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グッドラブハロー

1 :小さい家 :2005/10/12(水) 01:14
始めて小説書きます。

なちりかで行きたいと思います。


時計の針をグググ〜っと戻して、なっち卒業少し前です。
物語の中では時間は過ぎていくのでうまくいけば現在に追いつくかもです。

よろしくお願いします。
487 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:20

でも、
ココまでの理由を説明するのは億劫だった。
勝手だけど「どうぞ」で察して欲しい!

だって私は身構える必要があるから。
自分の嫉妬とごっちんとの恋愛話に真正面から向き合うために・・・・



・・・・

暗闇の中で裸で横になって向き合ったまま時が過ぎていく。

・・・・
やはり伝わってない。

当然か・・・・
何で今この状態なのか・・・・どう説明しよう?



「・・・・モーニング娘。が初めて脱退者を出した後くらいにね・・・・」


何かを察したのか、
暗闇の中なつみは静かに語りだした。
488 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:22

「最初の8人から7人になった頃かな・・・・なっちは孤独だった」

・・・・
「娘。って最初は頑張ればセンターが入れ替わるって話だったのね、
でもデビュー曲からセンターはずっとなっちだった。
センターは顔、バンドで言えばメインヴォーカル。
まだ人気も定まってないのにコロコロ顔を変えるわけにいかない!
そう言われたらそうかもしれなかった・・・・」


ごっちんとの話のはずが意外な語り出しで始まった。


「歌もコメントも全部なっちから、
アンケート結果もオモシロエピソードもフリップを捲る順番も全部。
打ち合わせでは他のメンバーの予定だったのに、
本番はMCさんのアドリブでなっちから・・・・
あるメンバーの話で番組収録が盛り上がって、
その子が家族に見てねって電話したのに放送ではカット、
代わりになっちの話・・・・」


「何だかクラスで1人だけ先生に贔屓されてる子みたいで・・・・さ」


当時を思い出したのか暗闇の中で声は沈んでいた。

489 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:23

「それで居た堪れなくなってスタッフさんに言ったの!
なっち以外の子にもチャンスを与えて欲しいって・・・・」


そんなこと言ったら・・・・

「したら、入れ替えても良いけど戻す保証はしないぞ!って
芸能界はセンターを獲り続けるか失うかの二者択一
ほどほどは無い、好きな方を選べって・・・・」

「なっちは獲り続ける道を選んだ。
みんながPVの自分のアップの回数で競ってても加われない。
歌番組のカット割りで不満を共有してても、なっちだけは例外
参加すれば自慢みたいになるし・・・・益々孤独になった」


「分かります、
 同期で私だけ抜擢されて他の3人と溝が出来た時期がありました。
 望んだ結果と望まなかった境遇
 なつみさんとは比べようも無いけど・・・・」

梨華は口を挟んだがなつみは話を続けた。

「でも段々なっちも意固地になって、
皆はソロやタンポポとかユニットがあるんだから良かったね!
とか言っちゃってドンドン空気がギクシャクしてった・・・・」


「ごっちんが入って来たのはそんな時だった!」
490 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:24


なつみは、今までと打って変わって明るい声。
・・・・来た!
グッと奥歯を噛み締める。

「ごっちんは奇跡だった。
娘。内のギクシャクする空気に全然物怖じしなかった。
誰にも負けたくないって言いながら誰にでも甘えて、
微妙な人間関係にもお構いなし!
不機嫌な裕ちゃんだろうが気まぐれなカオだろうがへっちゃら!
お互い気を使い過ぎてた空気を良い意味でかき回してくれて、
末っ子の特権をフルに使う・・・・みたいな感じかな」


楽しそうな声・・・・


「なっちのとこにも普通に来て遊んでくの!
その当時は娘。の顔じゃなきゃイケナイ!
って今より意固地で頑なだったのに、まるで自然体に接してくれて・・・・
普通の事なんだけど、その時のなっちには嬉しかった。
一緒に遊んだり東京を案内してくれたり、
どんどん魅かれていくのが分かった。
4つも年下の当時13歳の子だったのにね」


「・・・・それで付き合いだしたんですか?」
聞いてられずに上ずった声で尋ねた。
491 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:25


「ううん・・・・」

10センチと離れてないのに真っ暗で表情は伺えない。
髪の形と細い肩が微かにシルエットで見える程度。

「あの時のごっちんにはもっとお似合いの子が居てさ・・・・」
フッとため息が聞こえた気がした。

「誰ですか?」

「卒業しちゃった」
なつみはボツリと呟いた。

「卒業メンバーの・・・・誰ですか?」
「芸能界からも・・・・卒業しちゃった子」

・・・・

「ごっちんは・・・・その人とお付き合いを?」
「ううん」


再び否定された。
492 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:26
「今思えば関係は曖昧なままだったの。
なっちとごっちんと、その子と・・・・ゆる〜い三角関係の状態かな。
ごっちんは2人の間を気分次第で行ったり来たり・・・・
捕まえようとするとスルリと逃げられて相手しないと抱きついて来る
なっちとはそんな関係・・・・」


気分次第で行ったり来たり・・・・


「ちょっ!!!
それってごっちんが二股かけてたってことじゃないですか!」

暗闇の中で梨華はガバッと裸身を起こした。
だがなつみは動じる気配もない。

「そんなに大袈裟なもんじゃないよぉ」
「だって!」
「13歳だよ・・・・辻加護ちゃんもよくやってたっしょ?」


「梨華ちゃんとよっしぃーはのんのモノ!
じゃあ矢口さんとごっちんはあいぼん!
安倍さんは、のんので中澤さんはあいぼんの!
保田さんは要〜らない!」


2人の他愛ない遊びを思い出していた。
493 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:27
・・・・梨華は再びその身を寝かせた。

私はごっちんを子供と感じたことも辻加護と同列と考えたこともない。
なつみさんと私との年齢差的なものだろうか。


「でも・・・・なっちは、そんなごっちんを独占したくなった。
なっちと普通に接してくれるごっちんが愛しくて堪らなくて、
仲良いメンバー同士の関係じゃなく真剣に恋人同士になりたかった。
その子と仲良くしないで・・・・なっちだけを見て欲しいって・・・・」
・・・・

「だけど伝える必要は無くなった・・・・」


「?何でですか?」
「さっき言った相手の子が卒業するって分かったから」

いつの間にかなつみさんは抑えた口調になっていた。


「芸能人と普通の人は活動する時間帯が違うから気軽に逢えなくなる。
どんなに仲良しでも、
これまでの卒業生がそうだったから・・・・
何もしなくてもごっちんの相手はなっちだけになる。
だからその日が来るのをただ待ってれば良かった。

そして・・・・その子は卒業してった・・・・」
494 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:28

「私も・・・・既に居ましたね」

4期メンバーの武道館デビューと同時に卒業して行った人が居た。
だから、なつみさんとごっちんが付き合い始めたのはその後・・・・

・・・・
2人きり
ここから2人の恋愛が始まるんだ・・・・
梨華は更に身構えた。
しかし・・・・続いたのは意外な言葉だった。


「自然な形で・・・・付き合いだした。
でも長く続かなかった・・・・
・・・・
なっちが・・・・なっちが・・・・ごっちんを苛めだしたから・・・・」


えっ?


思いがけない発言に返す言葉を失った。
495 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:29


「苛めた!苛めたの!ごっちんが許せなかった。
ショックだった・・・・
ごっちんが・・・・余りに・・・・あっけらかんとし過ぎてて・・・・」


「卒業した日はわんわん泣いてたのに翌朝にはケロッとしてて、
以前と変わらない普段どおりの笑顔で戸惑うくらい・・・・
当たり前のように朝一からなっち〜って抱きついてきてくれて、
2人はあんなにお似合いだったのに、
まるで・・・・最初から居なかったみたいに・・・・」

「向こうが居なくなったからコッチってのに引っかかったのかな?
どうしていいのかモヤモヤした感情を持て余してた。
・・・・変だよね。
だってコレはなっちが望んだ状態。
やっとごっちんを独占できる関係になったってのに・・・・」


「待ち望んでた状態のはずなのに、なにか違和感を感じてた。」
496 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:30
・・・・


「でも時間が経つうちに分かった。
ごっちんには、その程度の事だったんだって・・・・」

「どれだけ好きな人でも居なくなったらそれっきり、
ああ、居なくなっちゃったって思うだけ」

「多分卒業したのがなっちだったとしても・・・・
ああ、なっち居ないんだ・・・・フーンって、
またすぐに別の誰かと仲良くなって
その後なっちが復帰したとしても悪びれることなく
なっち〜って抱きついてくるんだって・・・・」


「どれだけ好きになってもごっちんはドライでクールなまま、
例え今日なっちが消えちゃっても明日のごっちんは気にしないんだ」


「泣きながら過ごして欲しいってゆうんじゃないの!
ただ・・・・ごっちんがあまりに平然とし過ぎてて・・・・
でも・・・・それが普通なのかもしれない。
なっちが勝手にショックを受けただけでさ、
やっと14歳になった子に何を要求してるんだろうね・・・・」


「それでも、
この抱擁も温もりも相手がなっちじゃなくてもイイんじゃないか?
なっちに向ける愛情も、ある日突然無くなる・・・・
そう思えちゃってさ・・・・」

497 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:31

「最初は小さな行動から始まった。
わざと顔を会わせない様に入り時間をずらしたり、
矢口やののに話した話をごっちんにだけ話さなかったり、
ランチの誘いを理由も無く断ったこともあった」

「冷たくしたり突き放したり・・・・まるで子供の行動みたい。
でもごっちんは気にした風もなく淡々としてて・・・・」

「余計に腹が立って行動がエスカレートしていった」

「ごっちんに話しかけられてる最中に他の子と会話を始めたり、
空いてるのにわざとごっちんの隣に座らなかったり、
振り向いて欲しいのに振り向かれたらソッポ向いて口も利かなくて・・・・
そのくせ、ごっちんが他の子と話したら露骨に不機嫌になってみせてさ」


「もう無茶苦茶だった。
ごっちんを好きなのか嫌いなのか何が言いたくて何がしたいのか、
最低・・・・最低の精神状態で周り中に不機嫌な空気を漂わせ捲くってた。
・・・・グッグズッ・・・・



思いの丈を一気に吐き出した長い一人喋りは涙声と嗚咽で途絶えた。

498 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:33
・・・・

梨華は思いがけない告白に戸惑っていた。
聞かされる内容はごっちんとのノロケの過去話だと想像していたから。
・・・・。
ただ当時噂になってた、
なつみさんとごっちんの不仲説の理由には合点がいく。


「・・・・ケンカになったんですか?・・・・」


・・・・

「ごっちんは苦笑してるだけだった」

「一番訳わかんないのはごっちんだよね。
付き合ってるはずなのに難癖付けられて酷いことされて、
子供みたいって思われてたのかもしれない・・・・そうだけどさ。
実際の年齢と比べてもホント精神年齢は逆だべ」

「あと、矢口と圭ちゃんにも迷惑かけた。
先輩のなっちと後輩のごっちんとの間で板ばさみ。
時に間に入ってなっちを宥め賺して・・・・ホント最悪だった」



「したら、とうとう裕ちゃんの雷が落ちたの。
いいかげんにし!
アンタのせいで娘。全体の空気が悪いわ!って、
誰と恋愛しようが勝手やけど仕事にプライベートを持ち込むなや!
ああ分かったわ。
娘。らに恋愛と仕事の両立が出来ると思っとったんが間違いやったわ、
仕事に影響が出るんやったら今後グループ内恋愛絶対禁止や!
ええな!
他のメンバーもやで!って・・・・」


泣いているのにココだけ中澤のモノマネが入った。
499 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:34

・・・・

「それって、いつ頃のことですか?」
「・・・・梨華たちが入って少ししてから・・・・」
「入った当初からグループ内恋愛禁止だと思ったのは勘違いでしたか・・・・」
「4期は義務教育期間の子が多くて仕事も早め早めに帰されて、
娘。に本格合流するまでの間の出来事だったから分からなかったかも」


早く仕事を覚えようと四苦八苦してる時期に、
そんなことになってたなんて・・・・


「それから・・・・グループ内恋愛は禁止になって、
なっちも反省してごっちんと普通の友達付き合いが出来るようになった。
今思えば・・・・誰かに止めて欲しかったのかも・・・・」

「可愛さ余って憎さ百倍って言葉ありますもんね」

梨華はフォローを入れたが・・・・なつみは首を振った。

「ううん違う!
多分なっちは後ろめたかった。
三角関係の時にハッキリさせるべきだった。
梨華みたいに・・・・思い切って告白する勇気が・・・・なっちには無かった。
ただただ、あの子が芸能界を卒業するのを待って、
ごっちんと自然に恋人になろうとしてた。
なっちは常にそう!
イザって時になると弱くて臆病で逃げて踏み出せなくて・・・・わっ!」


梨華は、なつみに抱きついていた。
これ以上なつみさんになつみさん自身を罵倒して欲しくなかった。
500 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:36

「もう・・・・済んだ事です」
「ううん・・・・済んでない」
「・・・・だって数年前の話でしょう?」
「・・・・付き合わないんだべ・・・・」
「・・・・誰がですか?」
「ごっちんがあれから誰とも付き合わない・・・・娘。も卒業したのに」
「それは・・・・」
「知ってるだけでも高橋に紺野に麻琴に・・・・田中っち・・・・」

そうだ!
後輩のメンバーが度々ごっちんに告ってたっけ。
れいな、
なんてごっちんと付き合いたくて娘。オーディション受けたとか
本末転倒なこと言ってた。

「・・・・でも、ごっちんは年下に興味ないって前・・・・」
「だけど全員告白してる。
あの時のなっちと違って全員が面と向かって堂々と・・・・
多分なっちとの恋愛で酷い目にあったからトラウマになってる。
だからごっちんは誰とも付き合わない。イヤ付き合えなくなった。
なっちのせいで・・・・」


腕の中で曇った声が響く。
互いの胸が触れ合うほど抱きしめてるのに表情は見えない。
自分で作り出した暗闇がひどくもどかしい。
501 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:37

「せめて・・・・ごっちんが誰かと恋愛を始めてくれたら、
なっちは許されたって思える。
勝手かも知れないけど・・・・良かったなって」

「なっちとの傷が癒されて本当に好きな人を見つけて幸せなんだって、
・・・・その時までなっちは恋愛しちゃいけないって思ってた。
なのに・・・・なっちは梨華と・・・・
ごっちんを恋愛不信にしといてなっちは恋愛してるなんて酷すぎる」

「ごっちんをもう2度と傷付けたくない。
・・・・ゴメンゴメン・・・・梨華・・・・ホントにゴメン・・・・」

後は言葉にならなかった。



「謝らないで下さい。
私が無理矢理なつみさんに迫ったんです。
なつみさんは最初断ってたのに私が強引に恋人になりたくて、
・・・・事情も知らないで・・・・私のほうこそゴメンなさい」
502 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:38

梨華は、なつみの身体を引き寄せると顔を近づけ唇を突き出した。

チュッ
だが唇が触れたのは、なつみの鼻の頭だった。
フッ・・・・
暗闇の奥の空気が和んだ。
だって・・・・
梨華は照れながら今度は確実になつみの唇の位置を探り当てた。
チュッ

長い長いキスでなつみの全身が解れていくのが分かる。


キスが終わるとヒソヒソ話が始まった。

「なっちって酷い人でしょ」
「いいえ全然。それだけ・・・・好きだったんですよ」
「・・・・ゴメン梨華」
「またぁ何で謝るんですか?」
「やっぱり・・・・付き合ってることは内緒にして、
ごっちんにも皆にも合わせる顔が無いべさ・・・・」
「ハイ。今まで通りで構いません。・・・・理由が分かりましたから」
「・・・・逃げてるだけだって分かってるんだけど・・・・さ。
バレた時の方が言い訳出来ないことも・・・・何年経ってもなっちは弱いね」

「もしバレたら全て私のせいってことで、間違ってませんから・・・・」


梨華はベッドの中で胸を張った。
503 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:39
全ては解決した。
心のモヤモヤが晴れて清々しい。
さっぱりした梨華の横でなつみがモゾモゾ動いた。



「・・・・あのね。
梨華に聞いて良いかどうか迷ってたんだけど、
その、ずっと前から気になってて・・・・このさい聞いていいかな?」
「えっ!何ですか?」
「あの・・・・」
妙に口ごもってる。

「この際ですから何でも聞いてください」
「そのね・・・・」
「なつみさんが言いたくないこと言わせちゃったから何でも答えますよ」

「・・・・じゃあ聞くね」



「梨華は・・・・ごっちん苦手なの?」
「!」

予想外の言葉が無防備な心にドスッと突き刺さった。

「前から気になってたんだけど、
梨華ってごっちんのことになると凄く感情的になって、
無関係でも梨華自身と無理くり比較したりナーバスになったり、
どうしてかな・・・・って」
504 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:40

「何か言われたとか、ケンカしたとか、
なっちの知らないとこであったのかなって・・・・
あ、イヤなら良いんだ別にどうしても聞きたいって訳じゃなくてさ!
ホラ圭ちゃんってなっちより年上だけど後輩っしょ?
梨華もごっちんより年上だけど後輩で、なんか通じるような悩みが・・・・
って何言ってんだろ・・・・やっぱイイや忘れて!」

不穏な空気を察したのか、なつみは頭から羽毛布団を被った。


「待ってください・・・・答えます・・・・から」

そう言いながら梨華は羽毛布団から、なつみの顔を出させた。
・・・・
今度は梨華が言葉を選ぶ番。
何から、どう話すべきか・・・・

「・・・・やっぱり・・・・」
「待って!少し時間を下さい。少しだけ・・・・」


話さなきゃいけない。
何の心の準備もしてなかったけど・・・・
今話さなかったらずっと言えない。
505 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:41

「・・・・私がごっちんを必要以上に気にするのはコンプレックスのせいです」
「コンプレックス・・・・?」
先程とは一転して何かを思いつめた梨華になつみは鸚鵡返しに答えた。
「何のだい?」


「・・・・絶対に勝てないって言うコンプレックス。
私がごっちんに何もかも負けてるってことです」

誰にも言ったことが無い本心を搾り出すように言葉にした。
それは、梨華がこの世で最も口にしたくない現実だった。



「何でさ?
梨華には良いところがいっぱいあるべ。
センターかい?
でもそんなの・・・・えーとピースだっけ?梨華もあったっしょ」
なつみが不思議そうな口調で応じた。

・・・・
フー
胸に詰まった想いを息と共に吐き出す。

「そういうことじゃないんです・・・・ショックとか絶望、恐怖に近い感情・・・・」
「・・・・分かんないべ」

なつみの無神経な物言いにイラついた。

この感情は才能ある人には伝わらないんだろうか・・・・
違う!
私の伝え方が悪いんだ。
506 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:42

「私が娘。のオーディションを受けた時の話覚えてますか?」
「・・・・うん」
「絶対合格してなつみさんの隣りに立つんだって!」
「うん」
「念願叶って合格出来て、後は目的に向かって努力するだけでした」
「ん・・・・」

「私は燃えに燃えていました。
同期の3人がどこか遊び半分でも、競争相手が弱いって喜んでました。
ダンス練習も頑張って集中して1週間で4曲マスターしました」

「新人で1週間に4曲?凄いねえ」
「よっちゃんが1週間で1曲で辻と加護は1曲もマスター出来ないのに、
私は4曲!正直自分には才能があるって確信しました」
「そっか・・・・梨華は飲み込みが早いんだったね」


「でも・・・・ダンスの先生が後藤は10日で13曲マスターしたぞって、

正直・・・・信じられなくて・・・・

4曲マスターするのがどれだけ大変だったか実感した後だったから。
絶対負けたくないって頑張っても10日で6曲がやっと・・・・
実力の差にショックを受けて・・・・最初の挫折でした」
507 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:43

「だけどさ・・・・ダンスって覚える早さを競うもんじゃないっしょ?」

「レコーディングの練習をした時も、
私は3日で3曲OKを貰ったのにごっちんは5日で10曲OKで
残り2日で7曲のOK貰おうと必死に頑張ったら・・・・」
「・・・・どうなったの?」

「声が枯れました」


「うぷっ!・・・・」

思わず吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
笑ってはイケナイ!
梨華は真剣に苦悩して吐露しているのだ。
なのに、真剣な時ほど普段は無い話のオチが付くのは何故だろう?
頑張ったら成功したかと思ったのに声が枯れたってオチ・・・・


「だけどさ人にはペースってものがあるべ・・・・」

笑いを噛殺して話を進めるが、梨華はそれどころではなかった。
508 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:45

「ジャケット撮影のポージング、コンサートMC、演技、
ヴォイストレーニング、ファンレターの数・・・・
何か、何かで勝ちたかった。
なつみさんの隣に立つために!
何でもイイ、何か1つだけでも、ごっちんより秀でた何かが!
・・・・
1つも・・・・無かったんです」

「全部負けてた。
勝てる気がしなかった。
この先何年経っても・・・・追いつけそうに無かった」

「ごっちんの何が凄いの?って他の人に、よく聞かれました。
何が凄いかなんて上手く説明出来ない。
出来るわけない!

同じグループに入って同じ事をしたから初めて実感出来たんです。
どんなに努力しても追いつけない、
才能と実力の差がイヤと言うほど分かったんです。
必死に追いついて追い抜こうとしてた私には・・・・」



さすがに笑える心境ではなくなっていた。
梨華の人知れないライバル意識と挫折は覚えのある感情だった。
509 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:45
・・・・

「なっちだって・・・・・ごっちんに敵わないよ」
「えっ?」
「最初から娘。に居て年上だったからごっちんと勝負出来た。
きっと同い歳や同期だったら勝負にならなかったよ。
出来上がったグループに後から1人で入ってあんな活躍・・・・」

なつみはフッと言葉を切った。

「とにかく目標が高いのは良いけど梨華は立派に成長してる!
勝てないとか負けてるとか・・・・」


「そういう事じゃないんです」
「・・・・へっ?そういう事でしょうが?」
「私は負けてしまう。絶対負けてはイケナイ勝負に・・・・」
「いや、あのね・・・・だからぁ!」


「なつみさんを獲られてしまう」


「・・・・?」
「ごっちんに・・・・」
「・・・・」
「だって私となつみさんのツートップは、
ごっちんとのツートップに見劣りするから、
何の取柄も無い私のせいで・・・・
ごっちんと私を比較したなつみさんは愛想を尽かして・・・・」
510 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:47


「アハハハハハハハハハハハハハ」
突然なつみがコロコロ笑った。

「何で笑うんですか!真剣なんですよ!」
「だってさぁ・・・・」
「大笑いするなんて酷過ぎです」

梨華の目に涙が滲んだ。


「梨華の話には、なっちの意思がどこにも無いべさ」
「・・・・意思?」
「なっちは歌とダンスの上手い人になびく海草じゃないべ
なっちの好きな人はなっちが決める!
好きなのは梨華。
人一倍頑張ってるのにネガティブで、
自分の魅力を過小評価しすぎな女の子。
負けたくないって気持ちは大事だけど世界はそれだけじゃない」

なつみの手が暗がりの中で梨華の頭を撫でた。

「梨華の個性は梨華以外に誰にもマネ出来ないべさ。
ごっちんを気にしすぎだよ!もう同じグループじゃないんだから!
自信を持って!
ねっ!」

まだグジグジ言ってしまいそうになったが、
なつみが裸身を密着させて来たので何も言えなくなった。
真っ暗闇で互いの温もりが伝わる。

無粋な言葉なんて不必要なのかも・・・・
511 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:48


気が付くとなつみの寝息が梨華の胸の辺りから聞こえてきた。
同様に眠りに落ちたいのに変に頭が冴えて考えが巡る。


なつみさんの過去の話は・・・・本当だろうか?
勿論ウソをついてるなんて思ってもない。
ただ、なつみさんの感じ方と現実とは違う可能性だってある。

ごっちんをイジメた。

果たしてそうだろうか?
イジメとは多人数で行うもの。
でも話の中で保田さんや矢口さんがなつみさんに加担した形跡は無い。
どっちかというと切れたなつみさんに困ってたような対応。
中澤さん飯田さんは・・・・我関せずの印象。

しかもイジメの内容も小学生レベルの拗ねに近い。
周囲は痴話ゲンカとして対応してた可能性も・・・・

それに第一、ごっちんがトラウマを抱えるほど繊細にも思えない。


・・・・
一連の行動をイジメだと感じてるのはなつみさんだけなんじゃ・・・・?
512 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:49

確信がある。

娘。時代のごっちんと私・・・・何度目が合ったことだろう。
2人とも・・・・常に同じ人を見ていたから・・・・

ダンス練習の鏡越しに、
メンバーが雑談を始めた時に、
個人レッスンを見学する最中、
楽屋で座った場所、
立って歩き出すとき、
歌いだす瞬間。

なつみさんが今何をしているのか絶えず気になった。

その度にごっちんと目が合って慌てて逸らした回数は数え切れない。
肝心の御本人は、見つめられてる事に気づきもしなかったけど・・・・

トラウマを抱えるほどイジメられた人が、
あんな熱っぽく見つめたりしない。


寧ろ、恋愛のトラウマを抱えてるのはなつみさんのほう。
その原因をごっちんは充分認識してるのでは?

もしも、ごっちんがなつみさんを見守っているんだとしたら・・・・

自らが嫉妬心を煽り追い込んでしまったなつみさんを気づかい、
トラウマが解けるのを待って復縁のチャンスを伺ってるとしたら・・・・


・・・・
有り得なくは無い。
ごっちんが新しい恋を始めないのは、未だなつみさんを好きだから・・・・
513 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:52

負ける。

あの娘が本気を出したら私は必ず負ける。
これまでも、そしてこれからもどんな分野でも・・・・勝てない。


ある日の新曲レコーディング。
ごっちんの実力に敗北を感じたのは私とメンバー全員だけではない、
なつみさんもだった。
でも次の日には追いついていた・・・・ううん追い越していた。
さすが安倍さん!
私は自分の実力を棚に上げて、心の中でごっちんに勝ち誇ってみせた。
しかし、ライバル心を燃やしたごっちんは次の日また追いついてみせた。
尚も負けずに追い越すなつみさん・・・・
2人で切磋琢磨してドンドン高みに上って行く。
傍観者と化した私を置き去りにしたまま・・・・

なつみさんの瞳の奥の絶対負けたくないという敵意に満ちた光。
私には決して向けられたことが無い、ごっちんにだけ向けられる強い光。

特別な2人以外誰も立ち入れない関係。

ブルルッ思わず身震いした。


なっちの好きな人はなっちが決める!
なっちは梨華が好き!


大丈夫。
天使は私の腕の中で眠っているのだから。
奪われはしない。
梨華はソッと両腕でなつみを抱きしめた。
確かめるように・・・・
514 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:53


朝目覚めると抱きしめていた天使は枕に化けていた。

ベッドで寝ていたのは全裸の梨華1人だけ。
なつみさんは・・・・今朝の仕事入りは早かったのだろうか?
ベッドの外に梨華の脱ぎ捨てた衣類がキチンと畳まれていて苦笑した。
昨日全部裏返しに脱いで下着が表側になったまま放り出してあったはず。
好きな人にズボラな一面をまたも晒してしまった。

でも清々しい。
思いの丈を伝えられたからだろうか。
以前よりずっとずっと距離が縮まった。
・・・・
今日は、お昼前までに事務所に集合だったわ。
梨華は鼻歌交じりで支度を始めた。




事務所に着くと娘。の控え室から騒がしい声が漏れていた。
「反則技だよね!信じらんない!」
「つーか明かに負ける!アタシら束になって負けたら最悪じゃん!」
「でもさ〜この面子なら負けようが問題無いんじゃね?」

折角の清々しい朝に何を騒いでいるのやら・・・・
515 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:54
「お早うございま〜す」

「反則も反則、大反則!ぉ?梨華ちゃんお早う〜コッチ来て来て〜」
テーブルの上に胡坐をかいて座っていた矢口が招いた。
「まあ負けてもいっかアタシ元々ソロだったし」
「ソロは関係ないんじゃね?・・・・でも勝敗も関係ないか・・・・」
傍の藤本と吉澤は近付く梨華にお構い無しに会話を続けていた。


「朝から何の会議?」
カバンを降ろしながら梨華も会話に参加した。

「梨華ちゃん知ってた?ハロプロ期待のトリオユニットのデビュー」
矢口がテーブルの上の紙をめくって見せようとした。
「もちろん知ってますよ。何言ってんですか」
紙を見ようともせず梨華は答えた。
「え゛っ!!!!」
吉澤が呆気に取られたように固まった。
「何で?何で梨華ちゃんが知ってんの?」
藤本は興奮して身を乗り出してきた。

「何でって私のユニットだし知ってて当然でしょ」
「私のユニット・・・・?」
3人が顔を見合わせた。

「美勇伝!
私と新人2人のユニット!デビュー間近なんだから忘れないで」
516 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:55
・・・・
一瞬の空白。

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
「キャハハちょっ!マジ受けるんですけど!オイラお腹痛い」
「つーか梨華ちゃん!天然?ハハハハハハア・・・・キショッ」
梨華は突然吉澤、矢口、藤本らの大爆笑に包まれた。

理由も分からず笑われるのは不愉快だ。
精神衛生上とてもよろしくない。
梨華は真っ赤になった。

「何!何よ!私笑わすようなこと言ってないでしょ!」
ケンカ腰で怒鳴った。


「だってさぁ美勇伝とか忘れてたよ」
吉澤が笑いすぎて零れた涙を拭きながら酷い弁解をする。
「何で梨華ちゃんのユニットにアタシらが戦々恐々とするのさ」
藤本が両手をバッチンバッチン叩きながら酷い弁解パート2。
「あ〜オイラ不意打ち喰らった。ボケが想定外過ぎて避けられなかった」
矢口が笑いながら先ほど見せようとしてた紙を梨華の鼻先に突きつけた。

梨華は尚も吠えようとしたが、とにかく渡された紙を見ることにする。
517 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:57

<10月6日デビューのハロプロ新ユニット発表のお知らせ>


一番上の文字が飛び込んできた。
「へえ〜・・・・また新ユニットが出来るんだ」
誰に聞かせるでもなく感想を声に出した。

どんなユニットだろ?
ワクワクしかけた心が一瞬にして凍りついた。


<普段はソロ活動を行う3人の期間限定ユニットを発表します>

<安倍なつみ、後藤真希、松浦亜弥、>

<ユニット名は3人の名前から”後浦なつみ”と命名しました>
<3人の今後のパフォーマンスに御期待下さい>



「・・・・」
「読んだ?美勇伝じゃなかっただろって・・・・梨華ちゃん固まった」
「あ!よく考えたら新ユニットのライバルって美勇伝じゃね?
トリオ同士でさ」
「つーかよく考えたらアタシ”ごまっとう”から外されたんじゃん?
何気にショック」
518 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:58
もう3人との会話も聞こえなくなった。
スーッと頭が真っ白になるのが分かった。


安倍なつみ、後藤真希、


なんで?
ソロ同士なのにユニット組んで同じ仕事をするってこと?
2人が一緒の時間を過ごして・・・・
それより何より私は何も聞いてない。
なつみさんから・・・・昨夜何も聞いてない。
あんなにごっちんへの心情を語ったのに、
新ユニットのこと・・・・教えてくれなかった。


グシャグシャグシャ
梨華はユニットのお知らせの紙を無意識に手の中で丸めた。
矢口ら3人は再び会話を始めて気にも留めてない。

呆然としたまま楽屋を出た・・・・とにかく独りになりたかった。
519 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 01:59
楽屋のドアを背に廊下に佇んだ瞬間、突如強い力で腕を引っ張られた。

よっちゃんか誰かがふざけているんだろうけど関わる気力も無い。
グイグイとされるがままに廊下を後ろ向きのまま引っ張られて行く。
「ちょっと!いい加減に・・・・」

引っ張る相手を振り解こうとする梨華の目に赤い服が飛び込んできた。

「・・・・なつみさん!」

それは真っ赤な戦闘服風の衣装に身を包んだなつみだった。

梨華の問いかけに一切答えずに、
なつみがグイグイ引っ張って来たのは人気の無い廊下の角だった。


「ふぅ〜・・・・」
辺りに誰も居ないことを確認するとなつみは深いため息をついた。


だが梨華はそれどころではない。
手の中のグシャグシャに丸めた紙を突きつけた。
「ここここっこっこここ、ここれは・・・・」
まるで首を絞められた鶏のような声を出す梨華。

「落ち着きなさい!今からちゃんと」
「こっここここここれ私、私私知らない何で?何で?何でですか?」
「声が大きいべさ、他の人に聞こえちゃう」
「だぁって!昨日・・・・昨日あんなに2人で裸で抱き合って、
あれはウソだったんですか?そうならそうとハッキリ!・・・・」


不意に梨華の言葉が途絶えた。
感情を垂れ流す梨華の口にフタをしたのはなつみの唇だった。
520 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:00
「む・・・・」

何が起こったのか暫し呆然とした梨華は目を見開いたまま。
眼前に目を瞑ったなつみのドアップ。


・・・・
改めてじっくり見ると、なつみは完璧にメイクしていた。
髪も綺麗にセットされて毛ひとすじの乱れも無い。
眉、アイライン、まつ毛までも綺麗に整っている。
プロのスタイリストに施された完璧なる芸能人安倍なつみの姿。
梨華が接するのは常に家に居るときの素の状態の安倍なつみ。

仕上がった状態のなつみさんに迫られるのは初めてかも・・・・
ドッドッドッド
心音が高まってくる。


フレンチキス状態のなつみの唇がフッと離れそうになる。
待って・・・・
慌てて唇を追いかける。
更に唇が逃げようとする・・・・
ダメ・・・・
梨華はキスしている唇を追って離れさせない。
今度は密着してた腰や身体が離れていこうとする。
もう・・・・
梨華は強引に自分の方に抱き寄せようとして・・・・
521 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:02
ベチッ!

「ルージュが剥がれちゃうっしょーが!」
なつみに軽く額を叩かれた。


我に返る梨華。
「・・・・キスで挑発してその気になったら叩くなんてズルいです・・・・」
額を摩りながら不満気に呟いた。
「挑発って人聞きの悪い!取り乱してるから落ち着かせただけでしょ」

取り乱すと言われて当初の疑問を思い出した。


「これ・・・・ごっちんとのユニットって?」
ハアとなつみは再度ため息をついた。

「昨日話そうと思ったの!
したら帰宅早々暗い顔して誰と付き合ってました?って話を始めてさ・・・・」
「昨日ですか?」
「そう!何度も話題にしようとしたのに聞く耳持たないから!」

グルッと昨日の記憶を掘り起こしてみる。

「話題にしてません!だったら覚えてますから」
「したべ!話題変えてビックリさせようとしたのに・・・・」
「だってそんな行動全く無かったです」
「あったの!って・・・・昨日思いつめてたから何も覚えてないんでしょ!」
522 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:03

・・・・
そうかもしれない。
私は相変らず最悪のタイミング。
いやユニット発表の前にごっちんへの想いを語れたんだから、
最良のタイミングかも・・・・


「まあイイべ。そんな訳だから・・・・」
「良くないです!どうしてちゃんと話してくれなかったんですか!」
梨華が迫った・・・・が、なつみは猛反撃してきた。


「しょうがないっしょ!
ごっちん話であんな状態の時にユニット話なんか忘れてたベさ!」
「だったら・・・・今朝話すとか」

「今朝は急いでたし後日でいいかなと思って、
んで事務所に来たら全部の楽屋にユニットの第一報が配布されててさ、
あちゃーと思って来てみたら案の定楽屋の前で暗い顔してるし・・・・」
「じゃあ昨日より前に話してくれるとか出来たでしょう?」

「なっちが知らされたのが昨日なんだから無理だったの!
昨日告知されて、今日宣材写真撮影で、週末PV撮影だってさ、
まだ曲も聞かされてないってのに・・・・」


なつみの指がツンツンと梨華の首と胸の間を突っついた。
523 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:04

・・・・
確かにユニットは水面下で進行して当事者が知るのは一番最後だ。
私たちは、ある日突然完成したレールの上を進むことになる。
事前に知るとか知らされるとか、この仕事で最も無理難題。

「・・・・やっぱり私取り乱してました・・・・」
「納得してくれた?」
真剣な顔のなつみがパアッと明るい表情に変わった。


「大丈夫です・・・・よね?」
「う〜ん分かんない。
なっちはソロとしては2人より後輩になるからね」

「そうじゃなくて・・・・あの・・・・焼け棒杭に火がつく・・・・とか」
モジモジと指先を動かす梨華。
フフッ
なつみは無造作に梨華の頭を撫でた。

「・・・・」
「そんなこと考えても無かったよ。
集中力を高めて全力で挑まないと差がハッキリ出ちゃう。
遊んでなんてられない!
このユニット活動で何を得られるかが最も重要だから」
キッと虚空を睨んだ強い目線。


自分の心配が、いかに的外れで小っぽけなのかを思い知らされる。
そうやって常に上を目指していくんですね。
そして・・・・
524 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:05

「なっち〜何処〜?」

遠くからなつみを呼ぶ声が響いた。
この声は・・・・

「なっち〜?遅れるよなっち〜」
上の階から階段を下りて来てだんだん近付いてくる。


「ココぉ〜!今行くう〜!」
今まで声を潜めていたなつみが梨華に構わず大声で応えた。

「・・・じゃあね」
梨華に呟くと足を1歩踏み出して・・・・止められた。
止めたのは梨華だった。
そうしようと思ったわけではない。
自分に背を向け、
あの声に向かうなつみの腕を反射的に掴んでしまっていた。
驚いて振り向くなつみ。


「・・・・」
行かないで・・・・なんて言いたい訳じゃない。
ただ・・・・
何を察したのか、
なつみは柔らかく微笑むと自分を掴む手をソッと触った。
それだけで梨華の手はスルッと離れた。

サラッ
別れしなに梨華の髪をひと房撫でるとそのまま歩き出して行った。
525 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:06

「ぼっ!なっち何処に居たの?撮影始るってのに・・・・」


以外にすぐ近くで声が聞こえた。
慌てて廊下の角に身を潜める自分がとてもイヤだ。

「・・・・いやそのコッチかな〜って歩いてたらどっちだべ?って・・・・」
「自分の事務所で迷子になるのはなっちくらいだよ。行こっ!」
「ちょっと雨降りそう?・・・・っは何処?」
「先行ってる。・・・・センター?・・・・なっちに・・・・てんじゃん」
「ま・・・・ない・・・・なんだから」
「・・・・でも・・・・アハハ・・・・」


2人の会話が遠ざかって階段を下りて聞こえなくなっていく。
梨華は隠れていた角から顔を出すと階段まで小走りに走ってみる。
階段で反響して、もう2人が何を話してるのか判別すら出気ない。


・・・・行っちゃった。
未練を断ち切るように階段に背を向けて反対側の窓の方を向いた。
何気に見た窓の下方の庭を誰かが歩いていく。

「あやや・・・・」

思わず呟いていた。
526 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:08
なつみと色違いの緑色のノースリーブ短パンブーツの、
戦闘服風衣装に身を包んだ松浦亜弥だった。

梨華の覗く窓の下の1階に位置する玄関口から、
背中を見せて向こうに庭を横切って歩いて行く。
目指しているのは事務所の庭の離れにある撮影スタジオか、
今回はソコで宣材写真撮影らしい。


更に梨華の眼下から赤と黄の戦闘服が並んで出てきた。

階段を下りて玄関口から外へ出た、なつみと後藤真希だ。
ゴツッ
身を乗り出した梨華は勢い余って開かない窓に頭をぶつけてしまった。

なつみと後藤はそのまま松浦の後を追って同じ方向へ歩き出した。
赤い戦闘服の背中越しに盛んに手が動いているのが見えた。
お喋りに夢中な時のなつみのクセだ。
黄色い戦闘服は隣で聞き役に徹してる・・・・のもいつもの光景。


なつみは撮影前のテンションを高めるかのように盛んに話しかけている。
ウンウンと頷く黄色い戦闘服・・・・の左手がゆっくりと動いて・・・・
なつみの肩を抱いた。
ゴツッ
梨華はまたも窓に激突した。

なつみは肩に回された手に気付く素振りも無い。
527 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:09
喋るなつみと隣りの後藤・・・・その先を歩く松浦。

ゴツッ
見えない壁に阻まれ見ているだけの私。
・・・・まるで現在の関係のような構図。


2人はライバルとして高め合い先を歩いていく。
そして・・・・私は置いていかれる。
いくら手を伸ばしても届かない・・・・差がどんどん開いていく。
私は卒業するまで歩き出せないの?
卒業すれば・・・・追いつけるの・・・・
もっと差をつけられるだけじゃないの・・・・


撮影スタジオ入り口で、なつみと後藤は松浦に合流した。
遠めに赤と黄と緑が交わってるのが見える。
ゴツッ
私が・・・・あの中に加われる日は来るのだろうか?
今、これだけの差があるのに・・・・追いつける日は・・・・


あの子には勝てない。


なつみさんに必要なのは本当は私じゃなくて・・・・
ゴッッ
梨華はなつみが最後に触れてくれた髪を撫でた。

大丈夫・・・・私となつみさんは・・・・絶対大丈夫。
528 :グッドラブハロー :2009/09/10(木) 02:10

「梨華ちゃん、開かない窓にヘッドバット繰り返さないで!」


梨華の決意を知る由も無い、吉澤の揶揄が通り過ぎていった。
529 :小さい家 :2009/09/10(木) 02:13

16回目の投稿です。
なんていうかその、なんでもないです。

(●`へ´)<誰が待ってたって言うんだべ!
( T▽T)<大っ嫌い!!!の捨て台詞のまま1年近く放置されました。
(●`へ´)<なっちの誕生日に更新するはずが1ヶ月も遅れたべ
( T▽T)<ハローを取り巻く環境も様変わりしちゃいましたしね
(●;´ー`)<当時を思い起こすのが大変になって来たべ
( ;^▽^)<無事書き終われるんでしょうか?

( ´ Д `)<何気に出番増えたぽ でも次回は出番ないぽ
从‘ 。‘)<私の出番は今回が最初で最後ですので念のため


次回は甘甘ストーリーの予定です。
530 :小さい家 :2009/09/10(木) 02:15
>>468
名無飼育さん
(●´ー`)<レスありがとうだべさ
( ;^▽^)<今回も更新来ましたよ!遅すぎますけど
(●´ー`)<修羅場は完結して再修羅場も無事?終了だべさ
( ;^▽^)<早く続きを見せることは出来ませんでしたゴメンサナイ

>>469
名無飼育さん
( ^▽^)<レスありがとうございます
(●´ー`)<一気に読んでくれて嬉しいべさ
( ^▽^)<心待ちに応えられたでしょうか?
(●´ー`)<是非感想が欲しいべさ

>>470
名無飼育さん
(●´ー`)<レスありがとうだべさ
( ;^▽^)<待たせ過ぎちゃいましたね
(●´ー`)<3月くらいに更新する機会があったんだべ
( T▽T)<だったら更新して下さい
531 :小さい家 :2009/09/10(木) 02:17
>>471
名無飼育さん
( ^▽^)<レスありがとうございます
(●´ー`)<続きをすっげ気にしてくれて嬉しいべさ
( ;^▽^)<3月くらいにどうして更新しなかったんですか
(●´ー`)<どうせなら大量に更新しようと思ったらしいべ
( T▽T)<それで9月じゃ時間かかりすぎですよ

>>472
名無飼育さん
(●´ー`)<レスありがとうだべさ
( ^▽^)<いつまでも待っててくれてありがとうございます
(´ー`●)<もう待ってないと思うべ
( T▽T)<そんなぁ

>>474
名無飼育さん
(●´ー`)<レスありがとうだべさ
( ^▽^)<楽しみにしててくれてましたか?
(●´ー`)<今回の話はアップダウンが激しいベ
( ;^▽^)<やっぱり2、3回に分けて早めに更新するべきだったのでは・・・・

>>476
(●;´ー`)<何を言いたいか如実に伝わってくるべ
>>473>>475
( ;^▽^)<最下層に落とされてると悲しいです
532 :名無飼育さん :2009/09/12(土) 13:35
更新よかったぁ
ずっと待ってたから誰だよ上げたの〜とか思って開けて思わず声をあげちゃったw
甘々期待してますね。ゆるゆると待ってます。
533 :名無飼育さん :2009/09/24(木) 01:33
一年ぶりに覗いたら更新あって歓喜してます
534 :名無飼育さん :2010/01/19(火) 11:35
         ゚ ・*|.。.*・' ゚     ゚ ・*.。.*・' ゚         ゚ ・*.|.。.*・' ゚
       ..☆|   Happy Birthday 梨華ちゃん    |☆
           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   @_γ´※`ヽ_@
                  }}:::::::/\:::::::{{
                  {{:::/ノハヾヽ:::}}   
                 }}::(^▽^*从::{{       
     ※            {{:⊂'_∞___.つ}}      
    /\           / ̄ .() .() .()   ̄\   
  ノノハヽ..      . ./   , -||ー||ー||-、   u \ 
 (●´ー`)|~| ̄|  /⊂⊃ .!`ーー---ーー´!   只  .
 ||(  二つH@|/  .只  !=O=O=O=!   {___}  \
 ||ゝ __`ヽ|__|_l u {___}.  `ーー----ーー´  |___|⊂⊃\
 ||=== (__ノ/⊂⊃ .|___|.         ⊂⊃          \
535 :さくら :2010/10/24(日) 04:22
わーー一気に読んじゃいました!!
作者さまのペースでいいので
今年も更新があると嬉しいです☆

なちりか、うんうんいけるv
536 :アヤセ。 :2013/09/14(土) 22:38
まだまだ待ってます!!\(^o^)/

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