* 。** 。゜。ヽ
  ヾノ* ノ从VvV)* 。ヽ,
    ~⌒~~~0    0~~⌒~

16 :  :2009/07/01(水) 03:16
 
17 :  :2009/07/01(水) 03:17
ノノ*^ー^)
18 :  :2009/07/01(水) 03:17
 
19 :  :2009/07/01(水) 03:19


その、


その睨むような鋭い瞳が、潤むのを見てやりたい。

意思の強い眉が歪むのを見てやりたい。

生意気なことばかり言う口を塞いでやりたい。



時々そんな事を思いながら藤本さんを見ます。
そういうのは決まって彼女の機嫌が悪い時、
気付かないで不機嫌そうな顔を続ける藤本さんが、可愛くてしょうがなくなったりします。

目が合うと藤本さんが「なんだよ」と言うから、私はただ笑っておきます。
そうすると藤本さんは、不機嫌なまま私の肩に、こてん、て頭を預けて。
それがすっごく可愛いんです。
20 :  :2009/07/01(水) 03:21

暫くすると機嫌が直ってきて、猫がゴロゴロ鳴くみたいに甘えてくる。
そうなったらその時だけは、美貴サマは絵里の美貴サマになるんです。
それで多分、絵里も美貴サマの絵里になるんです。

美貴サマー、って頭を撫でて呼びかけると、くすぐったそうに笑う藤本さん。
猫の真似して、頬を舐めてくる。
可愛いからよしよしってしてベッドに寝かせてあげる。
絵里が覆い被さるように乗っかると、藤本さんはちょっとだけ駄々捏ねて、
キスするとまた猫みたいに鳴いて。

その内鳴かなくなるまでキスしてキスされて、
溜め息しか漏れなくなるくらいに。

焦らして遊んでると泣きそうになってくるから。
そしたらやっと、全部あげるんです。
もう絵里の事しか考えられないくらいにしちゃうんです。
そうすれば、逃げられないでしょ?

何があっても、逃がしたりしないんだから。

21 :  :2009/07/01(水) 03:21
 
22 :  :2009/07/01(水) 03:24


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  ノハハヽ
  川VvV)
  / J J
  し―J ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/       ノハヽ☆
      Σ (ー^*ノ从 ウォッツ!!!



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  ノハハヽ
 川*VvV)
  /つノハ0
 (0ノ*^ー^)0 =3 カド!!!
  ヽ   /
  し―J ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\

23 :はと宗 :2009/07/01(水) 03:34
AAは某掲示板のみきえりスレからお借りしています。

>>8 名無飼育さん
レスありがとうございます!
そうです私ですwwwww
基本的にエロいスレにしようと思ってます
みきえりみきえり!
24 :名無し飼育さん :2009/07/01(水) 08:29
みきえり成分補給させてもらってます。
みきえり好きにはたまらないスレありがとうございます。
25 :名無飼育さん :2009/07/01(水) 17:23
ミキティのツンデレをこれ以上連続で書いた人はいなかったと思います
たまらんです
26 :  :2009/07/09(木) 06:44
 
27 :  :2009/07/09(木) 06:46

コンサートの後、ホテルの部屋に亀ちゃんを呼び出した。
重さんに少し文句を言われたけど、今日は貸してとお願いして。
特に何か言ってやりたい事があるとかそういうわけでもないんだけど、
何か何となく、からかってやりたくなったから。
インターホンが鳴ってドアを開けると、いつものアホみたいな笑顔が目に入る。
とりあえず適当に座ってもらって、さあてまずどうしてやろうかと美貴は考えた。
何も知らずにへらへら笑っている亀ちゃんに、
呼び出す口実に使ったCDを渡して美貴も並んでベッドに座った。
CDを見つめながら亀ちゃんが何か言って、美貴も適当に答える。
キスでもしてやろうかなんて考える。そう思ってだんだん顔を近付けると、
亀ちゃんは一度だけちらりと美貴の顔を見てまたCDに視線を戻した。
一瞬だけこっちに向けられたその視線に何だか酷く興奮する。
エロいんだ、亀ちゃんの目は。仕草とか声とか、
その気にさせるのが上手いどうしようもない女だと思う。
薄い唇の端に軽くキスをして、すぐに離すと亀ちゃんが笑った。
それも酷くいやらしい笑いで、誘われたから美貴はまたキスをした。
そういうのを何度か繰り返して最後に唇を離したとき、
亀ちゃんはありがとうございますと言った。
CDを掲げて笑ってみせて、それから、じゃあ、とだけ言って部屋を出ていく。
からかわれたのは美貴の方かもしれない。
28 :  :2009/07/09(木) 06:48
 
29 :  :2009/07/09(木) 06:49

       ノノハヽ
      (VvV从・・・・・
       (_つ-と)
       |ノ__|
       ∪ ∪
〃∩☆ノハヽ            
⊂⌒ノノ*^ー^)<美貴様御飯まだー?
 `ヽ_っ⌒/⌒c
30 :  :2009/07/09(木) 06:50
 
31 :  :2009/07/09(木) 06:51

とても暑いから海に行こうと藤本さんが言った。
珍しく絵里も外に出たいような気分だったのでいいよと答えた。
藤本さんの運転で、東の方へ約2時間。
日差しが強くて車に乗っているだけでバテた。
途中で水着を忘れたことに気付いて、二人で散々笑った。
水着を買いに適当なショッピングモールに入っても、
可愛いのが無い、と藤本さんが拗ねる。
じゃぁしょうがないねと店を出て、そんなのを2時間のうちに
3回ほど繰り返すともうどうでもよくなるから、
人気の無い浜辺に服のまま車を降りた。
ミュールを脱ぐと砂は熱くて、手を繋いで波打ち際へ走った。
刺すような日差しがじりじりと肌を焼く。
濡れた砂の上に立って、打ち寄せる波を待つ。
ざぁ、と音を立てて波がやってくる。
きもちー、と藤本さんが言った。
うん、と絵里が答える。
いくつかの波が二人の足を撫でては去っていく間に、
水平線を見詰めながら私達は歌った。
ときどき藤本さんが波を蹴って、
撥ねあがった飛沫がまた水へ戻っていく。
カラカラと何かの音がする。
ニャァニャァとウミネコが鳴く。
藤本さんが急にしたいと言うから、
車の中でめちゃくちゃにセックスした。
32 :  :2009/07/09(木) 06:52
 
33 :  :2009/07/09(木) 06:55
 
34 :はと宗 :2009/07/09(木) 07:04
レスありがとうございます!

>>24 名無し飼育さん
みきえり好きさんキター!
こんな感じの更新頻度ですが補給してってくださいな!

>>25 名無飼育さん
やっぱりツンデレでこその美貴様だと思います
若干デレ多めですが!


AA多用してますが携帯で見てる方居たらどうしようごめんなさい
35 :名無飼育さん :2009/07/11(土) 02:08
携帯ですがいまのところ大丈夫です。
ずれたら脳内で作り上げます。
亀はエロいですよね美貴さま!更新おつかれさまでした。
36 :  :2009/07/24(金) 06:55
 
37 :  :2009/07/24(金) 06:56


いたい、と亀ちゃんが呻いた。
慌ててごめんと謝ると、平気ぃ、とへらへら笑う。
涙目になりながら美貴の下でそう言って笑う亀ちゃんは超エロい。
そんなんだからますます興奮してきてつい指に力が入る。
う、と時々苦痛めいた声が上がる。
唇をなぞるように舐めるとそれに亀ちゃんの舌も絡まってくる。
頭がくらくらしてきてどっか飛んでしまいそう。
もうめちゃくちゃにしてやりたくてして欲しくて、
首筋に噛み付いて衝動を抑える。
亀ちゃんが小さな声でいく、と言った。

38 :  :2009/07/24(金) 06:57
 
39 :  :2009/07/24(金) 06:57
       ノノ*^ー^)
40 :  :2009/07/24(金) 06:57
 
41 :  :2009/07/24(金) 06:58



アイスは溶けてただまずいだけ
あたしの心もおいしくないわ

42 :  :2009/07/24(金) 06:59


ゆびのほーおまでー…
歌っていたら、本当にアイスは溶けてしまって
あたしの指をだらだらと流れてゆく。
あー、もったいない。
「絵里、たれてる」
さゆに指摘されて、あたしは立ち止まって笑った。
アイスを持ち替えて手を払ってもべたべたの水分は指を離れなくて、
あまい汁は指や爪の間を侵していく。
そうしているうちに持ち替えた方の手にも垂れてくるから、
もうテンションがた落ち。死にたい。
気分が良くないときはこんな小さなことでも妙に鬱になる。
「もう早く食べちゃいなよ」
そう言うさゆに力無く愛想笑いを返して、
あまい氷の塊にかじりついた。
あーあ。
こんな風に、みっともなくアイスを食べる羽目になったのも、
こんなに気分が悪いのも、
全部全部、藤本さんのせいだ。

43 :  :2009/07/24(金) 07:00

「ごめーん亀ちゃん、今日ダメんなった」
そう言って藤本さんは電話ごしに笑った。
何で?どうして?それって絵里より大事な用事なの?
なんてみっともないことは言いたくないから、
あたしは緩く笑ってそうなんですか、と返す。
「ごめんね今度ね。明日とかは?」
「明日ですかぁ?」
考える振りをするけど、明日は何も用なんて無くて、でも気分じゃない。
だってデートは今日の予定だった筈だから。
あたしがうーん、と小さく唸っていると、
「あ、じゃあとで電話する。じゃあね」
プ、と短い切断音で会話は途切れた。
ひどーい。
絵里のこと何だと思ってるワケ?
なんて心の中だけでぼやく。
教室の騒がしい雑音が苛々くる。
つまんないつまんないつまんない。
きっと不機嫌が顔に出てしまって、
前の席に座るさゆが心配そうにあたしを見ている。
「絵里どうしたの?」
「…藤本さん今日ダメだってぇ」
不機嫌でも笑うことは出来る。
さゆに心配を掛けるのは、かわいそうだし面倒だ。
あたしの笑顔にさゆは少し安心したように、残念だねーと慰めてくれる。
どっか行こうよと誘ってくれたけど気分は上がらず、
明日は無理ですと藤本さんにメールした。
44 :  :2009/07/24(金) 07:01


食べ終わったアイスの棒には、
茶色く小さな「あたり」の文字。
あ、すごい。これちょっとすごい。
「見てぇさゆ」
当たり棒を掲げて見せるとさゆが笑った。
「えーすごい、いいなー絵里」
「持ってく?持ってっちゃう?」
こんなの一人のときは恥ずかしくって持って行けないけど、
さゆはこういうの好きだから。きゃぁきゃぁ騒いで、
すぐそこのコンビニで取り換えてもらうことにした。
何かちょっとだけ気分良くなったかも。こういうの大事だよね。
そういえば手はべたべただけど。
トイレ借りて洗おう。
おーいいじゃんいい感じじゃん。
きっとスッキリさっぱりする。
45 :  :2009/07/24(金) 07:02
なんてちょっとわくわくしながらコンビニに着いて、
ドアを開ければ涼しい空気。
纏わりついていた厭な湿気はぬるりとうしろへ流れていく。
あたしはすぐにお手洗いを借りて手を洗った。
嫌なべたべたはすぐに落ちた。
気になってた前髪もやっと直せた。
んー、満足。とまではいかないけど、
少しスッキリした。

けど。
何となく携帯を取り上げて後悔する。
あー、藤本さんから返ってこないんだった。
何の着信も知らせない待受画面を睨んで、ひとつ溜息。
こんなことで、苛々したくない。するべきじゃない、わかってるのに。
もう一つ深く溜息を吐いて、それからトイレを出た。
お菓子の陳列棚の辺りにさゆの顔が半分見えて、
声を掛けようとしたけど誰かと話してるみたいだ。
さゆの隣に、さゆより少し背の低い、茶髪の頭が少しだけ見える。
あ、何か藤本さんに似てる。
あの色、あの髪のかんじ。
46 :  :2009/07/24(金) 07:03

「あー亀ちゃん」
その彼女はあたしを見て普通に笑った。ふっつーに。
今日はドタキャンしてごめんとか、メール返さなくてごめんとか、
何かそういうの、何かちょっと欲しかった。
「…どうしたんですかぁ」
「今から帰るとこー」
コンビニの袋を掲げて見せて、また笑う。あたしも合わせて何とか笑顔で返す。
さゆがいるから。さゆがいて良かった。
「今日ごめんねマジで」
そう言ってまた笑うんだから酷い。
いいですよと笑顔で返すか、そうですよと可愛く拗ねるか、
そんな事しかできなくなる。
あたしは後者を選んで、精一杯かわいく。彼女の肩を叩いて笑った。
「じゃーね電話する」
行き場が無く肩に置かれたあたしの手をするりとかわして、
藤本さんはその場を離れた。
さゆは「ずいぶん急いでたね」なんてあたしに言ってるのか呟きながら、
入口の方を見て手を振っている。
あたしは見たくなくて、その辺の棚をぼんやりと見詰めた。
さゆの好きそうなお菓子。きっと今日はこれ買ってさゆんちに行く。
「藤本さん、絵里が出てくるの待ってたの」
とさゆが言った。

知らない、そんなの。

47 :  :2009/07/24(金) 07:04
 
48 :  :2009/07/24(金) 07:04



喉が乾いてただ痛いだけ
照りつける陽射しかわいくないわ

49 :  :2009/07/24(金) 07:04


かわいくないあたし、本当にかわいくない陽射し。
あーまたヘンに焼けちゃう。
早く着けー歩けあたし。
優しい恋人は迎えにきてくれると言ったけど、
なぜか何となく断ってしまってあたしは、真夏の太陽の下を延々歩く羽目になった。
藤本さんの家まではあと約3分。その角を曲がればあとは一本道。
だらだらと止まらない汗で前髪が額に張りつく。
こんな時こそアイスが食べたい、癒されたーい。
だってとても、気が重い。
あたしの機嫌はなかなか直らなくて、
でもまだ怒ってるなんておかしいじゃんみっともないじゃん、
そんなの見せたくないのに。
会いたくて困る。
50 :  :2009/07/24(金) 07:05

「暑くね」
一本道の向こうの方で、聞こえるか聞こえないかの声で藤本さんが言った。
メールもしてないのにどうして絵里が来るってわかったんだろう。
片手を額の前で翳して、眉を顰めながらあたしを見る藤本さん。
すたすたとあたしの方へ歩いてくる。
そこで待ってればいいのに、ていうか家で待ってればいいのに。
あたしはわざと歩を速めず、蜃気楼みたいにゆらゆら歩いた。
それでも藤本さんはすぐにあたしの傍へやってきて、
汗でべたべたの腕を取って強く引いた。
「やっぱ美貴行けばよかったじゃん」
「…はい」
あたしの答えに藤本さんは小さく笑って、
速く歩けと促すように腕を引く。
何かもうどうでもいいから押し倒してほしいとか思った。

51 :  :2009/07/24(金) 07:05

あの日どうしてダメになったか、尋ねると藤本さんは
亜弥ちゃんと会ってた、と笑った。
「何か会いたいって言われたから」
なにそれ。それって完全に、[絵里<松浦さん]てことじゃん。
あーそうですか、と絵里が返すと、藤本さんは不機嫌そうに眉を上げる。
「美貴は恋人より親友を取るよ」
…どっちかっていうと絵里は逆。
だって、親友には信頼があるじゃない。信頼してるから親友なわけで。
恋人っていうのはそれを培っていくものだと思います、
なんて、言ってやりたいけど無駄な気がするのでやめた。
あたしだってさゆは大事だ。
友達想いの藤本さんが好きだ。
でも少し悔しくて、向かいのソファーに座る藤本さんにクッションを投げつけた。
「まだ怒ってんのー?」
「別にぃ」
ふん、とあたしが拗ねたふりをすると藤本さんは、
なんか知らないけどやたらと可愛い笑顔で笑って、それから
「何してほしい?」
挑発的な視線であたしを見る。
52 :  :2009/07/24(金) 07:07

「…こっち来て」
ソファーを軽く叩いて促すと、
真正面からゆっくりと近付いてくる藤本さん。
隣でなくあたしの膝の上に乗って、
息がかかるかかからないかくらいの距離であたしの目を見据える。
やだ、ちょっと。超汗かいたもんだって。
恥ずかしくて引き気味のあたしを、
からかうように鼻先を近付けてくる藤本さん。
冷房が効いていても夏は夏、
太腿とか脇腹とか、触れ合ってる部分がじわじわと熱くなってく。
「暑い?」
ちょっと、と答えきる前に唇は塞がれた。
うちがわを舐め回されて、舌先を奪われる。
「…っ、はぁ、」
「アイスあるけど食べる?」
「…いらなぁい」
上に乗られてるからあまり抵抗できないのを良いことに、
藤本さんはあたしの体を好き放題、
くすぐるように撫でまわしたり、
いやらしく指でなぞったり。
耐えられず身をよじると、首筋にぬるりとした感触。
「や…めて、やだ、汗」
「なんで。いいじゃん」
よくない。全然よくないもん。
シャワー貸して、なんて言う暇もなくそのまま押し倒されて、
視界には天井と藤本さんだけ。

「…絵里今日、おいしくないかも」
「食べてみなきゃわかんない」
部屋の空気は涼しいのに、体があつくてくらくらする。
絵里、食べられちゃうんだ。
ちょっと怖い、なーんて。
それから体中にキスされて、あたしは身も心も溶かされてしまった。

53 :  :2009/07/24(金) 07:08
 
54 :  :2009/07/24(金) 07:10

    |┃≡
    |┃≡
 ガラッ.|┃ハヽヽ
.______|┃VvV)<みきえりスレに来てやったぞ
    | と   l,)
______.|┃ノーJ_



     ≡ ┃|     |┃
     ≡ ┃|     |┃ ピシャッ!
 ☆ノハヽ  ガラッ.   |┃  ☆
 リd*^ー^)≡ |_________|┃/
 /J ⊂彡 ┃|     と ― ☆
 し―J ≡┃|_________|┃\
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ☆
55 :はと宗 :2009/07/24(金) 07:19
ノノ*^ー^)<レスありがとうございまーす♪

>>35 名無飼育さん
ご報告ありがとうございます!
もしずれたら脳内補完でお願いしますすみません
ここの美貴様は亀のエロいとこが大好きですよ、ええ
56 :名無飼育さん :2009/07/26(日) 09:30
結局ノロケか。イチャつきか。ベタつきか。もっとやれ。
てか亀がこれ歌ってたら萌える。
失礼しました。
57 : :2009/08/06(木) 00:22
 
58 : :2009/08/06(木) 00:24


コギト・エルゴ・スム、
我思う、ゆえに我あり。

くだらない風刺に惑わされて、自分を見失いたくない。
そんなことを一応信念に生きているけど、
どうしたって誘惑は多いし生きるのは困難だ。
流されてしまいたくなる。
人の目を気にして、自分を偽りたくなる。

あたしの考えなんてお構いなしに、藤本さんは目の前ですやすやと寝ている。
例えば、どうしたらこの人は絵里のものになるんだろう。
考えても考えても答えは出てこない。
あたし達は好きでこうして一緒に時間を過ごして、
ときどき愛を囁いたり、体を重ねたりするわけだ。
そこに意味はあるんだろうか。
欲しくてたまらないものを一時だけ手に入れて、あたし達は満足している。
そこに意味はあるんだろうか。

なんて、そんなことを考えだしたら
宇宙の存在についてまで頭を捻らなければいけなくなるのでやめた。
つまり何だろう、
あたしは、この人と一緒に居たい。
飽きるまで一緒に居たい。
飽きたあとはどうしたらいいのか分かんない。
そうやって自分勝手に藤本さんを振りまわしたい。
あたしのことしか考えられなくなるように、
藤本さんの存在理由が、あたしであるように。
そんな風にこの人を支配できたら、きっと心地いいに違いない。
なんて思いながら彼女の横に寝転んだ。
死ぬ時は、世界が終わるときがいい。
全てが無くなって、あたしの死を悲しむ人間すら。
少し泣いて隣の彼女に寄り添い目を閉じた。

59 : :2009/08/06(木) 00:24
 
60 : :2009/08/06(木) 00:25

  ノノハヽ ノノハ,_ヽ
  ノノ*^ー^)⊃vV)∵‥
   /  つ⊂   ヽ ドカッ
  ∪⌒∪  し'⌒∪
61 : :2009/08/06(木) 00:26


何だっけそれ、と美貴が言うと
この間言いました、と亀ちゃんは少し拗ねる。
普段はだらしない口元がこういうときはきゅっと閉じる。
「ごめん、忘れた」
笑顔で返すと亀ちゃんも笑う。
今日は許してくれる日みたいだ。
許してくれない日は、暫く拗ねて大変なんだ。
こっちおいでと手元でベッドをポンポン叩くと、
にぃっと笑ってゆらゆらやってくる。
アホみたいで思わず笑う。
亀ちゃんも笑う。
笑顔が好き。
感じてる時の顔はもっと好き。
傍にきた彼女の腕を引いてベッドに倒す。
「やーだ、襲われるう」
そう言ってケタケタ笑う。
自分で言って自分でウケてる亀ちゃん。
ちょっとキモい、けど可愛い。
その頬に掛かった髪の毛を掬う。
ふわふわしてて好き。
指を開いて落とすと、ふわぁってまた頬に落ちる。
くすぐったいのか亀ちゃんが、眉を顰めて顔を揺らした。
「ふじもとさぁん」
「なにー」
首元の髪に顔を埋めて答える。
「藤本さんもけっこー…、焦らすの」
「うん、好き」
「ですよね?」
亀ちゃんにだけだけどね、と言おうとしてやめた。
髪の毛がくすぐったい。
微かに甘い香りがする。
やっぱり鼻つまってるからよくわかんないけど。
寝グセ直しの匂いだろうか、
なんて色気の無いことを考える。
焦れた亀ちゃんの指が、服の中に入ってきた。
ゆっくりと美貴の背中を撫でまわす。
油断してたら剥がされる、
と思いながらも身を委ねてしまう。
ほんとに、ものの見事に、上半身は速攻で裸にされた。
「藤本さん?」
「…なに」
「絵里、待ってるんだけどなぁ」
62 : :2009/08/06(木) 00:27
にこって口角上げて笑うから、可愛いとか思って堪らなくなる。
くすんだ色のシャツの端に手を掛けて捲り上げる。
下着一枚になると途端に恥ずかしそうに目を逸らす。
自分から脱がせろと言っといて何だろう。
頭が痺れてきた。
こんな風に翻弄されてばかりだ。
次にどんな反応するかとか、
どんな表情で美貴を見るのかとか、
気になってしょうがなくなる。
止まらなくなって、
誰も止めないから、
少しおかしくなる。
亀ちゃんが悦ぶからだ。
夢中になりすぎる美貴を見て、嬉しそうに笑ったりするからだ。
むかつく、ちょっとだけ。
鎖骨から下腹部へ、撫ぜるように指を落とした。
時々彼女の口からはあ、と深い溜息が洩れる。
肌で感じたくて口元に耳を寄せる。
今度は下腹部から鎖骨へ。
はあ。
声にならない吐息の音と
くすぐるような感触が耳を刺激する。
「…亀ちゃん、息。熱くない?」
「うそ」
「風邪?」
「べつに…」
そういうんじゃ、と適当に言い掛けて亀ちゃんは言葉を切る。
最後の言葉と吐息が混じって妙にやらしかった。
耳を外して視線を合わせる。
視点が合ってるのかはわかんないけど、潤んだ瞳が美貴に向けられてる。
熱いのは感じてるからか。
くっ、と喉が鳴ってしまう。
なにわらってんのと亀ちゃんが言った。
笑ってないよと美貴は言った。
うそだ、と亀ちゃんが言った。
うそだよと美貴が言うと亀ちゃんは笑った。
ほら、そうやって。
嬉しそうに笑ったりするから、美貴は。

63 : :2009/08/06(木) 00:27
 
64 : :2009/08/06(木) 00:27
 
65 :はと宗 :2009/08/06(木) 00:33
レスありがとうございます。

>>56 名無飼育さん
おお!歌詞の曲ご存知ですか!嬉しいです。
亀が歌ってたら萌えますよね!
>結局ノロケか。イチャつきか。ベタつきか。
全部です。どんどんやります。
66 : :2009/08/25(火) 02:12
 
67 : :2009/08/25(火) 02:13

それは酷い雨の日で、学校帰りの美貴はもうずぶ濡れに濡れまくっていた。
迎えを頼めば良かったと後悔する。高校からそう遠くない自宅までの道のりを、傘の淵から垂れ落ちる雨と格闘しながら帰る。ときどき派手に水溜りを蹴って走る車を睨んだ。最悪だ。こんな日は帰ったらすぐにお風呂に入って、温かいお茶でも飲みながらうとうとしたい。
家のすぐ傍には小さな公園があって、そこを突っ切れば少しだけ近道になる。覗いてみると公園は水溜りだらけで、でも通学用のローファーはもうぐちゃぐちゃに汚い。どうでもいいから早く帰りたいんだ、美貴は。鉄棒とかすべり台とか砂場とか、雨に打たれて誰にも相手にされない様は何だかもの悲しい。びしょびしょになって帰る美貴と同じくらい悲しい。とか思いながら公園内を歩く。
雨で視界が悪いから、誰も居ないと思ってた。居たところで別に何にもどうにも美貴には関心の無い事なんだけど、どしゃ降りの中雨に打ちひしがれる子供なんか見て、知らんふりできるほど動じない心を持っているわけでもなかった。
68 : :2009/08/25(火) 02:14

その子は小ぶりのジャングルジムに凭れて立っていて、今にも崩れ落ちそうなバランスでやっと地に足を付けている感じだった。この辺じゃ見慣れた中学の制服も鞄も髪も靴も、何から何までずぶ濡れで美貴よりもよっぽど酷い。酷いものなのに顔は綺麗で、整った顔立ちは一度見たらその日一日は忘れられない程度の造りをしていた。思わず立ち止まってしまったけど、その子の前を通り過ぎなければこの公園を抜けることは出来ない。視覚や聴覚が煩わしさを覚えるほどの雨のおかげで、彼女はまだ美貴の存在に気付いていないみたいだった。
今更遠回りなんて冗談じゃないから、正直こんなものは無視して通り過ぎたいんだけど、それはそれで気まずいし、だからと言って声を掛けるなんてとんでもない。女の子だってそんな事は望んでいる筈無いのだ。だけど、でも、なんて考えているうちに目が合ってしまった。さっきまで俯き気味に薄ぼんやりと瞼を開けているだけだった彼女は、美貴と目が合うと一瞬それを見開いてからまた瞼を伏せ、さっきよりももっと下を向いた。
どうしよう。すごく気まずい。目が合ってしまった以上、これからすることはさっきより倍の重みがある。気がする。ぐちゃり、と足元の泥が唸る。ごうごうと雨音が煩い。面倒は嫌いだ、中学生のガキなんてもっと嫌いだ。
69 : :2009/08/25(火) 02:15

「こんなとこ突っ立ってたら、危ないよ」
美貴の言葉に女の子は一切の反応を見せず俯いたまま。雨で声が届かない、なんて空回りな恥ずかしい思いをしない為に、なかなかの声量で話しかけた筈だ。聞こえてる。けど返事はしない。美貴がせっかく声掛けてやったのに、なんて自分勝手に少し苛々する。
「変な人に気ーつけな」
これで立ち去る筈だった。実際美貴の足は彼女の前を通り過ぎて、公園の出入り口の真ん前まで来ていた。そこでなぜか振り返った。訳がわからないけど振り返らずにいられなかった。今歩いた跡を少しだけ戻る。ぐちゃりぐちゃりと泥が唸る。面倒は嫌いなのに。
「ねえ…いつからそこに居んの」
雨が煩いから、声を張り上げるのは面倒だから。初対面の距離を超えて美貴は女の子に近付いた。俯いた顔を覗き込んで問い掛ける。気持ち程度に彼女の方へ傘を傾けると、雨は遮られてその肌を打つものは無くなった。彼女は黙って俯いたままだったけれど、美貴もそれ以上話し掛けるようなことも無いので同じく黙ったまま待った。彼女の髪や肌を伝って、ぽつりぽつりと滴が垂れ落ちる。それがまた、子供のくせに酷く美しく魅せるから、何だか馬鹿馬鹿しくなってきた。ずぶ濡れの頭をぐしゃぐしゃと掻いてやりたかったけど、まだ会話もしたことないような人間に、そんなこと出来るほど美貴は図太くない。
70 : :2009/08/25(火) 02:16

どれくらいそうしてたのか分からないけど、があ、と雨音の中から微かに車の通り過ぎる音が聞こえたのが合図だった。女の子は顔を上げて、相変わらず薄ぼんやりと空けているだけのような瞼の中で、美貴を見据えた。正直どきっとした。背は同じくらいだけど少しだけ彼女の方が高いみたいで、やや見下ろされるような形が気に食わない。彼女の濡れた薄い唇は、未だ言葉を発さない。顎や頬から零れ落ちていた滴は、今度は首を伝ってブラウスの襟の中へ消えていく。
「一中だっけ、その制服」
高校に入ると同時に北海道から越して来た美貴には、この辺の中学のことは良く分からなかったけど、家から一番近い学校くらいは覚えてた。美貴のどうでもいい質問に、今まで何の反応も見せなかった彼女が頷く。
「家、この辺?」
こくりとまた頷く。滴が落ちる。カワイイし暗そうだし、こりゃイジメだな、なんて勝手に推測して自己完結。さてこれ以上はどうしようか。家まで送ってく?なんて、そんな酔狂じゃない。傘貸そうか、なんて、そんなにお人好しでもない。家に連れてこうか、なんて。なんて。
71 : :2009/08/25(火) 02:17

「ウチ、すぐそこだけど」
家の方向を適当に指差し、そのまま宙を掻いてうなじにやった。湿った髪が乱れて心地悪いから、無造作に頭を梳く。彼女はまた黙ったまま動かない。仕方が無いからその腕を引いて、泥の中を踏み出した。けれどすぐに、ぐ、と美貴の身体は止まる。振り返ると、いじけるように唇を突き出した彼女が美貴を睨んでいる。知らない人間に突然腕を掴まれたりなんかして、怒ってるのかもしれない。でもそれにしては覇気が無いし、美貴に対する畏怖やら侮蔑の感情も窺えない。単に家に連れて行かれるのが嫌なのかも。試しに腕を引っ張ってやると、また動こうとはしないけど振り払おうともしない。
「わかった、じゃあアレだ、銭湯行こうスーパー銭湯。」
そういえばこの近くに、ばあちゃんがよく行くスーパー銭湯があった。銭湯ならお風呂入れるしあったかいし休めるし、悪いこと無いもんね。
どうなんだよ、と美貴が目で訴えると、女の子もどうしよう、と目で訴えてくる。いや、別に奢ったりしてやるつもりも無いし。こんな雨の中美貴にここまでさせたんだから、付き合ってよ。
72 : :2009/08/25(火) 02:18

さっきよりは少し優しく、促すように腕を引くと、ようやく彼女はその足を動かした。ああやっとどこかに行ける。濡れた服や靴はいつの間にか美貴の身体を冷やしていて、指先が小さく震える。彼女の唇が青ざめているのが、さっきから気になってしょうがなかった。衣替えしたばかりで良かった。半袖のブラウス一枚なんかだったら、間違いなく風邪引いてたな。
小さなビニール傘に彼女を招き入れ、並んで歩き出した。収まらない肩が濡れるけど、今更どうでもいい。手を離すタイミングが掴めなくて、公園を出てもずっと、美貴は女の子の腕を掴んだままだった。何だか酷く他人行儀な気がして(それでも実際他人だけど)、腕を掴む手を緩めその先へ下ろした。濡れた手は少し柔らかくてそれほど小さくなくて、何となく安心した。何でこんなことしてんだろうとか思う。何でまだ口もきかないような子と手繋いで歩いてんだろう。雨は煩いし靴はぐちゃぐちゃだしお腹だって減ってきたのに。こんな日はさっさと帰ってお風呂入って温かいお茶でも飲んでうとうとしたかったのに。でもそれ全部、銭湯でも出来るのか。そう考えたらそんなに予定は狂ってないのかも。
73 : :2009/08/25(火) 02:19

それならば、この子の名前ぐらい聞いてみてもいいかもしれない。年下のガキなんて嫌いだけど、生意気じゃなければ悪くないかもしれない。今は煩い雨だって、もうすぐ止んで虹が出るかもしれない。
視線を横にやると、彼女の頬に当たった。低めに通った鼻筋が、降りしきる雨に溶け込んでゆくような気がした。悪くないと思った。その薄い唇は、どんな声で言葉を話すんだろう。笑ったらもっと可愛いかもしれない。この子のこと、好きになるかもしれない。そんなことを考えながら、美貴達は黙って歩き続けた。

74 : :2009/08/25(火) 02:19
 
75 : :2009/08/25(火) 02:20

  ノハヽヽ
 (VvV*从ノノハヽ
  (   っノノ*^ー^) 
  (_, ヽJ `ヾu_0_0 ....
76 :はと宗 :2009/08/25(火) 02:21

>>9-15の出会い編でした
77 :名無飼育さん :2009/08/25(火) 03:55
なんだか懐かしのえりりんだなぁ。
美貴さまの思考が可愛くて可愛くてとてもやりきれない。
珈琲牛乳飲みたくなりました。
78 :esk :2009/08/26(水) 01:17
ぐはあ…
このスレさえあれば生きていける
79 :名無飼育さん :2009/08/26(水) 01:27
>>78 げ、名前(汗)…まあいいや。
更新いつも楽しみにしてます。
えりりんも美貴様も作者様も大好きです!
失礼しましたー。
80 : :2009/09/01(火) 03:14
 
81 : :2009/09/01(火) 03:17


「さわって」


絵里が言うと藤本さんは一瞬不思議そうな顔をしてそれから、
ぽん、と絵里の胸に手を置いた。

「ちーがいますぅ、こっち。おでこ」
「えぇ?」
「熱っぽいって言ったじゃん?」
「あー」

なんだ、と呟きながら絵里の額に手を当てる藤本さん。
さわってって言って胸とか、訳わかんない恥ずかしい。
みきさまのばか。

「熱いかも。てかたぶん熱い、熱あるよ」
「やだぁ〜、風邪かなあ」
「かもねー。寝てなよホラ」

そう言って藤本さんが布団をめくってベッドをぽんぽん叩く。
絵里はそのスペースに滑り込んで重い身体を横たえた。
いや、重いって体重がとかそういうんじゃなく。

「お布団ウヘヘヘ〜」
「なぁに笑ってんの、バーカ」

喉を鳴らして笑う藤本さん。
少ーし上の方で絵里を見下ろしてる。

唇と目でさりげなくキスをねだると、
藤本さんの顔が近付いてきて、
ああ、とか思いながらうっすらと目を閉じていく。
82 : :2009/09/01(火) 03:17
鼻先が触れたくらいでまずいっと思い直して、
顔を逸らすと頬と口の間ぐらいに柔らかい感触が触れた。

「なに」

不満そうな藤本さんの声に、うつっちゃうからと答えると
あー、と小さな呟きとともに唇が離れてく。

少し淋しくなった。
自分で拒否っといて何だけど、
ものすごく物足りないなあなんて思う。

うー、と小さく唸りながら唇を突き出すと、
藤本さんがそれはそれは可笑しそうに笑い出した。

「なに、なに」
「べつにぃ」
「なに?美貴とちゅーできなくてつまんない?」
「べ、つ、にぃー」
「美貴は伝染ったっていーけど」
「…絵里は良くないもん」

ふーん、て含み笑いのまま藤本さんの顔がまた近付いてくる。
頬にちゅっちゅってされて、それが
熱持った肌には少しだけひんやりと感じる。

「…熱いね」
「きもちー」

やらしー、と藤本さんが笑う。
それでも決して唇にはしてくれなくて、
それでいいんだけどでもやっぱり物足りない。

体温計どこだっけ、なんて起き上がってごそごそやってる藤本さんの、
背中をじーっと見詰める。

優しいみきさまのばか。


熱が引いたらどうしてもらおう、
なんて思いながら瞳を閉じた。

83 : :2009/09/01(火) 03:19
 
84 : :2009/09/01(火) 03:19
川*VvV)
85 :はと宗 :2009/09/01(火) 03:39
レスありがとうございます!

>>77 名無飼育さん
地下鉄りんは至高!美貴ちゃんはキャワワ!
実際このあと美貴さまが珈琲牛乳を奢るという流れもありました。
銭湯とわたぼくの珈琲牛乳って何であんなにおいしいんでしょうね。

>>78、79 eskさん
まままさかのeskさんですかwww
ありがとうございます私もeskさんのお話大好きです><
>このスレさえあれば
恐縮です。そこまで言って頂いたからには頑張って続けていきたいと思います!
86 :名無飼育さん :2009/09/02(水) 00:30
( *>Д<)ポワワッ
87 : :2009/09/23(水) 02:45
 
88 : :2009/09/23(水) 02:47


「すごーい、きれーい」

長いこと話しこんでしまった喫茶店から出ると、
暮れかけた西の陽を見て亀ちゃんが言った。
ピンクと紫と少しの青と、それからたくさんの赤。橙。
滝川じゃよくこんなん見たっけ、なんて少し懐かしい気持ちになった。
すべてがオレンジに染まる中を、亀ちゃんがフラフラ歩き出す。
美貴も後ろ手にお店のドアを閉めて、
人気の無い路地、亀ちゃんを追った。
東京で夕暮れを歩くなんて、そういえばあんまり無いね。

「すごーい、ぜんぶ絵里カラーですよぉ?」
「えー?」
「オレンジ。絵里の色でしょ?」
「あぁ、はーん」
「ね、綺麗だね」

振り返って、にこーって笑う顔も橙。
つられて笑っちゃう美貴の顔もきっと橙。

「何かねぇ、こう切ない」
「なにが」
「胸がキュンキュンしちゃう。」
はーって、溜息吐いて胸に手を当てる亀ちゃん。
追い付いて横に並ぶと、首傾げて上目遣いにこっちを見てくる。

「キモーい」
「キモくなーい」
「何だよキュンキュンて」
「キュンキュン…ムラムラ?」
「はぁ?いやいや」
「えー。しません?」
89 : :2009/09/23(水) 02:47
しないから。笑って答えると、亀ちゃんは不満げに唇を尖らせる。
ばーかばーか。

「おかしいなぁ…」
「お前がおかしい」
突っ込もうと思って上げかけた手が、
何となく亀ちゃんに触れられず宙を掻く。
何だろう、美貴もムラムラしちゃってるんだろうか。
恥ずかしくて早足で踏み出そうとしたら、
急に立ち止まる亀ちゃん。

「藤本さん」
「なに」
「…キスしてほしい」

そう言ってにやりと笑う。

その唇は美貴のもの。
あかく橙に滲む輪郭。

見惚れていたらそれはだんだん近付いてきて、
視界が亀ちゃんでいっぱいになる。
してほしいって言ったくせに、そっちからしてくるとか。

「…うへへぇ」
「道端ですんな」
「いいでしょ?」
「よくなーい」
「いいんだもん」
「よくねーし」
90 : :2009/09/23(水) 02:48


「…いいの。」


ね?って、オレンジの彼女は笑う。
いいかも、なんて思ってしまった。
秋の夕暮れだった。

91 : :2009/09/23(水) 02:48
 
92 : :2009/09/23(水) 02:52

.  \______
   |
   |
   |
  ノハハヽ   
  ノノ*^ー^)<↑↓ノ人ヽヽ
  / J  つ    (vV 从
  し―J ̄ ̄ ̄ d_   )
/          しーJ



.  \______
   |
  ノハハヽ
 ノノ*^ー^)
  /つ _,,_0
 (0ノVvV)0 =3 !
  ヽ   / プルプルプル
 ;; し―J ;;  ̄ ̄ ̄ ̄\





.\
.  \______
   |
   |
   |  | l |
   |
   | ノハハヽ
   | ノノ*^ー^) ドスン!
   (⌒ /つ_,,_0 て
  /ん(0ノVvV)0 そ ̄\

93 : :2009/09/23(水) 02:53
 
94 : :2009/09/23(水) 02:54

目覚めたら絵里は亀になっていた。
絵里の部屋の絵里のベッドの上で、ぽつんって小さな亀になってた。
とにかくからだが乾いて渇いて仕方ないから、とりあえず洗面所に向かおうと思った。
ウミガメとかだったらまだしも、縁日の屋台に居るみたいな小っちゃい亀だから、
手足も小さくて短くて、ベッドから降りるだけでひと苦労。
広い広い部屋の中を何とかドアまで這ってって、で、そしたら、ドアが開かない。
ノブが回せないから当たり前なんだけど、思いっきり押してみても、ちぃっとも開かない。
それでもうしょうがないから、妹を呼ぼうと思って、こんどは携帯に向かう。
だからつまりまたベッドを登らなきゃいけない。
小っちゃくて短い手足で、何とか何とかベッドに登ろうとする。
何度も何度も転げ落ちる。
甲羅から落ちるともう起き上がるのだけで本当に大変で、
もう何度目かってころに限界が訪れた。
あぁあたし、このまま亀のまま死ぬんだ、って思った。
どんな状態でも死ぬのは嫌だけど、まさか人間じゃないからだで死ぬことになるとは思ってもみなかった。
せっかく可愛く産んでくれたのに、お母さんごめんなさい。
妹よ、お姉ちゃんは最期にお前に連絡しようとしてたんだよ。大好きよ。
なんて色んな人のことで頭がぐるぐる。
視界がゆらゆらして、亀でも泣くんだ、って思った。
たくさんのことが悲しくて辛いけど、もう藤本さんに会えないんだってことが、いちばん悲しかった。
藤本さん、藤本さーん。絵里はここですよ。会いたいよ。
声聞きたいのに、携帯に辿り着けないから死ぬって、何だそりゃ。
絵里は何て非力なんだろう。
藤本さん藤本さん藤本さん。
あたまがぐらぐらしてなんにもわかんない。
藤本さん、亀の絵里を見ても好きだったって思ってくれるかな。
思ってくれなかったら悲しいな。
藤本さん…

95 : :2009/09/23(水) 02:56



「…っていう夢を見たんです」
「ぶはwww意味わかんない」
「とにかく怖かったんです、悲しかったんですぅ」

半ベソで今朝の夢の内容を話したら、
藤本さんはまるですべらない話でも聞いたかのようにもう大っ爆笑。
ベッドの上でごろごろ転がりながら、お腹抱えて笑ってる。

「もーー、絵里が怖い思いしたのがそんなにおかしいですか?」
「だってさぁ、亀が亀って」
「主旨はそこじゃないですから」
「何だっけ?」
「だからぁ、もう絵里死ぬんだって思って」
「思って、美貴が恋しかったの?」

まだ可笑しそうに、ニヤニヤ笑って絵里を見る藤本さん。
その通りだけど何か悔しいから答えられなくて、言葉に詰まった。

「大丈夫、ヒトがいきなり亀になるとか無いから」
「だからぁ…、そうじゃなくって」

そうじゃなくって、好きなんです。
藤本さんが。
恥ずかしくて俯くと、頭のてっぺんに何かが触れた。
それからすぐ、くすぐるように耳元に吐息がかかって、
全身で抱き締められる。

「…ん、」
「……はぁ」

唇をなぞる舌があたたかくて、少しの安堵と、猛烈な不安。
どこにも行かないでほしい。
この指が腕が、離れてしまうなんて感じさせないでほしい。

「……したい」
「…美貴も」
「ふじもとさぁん」
「ハイハイ」

ちゅっ、て耳元に軽く口付けられて、からだが震える。
亀だったらこんなこともできないんだよね、なんて可笑しくなる。

「…なにニヤニヤしてんの」
「んーん。嬉しーの」
「意味わかんないよ」
「わかるくせに」
「…わかんない」
「うへへへ」
「ばーか」

くしゃって笑った顔の藤本さんが可愛くてすき。

今度怖い夢見たら、そのキスで起こしてね。

96 : :2009/09/23(水) 02:56
 
97 : :2009/09/23(水) 02:57
ノノ*^ー^)ウヘヘ
98 :はと宗 :2009/09/23(水) 03:00
>>86 名無飼育さん
川*VvV)ポワワ

レスありがとうございます。秋ですね。
スレには出てきませんけど小春が卒業ですね…
99 :名無飼育さん :2009/09/23(水) 11:36
川*VvV)キュンキュン
100 : :2009/11/02(月) 23:01
 
101 : :2009/11/02(月) 23:02


それは酷く清々しい晴れの日で、
美貴はうんざりするほどの冬の日差しの中ひとり公園に佇んでいた。
待ち人来らず。
なにやってんだあいつは、なんて口内で呟いて後ろのベンチに腰掛ける。
彼女と出会ったのは確かこんな日とは真逆のような雨の夕方だった。
あんな出会いをして、きっとただでは済まないんだろうとは思っていたけど、
こんな風に毎日会うようになるとは思わなかった。
何だって美貴はあんなクソガキの相手してんだろう、なんて時々思う。
理由もなくこうやってほぼ毎日顔を合わせてるんだから怖い。
今日だってバイト前にわざわざこんな所まで来て、
こんな寒い中待たされて、
冗談じゃない、なんて
面と向かって言えたらせいせいするのに。

あの日の銭湯代はいつまで待っても返ってきやしないし、
あの日からずっと美貴の時間は彼女にとられてばっかりだ。
つまらないことで笑ってしまったり、
言葉が喉に詰まったり、
言い様の無い気持ちにさせられたり。
毎日がたまらなく不愉快で、
それでも彼女に会えない日はもっと不愉快なんだ。


「亀ちゃん遅ーい」
「すいませぇん」
へらへらと笑いながら走ってくるその姿は絶妙にキモくて、
駆け寄ってくる彼女を思わず避けてしまう。
避けたら避けたで、これまた絶妙なキモい動きで捕えられる。
「ねえ何でいつも遅れるの」
「違うんです、信号が超タイミング悪くてぇ」
そう言って美貴の肩やら腕やらに絡みつく。
謝罪なのか挨拶なのかよくわからないスキンシップ。

「まったく美貴が何分待ったと思って…、」
わざとらしくぼやくと、遅れてきた彼女は嬉しそうに笑う。
「絵里に会いたくて?」
にやりと何かを見透かすような笑顔で、
そうやって亀ちゃんは静かに笑う。
「べつに」
「絵里は会いたかったなぁ、美貴サマに」
下を向き一瞬だけ視線を外して、
今度は上目遣いにねだるように笑う。
不敵に静かに。
ばーか。
そう言ってやったら、もぉーとか言ってまたキモい動きするんだ。
102 : :2009/11/02(月) 23:03

「大体何で公園で待ち合わせなの」
「美貴サマの家ひとりで行くの怖いんだもん」
「怖いって何だ。それは今日も美貴んちくるのが前提的な?」
「えへー」
「…美貴今日バイトなんだけど」
「うそ!聞いてないんだけど!」
「言ったんだけど」
「聞いてな〜い!やだやだぁ美貴サマ行かないで」
「行かないわけあるかっつーの」
「あーん」
「ハイハイまた今度ね」
「今度っていつですかぁ?」
「あさってとか」
「明日とか?」
「いやいや」
「ふぁ〜ん」

何だかわけのわからない音を呟いてうなだれる亀ちゃん。
どうせ明日も会うことになるんだろうと思うと気が滅入る。
こんな清々しい天気なのに、亀ちゃんと公園でふたりなんて。
わけわかんね。
「ねーねー美貴サマ?」
なんだよ、って不機嫌な振りして答える。
見透かすような笑顔で彼女。

「年下ってどうですか?」

年下だとか女同士だとかそういう以前に、
亀ちゃんなんかごめんだって言ってやりたいのに。
悪い気がしないから困る。
103 : :2009/11/02(月) 23:04

「…銭湯代返せ」
「あ…、じゃ明日持ってきます」
「絶対今持ってんだろ。700円だよ。文無しかよ。つーか明日かよ」
「今夜でもいいですよ?」
「ガキのくせに夜遊びすんな」
「だってぇ今日バイトなんて聞いてないもん」
「言ったし」
「聞いてないし」
「言ったし…あもう美貴行かなきゃ」
「え〜やだ!やだやだ!」
「ハイハイじゃーね。あとでね」
「う〜…」
「バイトのあと寄るから。起きて待っとけ」
「え?」
「夜だしすぐ帰るけど」
「ぅえ?あ…ハイ、え?」
「銭湯代とか色々用意しといてね」
「いろいろって」
「心の準備とか」
「こ…、」


何だか目を丸くしてる亀ちゃんの頭をぐしゃぐしゃに掻いてやった。
また変な音を発してから顔を顰め髪を整える亀ちゃんを見ながら、
今キスなんてしてやったらどんな顔するんだろうとか思った。
それは全部あとの楽しみにしておこうかとも思った。
でも目の前の彼女を見ていると、我慢できないような気もしてきた。
そろそろほんとに行かなきゃいけないのに、
どうしようなんて考えてる。
こんな晴れの日に、亀ちゃんと公園でふたり。
わけわかんないけどやっぱり、悪い気がしないから困る。

104 : :2009/11/02(月) 23:04
 
105 : :2009/11/02(月) 23:06

         ノノハヽ ☆ノハヽ
        从VvV) ノノ*^ー^)
  三三  ⊂   つ⊂   /
 三三   (ノ⌒ ○ .⊂\_)
106 : :2009/11/02(月) 23:06
 
107 : :2009/11/02(月) 23:07


はぁ、と大きく息を吐いた。
冷たい空気の中を白く泳ぐ。
真っ暗な闇にとけてゆく。


冬の夜はあまりにも静かで、
この街で起きてるのなんて絵里だけなんじゃないかって気分になる。
ぽつぽつと光る街灯を見下ろしてまた息を吐く。
今何時だろう。
暖房の残った温かい部屋にある身体と、
窓から出した顔が別世界に居るみたいでへんな感覚。


「…さむぃ」

破られた静寂。
振り向いてカーテンを除けると、
オレンジ光の中で藤本さんと目が合った。
絵里が絵里であることを確認したら、
眠そうな瞼を抑えて枕に顔を埋める藤本さん。

「…亀ちゃんなにやってんのぉ…」
掠れた声で尋ねられる。
あ、何か超愛しい。

急いで窓を閉めて、温かいシーツに潜り込んだ。
無防備な頬に鼻先をこすりつける。
つめたいぃ、と藤本さんが唸る。
ますます愛しくなって、
冷えた唇で攻撃を繰り返す。
「やぁだぁ」
「あはw藤本さんかわいー」
うぅ、とかむぅ、とか、不機嫌そうに唸る。

ぎゅうって抱き締めると、今度は気の抜けた声。
「…つめたい。」
「ふじもとさんあっためて?」
「…バカ亀」
ぐ、って首筋に頭押し付けられて、
熱持った腕が背中にまわってくる。
あー、あったかーい。
108 : :2009/11/02(月) 23:09
「…ぅへへぇ」
「なにしてたの」
「うーんと、息吐いてたの」
「…いみわかんないよ」
まだ眠そうな声が可愛くて、
耳元に吐息を吹き掛ける。
腕の中でびくって小さくからだが震える。


「……あっためて?」
「…ん…」


やだって言われる前に塞いでやろうと思ってた唇が、
いやらしく揺れて絵里に噛みついた。

「…ん」
「はぁ…、」
「……ふじもとさん、…あったかいね」
「亀ちゃんが冷たいんだよ」

ふっ、て鼻にかかった笑い。
睫毛が頬に掠ってくすぐったい。


あまりにも静かな夜だから、
街中のみんなに聞こえちゃったらどうしようなんて。
愛しくて愛しくて奥まで溶けそうになる。

ずっとこのままがいいと思った。
このまま冬を越せたらいいなんて。
それでも時々は白息が見たくなるかもしれないから、
そしたらふたりで外に出て、帰ってきたら温め合おうね。

109 : :2009/11/02(月) 23:09
 
110 : :2009/11/02(月) 23:09
 
111 : :2009/11/02(月) 23:09
 
112 : :2009/11/02(月) 23:10
 
113 : :2009/11/02(月) 23:12


  さよなら峠



夜中に突然亀ちゃんに呼び出されてこんなくそ寒い季節に
なに考えてんだろうとか思いつつ仕方無いから厚着しまくって
不機嫌なまま待ち合わせ場所の超寂れた私鉄の駅で降りると
珍しく彼女の方が先に来ていて何だか拍子抜けしてしまい
つい遅れてごめんねと謝ってしまった亀ちゃんがいいですよぉなんて
得意げに笑うもんだからバーカって言ったら亀ちゃんは泣き真似をした

連れて行かれたのはわけのわからない山の方で
見渡せばそこは禿げかけの林みたいな少し先は崖になってて
こんなところがあったんだと言ったら亀ちゃんはあったみたいですねと
いつものようにえへらえへらと笑ってさよなら峠って言うらしいですよと
付け加えた由来は知らないけどそう呼ばれてるんだってとまた笑って
美貴はいつもの適当な嘘かもしれないと思って半分信じて半分嘘だと
思う事にした絵里もね美貴様とさよならしようと思うんですへぇどうして
どうしてもですふーんそうなんだってそんな風な言葉を交わして
忘れていたけどそこはやっぱり凄く寒くて風が冷たくて寒くて寒くて
そうするともう涙が出てくるから泣いてるのって聞かれたけど
泣いてねーよと言ってやった

114 : :2009/11/02(月) 23:12
 
115 : :2009/11/02(月) 23:12
 
116 :はと宗 :2009/11/02(月) 23:25
レスありがとうございます!

>>99 名無飼育さん
川*’ー’)マンキュン


「おこのみで」シーズン1終了です。冗談ですけど、
当初の予定ではこの最後の話でスレを締めようと思っていたんですが、
愛着湧きすぎてこれじゃ悲しいなと思い、
名目上ここで一区切りということにさせて頂きます。
だかといって特になにも変わらないんですけど、
いちおう春から冬までのお話を書いたし区切りが良いので
シーズン1的なテイク1的なまあどうでもいいんですけど、
また次回普通に更新します。
ここまで読んでくれた方ありがとうございました。
またお付き合い頂けると幸いです。
117 :名無飼育さん :2009/11/03(火) 00:05
|ω’)?

>>113見てまさかorzと思ったけど
よっしゃそういうことならちゃっちゃと次行け!
行ったら?
行ってよ。
行ってくださいお願いします。

息吐いてたの。って言いそうだなぁ亀。
118 :名無飼育さん :2009/11/03(火) 12:54
同じく >>113 で涙目にw
全部良かったけどシーズン1の中では >>94-95 が一番好きかな〜。
シーズン2も楽しみにしてまっす。
119 :名無飼育さん :2009/11/04(水) 18:23
わたしゃーあすぱらんとこがすきだ。

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