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「街」

1 :おるぷち :2012/03/05(月) 22:28
初のアンリアル物書こうと思います。

今まで何作か書かせてもらったのですが
ノロノロ進行のせいかドンドン現実と
時代のギャップが出てきてしまって(-_-;)
登場人物も初挑戦の人ドンドン出す予定です。

短編〜中編をひとつの街を舞台に
ちょっとずつ繋がってる感じで行こうと思います。

はじめましての方も
お久しぶりな方もよろしくお願いします。
601 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:08
「愛理?どうかしたの?」

りーちゃんが不思議そうに私の顔を覗きこんでくる。

「ううん。なんか、ああいう姉妹みたいのいいなあって。」

「愛理は弟いるじゃない。」

「そうだけど、ちょっと違うじゃない。」

「まぁねー、舞美さんみたいな
優しいお姉さんいたらって思うと羨ましいよね。」

「え?りーちゃんも!?」

そっか。りーちゃんも羨ましいんだ。
そっか、そっか。
そうだよね。
舞美さん素敵だもん。
あんなお姉さんいたら楽しいだろうな。
誰でもそう思うよね、うん。
602 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:09
私は少しだけ空気を大きく吸って

「そろそろお茶しに行こうよー」

と声をかけたら3人そっくりな笑顔で振り向いたから
なんだかおかしくなって笑ってしまった。


皆でのお茶の時間はすごく楽しかった。
パフェとかケーキとかを分けっこしたり
たくさんの話を聞いた。
603 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:10
舞美さんのネイルが凄く可愛くて
りーちゃんがネイルサロンを教えてもらっていた。
私は校則でそうゆーのできないから羨ましかった。

舞ちゃんが舞美さんの今までの失敗談を
さっきも話してたのに足りない!って
面白可笑しく話して千聖も合いの手を入れたり
話をふくらませたり。

舞美さんはやっぱりニコニコして、そんな2人に
「ひどいなー。」とか「そんなことないよ。」とか
言ってたんだけど、それがつまらなくなったのか
2人は今度は私の失敗談とか
ダジャレとかダンスが変だとか、そんな事を言ってきた。
604 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:11
慌てる私が面白いみたいでドンドン話す2人。
そんな話の時も舞美さんはやっぱりニコニコしてた。
なのに私と目があった途端

「ねえ、愛理ちゃん。得意のダジャレ聞きたいな!」

って、ええーーーーーーーーーーーーーーーーー!?

「え、いや、でも、あの。」

「いいじゃん、愛理。得意なの一発かましてよ。」

期待の目が(?)私に集まってる。
こ、これは。凄いの言わなきゃ。
どうしよう、どうしよう。とっておきの。。。
605 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:11
「ダジャレを言ってるのはだれじゃー!」

「抹茶にはまっちゃってるぅ!」

「Buono!でほのぼーの!」

どや、3連発!!
鼻息荒く胸を張る私に視線が集中してるのが分かる。

「これで胸張れるの愛理くらい…」
「すごーーい!面白いよ!!」

舞ちゃんの言葉を遮ったのは拍手をしながらの舞美さんの言葉。
目をキラキラさせて満面の笑顔ですごい、すごいと連発してる。
正直、こんなにウケたのは初めてで
胸がジーーーーーーーーンとアツくなる。
606 :コイビトの条件 :2013/03/04(月) 22:12
「え、ちょ、舞美ちゃん!?正気!?」

千聖が失礼な事を言うけど舞美さんは

「なんで?いきなりフッてこれすごいじゃん!」

なんて、褒め続けてくれてる。

「あ、ありがとう。こんなに私のダジャレ

理解してくれる人初めてです!!」
腰を浮かせて向かいに座る舞美さんの両手を
両手でぎゅっとつかむ。

「そうなの!?おもしろいのに!」

ああ、舞美さんキレイなだけじゃなく
内面も素敵すぎる。感動!
607 :おるぷち :2013/03/04(月) 22:17
今日はここまで。
明日で「街」を始めて1年と気づきました。
早いものですね。

>594 :名無飼育さん
もも「ほらー。みーやん、イチャイチャリクエストきてるよぉ」
みや「ちょ!もも!人前でやめてよ!」
もも「いいじゃぁん。見せつけようよぉ〜」
みや「うちは2人きりの時の方がいいんだけど?」
もも「やだ。みーやん2人になると野獣だから」
みや「誰が野獣よ!!本当に可愛がってやる」
もも「いやーん。」

Buono!店内が2人の会話に集中している事を2人は知らない。


…あんまイチャイチャじゃないですかねw
608 :名無飼育さん :2013/03/05(火) 00:58
愛理のダジャレ舞美にウケましたねwww
なんか優しい舞美www本当にお姉さんみたい♪

最後のみやももいきなりリクエストしたのにありがとうございます(笑)
やっぱりみやももは萌える…////
最高です!!
609 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:21
「もぅ、愛理いつまでそうやってんの。
いい加減に座ったら?」

「だって、りーちゃん!」

隣のりーちゃんが服を引っ張るから
仕方なく座る。
なんとなく、手を離すのが名残惜しい。

「愛理ちゃんは凄いね〜。
可愛いし頭の回転も速いんだね」

「そんな事言うの舞美ちゃんだけだから!」
610 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:21
「愛理はサムイから!ね?リサコちゃんもそう思うでしょ?」

「あ、えーと。そうだ、ね。
あ、あたし呼び方リサコ、でいいよ?」

「そう?じゃあ舞は舞ね!」

「千聖は呼び捨てでもちっさーとかでも!」

「あ、私も舞美でいいよおー。愛理ちゃんも、ね?」

ね、と小首を傾げるのがまた可愛らしすぎで
しかも目をくりくりと真っ直ぐ見てくる。
うわわわわーーーーー。
611 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:22
「えっと、年上の方を呼び捨てとか、あの…」

「えーーーーーー。さん付けとか他人行儀で嫌だなあ。
私だけ仲間外れみたいーーー」

「あ、じゃあ、愛理!皆も舞美ちゃんって呼んでるから
そう呼ばせてもらおうよ」

りーちゃんの提案に舞美さんは満足そうに頷く。

「うん、うん、そうして!じゃ、愛理ちゃん呼んで!」

「え!」

「ほら、はやくー」

「ま、舞美、ちゃん」

「はぁーい♪」
612 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:22
ニコニコ顔の舞美ちゃん。呆れ顔のいつもの2人組。

「あ、あの。私、も呼び捨てで、、、いいので。」

「うん、愛理!」

顔に血がぎゅーっと集まるのが分かった。
なんで、なんで、なんで?

「愛理、あーいりっ、あ、い、り♪」

リズミカルに私の名前を呼び続けてるし。

「ちょ、舞美ちゃんしつこいよ。」

舞ちゃんが苦笑して言うと千聖も

「何回も言うから愛理恥ずかしがってるじゃん。」

なんて言う。
そっか、連呼されて恥ずかしかったんだ、私。
613 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:23
あれ?でも、何でりーちゃんの名前は呼ばないの?
なんて、話の流れなんだって分かってるの。
なんか、なんとなく、嬉しいの。
別に特別なんかじゃない、よ。
ちらとりーちゃんを見るとすぐに気付いて
にっこり笑った。

「私、日本に来てまだ友達少ないから嬉しいなあ。」

それを聞いて千聖が見を乗り出す。

「あたし達、今日からマブダチだよ!!」

「マブダチってなに?」

「すっごい仲間って事!」

「そっかー!やったぁ。」
614 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:23
純真に喜ぶりーちゃんは本当に可愛い。
皆がりーちゃんに見惚れてるのが分かる。
私の自慢の友達だもんね。嬉しいな。

「そうだ!連絡先交換しよ!」

「そうだ、そうだー!」

私も、舞美ちゃんも、みんなで交換した。
1つ増えた登録がすごく嬉しい。

今日はなんて良い日なんだろう。
その時はそう思った。
615 :コイビトの条件 :2013/03/11(月) 22:24
だけど。

駅でみんなと別れて、りーちゃんと2人の帰り道。
急にりーちゃんが立ち止まるから
なんだろうって視線の先を見たら
車道を挟んで反対側の歩道に
みやとももが仲良く歩いてた。

それは本当に「仲良く」って表現がピッタリで
時々みやがももに引っ張られたり
店先の商品を2人で眺めたり
ももの行動に迷惑そうな「ふり」をした後、
ももが見てない時には嬉しそうにしてるみやだったり。

暗くなりかけてる空を吹っ飛ばすような
街の明かりが2人をしっかりと照らしていた。
616 :おるぷち :2013/03/11(月) 22:26
本日はここまでです。
愛理さん高校卒業おめでとう。
ももち21歳おめでとう。
みやびちゃん…なんかない?www

>608 :名無飼育さん
お姉さんぶってる舞美さんって
可愛いんですよねー。
それにジャレてる2人組も好きですけど。
617 :名無飼育さん :2013/03/12(火) 17:16
なんか舞美ちゃん可愛いバカみたいww
そんな舞美ちゃんに萌えてる自分←
と、若干最後にラブラブなみやももを入れてくれる作者さんの優しさw
最高っすw
618 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:19
「りーちゃん…」

りーちゃんは動かずに
しばらく2人の様子を眺めた後
急に早足で、だんだんと掛け足になるくらいに。
たぶん、2人から離れたくて。

私も慌てて追いかけたけど
後ろからじゃ、りーちゃんがどんな顔してるか
そんなの分からなかった。

泣いてたらどうしよう?
りーちゃんが止まって私が追いついたら
なんて声をかければいいんだろう?
このまま、止まらなければいい。
うんと遠いところまで。
619 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:20
そんな事を思ったって、そんな時間をかけずに
りーちゃんはゆるゆると止まって
私もその少しだけ後ろに止まった。

結構な距離を走ったから息があがってる。
2人共はぁはぁという疲れた息だけで
なかなか普通に戻れなくて
ようやく言えた言葉は

「疲れたー」

って、私はバカだなあ。

もうちょっと何かあるでしょって自分でも思うんだけど。
620 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:20
りーちゃんは少し笑って

「うん、疲れた。いっぱい走ったね」

なんて普通の事を言う。
お互い、たぶん言いたい事いっぱいあって
言える言葉なんて全然なかった。
なにも、言えない。
そこからは手を繋いで、ゆっくり家まで歩いた。
りーちゃんの家の前で“バイバイ”をする時

「今日はありがとう。おやすみ。」

そう言うりーちゃんに

「おやすみ」

しか言えなかった。だけど何を言えただろう。

621 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:21
どうして今日よりによって
あんな所をあの時間に通りかかってしまったんだろう。

もう少し早くに切り上げるか、どこか寄り道でもしていれば。
あの2人が他の所を歩いていてくれれば。
考えても仕方ない事ばかりが頭の中をグルグルまわった。

今日は楽しかったはずなのに。
どうして今はこんなに重い気持ちでいなければならないの。
なんだか怨むような気持ち。
誰もなにも悪くなんかないのに。
622 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:22
3日後、りーちゃんから会いたいってメールが来た。
学校帰りに待ち合わせてBuono!じゃないカフェに行った。

「この前、ごめんね。」

りーちゃんが申し訳なさそうに言うから
私はぶんぶんと首を横に振る。

「私、なにも気に利いた事言えなくって。
親友なのに、、、」

「そんな事ないよ。帰り手をぎゅっと握ってくれたでしょ。
なんか嬉しかった。あったかくて涙出そうだった。」

「泣いてくれて良かったのに。」

そしたら抱きしめてあげたのに。
623 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:22
私はただ、どうしようばかりで
何も言えなかっただけ。
嬉しかったなんて、そんなの。
りーちゃんは優しく笑う。

「だって愛理のが泣きそうな顔してるんだもん」

「そんな顔してた?」

「してたよ。眉こーーーんなに下げちゃって!」

ふざけて自分の眉をめいっぱい下に引っ張る。

「ちょっとー!そんな顔しないよ!」

「してたよおー」
624 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:23
私たちは笑った。いつもみたいなふりで。
悲しい気持ちを隠して、なんでもないみたいにした。
だけど、ふと。りーちゃんが真顔になって

「分かってても実際見ると衝撃が違うよね。」

ぽつりと言った。
りーちゃんは2人が付き合ってる事は知ってても
2人が一緒にいるとこを見た事はなかったんだ。

「すごく仲良くて…みやの照れる顔とか
あんな目、、、愛しいって感じの。見た事なかった」

「そっか。」

「お似合いだよね」
625 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:23
私はなにも言えなかった。
いつも仲いいな、とかお似合いだとか思ってたし
2人がどれだけお互いを好きでいるか
近くで感じていたけど
それを、りーちゃんには言えないでいた。
こんなにショックを受ける前に
諦めた方がいいって言ったら良かったのかな。

「愛理はみやの彼女とも仲いいんだもんね。」

「…うん」

「私みたいの横恋慕って言うんでしょ?
ごめんね。愛理優しいから挟まれて
どうしたらいいか分からなかったでしょ。」
626 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:24
「でも!私、、、りーちゃんの味方でいたいって
そう、思ってたよ」

それは嘘じゃない。だけど2人が別れたらいいなんて
そんな事は嘘でも思えなかった。

「ありがと。私、ちゃんと諦める。」

「りーちゃん」

「すぐには無理だけど頑張るから。」

「うん。」

やっぱり、それ以上は何も言えなくて
目の前の紅茶を手にして飲んだけど
すっかり冷めていた。
りーちゃんも同じように飲んで
2人して苦く笑った。
627 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:24
「早く他に好きな人できるといいな。
あ、この前会った人たちとか。みんな可愛かったし。」

「この前?」

「舞と千聖と舞美ちゃん」

そう言われて楽しかった時間を思い出す。
あ、でも…たぶん本気じゃないだろうけど一応。

「でも舞と千聖はだめだよ」

「なんで?」

「昔から相思相愛なの。」

「相思相愛?」

「好き同士って事」
628 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:25
「そうなの!付き合ってるの?」

「そこまではまだみたい。」

「えー!なんで?」

「それは私も聞きたい」

でも確かに息ぴったりでお似合いだったよね、
なんて。りーちゃんが嬉しそうに言う。

自分は落ち込んじゃう恋愛してても
人の恋バナは楽しいらしい。
629 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:25
「好きなら好きって言えばイイのに!」

「それ、本人達に言ってあげてー!
舞ちゃんなんか特に意地っ張りでさあ。」

「そうなんだ。可愛いよね。」

「ふふ、そうだよね」

見た目は大人っぽいし中身だって
結構なクール女子なのに恋愛に関しては
変に子どもみたいなんだもん。

あの2人付き合ったらどうなるんだろう。
なにか変わるのかな?
630 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:26
「じゃあさー、舞美ちゃんならいいかな?」

「え!だめだよ!舞美ちゃんは!!」

自分でもビックリする勢いで言ってしまった。
りーちゃんもびっくりしてた。

「え、なに?なんで?」

「え、いや、なんか。そう思っちゃって。」

なんなの私。とっさに理由なんて思い浮かばなかった。
ただ嫌だって思った。
なんでだろう。

「…愛理もしかして舞美ちゃんの事好きなの?」

「え!?」
631 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:27
言われた途端に顔が、ううん。
全身が熱くなって汗が出てきた。

「そ、そんな事!!」

「そう?ならいいけど。
だって愛理には熊井ちゃんがいるんでしょう?」

くまい、ちゃん。
私、全然そんな事思いつかなかった。

「そ、そうだよっ。私は熊井ちゃんと付き合ってるし!
もっと好きになるって決めたんだから!」
632 :コイビトの条件 :2013/03/18(月) 23:27
なんか言葉がどっか上の方をツルツル滑っているみたい。
なんでだろう。
自分の言葉が自分の口から出ていないみたい。

りーちゃんが私の顔をじーっと見てる。
ソワソワして、ここに居られないように気持ちになる。
どうしよう?ってなにをどうするの。

私、変だ。
絶対オカシイ。
舞美ちゃんと会ってから私は変だ。

633 :おるぷち :2013/03/18(月) 23:29
本日はここまでです。
あやうく更新忘れるとこでした(-_-;)

>617 :名無飼育さん
バカで可愛い舞美さんが好きですw
ももみやはストーリー上の偶然ですが
喜んでもらえてなによりです
634 :名無飼育さん :2013/03/25(月) 12:55
愛理完全に熊井ちゃんほったらかしてんじゃないかww
635 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:13
その日は朝から雪が降っていた。

道も屋根も車も全部がうっすら白に覆われていて
なんだか、いつもの街が違って見える。
学校に行くためにいつもよりも早めに
家を出たけど目の前に見えてきた駅は
どうやら人がいっぱい。
たぶん電車が遅れてるんだろうな。
そう予想して早めに出てきたんだし。
ちょっと気分が重くなったけど
ここで引き返すわけにもいかない。
636 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:13
再び駅に向かって歩き始めた直後
雪に足をとられバランスを崩してしまった。

あっと思うより先に強い力で
ぐいっと後ろから引っ張られた。
呆然と目の前に転がる自分の傘を見てて
転ばずに済んだと気付くのには
ちょっと間が空いたかもしれない。

「だいじょうぶ?」

ピクッと耳が反応する。
この声。
637 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:14
「まい、、み、ちゃん?」

そう。後ろから私を支えてくれていたのは
舞美ちゃんだった。にっこり笑って

「おはよう」と言われ私も慌てて
「おはよう」と返す。

舞美ちゃんはささっと私の傘を拾って渡してくれた。
条件反射のように手を出しそれを受け取る。

「ローファーは滑りやすいんだから気をつけなきゃ!」

そう言われてやっと自分がまだお礼も言っていない事に気付いた。

「あ、うん。あっ!ありがとう。」

「いいの、いいの。愛理が転ばなくて良かったよ。」
638 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:14
舞美ちゃんが普通に私の名前を呼ぶのを聞いて
なんだかザワザワとした気分になった。
名前、ちゃんと覚えててくれたんだ。
そりゃ、あの日からまだ1週間くらいだし
普通、覚えてるだろうけど。
でも、なんか嬉しかった。

「舞美ちゃんも学校?」

「そう。今日に限って朝からなの!
明日だったら午後からで良かったのにね。」
639 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:15
そっか。
大学って日によって学校行く時間違うんだ。

歩きだした舞美ちゃんの横に並んで
私も駅までの道を歩く。
すぐ横に舞美ちゃん。なんかくすぐったい。

「舞美ちゃんってどこの大学なの?」

「ん。C大学だよ。スポーツ健康学科」

「スポーツ健康学科?」

初めて聞く学科名だ。

「うん、スポーツ選手のサポートする仕事したいから。」

「そうなんだ!すごい。将来の夢ちゃんとあるんだね。」

私なんか高3なのにまだ将来分からなくて
とりあえず進学、なんて、、、なんか、、いい加減かも。
なんか舞美ちゃんがまぶしい。
キラキラして見える。
640 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:16
舞美ちゃんはニコッと笑って

「陸上やってたんだけど高校の時に怪我しちゃって。
選手無理になったの。だからサポートに回ろうと思って。」

「え!?」

今、さりげなく結構すごい事言ったんじゃ?
だって、選手無理って、そんな明るく言う話じゃないよね。

「愛理優しいなあ。そんな悲しい顔しないでよ。
その時は落ち込んだけど今は前向きに頑張ってるんだから!」

「え、あ、ごめんなさい。」

「あやまらないでよおー!こっちこそ、ごめんね。
朝から変な事言っちゃって。
つい余計な事言っちゃうんだよねー。
それで舞ちゃんにいつも怒られるの」
641 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:17
「あ、あれ?そういえば舞ちゃんは?」

舞ちゃんは私と同じ高校なんだから
もう来ないとダメだと思うんだけど。

「慌ててもどうせ電車来ないからまだいいんだって。」

「えーーーーーー」

「愛理はまじめでガンバリ屋さんだね」

そう言われて胸がきゅう、と苦しくなる。
私、全然そんなんじゃない。

「そんな事!私、結構いい加減でふらふらしてるっていうか。」

「えー、そうは見えないけど」

ゆるく傘をくるくる回しながら舞美ちゃんは首を傾げる。
642 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:18
「将来の夢とかまだ分からなくて。高3なのに。
とりあえず進学って、それも今の高校の内部進学だし。」

「そっかー。でも大丈夫だよ。無理に将来の夢決めなくても」

「そうかなあ。」

「まだコレってゆートキメキがないんでしょ?
トキメキがない内に無理に夢見たらダメなんだよ」

「トキメキ?」

「うん。きっとコレって思えるトキメキに出会う時が来るから。
自分を信じて!愛理なら大丈夫だよっ。」

「そう、かな。なんか舞美ちゃんに言われると
大丈夫な気がしてきた。」

「そうだよ!夢なんて無理矢理決めるもんじゃないんだから。
気楽にいこー!まだ若いんだし。」

「そうだよね。まだ若いもんね。へへ。」
643 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:19
話していたらあっという間に駅に着いて
改札をくぐったところで別れなきゃいけない。
舞美ちゃんの大学は私の高校とは逆方向だから。
残念。せっかく会えたのに。

「残念だね。せっかく会えたのに。」

「え!?」

心の中で思ってた事と全く同じセリフが
舞美ちゃんから出てくるなんて。

「こんな風に会うなんて滅多にないもんね。
今日はラッキーだったね」

「うん。そう、だね。」

「じゃあ、またね!転ばないようにね」

「あ、舞美ちゃん!」
644 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:20
もうホームに向かいかけてた舞美ちゃんが
くるっと振り返って私を見るから
ぐっと言葉に詰まってしまった。

「あの、また、会える?」

「もちろんだよー!またお茶でもしよ!」

「うん!またね!」

嬉しい。
嬉しい。
嬉しい。

きっとまた会える。
だって連絡先だって知ってるし
舞美ちゃんもああ言ってくれたし。
645 :コイビトの条件 :2013/03/25(月) 22:20
ホームに着くと向かい側に舞美ちゃんがいて
私に気付くと大きく手を振ってくれた。
ちょっとだけ恥ずかしかったけど
私も大きく手を振り返した。

満面笑顔の舞美ちゃん。
やっぱりキラキラ輝いて見える。

舞美ちゃんの乗る電車がすぐに来て
その姿は見えなくなってしまったけど
私の気持ちはほんわかとあったかかった。
646 :おるぷち :2013/03/25(月) 22:22
今日はここまでです。
若干、季節がずれてしまいましたが
お気になさらず〜〜〜(汗


>634 :名無飼育さん
この物語はダメダメ愛理ちゃんストーリーとなっておりますw
647 :名無飼育さん :2013/04/01(月) 23:48
やじすずも萌えるので問題なし(・∀・)
648 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:18
「おっはよー!」

学校に着くと花音ちゃんがもう来ていた。
他のクラスメートはまだほとんどいない。

「おはよ、愛理。ご機嫌だね」

「そう?ほら雪だし。白くてキラキラで
わくわくするでしょ?」

「ロマンティックだよねー。
こんな日は王子様とデートしたいわ。」

「花音ちゃん王子様現れたの?」

「うーん。私の目には見えるけど
なかなか振り向いてくれないの。」
649 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:19
悲しそうな顔で両手を顔の前で組むけど
妙にお芝居かかってるし
どこまで本気なのか分からなかった。

「愛理は?」

「え?」

「王子様、現れた?」

そう言われてなぜか舞美ちゃんの顔が思い浮かんで
慌てて打ち消した。
そう言えば熊井ちゃんの事まだ言ってなかった。
だけど何か言えなかった。
650 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:20
曖昧に笑う私を見て

「そっか、まだかー。」

なんて花音ちゃんが結論を出して
私はそれを否定しなかった。

「よし、みんなが来るまでゲームしよっ♪」

「うん。」

話題が変わった事にホッとする私。
これって、なんなんだろう。
友達に隠しゴトなんて今までした事なかったのに。
りーちゃんと、みや。
熊井ちゃんの事知らない友達には言えた話を
熊井ちゃんの事知ってる友達には言えない。
651 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:20
授業が始まる頃にはクラスのほとんどが
ちゃんと席にいた。
ちらほらと雪で諦めたのか、遅れてるのか
空席もあったけれど。
窓の外はもう降ってはいないみたい。
一面真っ白でここが教室でなければ
本当に別世界のようだった。

いいなあ、別世界。

652 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:20
そういや、昔りーちゃんと
こんな雪の日に2人布団にくるまって
もし別世界に行けたらどうする?なんて
たわいのない話をしたっけ。

そんな事を思いながらふと視界に入ったスマホ。
光が点滅しているのに気付く。
先生はまだ来ていない。
さっと机から取りだして見ると
熊井ちゃんからの雪の中通学する私を
心配するメールだった。
653 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:21
やっぱり熊井ちゃんは優しくて
いつでも私の事を考えていてくれてるみたい。
その気持ちに応えたいと思う。

だけど、付き合い始めたあの日よりも
なんだか気持ちがフラフラしているのを
どこかで自覚していた。

だけど認めちゃいけない。そう思ってた。
本当は、もう多分。分かっていたけれど。
654 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:22
今日はすごく晴れていたから
帰りにはもう雪も解けて
地面はビシャビシャで黒く汚れていた。

あんなにキレイな世界だったのに
教室にいる間にウソみたいに消えてしまって
むしろ前よりも汚い世界になったようで
悲しくなった。

現実的にも靴や靴下に汚れが撥ねそうで
凄く、嫌。

上を見上げれば、まだ白い世界が
屋根とか塀の上なんかには残っているのになあ。
655 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:23
撥ねを気にしながら道を歩く。
下を向いていたから気付かなかったけど
いつの間にか影が近くに伸びていた。
目線を上げると笑顔の熊井ちゃんが立っていた。

「熊井ちゃん?どうしたの?」

ここは私の高校の最寄り駅で
熊井ちゃんの通う大学はこの沿線ではない。

「朝、愛理とメールしたら会いたくなっちゃって。」

「え…」

「あ、迷惑だった?なんか用事あった?
今日はバイトないって言ってたしいいかなって、その…」
656 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:23
どんどん声が小さくなっていく熊井ちゃん。
自分の態度はそんなに感じ悪かったかな?

「え、あ。いや。そんな事ないよ!
ただビックリしちゃって。」

慌てて言うと熊井ちゃんは見るからに
ホッとした顔をした。

「良かった。あったかいものでも飲みに行かない?」

「あ、うん。そうだね。」

「愛理?もしかしてやっぱ…」

「え、ちがっ。あの、どっかイイ店あったかなって
そっち考えちゃって…」

「そう?」
657 :コイビトの条件 :2013/04/02(火) 22:24
今日も熊井ちゃんは手を繋ごうとしてきたけど
下がビショビショで危ないからって
断ってしまった。

一瞬悲しそうな顔をしたけど
そうだよね、と熊井ちゃんは笑った。

熊井ちゃんの気持ちに応えたい。
そう思ってるはずなのに
どうして優しくできないんだろう。
658 :おるぷち :2013/04/02(火) 22:26
本日はここまでです。
愛理さん大学入学おめでとー!
でも、ここでは当分高校生でいてくださいw

>647 :名無飼育さん
その内、萌えれるようなシーンが
出てくるといいなあw
659 :名無飼育さん :2013/04/08(月) 16:19
熊井ちゃん優しいなぁ

続きがきになるります!w
660 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:31
嬉しかったはずの熊井ちゃんの気持ちが
なんだか急に重く感じる。
早く気持ちに応えないとっていう焦り?

でも、しばらく熊井ちゃんといつもみたいに
お茶してしゃべってたら
少し落ち着いた気がしてた。
661 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:32
だけど。
地元の駅まで送ってくれた熊井ちゃんと
一緒にホームに降り立った私は。
向かいのホームに舞美ちゃんの姿が見えた時。
舞美ちゃんが私に気付いて笑って手を振った時。

もう誤魔化せないほどに
完全に自分の気持ちが分かってしまった。

なんて、バカなんだろう。
なんて、嫌な女なんだろう。

自分がこんなに酷い人間とは思わなかった。

662 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:32
私は…その時。
熊井ちゃんに声をかける事もなく
走りだしてしまった。
考えるよりも早く。

熊井ちゃんが私の名前を呼んだ声が
聞こえたような気もしたけれど
一気に改札まで走りぬけてしまった。
663 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:33
だって。

舞美ちゃんに熊井ちゃんと居る所を
見られたくなかった。

舞美ちゃんは気付いたかな。
私が誰かと一緒に居た事に。

熊井ちゃんの気持ちについて考えたのは
家についた、そのもっと後で
それに気付いた時さらに自己嫌悪になった。
こんな私、知らない。
664 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:33
好きって言ってくれて付き合っているのに。
嬉しくてオッケーしたのは自分なのに。
自分が舞美ちゃんにどう思われたかだけで
頭がいっぱいになっているなんて。



私、舞美ちゃんが好き。
665 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:35
熊井ちゃんは凄く優しいのに。
そのままの私、

いろんな私を知った上で
全部好きって言ってくれて
いつでも私の事考えてくれて
理想の、素敵なコイビトなのに。

まだ2回しか会った事ない舞美ちゃんの事しか
もう考えられないなんて、どうかしてる。
666 :コイビトの条件 :2013/04/09(火) 20:35
こんな事、りーちゃんにも言えない。

私がこんなに嫌なやつなんだって
真っ直ぐで純粋なりーちゃんに知られたら
軽蔑されてしまう。嫌われちゃうかもしれない。

やっぱり私は自分の事ばっかり。
最低だ。

熊井ちゃんから何度もメールや電話がきたけど
私はひとつも応えることができなかった。

667 :おるぷち :2013/04/09(火) 20:37
本日はここまでです。
まー、こう…徐々に暗い展開にw

>659 :名無飼育さん
そーですね。
熊井ちゃんはいいコイビトです。
668 :sage :2013/04/10(水) 21:24
一気に読みました!
気持ちは分かるけど
愛理さんーーーーー!
669 :名無飼育さん :2013/04/14(日) 12:29
あいりんの周りはいい人ばっかりですねぇ
666みたいに思ってしまうのも頷ける。
どうなるのかな。続き待ってます。
670 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:17
ただ怖かった。
最低な自分を人に知られるのが怖かった。
このまま、どこか遠くへ行ってしまいたい。
そう小さい頃にりーちゃんと語った別世界にでも。


あれから、色々考えた。
と、言っても同じことの堂々巡り。
考えれば考えるほど自分が嫌になった。
671 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:18
早く熊井ちゃんに謝らなきゃ。
それだけはハッキリしていた。

このまま付き合うなんてできない。
熊井ちゃんの気持ちに応える事が出来ないって
分かってしまったから。
672 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:19
今、私は熊井ちゃんの大学の1部屋に居る。

大学前の門で待ってようと思ったけど
実際行ってみたら広すぎて
出入り口が1つや2つじゃないっぽい。

会えない気がしてメールしたら
すぐに熊井ちゃんが来てくれた。

私の姿を認識するとパアッと目を輝かせて
満面の笑みでトテトテ小走りになった。
673 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:19
青い空と熊井ちゃんはとっても良く似合う。
今は冬だけどもう少ししたら緑の木々だって
とっても、とっても似合うのを知ってる。

「愛理!良かったー!昨日急に走りだすし
連絡つかないし…心配したんだよ?」

あんな態度をとった私にまで優しい。
なんか、ますます心苦しくなる。

「ごめんなさい。あの。それで…私…」

「うん?」
674 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:20
熊井ちゃんの顔が見れない。
どうしよう、どう切り出したらいい?
人がいっぱい通るここで出来る話じゃないし。

悩んでると熊井ちゃんが急に
私の手を取って歩き始めた。

「え、あの、、、熊井ちゃん?」

「なんか話あるんでしょ?落ち着いて話せる部屋あるから。」

そう言って連れてこられたのが今いる部屋。
熊井ちゃんの所属するサークルの部室だけど
今日は休みで誰も来ないらしい。
何も言わないのに、なんで分かるんだろう。
すごいな、熊井ちゃんは。
本当に私の事好きでいてくれてるんだ。
675 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:21
「適当に座って?」

そう熊井ちゃんは言ってくれたけど
のんきに座って話すことでもないような気がした。
ドアの近くに突っ立ったまんまの方がお似合いな気がした。

「あの、熊井ちゃん。私、あの。」

「愛理。私の顔を見て。」

「え…」

「大事な話なんでしょ?じゃあ、ちゃんと目を見て言って」

熊井ちゃんが真剣な目をしていた。
せめて、その気持ちに応えないといけない。
676 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:22
たぶん、熊井ちゃんは気付いてる。
今日の私の要件を。
私は熊井ちゃんの目をじっと見て言う。

「私、熊井ちゃんとはもう付き合えない。本当にごめんなさい。」

声が震えた。でも絶対泣いちゃダメだって思う。

苦しいけど、辛いけど、痛いけど。
それは自分のせいだから。
今、ここで泣くのは卑怯だ。
677 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:24
熊井ちゃんの喉がコクン、と鳴る。
なにも感情が読めない目で私を見てる。
こんな熊井ちゃんは初めてだ。


「ごめんなさい。」

もう一度言って深く頭を下げた。
謝ればいいってもんじゃないのは分かってる。
だけど謝るしか思いつかない。
678 :コイビトの条件 :2013/04/16(火) 21:24
しばらくして

「夢みたいだった。」

熊井ちゃんの声が上の方でした。
どういう意味か分からずにおずおずと
熊井ちゃんを見上げる。

「告白してオッケー貰って夢みたいだったの。」

熊井ちゃん。。。

「やっぱり、夢、だったんだね。」

悲しそうな顔で笑った。
それでも、優しい笑顔だった。
こんな時まで優しいなんて熊井ちゃんはずるい。
679 :おるぷち :2013/04/16(火) 21:31
本日はここまでです。
ぽかぽか陽気になってきましたが
このお話の中はまだまだ寒いです〜。

>668 :sage さん
そうですね、どうしようもないってのも
あるけど熊井ちゃんを思うと…

>669 :名無飼育さん
うんうん、イイ人だらけです。
愛理さんがダメって訳でもないんですけど。
まあ、普通の感情ですよね。
680 :名無し飼育 :2013/04/16(火) 23:58
画面がかすんでよく見えないよ熊井ちゃん……
681 :名無飼育さん :2013/04/23(火) 09:12
熊井チャン切なすぎますっ!!
夢って!夢って!!
682 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:25
「こういう時ってさあ、なんで?って聞いてイイのかな。
“付き合ってみたら、やっぱなんか違った”とか、そんな感じ?」

「ちが、違うの。そうじゃなくて。私が悪いの。」

本当の事、正直に話そうかちょっと戸惑う。
だけど言わないのもやっぱり卑怯な気がする。
胸がドクンと大きくはねる。
683 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:25
「好きな人が…できたの。」

「好きな人…そっか。そのパターン、、、あは。
なんかドラマみたいだね。」

声、乾いてる。
熊井ちゃんは優しくて癒し系でいつでも私の事考えてくれてて。
勘違いじゃなかったら、今も。
こんな時でも私が傷つかない言葉選んでる。

「その人と付き合うの?」

ふるふると大きく首を横に振る。
684 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:26
「そんなんじゃ、ないの。まだ2回しか会った事ないし。
でも、何も知らないのに好きなの。そう思っちゃったの。」

私の言葉は少しも優しくない。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
何度謝っても足りない。

「そっか。そういう事もあるよね。」

熊井ちゃんはウンウン頷いて部屋をぐるぐる歩き始めた。
私に背を向けて壁際にあった本棚の前で止まる。
少し離れたところに居る私からでも分かる位
熊井ちゃんの手はハッキリと震えていた。
685 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:26
「その内、こんな日がくるんじゃないかなって思ってたんだ。」

「え…」

「私が愛理を好きだって思うようには
愛理は私の事好きな訳じゃないって知ってたから。」

「熊井ちゃん。」

「だけど、時間かかっても少しずつ
好きの量の差が縮まればいいなって思ってた。」

686 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:27
私も好きになれるって思ってた。
好きなのにウソはなかった。
もっと好きになれるって信じてた。

「でも、ダメだったんだね。」

熊井ちゃんの声は小さかったのにハッキリ聞こえた。
胸にズシンときた。
687 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:27
「ごめんなさい。」

やっぱり、謝る事しか出来ない。
沈黙が重くてどうにかしたいのに
どうにもできなくて
どうしよう、どうしよう?
そればkっかりで、ただひたすら自分が嫌になる。
そうこうして数分。
ふいに。

「抹茶好き仲間は変わらないよね?」

一瞬、なにを言われたか分からなかった。
688 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:28
ぐるーっと頭の中を熊井ちゃんの言葉が回っていく。
仲間、って言ったよね?
それって、前みたいな関係に戻れるって事?
そんな都合のいい話、いいの?

「も、もち、もちろん、だよっ!!
抹茶について語れるの、く、熊井ちゃんだけだし!」

勢いよくしゃべったら、いつも以上に噛んでしまった。

「良かった、あは。は、は、は…」

熊井ちゃんは乾いた笑いを上げながら
ズルズルとその場にうずくまってしまった。
689 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:29
「く、熊井ちゃんっ?」

思わず近寄って後ろから熊井ちゃんの肩に右手を乗せたら
熊井ちゃんの左手が、私の手をぎゅっと握った。
その手はやっぱり震えてた。

「ごめん。ウソ。無理。」

「え。…あ、そっか、そう、だよね。」

恥ずかしかった。
熊井ちゃんの言葉に調子よく、都合良く
前みたいに、なんて。そんな事。
でも、この手は。
この繋がってる手の意味ってなんだろう。
690 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:30
「違うの。今は、しばらくは、やっぱ無理かなって。」

「う、、、ん。」

「でもね、いつか、前みたいになれるから。
前みたいに、抹茶仲間でいてほしい。」

「熊井ちゃん。」

「ごめんね、私が愛理の事好きになったから。
告白なんかしたから。
そんなんしなかったらずっと仲間でいれたのに。
苦しい思いさせなくて良かったのに。」
691 :コイビトの条件 :2013/04/23(火) 20:31
「そんな事!私、嬉しかったの。熊井ちゃんの気持ち。
本当だよ!私も好きだって、ほんとにそう思ったの。
その、ちょっと、足りなかったかもしれないけど。」

「ん。」

「熊井ちゃんはなにも悪くないよ。
私が悪いの。本当に。ごめんなさい。」

「う、、、ん。」

鼻をすする音が聞こえたかと思うと
バッといきなり立って私をギュッと抱きしめた。
692 :おるぷち :2013/04/23(火) 20:34
本日はここまでです。
もう4月も後半と言うのに
雪が降るとかありえないですね。
寒い時はやっぱイチャイチャ…(またかよ!


>680 :名無し飼育さん
熊井ちゃんの雄姿を見てやってくださいっ!

>681 :名無飼育さん
そうですねー。熊井ちゃんイイ子すぎて…!!!
693 :名無飼育さん :2013/04/30(火) 13:51
イチャイチャいいですよねーって
全然イチャイチャしてない!
むしろ切ないんですけど!
694 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 20:57
「え、あの、、、」

「ごめん、ちょっとだけ。ひとつだけワガママさせて。」

そんな熊井ちゃんの背中にそっと自分の腕を回したら
熊井ちゃんがホッとしたのが分かった。
あったかくて柔らかい熊井ちゃんに包まれて
こんな時なのに私はなんだか癒されるような気分だった。
全てを許されているような。
それは絶対、勝手な私のただの希望なんだけど。
695 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 20:57
「私、愛理の困った時の下がり眉も
ドヤ顔でダジャレ言うのも
滑舌悪くてスグ噛んじゃうのも好きだよ。」

「う、、、ん。」

「抹茶にはしゃぐのも、優等生なとこも
甘えてくるトコも。」

言いながら抱きしめる力が強くなったのを感じる。

「でもね、やっぱさ。笑顔が一番好きだから
今度会う時は…会える時は笑顔で会おうね。」

「うん。私も熊井ちゃんの優しい笑顔が一番好きだよ。」

「あり、、、がと。今は私ぐっしゃぐしゃで
見せれる顔、してないからさ。」
696 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 20:58
ふっと抱きしめられていた感覚がゆるくなった。

「このまま、顔、見ないで。そのまま出てってくれる?」

「…うん。分かった。」

完全に身体が離れてしまったら
一気に寒さを感じた。
私は熊井ちゃんに背を向けて振り返らずにドアに向かった。
少しだけ手前で立ち止まって

「ありがとう。熊井ちゃん。さようなら。」

そう告げると震える声で熊井ちゃんは応えてくれた。

「こっちこそ、短い間だったけど楽しかった。
バイバイ、、、またね。」

「うん、またね。」
697 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 20:59
これで、終わってしまった。

一番辛い別れだった。
そんなに多くない恋愛経験だけど
傷ついた事だっていっぱいあったけど。
こんなに人を傷つけたのは初めてだったと思う。

最後まで優しかった人。
震える声で“またね”と言ってくれた人。

ごめんなさい。
ありがとう。



ごめんなさい。
698 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 20:59
翌日。
舞ちゃんに学校の玄関で会った。
さりげなく私に寄ってきたけど
たぶん、待っていたんだろうな。

私の肩をポンとだけ軽く叩いて
“あっち”と指し示される。
前にも連れて行かれた誰もいない廊下だとピンとくる。

舞ちゃんは熊井ちゃんに全てを聞いたんだろう。
その事で話があるんだよね。
やっぱ軽蔑した?
怒ってる?
舞ちゃんの大事な先輩を気付つけてしまったから。
699 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 21:00
この前、話した場所まで行くと足を止めて
舞ちゃんは私を振り返り困ったように笑った。

「仕方ないよね。」

仕方ない?
全てを聞いて、そんな風に言うの?

「わたし、酷いよね」

そう言うと片眉をあげてクールに

「仕方ないって言ったじゃん。」

今度はデコピンをされた。
700 :コイビトの条件 :2013/05/07(火) 21:01
「いたー」

思わずうなる私に

「酷くないとは言わないけど
気持ちなんて自分でもどうにもならない事あるよ。」

舞ちゃんは本当に私より大人な気がする。

「ありがと。」

そう言うとくしゃっと笑った。

「私はさ、熊井先輩の事も好きだけど
愛理の事も好きだし。両方の味方だよ?」

ちょっと違うけど私のりーちゃんへの気持ちと
みやとももに対する気持ちと
似た感じでいてくれてるのかな。

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