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風と光とれいなと私と

1 :& ◆StUl6OzU :2012/09/24(月) 04:46
フリースレに投稿し続けるのが心苦しく思われるので、
やはりスレッドを立てることにいたしました。
れいな、並びにモーニング娘。とm-seekに愛を込めて書きます。
2 : :2012/09/24(月) 04:46
 れいなが髪を短く切ったのが最初こそ新鮮で、たいそう喜び勇んで乾杯などしたものだったが、毎日毎日れいなの顔を見るにつけ、ついつい西川史子を思い出してしまい、我慢ならなくなった。
「れいなちゃん、早く髪が伸びないものかね」
「そう早く伸びるものでもないっちゃ」
「だよね、そうだよね」
「そうだっちゃ」
 分かっているのだ。伸びろ伸びろと言ったからとて「じゃあ伸びます」と如意棒のようにほいほい髪が伸びるわけがないのだし、だからこそ髪を切るということに我々は特別な意味を見出したりするのであり、私はふいに「なぜれいなは髪を切ったのか?」ということが気になった。尋ねると、「なんとなくばい」というごく簡単な返事があり、その軽さに閉口した。髪を切るということはドラマチックなことであり、そうなんとなく意味も動機もなく髪を切られては、困るのだ。
「なにか、ないのかね。あるんでしょう? 本当は。言わないだけで。なにか意味があるんでしょう?」
「ないっちゃ」
「そんな、まさかねえ。朝起きて、あ、髪切ろう、とか。まあ思わなくもないのだろうけど、ほら、その考えに至る、自分でもほとんど意識していない、動機というものが、モチベーションというものが、あって然るべきではないのかね、よく考えてごらんなさいよ、ねえ、ものを考えないということは死んでいるも同然だよ、もっと考えなさい、自分の内部に入り込みなさい、ずだずだになりなさいよ、驚くほど何も考えていない自分に絶望しなさいよ」
 れいなは無言で目を細めた。最近の若い子はいつもこうなのだ。何か不満を感じると目を細めて不満そうな態度を示すだけで、言葉としては示さない。私はずるいと思う。そういうのはずるいと思う。不満があるなら言葉として表明すべきである。だって我々は人間なのだから、ザ・コミュニケーション、ね? コミュニケーションを取らないといけないのだ。我々の間に共通の、言語といふツールでもって、意思の疎通を図らんといかんのだ。態度だけでは何もわからない。腹が立つだけだ。なめているのか。
「ほら、ね、あるでしょう。どんなくだらない理由だっていいのだよ。単純に飽きたとか、髪の手入れが面倒とか、長い髪はダンスの邪魔になるとか、短い髪の方がかわいいような気がしたとか」
 れいなはあーと唸り、「そうっちゃね、夏だったからばい」と言った。私はそれを聞いてああそうか、夏だったからか、と納得した。夏だった、から。外で鈴虫が鳴いている。
3 :& ◆s7297ngkdU :2012/09/24(月) 05:50
 飯窪さんという子をつい最近認識した。ギョロッとした目が往年の飯田さん(まだ彼女がジョンソンだった頃)を思い出させ、引きつったヘタクソな笑みがデビュー当初のさゆみんのことを思い出させた。
「かわいい子だよね、10期メンバーの中では一番じゃないかな」
 私がそう評すると、れいなは「別に」と不機嫌そうな顔をした。
「もちろんれいなちゃんが一番かわいいけれどもね」
「えっ、キモいんでやめてもらえますか?」
「あ、標準語、やだな、死にます」
「死んだらええねん」
 クソみたいなれいなのことはさておいても、飯窪さんの下の名前がいいと思った。春菜。ちっとも春菜っぽくない顔をしている気がした。もっとこう、洗練されていない、和子とか、良枝とか、そういう名前が似合っているような気がした。同じく10期メンバーの工藤さんに関しても、遥などという儚げな名前でなくて、ユウキとか、リオとか、そういう中性的な名前の方が似合っている感じがした。
 私が10期メンバーの動画をYouTubeで見ていると、れいなが横から「こいつめっちゃ生意気やねん」と口を挟んだ。指差す先には工藤さんの姿があり、まあ確かに生意気そうだ、と思った。ただそれ以上にさっきかられいなのおかしな関西弁が気になってしょうがなく、「なんなのそれ?」と尋ねると「とにかく生意気やねん」と重ねて言う。
「いや、そっちじゃなくて、なにその関西弁」
「うっさいわ死んだらええねん」
「はい分かりました死にます」
「喜ばしいことばい、みんな死んだらええっちゃ」
 れいなはこういうところがむかつく、ああいうところがいやだなどと後輩に対する文句をあれやこれやと並べ立てた。私はそれを全て無視した。どうでもよかった。れいなが後輩のことをどう思っていようがおそろしくどうでもよかった。
 私はYouTubeを見ながら、飯窪さんの細すぎる体躯にかなりの勢いで劣情を感じていた。チョコレート色がどうこうなどという話はどうでもよかった。飯窪さんのアナルの色が気になった。ビラビラの色が気になった。クリトリスの感受性が気になった。そこを舐めたりさすったりすると、どういう味がして、どういう匂いがし、どういう声を上げ、どういう表情をするのかが気になった。
 陰毛の濃さが気になった。その長さも気になった。どのようにスパイラルしているのかが気になった。もしかするとストレートなのだろうか? あり得ることだ。その時の陰毛の歯ざわりが気になった。
 細すぎる二の腕をどの程度の強さで掴むと折れてしまうのかが気になった。その両腕を掴み上げ、脇の匂いを嗅ぐとどういう匂いかするのかが気になった。舐めると舌にざらついた感触があり、すっぱいとも塩辛いともつかぬ不思議な味がするのだろうということが予測された。きっとあのぎこちない表情で笑うのだろう。右手を口に添えて。その時の目のギョロリとした感じといったら……。
 尻を見た。このチョコレート色のスカートの向こうに控えるパンティの色は、小便のシミが全体に広がったような薄い黄色だろうと予測された。小ぶりで、きっと硬いのだろう飯窪さんの尻の割れ目に、パンツの上から股間を擦りつけたいという気がした。私はもはや完全に勃起していた。
「おっさん、いま何考えとるねん」
 私はハッと我に返って立ち上がり、れいなの肩に両手を添えた。やや狼狽気味に「なんとね」と言う。私はれいなのそのかわいらしさに感極まって言った。
「好きだ。尻コキをしてくれ」
4 :名無飼育さん :2012/09/24(月) 05:51
>>3 タイトル「レモン色とミルクティ」
5 :あなたが私にくれたもの :2012/09/26(水) 00:36
 寝転がっているえりりんの乳を揉むと「やめてくださいよう」と言うのでかわいいなと思った。当然ながら私はやめなかった。手を服の中へ滑りこませ、ブラの上から揉むと、なんだかカパカパした。
「サイズ合ってないんじゃないの? 見栄を張りすぎじゃないのかね」
「そんなことないですよ」
「うそだ。だってカパカパするよ」
 えりりんは俄にいきり立つと「じゃあ見ますか?」と言ってシャツをたくし上げた。ピンク色のブラだった。上の方がレース状になっており、えりりんはそこへ指を入れるとカパカパとやって見せた。
「ほら、見て下さいよ、サイズぴったりでしょ」
「え? そうやってカパカパなるってことはサイズが合ってないってことじゃないの?」
「違います。ブラとおっぱいとの関係というのはそういうものですよ。そういうものです」
「よく分かんないな。指入れてもいい?」
 えりりんは「ダメです」と言った。
「いいじゃん、先っちょだけ」
「ダメです」
 えりりんはシャツを引き下ろした。「お腹冷えちゃった」とかわいらしいことを言う。
「えりりんは下痢とかするの?」
「やめてくださいよ。しませんよ、下痢とかしませんよ」
「うそだ、人間だもの、下痢ぐらいするでしょう」
「そうですね、うそです。腐ったものとか食べると下痢しちゃいます」
「え? なんで腐ったものとか食べるの?」
「たまたま。でもどっちかっていうと便秘」
「へえ、そうなんだ。今も? 今も便秘? 溜まってるの? そのかわいらしいお腹の中にうんこがギッチギチに詰まってるのかな?」
「やめてくださいよ」
「お腹触ってもいい?」
 私はえりりんの返事を待たず、そのかわいらしいお腹に触れた。ぷよぷよした。
「あれ? ちょっとデブじゃない?」
 えりりんは再度いきり立つと「そんなことないですよ。見ますか?」と言ってまた服をたくし上げた。確かに引き締まったいいお腹だった。
「力入れてるでしょう」
「そんなことないですよ」
 私はえりりんのそのかわいらしい下腹を指で突っついた。ほどよい弾力がある。「ここにうんこがギッチギチに詰まってるわけだね、私が今指に感じた弾力は、お腹の、えりりんの肉体の、えりりんの腹筋と脂肪の弾力というよりも、そのギッチギチに詰まったうんこの弾力なわけだね」とえりりんの目を見ながら言ってみると、えりりんは顔を赤くしながら「やめてくださいよう」と言った。図星なのだな、と思った。今度のえりりんの誕生日にはコーラックをあげよう、と思った。えりりんはそのお返しにうんこをくれれば良いのだ、と思った。
6 :& ◆7HzXis1DRo :2012/09/28(金) 02:40
 ブス。それが故に一種の「あたたかみ」がある。何をしても許してくれそうな気がする。菩薩。理想の姉。長女。両親を失った家族の経済的支柱。圭ちゃんはいつもこう言っていた。
「あんたが幸せになることが、私の幸せなのよ」
 その言葉を聞く度に弟はケッと唾を吐き、圭ちゃんの財布からあからさまに金を抜いた。
「うるせえんだよブス」
 それでも圭ちゃんは甲斐甲斐しく働き、家族共同体の維持に尽くすのである。ときには泣きたい時もある。だって女の子だもん。誰にも悟られないようにしくしくと泣いた。ときに風呂で、ときに便所で。
 くたびれきった身体をベッドに横たえて、目を瞑ってもどうしても眠れない夜がある。自分の将来はどうなるのだろう? 弟はなぜああもひねくれて育ってしまったのだろう? 今までの私の人生ってのは一体なんなのだろう? これからの私の人生というのは何なのだろう?
 たまらなくなってベランダに出るともうすっかり秋めいて、鳥肌が立つようだった。生憎にして星すら見えない。月影すらも。どんよりとした夜空に、先行きの不安を重ねて、ますます気鬱になった。お父さんかお母さん、どっちかだけでも生きていてくれれば良かったのに。そうすれば私はこんなに、夜も寝れないほどに、辛い思いをしなくて済んだのに。
 でも、でも、この重い雲の向こうの幾多の星の、その内のどれか二つが、お父さんとお母さんなんだ。二人はいつも私と弟のことを見守ってくれているんだ。私負けないわ。だってお父さんとお母さんが見ているもの。付いていてくれるもの。などと、そんなことを考えて、気持ちを奮い立たせられるほどに、圭ちゃんはロマンチストではなかった。もっとリアリスティックに、人生に対して絶望していた。

 隣の部屋から明かりが漏れている。耳を澄ますと、弟の声に混じって微かに女の声がするようだった。またか、と思った。深夜、弟が女を連れ込むのはさほど珍しいことではない。もうしばらくすればあれが始まるだろう。セックスが始まるだろう。軋むベッドの音、女の嬌声。どんな顔をしているのか見てみたいと思った。圭ちゃんは女の顔を知らない。
 扉を開けると、ちょうど正常位で腰を打ち付けているところだった。女はキャッと言って布団を引き被る。弟はチッと舌打ちをし、振り向きざま「なんだよ」と、ものすごい目つきをした。
「どんな女と付き合ってるのか見てみたくってさ」
「は? 明日にしろよ。今やってんだからよ。見りゃ分かるだろ」
「いいじゃん別に、紹介しなさいよ」
「なんだよ。溜まってんのか?」
 ペニスを女から抜き取ると、それを見せつけながら「姉貴にも入れてやろうか?」と嘲るように笑った。圭ちゃんの右手が弟の左頬を打つ。びっくりした。圭ちゃんは今まで、人に手を上げることなどなかったからだ。
 布団を引きがして、女の頬にも平手を食らわそうとする。と、その顔にどこか見覚えがあった。誰だか思い出せずにいると、女はおどおどした声で「お久しぶりです」と言う。それでも、誰だか思い出せなかった。どうでもいい気がした。なんだかひどくどうでもいい気分になった。部屋に戻ると布団に潜り込んで、すぐに寝た。
 弟が夢に出てきた。全裸。男根がいきり立っている。圭ちゃんはそれを丹念に舐める。亀頭の裏側の、いわゆるウラスジと呼ばれる部分に舌が至ると、その度に弟は目を細め、とても気持ちよさそうな顔をした。弟のこんな顔を見るのは一体いつぶりだろう、と思う。
 それは圭ちゃんがまだ高校生で、弟がまだ小学生の頃だった。一緒に風呂に入っていると、ふいに弟の、まだ陰毛の生えていない、皮被りのかわいらしいペニスが、ぴょこんと立っていることを、圭ちゃんは発見したのだった。「スケベだねえ」とそれを笑うと、弟は訳がわからないという顔をして「どうして?」と訊いた。その「どうして?」と言ったその声が、その表情が妙にかわいらしく、切実に圭ちゃんの胸を撃ち、気付くと圭ちゃんはそのペニスを口に含んでいた。弟は目を細めて、とても気持ちの良さそうな顔をした。その時のその顔だ。なぜそれを忘れていたのだろう。
 圭ちゃんは弟のザーメンを口で受け止めた。苦い味がした。
7 :名無飼育さん :2012/09/28(金) 02:43
>>6 タイトル「圭ちゃん」
8 :吠え面のかきかた :2012/09/29(土) 00:55
「ちょっとれいなちゃん、手伝っておくれよ」
 返事がない。
「そこのあれを取ってくれ!」
 叫んでみても変わらない。振り向くとれいなのだらしない後ろ姿が見える。テレビに見入っているようだった。どれほど面白い番組だというのだろう? それは私の呼びかけを無視するほどに? そんな通販番組のどこが面白いのか?
「おいおい、無視はよくないよれいなちゃん、それは根本的な人間否定という奴で……」
 近寄ると、何のことはない、れいなはうつらうつらと寝ているのだった。立てた片膝の上に頬杖をついて舟をこぐそのTシャツの襟元から桃色の乳首がよく見えた。箸でつまんでやりたくなった。箸先で器用にこりこりと転がしてやるのだ。どんな気持ちがするのだろう? 私はやられたことがないから分からない。れいなもきっとやられたことがないだろう。れいなの初めてを貰ってやる。
 菜箸を一旦洗って戻ってくると、両膝を立て、おっぱいをガードするかのように丸くなっていた。私は悔しかった。脇腹を菜箸で突き刺すと「やめんか!」と叫んで暴れた。面白かったのでよしとした。
9 :闘病記 :2012/10/01(月) 03:10
 れいなの洗濯物をオカズにオナニーをしていると、当のれいなが「ただいま」と言いながら帰ってきた。私が「おかえり」と答えると「何しとるっちゃ」と言う。「見て分からんかね? オナニーだよ。オナニー。人類が発見した中で最も高度な遊びの一つだ」れいなは死んだような目で「死ね」と言うと自室へ下がった。私はその言葉にショックを受けて一週間寝込んだ。時折目を覚ましては、れいなのあの「死ね」という声が耳の奥底で何度も反響するので、いっそ本当に死んでしまおうか、私が死んだられいなはどんな顔をするのだろう? 泣くのだろうかそれとも喜ぶのだろうか何の感情も示さないのだろう? しかし一定何かしらの罪悪感というものを引きずりながら生きていくことになるのだろうなれいなは。だってれいなの「死ね」の一言がきっかけで、私が死んでしまうとかいうことになったら、やっぱりその私の死の責任というものを感じるものだろう。ああかわいそうに。れいなにそんな思いをさせてはならん。生きよう。
 一週間後、体調を持ち直した私が台所へ向かうと、そのテーブルの上に拙い女の子文字で「ごめんなさい」の書き置きと、使用済みの下着が山のように積んであった。生きていて良かった、と思った。私はクロッチの部分に鼻を押し当ててズボンを脱いだ。
10 :隠喩ごっこ :2012/10/01(月) 03:19
 さゆがヨーグルトを食べていたので卑猥だと思った。「ちょうだい」と言ってみると、「いーよ」と言ってスプーンいっぱいにヨーグルトをすくってくれた。私はそれを食べた。甘くて爽やかで美味しかった。「ありがとう。お礼に私が食べさせてあげるよ」さゆの手からヨーグルトを奪い取ると、スプーンいっぱいにヨーグルトをすくって、「ほら、あーん」とやったのだったが、さゆは「結構です」と手を突き出した。腹が立ったので、さゆの顔に向けてヨーグルトをぶちまけてやった。「やだもう! 最低! 何考えてんの!」顔中ヨーグルトまみれにしながら怒るさゆはとても卑猥だった。私はさゆの顔についたヨーグルトをべろべろと舐めた。苦かった。
11 :恋は戦争 :2012/10/02(火) 15:41
 ののたんは開口一番旦那と離婚しようかと思ってるんだよねという話をし始めた。こないだこういうことがあって他にも旦那にはこういう嫌なところがあって云々、私はうんうんと相槌を打ちながら、実際のところほとんど何も聞いていなかったが、一通り不満は吐き出しおおえたのだろう、一息ついたところで改めて「で、離婚すんの?」と訊いた。ののたんは曖昧に笑って「分かんない」と答えた。きっと離婚しないのだろうな、ただ愚痴が言いたかっただけなのだろうな、惜しいな、本気で離婚を考えているようならば、おれにもチャンスがあったのに。「離婚しちゃいなよ」「なんで?」「なんとなく」「したいよ? 離婚」「すればいいんじゃないかな」ののたんは私の目をじっと見つめると「ずるいよ」と言って泣いた。何を言うか、お前の方がずるいんだ、と思った。
12 : :2012/10/06(土) 16:20
 「どうもお久しぶりです」と頭を下げると、ごっちんは手をぴらりと上げて「や」と言った。へらへらしている。「何か面白いことでもありましたか?」と訊くと「別に」と応えて手を下ろした。それからもう一度「別に」と言った。「空が高いね、秋だねもう」と風流なことを言うので「天気が変わりやすくて嫌になりますね」と応えた。ごっちんはまた「別に」と言った。
 お茶をしに喫茶店に入る。ごっちんが「アイスコーヒーひとつ」と言うので、「じゃあ僕もそれで」と言ったところ、「あ? 真似すんなよ」と睨みつけるので震えた。店員が困った顔をする。「すみません、やっぱり僕はアイスティーでお願いします」注文し直すと、ごっちんが「そういうことじゃねえよ」と言うので、私はもう一度震えた。店員は少しイライラし始めたようで、私の目を見て「どうなさいますか?」と鋭い口調で訊いた。「ホットコーヒーでお願いします」と応えると、軽く舌打ちして「かしこまりました」と言った。ごっちんが五百円玉を投げ、それはキャッシュトレーに跳ねてから、カウンターの向こう側に落ちた。
 喫煙席に座る。私が「なんか怒ってますか?」と訊くと、ごっちんは「別に」と応え、タバコを咥えながらガムシロとミルクをアイスコーヒーに開ける。「ひ」と言う。「はい? なんですか?」ごっちんはじろりと私の目を見ると、もう一度「ひ」と言った。それが「火」ということだと気付くのに少し時間がかかった。「使えねえな」と吐き捨てるように言うので、私は三度震えた。会いたくて会いたくて震えた。
13 :& ◆AyhhFJBTJY :2012/10/06(土) 16:38
 慌てて電車に駆け込むと席が二つ空いていたので座った。発車までまだずいぶん余裕があるようだった。「慌てなくてもよかったなあ」と呟くと、れいなが「予定をちゃんと立てないからだっちゃ」とぶーたれた。ごめんごめんと謝ると「よかろう」と偉そうな言葉遣いをするので殴ってやろうかと思った。
 向かいの席にミニスカートの女が座っていた。ふとももがなまめかしく蚊に食われている。彼女はぼんやりと中空を見ながら、時折ぼりぼりと無造作にそれを掻くので、その度にパンツが見えそうになる。れいなに「向かいの女のパンツが見えそうだ」と耳打ちをすると、「何を言うとるばい」と冷たい目をするので震えた。
 遅れて乗り込んで来た女が目の前に立ったため、私はとても残念な気持ちになった。またれいなに「パンチラチャンスを逃してしまった、残念だ」と耳打ちをすると、言葉ではなく、侮蔑的な視線のみで返事をしたので震えた。屈辱的だったが、目の前の女の乳首が立っていることにふと気付いた。「おいおい、目の前の女ノーブラだぞ」とれいなに耳打ちをすると、「バカ」と言って頬を軽く叩かれたので感極まり、れいなのふとももに手を添えて「好きだよ」と言った。れいなは頬を赤く染め、「死ね」と言った。殴り殺してやりたい気持ちになった。
14 :名残 :2012/10/07(日) 02:24
 やかんにお湯を沸かして麦茶のパックを入れる。蓋をしてしばらく待つと麦茶が出来上がる。さゆが「どうして麦茶は麦茶なんだろうね?」と哲学的なことを言うので困り、「麦茶は麦茶だから麦茶なんじゃないだろうか」と答えると不服そうな顔をした。それを見かねたえりりんが「麦のお茶だから麦茶なんだよ」と言う。まったくその通り! さゆは「そういうことじゃなくって」と相変わらず不服そうで、れいなは柿ピーを柿の種とピーナッツに寄り分けて、柿の種ばかり食べていたから叱った。えりりんがひゅうと口笛を吹いた。
15 :外挿/内挿 :2012/10/07(日) 03:23
 圭ちゃんが初めて男を知ったのは16のときで、その視線がじりじりと肌を焼く感覚が好きではない。率先してブサイクを演じることでそれを避ける事はできたが、その代償に男の視線は言葉はあまりにも簡単に私の心まで刺した。何の権利があって、どんな資格で? 街を歩くと男の視線がいつも特定の種類の女の身体に熱っぽく注がれていることに気付く。その視線に晒されないで良かった、と思う反面、寂しくもある。虚しくもある。だから女を知ったのは17のときで、その視線はいつも宙を泳いでいる。私のもそう。内省、あるいはじっと観察していると、その視線が宙を泳いでいるわけではなくて、ぐるりと回ってただ自分の身体に向けて注がれていることに気付く。女の視線は自己完結していた。身体の真ん中にぽかりと開いた穴しか持たない女同士は、互いに埋め合わせることが結局できず、せめてもの指や舌、あるいはおもちゃを使って擬似的に補完されざるを得ない。そうしてただ自分の中だけで循環している。結局それは本来的にセックスにはなり得なくて擬似的な、それらしいものでしかない。女であることを悲しく思う。せめて男であれば、互いに繊細な凹凸を持ち合っているのだから。けれどもそれはしょうがないことだと思った。あの熱っぽいものに刺されるよりは、よっぽどいいんだと思った。
16 :代替不可能性 :2012/10/07(日) 03:38
 さゆのニーソックスの爪先のあたりの匂いを嗅いでいると唐突に吐き気がしたので吐いた。改めてもう一度匂いを嗅ぐ。埃っぽいのだ。生ぬるくて、埃っぽい。それはさゆの足の匂いというよりも、靴の匂いだった。気分が悪くなる。もう一度吐いた。トイレに閉じこもってげろげろしていると、れいなが心配そうに扉から覗き込み、「これ」と言って差し出したのはれいなのニーソックスだった。私はそれを胸いっぱいに吸い込んだ。これだよ。これなんだ。私はゲロを吐きながら射精した。
17 :近視眼 :2012/10/07(日) 03:44
 さゆは精神科に通っていた。「自分がかわいく見えちゃってしょうがないんです」と語るさゆに、先生はいつも困った顔をして「いいことじゃないの、何がいけないの」と言うのだった。「不安になるんです。こんなにかわいくていいのかなって」「いいんだよ、道重さんはかわいいんだから」「でも、ほんとうに、不安になるんです」「なにがどう不安なのかな?」さゆは少し考えて「私は人間なんですよ」と言った。「そうだね」「そうすると、年を取るわけなんですよ」「ああ、なるほど、老いが怖いのかな、でも、それはみんな不安に思うことで――」「違うんです、年を取っても、さゆはずっとかわいいんです。どうしましょう?」先生はペンを投げて「知らんがな」と言った。私もそう思う。
18 :& ◆JURVFc97Xs :2012/10/07(日) 03:54
 こんな伝説がある。ある日れいなが散歩をしていると、えりりんがさゆを今まさに食べようとしているところに出くわした。れいなはそれを呼び止めて言う。「こらこら亀井さん、そそんなことをしてはいけないっちゃよ」えりりんはキッと鋭くれいなを睨むと「ほっといてよれいなのくせに、私は今からさゆを食べるんだから」さゆはか細い声で「食べないでえ」と鳴いた。「ほら、嫌がってるっちゃろ」「これは喜んでるんだよ!」「そういうものっちゃろか。でもとにかく止めるばい。そうだ、いい考えがあるっちゃ」れいなはやおら服を脱ぎ「さゆの代わりにれいなを食べるばい。さゆは逃がしておやりなさい」と言った。えりりんはそれを丁重に断り、さゆも「いや、だからね、これはこういうプレイだから、ごめんね、変な勘違いさせちゃって」と申し訳無さそうな顔をした。れいなは猛烈な恥辱を感じ、そのときに流した涙が荒川になったのだという。
19 : :2012/10/08(月) 18:09
 中秋のことなりけり。男、帰路照らす月明かりにすずろに心奪われて「月が綺麗ですね」となむ言ひける。それを聞きし女、不満顔で「私とどっちが綺麗だっちゃ?」とぞ述べたり。男、しばし考えて、「月は綺麗ですね」と言ひ直したり。女、それに怒りて帰りぬれば、男、嘆き悲しみて、身を月に捧げ、いまははや月面の兎になりたしとぞ思ひける。
20 :& ◆0sz9CZNtvY :2012/10/09(火) 02:49
 矢口さんは旦那とセックスするのが苦痛なのだと言う。「なんで?」と尋ねると「身体の相性が合わない」という驚きの答えが得られた。今更、ほんとうに今更何を言っているのか、という気がした。「それはだって、結婚する前に普通分かることじゃないの? やりまくったでしょ。付き合ってるときに。まさか矢口さんともあろう人が、婚前交渉は良くないとか、そういうバカみたいなこと言わないでしょう? やりまくったでしょう?」矢口さんは苦笑いしながら「そりゃやりまくったよ。でも今更気付くことってのもあるんだよね」と言った。「で、その気付いたことってのは何なの」「痛い」「え?」「痛いんだよ。なんか分かんないけど。付き合ってるときは気持ちいいような気がしてたけど、よく考えると痛かった」「へえ……、それはあれかな、ラブイズブラインドって奴かな」「さあね? でも痛い」「単にやりすぎなんじゃないの?」「そんなやってないよ。苦痛だから。むしろオナニーの回数が増えたかな」「どういうオナニーするの、矢口さんって」矢口さんは笑いながら「やめてよね、なんでそんなことあんたに言わなきゃいけないの」と笑いながら、主におもちゃを用いる、基本的にナカ派なので、ローターよりもバイブを使うことが多い、結婚してからバイブのコレクションが増えすぎて困っている、などと詳細に語ってくれた。「ぼくは思うんだけどね」「なに?」「もしかするとだよ? 旦那と身体の相性が合わないというか、オナニーのしすぎなのではないでしょうか?」矢口さんはきょとんとした顔をして「いや、それは無いよ」と言ったのだが、少し考えて「もしかするとそうかも、考えてみるといつもまんこヒリヒリするわ」と言った。矢口さんの悩みは解消した。
21 :『ナノの歩み』に憧れて :2012/10/09(火) 03:45
 朝、冷蔵庫を開けると中に女の子がいた。すっ裸だった。「れいなちゃん、何してんの?」「暑いっちゃ」「いつから?」「何がばい」「いつから冷蔵庫の中に入ってたのかな?」「昨日の晩からばい」「よく死ななかったね」「れいなは丈夫っちゃけん」「そう……」れいなはのっそりと冷蔵庫から這い出てくると「お腹壊したくさい」と言ってトイレへ向かった。冷蔵庫の底には黒々とした液状のものがねっとりと付着している。鼻を近づけてみると下痢便の匂いがした。
 トイレに向かうと、れいなは丁度トイレットペーパーをぐるぐるに巻き取っているところだった。「ちょっと紙使いすぎじゃないの?」「れいなはお尻をソフトに拭きたいのだっちゃ」「うちの紙はダブルだから大丈夫だよ」「もっとソフトに」「そう……」れいなは便座からやや腰を上げると、股の間に前から手を突っ込んで、菊門を丁寧に拭いた。少し目を細めてうっとりとした表情をする。拭いた後の紙は確かめない派のようだった。「れいなちゃんさあ、冷蔵庫どうしてくれんの?」「何がばい」「うんこ漏らしたでしょ」「ちょっとした弾みばい」「食べ物入れる気がしないよ」「拭けばどうとでもなるばい」「いやだなあ……」「男っちゃろ、細かいことぐだぐだ言うとったらあかんとよ」「そういうものかなあ……」
 ひとまず、冷蔵庫にこびりついた下痢便を拭くことにした。「臭いなあ……」「れいなは好きな匂いばい」「そりゃ自分のうんこの匂いはいいけどさあ、他人のはダメだよ、耐え難い」「れいなは他人なのだっちゃ?」「いやまあなんつーか」「ひどいっちゃ」「うーん……」拭きとった下痢便チリ紙を鼻先に持って来て匂いを嗅いでみる。「いや、やっぱちょっと無理だわ」「食べるばい」「え? 無理に決まってんでしょ」「れいなのこと好きっちゃろ?」「いやまあ、好きなのは好きなんだけど……」「愛してるっちゃろ?」「愛してるけれども……」「愛してるなら食べれるっちゃろ?」「うーん……」試しにちょろりと舐めてみた。食べてはいけない味がする。「無理だよ」「れいなは食べれるばい」「え? これを?」「違うばい」「じゃあ何を?」れいなは私の股間にそっと手を置くと「あなたの全てを」と言った。感動した。私は下痢便チリ紙を食べた。吐いた。
22 :飯田先輩 :2012/10/10(水) 09:59
 飯田さんは家に入るなり「イカ臭い部屋だなあ」と文句を言った。「男の一人暮らしなんてこんなもんですよ」「そう?」「お茶いれますね、適当にテレビでも見といてください」湯を沸かす。茶匙で四杯の茶葉を急須に入れ、300mlのお湯を注ぎ、30秒程度蒸らした後に、最後の一滴まで注ぎ切る。これが美味いお茶のいれ方なのだと母から教わった。本当かどうかは知らないが、私はこの流儀に則って今まで生きてきたのだ。「お待たせしました」とて部屋に戻ると、飯田さんが丁度ゴミ箱から私のザーメンティッシュを摘み上げているところだった。ニカリと笑って言う。「これのせいだな」「勘弁して下さいよ、信じられん」「どんなオカズで抜くのかな?」「いや、マジで、勘弁してくださいよ」「ごめんごめん」ぽいと投げ捨てた。
 お茶を出すと「これ美味しいね、なんてお茶?」と飯田さんが尋ねた。なんてお茶かは知りませんが、ほうじ茶です、うちの実家では昔から、これを飲んでいるのです、と答えると、飯田さんはふーんと唸って「なんでか知らないけど、みんなお茶には一家言あるんだよねえ」と言い、北海道の実家の話をし始めた。私はそれにまるで興味が無かったが、へえ、そりゃすごい、面白いですね、すてきですね、など思いつく限りの前向きな相槌を打った。
 お茶が無くなった。飯田さんはふいに立ち上がると「お手洗い借りるね」と言った。「どうぞ、そこ出て左手です」と答え、その後姿を見送ると、全生命を耳に集中した。ドアが閉まる音がし、便座を下ろす音が聞こえ、おそらくはそこに腰掛けたのだろう、微かなため息が聞こえた。そして小便が便器を打ち付けるちょろりちょろりという水音が続けざまにした。私は想像した。飯田さんの小便の色を思い、それが発されるだろう毛むくじゃらの陰部のことを思い、その色を思い、飯田さんの今日の下着の色のことを思った。カラカラとペーパーホルダーが鳴る。私はお茶を飲んだ。
 飯田さんはトイレから出てくるなり、手も洗わず「あれ何?」と言った。「あれってーと?」「カレンダー貼ってあるじゃん」「ああ、麻美ゆまですね」「乳首が意地汚い」「そこがいいんですよ」「分かんないな」「いい音でしたね」「何が?」「小便の音です」飯田さんはふと黙り、私の目をじっと見つめると「耳が意地汚い」と言った。それはおおいに結構なことだ、と思った。お湯を沸かし直し、二人で二杯目のお茶を飲んだ。
23 :無い :2012/10/11(木) 04:05
 吉澤さんは何の脈絡も無く人の頭を叩く癖がある。それが本当にいやだった。「なんでそんなことするんですか」「あ? なんとなくだよ」そう言ってまた叩いた。別に痛いわけではないのだが、「ね、ほんとやめてくださいよ、なんかバカにされてる感じがしていやなんですよ」吉澤さんは「うるせーな」と言ってめんどくさそうにに手をぷいぷいと振り、あっちへ行け、という素振りをした。バカにしてる。いやなことというのは実際にやられてみなければ分からんものだ。私は吉澤さんの頭を軽く叩いた。するとそれはパカリと割れ、中には何も入っていなかったので、ぎゅうぎゅうにタバコの吸い殻を詰め、元に戻した。爽快感が込み上げ、私は一人でくつくつと笑ったものだった。
24 :四季折々 :2012/10/11(木) 04:20
 家に帰ると飯窪さんが居たので驚いた。れいなと二人でWiiをやっていた。私に気付くと「あ、どうも、お邪魔してます」と言う。礼儀正しい子だ。私は見てみぬふりをした。れいなが「挨拶ぐらいしろよ……」といつになく暴力的なので怖気づき、素っ気なく「どうも」とだけ答えた。飯窪さんは「ふふっ」と口を手で覆って笑った。目が印象的な子である。「ぐりぐりメガネ」というあだ名を閃いたが言わなかった。れいなにどんな蔑みの言葉を吐かれるか分からなかったからである。
 飲みたくもないコーヒーを淹れながら、二人の様子を観察した。ほとんど会話もなく黙々とwiiテニスをやっている。それはゲームを楽しむというよりも、ほとんど修行のようで、痛々しさを感じさせるものだった。「それ面白いの?」と訊くと、れいなは何も答えず、飯窪さんはちょっと困った顔で私とれいなの顔を見比べて「とても」と答えた。いい子である。ほとんど突発的に恋心を覚え、「飯窪ちゃんはさあ」「はい?」「何色のパンツを履いているのかな?」れいながものすごい目で私を睨み、「茶色」と答えた。そうか、茶色か、もう秋だからな、と思った。
25 :& ◆yrQAX/Sm3o :2012/10/11(木) 04:32
 ごっちんがクリトリスを摘んでコリコリしているので思わず二度見した。「何見てんの」「いや、別に」「気持ちいーんだよね」「そうですか……」ごっちんは鼻歌をふんふんやりながら、なおクリトリスを摘んでコリコリし続ける。「そんなに乱暴して、痛かったりはしないんですか?」「気持ちいーんだよね」「そうですか……」こりゃかなわんわい、と思い、私もペニスを取り出して、亀頭を摘んでコリコリし始めた。すぐに勃起する。素直である。「こりゃ奇遇ですね」とごっちんが言うので「いやいや、恐縮です」と答えた。ごっちんは大きい鼻くそが取れるととても幸せな気分になる、という話をしてくれたので、私もそれに賛同し、その鼻くそに一本筋の通った鼻毛がついてくるとなおのこと幸せな気分になる、という話をした。ついでなので射精した。気持ちよかった。
26 :名無飼育さん :2012/10/11(木) 04:33
>>25 タイトル「珍しく目覚めの良い木曜日」
27 :頬杖のつきかた :2012/10/11(木) 04:45
 えりりんが唐突に「うわーっ」と叫ぶので、私も「うわーっ」と叫び返した。れいなは自分の陰毛の本数を丹念に数えている。さゆが「バカばっか」と呆れた顔をした。「バカってなによ!」とえりりんが気色ばみ、場は一色触発の状況と相成ったのだが、一方その頃れいなは512本目の陰毛に手を掛けたところだった。えりりんが言うには「バカというのはれいなのことだ」ということで、れいなは514本目の陰毛のクリアネスな輝きに惚れ惚れしていた。さゆは「やってらんない」と言って、テーブルに頬杖をついた。その有様がとても美しい。
28 :うたたね :2012/10/13(土) 21:32
やや肌寒い夕方、れいなが布団も掛けずにうたた寝しているので、「あらあら、こんなところで寝ていると風邪を引いてしまうよ、まったく」と思い、パンツを脱ぐと、れいなのかわいらしい脇にちんこを挟み込んだ。腰を前後に動かすと、処理の甘い腋毛がチクチクし、しばらく我慢していたのだったが、耐え切れず、抜き取ってみると、血が出ている。れいなはパチリと目を覚まし、「初めてやけん」と言った。「私もだよ……」布団を取ってきて、添い寝した。幸福だった。
29 :なすりつける :2012/10/13(土) 21:49
 コタツを出した。今週末にみなを招いて鍋をする予定だったからである。鍋といえばコタツなのだった。早速コタツに半身を埋め、ニコニコしているれいなに「誰呼ぶ?」と尋ねると「後藤さん」と答えた。「他には?」「任せるばい」「飯窪ちゃんは?」「任せるばい」はっきりしない女である。いらいらした。私はとりあえずごっちんに電話を掛けた。数度の呼び出し音のあと、眠そうな声で「何?」「ごめんごめん、寝てた?」「寝てないけど、何?」なぜか不機嫌なので震えた。「今週末に鍋でもしようかなあ、と思うんですけど」「すれば?」「いや、それでごっちんも来ないかなあって」「行かない」「あっ、そう……」「行かない」「うん……」電話のマイクの部分を押さえながら「ごっちん来ないって」と言うと、れいなはワッという感じで泣き始めたので、たいへん驚いた。「れいなが泣いてるよ、ごっちんが来ないとか言うから……」と恨みがましい口調で言ってみると、電話はもう切れていた。私は泣きじゃくるれいなの肩にそっと手を置き、「お前のせいだ」と言った。
30 :違う :2012/10/13(土) 22:24
 道を歩いていると元メロン記念日の柴田あゆみさんを見かけたので「柴ちゃん?」と声を掛けると「はい? どちら様ですか?」と怪訝そうな顔をされたので「ファンです」と答えた。柴田さんは「人違いですよ」とシラを切ろうとするので、「いやいや、ファンの目をごまかせるはずがないじゃないですか、元メロン記念日の柴田あゆみさんでしょう?」と詰め寄ると「確かに私は元メロン記念日ですが、柴田あゆみではなくて村田めぐみです」と返事があって、たいそう恐縮した。村田さんは「それじゃ」と言って立ち去った。悪いことをしたなあと思った。家に帰って「メロン記念日」でGoogle検索すると、その人は斉藤瞳だった。二重に申し訳なく感じた。
31 :& ◆VCeqoRQpI. :2012/10/14(日) 01:39
 夜道を歩いているとえりりんが「寒いね」と言って腕を絡めてきた。「おっ、女の子お得意のあれですね」と冷やかすと「なによ」と不愉快そうな顔をして腕を解いた。「そういうことすると男が優しくなるの知っててやってんでしょ? ずるいよね」「だって寒いんだもん」「じゃあなんで腕解いたの? 寒いんなら今も腕絡めてればいいじゃない」「意地悪なこと言うからでしょ!」「だってずるいんだもん。そんなことされるとキスしたくなるでしょ?」「したらいいじゃん!」「いいの?」えりりんはちょっと考えて「やだけど」と言ったその口に吸い付いた。えりりんは心底不愉快そうな顔をして「サイテー」と言った。
32 :Paint it black :2012/10/14(日) 05:56
 さゆが酔っ払って寝てしまったので、えりりんとれいなと私で「さゆの顔に落書きをしよう」ということになった。まずえりりんがおでこに「肉」と書いた。「落書きっていったらこれだよね」と満足そうな顔をする。「古いな、ちょっと貸してみろ」えりりんからマジックペンを奪い取ると、顎のホクロを一回り大きくしてやった。「朝起きて、あれ? なんだかホクロがいつもより大きい気がするな? 気のせいかな? ってね。こういう気付くか気付かないかみたいな、一見どこが面白いの? みたいな、そういうナンセンスな笑いが現代のセンスだよね。えりりんのセンスは80年代だよ」えりりんが「どこが面白いのか分かりにくい」と文句を言った。一方れいなはさゆのパンツをずり下ろしてその可憐なピンク色のクリトリスを黒く塗りつぶした。みんなでさゆの黒々としたクリトリスを指さして「ビッチビッチ!」とはしゃいだ。幸福だった。
33 :ジョイントコンサート :2012/10/14(日) 06:07
更に酒が進み、完全に酔っ払ったえりりんとれいなが「まんこに何本のボールペンが入るか勝負しよう」と盛り上がっていた。「おれにはまんこがついていないので、その勝負に参加できないんだけど」ともったいぶった口調で言うと、えりりんが酔いつぶれたさゆのお尻をぺちぺちと叩き「これ使ったらいーじゃん!」と叫ぶので、「なるほど」と思った。家中にあるボールペンをかき集めると、およそ30本程度あった。えりりんは「10本ぐらいなら入る自信がある」と豪語し、れいなは「絵里が10本なられいなは15本入るけん」と強がった。早速えりりんが二本まとめて入れた。「意外とキツイかも」と弱音を吐く。れいなは実のところ処女だったので「アナルでもいいっちゃろか?」とここに来てルールの根底を揺るがすような発言した。「ダメに決まってんでしょ!」とえりりんが怒鳴り、そのまんこには三本目のボールペンが刺さるようだった。私はさゆのまんこにちんこを入れようとして二人に怒られた。幸福だった。
34 :fan :2012/10/14(日) 06:28
 ごっちんが何食わぬ顔をして鼻くそを食っているのを目撃した。「なんかさー、塩辛いんだよねー」と言うのに答えかね、結果無視する形になったのだったが、「シカトしてんじゃねえよ」とお怒りになられたので、「さあ、なんででしょうね。凡夫である私には分かりかねます」と答えた。ごっちんは無言で私の服に鼻くそをなすりつけた。この服は洗わず、一生大事にしよう、と思った。
35 :いとほしきむすめ :2012/10/14(日) 19:20
 お昼休み、庭のベンチで一人寂しくお弁当を食べている女の子を見かけて「かわいそうに」と思った。近くでは男女混合の軽薄そうなノリのグループが楽しそうにご飯を食べている。彼女は時折お弁当から顔を上げ、そのグループに軽蔑的な眼差しをやり、またお弁当を見つめる、ということを繰り返していた。隣に腰掛け「寂しいの?」と声を掛けると、おどおどしながら「そんなことはないっちゃ」と答えた。「嘘をついてはいけないよ。寂しいんでしょう? ぼくが一緒にご飯を食べてあげよう。かわいそうだから」「結構ばい」「素直じゃないな」その子のお弁当から出汁巻き玉子を取り上げて食べた。ちょっと甘すぎると思ったが、「美味しいね」とコメントすると、その子はぽろぽろと涙をこぼして「泥棒」と言った。
36 :殺す風景 :2012/10/14(日) 19:33
縁側に腰掛けて熱燗を飲む。そこから見えるのは季節感に溢れる風流な庭、ではなくて、殺風景なコンクリート塀であり、その向こうから下校中の女子中学生の嬌声が聞こえてくる。「これもこれでいいもんだね」後ろに控えるあややに言ってみると、「そうかしら」と小首をかしげた。風鈴がりんと鳴る。あややはその音に対して「なんだか身体の芯から冷えてくる気がする」と文句を言った。「じゃあこっちに来なさいよ、私があたためてあげよう」「バカおっしゃらないで」「いいんだ、いいんだ」「何が?」私は風鈴を取り外し、塀の向こうに投げ捨てた。塀の向こうから「きゃっ」というかわいらしい女子中学生の声が聞こえた。「なんだかいらいらする」とあややが言う。「奇遇だね、私もそうだよ」飲み干したお猪口を強く手の内で握り締めると静かに割れた。
37 :& ◆cyr.Cizd5w :2012/10/15(月) 00:13
 れいなが将棋盤と駒を手に擦り寄ってくるので「なに?」と尋ねると、「一局打ちたいのだっちゃ」と言った。それならば全身全霊を込めてお相手して進ぜようとて、駒を並べ始めると、れいなはきょとんとした顔をする。「どうしたの? 早く駒並べてよ」「れいなの知ってる将棋はこういうのじゃないっちゃ」「じゃあどういうのなの?」れいなは折角私が並べた駒をぐちゃぐちゃにし、箱に入れ、それを勢い良くぱかんと盤に打ち付けた。駒の山ができあがる。「なるほど、将棋崩しのことね」「違うっちゃ。これが将棋ばい」「はて?」れいなはその山の中から歩を二枚選び取り、盤面に縦列に並べると「二歩」と言った。まるで何も分かっちゃいない。だがそれがれいなの良いところなのだ。私は玉将を山の中から掴み取ると、腕白きれいなの御手にそっと握らせ、「我が玉は汝の手の中にあり」と申し述べた。れいなは「違うばい」と言ってそれをぽいと投げ捨てたので、腹が立って殴った。馬鹿な女は嫌いである。
38 :dell :2012/10/15(月) 00:37
 人生が人それぞれであれば初体験も人それぞれである。圭ちゃんの初体験が家の裏の駐車場に落ちていたバイブであるのは周知の事実だが、えりりんの初体験がどのようなものであったのかはあまり知られていない。えりりんの語る所によれば、中学三年生の当時、自分をやけに慕ってくる中一の後輩があまりにもかわいすぎて、あれやこれやかわいがっているうちになんだかそういうことになってしまった、ということらしい。私はそこ厳しく問い詰めた。「その、みんな結構よく言うんだけど、なんだかそういうことになってしまう、というのがよく分からないんだよね」「雰囲気ですよ雰囲気」と事も無げに言う。「その雰囲気ってのが分かんないんだよ。なに? これからセックスしますよって雰囲気ってなんなの?」えりりんは「例えば」と言って、初体験の話をし始めようとしたのだったが、えりりんの口から「包茎ちんこが」という言葉が漏れたとき、「やっぱやめてくれ、聞きたくない」と思わず静止した。えりりんは私の股間のふくらみを見ながら「うぶですね」と嘲笑した。もうそのときには射精していたのだった。
39 :かね :2012/10/16(火) 01:31
 夜中、吉澤さんが突然電話を掛けてきて「ちょっと今から出てこれる?」と言うので「どこに?」「新宿」「今から? 電車もう無いよ」「は? タクシーがあるだろ」「えー……」渋ったのだが、「タクシー代は出してやるから今すぐ来い」と男らしいことを言うので「それなら行く」とて家を出た。タクシーを捕まえようと大通りで待っていると「ねえねえ」と袖を引く者がある。見ると加護ちゃんだった。「何ですか?」「今何時?」「多分一時過ぎぐらいだと思いますけど……」加護ちゃんは「ふーん」と興味無さげに頷くと右手を出して「あんなあ、100円ちょうだい」と言った。私は悲しかった。
40 :& ◆fWxnrRwRGk :2012/10/16(火) 01:45
 タクシーを捕まえて「新宿まで」と言ったところで携帯が震えた。吉澤さんかなと思って出ると「どこにいるっちゃ?」とれいなの声がした。運転手が「新宿のどこ?」とぶっきらぼうに言う。同時に二つのことを訊かれても困るのだ。私はれいなに「ちょっと待って」、運転手に「新宿駅でお願いします」と伝えた。「あのねえ、新宿駅つったってね、広いんだよ、JRだけじゃないわけだしね、どの新宿駅の、どこの出口よ?」「なんで家出る時に一声かけてくれんと?」だから、同時に二つのことを訊かれても困るのだ。私は通話を切り、「もういいです」と言ってタクシーを降りた。「なんだい、困るよお客さん」そこにはまだ加護ちゃんがいて、また「100円ちょうだい」と言って右手を差し出した。その手に1000円を握らせて、おっぱいを揉んでやった。携帯がまたぶるぶると震えるようだった。
41 :異言語 :2012/10/16(火) 02:15
 梨華ちゃんが家に来ると堂々とした一本糞をバスタブの中に残して行くのが一種のならわしのようになっていた。最初こそ驚いたが、人間どんなことでも次第次第に慣れていくもので、バスルームを開けてぷんと香ってくるその匂いに、「ああ、そういえば今日は梨華ちゃんが来ていたのだったな」と再帰的に思い出したりする。お互いそのことについては一切触れないのが暗黙の了解のようになっていた。
 が、ある時の一本糞がいつにもまして臭く、ねばっこくバスタブに貼り付いて掃除に難儀し、さすがの私でも「ちょっと嫌だな」と思ったし、あのれいなですら「あまりの臭さに頭痛がする」と言って寝込んだ。れいなのうんこも相当のものだが、そのときの梨華ちゃんのうんこは格が違ったのだ。そういうわけで、直接訊くことにした。「なんでうちに来るといつもうんこして帰るの? それもバスタブに」「いけない?」「いけないというか、どうかしてると思うよ」梨華ちゃんは不服そうな顔で「よっすぃーは喜んでくれるのに」と言った。恋愛は人を狂わせるのだ、と思った。
42 :peace light :2012/10/16(火) 06:26
 こんな夢を見た。ごっちんが横断歩道の真ん中に突っ立っている。「危ないよ」と声を掛けると「それがいいんだ」にっこりと笑ったその瞬間、車にはねられた。運転席から圭ちゃんが「ざまーみろ!」と叫ぶ。後部座席に座っていたかおりんは「圭ちゃんやりすぎ」と苦笑し、その隣に座る裕ちゃんは「そういうとこあるからな」とまるで他人事のような調子で、助手席のなっちは「もっかい! 圭ちゃんもっかい!」と囃し立てた。ごっちんはむくりと起き上がってストレッチをし始める。通りがかった梨華ちゃんが「よっすぃー! あれを見て!」と注意を促すと、吉澤さんは慌てた感じでポケットの小銭を探り、五円玉を握りしめた拳を額に当てて「ゴールドもみじゴールドもみじ」と願を掛けた。私はコンビニに向かって100円紙パックのコーラスウォーターを買い求め、横断歩道のふもとに供え、手を合わせて世界平和を願った。何故現場に血が流れるんだ。
43 :ムーンサルトセレナーデ :2012/10/16(火) 07:47
 20も半ばを越えたというのに、私は高校に通うことになった。諸々の手違いで、実は高校の単位が足りていなかったから、この一年通って、指定の単位を取ればいいから、そうしたら今までどおりの生活を送って構わないから、とりあえずこの一年は我慢して通ってくれ、と先生が言った。私はそういう制度とかのややこしいことがよく分からないから、そういうものなのか、と思って、それを快諾した。貸し付けられた学ランに袖を通すと、なんだか身が引き締まる思いがした。鏡に自分の姿を映して見る。やっぱり色々無理があるような気がした。
 教室に入ると周りは17,8のガキばかりで、こんな中で一年間も過ごさなければならないのかと思うと気が滅入った。隣の男が「なんだこのおっさん」と聞こえよがしに言う。「もっかい言ってみろよ」と凄むと「やべえ」と言って笑った。頬に幼い嘲りの色が見える。殴ってやろうか、大人がどんなものなのか見せてやろうか、そう思って立ち上がると、担任が「やめろ」と言うので止めた。そのあたりの素直さは昔から一つも変わっていない。品行方正、優等生、八方美人、長いものには巻かれろ、出る杭は打たれる。
 数学の授業だった。訳がわからない。さっぱり忘れてしまった。「宿題はやってきたか?」と問われたので「知りませんそんなの」と答えると「そんなことでどうする、大の大人が」と呆れられた。隣の男がくつくつと笑う。シャーペンがぬるぬるして字がうまく書けない。手が脂ぎっている。
 家に帰ると母はこの件に関してたいそう落胆しており、「この歳になって情けない」と何度も繰り返し言った。「しょうがないじゃん」と口答えすると、父が「バカバカしい、なんだその学ランは」と怒り狂ってタンスを窓から放り投げた。妹はそれをいたく怖がり、姉が父をなだめた。「ね、お父さん、堪忍してやってよ」「やかましい、ちょっとお前こっちに来い」「やめてよ、お願いだから」母はただひたすら私の情けなさを嘆く。情けない、ああほんとうに情けない。
 テレビではお笑い番組をやっていた。母親が「この人最近よく見るわね」と言うので「すぎちゃんだっけ?」と合いの手を入れると「あんたに言ったんじゃないわよ」と吐き捨てるように言った。母の手料理はいつもまずいが、今日のはことさらまずい。私は母が作る肉じゃがが嫌いだ。隣の部屋から父の荒い息遣いと姉の喘ぎ声が聞こえる。「ごちそうさまでした」「全部食べてくれないのね」「だってまずいから」母は見せつけるようにして泣いた。くそったれ。
 妹の手を取って自室に引き下がる。「脱いで」と言うと、うつむきがちに無言で脱いだ。自閉的なところは昔から何も変わらないが、身体つきが大人になった。水色のパンティ。後ろを向かせて、尻に鼻を埋めると小便の香りがした。布切れを横にズラして肛門を舐める。「もうこういうことはいやばい」と泣きそうな声で言う。「うるさい」「お父さんも、お兄ちゃんも、嫌いだっちゃ」スボンを脱ぎ、ちんこを尻の割れ目に挟み込む。「お前、なにやってんだ」全裸の父と同じく全裸の姉が私を見ていた。「何って、尻コキだよ」私はそう言って、二人が見ている前で射精した。ザーメンが弧を描いて高く飛んだ。伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ。
44 :振り向けば横浜 :2012/10/19(金) 02:55
 目覚めると川崎。乗り過ごしちゃったなあと思い呆然としていると、れいなも起きて「どこだっちゃ」と言った。ぷしゅーっとドアが閉まり、電車は折り返すようだった。私は「川崎だよ」と言った。れいなは「そんな駅は聞いたことがないっちゃ」と言った。やれやれ、と思い、懐からタバコを取り出すと、「やれやれ」言いながら、火をつけた。頭のおかしそうなおっさんに「電車の中は禁煙だよ!」と怒られる。知っていますそんなことは、だからいいんだ。れいなは怯えていた。私の二の腕のあたりにギュッとしがみつく。だからいいんだ。「だからね、禁煙なんだよ、電車の中は」おっさんが言うのを無視していると、向かいに座っていた出勤前のキャバ嬢っぽい姉ちゃんが「死ねよ」と言った。私に言ったのか、おっさんに言ったのか、よく分からなかった。れいながすすり泣くので、悲しいような気がした。雨が強く降っている。
45 :ディスコミュニケーション :2012/10/19(金) 03:05
 なっちが執拗に嫌味を言ってきたので腹が立った。当人は全然そんなつもりがないところがますます憎らしい。「普通そうっしょ」という言い方をよくする。なっちの言うところの「普通」は私にとっての普通ではないのだ。「かおりんはどう思う?」かおりんはまるで話を聞いていなかったようで、「は?」などと刺々しい。「いや、だからね、風呂から出る時に、風呂場の中で身体を拭いてから出るか、それとも脱衣所の中で身体を拭くかという話なんだけどね」かおりんは「そんなんどっちでもいいっしょ」と鼻で笑った。私は立ち上がり「お風呂場の中で身体を拭かないと、脱衣所の足拭きマットがびちょびちょになるでしょうが!」と叫んだ。店内から「そうだそうだ!」の声が挙がった。満足して座った。なっちはふくれっ面で私のビールに塩を入れた。なぜそういうことをするんだ。
46 :& ◆1lnjgwCIm. :2012/10/19(金) 03:16
 あややが喪服を出して来て、それにファブリーズをかけていた。「何? 誰か死んだの?」と尋ねると、あややは「あややのお葬式」と寂しそうに笑った。そうか、と思った。ファーストKISSを出してきて、二人で聴いた。何年ぶりだろうか。私が「初々しいな」と感想を漏らすと、あややは「もう死んじゃったんだけどね」「んなことねえよ」次会えるならみんな来るのかな、とあややが歌った。知らねえよそんなこと、と私は思った。
47 :名無飼育さん :2012/10/19(金) 23:12
娘。小説試論

 何かしら一本筋の通ったものを書きたいという思いはあるのだけれども、一から全てを少しずつ積み重ねて構築していく気力も無ければそれだけの構成力あるいは筆力とか呼ばれるようなものも無い。考えているうち、書いているうちに飽きてくる。それは端的にヘタクソだからだが、だからと言って娘。小説を書くのをやめようという気にもならない。やれることをやるだけである。現状自分が可能な範囲内でできることといえば、一つの場面をできうる限り麗しく切り抜くこと、それしかなく、とはいえ彼女らが単にいちゃいちゃし、仲睦まじげに、幸福に暮らしている一場面というのを書いてもつまらない気がし、そんなものが見たければ今ならYouTubeでいくらでも転がっているのであり、どちらかといえば私は彼女らがアイドルであるという次元ではなく、彼女らが結局人間でしかないという次元で、日常少しずつ生ぜせしめているだろう微妙な不和をこそ見たいのであり、だからといって本当に彼女らの舞台裏・私生活が見たいわけではなく、やはりアイドルとしての人間、彼女らの人間性にそのアイドル性を敷衍させて、「こんな人間がどこにいるのか」というような、そういう奇妙な人間として、私の身体に引きつけて、まな板の上で麗しく踊る君を見て恋が始まった。
48 : :2012/10/23(火) 18:58
 逢沢りなの画像を見ながらオナニーをしていると「れいなの方がいい身体しとるけん」と食って掛かってきた。「ほう、そうかね、例えば?」「お尻とか」ケツを突き出してぷりっとやった。私はミキティが何かのラジオで「田中ちゃんのお尻はおむつをつけているみたいにぷりっとしていてかわいい」というような話をしていたのを思い出した。よくよく見ればパンティラインも透けているようだった。私はズボンから透けるパンティラインが好きなのだが、特にクロッチの部分に欲情するのだった。それはたとえズボンやスカート越しでない生パンでも、たとえ水着でも、興奮するのだが、それはなぜかといえば、とりあえずひとまずの結論としては、「そのクロッチの下には必ずまんこと尻の穴が控えている」という事実に寄るのだろうと思われた。たった数ミリにも満たぬ布越しに、まんこと尻の穴があるのだ。それもその布の下にぴったりとくっついて存在しているのだ。私はちんこを握り締める手を高速で前後に動かしながら「今日のパンティは何色かな?」と尋ねた。「紫」という返事があって、趣味が悪いな、しかしそれにしてもれいなのまんこはどんな香りがするのだろう、想像すると射精した。
49 :意図 :2012/10/24(水) 02:28
 「ちょっと今いいですか」と声を掛けてきた女の子がたいそうかわいらしかったので「もちろん」答えてタバコを消した。彼女はそれを見ると「すいません」と申し訳無さそうに頭を下げ、「最近、どうですか」と言う。「最近? それはどういった意味で?」ペンとメモとをカバンから取り出すと「ありがとうございます」と呟いてそこに何事かを書き付けた。私は消したタバコにもう一度を火をつける。「ここは禁煙ですよ」と顔をしかめる。「え? ここは喫煙所ですけど」「私はタバコが嫌いなんですよ」「そうですか、そんなの知ったこっちゃありませんけど」「ありがとうございます」そう言ってまたメモを取った。「なんなんですか?」「なにがですか?」「いや、それは何をメモ取ってるんですか」彼女はぼんやりと私の顔を見つめると「私って、下着はユニクロで買うじゃないですか?」と言った。「そうなんですか? 知りませんけど。ちなみに何色ですか」「ありがとうございます」彼女はメモ帳をぱたりと閉じると一礼し、名刺を差し出した。元モーニング娘。亀井絵里、と書いてあった。私はそれを胸ポケットに入れて、きっと彼女の下着の色は桃色だろう、と思った。
50 :駆け抜ける青春 :2012/10/29(月) 04:01
 ガッチリ決めてこいよ。飯田先輩がそう言いながら私の肩をぱんぱんと叩いた。いい笑顔だった。なんだか嬉しいような面映いような気持ちがしながら、ええ決めてきますとも見ていてください。そう返すと、飯田先輩はそのいい笑顔を崩さず、そうだ、ガッチリ決めてくるんだぞ。そう言って、今度は私の股間をぱんぱんと叩いた。お前のマグナムもそれを望んでいるんだぜ。ほんとうにいい笑顔だった。やかましいんじゃぼけ、と思った。こんな茶番には飽き飽きなのだった。
51 :閃光 :2012/10/30(火) 10:03
 セーラー服を着た圭ちゃんが神社の境内で一人遊びをしていた。パ・イ・ナ・ツ・プ・ル。チ・ヨ・コ・レ・イ・ト。右手と左手でジャンケンをしては、何度も何度もそこを往復している。見かねた神主が「ちょっとお上がんなさい、お茶でも出してあげよう」その甘言に釣られてほいほいついていった圭ちゃんは、あの日あの時あの場所で女になったのだった。夕日の赤さをよく覚えている。
52 :その白さ :2012/10/30(火) 10:16
 私が学校から帰ってくると、ごっちんが家で昼寝をしていた。「姉ちゃんパンツ見えてるよ」おませだったので、ギラギラするピンクのパンツを履いていた。寝ぼけ眼のごっちんは「変態」と言う。「そんな格好で寝るのが悪いんじゃん」「じゃあどんな格好で寝ろって言うのさ」ごっちんは憤然とし、制服を脱ぎ捨てると、ブラもやはりギラギラするピンクだった。中学生にしては大きすぎる乳房である。「やめてよほんと」「興奮する?」思春期の私は言葉に詰まり「宿題があるから」言って、部屋に向かおうとするその手を取られた。ごっちんは私の手をその乳房へ導くと「あんた童貞でしょ」と言った。冬も近い、秋の日の夕暮れの薄暗い赤さ。
53 :& ◆DYyQUXAGBQ :2012/11/02(金) 15:28
 モーニング娘。に接待される夢を見た。支配人と思しき男(まこと)がずらりと並んだ娘。メンバー達を指し示し「好みのメンバーをご指名ください」「指名すると、どうなるのですか?」「もちろんセックスができます」彼は何故だか自信満々な様子だった。工藤遥と鈴木香音がなんだかバカにしたような感じでクスクスと笑う。それに怒りを感じたので、つまりこいつらは天狗になっていると思ったので、「結構です。娘。の心は私自身のこの手で掴み取るのです。見ていなさい」そう言ってやった私も不思議と自信満々だった。つんく♂さんはさゆを指名して乳を揉んでいる。「ええ身体になったやないか」見ているとやはりどうしようもない羨ましさを覚え「飯窪春菜さんを、お願いします」彼女の尻の穴に舌を入れてべろべろやりたかった。つんく♂さんはさゆの眼球をべろべろ舐めていた。「痛いの」「大丈夫や」のやり取りを繰り返している。れいなは床に落ちていたゴミを拾って食べている。私は工藤遥の首を締めながら鶏の首のような腰つきで素股を開始した。
54 :& ◆lj0nA5S/nk :2012/11/02(金) 23:56
追憶

 吉澤さんとごっちんの二人暮らし、という夢想を私はしばしばするのだった。どうも彼女ら二人は終末的な世界において、妙に似つかわしい一組として感じられた。そのよしごまラインと主に敵対するのはあやみきラインである。日常を生きる少女である梨華ちゃんが、ひとみちゃん恋しさのあまり、そこへ首を突っ込んでいくのだ。前景として押し出されてくる彼女らの私的いざこざは、中澤組と平家組という巨大暴力組織の抗争の末端であるという背景を持つ、などと来ればそれはほとんどかの名作『ビッグクランチ』のような様相を呈すのであり、私の中の黄金期のメンバーのイメージというのはほとんど『ビッグクランチ』『導かれし娘。』『TOWER』とかいったものに支えられていた。今風に言えば「中二病的」などということになるのであろうか。終末的な、退廃的な、道徳・倫理が崩壊したような世界におけるパートナーシップ、のようなものに、私はめろめろに感じ入るのだった。恋愛はそこに花を添えるものだ。それはあくまで添え物にすぎないものだった。物語の構造として、「キミとアタシとセカイ」しか感じられないものを、私は嫌悪していた。私は私の書くものを嫌悪していた。
55 :憧れのハードボイルド :2012/11/03(土) 02:08
 吉澤が拳銃の手入れをしている横でごっちんがそんなのどうでもいいから私と遊べとせがむ。吉澤はそれをやんわりと笑って、仕事道具の手入れはキチンとしておかないとね、困るからさ、などと言うのだが、ごっちんはつーんとした顔で腰元から一本のギラギラするナイフを取り出し、そんなのはね、仕事が終わったその瞬間にちゃちゃっとやっておくべきことなんだよ。私はそうしている。だからわざわざ家に戻ってまで手入れをする必要なんかない。いやだからさ、と吉澤はごっちんに向き直って言う。そういうのは当然やってるよ。それでも日々のメンテナンスってのが大事なんじゃないの。ごっちんのそのナイフだって、仕事終わりにちゃちゃっとシャープナーで刃を出してる程度じゃ、すぐなまくらになんだよ。ちゃんと毎日砥石で研がなくちゃ。ごっちんはケッと唾を吐いて、そもそもこんなもんに頼らなきゃいけなくなる段階で、なんかマチガッテルんだよ。ね? できる女はこんなもん使わなきゃいけない状況になる前に、自分の手を汚さず、仕事をオシマイにしておくべきなんだよ。根回しと策謀ですよ。知略ってやつ? よしこはそこらへんがヘタクソ。いつまでもそんなもん振り回してるようじゃあさあ、ビッグになれないよ、ビッグな女になれないってもんよ。吉澤はハイハイと答え、私はどうせバカですよ、ごっちんみたいに器用に仕事をこなせたりはしないね。でもね、私がいなかったら、ごっちんなんかもうとうの昔に死んでるよ。何回私に助けられたと思ってんの。感謝して欲しいね。ごっちんが手を汚さない代わりに、私が手を汚しているんだよ。ごっちんはカラカラと笑って、そこらへんがごとーのエライところだよ。私はよしこを利用しているんだ。こんな風にさ。吉澤の首に両腕を絡めて、その唇に吸い付いた。まったくだよ、利用されているんだ私は、と吉澤は思った。
56 :青い景色 :2012/11/04(日) 00:44
 「もう一回最初から」と高橋先輩が静かに言った。もう何度目のやり直しか分からない。部員はみな小さくため息をつき、中には「もう今日は何遍やっても変わんねえよ」と聞えよがしに言い放つ奴まで居た。新垣先輩が「今言ったの誰?」と刺々しい声で言う。空気がシンとした。「ガキさん、ええから」「ダメでしょ」「ええからええから、もう一回、最初から、な?」空気がやや和らぎ、各々楽器を構える。技術的には、そう難しい曲じゃない。その分かっこよく聴かせるというのが、難しい曲なのだ。
 高橋先輩はフルートだった。私はいつも高橋先輩のその唇を見つめていた。その唇が私のペニスを咥えることをいつも考えていた。高橋先輩が朗々とソロパートを吹き上げる。高橋先輩はいつも目を瞑り、やや身体をのけぞらせて、実に気持ちよさそうにそれを奏でるのだった。一連のフレーズが絶頂に達するその数音、その瞬間に、私はいつも身震いする。高橋先輩のセックス、高橋先輩のセックス、そればかりが頭に巡った。「あんたさ、練習してきてないでしょ」と新垣先輩が目指しでそう指摘する。私はそういう決め付けが一番嫌いだった。お前に何が分かる。「いや、そんなことないですけど」「いつも同じとこで間違えるよね」「あれは……」口篭ると、高橋先輩が「ええから」と助け舟を出してくれた。ホッとした。新垣先輩は不服そうだった。
 「今日はこれでおしまい」高橋先輩がそう言うと、みなやれやれという感じで立ち上がり、各々片付けや雑談を始めた。新垣先輩が高橋先輩に食って掛かる。「愛ちゃんさ、ただもう一回もう一回ってやってるだけじゃダメだよ、もうちょっと厳しくやんないと」「それはガキさんのやり方やろ」「でも」「うちはうちのやり方でやるから」「だからそれじゃダメなんだって」高橋先輩はふふふと笑って「ガキさんは青いなあ」と言った。高橋先輩の今日のパンツは白だった。私はそれを昼休みの階段の踊場で見た。高橋先輩は小便をした後にちゃんとヒダヒダの内側まで丁寧に拭くだろうか。拭かないとしたら、その純白の下着には黄色いシミが着いていたりするのだろうか。その臭いは? 味は? 生理の周期は? もうセックスはしたのか? したとしたらいつ? 去年の冬コン? あるいは昨日? もしかしたらこれから? どこで? 学校で? 部室で? トレイで? 誰と? 部員? 先輩? 後輩? 一体誰と? どんな顔つきで? どんな声色で? どんなスタイルのセックスを? 女豹のポーズで尻肉を押し広げ「アナルに入れてくれ」とせがむ高橋先輩のことを想像する。
 「帰らんの?」という声に驚き、顔を上げると高橋先輩がニコニコしていた。もう誰もいない。「帰ります」慌てて楽器をしまい、立ち上がると、「いつも見とるよな」と言った。スッと血の気が引く。「何の話ですか?」「分からんのならええよ」高橋先輩はフルートを白い布でしごき、それに舌を這わせると「しょっぱい」と言った。
57 :償い :2012/11/06(火) 01:19
 圭ちゃんがふと「モテたい」と漏らしたので驚愕した。「え、何言ってんの」「モテたいよね」「いやいや」無理でしょ、と言いそうになって、その言葉を飲み込んだ。圭ちゃんがあまりに切実な顔をしていたからである。「まあそりゃいいけどさ、おれだってモテたいし、でもそれはあれなの? 男に? 女に?」「は? なにそれ?」「巷では保田はレズだ、という噂が流れているんだけども」圭ちゃんは絶望的な顔をして「入れてくれるんならなんだっていいよ……」と言った。「じゃあおれでもいいの?」「入れてくれんの?」「嫌だけどさ」「なんで」「おれには死ぬまで童貞を貫くという使命があってね」「バカバカしい!」圭ちゃんは急に立ちあがると「人間セックスしてなんぼだろ!」と叫んだ。その勢いで水がこぼれる。私はその水がテーブルに広がって床にダラダラと垂れていく様をじっと見ていた。圭ちゃんがシュンとして「ごめん」と言う。「いいよ、拭けばいいんだし」「ごめんね」「だからいいってば」「この償いは身体でする」「セックスしたいだけだろうが」圭ちゃんは「バレたか」と言って寂しそうに笑った。私はその顔に少しだけキュンとしたのだった。
58 :& ◆O80z58RlMQ :2012/11/07(水) 00:54
 れいながこんな深夜にマクドナルドが食べたいと言う。マックフライドポテトを浴びるほど食べたいらしい。れいなの健康を危惧した私はダメだと止めたのだったが、それでもれいなは涙すら溜め、どうしても食べたいのだ、マックフライドポテトが浴びるほど食べたいのだっちゃと主張する。私は折れた。それはあまりにも容易だった。れいなの健康がなんぼのもんだと思った。そんなものは犬にでも食わせろ。私はれいながマックフライドポテトをたらふく食べ、幸福そうに微笑む、そのかわいらしい笑顔を見られれば、なんだっていいのだと思った。早速マックフライドポテトLを10個買ってきて、れいなに与えた。れいなは狂喜乱舞し、盛りのついた犬のようにバクバクとそれを食べた。その有様はあまりにも醜かった。幸福そうに微笑むかわいらしい笑顔、などというものはそこには無かった。それは私の幻想の中だけにあった。れいなの食べこぼしたマックポテトを一欠つまむ。塩からいマックフライドポテトよ。おまえのうちのなんと多くの塩が、私の涙であることか。
59 :& ◆K5LYYyQ.vw :2012/11/07(水) 00:54
>>58 sal maris
60 :& ◆Ft3FoH3CVY :2012/11/10(土) 01:59
 れいながギターを持ち出してきて弾いてくれとせがんだ。丁度、私の中で中島みゆきブームが来ていた。流れるな涙、心で止まれ、流れるな涙、バスが出るまで。バカだねバカだねバカだねあたし。爪弾きながら心を込めてそう歌うと、れいなは「演歌みたいだっちゃ」とバカにしたように笑った。「おれはすばらしい曲だと思うんだけどなあ」れいなは手元の歌本をぺらぺら捲って、SPEEDなどを見つけるとそれを口ずさんだ。ギターで合わせてやる。「うるさいっちゃ、人がいい気持ちで歌っとるのに」「そりゃないよ」「へたくそ!」私は歯を食いしばり、流れるな涙、心で止まれ。
61 :電話 :2012/11/10(土) 02:15
 あややが電話を掛けてきた。酔っ払っているようだった。何かひどく興奮しており、「あたしだってね」と何度も言うのだが、その先がよく聞こえない。しばらくただただ相槌を打った。「ごめんけど、実はよく聞こえないんだよね」嗚咽が聞こえる。「バカにしてるよね」と震える声であややが言った。「何が?」「バカにしてるよ、あいつら、私のことバカにしてるんだ」「だから誰が?」「何のために生きてるんだろう、バカバカしい」「うん」「ごめんね、なんか、こんな時間に、変な話で」「ああ、いや、全然、おれは構わないんだけど」「お腹すいたな」「そう? なんか食べる? 近いの?」「さっきお肉食べてきたんだけどね」「あ、そうなの」「今新宿にいるんだよ」「へえ」「これから家に帰って」「うん」「お風呂に入って」「はい」「かわいいパジャマを着て」「ええ」「寝ることにします松浦は」「うん」「何してたの?」「え? エロサイト見てたよ」「フケツだ」「そんなことないよ。人体の神秘だよ」「明日はね、みきたんに会うんだよ」「へえ」「いいでしょ」「いいねえ」「ほんとにいいって思ってる?」「思ってますよ」「なんで敬語なの?」「別に、理由はないですけど」「あたしのことバカにしてる?」「してないよ」「ほんと? なんで?」「なんでって……」「みんなあたしのことバカにしてるんだ」「なんでそうなんのよ」「うるさい」「は?」「うるさいって言ってんの」「ああ、うん、ごめんなさい」「ごめんなさいって何? なんで謝るわけ?」「ああ……」「バカにして」「うん」「バカにしてよ」「ん?」「罵って」「なんで?」「なんとなく」「バーカ!」「うっせえよバーカ!」電話はそこで切れ、私はあややのことが少し好きになった。
62 :ダディドゥデドダディ :2012/11/10(土) 04:17
 裕ちゃんが大吟醸を持って現れたので我々は喝采でもって彼女を迎えた。「貧乏人どもがっ!」吐き捨てるように言うその言葉に、我々はひれ伏した。神様仏様中澤様。裕ちゃんは満足気に部屋をぐるりと見渡すと、もう一度「貧乏人どもがっ!」と言った。ごっちんが早速その一升瓶に手を掛けると「いただきますの一言ぐらいないんかいこら」と凄む。ごっちんはへらへら笑いながら「ちっす」と言った。吉澤さんがグラスを用意する。「足んないからさ」と言って味噌汁のお椀まで持ちだしてきた。「圭坊、ツマミ買ってこいや」裕ちゃんは財布から万札を取り出すと圭ちゃんの手に握らせ、「釣りは取っとかんかい」「ありがたき幸せにございます」圭ちゃんはそれを慎み、押し頂いて、コンビニへ走った。玄関のドアがバタリと閉まる。矢口さんがテレビをつけた。AKBが出ている。「おうおう、いい度胸しとるよなコイツらは」裕ちゃんのその言葉を受けてか、かおりんが「どいつもコイツもブスばっか」と暴言を吐いた。なっちが「だめだよそんな汚い言葉使っちゃあ」と相も変わらずぺらぺらなことを言う。我々一同は心の底でなっちの顔に唾を吐いた。れいなが「安倍さんマジKY」とやや古めかしい若者言葉を用いる。私はごっちんが注いでくれる大吟醸に「ストップ!」の声を発し、その味噌汁椀を掲げて「中澤さんいただきます!」と叫んだ。さゆが窓の外を見つめながら「雨だ」と言った。圭ちゃんがずぶ濡れになりながら走っているのが見える。ごっちんが「青春だね」と目を細めながら言った。裕ちゃんが「一回きりの青春や」と言い、一人手酌で大吟醸、だからいいじゃん。エブリバディ。
63 : :2012/11/12(月) 02:16
 さゆが土を掘り返すとえりりんがそれを埋める。れいなは傍で鼻を垂らしていた。「なにやっとるっちゃ」さゆとえりりんは顔を見合わせ「やだ、れいなに話しかけられちゃった」クスクスと笑った。れいなは猛烈な侮辱を感じた。さゆが土を掘り返すとえりりんがそれを埋める。「だからなにやっとるっちゃ」「知らないよ。知ってても言うわけ無いじゃん」えりりんが「そうそう」と相槌を打つ。もうそこら中が掘り返され、埋め直されていた。れいなは地団駄を踏んだ。「なんでそうやっていつもれいなのことをのけものにすると」さゆが歌うように「してないよ」えりりんが「そうそう」言いながら埋め直したところをぽんぽんと叩き「いい子だからね」と慈愛に満ちた声を掛ける。れいなには訳がわからない。悔しさで涙が滲み、地団駄を踏むその足に力が篭った。「そんなに乱暴しないでよ」えりりんが困った顔をする。「やっぱりれいななんて連れてくるんじゃなかったね」「でもそれじゃあれいながかわいそうじゃん」れいなの目からはぽろぽろと涙がこぼれ、地面に落ちて、いつしか水たまりを成した。それが今の琵琶湖である。
64 :私の個人主義 :2012/11/12(月) 04:14
 知ったこっちゃないよ、とごっちんは思った。猫の轢死体の傍でうずくまって「かわいそう……」などとほざきつつ泣いている女がいる。彼氏はなんとも言えない顔でそれを見ている。ごっちんには彼氏の気持ちが分かるような気がした。女の振る舞いは、道徳的にすばらしく正しいことのように思える。道徳的に賞賛されるべき振る舞いのように思える。しかしそれがどこそこ気味の悪い自己陶酔に見えてしまうのも事実であり、彼氏はそのなんとも非難しがたいが嫌悪すべき彼女の振る舞いに、困惑しているのだ。しかし彼女の振る舞いに潜む自己陶酔を殊更指摘するなどということも、ガキっぽく、体裁が悪い。ガキくさいのだ。青すぎる。未成熟すぎる。彼氏は態度を決めかねていた。「バカバカしい、そんなもん放っといて、早く行こうぜ」それは冷たすぎる。「かわいそうに、お墓を作ってあげようね」それはクサすぎる。どうするのが正解なのか、彼氏には分からない。きっと誰にも分からないことだ。ただ困惑して、彼女の気が済むまで、そこに立ち尽くす、というのは、あながち間違いではなかった。態度を決めかねる、というその態度が、もしかすると、現状においては正解なのかもしれなかった。
 でもそんなの知ったこっちゃないよ、とごっちんは再び思った。近くのビルの屋上から女が飛び降りようとしていた。その女は梨華ちゃんだった。ごっちんは梨華ちゃんを止めなければ、と思っていた。そのために急いでいる。野次馬も、メディアも集いつつあった。「すみませんすみません」そう言って人ごみを掻き分けていくと、時折「あ、ゴマキじゃん」という声が聞かれた。そうです、ゴマキです、だからそこの道を開けて下さい。分かるでしょう。梨華ちゃんが飛び降りようとしているんですよ。バカみたいな顔して道を塞いでないで、そこを開けろよクソ野郎。分かるだろ。梨華ちゃん止めなきゃいけないの。
 ビルの入り口まで辿り着くと、もう既に警察がそこを封鎖していた。「一般の方は入れません」と言う。バカ。ゴマキだよ私は。見りゃ分かるだろ。一般の方、なんてもんじゃないよ。「ご友人の方ですか?」だからバカ言ってんじゃないよ。ご友人ですか? だって? ご友人というか、なんだろうね。戦友という気持ちだよ。なんといっても、ご友人だなんて、そんな言葉でどうこうして欲しくないね。
 警察を振り切って、エレベーターを待っている間、ごっちんはふと考えてしまった。さっきの猫の轢死体に向かってかわいそうとかほざいてた女と、私と、何がどう違うのだろう。梨華ちゃんを止めなきゃいけないとか、私はほんとうにそう思ってるんだろうか。違うのではないか? 私は「梨華ちゃんを止めるために一生懸命になる私」に、陶酔しているだけなのではないか? 野次馬も、メディアも、警官も、私の姿がそう見えているのではないか? 「かつての友人の危機を救うために一生懸命になっているゴマキ」に、彼らはそういう視線を浴びせているのではないか? 私が本心から梨華ちゃんを止めなければと思っていようが、おるまいが、どうしたって、そう見られてしまっているのではないか?
 エレベーターが着いた。ごっちんはそこに乗り込んで、屋上のボタンを押すのをためらった。何かしら納得がいかなかった。周りは私のことを正確に理解していない、という気がし、私も私のことを正確に理解していない、という気がして、それがどうにも納得いかなかった。エレベーターを降り、ドアが閉まるのを見送った。それからトイレに入って、顔を洗った。妙に頭がすっきりとして、ごっちんは、梨華ちゃんがどうなろうと、私の知ったこっちやないよ、死にたければ死ねばいいんだ。どんな理由かは知らないけれど、そんなの、梨華ちゃんだって分かっていないだろう。死にたければ死ねばいい。私はそれが別に悲しかったりはしない。ああ、梨華ちゃんは自殺したんだな。なんでだろう。自殺したかったからじゃないの? それ以上に理由ってある? それを止める理由ってある? 無いよね? どうでもいいよね。知ったこっちゃないよ。
 ビルの外から歓声にも似た悲鳴が挙がった。ごっちんは思わず微笑み、「知ったこっちゃないよ」今度こそ、本心から、そう言った。
65 : :2012/11/13(火) 04:19
 れいなが自慢げに雀の死骸を見せびらかしに来た。「うまいもんっちゃろ」と言って笑う。猟奇的である。「なんでそういうことするの」と私は怒った。「雀さんも一生懸命生きているんだよ」れいなは鼻で笑って「楽しいから、殺すのだっちゃ」私はれいなに道徳というものを、人間社会の倫理というものを、叩きこんでやらなければならない、と思った。「いいかいれいなちゃん、そこに座ってよく聞き給え」れいなは雀の死骸の羽をむしりだした。「やめないか!」手をビシリと叩くと、れいなは涙目で「痛いっちゃ……」と言う。「そうだ、痛いだろう。雀さんも痛かったんだ。怖かったんだぞ。悪いとは思わないのかね。ザイアクカンを感じたり、しないのかね」れいなは事も無げに「雀は人間ではないから、痛いも怖いもないっちゃ」私はその言葉に猛烈な怒りを感じたのだが、よくよく考えてみると、れいなの言うことはもっともである。「それもそうだね」二人で雀を殺して遊んだ。愉快だった。
66 :& ◆40Bn8RDZ7. :2012/11/14(水) 03:37
 ごっちんは居酒屋の厨房で皿洗いをしているとき、ふと「こんなことをしている場合ではない」という気分になった。「店長」「なに?」「辞めます」「え?」ごっちんはサロンを脱ぎ捨てて店を出た。それから吉澤さんに電話した。「もしもし」「バイト辞めた」「え?」「しあわせの青い鳥を探しに行きます」「何言ってんの」「なんかさ、バイト中にさ、ふと、ふとね、なんかこんなことしている場合じゃないって気分に、なんかなったんだよね」「ああ、ごっちんっぽい」と吉澤さんは笑った。「青い鳥ってなに?」「知らないの? しあわせのショーチョーだよ」「ショーチョーか」「そうそう。しあわせになりたい」「君もか」「よしこも?」「あったりまえじゃん」「奇遇なことに」「そうね。奇遇なことに」新宿駅で待ち合わせることに決まった。
 ごっちんが新宿駅に着くと、吉澤さんは一足先にそこにいた。しゃがみこんでタバコを吸っている。「ヤンキーみたい」「ごっちんに言われたくないな」「じじいみたいなタバコ吸って」「安いんだもん」「男ならマルボロだろ」「男じゃねーし」「そうか」ごっちんがマルボロを一本差し出すと、吉澤さんもわかばを一本差し出す。それで一服した。「青い鳥ね」と吉澤さんが言う。タバコを吸いながらうなだれる。「どこにいるのかな」とごっちん。「ほんとうにいるのかね」「いないの?」「まあただ青いだけの鳥ならそこらへんにいっぱいいるんじゃない?」「トーキョーでカラスとハト以外の鳥を見たことがないんだけど」「にわとりなら見たことがある。小学校とかで」「なんで小学校」「うちの近くにあんだよ」「へえ、興味ないけど」「そりゃまあそうだろね」
 吉澤さんはタバコをひねり消すと「マルボロ、くっさいなあ」「わかばの方がくさいよ」「で?」「なにが?」吉澤さんはマジメな顔をした。「バイトやめて、どうすんの」「青い鳥をですね」「いや、そういうのいいから」「なにさ」「なにさってなにさ」「やめてよそういうマジな顔すんの」ごっちんはおどけた顔をして両腕を大きく広げた。「フリーダム!」「なに考えてんの」「なんにも考えてない」「だろうさ」「いっしょに青い鳥探してよ」「やなこったい」「冷たいんだねよしこ」「巻き込まんでほしいよ」「ずるい」「ずるくないよ、賢いんだよ」「違うね。そういうのは小賢しいって言うんだよ」「知ってる。小賢しいのは大事なことだよ」「クズ」「どっちかっつーと」「クズ」「ごっちんがね」「私はクズじゃないよ。割とクズ寄りなだけで」吉澤さんは呆れたように笑って「青い鳥なんていないよ」と言った。
67 :名無飼育さん :2012/11/14(水) 03:37
>>66 この世は成り行き任せ
68 :名無飼育さん :2012/11/14(水) 20:54
学部教養科目、性器基礎論

 性器と一口に言っても二つある。男性器と女性器である。通俗的に言えばちんことまんこということになるだろう。まずちんこについて概観すれば、それは主に竿と玉の二つの部分に分かたれる、ということで納得していただけるだろう。竿の先っちょの「返し」のような部分を亀頭と言う。これが皮に包まれており、露出していないと、包茎などと称される。この包茎は一般に、三つのパターンがあるとされている。真性とカントンと仮性である。真性と仮性とは読んで字のごとくであり、どのような状況にあろうと一切剥けないのが真性、普段は皮に包まれているがいざという時にはキチンと剥けるのが仮性である。ではカントンとは何か? 通常時には剥けるのだけれど、いざという時に剥けないのがいわゆるカントンである。しかし医学用語としてはこの包茎の三分類は正しいものではないらしく、つまり真性と仮性というのは常態としての用語であるが、カントンに関しては一時的な状態に関する用語なのである。もっと噛み砕いて言えば、包茎には真性か仮性かの区別しかない。その人のちんこの常態が真性にせよ仮性にせよ、包皮が何らかの事情で陰茎を締付け、元に戻せなくなった状態のことをカントンと言うのである。これは一刻も早い処置が必要である。だから「おれカントン包茎なんだよね」というのは実は医学的には正しくない。その言明が真であるならば、速やかに病院に行かなければ、ちんこが鬱血、その後に壊死し、腐り落ちてしまい、性欲をたぎらせながらもしごくべきイチモツがない、仮に男に愛してやまない女(例えばそれが田中れいなである)がおり、紆余曲折を経ていざというときになってもセックスができない、互いの愛を確かめ合うことができない、というとてもつらい思いをすることになる。気をつけなければならない。
 続いてまんこについて概観しよう。まんこというのは女の股ぐらの、かなり曖昧な一領域を漠然と指す言葉であり、それを多少くわしく分類すれば、クリトリス、大陰唇、小陰唇、尿道口、ヴァギナということになるだろう。アヌスはまんこに含めない。それというのは、アヌスをちんこに含めないというのと同じである。アヌスはアヌスとして魅力的な性的器官であるが、あれは基本的には消化器官である。口から始まって我々の身体をまっすぐに(時には複雑に曲がりくねり折り畳まれて)貫く消化器官の末端である。アウトオンリーである。では尿道口は消化器官ではないのか、あれは性的な器官ではなく、排泄のための器官ではないのか、という声が上がりもしよう。確かに尿道口はアヌス以上にアウトオンリーである。しかしこれは考えてみれば不思議な話である。なぜ排泄するための器官と、性的な器官とがかくも親密に寄り添いあって我々の身体には存在しているのか。これは神学的な問題である。かの聖アウグスティヌスが言うには「我々は糞と小便の間から生まれてきた」ヴァギナ。またかの有名な稲垣足穂氏が言うには「V感覚はA感覚の分家である」ヴァギナ。現代日本においてポルノ映像がもっぱら「AV」と称されるのは幸福な偶然である。
69 :名無飼育さん :2012/11/14(水) 21:26
鈴口

 勃起したちんこを裏側から眺めるということは男にはなかなか無いものである。亀頭を裏側から見ると鈴のように見えるから、そのあたりには「鈴口」という雅やかな名前が付いていた。余談だが、かの有名な国学者である本居宣長は男色家だったらしく、自宅を「鈴屋」などと称していたのは、その鈴口という言葉から由来するのでは? などというケシカラン憶測があるようである。なんにせよ昨今、鈴口という雅な名が聞かれることはあまりなく、もっぱらそこは「裏スジ」とか呼ばれることが多いようである。とはいえ、亀頭の一部と尿道も含めての鈴口であろうから、厳密に考えればそれと裏スジとでは指している部位は異なるに違いないのだが、それはさておいてもこの鈴口ないし裏スジというのは、男の最大の性感帯の一つである。まんこで言うとおそらくクリトリスに相当するような部分である(私は女ではないのでほんとうにそうなのかどうか分からないのだが、女も男ではないのできっと分からないだろう。絶対に分かり合えないことというのがこの世の中にはままあるのだ)。よくAV女優が舌先でペロペロとここを舐めている。ここを舐められると「たまらない!」という気持ちになるのだが「慣れてるなあ……」という気もして悲しくなるのである。ナインティナインの岡村が、初体験のときの女の子がものすごくさりげなく腰の下に枕を入れて股を開いたのを見てショックを受けた、という話を幾度となくラジオなどで披露しているが、それと同様に、もし仮に私が童貞で、愛してやまない初恋の女(それは例えば田中れいなである)と、諸般の事情からセックスをするに至る雰囲気となり、ズボンを引き下ろして勃起したちんこをれいなに見せつけたとき、れいなが「お父さん以外のって初めて見たっちゃ」などとほざきながら、真っ先にこの鈴口に舌を這わせてチロチロやるなどした場合、どれほどの快感に喘ぎ、どれほどの悲しみに胸を痛めることだろうか。「おい……! なんでそこが気持ちいいって知っているんだ……!」「……ビデオ見て、練習したけん」「うそつき!」私は鈴口に氷を当てながら、そういう状況を思い描いた。幸せだった。
70 :Role :2012/11/17(土) 16:42
 たとえば、と飯田さんが言った。脱衣所に脱ぎ捨てられた衣服と、浴室の中の裸の女と、どっちの方に強く惹かれるものなの? おれは前者だね。なんで? なんでと言われても、まあ脱ぎ捨てられた衣服が好きなんだねおれは。答えになってないよ、それはだって、トートロジーじゃないの? トートロジーなのかね、よく分からないけれど、好みの問題だからね、おれはそうだけど、男一般がそういうものとは限らない。その質問は霜降り牛のステーキと馬刺しのどっちが好きかという質問に似ている。基本的に霜降り牛のステーキを食べたいという気持ちは強くあるのだけど、ときには霜降り牛のステーキに嫌気が差して、馬刺しがより強く食べたかったりする。どっちも好きなんだよ。裸の方に強く惹かれるときもあれば、衣服に強く惹かれるときもある、別に絶対的なものじゃない、ただ基本的な志向として、脱ぎ捨てられた衣服に対する愛着のようなものがある。だからそれはなんで? 分からんよ。生身の女から逃げてるんでしょう? そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない、でも多分きっとそういうナイーブなところもあるんだろうと思う。私は、と飯田さんが強い口調で言った。いついかなるときでも、ちんこが好き。ちんこという存在が好き。私が男の人を好きなのは、ちんこが着いているから。それは分かる気がするね。飯田さんとはちょっと違うけど、おれも同じだと思う。いついかなる時でも、女という抽象的な存在が好き。それを覆い隠す衣服が好き。むしろ衣服がその肉体を覆い隠すことで、女という存在が立ち上がるのだと思う。女の裸は、あまりにもあけすけに、具体的に、女でありすぎる。おれは見た目が女であれば、まんこなんてなくたって構わない。別にまんこが好きなわけじゃないんだよね。見た目が好きなんだよ。本質的に、女というのは見た目のことなんだ、おれにとって。全然分からない、私は、男の本質はちんこだと思う。だからね、と私は言った。女の本質は、衣服や顔かたちやその身体の曲線やその匂いや振る舞いや、そのあらゆる細々した要素の集合として、全体として、女という漠然とした、抽象的な、ふわふわした存在なんだと思うんだよ。飯田さんなんかは、もう、完全に女だよね。そうなの? うん、たとえ飯田さんにまんこが着いていなかろうと、まあ実際におれは飯田さんのまんこにお目にかかったことがないわけだし、着いてるか着いてないか不明なわけなのだけど、それを確かめるまでもなく、女だと思うものね。欲情するよ。男の本質がちんこだとしたら、飯田さんはその男のちんこを見るまで、欲情できないんじゃないかな。なるほどね、よく分かんないけど、それもそうかもね。私は男の人の男らしさみたいなものに、欲情したことがないもの。ちんこだよね。ちんこを見るまで、なんとも思わない。私は、飯田さんは実に男らしいな、と笑った。あんたは女々しいね、と鼻で笑われた。
71 :名無飼育さん :2012/11/18(日) 02:23
 見知らぬ男のペニスを前にして、愛ちゃんは何のためらいもなくそれを口に含んだ。ガキさんはそれを見てたじろいだ。「何してんの! やめなよ愛ちゃん!」愛ちゃんの肩を強く揺すると、すぽんっという小気味の良い音を立ててペニスが抜けた。愛ちゃんは濡れ光るペニスをまじまじと見つめると、「うん」と何かに納得したようで、また再びペニスを口に含んだ。ガキさんが非難じみた調子で「何考えてんの! だからやめなって!」と愛ちゃんを引き剥がそうとする。愛ちゃんは意地でもペニスを掴んで離さなかったが、ガキさんが殴る蹴るなどの強行手段に出たので、しぶしぶといった感じでペニスを離した。「しょうがないなあ。ほら、ええよ」「え?」「ガキさん終わったらまたうちな、じゅんばんこ」「違う! そういうことじゃなくって!」「なんやようわからん」「愛ちゃんの方が分かんないよ! なにしてんの!」「なにってフェラチオやけども……」「そういうことを聞いてるんじゃなくって!」「ガキさん声うるさい」愛ちゃんは耳のあたりで両手をわしゃわしゃとやった。「耳おかしくなる」「愛ちゃんは頭がおかしいよ! どうかしてるよ!」「ガキさんうるさい、きらいやー」愛ちゃんは丸くなって「きらいだいきらい」とぶつぶつ言った。ガキさんはそれを見て「なんなんだいったい!」と叫んだ。見捨てられたペニスが穏やかに萎れていく。
72 :見知らぬ天井 :2012/11/18(日) 03:14
 れいなが痔をこじらせて入院したので見舞いに行った。「れいなは大丈夫でしょうか、死んだり、しないでしょうか」尋ねると、主治医はハッハッハッと快活に笑って「大丈夫ですよ。ただの痔ですから」「あのう、前々から気になっていたのですが」「なんですか?」「痔の診察というのは一体どのようにしてやるのでしょうか」「え? まあまず下を全部脱いでいただいて、それから四つん這いになってもらってですね」「やめろ」「え?」「すいません。なんでもありません」「ええ、それで、四つん這いになってもらってですね、肛門に指を」「やめろ!」主治医は困った顔をして「田中さんでしたね? 娘さんのところへご案内します」「はい、お願いします。ただ……」「はい?」「れいなは娘ではなく、姪です」「そうですか、それは失礼しました」主治医はにこりと笑って「こちらの部屋です」とドアをノックした。
 れいなは清潔なベッドの上で清潔な服を着てzipperという低俗な雑誌を読み耽っていた。同じ病室には、れいなと年頃同じぐらいの女の子が二人入っている。れいなは喜々としてその二人を紹介してくれた。「こっちがさゆで、こっちがえりだっちゃ」さゆと呼ばれた子は色白のとても美しい女の子で、「さゆはお人形さんなの」と言った。「そうかい、さゆちゃんは、お人形さんなのかい」「変な子っちゃろ」「人のことは言えないけどね」「どういう意味ばい」「別に」えりと呼ばれた子は今どきの愛らしさに満ち溢れた女の子で、へらへらした笑顔が魅力的だった。「えりは口がきけないのだっちゃ」「へえ、失語症とかいう奴かな」「違うばい。ただ単にバカなのだっちゃ」「人のことは言えないけどね」「どういう意味ばい」「別に」
 れいなは問わず語りに、この二人と親友になったのだ、という話をしてくれた。例えばこんなエピソード、真夜中にさゆがしくしくと泣き始め、心配に思ったれいなが様子を伺うと、さゆはベッドの上で一つ一つ自分の左腕のパーツを何度も組み上げながら、「足りないの、小指の第二関節が足りないの」とさめざめと泣き続けるので、一緒に部屋中を探してあげたのだという。けれども見つからず、「さゆは完璧ではなくなったの」と言って自壊しようとするのを押しとどめ、えりに詰め寄ると、えりはへらへらしながら自分のパンツの中から小さな白い球体を取り出した。それがまごうことなきさゆの小指の第二関節で、私たち三人はそのさゆの小指の第二関節に誓って、親友なのだ、ということだった。傍らでその話を聞いていた主治医は眉をひそめて「ひどくなってる……」と言った。私は家から持って来たりんご剥いて、つまようじを四本刺した。
73 :リアル :2012/11/18(日) 18:26
 コンビニから家へ戻ると知らない男が二人、居間でくつろいでいた。カチッとしたブラックスーツに身を包んでいる。一方はノッポであり、一方はチビデブだった。ホームズとワトソンのような雰囲気である。「なんなんですかあんたらは」きつい口調でそう問うと、ノッポの方がベランダに出て電話をかけ始めた。チビデブの方が「いきなり押しかけてしまい申し訳ありません」と丁寧におじぎをする。
 玄関のドアが開き、佐川の兄ちゃんが四・五人ドヤドヤと荷物を運び込み始めた。「なんなんですか一体」チビデブにそう尋ねると「先日、懸賞にご応募されましたよね」と言う。「ええ、応募しました」「おめでとうございます」「当たったんですか」「そうです」「なんでしたっけ」「リアルドールです」「ああ……」運び込まれた荷物はどれも結構な大きさで、全部で五つある。「これ全部そうですか」「そうです」「こんなにいらないんですけど」「まあ開けてみて下さい」言われるがまま一番手前のものを開ける。それは往年の、中学二年生の頃のごっちんにそっくりな人形だった。次のものを開けてみると、これはデビュー当時のののたんにそっくりで、更に次のものを開けてみると、16歳の頃のれいなにそっくりだった。「なんで私の好みを知っているんですか」「なめてもらっちゃ困りますね」「なめてないですけど」「そうですか」私はごっちん似のリアルドールのおっぱいに手を触れる。ギョッとして手を引っ込めた。「どうですか、すごいでしょう。人肌の体温まで再現できるんですよ」「もしかして匂いも?」「もちろん」脇の下に鼻を近づけると、中学生らしい、酸っぱい汗の匂いがした。「ありがとうございます、捗ります」「いえいえ、それではどうぞお楽しみになってください。我々はこれで」ノッポの方がベランダから戻って来ると「どうも」と頭を下げて出ていった。チビデブの方も「すいませんね、ちょっと愛想が悪いんですよ。いつもどうにかしろって言ってるんですが……」言い残して出ていった。
 二人が出ていったのを見届けると、玄関に鍵を掛けて、ごっちん似のリアルドールのおっぱいにしゃぶりついた。その口から吐息が漏れる。なんという技術だろう。足の匂いを嗅ぐ。たまらない気持ちになった。ズボンを脱いで、勃起したちんこをののたん似のリアルドールの脇に挟み込み、腰を振る。すぐにイキそうになり、れいな似のリアルドールの顔に向けて発射した。顔をしかめるその表情すらリアルだった。
 一服し、残りの二つは誰似なのだろうと考えた。デビュー当時の柴ちゃんだろうか。桃色片想いの頃のあややだろうか。それとももしかして現行の愛理ちゃんだろうか。考えていても始まらない。近くにあった方を開けてみる。それは飯田さんだった。正確に言うと、ジョンソンと呼ばれていた頃の、飯田さんがまだかおりんだった頃の飯田さんだった。陰毛が濃い。ケツの穴の方まで黒々と剛毛である。想像通りだった。もう一つを開けてみると、それはれいなだった。現行の、今まさにの、れいなだった。私は震える手でれいな似のリアルドールの頬に触れた。それはとても冷たかった。腐臭がする美しさだった。
74 :& ◆xTwoYEuCC. :2012/11/20(火) 04:00
 バンドメンバーに好きな音楽のジャンルを訊かれたものの、れいなには音楽が分からぬ。「楽しそうな奴」と誤魔化した。ギターの子が鼻で笑う。シャラーンとエレキギターの生音が響いた。メジャーコードをいくつか鳴らして「ほら、楽しそうでしょ」と言った。これにはれいなも怒った。バカにされているのがありありと分かったからである。顔を真っ赤にして「素人のガキが生意気ばい」と吐き捨てると、ギターの子はますます小馬鹿にした顔で立て続けにマイナーコードをいくつか鳴らして「ほら、悲しい感じするでしょ」と言った。れいなは握った拳を使えずに言葉を無くしていた。
75 :自負 :2012/11/22(木) 06:54
 れいながモーニング娘。を卒業することになったらしいが、私は何も聞いていなかった。うらめしい気持ちがした。「なんでそんな大事なことを言ってくれないの」れいなはまるでどうでもいいという顔で「おじさんには関係のないことだからだっちゃ」「そんなの、ねえ、あんまりだよ、大事なことじゃないの」れいなは鼻くそをほじって食べた。「はなくそを食っている場合じゃあないんだよ、真剣に、ほんとうに、真剣に、私はれいなちゃんのことを思ってだね」れいなはしかめっ面をして「しつこい」と言った。その声の冷たさに私は身を凍らせた。ダメ押しのようにもう一度「しつこい」と言う。「娘。をやめて、どうするのさ、バンド活動に専念するだとか、そんな、青臭いガキみたいなことを言って」「おじさんに何が分かるばい」「分かるよ、分かるんだ。おじさんにもそんな時代があった。音楽で食っていくんだと思っていたよ」「れいなは音楽で食ってるばい」「いや、そりゃそうなんだけどね、アイドルは音楽で食ってるわけじゃないよ。顔と身体で食ってるんだよ。水商売だよ。言ってしまえばほとんど性風俗だ。音楽で食うのよりよっぽど悪い。なにしろアイドルには消費期限というものがある。若さ。若さというものが絶対的な価値だ。分かっているのか。れいなちゃんはまだ若い。アイドルとして、モーニング娘。として、まだ生きていくべきなんだよ。見たまえ。世の中にはアイドル面をした年増が腐るほどいる。その図々しさを見習え。もっと図々しくアイドルとして食っていけ。アイドルとして稼げるだけ稼ぐべきだ。おまえはまだ若いのだから」れいなは私の胸に握りこぶしを押し当てると、実に毅然とした顔で「れいなはずっと昔から、これからも、アーティストだっちゃ」と言い放った。「その言葉が聞きたかった」私は何度も小刻みに頷き、アフィリエイトブログを更新する作業に戻った。
76 :大いなる暗闇 :2012/11/25(日) 23:46
 ごっちんがうつ伏せに倒れていたので背中を踏むと「うむむ」と唸った。「気持ちいい?」「もうちょい下」「ここ?」「違う。どこ踏んでんの。もうちょい上」「ごっちんおしり柔らかいね」「おっぱいの方がやわらかいよ」仰向けになると「ほら」と言って自分の乳を揉んでみせた。「どれどれ」それに手を伸ばそうとすると、れいなが私の腕をしかと掴み「そんなにおっぱいが揉みたければれいなのを揉むばい」「どれどれ」れいなのおっぱいは虚無のような手触りがした。それは全ての光を包み込む虚無だ。
77 :冷静と情熱の間 :2012/11/26(月) 01:25
 さゆが鏡に向けて色々なポーズを取っている。ごっちんが冷めた口調で「飽きないのかね」と言った。えりりんが「さゆはかわいいですから」と合いの手を入れる。さゆがかわいいのはさておいても、私はれいなのアニマル柄への執着が理解できなかった。「なんでギャルはアニマル柄が好きなんですかね」そう漏らすと、ごっちんが「かわいいからじゃん?」と言った。「どこがですか?」「動物かわいいじゃないの」「動物はかわいいですけど、アニマル柄を着た女は別にかわいくありませんよ。それとこれとは別のものごとですよ」「そう? まあべつにどーでもいいんだけど」さゆが鏡の前でくるりと回った。スカートが翻り、黒とピンクの毒々しいゼブラ柄のパンティがチラリと見える。私は生唾を飲み込んだ。「ギャップ萌えというのは、あると思います」ごっちんがあくびをしながら「そう」と言った。えりりんが唐突に叫ぶ。「問題です! えりの今日のパンツの色は何色でしょう!」れいながえりりんのスカートを捲って「紫」と言った。「もう! ずるいよれいな!」「スケスケの紫ばい」「毎日が勝負だから!」ごっちんが薄く笑いながら「若いね」と言った。さゆが鏡の前でため息をつき「今日もかわいくていやになっちゃう」と言う。ごっちんがれいなのヒョウ柄のスカートを捲って舌打ちすると「Tバックは身体に良くない」という話をした。さゆが「そうなんですか?」と自分以外への関心を初めて示した。私はさゆのTバックのクロッチの部分になりたいと思った。れいなのそれにはうんこがついている。それはとても苦かった。
78 :& ◆4fCUmuPB6A :2012/11/28(水) 02:38
 さゆの家庭教師をする夢を見た。さゆはまだ中学生で、人見知りがちであり、さゆママが「娘のさゆです」と紹介してくれ、私が「どうも、よろしくね」と笑顔を見せると、さゆはそっぽを向いて、テーブルの上に載せられたティーカップの、花がら模様の花びらの、その数を数えるようだった。「じゃあ部屋に行こうか」私は胸が弾んでいた。女子中学生の部屋。扉を押し開けるとそこは雑然とした印象を与える部屋で、若い女の子特有の、シャンプーと体臭とが一緒になった、不思議な匂いがした。ベッドの上に制服が脱ぎ捨てられている。私はそこに一緒になって脱ぎ捨てられていた白い靴下を手に取ると「白い靴下ってさ、雨の日大変だよね。泥がハネちゃいそうで」言ったのだが、さゆは無言で私の後ろに立ち尽くしており「和式のトイレに行ったりしてさ、下痢だったりすると、靴下にハネそうだよね。それと泥との区別って、つかないよね」さゆは机に向かって、椅子に腰掛けると、教科書を開いた。数学の教科書だった。いま丁度、図形の、三角形の合同の、証明、とかいうあたりをやっていた。ああ、さゆちゃんは中二なのだなと、そこで初めて知れた。14歳。性を持て余していた時期。ちょっとした時間があればすぐにちんこをこすっていた。男子中学生というのはそういうものだ。エヴァを思い出す。裸の綾波を「偶然」押し倒す。タンクトップにパンティ姿のアスカが「ふいに」添い寝してくる。シンジ君も14歳、おれも14歳なのに、なぜおれにはそのような僥倖がないのか。理不尽だ、この世は理不尽過ぎる。おれはくそつまらない勉強をさせられ、宿題をやらないと殴打されるという生活を送っているというのに、シンジくんは綾波やアスカとラッキースケベをしている。おれだってアスカでオナニーがしたい。意識を失ったアスカのはだけたおっぱいを見ながら、オナニーがしたい。なんという違いだろう。綾波の乳を揉めるなら、裸が見られるなら、アスカのパンティが見られるなら、アスカが添い寝してくれるなら、アスカを前にしてオナニーができるなら、おれは今すぐにだってエヴァに乗って、そして死にたい。
 握りしめた白い靴下を嗅ぐ。それは普通に、私の靴下と大差ない、普通に、人間の、足の匂いがした。ポケットに押し込む。「じゃあどうやってやろうか。何か分かんないことある?」私はベッドに腰掛けて、脱ぎ捨てられた制服に触れた。それはこの冬の寒さもあってひんやりとしており、しかしどこかしらしっとりと手に馴染む感じがあった。そこに顔を埋めたい衝動に駆られたが、ノックの音がする。「先生すいません、よろしかったらこれお飲みになって」さゆママがコーヒーを持って来てくれた。その付け合せに、高そうなチョコレートがあった。私はそのチョコレートを食べた。とても甘く、「美味しいねえ」言うと、さゆは教科書を開いてぼんやりしていた。教科書に書いてある文字列を目で追っているようだったが、それはただ光学的に、さゆの網膜に文字が投影されているだけであって、「読む」という能動的な行為を、さゆはしていなかった。受動的に、さゆの網膜に、文字の形とその配置が、ただただ投影されているだけだった。「なにか分からないとこってある?」無駄だと思いながら、そう訊いた。さゆは相変わらず微動だにせず固まっており、「なにかさ、反応してくれないと、どうしようもないんだよね」意地悪な口調だった。私は私の意地の悪さに時折驚くことがある。もし私がさゆだったら、初めてあったよく分からん年上の男に、こんな意地悪な態度を取られたら、確実にふてくされ、ますます無表情、無反応に徹することを決意するはずだった。14の私は、あまりにも率直に、反抗的だった。まぶたを閉じると、当時14歳の私のその姿がありありと目の裏に浮かんだ。苦笑する。「さゆちゃんはさ、なにが好きなの?」何の気無しに訊いたことだったけれど、さゆはこちらを振り向いて、「さゆは、モーニング娘。が好きなの」と強い口調で言った。私はあまりの感動に制服に顔を埋めた。さゆの匂い。
79 :名無飼育さん :2012/11/28(水) 02:38
>>78 眼底の裏に満ちる匂い
80 :部室 :2012/11/28(水) 03:04
 部室でだらだらしているとえりりんが来た。「あれ? 誰もいないの?」と言うので「おれがいるじゃないの」と答えると「つまんない」と無礼な返事がある。「そう」読んでいた漫画に目を落とすと「怒った?」えりりんが私の顔を覗き込んでいた。「怒りゃしないけど、失礼だよね、先輩だよ一応」「八年生の大先輩」「バカにしてんの」「バカにしてません。事実だから」えりりんは漫画を取り上げて「遊んで下さいよ」と言った。「無理。忙しいんだよ八年生は」「卒業できるんですか?」「うるせえ」私は椅子から立ち上がってタバコに火をつけた。「吸い過ぎですよいつもいつも、そもそもここ禁煙ですからね」「知ったこっちゃないです」「そうやって悪ぶって、いつまでそうしてるんですか?」「だから知ったこっちゃないって言ってんの」「へえ」えりりんは漫画をパラパラ捲りながら、そういえば、さっきさゆと会ったんですよ。先輩、昔さゆの家庭教師してたんですってね。不思議な感じしません? 教え子が自分と同じ大学に入ってくるんですよ。しかも自分が在学中に。絶対変な感じすると思うな。「するね」「中学生の頃のさゆってどんなでした?」どんなって、よく分かんない子だった。モーニング娘。が好きだって言ってた。勉強はできなかった。それはもう恐ろしいほどに。おれとさゆとは、同じ日本語を使っているはずなんだけど、さゆは、まるでおれとは違う言語を話してるような気がした。あと、靴下は普通に臭かった。「なんでそんなこと知ってるんですか」「嗅いだから。まだあの時の靴下持ってるよ、もう匂い抜けちゃったけど」「最低ですね」「最低かな」「最低ですよ」先輩はさゆに何を教えてたんですか? 「英語と数学」「それ以外には?」「人生を」人生を、とえりりんは笑って、先輩に人生が語れるんですか、八年生なのに。八年生だから、語れることがあるんだよ。「クズの人生をですね」えりりんは漫画をポイと投げ捨てて、「私の足の匂いってどんな感じだと思います?」「そりゃ人間の足の匂いがするんじゃないの」「違いますよ」えりりんはブーツを脱いで、そして靴下を脱いだ。生足が目の前に突き出される。鼻先を近づけると、妙に甘酸っぱい匂いがした。「えりりんの汗の匂いってこんなんなの?」「違いますよ」えりりんはふふふと笑って、さゆの足の匂いも、昔とはきっと違うんです、と確信的に言った。私はえりりんの足の親指を舐めた。これもまた甘酸っぱい味がした。部室のドアが開き、「え、なにしてんすか」と後輩の男が言った。ちょっと引いていた。私は確信的に言う。「人生を教えてもらってた」
81 :& ◆tLdAZuspUk :2012/11/28(水) 03:34
 喫茶店に行くとごっちんとれいなが居た。声を掛けると「来たよ」とごっちんが嫌そうに言う。「なんすかそれ」「別に」れいなは興味無さげに爪を見ている。「爪見るときにさ、指を折り曲げて手の平側から見るとマゾで、指を開いて手の甲の側から見るとサドなんだって」私がそう言うと、ごっちんが早速それを試し「そう言われると分かんなくなるね、どっちもやる気がするもん」「そういうもんだよこの手の心理学って」れいなが唐突にオナニーの話を始めた。れいなはオナニーのことを「アレ」と言う。爪の短い女は普段からアレをやってるとか思われるのが嫌だから、私は爪を伸ばしている、というような話だった。「関係なくない? おもちゃ使えばいいんだし」ごっちんがそう言うのに、そういう問題じゃなくって、印象の話だから等々、結構細々したことを言う。「乳がでかい女はバカみたいなのもあるよね」と私が言うと、ごっちんが「私はバカじゃないもん」「れいなちゃんはバカだよね、おっぱいちっちゃいけど」れいなは黙って自分の胸をさすった。
 またさゆの話になった。ごっちんがさゆちゃんは処女だと思うというような話をし、れいなもそれに賛同した。「ごっちんはまあビッチだろうけどさ、れいなちゃんもそうなの?」尋ねると、れいなは「なんでそういうこと訊くと?」と色めき立った。さゆが処女かどうかとかいう話をしているのに、自分の話になるとそうやって怒るのは、不平等だ、理不尽だ、さゆの人権を何だと思っている。私が怒った風にそう言うと、れいなはグッと言葉に詰まり「……れいなも処女っちゃけん」と言った。バカな女だ、と私は思った。「じゃあオナニーばっかしてんだ?」「だからなんでそういう話すると?」「さゆはするよ」さゆはする。それも悪びれることなく、堂々と机の上にローターが放置してあったりした。さゆはもっぱら、海のことなどを考えながらオナニーをするらしかった。波打ち際に素っ裸の自分が立っているところを想像すると、どうしようもなく興奮するのだ、という話を聞かされたことがある。それはさゆが高校二年生のときのことだった。私にはよく分からなかった。おれは、例えばさゆちゃんを抱きしめて、ベッドでいちゃついて、キスとかしたりして、おっぱい揉んだりして、足を舐めて、パンティの上からまんこの匂いを嗅いだりするところとか想像すると、興奮するかな。さゆはそういうのは理解できないと言った。そんなの何も楽しくない。そんなのただ汚いだけでしょ。さゆは、きれいなものを見たり、想像したりすると、興奮するの。おれは汚いとは思わないな。女の体は、それが女の体であるということだけで、そりゃあよっぽどのブスとかだと話は別だけれども、好きな女の体は、きれいなもの、美しいものだと思うよ。女だってそうじゃないの? 好きな男の体なら、それはきれいなもの、美しいもの、なのではないの? さゆは首を横に振って「男は全部汚いの」と言った。「れいなちゃんはさ、まあオナニーばっかしてるのかどうかは知らんけど、何を想像しながらするの?」ごっちんが、私は幼くて、かわいらしい子の、まだ毛が生えてないような、包茎ちんこを想像するね。それを剥いたり戻したりするの。真っ赤なんだよ。ちんこの先がさ。息を吹きかけるだけで感じちゃうんだよ。大きさもちっちゃくてさ。丁度亀頭が飴玉ぐらいの、ああ、ほら、ちょうどこれぐらいかな。そう言って角砂糖を手に取った。これを、まあ角砂糖じゃなくて、もっと丸いんだけど、それを舌先で転がす様を想像するんだ。「まあごっちんは分かったよ。れいなちゃんは?」れいなは顔を真っ赤にして「毛むくじゃらの、臭そうなちんこ」と言った。
82 :ほのぼの日常系 :2012/11/29(木) 02:19
 れいなの元気がない。水を与えてみるとそっぽを向いた。それではといってミルクを与えてみると温めてくれと言うので拒否した。鍋に白いガビガビが着くのが嫌なのだ。「れいなちゃんが洗うってんなら、温めてあげてもいいけど」れいなは洗うと言った。私はその言葉を信じない。れいなの言うことは基本、信用しないことにしている。コーヒーを淹れて、そのミルクを注いだ。低脂肪牛乳はどうもガッツが足りないと思う。君はもう少しデキる子だと思っているのだけれど、なぜ? れいなはコタツから動こうとしない。テレビのチャンネルを五分おきに回す。どれもこれもつまらない番組ばかりだった。「れいなちゃん、セックスしようか」れいなは首を横に振る。私はズボンを脱ぎ、ちんこを取り出した。「でっかくなっちゃった」マギー審司のことを思い出したのだ。れいなは「ちっさ」と呟いたので少しだけ傷ついた。それはほんの少しのことだ。皮の剥き戻しを繰り返す内にカウパーが生じてくる。それを指で亀頭全体に広げるのが私は好きなのだった。れいながいやそうな顔をする。なぜ? ほんとうは好きなんだろう? もう一度だけ訊く。「れいなちゃん、セックスしようか」れいなはやはり首を横に振った。「じゃあキスをしよう」れいなは無反応で、それはつまり承認なのだと、私には思えた。テレビでマツコ・デラックスが怒っている。
83 :ほのぼの日常系2 :2012/11/29(木) 02:25
 飯田先輩が説教をしてくるのでそれを受け流すのにも疲れた。「それは結局、自分にできないことを、僕に押し付けてるだけなんだと、思うんですよね」飯田先輩は一瞬ムッとした顔をしたが、すぐに元の美しい顔にお戻りになられて「ま、否定はしないね。でも、だからなに? 私にできないことだから、あんたにできなくてもしょうがない? そんなもん? 他人なんて関係ないじゃん」「だからぼくは」他人にあれこれ言われるのが嫌なんですよ。「ぼくは?」「なんでもないです」「言いたいことあるなら言いなよ、別に気にしないよ私は」「いいんですよもう、めんどくせえ、勘弁してくださいよ」「逃げんのか」「いいですよそれで、勝手にしてください」「そういうとこだよね」私はその台詞が嫌いだった。「そういうとこだよ」飯田先輩の美しい顔を、私は殴った。
84 :seikatsu :2012/11/29(木) 02:39
 FC2ライブチャット(アダルト)をぐるぐる見て回っていたら、聞き覚えのある声の女の子に出会った。その声はどう聞いてもあややの声だった。マスクにグラサンで完全に防備しているが、よくよく目を凝らしてみれば、それはやはり確かにあややなのだと思えた。あややは一向に服を脱ぐ気配すら見せず、誹謗中傷のコメントが飛んでいた。あややはいつもオールナイトニッポンで唸らせていた、あの人を小馬鹿にした声で、「言っとけ童貞ども」と視聴者である我々を挑発した。私はすでにズボンとパンツを引き下ろしてちんこを握りしめており、スースーして寒いので、一刻も早くあややに脱いで欲しい側の人間だった。おっぱいを見せて欲しい。せめてパンティなりと見せて欲しかった。「あやちゃんは話が面白いから脱がなくても大丈夫」とかどうかしてるコメントを飛ばす奴がいる。馬鹿野郎。貴様のような奴がいるから、世界から戦争が無くならないんだ。これは戦争なのだ。抜けるか抜けないか風邪を引くか、戦争なんだ。サイバーウォーである。しかし、あややは依然として脱がず、あらゆるコメントを小馬鹿にし続けた。いかに私といえどもちんこが萎えてくる。諦めて、他のチャットへ移ろうかと思った矢先、あややはいきなりマスクとグラサンを取り、それはどこからどうみてもただのババアだった。ブラウザを閉じて、風呂場へ向かうと、れいなのパンティの匂いを嗅ぎながら達した。虚しかった。
85 :手引き :2012/12/01(土) 21:22
 圭ちゃんが蹴躓いたので「大丈夫?」と手を差し出すと「いいとこあるじゃん」と笑った。「いいとこだけで出来てるから、この世のいいことを全て寄せ集めたらおれになる」圭ちゃんはスマートフォンを取り出して「どこ行く?」と言った。「突っ込めよ」「え? なにが?」「なんでもない」私もスマートフォンを取り出してマップアプリを開く。ラブホはどこにあるのだろう。「突っ込まれるのはむしろ私の方だから!」と圭ちゃんが何かに気付いたように言った。「下ネタ? やめてくださいよ」「敬語やめて」「セックスかあ」「セックスとか言うのやめて」「じゃあなんて言えばいいの?」圭ちゃんはちょっと悩んで「エッチ?」と言う。小首を傾げるその仕草に背筋が凍った。「やっ、そこのお二人さん、キャバどう? 女の子はタダ!」「ヌキがある店は?」「え? 彼女さんはいいの?」「いいから」圭ちゃんが私の袖を引いて「ちょっと!」と怒った。うるせえよブス、誰だお前。
86 :ロスト :2012/12/02(日) 15:59
 家に帰るとテレビの薄明かりだけが満ちる部屋の中で、布団にくるまって膝を抱えているれいなが居た。「なにやってんの」と声を掛けても返事がない。電気をつけた。それでも微動だにせず、これはあれか、何かに落ち込んでいたりするのか、なんてベタなんだ。「ガキじゃねえんだから」ひとり言のつもりでそう言ったのだったが「れいなはガキっちゃけん」と拗ねた声がする。「なに? なんかあったの?」「別に」れいなは縮こまって布団を頭からすっぽり被った。「そう」もう放っておこうと思った。れいなの機嫌をいちいち伺っているような気分ではなかった。私は私で、悩ましい問題を抱えている。れいなのきっと青臭いのだろう悩みに関わっている暇はないのだ。
 米を研ぎ、炊飯器にセットして、スーパーで買ってきたお惣菜を器に盛り付け、ラップを掛けた。「ご飯食べるの?」返事がない。「いらないってことね」缶ビールを開け、グラスに注いだ。一口飲む。さして美味くない。ケチらずにエビスでも買ってくればよかった。第三のビールは今の私にとって水道水以下のように思えた。テレビで有吉がアイドルをこき下ろしている。ご飯が炊けるのはまだまだ先のことだ。PCを開いてみんくちゃんねるを見た。今日も素人の女が裸の写真を晒している。よくやるものだ。裸を全世界に公開して何がしたいのか、全然理解できない。とはいえ勃起していた。ありがたいことだと思う。素人の裸が、私は本当に好きなのだ。ちんこを取り出して、皮を剥いた。亀頭の先から湯気が立ち、小便とチンカスの相俟った、人間的な、実に人間的な匂いがする。私はその香りに興奮を掻き立てられるところがあった。素人の裸の画像を見ながら、何度か皮を剥き戻しした。今日は立ちが悪い。圭ちゃんの顔がたまにまぶたの裏を掠めるからだった。私は脱衣所に向かって、洗濯カゴを漁った。れいなの下着とニーソを取り出し、鼻に押し当ててみる。化粧品のような洗剤のような匂いばかりする。「ダメだ」
 リビングに戻り、未だ布団にくるまったままのれいなを叩いた。「ちょっと、靴下ちょうだい」れいなは布団から顔をひょこりと出して「いや」と言う。「生意気だな、いいじゃん、ちょうだいよ」「いやばい」「力づくで奪うまでのことよ」布団をめくり上げ、れいなが全裸であることに驚いた。「なんで服着てないの」れいなはそっぽを向いて「れいなはガキっちゃけん」と言う。意味が分からない。ガキは服を着ないのか。「今日着てた服はどこにあるのさ、オナニーに必要なんだよ」「知らんばい」れいなはまた布団を引き被った。「いい加減にしろ!」私は怒り、布団を全面的に引き剥がした。ころりと全裸のれいなが転がって出た。久しぶりに見た。れいなの乳首は薄桃色であり、股間には慎ましく陰毛が生えている。れいなはいじらしい目で私を見つめ「れいなはガキっちゃけん」とまた言った。「いい加減にしろよ」私は力なくそう言い、ピーピーピーと炊飯器が炊きあがったことを知らせる音を鳴らした。
87 :矢口さんのナラティヴ :2012/12/03(月) 02:57
 昨日行ったわけですよ。ドンキに。どこへってドンキに。それで、あの、もちろん彼氏と行ったわけなんだけどさ。「彼氏?」いやちがくて、間違えた。旦那とね。行ったわけですよドンキに。「それで?」そしたらさ、いっぱいカップルがいるわけですよ。頭の悪そうな、クソガキどもが。ラブホ帰りなのか、これから行くのか分かんないけど。「それって何時頃の話?」時間? さあ? 忘れちゃったね。どうでもよくない? それ大切? 「別に、なんで怒ってんの?」は? 怒ってないですよ? それでさ、ドンキに行ったのよ。そしたら頭の悪そうなガキがさ。「ごめんけどもうちょっとまとめて話せないの?」ああん? いちいち話の腰を折ってんのは誰だよ? 「ごめん」だからさあ、まあ、つまり、あたしはさあ、ドンキに行ったのよ。そしたら頭の悪そうなガキがさあ、あ、ヤグチだ、とか言うわけよ。「へえ。ま、言うだろうね」ヤグチだ、ってね、おまえ、いいかげんにしろよ。なんでお前に呼び捨てされないといけなんいんだって、あたしはさあ、思って、旦那に耳打ちしたのよ、なんなのあのクソガキ、ってね、言ったらさあ、旦那なんて言ったと思う? 「さあ?」さあ? じゃねえよ、訊いてんだから、なんでもいいから答えろよ。「矢口じゃなくて中村なのにね、とか?」つまらん。つまんない。想像してた答えのうちで一番つまんなかった。「そりゃどうも」そしたらさあ、旦那がさあ、なんでそんな汚い言葉を使うのかって、なんか怒りだしてさあ。「いい旦那さんじゃないの、人間的にできてるよ」はあ? 意味分かんなくない? だって失礼なのはあっちっしょ? クソガキが。全然理解できない。それでさあ、喧嘩しちゃって、家出してるんだけど。「そんなくだらない理由で?」くだらないってなんだよ。人間性の問題だよ。やっぱ旦那とは合わないのかもしれないわ。全然おもしろくない。超つまんないよ。結婚なんかしなけりゃ良かった。「じゃあ別れたらいいじゃないの」そういうわけにもいかんでしょ。モーニング娘。OBとして、後輩達に対する意地ってーの? 良い見本ってのを示さなきゃいけないわけ。それが私のモーニング娘。に対する義理の通し方っていうか。「へんなの」てめえの方がへんなんだよ。マジで。いい加減にしろよ。「おれは深夜のドンキに来てるような、頭の悪そうなクソガキと、矢口さんとの区別なんてほとんどつかないけどね」は? もういっぺん言ってみろよ。「どこが違うの?」収入だよ。あと知名度。なめんじゃねえよ。元モーニング娘。なめんじゃねえぞ。「矢口さんは、いつまでモーニング娘。に縛られてるの?」うるせえよ。うるせえんだよ。いいかげんにしろよ。別に縛られてるわけじゃねえよ。っていうか縛られてたとして、縛られてることの何がいけねえんだよ、言ってみろよ。「別に何もいけなくないよ、いいんじゃん?」そういうとこ、そういうとこ腹立つんだよね、いつも。ぼくはフラットですからー、世間の価値観とかに惑わされませんからー、みたいなさあ? ふざけんじゃねえよ。お前はフラットなんじゃなくて、中身がないだけなんだよ。いいかげんにしろよ。なにかやってみろよ。私みたいに何かでかいことやってみろよ。それから偉そうな口きけよ。分かったかこら。いい加減にしろよ。「うるせえな」てめえがうるせえんだよ、いい加減にしろよ。なんなんだよいったい。なんで旦那にもへんな怒られ方して、てめえにも逆ギレされなきゃいけねえんだよ。いいかげんにしろよ。泣くぞ。泣いちゃうぞ。まりっぺ泣いちゃうからな。寂しいんだよ。なにがいけねえんだよ。いいかげんにしろよ。涙出てきたわ。
88 :オリーブ :2012/12/12(水) 03:54
よしごま

 飲み会、隣のテーブルで合コンをやっている。三十代前半ぐらいだろう。お互いに合コンをやり慣れている雰囲気がした。いまさら合コンで理想の相手が見つかるだなんて夢見ちゃいないけれど、ちょっとした期待はある。でも、そんな期待を今更表に出すのは気恥ずかしいし、今この場が楽しければそれでいいんだよね。そうそう。楽しければいいんだよ。そういう雰囲気が濃厚に漂っていた。とはいえ男はチャンスがあればヤリたいし、女はチャンスがあればいい人を見つけて、結婚までこぎつけたかった。それでも表面上は「今が楽しければそれでいいんじゃん」空元気だった。
 あややが「ああいやだいやだ」と言った。吉澤さんが「なにが?」と訊く。「合コン、醜いよね、何が楽しいんだろう」吉澤さんが苦笑いしながら「聞こえるよ」「よしこアドレス変えたの?」ごっちんが携帯を開きながら訊いた。吉澤さんは「いや別に」と言う。「メール届かないんだけど」吉澤さんは思い出したように「ああ、そういえば、半年ぐらい前に変えたかもしんない」
 隣のテーブルで王様ゲームが始まった。あややが「うるせえ」と低い声で唸る。「何で教えてくれないのさ」とごっちんがいじけた声を出した。「送ったと思うんだけど」「来てないよ、来てたら登録してるもん」あややが「忘れてただけじゃん?」と言って、最後のオリーブをフォークで突き刺した。「このオリーブちょっと塩辛すぎるよね」隣のテーブルでキスコールが上がる。女は「やだー」と表面上かわいらしく取り繕っているが心底嫌そうなのがにじみ出ており、男は「いやーマジ勘弁してよ」と嬉しそうな声を挙げていた。吉澤さんが「じゃ、今から送るよ」と言う。「いや、別にいいし、困んないし」ごっちんは携帯を閉じた。「素直じゃないね」とあややが言い、オリーブを齧った。「やっぱり塩辛すぎるよこのオリーブ」
 キスコールはうやむやに収束した。男が女の肩を掴んで顔を寄せたあたりで店員がドリンクを運んできたからだった。吉澤さんがトイレに立った。ごっちんが店員にスプモーニを注文する。あややはキールを。吉澤さんのグラスが空いていたので、ごっちんが勝手に「この店で一番強いカクテル」を注文した。店員によればそれはマティーニらしかった。あややが「どんなカクテルなんですか?」と訊く。店員が「ジンとベルモットのカクテルですね」と答える。「ベルモットって何?」とごっちんが首をかしげている間に吉澤さんが帰ってきた。「なに?」「あのー、なんだっけ」とごっちんが頭を掻き「マティーニ?」とあややが助け舟を出す。「そうそう、マティーニとかいう奴頼んどいたから」「ああそう、ありがと」あややが「この店で一番強いカクテルらしいよ」言って、半分ぐらい齧ったオリーブをフォークの先で弄んでいる。ごっちんと吉澤さんはそれをぼんやり眺めた。
 隣のテーブルの合コンは連絡先交換のフェーズに入った。「ほら、ごっちん、吉澤さんと連絡先交換しなよ」あややが悪意たっぷりに隣の席の女を真似しながらそう言った。吉澤さんもそれに応じて「そうだね、しようしよう」と隣の席の男の真似をした。ごっちんはそれに乗らない。「いいもん別に、よしこに連絡取ることなんてないから」「強がっちゃってさ」あややが笑うと、ドリンクが来た。ごっちんはマティーニを取ると「ほら、一気して」と吉澤の口元に向けて突きつけた。「なんで」「いいから飲めよ」「飲むけど、一気なんかしないよ」「おれの酒が飲めねえのか」「めんどくさいな」吉澤さんは苦笑しながらごっちんの手からグラスを奪った。「アドレス送り忘れたぐらいでそんな怒んないでよ」「違うし」「じゃあ何なの」「……生理なんだよ」それを聞いたあややは高らかに笑って「バカみたい」と言った。ごっちんは恥ずかしくなってスプモーニを一気に煽った。吉澤さんはマティーニを一口飲んだ。あややは齧りかけのオリーブを口に入れ、キールで流し込んだ。やっぱり少し塩辛すぎると思った。それはごっちんの涙だ。勝気な女の涙だ。
89 :「グッバイ、ルビーチューズデイ」改 :2012/12/13(木) 01:23
 あの話はこういった筋書きだった。吉澤さんによる一人称の語り、それは当時の私がドラッグ文化に憧れ、というよりももっぱら町田康や中島らもやジミヘンに憧れており、恐らくはその源流にあったりなかったりするのだろうバロウズなどのビートと呼ばれる小説を知らず、ブコウスキーのパンク小説も知らなかった。今でも少し流し読んだ程度のもの。とにかくラリった主人公による一人称の語りへの憧れが上滑り、ああいう形を取り、ののたんが好きだったのだ。今となっては見るも無残なあばずれが。「ののたんは天使」などという台詞をこの数年で思い出したことはあるか? 「ののヲタには紳士が多い」とかのバカを言って。「好きなものは呪うか殺すかしなければいけないのよ」と夜長姫が言っていた。呪っています。それにしてもあまりにも軽薄ないしよし、吉澤って言えば石川じゃん? 話のオチの付け方が分からない。語り手が死ねばどうしたって終わるだろう。吉澤さんが死ねばいいのだ。何の理由もなく、話を終わらせるために死んでもらうね。おれならそうするね。誰かに殺してもらうには、それなりの動機がいるじゃないか。そんなものを考えるのがめんどうなのだ。自死してくれればよい。ラリってるのだから、自死したっておかしくないだろう。それでも終わらないという選択肢もある。津原泰水だったか、語り手が死んだところから始まるという話がある。そういうヘンテコで時としてエログロナンセンスな要素を持つものを「幻想怪奇」とか呼んだりもするものらしい。江戸川乱歩、澁澤龍彦あたりの名前が浮かぶ。どうも推理小説という形式と相性がよろしいものらしい。「なんで昔の推理小説にはキチガイが必ず出てくるのだろうね」「なんで推理小説では人が死なないといけないのだろうね」まともに読んだことがない。本棚には神々しいものとして飾ってある。表紙を見て、ページを捲って、なんとなくうっとりする。漠然としたイメージに憧れていた。それぞれの話の、その記述の、そのロジックなり、そのテクニックなり、分析し自分のものにしたいという欲望に駆られながら、めんどうなのでしない。
 吉澤さんが操る業物が「シースナイフ」であったり「ワルサーP38」であったりするのは失笑である。ルパン三世? 今ならきっとコルトガバメントなどと書くのだろうね。バカの一つ覚えのように。ユートピア、トマス・マン、どこでもない場所、倫理の授業で聞いた覚えのあるような、分かるような、分からないような語彙に惹かれた。涙は流すもんじゃないとチューブの人が歌っていたのを覚えている。いつだかの24時間テレビだった。夏だった。
 頭がおかしい吉澤という設定が、一体どこから来たイメージなのかはよく分からない。基本的に女子中学生とか女子高生というのは頭がおかしいものだから、ぼくはいつも思い出すのだけれど、矢口さんが言っていた。「よっすぃーが変なんですよ」どういう風に? 「携帯をわざと落としたり、アスファルトにこすりつけたりして、ボロボロにして、かっこよくなった、とか言ってるんですよ」若い女は、男もそうだけれども、頭がおかしいのだ。ゆでたまごとベーグルばっかり食べる吉澤。カバンの中がイカ臭いごっちん。カメラに向けてまんぐりがえししてみせる辻加護。サイボーグ柴田。「隙間が好きなんですよ」というえりりん。「今日もカワイイ」とやるさゆみん。さゆは今でもそれをやっているけれども、それは小倉優子の「こりん星」という設定や、しのはらともえのグルグルミラクルとかと同じ。洗練されてしまった。今なら9,10期が絶好調に頭がおかしいのだろう。バトロワをやってもらいたいね。工藤さんがヒールになるのだろう。一番地味な子、名前すら思い出せない、覚えられない、そのあたりの子がね、実は猟奇的だったりするんだよ。鞘師さんが主役級ということになるのだろうか、譜久村さんと一緒に手と手を取り合ってね。れいなが先輩面をして「かわいい後輩を守ってみせるけん」などとカッコイイ台詞を吐くわけなのだけれど、さゆにボウガンで打たれて目玉が飛び出せばいいよ。えりりんが司会役だろう。カメラで逐一メンバーの状況を監視しながら、ドリ娘。メンバーの前で実況中継するわけだ。中澤が言う「つまらんな、もっと切羽詰まった感じじゃないとあかんで」かおりんが「私が出ようか?」と言うのをなっちが押しとどめ、あの完璧ななっちスマイルで「こんなのってないよ」ああ何か混ざってしまった。最終的に私が暮れかかる夕日をバックに、圭ちゃんとキスをするんだ。
90 :年増 :2012/12/18(火) 05:36
 ほろ酔い加減で電車に乗っていると女子高生のふとももにむらむらした。電車を降りてトイレに駆け込むと勃起していた。さきほどの女子高生のふとももを思い出しながら何度か軽くしごいてやる。おっさんが隣に立った。咳払い、痰を吐く音。「ダメだ」早く家に帰ってオナニーをしようと思った。駅前でタクシーを捕まえる。「どちらまで?」女のドライバーだった。私は住所を告げる。女ドライバーが、あの辺りはなんとかかんとかで、とどうでもいいことをべらべら喋り出した。私は「へえ」とか「あっそうなんですか」と適当に相槌を打った。ほんとうにどうでもいいですよ、というのを盛んにアピールしたつもりだったが、女ドライバーはそれを全然汲み取ってくれないらしい。まだ勃起していた。また女子高生のふとももを思い出しながら、ズボンの上からそれを擦る。ふと、ここでちんこを出しても別にバレないのではないかという気がした、と思うが早いか私はちんこを取り出していた。このシチュエーションに若干の興奮を覚えながら、ちんこを軽くしごいてやる。すぐにカウパーが滲みだす。女ドライバーは明日の天気の話をしていた。「まだまだこれから寒くなるんやろ? やんなるなほんま」「ええ、まったく、こう寒いと人肌が恋しくなりますね」バックミラー越しに目が合った。目尻のあたりに若干の老いを感じさせるが、まだまだ現役という感じがした。視線が逸れる。「そういや世間じゃもうクリスマスとか」「そうですね、嫌になりますね」国道に出た。「いや、ちょっと行き過ぎですけど」「まあまあ、兄ちゃん、ちょっと付き合ってや」そのままラブホに入った。フェラが上手かった。名前を訊くと、彼女は「裕ちゃんって呼んでや」と言った。
91 :冬がはじまるよ :2012/12/18(火) 15:13
 新宿から渋谷に向けて歩いていると、電信柱の根本にしゃがみこんでいる女がいた。電信柱の根本というのは犬が小便をするし、酔っぱらいがゲロを吐くし、汚いので、怪訝に思って通りすぎようとすると、その女が小便をしているのに気付いた。私はiPhoneを取り出して構えた。写真を取ってやろうと思ったのだ。アプリを立ち上げたところで女が振り返り、目が合った。「何しとると」「いや、写真撮ろうと思って」「あかん」女は首をふるふると横に振るともう一度「あかん」と言って、今度はうんこを垂れ始めた。さすがに引いた。猛烈に臭かった。肉ばかり食っている臭いだ。いかな他人に無関心な都会といえども、さすがにこの光景に周りがざわつきだした。あちらこちらでピロリンピロリンと写メを撮る音がする。女はしゃがんだまま周囲を見回し「ティッシュ」と言った。駅前で貰ったメイド喫茶のポケットティッシュを渡してやる。その女はそれでケツの穴を丁寧に拭くと、「助かったばい」と言って、使用済みのそれを私の手の平に載せた。臭い。私は猛烈に興奮していた。
 その女の名前はれいなと言うらしかった。「いい名前だね」と褒めると「そんなでもないっちゃよ」鼻の穴がぴくぴくした。満更でもないらしい。私は手を洗いたかった。れいなはミニスカートに手を突っ込んで尻の穴のあたりを掻いた。どうも満足に拭けておらず、それによって尻の穴に痒みが生じているらしい。「どうだろう、この近くにラブホがあるのだけど、行かないか、シャワーを浴びたいでしょう、お互いに」私がそう切り出すと、れいなはさきほど尻の穴を掻いた指先をくんくんと匂い、「満喫でいいっちゃ」と言った。私は「マン臭キツ子」という言葉を思い出した。れいなは言ってしまえばケツ穴クサ子だ。連れ立って街を歩く。手を繋いだ。使用済みティッシュが互いの手の平に包まれ、それは我々の奇遇な縁を象徴していた。見物人が驚愕の表情で我々を見ていた。私は猛烈に興奮していた。
92 :一見して分かる :2012/12/18(火) 15:25
 駅前に迎えが来ている。白いワゴンのドアを開けると知らない女が居た。携帯をいじっている。私は不審に思い「誰?」と尋ねると、運転手の女が短い悲鳴を上げ「あなた誰ですか!」と叫んだ。どうやら車を間違えたらしい。事情を説明しようと「いや、違うんです」と言ったところで、携帯をいじっていた方の女が「まあいいじゃん」と言う。「いや、よくないでしょ?」運転手の女がヒステリックにそう言うのに「お兄さんどこまで行くの? 方向同じなら乗っけてってあげるよ」そう言って女は携帯を閉じた。「国分寺です」「あ、そりゃ奇遇だね、私たちは中野まで行くんだよ」「反対方向ですね」「まあいいんじゃん?」運転手の女が「ちょっと後藤!」とまた叫ぶ。「圭ちゃんはいちいちうるさいな、ほらほら、国分寺ね、国分寺に行くよ」そう言って後藤と呼ばれた女は運転席をガシガシと蹴った。「いや、悪いんで、車間違えただけなんで」「そうよ、なに言ってんのあんた、あと蹴るのやめて、新車だから」「つまんない」後藤と呼ばれた女はまた携帯を開いた。私は右ポケットに入っているコンドームを指先で確かめて、「いや、是非行きましょう。国分寺のラブホに行きましょう。そして3Pをしましょう」と言った。後藤の顔がパアッと明るくなった。この女は淫乱だ。
93 :名無飼育さん :2012/12/21(金) 11:56
>>54>>89のような語りもとても興味深く面白い。たまにあるくらいなのが丁度いいのかも。
この娘。小説が好きです。
94 : :2012/12/23(日) 00:24
ありがとうございます。ぼくもあなたのことが好きです。
クリスマスのご予定は空いていらっしゃいますか?
95 :& ◆C/ibLlmP56 :2012/12/23(日) 00:25
 24日は何をしているの、と問われて、予定を確認すると「振替休日」とあったので、これを答えると、それはみんなそうだよ、だからその振替休日に何をするの、と再度問い直しがあり、起きて、飯を作って、昼寝をして、また起きて、飯を作って、寝るのではないでしょうか、家に居た頃はそれなりにクリスマスパーティの類をしたような思い出もありますが、ちなみに後藤さんは何をなさるのですか、訊くと、彼女は「秘密」と言ひて、頬をうつすらと染めにけり。この女は淫乱なり。
96 :名無飼育さん :2012/12/23(日) 00:36
 れいなが24日に後輩を家に呼んでもいいかと言った。私はダメだと答えた。れいは涙を溜めて「どうしてだっちゃ」と言う。冗談のつもりだった。泣くんじゃないよそれしきのことで。しかしれいなの頭の中では、後輩に囲まれて、田中さん田中さんとちやほやされる、そういった光景がすでに広がっているはずだった。それが私の一言によって否定されたとあれば、泣くのも致し方ないかと思い直し、「うそだよ、呼んだらいいよ」そう言ってやると、れいなの顔は一瞬にして長調へと転調した。とにかくパーティを続けよう、というフレーズが耳の奥で鳴った。
97 :びょうびょう :2012/12/23(日) 02:05
 冬の夜は長々として、平生夜更かしの質だから、日が昇るとともに臥して、日が暮れるとともに起きぬ。寒いのは嫌いだから、日が暮れてしまえば外に出ることもない。結果として冬は引きこもりがちになりぬ。とはいえ人間、市井に住むとあらば、用事の一つや二つこさえてしまうものなり。保田、暮れてから、宅に来て諸々の世話を焼く、これがたいそう申し訳なく、いつも悪いねと声を掛けると、私が好きでやってることだからと答えるのが常である。化粧がくたびれていた。朝一の、まだ水っぽくなっていない顔を見たいものだねと、そう言ってみると、保田は台所に立って化粧を落とし、また一から顔を直してくれた。さのみ変わり映えもせず、本質的にくたびれているのは隠せない。いささか落胆の気があれども、きれいになったと褒めそやすと、うそばっかりと笑ひたり。その察しの良さが悲しい。
98 :真心 :2012/12/29(土) 05:14
 サンタさんはどうして靴下にプレゼントを入れるの? というれいなの子どもっぽい疑問に私はこう返しました。それはね、サンタさんが靴下フェチだからだよ。れいなは合点がいったという顔で、それじゃあたっぷりと匂いをつけておかなきゃいけないっちゃね、と言いました。気が利く子です。私は手を叩いてそうそうと喜びました。最低でも三日は履き続けなければダメだ。ニーソックスがいい。色は――そうだな、黒がいいよ。何の小手先の柄も入っていない黒。あと、靴下フェチというものは往々にして下着フェチでもあったりするものだから、下着の上下もセットでおいておくと、なお喜ぶんじゃないのかね。
 れいなはクリスマスの夜、たっぷり三日間履き続けた黒のニーソックスと水色の下着の上下セットを枕元に置いて寝ました。あまりにも楽しみであったためか、20時にはもう布団に入っていたのです。しかし21時頃に泣きべそをかきながら起きてきました。私は不思議に思い、どうしたの? ちゃんといい子にして、寝なくっちゃあ、サンタさんが来てくれないよ。慰めるように言いました。れいなはそれでもなお泣き止まず、しゃくりあげながら、靴下とパンツが臭すぎて眠れんとよ、と言いました。私はこう返しました。「ジップロックに入れなさい」
99 :『グッバイルビー・チューズデイ』別珍 :2012/12/30(日) 00:26
 よしこは遅くならない内に帰ると言った。踵の高い靴を履いていく。見慣れない赤い色のパンプス。そんなものどこにあったの? よしこは出掛けに私を一瞥、乳を揉んで、なかなか、と言った。なんのことやら。玄関のドアが開いて閉まる。靴音が遠くなった。「遅くならない内に帰るよ」私はそれを信じていない。外の空気がたいへん冷たい。毛布にくるまって震えた。テレビのリモコンの電池は結構前から切れている。だからラジカセの電源を入れた。カセットテープを見かけなくなって久しい。なんとこのラジカセには、MD再生機能がついているるのだ! MDは捨てた。結構前に。CDもない。この部屋には音楽メディアというものが何一つとしてない。我ながら驚いた。ギターならあるんだけど。弾けないギターを弾くんだぜ。弦が錆びていた。指に変な匂いがつく。それを嗅ぐと、なかなか、という感じがした。Em7のコードなら知っている。中指で一本押さえればいいだけだから簡単だ。よしこが教えてくれた。「じゃあ何にも押さえないで弾くと、どういうコードになるの?」「知らないよそんなの、先生に訊いて」かつて在りし日のよしこはめんどくさそうにそう言った。先生って誰よ?
 何はなくとも口笛ぐらい吹けるのだ。問題は何一つとして今この場にふさわしいメロディが思いつかないこと。口笛の音色は侘しい。ホーホケキョ、とやってみた。冬だけれども。うぃーうぃっしゅあめりくりすます。そうかあ、クリスマスだったのかあ、歌を歌いたいなあと思った。カラオケに行きたい。お金がないんだよ。一人でカラオケという感じでもないし。そもそも的に。そもそも的に。MDが挿入されるのを待って、MD付きラジカセがチカチカと物欲しそうな流し目で私を見ている。無いのよ。MDが無いのよ。電源を切った。カチッという音がする。普段全然気付かないけれど、オンオフごときで結構でかい音を立てるのだな、と思った。それだけこの部屋には何も音が無いということ。耳をすますとキーンという音が聞こえてくる。鼻の頭は常に視界に入ってる。そういうやつで、気にしだすときりがない。爪のささくれが気になる。手の甲に生えている産毛が気になる。脇の間に手を差しこむとあったかい。冬だ。
100 :いつもここから :2013/01/04(金) 02:17
「今年は良い年になるっちゃよ」とれいなが言った。「どうして?」「大吉だからばい」紙切れを誇らしげに見せつけて来た。大吉、と書いてある。あらゆることがすべてうまくいくでしょう。「なんだいこれ、れいなちゃんが書いたの?ひどいクオリティだね。ガキの落書きにも劣る」れいなはふふんと鼻で笑い「病は気から」と言った。あけましておめでとう。

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