■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 最新50

Two DestiniesU

1 :あおてん :2012/05/21(月) 00:02
Two Destinies二スレ目です。
やすみよメインで、99年後藤加入時の話から始まります。

Two Destinies
ttp://m-seek.net/test/read.cgi/dream/1328419074/
98年4月〜99年7月の話です。
694 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:36
きっともう元の世界とこの世界が直接干渉する事はない。

絵梨香がこの世界の夢を見る事もなくなる。
だけど、それでいい。
私が最後の神隠し…それでいいんだ。

運命を変え続けた私に残された時間はどのくらいあるのかは、
もう誰にも分からない。
でも私は恐れない。

たとえ鏡映しの世界でも…
いい加減な気持ちで過ごせるほど、この世界は軽いものじゃない。
ううん、きっと、どこの世界だってそれは同じなんだ。
695 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:36
「私…覚悟、決めたよ」

保田さんと、もう一人の絵梨香…
そして、まだこの世界では出会っていない親友たち、
あらゆる人に向けて語りかける。

きっと二度と届かないであろう言葉は波音に混じる。

これからはもう、この世界は元の世界の真似事をする必要もない。
私達皆で一つ一つ築き上げていくんだ。
696 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:37
これまでの私は覚悟なんてものとは程遠かった。

先を憂い、自分の無力さに絶望し、罪を背負う事に怯えてた。
圭や皆を守りたいと願う気持ちを免罪符にして、
自分の行いを正当化しようとしていた。

年を重ね、肉体が成長し、業界での渡り方を覚えても、
私の中身は成長できていなかった。

易しい道なんてどこにもない。
そんな事すら分からなかった。
697 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:38
初めてこの世界に転移してから、
今この瞬間までの記憶を引きずり出す。

まるでお伽草紙のような体験。
だけど、めでたしめでたしでは終わらないかもしれない。

たくさんの人を傷付けた私が、人並み以上の幸せを望むのは間違ってる。
でも、せめて周りの皆が幸せになるのを願う事だけは
許して欲しいと思う。

もしも、神様というものが存在するのなら。
どうか、全てを見守っていて下さい。
いざないの桜の地の民だけじゃなく、もっと広い、世界中の人々の事を。

まるで私の願いに応えるかのように、
海辺の彼方から柔らかな潮風が吹き込んで来るのを感じた。
698 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:39
・・・・・・
In Another World
699 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:40
「あれ、圭さん。これ円山公園の写真ですよね」

みーよの問い掛けに、私は作業する手を止めた。
今まで撮りためてきた写真が膨大な数になったから、
新たにスクラップブックを作る事にしたのだ。

たくさんの写真に囲まれ、当時の思い出話に
花を咲かせながら、作業をする私達。

そして今、みーよの関心を引いたのは、一枚の写真。
それはまだ、記憶に新しいもの。
700 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:40
「これは…ラベンダー、じゃなくて…ムスカリですね」

確かに、紫と青の濃淡が美しいその可憐な花は、
ラベンダーに見えなくもない。

みーよが見間違えそうになるのも無理はないと思う。

この公園で私とみーよは頻繁にデートするようになっていた。
そして、ラベンダーを背景にこの子の写真を撮った事だってあったから。

でも、この子が手にした写真に写っている人物は…
この子であって、この子じゃない。

そう…私を“保田さん”と呼び、
不器用な愛を伝えてくれたあの子。
701 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:41
胸の中に生じた違和感を隠しもせず、
考え込むような仕草を見せるみーよ。

「こんな写真撮りましたっけ?」
「…」

私はあえて彼女に答えを提示する事はしなかった。
ただ、一言も発さずに静かに微笑するだけ。

そこから何かを察したのか、一瞬だけみーよの瞳が揺れた。
どうやら、この写真がもう一人の“みーよ”を
撮った物だという結論に辿り着いたみたい。

あの子との最後のデートの様子は、夢を通じて彼女も知っているから。
702 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:42
「…元気にしてるんですかね」

そう言って、みーよはすっとまつ毛を伏せる。

みーよは、近頃はもうあの世界の夢を見る事もなくなったと言う。
何が起こったのかは、もう今となっては知りようがないけれど…
おそらく、あの子…もう一人の“みーよ”が
何らかの細工をしたのだ。

あの子は、私達を巻き込んだ事を気に病んでいたから。

もうあの子の事で必要以上に神経をすり減らす必要もない。
だけど胸に大きな空洞がぽっかり空いたような喪失感はまだ拭えない。

それは目の前のみーよも同じ。
みーよも、ふとした時に、どこか遠くを見つめている事が増えた。
あの子達の事を思っているのだと、聞かなくてもわかった。
みーよは未だに毎朝いざないの桜の元へ向かう事をやめられないらしい。
703 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:43
二人の間に漂うしんみりとした空気。
そんな空気をかき消すように、みーよが話題を変える。

「それにしても、ムスカリ綺麗ですね。
…知ってます?ムスカリの花言葉には、
通じ合う心や、明るい未来って意味もあるんですって。
素敵ですよね」

みーよの言葉を耳にした直後。
何かが私の頬を伝った。

みーよの瞳が、はっとしたように見開かれる。
704 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:44
「…圭さん…」

悲しいわけじゃない。

そう決して。

私にはこの子がいる。
私が愛し、そして同じように私を愛してくれているこの子がいる。
705 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:44
近いようで遠い遠い世界。
どれだけ叫んでも、この声は届かない。
きっともう二度と会う事もない。

だけど、私は忘れないから。
ううん、私だけじゃない。
私も、みーよもあの不思議な日々を忘れる事なんてできない。

そんな私達にできる事は、ただ彼女達の幸せを祈る事。
そして、もう一つの世界と、彼女達が実在したという事実を、
ずっと忘れないでいる事。
706 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:45
「あの世界の皆は、幸せにしてるのかな」
「きっと…幸せですよ。私達のように」

涙の膜の向こう側で、みーよが切なく微笑む。
その温かい手で、私の涙をそっと拭ってくれる。

そして、泣いている私を隠すように、
長い腕ですっぽりと包み込んでくれる。
707 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:46
「みーよぉ」
「悲しむ必要はないですよ。
あの子はもう、答えを見つけたんですから」

「違う…悲しいわけじゃないの。
…ホント、なんでだろ。
なんか、胸の奥が熱くなって、急に涙が…」

的を得ない私の言葉にも、みーよはちゃんと耳を傾けてくれる。
そして、より強く、しっかりと私を抱きしめてくれる。

「圭さんの涙が止まるまで、こうして私が抱きしめますから。
側にいますから」
「泣いてる時だけじゃなくて、笑ってる時も側にいて。抱きしめて」
「ふふっちゃんと一緒にいますよ。
圭さんが望んでくれる限り、ずっと」
708 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:46
心の中で、もう一人のみーよに問いかける。

今、どんな気持ちで過ごしているの?
あんたは今幸せ?

たとえつらい思いをしていても、あんたは一人じゃない。

この言葉はもう届かないって分かってる。
だから、祈るから。
あんたが少しでも幸せでいられるように。
どんな時も。
どれほど離れていても。
ずっと、ずっと。

だから…どうか、どうか幸せに。

709 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:49
・・・・・・
New World
710 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:50
数年後…

この世界は、想像以上にめまぐるしい成長を遂げていた。

もはや、モーニング娘。はこれまでとは全く別次元の存在となっていた。

ひとつのジャンルにとらわれず、常に進化と変化を繰り返すグループ…
そのコンセプトが世間に完全に浸透したと同時に、
かつてのデビュー当時のモーニング娘。像は音を立てて崩壊してしまった。
711 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:50
常に優秀な人材が求められ、頻繁に追加オーディションが
繰り返され、世間や会社の人達の望み通り、
期待の星が続々と私達の元に集まった。

だけど、それによって従来のメンバーは
尋常ではないプレッシャーに晒された。

歌でも、パフォーマンスでも、あらゆる面において完璧を求められる。
立ち止まる事は許されなかった。
712 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:51
才能の塊のような逸材と肩を並べ、
息急き切って坂道を駆け上がり続けるような日々。

そこには、簡単には語り尽くせない苦悩や挫折があった。

自分の能力に限界を感じ、自ら卒業を希望するメンバーも少なくなかった。
それは私自身も例外ではなく。
つらいという言葉では片づけられないほどの
試練に見舞われる事だって幾度もあった。

だけど、その度にいつも圭の事を、
そして自分のせいで傷付けてしまった人達の事を思い出し
自分を奮い立たせた。
こんなところで逃げ出すわけにはいかないと。

そして、もしかしたらまだあの世界の保田さんや絵梨香が
見守ってくれているかもしれないという思いが、
私に生きる活力を与えてくれた。
713 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:51
想像を絶するほどの紆余曲折を経て、私は今、ここにいる。

大きな会場がたくさんの人で埋め尽くされている。

今日は、私の単独イベントが開催される日。
正確に言えばリーダー就任式といったところだろうか。

そう。
この日…私はモーニング娘。のリーダーとなる。
714 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:52
何故私なのか。
未だにそんな疑問がくすぶる時がある。

だけど後になって、裕ちゃんが会社の人に
私をリーダーにする事を推奨していた事を知った。

“頼んだで。今の絵梨香になら、ウチは安心して娘。を預けられる。
娘。ってとんでもなく重いもんやけど、
絵梨香なら潰される事はないって信じとる”

そう言って、裕ちゃんは清々しい笑顔を見せて私に後を任せてくれた。
そんな言葉をもらってしまっては、私はその大役を担うほかはない。

信頼されているという事が、
どれだけ恵まれているという事かを知っていたから。
715 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:53
失った信用を取り戻す…
この数年間、それがどれほど困難なものなのかを身をもって学んだ。

未だに私の事を快く思っていない人がいる事も分かってる。
どれだけ償っても、過去のあやまちをなかった事にはできない。
それは重々承知している。
だから、そこから目を背けず、
一生全てを抱えて生きていくんだ。
716 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:53
娘。としての活動は多忙を極め、
プライベートの時間を満喫できる余裕はなかった。

よって、卒業してしまった仲間とは会う機会も減ってしまった。
寂しくないと言えばウソになる。
けれど彼女達が第一線で活躍している事を、
メディアを通じて間接的に知るだけでも、私は強く励まされた。
717 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:54
裕ちゃんは元の世界と同じように、
歌やドラマ、バラエティとマルチな才能を発揮している。

明日香はヨリコという友人とインディーズバンドを結成し、
自分達の望む音を追いかけ続けている。

彩さんは大手のアパレルデザイナーとして活躍している。
今、私の身を包んでいるこの衣装も、彩さんがプロデュースしたものだ。

紗耶ちゃんは日米合作映画にてその演技力を評価され、
今や女優市井紗耶香としてその名を轟かせている。

そして、圭は…

718 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:55
「今日は、私の大切な人が来てくれました」

私の言葉を合図にして、ステージ上に彼女がゆっくりと姿を現す。
その姿に、会場のファンが色めき立った。

「圭ちゃん来てんじゃん!」
「ウソっ!」

もう彼女の事をモーニング娘。の保田圭として認識する人はいない。
娘。の肩書きがなくても、圭の名前は個人で世間に浸透していた。
719 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:55
圭は、宣言通りシンガーソングライターとなった。

最初こそデモ制作の為にスタジオに籠りきりで、
楽曲を発表する事はなかった。

しかし扁桃腺の手術を終えた後、
圭はセルフプロデュースという形でソロデビューした。

長く音楽チャートの上位に食い込むほどの
大ヒット曲を生み出してるわけじゃない。
それでも、繊細なメロディーと温かな歌声は、多くの人を魅了した。

その能力が認められ、現在圭はセルフプロデュースのみならず、
様々なアーティストに楽曲提供を行ったりもしている。
720 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:56
ただ、圭の詞には時々ドキッとさせられる事があった。
忘れた頃に、私とのエピソードを歌詞に取り入れるのだ。

上手くぼかしてはあるけれど、察しのいい一部の人は
きっと女性から女性へのラブソングだという事に気付いているだろう。

“娘。にいた頃は、こんな自己表現もできなかったから、
つい開放的になっちゃった”と
電話越しに楽しそうに笑っていた圭の声が、昨日のように思い出せる。
721 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:57
「まずは…絵梨香。リーダー就任おめでとう」

堂々と視線を交わしながら、圭は私に色とりどりの花束を渡してくれる。

「ありがとう」

圭とこれほどまで接近するのは久し振りだ。
私は無意識のうちに、胸一杯に彼女の香りを吸い込んでいた。
懐かしくて優しい香り。
722 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:58
ふと、彼女の胸に光っているシルバーの輝きを見つけ、
私の心は更に揺れ動いた。

同じ二つのシルバーの指輪を、
華奢な一本の鎖で繋いだネックレス。

その二つの指輪は、かつて圭と私がお揃いではめていた物。

私は圭の卒業コンサートの日、それを彼女に託した。
いつかまた、堂々と二人ではめる事ができるようにという願いを込めて。
その想いごと、圭は今も変わらずに預かってくれている。

「私は絵梨香を誇りに思うよ。
絵梨香は私の思った通りの…ううん、それ以上の…」

最後まで言い終える前に、圭は涙に声を詰まらせてしまった。
相変わらず、圭は泣き虫だ。
抱きしめたくなるのを堪え、私は圭の髪をそっと撫でた。
723 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:58
圭はどうにか口の両端を上げると、
涙を拭いながら皆に向き直った。
そして、マイク越しによく通る声を会場の皆に届ける。

「実は、今日この日の為に、
私達が長い間温めて来た曲があるんです」

熱気をはらんだ会場が更にヒートアップする。

「絵梨香の事を大切に想ってくれている皆さんに
是非聴いていただけたらなと思ってずっとこの時を待ってました。
これから皆さんの前でそれを初披露したいと思います」

そう言って、圭は隅に立てかけてあった私のギターを取り、
この手に持たせようとする。
724 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 00:59
「え…えっ?」

何の事?
そんな話は聞いてない。
今日私と圭が歌うのは娘。の曲だったはずじゃ…。

確かに打ち合わせではそう聞いていたのに。

狼狽する私を見ても、圭は柔らかい笑顔を崩さない。

「大丈夫。絵梨香は…覚えてるはず」

そう言って、体をくるりと回転させてから、
圭は後ろに備え付けられたキーボードの元へと向かっていった。

海が割れたように、サポートメンバーの人達は
ステージの両脇にはけていく。
725 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:00
「それでは聴いて下さい、『君への歌〜Always Love〜』」

圭が鍵盤に指を乗せ、タイトルを告げると、
会場がシンと静まり返る。

その瞬間、全てが繋がった。

この曲を、圭がこれまで決して世間に発表しなかった理由。
それは、今日この日の為だったんだ。
726 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:01
圭が卒業して少し経った頃、圭から
この曲が入ったMDと歌詞が送られて来た。
あの衝撃を、私はきっと一生忘れられないと思う。

歌詞も、メロディーも、
あの時保田さんが聴かせてくれたものと全てが一致していた。

圭は元の世界とは一切干渉していない。
全ては、圭の内から溢れ出たものだったんだろう。
だけど、もしかしたら、保田さんの想いの片鱗が
遠い時空を超えて圭の想いとシンクロしたのかもしれない。

“この曲が、きっと辛い時にみーよを守ってくれると思うから”
私は何度もこの曲に救われてきた。
だけど今ほど、保田さんの言葉の意味を強く噛み締めた事はなかった。
727 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:01
圭からのプレゼントを受け取った直後、
私もその曲をギターで弾き語りし、
録音したものをこっそりと圭に送った。

思うように会えない間、そんなやりとりを何度か続けた。
密かに、間接的に私と圭はセッションを楽しんだ。

二人だけの秘密の曲。
だけど、それは今この瞬間生まれ変わる。
美しい旋律は、歌となって多くの人の耳に届き、
きっと誰かの心の糧となる。

私達の歌は、世界中で溢れ返っている愛の歌を前にすれば、
紛れてかき消えてしまうのかもしれない。
それでも、この歌に託した想いは決して消える事はない。

今はただ、伝えたかった。
とどまる事を知らない愛しい人への想いを。
届けたかった。
私達を見守ってくれる皆へと。
728 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:02
私は愛用のギターを手に取る。
そう、彩さんから譲り受けたものだ。

思えば、私が音を奏でる喜びを知ったきっかけは圭だけじゃない。
彩さん、そして明日香の存在も大きかった。

明日香、私…ちゃんと音楽続けてるよ。
本当に奏でたいと思う音を、ちゃんと見つけた。

この会場のどこかにいてくれるであろう明日香に、
心の中で呼びかける。
明日香は、今日のイベントに来ると言っていたから。
729 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:19
数年ぶりの圭とのセッション。
でも、不安はない。
この指が、耳が、心が、魂が覚えてるから。
そして、私達二人のコンサートが始まった。
730 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:20

私の歌声と圭の歌声が交差し、幾重にも絡み合う。

どうやら、圭は下のパートを歌っているようだ。

圭の声は耳に心地良く、それに誘発されるように私の声もいくらでも伸びていく。
打ち合わせも一切抜きのこの状況でも、二人の息はぴったりと合っていた。
寸分の狂いもない。
それは、隣にいてくれるのが圭だからだ。
誰よりも信頼し、心を許し、深く愛している圭だからこそ、
私はしっかりと地に足をつけて立っていられる。
731 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:21
こうして圭の隣に立てるまで、どのくらいの高みが必要だったのだろう。
ううん、まだきっと本当の頂点を極めたわけじゃない。

5分程度の恋愛。
今の私達に許されているのは1曲分の時間。

だけど、確かに今私達はひとつの存在と化し、
他の誰にも引き離す事なんてできないほどに深く繋がっていた。

言葉はなくても、愛していると言ってくれているのが分かる。
そして私も、誰より圭を愛してる。
きっとこの想いは、今圭にも伝わっていると思う。
732 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:25
曲が終われば、私達はまたそれぞれの場所に帰る。
だけど信じてる。
たとえどれほど遠くても、どれだけ時間がかかっても、
最後には一緒になれると。

その時が来たら、私は圭に全てを打ち明けるべきなのだろうか。
もう一つの世界の事を。
本当の私の事を。

それとも、一生真実を隠し通したまま生涯を終えるべきなのだろうか。
正直、迷っている。

だけど、それでも、私は迷いながらも歩いていくんだ。
そしていつかは、圭と手を繋ぎ合って。
733 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:26
私がねじ曲げてしまった…
いびつな、だけど愛すべき世界。

私は最後の瞬間まで、この場所に立っていたい。

許される限り全ての行く末を見届ける。

ここが、世界の果て。
私が探し求めていた場所なんだ。
734 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:26
もう決して交わる事のない、二つの運命。
私はこれからも“保田さん”を忘れるなんてできない。
でも、後悔はしない。
悩んで、悩み抜いて最後に自分で決めた事だから。

私が選んだのは他の誰でもない“圭”なんだ。
そう、私と同じ時代を駆け抜けた、たった一人の“保田圭”。
愛しさを込めて、抱きしめてキスをするのはあなた一人だけ。

この体も、心も、命も、あなたの為に。

あなたこそが、私の運命。
735 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:27
「圭…いつか、一緒に幸せになろうね」

私の小さな呟きは、大歓声に混じり風に散る。

幸せになれるなんて保証はどこにもない。

多くは望まない。

たとえこの世界が虚像の世界でも。
私はこの最果ての地で、あなたと生きていきたい。
736 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:27
最終話 最果ての地であなたと共に
737 :最終話 最果ての地であなたと共に :2012/07/29(日) 01:28
・・・・・・
END
・・・・・・
738 :あおてん :2012/07/29(日) 01:32
投稿している途中で連投規制がかかったりと焦りましたが、
どうにか完結しました!
せめて小説の中ではみーよの夢が叶って欲しいという思いと、
やすみよへの歪んだ愛からこの作品が生まれました。
正直ここまで長くなるとは思ってもみませんでした。
無事完結できたのは皆様のおかげです。
こんな長い話に付き合っていただき本当にありがとうございました。

これからは主にブログでやすみよ愛を綴ると思います。
739 :名無し募集中。。。 :2012/07/29(日) 16:38
完結おめでとうございます
最後はどうなるかとやきもきしてましたが無事エンディングを迎えられてほっとしています
登場人物もみんな幸せそうで何よりです
あおてんさんの次回作を楽しみにしています
740 :名無飼育さん :2012/07/29(日) 19:56
2スレに渡る長編の完結お疲れ様です。

連載当初は飼育では色物(失礼)的扱いのやすみよをどう物語にしてくれるのか
期待半分不安半分で見守っていましたが、結果的にはやすみよの代表作になった
のではと個人的に思います。
4期の問題児2人の消滅や塀の中の大先生登場など、予期せぬ出来事もありまし
たけど、それも話の終わりを迎えた今となってはいいスパイスとして働いたので
はないでしょうか。

長編を書き終えたばかりで、次の話、というのはなかなか難しいかもしれません
が、エロスレでのやすみよはいつでも待ってますよw
741 :名無飼育さん :2012/07/30(月) 02:20
やすみよという最新(?)のCPを扱いつつも、モーニング娘。の歴史を紐解き
さらに歴史改変というアレンジを加えながら展開してゆく内容が最早古参の域に
さしかかった自分も楽しめました。
やすみよの恋の行く先はもちろんのこと、辻加護からキッズ・エッグ・そしてモ
ベキマスという路線を捨てた本格的アーティストの娘。がどのような進化を遂げ
るのか最後まで見守っていたい気持ちはありますが、出会いがあれば別れもある
ように物語にも終わりがあるわけで、個人的に想像を膨らませるに留めておきます。
ともあれ、完結おめでとうございます。そして楽しい物語を書いてくれてありが
とうございました。
742 :あおてん :2012/08/01(水) 02:31
訂正です。

>>662の2行目
一歩、圭が距離を詰める。→ そう言って、圭が抱擁を解く。

9行目
「?圭が謝る必要なんてどこにもないよ?
酷い事をしたのは私だから」→
「なんで?圭が気に病む必要なんてどこにもないよ?
酷い事をしたのは私だから」

挙げだしたらキリがないですねorz

743 :あおてん :2012/08/01(水) 02:44
>>739
エンディングにいくまでこれほど時間がかかってしまいすみませんでした。
最後まで見守って下さり本当に感謝してます。
次回作…
これほどの長編はもう書けないかもしれませんが、またやすみよを書けたらな
と考えてます。

>>740
ありがとうございます!
うわぁ、代表作なんて恐れ多い…
問題児コンビの件は、ファンの方には申し訳ないですが
終盤で歴史の改変を行いたかったので(汗)
エロスレにはいずれまた顔を出すつもりでいます。
内容はエロくないですがw

>>741
当時は小学生で、90年代の時代背景が曖昧で
この作品でそれを忠実に再現できたかいささか不安ですが、
古参の方にそのような言葉をいただけてほっとしました。
こちらこそ最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!

新着レスの表示


掲示板に戻る 全部 次100 最新50

現在のスレッドサイズ:378404 byte

名前:

read.cgi ver5.27 + 0.02 (04/08/03)