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風と光とれいなと私と

1 :& ◆StUl6OzU :2012/09/24(月) 04:46
フリースレに投稿し続けるのが心苦しく思われるので、
やはりスレッドを立てることにいたしました。
れいな、並びにモーニング娘。とm-seekに愛を込めて書きます。
93 :名無飼育さん :2012/12/21(金) 11:56
>>54>>89のような語りもとても興味深く面白い。たまにあるくらいなのが丁度いいのかも。
この娘。小説が好きです。
94 : :2012/12/23(日) 00:24
ありがとうございます。ぼくもあなたのことが好きです。
クリスマスのご予定は空いていらっしゃいますか?
95 :& ◆C/ibLlmP56 :2012/12/23(日) 00:25
 24日は何をしているの、と問われて、予定を確認すると「振替休日」とあったので、これを答えると、それはみんなそうだよ、だからその振替休日に何をするの、と再度問い直しがあり、起きて、飯を作って、昼寝をして、また起きて、飯を作って、寝るのではないでしょうか、家に居た頃はそれなりにクリスマスパーティの類をしたような思い出もありますが、ちなみに後藤さんは何をなさるのですか、訊くと、彼女は「秘密」と言ひて、頬をうつすらと染めにけり。この女は淫乱なり。
96 :名無飼育さん :2012/12/23(日) 00:36
 れいなが24日に後輩を家に呼んでもいいかと言った。私はダメだと答えた。れいは涙を溜めて「どうしてだっちゃ」と言う。冗談のつもりだった。泣くんじゃないよそれしきのことで。しかしれいなの頭の中では、後輩に囲まれて、田中さん田中さんとちやほやされる、そういった光景がすでに広がっているはずだった。それが私の一言によって否定されたとあれば、泣くのも致し方ないかと思い直し、「うそだよ、呼んだらいいよ」そう言ってやると、れいなの顔は一瞬にして長調へと転調した。とにかくパーティを続けよう、というフレーズが耳の奥で鳴った。
97 :びょうびょう :2012/12/23(日) 02:05
 冬の夜は長々として、平生夜更かしの質だから、日が昇るとともに臥して、日が暮れるとともに起きぬ。寒いのは嫌いだから、日が暮れてしまえば外に出ることもない。結果として冬は引きこもりがちになりぬ。とはいえ人間、市井に住むとあらば、用事の一つや二つこさえてしまうものなり。保田、暮れてから、宅に来て諸々の世話を焼く、これがたいそう申し訳なく、いつも悪いねと声を掛けると、私が好きでやってることだからと答えるのが常である。化粧がくたびれていた。朝一の、まだ水っぽくなっていない顔を見たいものだねと、そう言ってみると、保田は台所に立って化粧を落とし、また一から顔を直してくれた。さのみ変わり映えもせず、本質的にくたびれているのは隠せない。いささか落胆の気があれども、きれいになったと褒めそやすと、うそばっかりと笑ひたり。その察しの良さが悲しい。
98 :真心 :2012/12/29(土) 05:14
 サンタさんはどうして靴下にプレゼントを入れるの? というれいなの子どもっぽい疑問に私はこう返しました。それはね、サンタさんが靴下フェチだからだよ。れいなは合点がいったという顔で、それじゃあたっぷりと匂いをつけておかなきゃいけないっちゃね、と言いました。気が利く子です。私は手を叩いてそうそうと喜びました。最低でも三日は履き続けなければダメだ。ニーソックスがいい。色は――そうだな、黒がいいよ。何の小手先の柄も入っていない黒。あと、靴下フェチというものは往々にして下着フェチでもあったりするものだから、下着の上下もセットでおいておくと、なお喜ぶんじゃないのかね。
 れいなはクリスマスの夜、たっぷり三日間履き続けた黒のニーソックスと水色の下着の上下セットを枕元に置いて寝ました。あまりにも楽しみであったためか、20時にはもう布団に入っていたのです。しかし21時頃に泣きべそをかきながら起きてきました。私は不思議に思い、どうしたの? ちゃんといい子にして、寝なくっちゃあ、サンタさんが来てくれないよ。慰めるように言いました。れいなはそれでもなお泣き止まず、しゃくりあげながら、靴下とパンツが臭すぎて眠れんとよ、と言いました。私はこう返しました。「ジップロックに入れなさい」
99 :『グッバイルビー・チューズデイ』別珍 :2012/12/30(日) 00:26
 よしこは遅くならない内に帰ると言った。踵の高い靴を履いていく。見慣れない赤い色のパンプス。そんなものどこにあったの? よしこは出掛けに私を一瞥、乳を揉んで、なかなか、と言った。なんのことやら。玄関のドアが開いて閉まる。靴音が遠くなった。「遅くならない内に帰るよ」私はそれを信じていない。外の空気がたいへん冷たい。毛布にくるまって震えた。テレビのリモコンの電池は結構前から切れている。だからラジカセの電源を入れた。カセットテープを見かけなくなって久しい。なんとこのラジカセには、MD再生機能がついているるのだ! MDは捨てた。結構前に。CDもない。この部屋には音楽メディアというものが何一つとしてない。我ながら驚いた。ギターならあるんだけど。弾けないギターを弾くんだぜ。弦が錆びていた。指に変な匂いがつく。それを嗅ぐと、なかなか、という感じがした。Em7のコードなら知っている。中指で一本押さえればいいだけだから簡単だ。よしこが教えてくれた。「じゃあ何にも押さえないで弾くと、どういうコードになるの?」「知らないよそんなの、先生に訊いて」かつて在りし日のよしこはめんどくさそうにそう言った。先生って誰よ?
 何はなくとも口笛ぐらい吹けるのだ。問題は何一つとして今この場にふさわしいメロディが思いつかないこと。口笛の音色は侘しい。ホーホケキョ、とやってみた。冬だけれども。うぃーうぃっしゅあめりくりすます。そうかあ、クリスマスだったのかあ、歌を歌いたいなあと思った。カラオケに行きたい。お金がないんだよ。一人でカラオケという感じでもないし。そもそも的に。そもそも的に。MDが挿入されるのを待って、MD付きラジカセがチカチカと物欲しそうな流し目で私を見ている。無いのよ。MDが無いのよ。電源を切った。カチッという音がする。普段全然気付かないけれど、オンオフごときで結構でかい音を立てるのだな、と思った。それだけこの部屋には何も音が無いということ。耳をすますとキーンという音が聞こえてくる。鼻の頭は常に視界に入ってる。そういうやつで、気にしだすときりがない。爪のささくれが気になる。手の甲に生えている産毛が気になる。脇の間に手を差しこむとあったかい。冬だ。
100 :いつもここから :2013/01/04(金) 02:17
「今年は良い年になるっちゃよ」とれいなが言った。「どうして?」「大吉だからばい」紙切れを誇らしげに見せつけて来た。大吉、と書いてある。あらゆることがすべてうまくいくでしょう。「なんだいこれ、れいなちゃんが書いたの?ひどいクオリティだね。ガキの落書きにも劣る」れいなはふふんと鼻で笑い「病は気から」と言った。あけましておめでとう。
101 :新年会 :2013/01/06(日) 16:41
 酔っ払った石川さんが吉澤さんにしなだれかかり「女の子扱いされたい」という旨のつぶやきを繰り返した。吉澤さんが冷たく「そう」と言う。中澤さんがボタンを押して店員を呼びつけ、諸々の酒を追加注文した後、「空いた皿とか片付けてもらえます? あとついでにあそこの酔っぱらいも」そう言って石川さんを指さした。「中澤さんなんでそういうこと言うんですかあ? ねえよっすぃー?」甘ったるい声が返ってくる。店員は困った顔で愛想笑いをした。吉澤さんが「梨華ちゃんもうちょっとちゃんとして」と苦言を呈し、石川さんが「えー?」とまた甘えた声を出し、圭ちゃんが「はいはい」と言って、イカの一夜干しを一切食べた。辻さんが無言でおしぼりを石川さんに投げつける。「誰!? やめてよねこういうの!」石川さんがぷりぷりと怒りだしたので、みなそれを無視した。
 亀井さんは箸袋で箸置きを作りたいらしく、盛んにそれを折ったり曲げたりした。道重さんが「絵里、そうじゃないよ」など色々言うのだが、亀井さんはそれに対して生返事をする。「違うってば、それをここにこうやって差し込んで」「さゆ、ごめん、絵里のやりたいようにやらせて」矢口さんがテーブルの端から端までをぐるり見渡して、「相変わらずバラバラだな」と高笑いをした。飯田さんが「安心するね」と矢口さんの発言を更に俯瞰する視点からものを言った。
 久住さんはカルーアミルクを飲んでいる。安倍さんは少しだけ残った料理をせかせかとみなの皿に分配し、そうして空いた皿を重ねるなどの甲斐甲斐しさを見せた。中澤さんが「なっち、そういう気使わんでもええから」と眉をひそめたのだったが、「そうしないと料理乗らないっしょ!?」と苛立った声で言った。みな、少しずつ不快な気分になった。私はアイフォーンを取り出し、れいなに「お家に帰りたい」とメールを送った。
102 :男のこだわり :2013/01/07(月) 23:36
 れいなの手を握るとひんやりした。「冷たいね」と言ってみると「心があったかいからだっちゃ」と言う。なんだかそんな話も久しぶりに聞いた気がする。手が冷たい人は心が暖かいのよ。圭ちゃんがよく言っていた。女の人は冷え性が多いから、必然的に男よりも女の方が心が暖かい人が多いということになるね。心が暖かいからなんだと言うんですか? 「じゃあ手が暖かい人は心が冷たいのかな?」「そうとは限らないっちゃ」私はれいなのためにみかんを剥いてやった。「ありがとう」「え? 何? もう一度言って?」「ありがとう、だっちゃ」「ああそう、それは良かった」おれはトイレに行った後手を洗わない。
103 :詩情 :2013/01/07(月) 23:53
 図書館に行くと後藤先輩が居た。真面目な顔をして本を読んでいる。こういう顔もするのか、と意外な気持ちになった。「何読んでるんですか?」小声で問うと、無言で背表紙を見せる。尾崎放哉句集。「面白いですか?」後藤先輩はこくりと頷くと「すばらしい乳房だ、蚊がいる」と言った。「なんすかそれ」「すばらしいよね」「すばらしい乳房だ?」「蚊がいる」私は後藤先輩の顔をじっと見た。「どういうシチュエーションですかね」後藤先輩は天井を見上げ「夏だね」と言った。
 まあ蚊がいるのだから夏だろう。初夏なのか晩夏なのか。なんとなく晩夏なのだろうな、という気がした。蚊帳の中、一組の布団、男が女にのしかかり、着物の前をはだけ、薄明かりの中で白く浮かび上がる両乳房。窓の外ではきっと月が出ている。その薄明かり。りんりん言う虫の声が聞こえ始めている。乳首の色までは分からないが、肌の白さだけは透き通って感じられる。夏の終わりの涼しさと、両乳房の透き通った感じ、そこに一匹迷いこんだ蚊が、黒子のようにそこに居たのだろう。
 私はため息をついて「いい句ですね」と言った。後藤先輩は「そうね」と言って右頬で笑った。その頬に蚊がいる。「あっ」私は後藤先輩の右頬を左手で打った。乾いた音が図書館に染み渡る。ここで一句、古池や蛙飛び込む水の音。
104 :ああ :2013/01/08(火) 01:55
 いいケツをした女が歩いている、と思ったら飯田さんだった。声を掛けた。飯田さんは「久しぶりじゃん」と言ってすぐに「あけましておめでとう」と付け足した。私は早口におめでとうございますと答え、いや、いい尻をした女が歩いてるから誰かと思ったら、飯田さんでしたよ。びっくりしましたね。相変わらずお美しゅう。飯田さんは美人特有のこなれた調子で「ありがとう。今何してんの?」と言った。「何って、暇だからぶらぶらしてました」「ちょっと一杯お茶でも引っ掛けてく?」「そうしましょう」
 歩きながら店を探した。「今年一年の抱負は?」「しあわせになること」「しあわせじゃないんですか?」「もっともっと、ね?」ルノアールに入る。私がおしぼりで顔を拭くと、飯田さんは苦笑し、なんだか細長いタバコを取り出して火をつけた。桃のような香りがする。「ペシェですか」「なんだっけ、確かそんなの」灰を落とす仕草にセクシーさを感じる。私は飯田さんのケツの形を思い出していた。「飯田さんはあれですか」「なに?」「ノーブラだったりするんですか」「しないよ、なんで?」「なんかふいにそんなことを思ったんです」飯田さんは笑いながら、そういえばね、こないだ家を出る時に慌てててさ、いや、ブラつけ忘れたとかじゃなくて、ベルトつけ忘れちゃってね、パンツがズレるのよ、いや、パンツって下着の方じゃなくって、つーかあんた変わらないね、なんでそうなの? まあいいや、それでさ、ああ、この話オチないわ、いい? いやなにさ、パンツがズレてズレて難儀したっていう、それだけの話。「ほんとうにそれだけなんですか?」「何が?」「何か言いにくいことでもあるんじゃないですか」「別に」飯田さんは笑って「昨日したセックスのことを思い出しただけ」と言った。私は恐縮した。
105 :& ◆7HzXis1DRo :2013/01/08(火) 21:58
 定食屋に入ると席がいっぱいだった。店員の女の子が駆け寄って「何名様ですか?」と訊く。「いや、一人だけど、いっぱいだね」その子は店の奥にチラリと視線をやった。見ると、荷物が置いてあるものの、そこの席だけ空いていた。「ああ、あれは空いてるんですか?」「ちょっとお待ちくださいね」店員の子の尻を目で追いかける。タイトな黒いチノパン。パンティラインがうっすら透けている。彼女は店長に何事か掛け合っているらしい。「え? ダメだよあの席は」店長と目が合った。こっちへ来る。「いや、すみませんね、満席でして」「あの席は空いてるんじゃないんですか?」店長は困った顔をして「いや、あれはね、なんて言いますか」「まあ空いてないんならいいですよ」「すいませんねえ」店長の口ぶりがなんとなく思わせぶりで、もしかしたら幽霊とかそういう類なのかなあと思った。さりとて店を出る。店員の女の子がわざわざ店の外まで見送ってくれ、「また是非お願いしますね」と愛想が良いので、つい軽い気持ちで「あの席はなんだったんですか?」訊くと、彼女は目を伏せて「抱いて」と言った。私は彼女を殴った。
106 :良き友はものくるる友 :2013/01/09(水) 01:23
 土産を携えてあややを訪ねた。実家に行ってきたからとそれを手渡すと、珍しいこともあるもんだね今までモノなんてくれたことが無かったのにと不思議そうな顔をした。「ありがとうは?」あややはフッと笑って「ありがとう」と言った。コーヒーを淹れてくれる。カップに引っ掛けて直接お湯を注ぐタイプの奴だった。普段コーヒー飲まないからこういうのが便利でね、ちょっとしたお客さんが来た時なんかに。粉末の奴はおいしくないし、豆を買ってもすぐに風味が逃げちゃうから。問わず語りにあややはぽつぽつ言葉を継いだ。こういう喋り方をする人だったっけと、妙な違和感を覚えた。二人して豆が膨れては萎んでいくのを見ている。「あややは最近何してるの」と訊いて、すぐに後悔した。お湯を注ぐ手が止まる。換気扇がくるくる回る音、冷蔵庫が唸る音、コーヒーカップから湯気が立っている。いい匂いがした。「砂糖とか使う人?」とほとんど掠れるような声であややが言った。私は「いらない」とそれに答えて席を立った。
107 :願望と充足 :2013/01/09(水) 13:44
 テレビをつける。風呂あがりのさゆがコタツの対面に座り「みかんが食べたい」と言った。「買ってくれば?」「めんどくさい」肩に回したタオルに濡れた髪が掛かっている。さゆのお肌は湯上りたまご肌だった。針でつつけばぱちんと張り裂けそうな感じがする。「女の子はすっぴんが一番かわいいのに、なんで化粧なんてするんだろうね」そう言うと、さゆは分かっていないなという顔をして、「お風呂上りのすっぴんたまご肌の状態を維持するために化粧をするんだよ」と言った。そういうものなのか、と感心した。私はコタツの中、足先でさゆの足に触れた。こっちを見る。「えっち」と言われた。ひどい誤解だった。「えっち、じゃなくて、すけべ、って言って欲しいものだけど」さゆはくすりともせず「すけべ」と言った。私はさゆを殴った。
108 :名無飼育さん :2013/01/10(木) 15:48
このすけべ

好きです
109 :名無飼育さん :2013/01/11(金) 02:04
奇遇ですね。私もあなたのことが好きですよ!
110 :amare :2013/01/11(金) 02:05
 えりりんは休みの日、ひがな一日飽きもせず鼻くそを丸めているのだという。丸めてどうするのか食べるのか、と問うと、食べはしないただ丸めるのだ、という答えが得られた。一方、れいなはといえば休みの日は一日中部屋に閉じこもってオナニーをしている。オナニーをしてどうするのかそれで腹が膨れるとでも言うのか、と問うと、妊娠はしないただオナニーをするのだっちゃ、という答えが得られた。腹が膨れるというのはそういう意味で言ったわけじゃない。れいなは耳年増なのだ。さて、さゆはといえば、休みの日は洗濯カゴからお姉ちゃんの使用済みパンティを取り出してクロッチを眺めたり嗅いだりするのだという。お姉ちゃんのパンティのクロッチを眺めたり嗅いだりしてどうするのかオナニーするのか、と問うと、オナニーはしないただ眺めたり嗅いだりするだけだ、という答えが得られた。年頃の娘さんたちの考えることはよく分からない。えりりんが私に問うた。おじさんは休みの日何をして過ごすの? 私は、君たちのことを思いながら、終日神に祈りを捧げているんだよ。みんなが幸福でありますように。ぼくは信仰者なんだよ。さゆが更に問うた。シンコウシャって何? 信仰者! 「信仰者とは、もちろん、恋する者である」
111 :みっちゃんいい子なのにね :2013/01/11(金) 02:23
 飲み屋、何の変哲もない、居酒屋というにもしめやかすぎるしバーというにも小汚すぎる、そこへ流しの女が入って来た。今どき「流し」など珍しい。女は店員と交渉を始めた。「ここで何曲か歌わせてください」という台詞が耳に入る。その調子があまりにも切々として、今ここで歌わなければ私は死んでしまいます、とでも言わんばかりの、私は笑ってしまった。安っぽかったからである。女が私を睨みつけるのが分かった。歌いたければ歌えばいいじゃないか。そう言ったのだが、店員は困った顔をして、店長にお伺いを立てなければそういうことをしていいのか分からない、と融通が効かない。バカバカしい気持ちになったから、金を払って店を出た。帰り道、歩いていると、さっきの女、どこかで見覚えがあるような気がした。
112 :ほんとうにいい子なのにね :2013/01/11(金) 10:45
 そうと気付けば居てもたってもおられない。店に立ち戻ると、どうやら断られたらしい、みっちゃんは店先でぼんやりしていた。なぜ今更流しなんかを? 聞けば「一から出直しをしようと思って」と言う。世間はこの女に何度一から出直させれば気が済むのか。どうしたら許してくれるのか。気の毒になり、一杯おごりますよ、とて、連れ立って歩いた。今はどんな歌を歌ってらっしゃるのですか? 演歌は辞めたのですか? 道すがら、尋ねると、「昭和歌謡のようなものを」と言う。じゃあ一曲、ここで歌ってみてください。ここで? そう、ここで。みっちゃんはたじろいだ。一から出直すのでしょう? 店で歌おうが、ここで歌おうが、何も変わらないじゃないですか。何を躊躇する必要があるのですか、驕りですか、昔取った杵柄ですか、一から出直すんじゃなかったんですか。ぐっと唾を飲み込む音がした。かすかな声で、「もう許して」私は「いやです」と言った。
113 :犬と猫 :2013/01/14(月) 13:46
 雪が降ると一番はしゃぐのは父だった。盛んに車で山へ行きたがる。母は「危ないから」と言って止めるのだが、それに耳を貸すような父ではない。車にキャンプ用品を詰め込んで、「お前らも行くだろう」とて私とれいなとを、ほとんどキャンプ用品の隙間に詰め込むようにして乗せた。母はもうしょうがないという顔をして、おにぎりとあったかいお茶を入れた水筒とを持たせてくれる。この段になってくると、父だけでなく、れいなもはしゃいでいる。私は憂鬱な気分になっている。
 れいなは車が出るとすぐにおにぎりを食べ始めた。これは梅だ、これは鮭だ、これは昆布だ、といちいちおにぎりの具を実況をする。父はそれをうるさがってCDを掛けた。サザンである。私が「サザンって夏っぽい」と文句を言うと、「チューブよりいいだろ」と言って上機嫌に鼻歌を歌った。れいなはもうおにぎりを全部食べ終えている。お茶を飲み、「遠足みたいで楽しい」と言った。私は憂鬱な気分になっている。フロントガラスに打ち付けられる雪は一向に止みそうな気配もない。「危ないからドライブだけにして帰ろう」と言うと、父はバックミラーごしに私を睨みつけ、「じゃあここで降ろすから一人で帰れ」と冷たいことを言った。れいながアハハと心底楽しそうな声で笑っている。私は憂鬱で仕方がなかった。
114 :嘘と沈黙 :2013/01/15(火) 01:19
 れいながコタツで寝入っていたので、先からこねくり回していた鼻くそをれいなの耳たぶに着けてみた。オシャレ! という感じがした。急にれいなの鼻の穴の中を舐めまわしたくなったので舐めた。しょっぱい。キッチンに立ってうがいをした。やっぱり暇つぶしに他人の鼻の穴を舐めまわしたりするものではない、ということを思った。
115 :いやな女 :2013/01/15(火) 01:33
 起きると昼下がりだった。外が暗いので雨だろうと思っていたら雪だったので、一瞬だけうわあ雪だあ! と気持ちがたかぶったのだったが、この歳になって雪など寒いばかりでいいことがない。タバコを切らしている。この雪の中タバコを買いに行くのかと思うと一層気分が萎えた。それに窓から外を見たときにいやなものが見えた。下校中の小学生が楽しそうに雪遊びをしていたのだ。そういう光景はいやなものだった。失われた青春、という感じがした。目を覆いたくなった。コタツに潜り込んで目を瞑り、ああ嫌なもの見た嫌なものを見たと思っているうちに寝た。
 日も落ちてから目が覚めた。れいなが目をキラキラさせて「雪!」と言っていた。「だからなに? 知ってる」と言ってやる。こちとらあんないやな光景を見て気分が悪い。コタツに潜り直した。身体の節々が痛む。れいなが私の肩を揺すった。「眠いのよ、寝させなさいよ、それかまんこ舐めさせろ」言ってやると、れいなが私の目の前に何かを差し出した。それは手乗りサイズの雪だるまだった。むかむかした。あのいやな光景はこれの伏線だったのだ、と思えた。私はそれをれいなの手からはたき落とし、「んなもん見せんじゃねえよ! まんこ見せろつってんだろうが!」と怒鳴る。と、私の頬に生暖かいものが落ちた。見上げると、れいなのまんこがあんぐりと口を開け、ラブジュースをしたたかに垂らしている。私はそれにむしゃぶりついた。れいなはいい声で鳴いた。
116 :知らなかったよ :2013/01/16(水) 02:16
 れいながか細い声で、明かりをつけて、と言った。テレビをつけると通販番組をやっている。電気をつけてよ、と言う。しおらしい声だった。テレビも電気には違いない。無視した。明かりをつけてったら。どうして今日のお前はそうもいじらしい喋り方をするのかね? れいなの顔がふと沈み、テレビの光に照らされて、きれいな顔をしているんだなと、そこで初めて気がついた。
117 :阿吽 :2013/01/31(木) 22:19
 夜道を歩いているとれいなが腕に絡みついた。「どうしたの?」と尋ねると「寒いっちゃ」と答えた。「おれだって寒いよ」と笑うと、れいなは何も答えず腕を解いた。その顔を見て私は返事を間違えたのだということに気付いた。「れいなちゃん、もう一回いい?」こくりと頷くと、もう一度れいなは腕に絡みつき「寒いっちゃ」と言った。上目遣い。「おれがこんなに傍にいるのに?」そう言うとれいなは腕を解き、まるで分かっていないという顔をして「ラブホテルに入ろうということだっちゃ」と怒った。最初からそう言え。
118 : :2013/01/31(木) 22:41
 さゆが見る度にかわいくなっていくので惚れぼれとした。そのうち前宇宙のかわいらしさがさゆのその小さな身体に結集し、高エネルギー体となり、全宇宙を包み込んで弾けて混ざり、この宇宙は新たなモードへと転換するのではないかと思えた。さゆは言うのである。「醜いものは根絶やしにしなければいけないのよ」醜いもの代表であるれいながそれに答えるのである。「醜さ、それが人間なのだっちゃ」血で血を洗う天地を巻き込んだ宇宙戦争が勃発する。まずAKBが散り、続いてももクロが散った。地下アイドルはうしじまいい肉を中心に連合化する兆しを見せていたが、内輪揉めをしている内に自壊した。れいなは彼女たちの全ての痛みとその醜さの重みを引き受けて、一糸まとわぬ姿でさゆと対峙するのである。そういうAVが撮りたい。
119 :今際の :2013/02/05(火) 01:02
 二十畳ほどの座敷の真ん中に布団が敷かれ、そこにれいなが横たわっていた。新旧ハロプロメンバーが取り揃い、それを囲んでいた。部屋は底冷えしている。飯田さんがストーブに火を入れた。灯油の香りが立ち上る。「こんなに日に雪だなんて」とえりりんが独り言を言った。泣きそうな声だった。こんな日に雪? 窓の外を見やると確かに雪だ。しんしんと降っている。
 さゆがれいなに耳打ちをする。乾いた声でれいなは笑い、さゆが目配せして私を呼んだ。「なに?」れいなが布団から手を伸ばす。それはあまりにも白く細かった。「だからなに?」れいなが私の手を握る。「だからなんなの?」「冷たいっちゃ」と笑った。それはまるで雪が溶けるかのようだった。さゆが私に耳打ちをする。「握り返してあげなさいよ」絶対にいやだと思った。
120 :名前をつけてやる :2013/02/08(金) 06:30

 知人が猫を連れてきた。まだ子猫だった。ついこの間拾ったばかりで名前もまだつけていないらしい。不憫である。はやく名前をつけてあげるべきだと促すと「そうそう、だから一緒に考えてもらおうと思って」と彼は言い、私は即座に「れいな」と答えた。れいなは短くにゃあと鳴いた。れいなはおれのものだ、貴様などには意地でも渡さない、と思った。
121 :なぞなぞ :2013/02/11(月) 02:40
 れいなが私の顔の上に跨って何が見えるかと聞いた。桃色のパンツが見える。その奥には何があると思うばい? まんこだろう。もっと詳しく言って欲しいっちゃ。詳しく? そう、詳しく。クリトリスとヴァギナとアナルかな。れいなは首を横に振り、そういうことじゃないっちゃ、と言った。私には分からない。
122 :大丈夫? :2013/02/11(月) 15:46
 ガラスの割れる音がした。見るとれいなが立ち尽くしている。足元にガラスの破片が散らばっていた。「何割ったの?」と尋ねると「何でもいいっちゃろ」「まさかアレを割ったのではないだろうね?」この間先生から頂いたアレだ。高いものだという。れいなには決して触るな、触るべからず、例え親が死んでも私が死んでも触ること能わず、触った場合は貴様に天罰が下るであろう。脅しておいたアレだ。とはいえ何か特別なものというわけではなく、いわゆるただのティーポットである。しかし高いものだという。先生から貰ったのだ。私の敬愛してやまない恩師から。
 れいなは仏頂面で依然としてそこに立ち尽くしていた。「もしや、あれを割ったのではないだろうね?」もう一度聞くと、れいなは眼に涙を溜めて、掠れるような声で「そうじゃない」と言った。私はほっと胸を撫で下ろした。「じゃあさっさと片付けておきなさいよ」
 れいなは屈みこんでガラスの破片を拾った。泣いている。指から血が滲んでいるのが見えた。「なんで泣くんだよ。やっぱり、もしかすると、アレなのではなかろうね?」れいなはかぶりをふって「そうじゃない……」と言った。そうじゃないのならいいのだ。私は立ち上がってタバコを吸った。それから「早く片付けなさいよ」ともう一度言った。れいなの眼から涙がこぼれた。私はその涙の理由を知っているけれども、決してそれを慰撫してはやらないのだ。
123 :大丈夫? その2 :2013/02/11(月) 16:15
 夜、家に帰ると、れいなが窓に自分の姿を映して踊っていた。私はしばらくそれを眺め、キメポーズなどで時折かっこいい! と声援を送った。れいなは得意そうな顔をして、いっそう激しく踊った。そのもげそうに振り切られた足がガラス窓を突き破り、凄まじい音を立て、鮮血が迸り、れいなが眼を丸くして、何が起こったのか分からないという様な風に言葉を無くすのを見た。「窓ガラスって高いんだよね、弁償してくれんの?」れいなはわんわんと子どものように泣いた。ありったけの罵声を浴びせてやろうと思ったが、何も思いつかなかった。愛だな、と思った。
124 : :2013/02/11(月) 16:27
 ファミレス、ごっちんはハンバーグを頼んだ。私はドリンクバーを頼む。「ダイエット?」と訊くので「まさか、金が無いんです」と答えると、いいから好きなのを選べと言う。てっきりおごってくれるものだと思ってメニューの中で一番高そうなステーキを注文すると「やるねー、お金持ちー」と言い放つので目が点になった。お会計は別々だった。母親に電話してお金を持って来てもらった。母は泣いていた。私はごっちんのことが嫌いになった。
125 :血風録 :2013/02/11(月) 16:38
 たまたま圭ちゃんに会った。生理らしい。しんどいしんどいとこぼす。私は圭ちゃんの股間から経血がドバドバ垂れているのを想像してやり切れない気持ちになった。こうやって話している最中にも膣口からドバドバ経血が出ているのだろう。血の臭いがしてくるような気がした。気分が悪くなっていい加減に切り上げた。久しぶりに会ったのにちょっと冷たいんじゃないの? かわいらしく頬を膨らます圭ちゃんはとてもぶさいくだった。お前からは血の臭いがするんだよ。獣の臭いが。嫌いじゃない。
126 :青い花 :2013/02/12(火) 17:32
 えりりんはしきりにスカートの裾を気にして「見えてない?」と言った。「見えてないよ」見えていた。両太腿をぐるりと一周する白いレースに、生地の主たる部分は水色、クロッチの盛り上がりとその食い込みはいにしえの、モーゼがその杖の一振りで割ったという紅海を思い起こさせた。我らの進むべき道はそこにあるのだった。
 えりりんが身に着けているのは品女のブレザーだった。茶色のジャケットとタータンチェックのプリーツスカートの組み合わせが目に麗しいあれである。えりりんはここぞというときにはいつもその制服に身を包むことにしていた。スカートの裾は限界まで切り詰められ、今やもうその限界は軽々と飛び越されていた。目下、常に「見えている」状況にあった。
 えりりんが歩を進める度に、水色のパンティはその麗しい尻肉の間に食い込んだ。私は胸をかき乱される思いがした。神が示す道はかのようにして、ありありと眼前にあり、手を伸ばせば届きそうに思われるというのに、そこへ至る道筋のなんと遠いことか! 私は目を伏せ、ただ大いなる神に対する信仰のみを心に抱いて、歩を進めた。
 えりりんがふいに立ち止まり「この道で合ってるんだよね?」と言った。「合ってるよ、たぶん」「楽しみだなあ」えりりんは青い花を探していた。人がまだ足を踏み入れたことのない湖のほとりにひっそりと咲く青い花だ。それを見、その香りを嗅いだ者はみな、えも言われぬ多幸感に包まれるものらしい。
 日が暮れようとしていた。今日中に辿り着けるとはとても思えない。そんなに容易く辿り着けるものならば、未踏であるはずもないから、それは当然のことだった。「今日はここらで寝ることにしようよ」「ダメだよ、早く見たいんだから」「無理だよ、ゆっくり行こうゆっくり」しぶるえりりんを説き伏せて、都合のいい寝床を探した。
 我々は大きな木の下で横になった。まだ薄暮といった頃合いで、寝るには随分と早いように思われたが、明日、日が上るとすぐに出たい。えりりんはまだ文句を言っていた。まだ行けるまだ行けるとうるさい。私はそれを聞き流して目を閉じた。それから大きく深呼吸をした。嗅ぎ慣れない、妙な匂いがする。目を開くと、見慣れない光景が眼前に広がっていた。薄明かりの中、私の視界はキラキラする水色に覆われていた。それの丁度真ん中あたりが落ち窪んでおり、そこは薄っすらと湿っていた。「湖だ!」私は叫んだ。「どこに?」というえりりんの声が遥か頭上から落ちてきた。私はそこに鼻を押し当てて、思い切り匂いを嗅いだ。ああなんていうことだ! 私は自分の股間が熱く濡れるのを感じた。なんて幸福なんだ! 「自分だけ気持ちよくならないで」とえりりんが不満そうに言った。
127 : :2013/02/13(水) 01:04
 ごっちんがすた丼を食っていた。「好きなの?」と尋ねると、ごっちんは食べる手を休め、お茶を一口飲み「嫌いじゃないよ」と言った。私は餃子を一つ摘んだ。「ちょっと」「なに?」「勝手に食べないでよ」「好きなの?」ごっちんはすた丼をもぐもぐやりながら、ちょっと考える風に箸を持った手をほっぺたに当て「そうでもないかも」と言った。ご飯粒が飛び出る。私はテーブルに着地したそのご飯粒を見た。半分潰れていた。私もにんにく臭いごっちんの口の中で咀嚼されたい、と思った。
128 :チョコレート :2013/02/16(土) 23:42
 れいなの携帯が鳴った。「知らない番号だっちゃ」「じゃあ取らなきゃいいんじゃないの?」取った。れいなは「あっ、はい! どうも!」と叫び、それからは平生の様子で「はい、はい」と相槌を打っている。五分ほど話して電話を切った。暗い顔をしている。「誰からだったの?」「別に」
 呼び鈴が鳴った。出ると、ごっちんだった。「あ、さっきの電話はごっちんだったの?」「は? 何の話?」「いや、さっきれいなに電話したでしょ?」「何の話だよ」「あれ?」ごっちんはズカズカと上がり込み、れいなに向かって「げんき?」と言った。れいなはニコリともせず「はい」と言う。「こら! 先輩に向かってそんな不景気なツラをするのはよさないか!」ごっちんは眉をしかめて「うるせえよ」と言った。「あれ?」
 ごっちんは「この間バレンタインだったから」と、高級そうなチョコレートをくれた。「それじゃあコーヒーを淹れようね」「紅茶がいい」「あ、そう? でも紅茶ないんだよね。ほうじ茶ならあるんだけど」ごっちんは手提げ袋の中からリプトンのレモンティを取り出して「これ使って」と言う。「準備がいいね! さすがごっちん!」「いちいちうるせえんだよおまえ」「あれ?」
 チョコレートは高級な味がした。甘ったるさがコーヒーによく合う。「今日はどうしたの?」訊くと、ごっちんはため息をついてれいなに目配せをした。れいながコクリと頷く。「なになに? サプライズ的な何か? サプライズ的な。でもおれの誕生日は10月だし、れいなの誕生日は、あれ? れいなちゃん、誕生日いつだっけ? あ、もしかしてごっちんの誕生日的な? いつか知らないんだけど」ごっちんは懐から小さな包みを取り出した。丁度指輪の箱のような、そういうサイズ感の包みだった。もしかするとごっちんからプロポーズされるのかもしれない。私はそう思い、「やっぱりサプライズ的な」
 ごっちんが無言でその包みを開け、その箱をパカリと開けると、そこには何も入っていなかった。「なにそれ?」と私が訊くやいなや、れいながぎゃあと叫んで両手で顔を覆った。指の間から血が吹き出ている。私はごっちんに掴みかかった。しれっとした顔で「なに?」と言う。「なんだよこれ」「さあね〜」「れいな死んじゃうよ」「いいんじゃん? なんか困んの?」「困るに決まってるでしょ!」「たとえば?」はて、私は首を捻った。何が困るのだろう。「いや、具体的には思いつかないんだけど」「じゃあいいんじゃん?」「そうか〜」「そうだよ〜」
 れいなの悲痛な叫びを聴きながら、私はコーヒーを、ごっちんは紅茶を嗜んだ。ごっちんの持って来たチョコレートは高級な味がした。甘ったるさがコーヒーによく合う。れいなの携帯が鳴った。見ると、知らない番号だった。私はそれを取った。「あっ! どうも!」五分ほど話して電話を切ると、ごっちんが「誰?」と訊いた。私は「別に」と答えた。玄関の呼び鈴が鳴った。
129 :プレゼント :2013/02/17(日) 00:33
 大きな小包が届いた。開けるとカラカラに乾ききったえりりんが折りたたまれて入っていた。「お湯で戻ります」と書いた紙が同封されている。熱湯を沸かし、かけた。無事えりりんは戻ったが、「お風呂で戻して欲しかったです」と文句を言った。「やけどしちゃったじゃないですか、ほら見て下さい、乙女の柔肌がボロボロですよ」すまなかった、次からは気をつける。私は頭を深く下げて詫びた。「誠意を見せてください」「誠意? どうやって?」「コレに決まってるじゃないですか」えりりんは親指と人差し指で輪を作ってみせた。「コレですよ」「分かった」私はズボンとパンツを下ろした。すでに誠意を見せる準備と覚悟はできている。「そうそう、コレです」えりりんは指で作った輪をすっぽりと亀頭にかぶせ、上下させた。すぐに出た。えりりんはそれを口で受け、「美味しい……ってこれは誠意じゃなくて精子じゃないですか!」と叫んだ。「三点」と私は言った。
130 :女々しくて :2013/02/18(月) 03:26
 昼過ぎに起きた。れいなが昼飯を作っている。出前一丁。「なんかもっとまともなもんを作って欲しいね、ほら豚汁とか」言っている間に出来た。れいなはそれを一人で食べ始める。「おれの分は?」れいなは袋に入ったままの出前一丁を投げつけてくる。「そりゃあんまりだろう」しぶしぶ、私も自分でそれを作った。悔しかったので、卵と、炒めた野菜とを加える。出来上がったラーメンどんぶりを持って席につき「どうだ、うらやましいだろう」と見せつけるように言ってやると、れいなはぷいとそっぽを向いて席を立った。「あんまりじゃないか」私は一人寂しくラーメンをすすった。ちょっと胡椒を効かせすぎたらしい。この涙はその胡椒のせいであって、寂しさのせいなどではない。
 昼飯を済ませると何もやることがなかった。「本でも読むかな」と声に出して言ってみる。れいなはPSPをやっていた。「それともゲームでもやろうかな、モンハンでもやろうかな」れいなはPSPの電源を切ると服を着替え始めた。今日は赤い下着である。「どっか行くの?」れいなはその言葉を無視し、カバンを持って家を出ようとする。「おれもたまには外に出てゲーセンにでも行こうかなあ!」声を大にして言ってやると、玄関のドアがバタンと閉まる音がした。少し大きな声を張り上げて喉を痛めたらしい。この涙はその喉の痛みのせいであって、寂しさのせいなどではない。窓の外を見ると日が暮れようとしていた。もう耐えられない、と思った。
131 :amare :2013/02/19(火) 09:31
 つんく♂さんから電話があった。話があるねん、と言って呼び出されたオフィスでつんく♂さんはすばらしい笑顔で私の肩をぽんぽんと叩き、お前は今日からモーニング娘。第12期メンバーや、と言った。「これからのこと」についてさゆから説明があった。それによれば「基本的にはれいなのパートを埋めること」が私の責務であるらしかった。私はずっと押し黙っていたのだが、さゆの「何か質問は?」という台詞に促されて、「なぜ私なのでしょうか」と訊いた。つんく♂さんが「愛やな」と言う。愛か、いい言葉だ。「でも私はただのおっさんですよ」「そうやねん、そこが愛やねん」さゆが引きつった笑いを浮かべて「だ、そうです」と言う。愛か、いい言葉だ。
 そのままメンバーとの顔合わせが行われた。半分ぐらいは顔見知りである。工藤さんがやたら私のことを「キモい」となじるので心が挫けそうになった。飯窪さんが優しくフォローを入れてくれる。「そんなことありませんよ、割と、まだ、大丈夫です」好きだ。アナルを舐めさせてください。言わなかったが、そう思った。石田さんが存外かわいらしかった。小田さんは何か非常に険しい顔で私を見つめていた。ライバル視されている、と私は感じた。
 時間がない、早速振り付けの練習をしなくてはならないからこれに着替えておいでと、よく分からんダサいスウェットがさゆから手渡される。私は文句を言った。こんなダサいもの着れません。工藤さんが私の向こうずねを蹴って「生意気な口きくんじゃねえよ」と言った。私はまたしても心が挫けそうになり、飯窪さんに救いを求める視線を送ったが目を逸らされた。結局おれは一人なんだ、と思った。愛か、いい言葉だ。
 着替える。鏡張りのレッスンルームに足を踏み入れると、さゆが「遅い!」と怒号を飛ばす。私はすみませんすみませんと頭を下げ下げ指定の位置へ着くと、音楽が鳴った。知らない曲だ。近くに居た鈴木さんに「これ何て曲ですか?」と尋ねると、ブゴッと豚の吐息のようなもので返された。人外だ。逆に振り向いて今度は鞘師さんに尋ねる「これ何て曲ですか?」鞘師さんは天使のような笑顔で「黙って」と言った。私は黙った。
 フォーメーションが激しく移動し始める。私はそこに立ち尽くす他なかった。三分間の孤独を味わう。曲が終わると、さゆがツカツカツカと私に歩み寄り、「びっくりした」と小声で言う。「え?」「びっくりしたよ」何が? 「愛だとかなんだとか勝手なこと言わないで!」さゆはそう怒鳴り、私の頬を思い切り張った。愛か、いい言葉だ。どうしようもなく、私はただのおっさんだった。
132 :wheel :2013/02/20(水) 03:00
 冬の日のことだった。「暖かくなったら旅行にでも行きたいね」と圭ちゃんが言い、吉澤さんが「そうだね」とそれに返事をした。ごっちんはヤングジャンプを読んでいる。「今何が面白いの?」圭ちゃんが問うと、ごっちんが「さあ」とやる気のない返事をする。テレビをつけると通販番組をやっていた。圭ちゃんはそれをしばらく眺めていたが、「どこに行く?」と独り言のように呟いた。「ねえ、どこ行く?」「さあどこがいいかなあ」吉澤さんはコップを持って台所へ立った。「コーヒー淹れるけど、飲む?」圭ちゃんは飲むと言った。ごっちんはいらないと言った。「後藤はさあ、どっか行きたいところあんの?」圭ちゃんがそう言ってごっちんの脇腹をつつくと、ごっちんはやるさそうにその手を振り払った。「どっか行きたいとこないの?」「無いよ、無い」「でももうすぐ春だよ」「春だね」「どっか行きたいでしょ」「行きたいね」「じゃあどこがいいの?」「どこでも」ごっちんはむくりと起き上がってヤンジャンを投げ捨てると、「どこでもいい、ここじゃなかったらとこでもいい」と言った。ここではないどこかへと〜♪ 吉澤さんが歌いながらカップを二つ持って現れた。圭ちゃんはその内の一つを受け取る。「砂糖とかいる人だっけ?」と吉澤さんが訊いた。「使わないけど」「あっそ」なんだかとてもコーヒーが苦い夜だった。
133 :dormido :2013/02/25(月) 00:15
 朝の五時に電車に乗ると意外にも混んでいた。座れないほどではなかった。ぽつぽつと空席がある。その空席のぽつぽつ感が逆に座りにくいナアという気分にさせた。優先席は空いていたのでそこに座った。目の前に仕事上がりのキャバ嬢といった雰囲気の女が立つ。背が低い。私はチラリとその顔を確認してから、持って来た小説を読み始めた。全然入ってこない。同じところを三度ぐらい繰り返し読んで、ようやくその状況がなんとなく掴めるといった有様、この小説はなんてつまらないんだろう。面白い小説というのは、読んだ端からイメージが瞼の裏に鮮明に浮かび上がるものだ。この小説はつまらない。文章は目から入って、脳みそを経由すること無く、直接瞼の裏側にイメージを焼き付けさせるようなものでなくてはならない。小説において重要なのは物語ではなくてイメージの鮮烈さだ。
 私は本を閉じた。この小説のつまらなさが単に私の集中力に起因することは明らかだった。分かりきっていた。けれども、このつまらなさはこの小説自体の問題だと、そう思いたかった。目の前のキャバ嬢は目を瞑って揺れている。その顔に身体に刻まれた歴史について、私は考えた。この人はどのような人生を送り、どのような人間と関わりながら、今こうして仕事上がりのキャバ嬢風の衣裳に身を包み、私の目の前に立っているのだろうか。想像しようとしたけれども、全く何も思い浮かばなかった。他人の人生に対する私の想像力の貧困さは、そのまま私の人生経験の希薄さを反映しているように思えた。
 憂鬱になった。冬の朝五時の薄暗い電車の中の、寝ぼけ眼で、それでも仕事へ向かわなければいけない人たちと、同じく寝ぼけ眼で、一晩働き尽くしてくたびれた人たちが醸成するけだるい雰囲気が、私を憂鬱にさせた。今この電車の中の雰囲気が、そのようなネガティブなイメージでしか捉えられない私の紋切り型の想像力が、けだるかった。世の中は希望ではなくて絶望で回っているという私の認識が、私の幸福を制限していた。その枷を取り払う希望と幸福に満ち溢れた経験を、私は致命的に欠いていた。
 電車は何度か停まり、何度か扉を開閉した。その度に寝ぼけた眼をした人たちが冷たい空気を身にまとって乗ってくる。私はマフラーに顔を埋めて見ないふりをした。何か楽しいことを考えなくては、と思った。楽しいこと、何も思いつかない。私は何をすれば楽しくて、何をすれば幸福なのか、ということが分からなかった。何が絶望で、何が不幸なのか、ということは知っているような気がした。この世の中は絶望と不幸で回っていて、希望や幸福などないし、あるとすればそれは人為的に無理矢理作られたウソの希望であり幸福なのだ。ウソの希望や幸福は単なる絶望や不幸よりなお悪い。最悪だ。最悪な世の中に生まれてしまった。
 そんなような抽象的なことを考えている内に、ふいにバカバカしくなった。目の前のキャバ嬢が一瞬ぶるっと震えると、股間に大きなシミが広がり、それが瞬く間に豊かな水源となって、床に一面の水たまりを作り出したからだった。私は咄嗟に膝を抱えて、その黄金の湖から距離を取った。失禁したキャバ嬢の恍惚の表情、それを見て、人間は動物なのだなと思ったし、動物である以上、食って寝て出す以上の真実など有りようはずもなく、私もまた今朝パンを食い、うんこを出し、そして睡眠が足りていなかった。睡眠こそ私の幸福で、日々善く寝るために、私は生きているのだった。そうだった。だから考えるのをやめた。今日こそは善く寝るんだ、と思った。夢でれいなと逢うんだおれは。
134 :圭ちゃん :2013/03/03(日) 20:35
 圭ちゃんは旅行の話をしている。どこに行きたいか、何を食べたいか、何を見たいか? 吉澤さんはコーヒーカップを覗き込んでいる。どうかした? ごっちんが尋ねた。どうもしないんだけど、コーヒーって黒いんだなあと思って。そりゃそうでしょ、黒いからコーヒーってんだよ。ちょっとあんたたち真面目に考えてよね! 圭ちゃんが怒ったので、二人とも、はあいと、まるで子どものような返事をした。
 場所は京都、清水の舞台を見に行く、ということになった。これはほとんど圭ちゃんが決めた。行きたくないんだったら別に行かなくてもいいんだからね? という言葉を何度も飲み込んだ。それを言うときっと二人とも、じゃあ行かない、と言う気がしていたからだ。
 圭ちゃんが伝票を持って立ち上がると、まずごっちんが、ごちそうさまです、と言い、続いて吉澤さんが、いつもお世話になります、と言った。まるで感情が篭っていない言い方に少し腹が立ったが、いつものことだ。じゃあ、来月だからね、予定空けといてよね、飛行機も、宿も、私が取っとくから。
 ごっちんが不思議そうな顔をして訊いた。なんで圭ちゃんはそこまで色々やってくれるの? なんでって、そりゃあ――圭ちゃんは言い淀んだ。特にこれといった理由が思いつかなかったからだ。そりゃあれだよ、圭ちゃんは私たちのことが大好きだからだよ。吉澤さんがそう口を挟んだ。ごっちんが、そうかあ、と笑う。そうなのか? 圭ちゃんはしばらく伝票を持ったまま二人の顔を交互に見た。
 ない。そういうわけじゃない。小声でそう言うと、二人は口々に、ですよねー、だとか、じゃあなんで? とか言った。私がそんなこと知るわけないでしょ、とにかく、行くんだから、頼むよ、お願いだからね、私と一緒に、旅行に行ってよ、辛いんだ、一人が辛いんだ、ただそれだけ。
135 : :2013/03/15(金) 01:21
 れいなと散歩をしていると時々わけの分からないことを口走るのでその度に「何?」と訊くのだが、れいなはいつも「別に」と答え、何と言ったのか教えてくれないばかりか、人を心底バカにしくさったような顔をした。私はそれが腹立たしかったのだけど、それ以上にれいなが何を言っているのか気になり、今度こそは聞き逃すまいと耳に神経を集中するのだが、そう長くは集中力は続かない。忘れたころにれいなはまた何か言うのだった。
 ある日私は改めてれいなに訊いた。いつも外でぼそぼそ独り言を言うのは一体何なのか、何を言っているのか。れいなはこう答えた。"Memento mori."
136 :アメリカ :2013/03/19(火) 03:49
 あややが鼻をかんだティッシュをまじまじ見つめていると「やめてよ」と恥ずかしがったので嬉しくなった。広げてみる。春だからか、そこに残る鼻水は粘性が低く、ほとんど水のようであり、糸を引いたりはしなかった。つまらない、と思った。しかし私はそこに一筋の鼻毛を見出し、それを取り上げあややの目の前に突き出すと「これは何かな?」と問うた。あややは「ひじき」と言った。堂々たる調子だった。つまらない、と思った。
137 :sick's teen :2013/03/19(火) 03:59
 柴田あゆみさんは歳を経るごとに魅力的になった。私は柴ちゃんが好きで好きでたまらなかった。大沢あかねの次ぐらいに愛おしいと感じていた。かつて柴ちゃんと私とは隣同士の家に住んでおり、朝カーテンを開けると、窓を二枚隔てた向こう側で、柴ちゃんは見せつけるようにして制服に着替えているのだった。今でもまざまざと鮮やかに、柴ちゃんの肉付きの良いボディと、それを包む桃色や水色の下着を思い出すことができる。時にそれは鮮烈な赤だったりもした。そういう時は学校に行く道すがら、「柴ちゃんは今日生理なの?」と問うことにしていた。柴ちゃんはそっぽを向いて、目についた道路標識について講釈を垂れた。あれは一時停止で、これは進入禁止で、これは通学路の標識だ。なぜもって当時の柴ちゃんが道路標識に関して、一定の知識を持っていたのかは定かではないが、その話を聞きながら「柴ちゃんはほんとうにものしりだなあ」と単純に感動していた。ふいに風がそよぐと、たなびく髪のシャンプーの香りに混じって、翻るスカートの中から経血の香りがした、気がした。柴ちゃんの赤く染まった頬もよく覚えている。
138 :もしかしてだけど :2013/03/19(火) 04:08
 圭ちゃんと酒を飲んでいるとふいに沈黙が訪れ、目が合った。いやな雰囲気だ、と思った。「ああ」と圭ちゃんはため息をつき「なんだろう、なんか、あれなんだけど」と言い淀む。私はすかさず「そういえば、この間の旅行はどうだったの?」と尋ねた。圭ちゃんは首を傾げて「旅行なんか行ってないけど」「だろうね。適当に言ったからね」「なにそれ」「まあ久しぶりだから、その間に旅行ぐらい行ったのかなと思ったんだよ」圭ちゃんはまた「なにそれ」と言って、笑いながら、「もう長らく旅行なんて行ってないよ。連れてってくれる人もいないし」と挑発的な目つきをした。私は圭ちゃんの発言の意図が痛いほどよく分かった。だからこう言ったのである。「だろうね、寂しい女だ」
139 :puella mea! :2013/03/19(火) 05:09
 夜、駅から家へ向かって歩いていると、なんだかぴょこぴょこする感じに歩いている若い女を見た。見ているこちらが楽しくなるような足取りだった。足取りに合わせてツインテールがリズミカルに揺れている。彼女はふと足を止めると夜空を見上げ、私もそれに合わせて視線を上げた。彼女の見たものは夜空ではなかった。その視線の先には膨らみかけた桜の蕾があり、私はそれを見ると、今この世を生きる十代の少女たちよ、慈愛に満ちた日差しが降りかかる春、君たちの乳首やクリトリスは一斉に真ん中から裂け、鮮血をまき散らしながら一度しか咲かない花を咲かせるのだ。気付くとツインテールの女はいなくなっていた。あの女はもう咲いたのだろうか、これから咲くのだろうか、考えて、どうでもいいことだ、と思った。
140 :姿見 :2013/03/31(日) 21:32
 れいなは毎朝、隣の庭に咲く桜を見ては「早く花見に行かないと」とこぼした。「いつかね」私はれいなのその寂しそうな後ろ姿が好きだった。
141 :ぽろぽろ :2013/05/23(木) 21:08
 田中れいながついにモーニング娘。を卒業したらしく、私はそれを電車の中、iPhoneからTwitterを見ているときに知ったのだが、「へえ、そういえばそうだった」と思ったきりだった。れいなの卒業コンサートに行けなかったのが残念なような気もしたし、そんなことはどうでもいいような気もした。
 とある記事によればれいなのバンドのお披露目と、れいなからファンとメンバーに宛てた手紙の朗読と、逆にメンバーかられいなへのメッセージなどが目玉であったらしい。その記事には「田中れいなの生き様が云々」など書いてあった。Twitterでは「よくぞこのような素晴らしい記事を書いてくれた」というような賛辞が当該記事へのリンクと共に流れていくのがちらほら見られたが、なにがどうすばらしいのか私には皆目分からなかった。恒例の茶番だ、と思った。
 電車から降りて家へ向かう道すがら、ののたんを溺愛する飯田さんのことや、呆れた顔でそれを眺めている中澤さんのことや、澄ました顔で私を睨みつける市井さんのことや、なっちがNeverForgetを歌っている姿や、あややの「笑顔に涙」や、それをガキさんが歌った音源や、ごっちんが辻加護を冷めた口調で叱っている情景や、ハの字眉毛で「どうしようよっすぃー」と泣きそうな石川さんや、ベーグルベーグルゆでたまごとうわ言のように呟く吉澤さんや、ののたんの陰毛や、れいなの薄汚いラビアのことを思い出した。
 私が家のドアを開けるとクラッカーがパンッと虚しく鳴り響き、れいなはラジカセ片手に恐竜音頭を踊っていた。
142 :あき :2013/10/21(月) 23:35
 愛理が梨を剥いてくれ、桃子がそれをぱくぱくと食べた。私もその梨の一切れに手を付けたのだったが、愛理が「あんたのために剥いたわけじゃない」とつれなくて、悲しくなった。
 その日はたまたまれいなも同席していた。愛理と桃子はほんの少しいやそうな顔をしたが、れいなは何も知らずにニコニコと笑っていたので、おれはいいことをしたんだ、と考えた。
 三人ぐらしをしていた。愛理と桃子は二階の十二畳一部屋を二人で分け、私は一階のほとんど押入れのような二畳のスペースで寝起きをしていた。嫌ではなかった。狭いところが好きなので。
 れいなは私のその部屋で、膝を抱えて震えていた。秋になってしまったから、とてもとても、この部屋は寒い。ふびんに思い、愛理と桃子の部屋で、今夜は寝るといいよ、そう言ってさしあげると、れいなは鬼のような目をして、呼び捨て? と言った。
 意味がよく分からなかった。れいなは鬼のような目をして、もういちど、呼び捨て? と言った。私が「れいなちゃん」と言うと、ふてぶてしく顔をそむけ、れいなむらむらしてきたけん、ここでオナニーするっちゃ、とて紫色の趣味の悪いホットパンツを脱いだ。
 勃起していた。れいなのクリトリスではなくて、私のペニスが、である。ふと二階で快活に笑っている愛理と桃子の顔を思い出した。「やめなさい」パンツに手をかけたれいなの手を掴んだとき、すでに私は射精していた。愛理と桃子の顔を思い出した。

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