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プリズムの色

1 :名無飼育さん :2014/04/22(火) 23:38
工藤遥の一人称でおくるミステリー小説です
ミステリーの中でもとくに「日常の謎」を書いていきます
259 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:27

 時間を確認したわけじゃないけれど、たぶん三十分と経っていないだろう。
一階から、まーちゃんのお母さんの声が聞こえてきた。

「優樹ー、遥ちゃーん、もう降りてきていいわよー」
「はーい」

 漫画話もそこそこに切り上げ、ハルたちは部屋を出た。

 まーちゃんの妹の姿が見えないので、階段を降りながら訊いてみると、
妹は妹で、よその家のクリスマスパーティに呼ばれたそうだ。
階段を降り切ると、まーちゃんは振り返って言った。

「だからくどぅーを呼んだんだよ」

 さいですか。なんとなく、予想はついたけれど。
260 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:27
 扉を開けリビングへ。

「さあ、食べましょう」

 ハルはまーちゃんの隣に座った。正面にまーちゃんのお母さん、斜め向かいにお父さんが座る。
この四人で卓を囲むと、ハルも佐藤家の一員になったんじゃないかと思えてくる。

 クリスマスらしく、まずはシャンパン風の飲み物で乾杯。

「いただきます」

 テーブルの上にはフライドチキンにポテト、ローストビーフにサラダなんかもあった。
なかなか豪勢だけれど、これは四人で食べるには少し多いかもしれない。
このあと出てくるケーキの分も考えておかなければ。

 食事中の話の種は中学や高校のことがほとんどだった。
私立ならともかく、公立高校の受験は各中学によって調整され、高倍率になることはないらしい。
それを聞いてほっとしていたところに、それでも落ちる人はいるからね、と言われてしまった。
なにも上げてから落とすことはないのに。

 それから学校でのまーちゃんの様子を訊かれたので、このまんまですと答えておいた。
間違ってはいないはずだ。
261 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:28
 やがてみんなの箸が落ち着いてきたところで、ケーキの出番となった。

「そろそろケーキにしようかしら」

 と思ったらその前に一つのイベントが挟まれた。

「じゃあテーブル片付けるから、優樹、いまのうちに遥ちゃんにプレゼント渡しちゃいなさい」
「そうだね」

 プレゼントならハルも持ってきている。しかしそれはいま、まーちゃんの部屋に置いてある。
さっき部屋に上がったとき、そのまま置いてきてしまったのだ。

「ちょっと待ってて、ハルもプレゼント取ってくるから」

 そう言って二階に上がる。戻ってくると、まーちゃんはリビングに移動していた。

「じゃあ、くどぅーのを先に貰おうかな」
「おっけー」
262 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:28
 ハルはプレゼントを紙袋のまま差し出した。
まーちゃんは紙袋から箱と一枚の封筒を取り出すと、まずは箱のリボンをほどき始めた。

「なにかな、なにかなー」

 即興の歌を口ずさみながら包装もきれいにはがしていく。

「あ、なにこれ!」
「アロマキャンドルのセットだよ」

 十軒ほど回って買ったのがアロマっていうのも微妙な話だけれど、
ハルが言わなければまーちゃんにはわからないこと。
プレゼントは、最終的に喜んでくれさえすればいいのだ。

「なにを買おうか迷ったんだけど、これなら飾れるし使えるしでいいかなと思って」
「ありがとう! じゃあしばらく飾っておいて、年が明けたら一つ使ってみようかな。
あとこっちは手紙だね。いま読んだ方がいい? それともあとの方がいい?」

 まーちゃんは手紙を胸の前に掲げながら訊いてきた。

「じゃあ、あとでお願いします」

 渡した紙袋はこちらで引き取った。
263 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:29
 次はまーちゃんからのプレゼントをハルが受け取る番。
手渡されたのは手の平サイズの箱と、手紙。
手紙はあとで読むことにして、箱の方は大きさの割に重たいものだった。

「重い。なにが入ってんの?」
「ふふ、開けてみて」

 プレゼント用の包装をほどきふたを開けると、中には熊が入っていた。

「く……ま?」
「そう、クマ。可愛いでしょ?」

 箱から取り出し全体像を確認する。
切り株を抱くようにして座り本を読む、少しだけデフォルメされた熊。
なんの材質でできているのか、小ぶりなのに重たい。

「これ、意外と好きかも」
「あはは、よかった。まさの手紙もあとで読んでね」
「うん」
264 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:29
 そうやってハルが頷くころにはすでに、ケーキの用意はできていたらしい。
まーちゃんのお母さんは声をかけるタイミングを探していた。

「二人ともプレゼントは気に入ったみたいね、よかったじゃない。こっちもケーキの用意ができたわよ」

 再びダイニングテーブルに移動し席に着く。
お待ちかねのケーキは、イチゴをたっぷり使い、
上には筆記体でメリークリスマスと書かれたホワイトチョコと、
砂糖でできたサンタクロースが乗っている。
ケーキを切り分けて貰うと、ホワイトチョコはハルのお皿に、
サンタクロースはまーちゃんのお皿に乗せられた。

 イチゴの酸味が効いたケーキはぺろりと平らげてしまった。
甘いものは別腹とはよく言ったものだ。
またしばらく談笑していると、まーちゃんのお母さんは立ちあがり、

「そろそろお風呂の用意もしなきゃ」

 と言った。それじゃあハルもそろそろと思い立ち上がる。
265 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:29
「くどぅー、どこいくの?」
「え、いや、そろそろ帰る時間かなと思って」

 そう言うと、みんなの視線がハルに集まった。

「泊まっていかないの?」
「そうよ遥ちゃん、泊まっていっていいのよ」

 予想外の展開。とはいえ泊まるにしても準備というものがある。

「でも、着替えを持ってきてないし」
「まさのを貸してあげるよ」

 いやそれはさすがにちょっと。
そんなハルの表情を読み取ったのか、まーちゃんのお母さんが付け足した。

「買ったばかりで、優樹がまだ使ってないのがあるから大丈夫よ」
「あ、そうなんですか……」

 それなら、まあ、いいのかな? なんだかよくわからなくなってきた。
とはいえ、ここまで言われて帰るわけにもいかない。

「でも実は、お母さんにはもう伝えてあるの。お世話になりますって言ってたわよ」

 それだけ言い残してまーちゃんのお母さんは風呂場へと向かった。
ハルはその後ろ姿を、ぽかんと口を開けたまま見ていた。
266 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:30
  4

 まーちゃんのお父さんを差し置いて、一番風呂はハルが貰った。
本当によかったのかとハルがしつこく訊くと、

「別にかまわないよ。それに最近は、娘が一番最初に入ることも多いからね」

 と、どこか寂しそうに言った。
思えばこの家に男性はお父さん一人だ。
パワーバランスが女性の方に傾くのは仕方のないことかもしれない。
そんなことを思いながら二階に上がると、まーちゃんと入れ替わるようにして部屋に入った。

 ベッドにもたれるように座り、とりあえずテレビをつけた。
友だちの部屋に一人きり。それでもなぜか居心地は悪くなかった。
しばらくテレビを眺めていたが、そういえばと思い出し、まーちゃんから貰った手紙に手を伸ばす。

 横長の封筒には雪の結晶の柄が入っていて、
表には「くどぅーへ」、そして裏は可愛い犬のシールで止められていた。
破れないように慎重にはがし、二つ折りの紙を取り出す。
267 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:31

  くどぅーへ

 メリークリスマス!

 今日はクリスマス会に来てくれてありがとう。まさからのプレゼントは喜んで
もらえたかな? 喜んでくれてると、嬉しいな。

 実は、去年のクリスマスも誘うつもりでいたんだよ。でも親戚で集まることに
なって、くどぅーを呼べなくなっちゃったの。だから今年こそは、って内心思って
た。くどぅーを誘ったあのとき、今までで一番緊張していたかもしれない。
 いや、さすがに一番は言いすぎたかな(笑)
 来年はくどぅーのおうちでやりたいな。お母さんに相談しておいてね。

 ところで、まさにはずっと気になってることがひとつあるの。くどぅーは覚えてい
るかな? ケーキを予約しに行ったとき、まさたちの前にいたカップルのことを。
 あのとき彼氏さんは、クリスマスケーキを頼んだのに、上に乗ってる飾りは要
らないって不思議なことを言ってた。なんでだろう。くどぅーの考えを聞いてみた
いな。

 年が明けたら、高校受験が待ってるね。

 まさたちの受験が、上手くいきますように。

                                       さとう まさき
268 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:31
 あの日のことはよく覚えている。彼氏が取った謎の行動も、彼女の言葉も。

 ハルもあの場では、わかっていなかった。
でも、まーちゃんへのプレゼントを買いに出かけたとき、あゆみんと話していて気がついた。
その帰りに、せっかくだからと百円ショップに立ち寄りレターセットを買いに行ったのだ。

 あの日のことは手紙に書いた。それでも、なにか訊かれれば答えるつもりでいる。

 風呂上りでほてった体も少し落ち着いてきた。
手紙は封筒にしまって、ハルは本棚から雑誌を一つ拝借した。
まーちゃんが戻ってくるまで、これでも読んで待っていよう。

 日付が変わればクリスマス当日。今日は長い夜になりそうだ。
269 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:32
  5

 着替えを持って部屋を出ようとドアを開けると、目の前にくどぅーが立っていた。
少し驚いたけれど、大丈夫、くどぅーはきっと気づいていない。
一言二言、言葉を交わしてから、まさは階段を下りた。

 脱衣所に入り着替えを置くと、服の間に挟んでおいた封筒を手に取った。
クリーム色の封筒に柄はなく、飾りといえば裏面にはられた丸いシールだけだった。
もう少しクリスマスを意識してくれるとよかったけれど、そこはまあよしとしよう。

 それにしても、くどぅーが手紙を書いてくるなんて驚いた。
あの場で読もうかとも思ったけれど、あとでと言われたのでやめることにした。
でもいまならもう、その「あとで」に含まれているよね。

 小さく笑いながら手紙を取り出すと、そこには見慣れたくどぅーの文字が並んでいた。
270 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:32

  まーちゃんへ

 手紙なんて書くタイプじゃないけど、今日は特別かな。うまくまとめられるかどう
かは、とりあえず書いてから考えてみるよ。

 一緒にケーキの予約をしに行ったあの日のことを、まーちゃんは覚えてるかな。

 覚えていることを願って書くけど、あのとき彼氏が注文したケーキは、クリスマ
スケーキじゃなくて、二十歳になる彼女への誕生日ケーキだったんじゃないかと
思うんだ。

 彼が受取日に指定した十二月二十四日は、彼女の誕生日だった。だから彼
は、サンタの飾りを取ってほしいと言った。なぜなら、彼が欲しかったのはクリス
マスケーキではなく、誕生日ケーキだったから。
 まーちゃんも言ってたよね、サンタの居ないクリスマスは寂しい、って。
 彼女をわざわざ先に店の奥に行かせたのは、サプライズがしたかったからか
も。二十歳の誕生日なら、そんな気になってもおかしくはないよね。

 それから、彼がチョコのケーキを頼んだのは、彼女がチョコ系のケーキが好き
だったからかもしれない。だってあのとき彼女は、ガトーショコラかザッハトルテ
で悩んでいたしょ。まあ、その日の気分っていう可能性もあるけど。

 最後になったけど、クリスマス会、呼んでくれてありがとう。
 これからも、よろしく。

                                          工藤 遥
271 :サンタの居ないクリスマス :2014/12/23(火) 16:33
 くどぅーも同じことを考えていたんだね。誕生日ケーキ、か。なるほど。
くどぅーの言う通り、そう考えればあの日のことはだいたい説明できる。
お会計のときに彼氏が一人になったのは、
男としての見栄かと思っていたけれど、サプライズのためだったのか。

 それにしても、この手紙だけではわからないことが一つある。
くどぅーはわざと書かなかったのかな。それとも、ただ単に書き忘れたのかな。

 たぶん、書き忘れたんだろうな。お風呂から上がったら、くどぅーに訊いてみよう。

 彼女の年齢が、どうしてわかったのか。
272 :名無飼育さん :2014/12/23(火) 16:34
>>234-271
『サンタの居ないクリスマス』
273 :名無飼育さん :2015/01/06(火) 22:27
一度読んでタネが分かったらまた読み返したくなる
再読率ナンバーワンかもしれないw
でも最後の一文は読み返しても分からないなぁ・・・気になります
274 :名無飼育さん :2015/01/07(水) 00:13
面白い!
他の作品も読みたいのでレス1から読みますね

しかしあの文で年齢がわかるどぅーは何者www
275 :名無飼育さん :2015/01/10(土) 17:12
>>273
何回でも読んじゃってください
最後に関してはもう一度考えてみてくださいとしか言えないですね

>>274
ありがとうございます
他の作品も気に入ってもらえると嬉しいです
276 :名無飼育さん :2015/01/10(土) 17:22
3回くらい読んでやっと年齢のからくりがわかりました!
ああスッキリしたw
277 :名無飼育さん :2015/03/09(月) 13:50
『伝えるべきは』
278 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:51
  1

 セットしていた目覚ましが鳴るまで、目を開けて三秒と経たなかった。
なにかしらの電子的な気配に気づいたのだろうか。それとも今日のせいで体が緊張していたのだろうか。
まあ、ただの偶然とするほうが可能性としては一番高く、現実的な考え方だとは思う。

 体をひねるように手を伸ばして目覚ましを止めると、改めて時間を確認した。

「七時か」

 小さく独りごちながら体を起こし、ベッドに腰掛けた。
それから大きく伸びをして立ち上がると、カーテンを勢いよく開けてめいっぱい陽の光を浴びる。

「あれ……晴れてる?」

 誰にも見られていないのをいいことに、ハルはわざとらしく首を傾げてみせた。
一昨日の夕方から降り始めた雨は、昨日の夜もまだ降り続いていたと記憶している。
それがいまではすっかり太陽が顔を見せていた。これなら今日一日、雨が降ることはないだろう。
279 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:51
 式自体は体育館で行われるので直接的に天候が影響することはないけれど、気分というものもある。
そう考えれば晴れてくれてよかった。きっとハルたちの学年には、晴れ女や晴れ男の数が多かったのだろう。

 今日でハルは、中学を卒業する。

 高校生になれるかどうかは週末の試験の結果次第だけれど、気負い過ぎるのもかえって良くない。
だからきっと、ケセラセラの気持ちでその日を迎えることになるだろう。

 部屋を出ようと踵を返したところで携帯が鳴った。
どうやら電話ではなくメールが届いたらしい。差出し人の欄には、佐藤優樹と表示されている。

『おっはよー まさが迎えに行くから、今日は一緒に行こうね』

 内容を確認すると、すぐに返信画面を開き、文字を入力する。

『待ってるよ』
280 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:52
  ◇

 一階に降りると、台所で母親が朝ご飯の支度をしていた。
ハルの姿を見てとると、動かす手を止めることなく、

「遥、もう起きたの? 毎朝こうやって自分で起きてくれれば私も楽だったんだけどね」

 と器用に毒づいてきた。そして、

「もうすぐご飯出来るから、先に顔洗ってきなさい」

 と付け加えた。言われるがままにハルは洗面所へ向かう。
三月になったとはいえまだまだ寒い日が続くので、今日もぬるま湯で顔を洗うことにしよう。

 リビングに戻るころには朝ご飯の用意は整っていた。
弟たちは休みなので、テーブルにはハルと母親の分だけが出ている。
今日のメニューは鮭の塩焼きと出汁巻き玉子、それから大根と油揚げの味噌汁だった。

 朝のニュースを後ろに聴きながら、まずは味噌汁をずずっと啜り冷えた体を温める。
続いて鮭を一口含み、流れで白米をいただく。
続いて出汁巻き玉子に手を伸ばそうとしたところで、母親が訊いてきた。
281 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:52
「ねえ最近の卒業式って、全員に卒業証書渡さないんでしょ?」
「二百人くらいいるのに全員分やる時間はないよ」
「まあ、それもそうね」

 納得したらしいのでハルは出汁巻き玉子を頬張った。
この出汁巻き玉子はお弁当の定番のおかずで、まーちゃんにも何度かあげたことがある。
そのまーちゃんが言うには、うちの出汁巻き玉子は美味しいらしい。
よそのものと比べたことがないのであまり実感はないけれど、言われて嫌な言葉ではない。
惜しむらくは、この事実を母親にまだ伝えていないということだけだ。

「お父さん、今日は来れないみたい」

 鮭の身をほぐしながら母親が言った。

「いいよ別に」

 それに対して、ハルはせいぜい興味なさげに言った。
一階に降りてきた時点で父親がいないことには気づいていたし、食卓に二人分しか用意されていないのを見て確信した。
無理に来てほしいとは思わないし、仕事ならば仕方がない。

「ごちそうさま」

 食べ終えたお皿は流しに置いて、ハルは自分の部屋に戻った。
282 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:53
 ベッドに腰掛け、ハンガーにかけておいた制服に目をやる。
三年間着続けたこの制服を着るのも今日で最後かと思うと、こんなハルでも心に込み上げてくるものがある。

 ……いや、制服を着るのは受験の日が最後か。

 うん。いまのはなかったことにしよう。

 着替えを済ませ、教科書の入っていないカバンを持って下へ降りると、
ちょうどテレビでは今日の星座占い第一位を発表していた。
中途半端に一位だけを知ってしまったので、自分の順位が無性に気になってしまった。
さそり座は一体何位だったんだろうか。最下位でなければいいのだけれど。

 コマーシャルに入ったと同時に大きくあくびをすると、近くのソファーにどっかりと座り込んだ。
しばらく携帯をいじっていると、皿洗いを終えた母親が声をかけてくる。

「なにもすることがないなら学校に行けば? こんな日に遅刻しちゃダメよ」
「まーちゃんが迎えに来るから待ってるの。それにまだ遅刻する時間じゃないし」

 言い終わるが早いか、玄関のチャイムが鳴った。

「ふふ、お迎えが来たわよ」

 そう茶化す母親を軽く流してカバンを手に取る。玄関までついてくるので、靴を履くと振り返って言った。

「行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」

 玄関の扉を開けると、まーちゃんが満面の笑みでこちらを見ていた。
283 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:53
  2

 卒業式が終わったのは十時を少し過ぎたころだった。
女性教諭の「起立」の声を聞いて長イスから立ち上がり、体育館の中央を通って退場していく。

 体育館にはいま、ハルたち三年生とその保護者たち、そして先生と二年生がいる。
一年生に関しては、生徒会役員などの特別な事情を除いて出席できないことになっている。
一年生まで入れてしまえば保護者が座るスペースが確保できないのだから、当然と言えば当然の話だろう。

 歩きながら左右に座る保護者をちらりと見るが、母親の姿は見つけられなかった。
もっともこちらが気づかなくても、向こうがこちらに気づいてくれさえすればいいのだ。
それに、あまりきょろきょろし過ぎるのも格好が悪い。

 体育館を出て、階段を上がる。教室に入ろうとしたとき、前を歩いていた生徒たちが次々に声を上げた。

「うわっ、なにこれ」
「わーすごーい」

 その声の原因は教室に入ってすぐにわかった。黒板いっぱいにチョークで絵が描かれていたのだ。
そしてその中央には「三年A組のみなさん 卒業おめでとうございます」と二行に分けて白字で書いてある。
ほかのクラスからも驚きの声が聞こえてくるので、きっと同じようなメッセージが書かれているのだろう。
284 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:54
「こういうサプライズ、まさは好きだなあ。でも誰が書いたんだろうね、これ」

 黒板に目をやりながら、まーちゃんは言った。
当たり前のことだけど、卒業式の前にはまだこれは書かれていなかった。
それを踏まえれば、誰が書いたかはそう難しいことではないはずだ。

「さあ、誰だろうね」

 しかし、それをまーちゃんに伝えるかどうかはまた別の話だろう。

「はいみんな席についてー」

 黒板の絵にざわつく生徒たちを先生は制する。

「いまから卒業証書渡していくよー。これを貰わないと卒業できないよー」

 最後のは冗談だろうけど、生徒たちには受けが良かった。

「じゃあ、浅野さんから――」
285 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:54
  ◇

 三六人分の卒業証書を渡し終えた先生は、ひとつ咳払いをした。
それを聞いた生徒たちも、自然と静かになる。

「えー改めて、卒業おめでとうございます。

 この中学校で過ごした三年間。それはみんなにとって、どんな三年間になったのでしょうか。
いまはまだわからないかも知れませんが、きっとこれからの人生に大きな影響を与えてくれることでしょう。

 そして、私には中学からずっと親交のある友人が何人かいます。
なにか悩みごとができると、親よりも先に相談することもあります。
先生は、みんなにもそういう友だちを見つけてほしいと思っています。
どれだけ仲のいい友だちでも、離れ離れになってしまえば自然と疎遠になります。
それでも繋がる努力を怠らなければ、きっとその縁は切れることはないでしょう。
いつかどこかで、あなたを助けてくれるはずです。
だからみんなは、その努力を怠らないでくださいね。
そして……先生のこともたまには思い出してください」

 最後は自嘲気味に笑って、先生は話にオチをつけた。
286 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:54
「先生、一緒に写真撮ろー」

 卒業というしんみりとした空気を断ち切るかのように、一人の生徒が立ち上がる。
それに続いてぞろぞろとクラスのみんなも立ち上がると、黒板を背景に集まった。
絵がちゃんと見えるようにとしゃがみながら、誰が撮るのか考えていたけれど、
そういえばタイマー機能というものがあったはずだ。

 それから何枚か写真を撮ったあとは、ほとんど自由解散のような感じで、
仲のいいグループで集まって話したり、先生との別れを惜しんだりと様々だった。
気づけば人数も減っているので、よそのクラスへと行った生徒もいるのだろう。

「くどぅー、もう帰るの?」

 視線を巡らすハルを見て、まーちゃんが訊いてきた。

「んー、どうしようかな。まーちゃんはなにか用事ある?」
「そうだね、もう充分かな」
「なら帰ろうか」

 カバンを持って教室を出ると、廊下にも生徒たちがたくさんいた。
ハルたちはその間を縫って昇降口に向かった。
287 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:55
「ねえくどぅー、あの黒板に絵を描いたのは誰なの? 教えてよ」

 知ってるんでしょ? と言いたげな目でまーちゃんはこちらを見てくる。
こうもはっきりと訊かれれば、答えないわけにはいかないだろう。

「まだ気にしてたの? でも、少し考えればまーちゃんにもわかることだよ」

 そう前置きしてからハルは説明を始めた。

「まず、朝のうちにあの絵が描かれていない、っていうのはいいよね。
描いてあればすぐに気づくし、なにかで黒板が隠されていたわけでもない。
となるとあの絵を描いたのは、卒業式が行われている間ということになる。

 卒業式にはハルたち三年生のほかに、保護者、先生たち、二年生がいた。
でも三年生は最後に入場して最初に退場した。
つまりあの場にいた人たちには、絵を描くチャンスはなかったということになる。

 では、誰があれを描いたのか」

 そこで一旦言葉を切って、まーちゃんからの返答を待ってみた。
下駄箱から靴を取り出すと、履いていた上靴は袋に入れてカバンにしまった。
288 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:55
「……一年生?」

 弱々しくまーちゃんは答える。

「そう。多分だけど、生徒会の子たちが企画したんじゃないかな。
一クラスだけならまだしも、六クラス全部の黒板に描いたみたいだから、何人かは有志を募っただろうけどね」

「ふーん、なるほどね」

 まーちゃんがそう納得したところで、二人の女の子が話しかけてきた。

「佐藤先輩、卒業おめでとうございます」
「わー、ありがとー」

 誰かと思ったが、どうやら女子バスケ部の後輩らしい。
丸顔で短髪の子と、くりっとした目が印象的な子の可愛いらしい二人だった。

「それから工藤先輩も、卒業おめでとうございます」

 律儀にも、二人はハルにもおめでとうと言ってくれた。
部活に入っていないので、後輩からそんなことを言われるとは思ってもいなかった。

 ……ん?

「えっと……」
289 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:56
 ハルが返答に窮していると、二人は少し焦った表情になった。

「すいません、工藤さんじゃなかったですか」

 と短髪の子は言うが、「工藤さん」で合っているから問題なのだ。

「そうじゃなくて、どうしてハルの名前を知ってるのかなと思って」
「ああ。佐藤先輩がよく工藤先輩のことを話していたんです。
一緒にいることが多いって言っていたので、きっとそうだと思ったんです」
「なんだ、そういうことだったんだ」
「それから、変なところで頭がいい人だとも言ってました」

 くりっとした目の子が付け足した。すかさずまーちゃんの方を見ると、よくわからない言い訳をしてきた。

「いや、いい意味で、だよ」
「どういう意味だよ。まあ、別にいいんだけどさ」

 焦るまーちゃんをハルは笑い飛ばした。

「もおー、佳奈ちゃんが余計なこと言うからだよー」
「ああごめんなさい」

 自分で蒔いた種なのに後輩のせいにするとは、まったく理不尽な先輩だ。

「ふふ、やっぱり仲いいんですね」

 と短髪の子がほほ笑みながら言った。
290 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:56
「あ、そうだ。その変なところで頭のいい工藤さんに相談したいことがあるんですけど、いいですか?」
「ん、なに?」

 ハルがそう答えると、ポケットから一つの封筒を取り出した。

「これが、私の下駄箱に入っていたんですけど、なんだと思います?」

 手渡された封筒には少しだけ膨らみがあった。
手の平より一回り大きく、裏側は赤いハートのシールで留められている。

「ラブレターかなにか、かな?」
「やっぱりそうですよね」
「でも二年生だよね、えっと」

 短髪の子はハルの訊きたいことを察してくれた。

「私は村川です。村川沙織」

 それに続いてもう一人の子も名前を教えてくれた。

「あ、私は徳井佳奈って言います」
291 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:57
 さらに二人の自己紹介のあと、まーちゃんが補足説明してくれた。

「沙織ちゃんは女子バスケ部のエースで、佳奈ちゃんはキャプテンなんだよ」

 どやあ、とまーちゃんは自分のことのように胸を張る。ハルはそれを軽く流す。

「へー、そうなんだ。それで、村川さんも徳井さんも二年生だよね? 二年生に今日ラブレターを渡すかなあ」
「不思議なのはそこなんですよね」

 どうやら村川さんも同じ考えだったらしい。

「まあ、まだ中を見てないので、確定ではないですけど」
「あれ、まだ見てなかったの?」

 ハルは驚きの言葉を口にする。

「はい。開ける前にお二人を見かけたので」

 それはそれは、間が悪くてすみません。
292 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:57
「じゃあいま開けなよ」

 直属の先輩であるまーちゃんの言葉を受けて、村川さんは封筒を開くと、二つ折りの紙を取り出し黙読した。

「んー。ラブレターって言うんですかね、これは」

 村川さんは中に入っていた手紙を見せてくれた。

『先輩へ 十二時に体育館裏にきてください まっています』

 ボールペンで書かれた文字は全体的に丸みを帯びていて、小さめだった。
おそらく女子が書いたものだろう。それ以上のことはちょっとわからない。
宛名も差出し人も書かれていないこの手紙から、読み取れるものは少ない。

「やっぱりこの「先輩」っていうのは三年生のことですよね」

 という村川さんの言葉に、反対意見を出す人はいなかった。

「十二時か。まだ三十分以上もありますよ」

 徳井さんが携帯で時間を確認する。
293 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:57
 困ったハルは、いまの気持ちをそのまま言葉にした。

「で、どうしようか、これ」

 なにかの手違いで、予定していた人物のもとへは届かず、二年生女子の下駄箱に入っていたこの手紙。
「先輩」が誰なのかわかれば、下駄箱に入れ直すことも、直接渡すこともできる。
しかしそれは難しいだろう。なんせ、手がかりがなさすぎる。

「この「先輩」が誰かわかればいいんですけど……」

 徳井さんはそう口にしたが、それが難しいことだと理解しているらしい。

 残された手段は一つしかないとハルは思った。

「こうなったら、この手紙を出した人に正直に伝えるしかないですね」

 言おうとしていたことを先に村川さんに言われてしまった。仕方なくハルはそのあとを引き取って言う。

「そうだね。ならその役目はハルに任せて貰ってもいいかな」
「えっ」

 息を合わせたかのように三人ともが驚いた表情でこちらを見てきたので、ハルはわざとらしく笑って言った。

「いやあ、少し思い当たることがあってね」
294 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:58
  3

 あと十分ほどで十二時になる。少し早めに行っても問題はないだろう。
 さすがにこの時間になると生徒たちの姿はぐんと減る。
村川さんと徳井さんもハルに封筒を預けて帰っていった。
二人にはあとでまーちゃんから連絡がいくはずだ。

「ねえくどぅー、思い当たることってなに?」

 体育館裏へと歩きながら、ハルは自分の考えをまーちゃんに伝える。

「あの手紙がどうして村川さんの下駄箱に入っていたのか考えていたら、ちょっと悪い予感がしてね。
もしそれが当たっていたら、悲しいことだから」
「悪い予感?」

「うん。今日は卒業式なんだから、あの手紙に出てくる「先輩」は自然に考えれば三年生を指している。
でも封筒は二年の村川さんの下駄箱に入っていた。となると、誰かが間違って入れたという考えが出てくる。

 差出し人が間違えるなんてことはない。
だからハルは最初、入れたはずの手紙がなにかの拍子で落ちて、
それを拾った誰かが間違って入れたんじゃないかと考えた。
でもあの封筒は少しだけ膨らんでいた。
つまり下駄箱に入れられた後で、誰かが一度開けている。

 ねえ、まーちゃん、誰が開けたと思う?」
295 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:58
 ハルが訊くと、まーちゃんは少し考えて言った。

「沙織ちゃん……じゃないよね」
「そうだね、村川さんはまだ開けてないって言ってた。
普通、あの封筒に関わる人間で封筒を開くことができるのは、差出し人と、受取人しかいない。
差出し人でないとすれば、残るのは受取人。そう、「先輩」は一度あの封筒を開けている」

 そう言うと、まーちゃんは眉間にしわを寄せた。

「……それってどういうこと?」
「つまり「先輩」はあの手紙を読んで、その上で適当な下駄箱に入れ直した。
要するに、「先輩」は後輩の好意を蔑(ないがし)ろにした。これがさっき言った悪い予感」
「そんなこと……」

 まーちゃんはぽつりと呟いた。
しかし実際、宛名も差出し人も書いていなければ、イタズラかなにかだと考えても不思議ではない。
そうなれば無視されても、仕方ないと諦めるしかないのかも知れない。

「まさか、くどぅーはいまからそれを伝えるつもりなの?」
「はは。わざわざ傷つけに行くほど、ハルは性格悪くないよ」
296 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:59
 歩みを止め、軽く息を整える。
体育館裏につくと、一人の女子生徒がこちらに背を向けて立っていた。
手紙の差出し人はあの子で間違いないだろう。
近くまで寄って声をかけると、女子生徒は長い髪を手で押さえながら振り返った。
そしてハルたちのことを確認すると、少し残念そうな顔になった。

「すいません、いま人を待っているので」

 続く言葉を遮って、ハルは持っていた封筒を見せた。

「そ、それは! どうしてあなたが持っているんですか」

 さすがにこんな事態は想定していなかったのだろう。目を大きく見開いて驚きの表情を見せてくれた。
ハルは事情を説明する。もちろん、ハルがつくった嘘の事情を。

「いや、靴を履き換えようと思ったらこれが下駄箱に入っていてね。
中身を確認したら、十二時に体育館裏に来てくれって書いてあったからここに来たんだけど……。
どうやら人違いだったみたいだね」

 自分でも予想以上に下手な芝居でバレるか心配だったが、それは要らない心配だった。
長髪の彼女は嘆息を漏らす。
297 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:59
「そうですか。どうしてこうなったかはわかりませんが、上坂先輩には私の気持ちは伝わらなかったんですね」
「上坂先輩?」

 後ろからまーちゃんが口を挟む。上坂。どこかで聞いたような記憶があるな。

「上坂先輩って、バスケ部にいた上坂くんのこと?」

 まーちゃんが訊くと、長髪の彼女は頷いた。そして思い出した。
上坂くんとハルは、二年のとき同じクラスだった。
運動神経もよく、勉強もそこそこできる。
気さくな話し方と明るい性格の上坂くんを好きになる気持ちは、ハルにだってよくわかる。

 ただ、そうなると上坂くんが手紙を無視したということになってしまう。
その姿はちょっと、ハルにはイメージができなかった。

「でもたしか上坂くんは」

 そこまでまーちゃんが言うと、続きは長髪の彼女が引き取った。

「彼女がいるのは知っています。まさか、あなたたちのどっちか上坂先輩の彼女だなんてことはないですよね」

 疑いの眼差しでこちらを見てくるので、ハルは強めに言った。

「それはない」

 それから彼女という言葉が引っ掛かった。上坂くんには、付き合っている彼女がいる。
298 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 13:59
「そう。それならいいですけど。それに彼女がいる人に告白しちゃいけないなんてことはないですよね?
先輩に私の気持ちを伝えるくらい、許されてもいいはずです」
「……かも知れないね」

 ハルは一度肯定してから、言葉を続けた。

「でも上坂くんの彼女は許さないかも知れない。
ハルにもどうしてこの手紙が別の下駄箱に入れられていたのかわからない。
でもこの手紙が上坂くんに宛てられたもので、その上坂くんに彼女がいるのなら、わかる気がする。

 きっと、上坂くんの彼女がやったことなんじゃないかな。

 ハルたちのもとに封筒が回って来たときには、一度開けられた形跡があった。
上坂くんの彼女なら、下駄箱に入っていた封筒を開けたってそれほど不思議じゃない。
そして手紙には告白をにおわせる文章が書いてあったのなら……。

 褒められた手段じゃないけど、気持ちはわからないでもない」

 そこまで言って、まーちゃんがハルの袖を引っ張っていることに気づき、
そして同時にハルがやらかしてしまったことに気づいた。
ハルはなんのためにここに来たのか。
手紙の差出し人を傷つけるためではない。
伝えるべきは、こんなことではないはずだ。
299 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 14:00
 なにか訂正の言葉を、と思ったが既に遅かった。

 長髪の彼女は口角を上げ、静かに笑っている。しかし目の奥は一切笑っていなかった。
いまにも泣きだしそうなのに、決して涙は流れ落ちない。
それこそが如実に悲しみという感情を表していた。いや、あるいは怒りなのだろうか。
どちらにしろ、この状況をつくったのはハルだ。
謎解きに浮かれて、大事なことを忘れていた。

 長髪の彼女はゆっくりとハルのもとへと歩み寄ると、封筒を取り上げ、顔の高さまで持ち上げた。

「先輩、ごめんなさい」

 弱々しい声は、しかしはっきりと聞き取れた。
封筒から手紙を取り出すと、その二つを重ね、感情を振り払うかのように勢いよく引き裂いた。

「これ、捨てといてください」

 そう言って踵を返し去っていく。
残されたハルはしばらくその場に立ち尽くしたまま、長髪の彼女の後ろ姿を見ていた。
ハルがその場から動けなかったのは、恋した乙女の気迫に圧されたというのも理由の一つだ。
しかし、まーちゃんがハルの後ろで小さく呟いた一言こそが、一番の理由だと思う。

「上坂くんの彼女は沙織ちゃんだよ」

 その言葉の意味するところを理解するのに、あまり時間はかからなかった。
300 :伝えるべきは :2015/03/09(月) 14:01
>>277-299
最終話 『伝えるべきは』
301 :名無飼育さん :2015/03/09(月) 14:01
というわけで二人が中学を卒業するタイミングでこのシリーズも終わりにします
あまりダラダラと続けるのもよくないですからね

シリーズを通しての感想なども頂けると嬉しいです
302 :名無飼育さん :2015/03/09(月) 14:03
作品について

自分なりに「ハロプロ×ミステリー」を考えてみた結果「日常の謎」に行きつきました

「日常の謎」というのはミステリーのジャンルの一つとして確立されていて
大雑把にいえば「人の死なないミステリー」であり10代を主人公とする作品が数多くあります

そういう意味でハロプロと相性がいいかも知れないと思いました


キャラクター設定に関してはなるべく違和感がないようにと心がけましたが
佐藤については現実そのままだと作品として成り立たないので精神年齢をぐんと引き上げました
それでもどこかで佐藤らしさが残っていることを願っています


短編12作品
掌編1作品
楽しく書かせていただきました
また後日に各作品のあとがきのようなものを書きに来ます

それでは
303 :名無飼育さん :2015/03/15(日) 14:55
では各作品について簡単なあとがきを


中学2年生

『プリズムの色』 5月上旬
元々単発作品の予定だったので飯窪はこの作品にしか出てきません
石田はあとあと準レギュラーになるんですけどね

『針は戻らない』 6月上旬
こちらは推論のお話です
自分が教育実習に行ったときのことを思い出しながら書きました

『一つでは足りない』 9月上旬
個人的にミステリーとして一番のお気に入りです
不揃いの靴の謎から話を広げていきました

『制服の男』 10月中旬
こちらも推論のお話です
こういうお話をつくるのは難しいですね

『ケーキのおいしいお店』 1月中旬
このお話に出てくる四角いカップは当時放送されていたアニメに出てきました
現実世界で見たことはありません

『語らない冬』 2月末
自分で書いていてあれですが学校帰りにケーキを食べに行くなんて
自分が中学生のときには選択肢にもありませんでした
304 :名無飼育さん :2015/03/15(日) 14:56
中学3年生

『石を穿つ』 4月下旬
久しぶりに石田が登場
こちらは石田が謎の提供者です

番外掌編『落として上げる』5月7日(佐藤の誕生日)
急いで書いたのでほとんど話の骨組みだけになってしまいました
最後に佐藤の機嫌が直ったのか気になるところです

『消えない足跡』 7月上旬
夏ということで学校の怪談的な話を書きたくて考えました
自分の母校にはそういうのはなかったので半ば憧れのような気持ちです

『花火を見よう』 8月下旬
夏祭りもとい花火大会のお話
二人の浴衣姿はぜひ映像で見たいものです

『そして元の位置に』 11月中旬
学校と言えば席替えだろうということで考えた作品
話のネタとしては一番気に入ってます

『サンタの居ないクリスマス』 12月中旬〜下旬
手紙で謎解きというのがやりたかっただけです
そのために最後は佐藤視点で書きました

『伝えるべきは』 3月上旬
いよいよ中学卒業です
残念ながら自分は単純なハッピーエンドは好みません
305 :名無飼育さん :2015/03/15(日) 14:57
さてわかりやすくタイトルのあとに作中時期を書きましたが
実は短編12作品は1月から12月にそれぞれ対応しています
気づいた方はいらっしゃるのでしょうか

そしてこのシリーズは終わりますが
なにか書きたいものができたときは
また作者フリースレにお世話になると思います

ではでは
306 :名無飼育さん :2015/03/19(木) 21:05
ケーキのおいしいお店が一番好きです

まーどぅーお互いが隠しあってたのがリアルな中学生を感じました
仲良しだけどあえて知らないフリとかしちゃいますよね

なにか書けましたら読ませてください
楽しみです
307 :名無飼育さん :2015/03/31(火) 23:04
>>306
レスありがとうございます
中学生らしさを表現できていたみたいでよかったです
308 :名無飼育さん :2015/06/16(火) 21:25
飼育でミステリーが読めるとはうれしいな。
「一つでは足りない」が一番好きです。なるほどー、と感心しました。

書いてくれてサンクスです。




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