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弱虫ナイト

1 :名無飼育さん :2006/03/25(土) 22:20
思いつくがままに短編を。
田中さん贔屓な作者なのでれなえり、みきれなを中心に、他CPも
書いていければいいなあと思います。

よろしくお願いします。
399 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:55
「…っさん」

静かな部屋にはっきりと響く、その名前。

「…やっさ…ん」

聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。

400 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:55
時間にしたらきっと数秒のことだったと思う。
だけど、ハルにとってはとても長い長い時間だった。

今までのまーちゃんとの出来事が頭に浮かぶ。
笑顔も涙も、拗ねた顔も怒った顔も、手の温もりも、抱きしめた匂いも。

今、目の前にいるこの子の全てを。
ああ、そっか、ハルは―――――。

401 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:55
「…どぅー?」

まーちゃんが目を覚ました。

「来てくれたの?」
「うん。…嫌な夢でも見てた?うなされてたよ」
「…どぅー、ずっとこうしててくれたの?」

ほっぺに添えたままのハルの手を、まーちゃんがそっと触れる。

「どぅーの手だったんだ」
「…うん」
「良い匂いする」

まーちゃんはスンスンとハルの匂いを嗅ぐ。

「なんか、どぅーって、なんか女の子の匂いする」
「…ハル、なんもつけてないよ?」
「まーちゃん、どぅーの匂いだったらどこでも寝れる」

熱のせいか、今日のまーちゃんはいつも以上に子供っぽくて甘えん坊だ。

402 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:55
言葉通り、ハルの匂いを嗅ぐうちに、まーちゃんの瞼がどんどん閉じていく。

「…寝ていいよ」
「…ん」
「寝るまで、そばにいるから」
「…どぅー…」

まーちゃんは、さっきとは正反対の安心しきったような顔で眠りに落ちた。

403 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:55
初めて鞘師さんと会ったあの日。
まーちゃんは「タイミングが悪い」と、そう言った。

だけど、それはハルも同じだ。
夢の中で好きな人の名前を呼ぶまーちゃんを見て、初めて気付いたんだ。
自分の本当の気持ちに。

恋を自覚した瞬間、失恋なんて。
ホント、最悪のタイミングだ。

404 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:56
まーちゃん、好きだよ。

でも、まーちゃんの気持ちを知ってるから。
あの温かい手が、冷たく震えるほど苦しくてせつない思いを知ってるから。

だから、好きだなんて言えないよ。

405 :名無飼育さん :2016/12/13(火) 23:56
本日は以上です。
406 :名無飼育さん :2016/12/16(金) 22:05
はやくぽっかぽかの温かさが増えますように!
と思いつつでもこの切なさもまた良い!と思ってしまう・・・w
407 :名無飼育さん :2016/12/19(月) 00:03
二人の繊細さや純真さの描写がとても好きです
続き楽しみにしています
408 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:00
レスありがとうございます。

>>406
そう言っていただけると救われますw

>>407
大切に丁寧に描いていければと思います。

まーちゃん、お大事に。
腰の痛みが少しでも和らぎますように。
409 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:00
まーちゃんへの気持ちを自覚した次の日、彼女と別れた。
理由を聞かれたので「好きな人が出来た」と正直に答えると、泣きながら
ビンタされた。
今のハルには彼女の気持ちがよくわかるから、殴られた痛みよりも胸の痛みの
方が強かった。

それでもハルは好きな人の、まーちゃんのそばにいることが出来る。
今はそれだけでいい。
ただ、そばにいれるだけでいい。

410 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:01
「あれ?お弁当ないの?」

再びパン生活に戻ったハルに、まーちゃんが問いかける。

「あー、まあ」
「…ケンカ?」
「んー、ていうか、別れた」

まーちゃんの反応を気にしながらも、素直に伝える。
なんとなく顔は見れなくて、急いでパンにかじりつく。

「…なんで?」
「なんでって…、まあ、いろいろあって」
「…へー」

まーちゃんはそれっきり何も聞いてこなかった。
こんなに近くにいるのにまーちゃんの気持ちはいつも読めない。
だからこそきっと、もっと知りたいと思うのだろう。

別れたその日から告白の嵐だったけど、もちろん全部丁重に断った。
「女子校の王子様に本命現る」なんて、ちょっとしたニュースになっている
らしい。

こういう噂に疎いまーちゃんの耳に入っているかどうかはわからないけど。

411 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:01
さらに翌日。
渦中のハルは未だに告白してくる女の子たちや、クラスメイトの質問責めを
すり抜けて、ようやく中庭に辿り着いた。

いつもは「どぅー!」って笑顔で迎えてくれるまーちゃんが、今日はなぜか
そわそわと落ち着かない。

「まーちゃん、ごめん、遅くなって。待ち疲れちゃった?」
「ううん、平気」

言葉とは裏腹に手や指をしきりに動かしている。
怒っているような拗ねているような、泣き出しそうな顔。

鞘師さんと何かあったのかな。
他のことならまーちゃんが話しやすいように話題を振ることが出来るけど、
鞘師さんの話は聞きたくない。

ハルはそのまま、まーちゃんの隣に腰掛ける。

412 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:01
「…どぅー、好きな人いるんだ」
「へ?」
「さっき、見ちゃった」

どうやら、告白されて断っていたところを見られていたらしい。

「…まあね」

どう返事をすればいいのかわからず、曖昧に答える。

「どんな子?」
「…それ、聞く?」
「言いたくないの?」

「まさに言えないことあるの?」と言わんばかりに迫ってくるまーちゃん。
言えないことはいっぱいある。
同じくらい、言いたいこともいっぱい。

413 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:01
「わがままで甘えん坊。気まぐれだし、何考えてるかわからないし」
「…なにそれ。そんな子のどこがいいの?」

まーちゃんは心の底から理解できないという顔で、ハルのことを見ている。

正直、まーちゃんを好きな理由はハルにも上手く言葉に出来ない。
わがままを言われるとムカつくけど嬉しくて、甘えられるのは面倒だけど
悪い気はしなくて、気まぐれで何考えてるかわからないところもかわいい。

「んー、なんか、ほっとけないんだ」

きっと理由なんてない。

414 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:02
「あー、腹減った」

話題を変えるためわざと大袈裟にパンの袋を開けようとしたハルの手を、
まーちゃんが止める。

「ダメ!」
「へ?なんで?」
「…これ」

まーちゃんはモジモジしながら、お弁当箱を突き出した。

「え、これって…」
「どぅーの!」
「ハルのって、ハルのお弁当ってこと?」
「だから、そうだってば!」

まーちゃんはハルの膝の上にお弁当箱を置く。

「…ハル、食べていいの?」

いまいち状況が掴めず、何度も同じ質問をしてしまう。
まーちゃんは面倒そうな顔で睨んでくる。

「ハハが!一つも二つも一緒だからって!」
「あー、マジかあ。ありがとう」

納得したハルに、まーちゃんはようやく笑顔を見せてくれた。

415 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:02
「いただきまーす!」

パンも嫌いじゃないけど、やっぱり手作り弁当はいいもんだ。
“ハハ”のお弁当はたまに一口もらったりしてるけど、本当においしい。

まーちゃんはなぜかハルの食べる様子をじっと観察している。
見られてると緊張してしまう。

「これチーズ?」
「チーズ」
「うまい!」
「ホント?」
「うまいこれ」
「マジマジ」
「おいしい?」
「うん。ハル好み」

そう言うと、まーちゃんはすっかりご機嫌になった。
そんなに“ハハ”のお弁当を褒められたことが嬉しかったのかな。

「じゃあ、明日も持ってくるね」
「え、でも、大変じゃない?」
「平気」
「でも、ハハに悪いよ」
「平気だって」

まーちゃんは一歩も引かない。
ありがたい提案なので“ハハ”の好意に素直に甘えることにした。

416 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:02
結局、その日から数週間、ずっと“ハハ”のお弁当にお世話になっている。
そして、食べるたびにますますまーちゃんとの距離も近付いていった。

昨日の出来事を話してくれて、今日の思いを伝えてくれて、明日の予定を教えて
くれる。
今、まーちゃんのことを一番知っているのは、間違いなくハルだと思う。
だけど、肝心なことは何も聞けないし、言えないでいる。

今でも鞘師さんのことを思ってるのかな。
ハルの知らないところで、あの日みたいに泣いたりしてるのかな。
少しはハルのことを考えてくれる夜もあるのかな。

好きだなんて言うつもりはないけど、まーちゃんを知れば知るほど、好きな
気持ちは膨らんでいく。
そのうち爆発しちゃうんじゃないかってくらい、大きくなっていく。

毎日、その気持ちを抑えることに必死で、まーちゃんと会うたびに苦しい。
そばにいれるだけで、ただそれだけで嬉しかったはずなのに。

417 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:03
今日はクラスの用事で中庭へ行くのが遅くなってしまった。
最近のまーちゃんはちょっとしたことで拗ねるから、急いでいつもの場所へと
向かう。
冬なのにポカポカ暖かくて、昼寝でもしたい気分だ。

まーちゃんはベンチに座って俯いていた。
怒らせちゃったかな。
恐る恐る近付いてみても反応はない。

「まーちゃ…」

そっと肩に手を触れると、まーちゃんはそのまま横に倒れていく。

「ちょ…」

慌てて支えると、気持ち良さそうな寝息が聞こえた。
どうやら、まーちゃんにとっても昼寝日和だったようだ。

418 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:03
ハルの腕枕で気持ち良く寝ているまーちゃん。
必然的に顔の位置も近くなる。
意識した途端に胸の鼓動が速くなる。

まーちゃんの顔はすごく整っていて綺麗だ。
鼻筋がすっとしていて、バランスも良い。
笑わなければ美人なんだけど、笑顔はもっとかわいい。
ずっと笑っててほしいけど、実は拗ねた顔も好きだったりする。

今はこの閉ざされた空間でまーちゃんを独り占めできるけど、いつかはきっと
誰かのものになる日が来るだろう。
想像するだけで耐えられない。

419 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:03
熱を出したあの日のように、まーちゃんのほっぺに手を添える。
心地良い温もり。

「ん…」

まーちゃんが身じろぐ。
くすぐったそうに、だけどどこか嬉しそうに。
良い夢でも見てるのかな。

無防備な寝顔から目が離せない。

420 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:03
「…どぅー」

まーちゃんが発したその言葉に耳を疑う。
瞼は完全に閉じている。
間違いなく眠っている。

心臓が止まりそうになる。

421 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:04
「どぅー…」

まーちゃんがもう一度はっきりとハルの名前を呼んだ瞬間、抑えていた思いが
溢れ出した。

422 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:04
そこから先のことはよく覚えていない。
ただ覚えているのは、唇の感触と、走り去っていくまーちゃんの後ろ姿。

それ以来、まーちゃんは中庭に来なくなった。

423 :名無飼育さん :2016/12/25(日) 17:05
本日は以上です。

次回、最終回の予定です。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
424 :名無飼育さん :2016/12/29(木) 15:45
わー!って思わず声に出してしまいましたw
かわいい2人がどうなるのか楽しみです。
最終回なの寂しいけど・・・
425 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:38
>>424
レスありがとうございます!
楽しんでいただいて嬉しいです。

最終回も楽しんでいただければ幸いです。
426 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:38
まーちゃんが中庭に来なくなってから、ハルの学校生活は一気に色を失った。
大袈裟かもしれないけど、何をやってもつまらない。

まーちゃんが学校に来てることはわかってる。
だけど、自分から会いに行く勇気なんてなかった。

あの日のように逃げられたらどうすればいい?
あのキスのこと聞かれたらどう説明すればいい?
会えなくて辛いのはハルだけで、まーちゃんはなんとも思ってなかったら?

ネガティブな思考ばかりが頭に浮かんで、もう何も考えたくなかった。
427 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:38
ある日、校門を出たら意外な人と遭遇した。

「久しぶり」
「…鞘師さん」

どうやらハルのことを待っていたらしい。
会うのは遊園地以来だからどことなく気まずい。

「…あの」
「この前は、ごめん」
「え?」
「遊園地で、酷いこと言って」

―――――…優樹ちゃんのこと、本気?
―――――遊びだったら、やめてほしい

「あの日、優樹ちゃんに怒られたんだ」
「…え?」
「「どぅーに何言ったの!」ってすごい剣幕で」

まーちゃんは鞘師さんが好きなのに、なんで…。

「優樹ちゃんに好意を持たれてることはわかってたから、まさか怒られると
 思わなくてさ。結構ショックだったりして」
428 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:39
「優樹ちゃん、最近元気ないんだって。亜佑美ちゃんが心配してた」
「…まーちゃん」

ハルはそれ以上、何も言えなかった。
ただただ知りたいと思った。

あの日ハルを追いかけてきてくれた理由を。
最近元気のない理由を。
そして、今のまーちゃんの気持ちを。

だってハルは、まーちゃんへのこの思いをなかったことになんて出来ない。
あの笑顔を手放すことなんて出来ない。

諦めることなんて出来ないから。
429 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:39
「鞘師さん、ハルは…」

自分の気持ちを確認するように、目の前の人に告げる。
あの日の鞘師さんの問いに対する答えを。

「本気です、まーちゃんのこと」

鞘師さんは少しだけ驚いたように目を見開いたあと、優しく笑ってくれた。
430 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:39
翌日は全校スポーツ大会で、覚悟を決めて吹っ切れたハルは絶好調だった。
ゴールを決めまくり、黄色い声援が飛びまくる。
まーちゃんもどこかでハルのことを見てくれているかな。

圧勝で優勝を決めて教室へ戻る途中、クラスメイトの会話が聞こえてきた。
どうやらバスケの試合中、倒れて保健室に運ばれた子がいるらしい。

「誰だっけ、あの子」
「確か1組の…」
「あー、佐藤さんだよね」

その名前を聞いた途端、ハルは保健室へと駆け出した。
431 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:40
「まーちゃん!」

保健室のドアを乱暴に開けると、中にいた先生から「静かに」と叱られた。

「すいません。あの、佐藤さんが倒れたって聞いて…」
「…どぅー?」

カーテンの向こうからまーちゃんが顔を出した。

「まーちゃん、大丈夫!怪我したの?どっか痛い?」
「工藤さん、落ち着いて」

またもや先生に注意されたハルを見て、まーちゃんが笑う。
その笑顔を見て少しだけ落ち着きを取り戻す。
432 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:40
まーちゃんはどうやら貧血で倒れたらしく、怪我はしていないようだ。

「寝不足だったみたいね。今日はちゃんと寝るように」
「…はーい」
「どうする?おうちの人に来てもらう?」
「平気です。一人で帰れ…」
「平気です!ハル、送ってくんで」

先生にそう伝えると、まーちゃんは一瞬驚いたあと、露骨に嫌そうな顔をした。

「いい、一人で帰れる」
「ダメだって、送ってく」
「いいってば」
「途中で倒れたらどうすんの?」
「もう平気だし」
「いいから、送ってく」

どちらも譲らないそのやり取りを見かねたのか、先生が助け舟を出してくれた。

「佐藤さん、今日のところは送ってもらいなさい。工藤さん、よろしくね」
433 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:40
ハルとまーちゃんが黙ったまま玄関を出ると、いつの間にか雨が降っていた。

「やべ、傘ない」

そう呟くと、まーちゃんは無言で鞄から折り畳み傘を取り出した。
徐に開いてハルに差し出す。
小さい傘だから二人の距離は自然と縮まる。

覚悟を決めたとはいえ、どうやって切り出せばいいのか。
二人きりのチャンスなのに、時間だけが過ぎていく。
434 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:40
雨は徐々に強くなっていく。
不意に二人の肩がぶつかって、まーちゃんが咄嗟にハルから離れる。
あんなに近くにいたのに無性に寂しくなって弱気になる。

「…まーちゃん」

まーちゃんは何も言わない。

「あのさ、ハルがいるから中庭に来ないなら、もうハル行かないからさ。
 もともと、まーちゃんがいた場所なんだし」

ハルがそう言うと、まーちゃんは立ち止まり俯いた。

「…がうの」
「まーちゃん?」
「…違うの、そうじゃなくて」

下を向いたまま、まーちゃんは何度も首を横に振る。
435 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:41
「まさ、変なの。やっさんのことが好きなのに、好きなはずなのに、どぅーの
 ことばっか考えちゃう。なんでかわかんない。どぅーのことばっか、頭の中
 ぐるぐるしてる」

まーちゃんが泣きそうな顔でハルを見る。

「…どぅー」
436 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:41
まーちゃんが小さな声でハルに告げる。

「…好き」
437 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:42
気付いたらハルはまーちゃんのことを抱きしめていた。
傘が落ちて二人とも雨に濡れる。

「…どぅー、濡れちゃうよ?」
「…うん」
「どぅーが風邪ひいちゃう。体弱いんだし」
「平気だし」

恋を自覚したあの日から胸の奥に閉じ込めた思いが溢れ出していく。

「まーちゃん、好きだよ」

抱きしめる腕に力を込めると、まーちゃんは大人しくハルの腕の中に収まって
くれた。
体は冷たいはずなのに、心の中に温かさが広がっていく。
ずっとこの温もりを離したくないと思った。
438 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:42
しばらくして少しだけ冷静さを取り戻す。

「ごめん、まーちゃんが風邪ひいちゃうね」

傘を拾おうと離れようとしたら、上着の裾をギュッと引っ張られた。

「…まさはいい」
「…まーちゃん?」
「風邪、ひいてもいい。そしたらどぅー、またお見舞いに来てくれるでしょ」

悪戯っ子のようにはにかむまーちゃんを、ハルは再び強く抱きしめた。
439 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:42
「…っくしょん!」
「…やっぱどぅー、体弱ーい」
「うっさい…」
440 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:42
まーちゃんの家に着くと“ハハ”が「あらまあ」と驚き、慌ててお風呂を
沸かしてくれた。
ハルが先に入って、まーちゃんが出てくるのをリビングで待っていると、
“ハハ”が温かいカフェオレを入れてくれた。

「あの、すいません。お風呂、ありがとうございました」
「いいのよ、送ってくれてありがとう」
「あと、いつもお弁当もありがとうございます」
「え?お弁当って?」

“ハハ”は何のことかわからないのか、キョトンとしている。

「えっと、ハルのお弁当作ってくれてるって、まーちゃんが言ってて…」
「あー、あれ、優樹が作ってるのよ」
「…え?」
「ついでに作ろうかって言ったのに、「自分で作る」ってきかなくてね。あの子、
 変に頑固なところがあるから。二個食べるなんて言ってたけど、やっぱり
 どぅーちゃんのだったんだ」

―――――ハハが!一つも二つも一緒だからって!

あのときムキになっていたのは、そういう理由だったのか。
441 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:42
「あー、あったまったー」

絶妙なタイミングでお風呂からあがってきたまーちゃん。

「…何?なんでニヤニヤしてんの、どぅー」
「へ?…あー、いや、別に…」
「ハハまで、何?まーちゃんのいないときに何の話してたの?」
「な、なんでもないって…」
「ウソだ!絶対にまーちゃんのこと話してたでしょ!」
「ホント、違うって」
「もう!どぅー、嫌い!」

凄い剣幕で怒られているのに、ハルは顔がニヤケるのを抑えられなかった。
442 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:43
「まーちゃん、いい加減、機嫌治してよ」

部屋へ移動しても、まーちゃんはご機嫌斜めのままで。

「まーちゃーん」

ベッドに寄りかかり拗ねているまーちゃんの隣に座る。

「ごめんって」
「…別に、もう怒ってない」

優しく甘えるような声色。
本当にもう怒りは収まったようだ。

ホッとした途端、部屋に二人きりという状況を急に意識してしまう。
443 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:43
お風呂あがりのまーちゃんから甘い匂いが漂ってくる。
こんなシチュエーション、今まで他の女の子といっぱい経験してきたのに。
まーちゃん相手にはそんな経験、なんの役にも立たない。

「…どぅー」
「…ん」

まともな返事すら出来ない。

「今日は、…チューしてくれないの?」

そんなかわいいことを言われたら、キスする以外の選択肢なんてない。
いやそんなこと言われなくても、ハルはずっとそうしたかった。

同じタイミングでそう思ってくれたことが嬉しくて恥ずかしくて誇らしい。

ゆっくりと顔を近付けると、まーちゃんはそっと目を瞑る。
そのかわいい顔に見とれながら、ハルはまーちゃんにキスをした。
444 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:43
「まーちゃん」
「んー?」
「ハル、明日のお弁当は卵焼きが良いな」
「…ハハに言っとく」
「楽しみだなー」

とぼけているまーちゃんがかわいくて。
だから、本当は全部バレていることは、しばらく言わないでおこう。
445 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:44
恋のタイミング

終わり
446 :名無飼育さん :2017/02/26(日) 22:48
本日は以上となります。

まーちゃんの復帰が発表されて、ひとまずホッとしました。
無理はしてほしくないけど、またあのパフォーマンスが見たい。
ヲタとは勝手なものですが、全力で応援しようと思います。

初めてのまーどぅーでしたが、書いていてとても楽しかったです。
ありがとうございました!
447 :名無飼育さん :2017/03/21(火) 17:34
素敵なまーどぅーをありがとうございました
448 :名無飼育さん :2017/04/16(日) 14:06
まーもどぅーもかわいかったです!
特に最後の方はどぅーと一緒ににやけてしまいました
ありがとうございました!

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