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聖夜の舞姫

1 :名無飼育さん :2006/08/26(土) 01:55
草板で書いているどらと申します
黒板の皆様どうぞよろしくおねがいします

草板のスレがいっぱいになってしまいましたが、
今度のお話は男性キャラとの絡みがあるためこちらにスレを立てさせて頂きました

管理人様に森板の皆様、大変ご迷惑おかけしました

小川麻琴ドキュメント『出せなかったファンレター』
ttp://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/test/read.cgi/grass/1146929895/




今回は上記スレの続編、『聖夜の舞姫』です

テーマは“男女の友情”
純粋なラブストーリーです

ストーリーの展開上、ちょっとだけエッチなシーンがありますw
英文は全て適当ですw
文法間違い、スペルミス等、どうかご容赦下さい

※プロットは既に完成しているので毎日一回のペースで更新します


草板
聖夜の舞姫
ttp://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/test/read.cgi/grass/1146929895/84 (プロローグ〜第三話の途中)
109 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:22







第七話  『郷愁』






110 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:23


時刻は23:30。

アパートではベティが心配していた。
電話もよこさずにこんな時間まで帰宅しない少女が気になってしょうがなかった。



少女は英語が分からない。
もしNYで迷子にでもなろうものなら大変な事になる。



警察に届けを出そうか、いや、騒ぎを大きくするのはよそうか。
ベティが板ばさみの境地に陥っていると少女が帰ってきた。
111 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:23


少女の隣には警察官が一人立っていた。
知り合いなのだろう、警官が慣れた口調でベティに話しける。



「Hi,Bety. Do you know this girl?」
[やぁ、ベティ この子知ってる?]

「マコト!」



ベティが驚きの声を上げた。
すぐに冷静さを取り戻し、警官に質問する。
112 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:23


「Yes,she is a resident here. Where she was? And Why?」
[ええ、彼女はここの住民よ 彼女はどこにいたの?]

「She was wandering in Brooklyn 5.」
[ブルックリン5丁目あたりをうろうろしてたよ]

「Brooklyn 5!? Why god was she there?」
[ブルックリン5丁目!? 一体何でそんな所に?]

「I don't know.Maybe she got lost,and wandered there.」
[分からない 恐らく道に迷ってそこに迷い出たんだろう]

「I ask you why she got lost!」
[何で迷ったのか聞いているの!]

「I don't know why,'cause she can't speak English at all.
 But she said your name.So I took her here.」
[彼女は英語が喋れないからそれは分からない
ただ、彼女が君の名前を出したからここまで連れて来たんだ]

「Oh...I see.Thaks,Smith.」
[そう…分かったわ ありがとうね、スミス]
113 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:23


警官が去ると、少女はベティに泣きついた。



「マコト!心配シタノヨ!何デバスニ乗ラナカッタノ!?」

「うっうっうっ…ぐすっ…」



少女はただ泣くだけで何も言えない。
仕方なくベティは少女を抱いて部屋まで連れて行った。



ベティは少女を部屋に入れ、ベッドに座らせた。



「何ガアッタノカ知ラナイケド、今ハ一人ニシテオイテアゲル
 今ハマダ何モ言イタクナイダロウカラ…」
114 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:24
ベティはそう言い残し、少女の部屋を後にした。



30分後、少女はようやく冷静さを取り戻した。
少女はベティに謝ろうと、部屋を出て管理人室へ向かった。



部屋にはベティがいた。



「ベティ、今日はごめんなさい…」

「マコト、イイノヨ トテモ辛イ事ガアッタンデショウ」



優しい言葉をかけられ、また涙が溢れる。
少女は今日起こったすべての事を残らず打ち明けた。
115 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:24


「ソウ…ソンナ事ガ…
 マコト、辛カッタワネ…」

「ぅぅ…ベティ、私、もう自信ないよ」

「マコト、アナタハ本当ハ強イ人 弱音ハ似合ワナイ
 ホラ、オ腹空イテルデショ、食ベナサイ」



ベティは日本のお菓子を差し出した。



「ベティ…これ…」

「私ノ妹、日本人ト結婚して、今日本ニイル
 日本ノオ菓子、ヨク送ッテクレル
 私ノ日本語モ、彼女ニ教エテモラッタ」

「これ…新潟の笹団子」
116 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:24


ベティの差し出したお菓子は新潟の銘菓・笹団子だった。
新潟出身の少女はこのお菓子に特別な思い入れがあった。



「これ…小さい頃によくお母さんが買ってくれたっけ
 ダンス教室の帰りには必ず一個…」



少女は笹団子を手に取り、一口かじる。



「おいしい…」
117 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:25
その様子をやさしく見守るベティ。



「マコト、ココデハ私ヲ本当ノオ母サンダト思ッテイイノヨ」

「うん、ベティ、ありがと
 何か全部喋ったら少し落ち着いたよ
 これ、貰ってもいいかな」

「モチロン 全部持ッテイキナサイ」

「全部食べたらまた太っちゃうよw」

「フフw 少シ元気ニナッタワネw」



少女は懐かしいお菓子を手に、部屋へと戻る。
ふと拓海の部屋が気になった。
118 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:25


「そう言えば、拓海まだ帰ってないのね
 ベティは何で心配してなかったんだろう」



人気のない拓海の部屋の様子を気に掛けながら部屋に入る。
ベッドに腰掛け、笹団子を見つめる。



「新潟のお母さん、お父さん、お姉ちゃん、ひとみ、それにおじいちゃんもおばあちゃんも…
 みんな私の事期待して待っててくれるんだよね
 私、その期待に応えないと…」
119 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:25
二つ目の笹団子をかじる。



「小学生の頃、ダンスレッスンの帰りに食べてた笹団子…
 まさかニューヨークで食べる事になるなんてね
 私、ちゃんと成長しているのかなぁ
 私のこんな姿を見て、お母さん怒らないかなぁ」



母の顔が目の前に浮かび、再び涙が溢れる。
120 :聖夜の舞姫 第七話 『郷愁』 :2006/11/01(水) 01:25


「ねぇ、お母さん…また子供の頃のように叱って欲しいよ…
 『泣いてばかりいないで、顔上げて』って…
 『麻琴は強い子なんだから、泣いちゃダメ』って…

 ああ…ダメだ…また泣いちゃったよ
 私って、相変わらず泣き虫だよね…お母さん…
 あの頃と、何も変わってないね…」



少女は一人泣いたまま深い眠りについた。
夢の中では母親の温かい腕に抱かれていつまでも泣いていた。
121 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:26







第八話 『好転』






122 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:26


朝6時。

どんな事があっても少女はこの時間に目が覚める。
例え夜中の2時に寝ようが、朝6時にはぱっちり目が覚める。
子供の頃からそうだったので一種の特異体質なのだろう。



ボーっとする頭を持ち上げ、ベッドから起き上がる。
ふと、昨日の衣服のまま着替えていない事に気がついた。



嫌な思い出のあるこの服は当分着る事は無いだろう。
そう思いながら少女は服を脱いだ。
パンツは大事な部分が染みで汚れていた。
123 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:27


「こんなに濡れたんだ…」



少女は忌まわしい思い出のある下着を脱ぎ捨て、脱衣カゴに入れる。
新しい下着を身につけ、下着姿で衣装ダンスを見回す。



「そう言えば、服も買わなきゃ
 ニューヨークならカッコいい服もいっぱい売ってるだろうし
 キャシー、いつが暇かな?」



気を紛らすように別の事を考えながら、衣服を選定する。
今日は無難なストロベリーフィ−ルズの白のブラウスとデニムに落ち着いた。
124 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:27


「あ、そうだ
 今日はダンススクールに行くんだった
 レッスン着も持っていかないと」



モー娘。時代から使っているジャージをかばんに入れ、部屋を出る。



アパートを出てバスストップへ向かう。
バスに乗り込み、いつものように考え事をする。
このようにバスの中で考え事をするのが少女の癖だった。
125 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:27


「そういえば拓海、昨日は部屋に戻ってなかったみたいだな
 何かあったのかな…ちょっと心配だよ
 てゆうか人の心配するより自分の事を考えなきゃね
 拓海は遠いコロンビアで頑張ってるんだから

 んー…これからは帰りにダンスレッスンがあるから、昨日の痴漢にはもう会わないだろうな…
 キャシーは今日どんな服着てくるだろ…
 小林君にはちゃんとお礼言わないとね…」



取りとめもない事を考えているうちに、スクールに到着した。
126 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:27


教室内が何だか騒がしい。
少女が教室に入るとキャシーが少女に飛び掛ってきた。



「マコト、大ニュースやで!!!!」

「え?な、何?」

「しっかり聞いてな〜
 あんな、あそこに座ってた村上って子いたやろ? 知っとるか?」



一瞬昨日の記憶が蘇り、少女の顔が曇る。



「あ…う、うん…」
127 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:27


その様子を気にも留めず、キャシーが興奮気味に続ける。



「あの子な、退学になってしもたん」

「えーーーーー!!!!何で何で?」

「理由は分からへん…でも今みんなでその事を話し合ってたところや」

「そうなんだ」

「あの村上ゆう子はな、この学校一のワルで今までも何回か先生たちに迷惑かけとったんや
 万引、カツアゲ、暴力事件、何でもアリや
 特に新入生にはキツい事しよってたみたいやで マコト、大丈夫やったか?」

「う、うん…」

「まぁはっきりとした理由は分からんがな
 噂によると、どうもトイレで…その…男とHしよってたみたいなんや
 あくまで噂やけどな でもあの子ならやりかねへん」

「…そっか、分かったよ
 でもキャシー、あなた本当に日本語上手いのね 
 “カツアゲ”なんて言葉知ってるフランス人、あなたくらいのものよw」

「何や、マコト 大ニュースなのにあっさりしとるんやなw
 そんな事どうでもええやんかw」
128 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:28


少女は内心複雑だった。



自分の脅威となる人物がいなくなったのは嬉しかった。
しかし、自分をいじめていた本当の理由が分からずじまいなのがいまいちすっきりしなかった。
自分が知らないところで誰かの恨みを買っているのかと思うと、何だか心が痛んだ。



腑に落ちない気持ちのまま座席に着く。
隣には既に小林が着席していた。
教師が来るまでまだ20分ほどある。
129 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:28


「小川さん、おはよう」

「あ、小林君、おはよう」



小林が小声で囁く。



「(どうやら上手くいったみたいだねw)」

「(うん、小林君のおかげだよ ありがとう)」

「(俺は小川さんが笑顔になってくれただけで嬉しいよ
  やっと元気出たみたいだね)」

「(う〜ん、私、元々元気キャラなんだけどなw
  初日に色々な事が重なってちょっとブルー入ってただけだよ)」

「(そっか、それならよかった 小川さんの笑顔は本当に癒されるよ)」

「(デッヘッヘ あんま褒めんといて下さいよ〜)」

「(ハハハw (本当に元気そうだな 良かった))」

「ところで、小林君の携帯番号教えてよ」

「ああ、ハイ 小川さんのは?」

「私のはコレ、ハイ」
130 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:28


互いの携帯番号をデータに入れる。



「そう言えば、小川さんって彼氏とかいるの?」

「いる訳ないじゃん 友達ならいるけどさ
 日本にいる頃からおおっぴらに恋愛とかやりにくかったからさ」

「そっか、やっぱアイドルって厳しいんだね」

「ま、ウチの事務所は放任主義みたいだったけど
 調子に乗りすぎて脱退させられちゃった人はいたけどねw」

「ハハハw 矢口さんねw」

「小林君、意外と詳しいのね」

「あ、いや…まぁね」

「なんやなんや、何の話や?」
131 :聖夜の舞姫 第八話 『好転』 :2006/11/01(水) 01:28


キャシーが会話に割り込んできた。



「キャシー、君はもうちょっとデリカシーを持てよ
 いいところで人の会話に割り込んでくるな」

「かったいなぁ、これだからマジメ君はイヤやわ」

「キャシー、今日の宿題はやってきたのか?」

「え?あ、しもた!すっかり忘れてたわ〜!
 ノート見せてぇな、頼むわ」

「嫌だね」

「そんな事言わんと、なぁ」

「キャシー、私が見せてあげるよ」

「ホンマか? さっすがマコトは違うわぁ
 どっかのお堅い頑固者とは大違いやね」

「キャシー、君って奴は…」

「ふふふw面白ーいw」



少女は二人のやり取りを笑顔で見ていた。
心の中のわだかまりが少しずつ解けていくような気がした。
132 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:29







第九話 『夢への階段』






133 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:30


学校を終え、ダンススクールへ向かう。
ダンススクールは学校から少し離れたニューヨーク市ブロンクス区にあった。



距離があるので地下鉄を利用するしかなかった。
初めて利用するNYの地下鉄。
少女は興奮を隠し切れずにいた。
134 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:30


まず、学校の最寄り駅であるWoodside駅に入る。
拙い英語で2$のメトロカードを購入する。
この2$で路線さえ間違えなければNYのどこへでも行ける。



北へ行くので、まず“Uptown”と書かれた改札を探す。
機械にカードを通し、駅のホームへと向かう。
来た電車に乗り込む。
車内は日本のそれとは違い、広くてさっぱりとしていた。



Times駅でBroadway-7-Avenue線に乗り換え、終点のVan-Cortland-Park駅へ到着する。
135 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:30


完璧だ。
次第にNYの街に慣れつつある自分を実感する。



ブロンクス区の街並みを抜け、地図に書かれたダンススクールへと急ぐ。
そのダンススクールは雑居ビルの5階にあった。
136 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:30


James&Pat Dance School――――

生徒数20名。創立1910年。
歴史あるこのスクールからは様々な有名ダンサーが誕生していた。



このスクールを選んだのは少女自身ではなく、少女の師匠・夏まゆみだった。
この手の情報に疎い事務所に変わって彼女が提案し、決定された。
したがって、このスクールがどのような場所であるかは彼女のみが知っていた。
137 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:30


少女はスクールのドアの前に立ち、夢へと一歩踏み出した自分に感動していた。
小さい頃からの夢――――全米で最大の劇団、Hebrew Actors' Union(HAU)に入り、
                 プロのダンサーとして大勢の観客の前で演技を披露する事。



その壮大な夢へとつながる確実な一歩を今、確かに踏み出そうとしていた。



少女の脳裏に子供の頃の思い出が蘇る。
138 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:31



           〜


139 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:31


1995年8月28日、夏休み終盤。

新潟のとある家庭。
その家庭は、近所でも有名な美人三姉妹がいることを除きごく平凡な家庭だった。



平凡な家庭の平凡な夕飯の一時。
美人三姉妹が父親にねだる。



「ねぇ、おとーさん、夏休みももうすぐ終わりだよー」

「今年もどこも連れてってくれないのぉ」

「どっか行きたいよぉ〜、ねぇ、ねぇ」
140 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:31


毎年仕事で忙しい父親は娘たちを後楽へ連れて行く余裕がなかった。
父親は申し訳なさそうに娘たちに背を向け、黙って夕刊を読んでいた。



「コラコラ、あなたたち、お父さんは忙しいんだから
 迷惑かけちゃダメよ」



母親がたしなめる。
娘たちがすかさず反論する



「だぁってぇ〜ウチだけだよ、どこも行ってないのぉ〜」

「お母さんだって遊びに行きたいって思ってるでしょ〜」

「お母さんも頼んでよ〜」



痛いところを突かれ、母親が戸惑う。
141 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:31


「う…う〜ん…ねぇ、お父さん…」



父親が新聞を机に置き、立ち上がる。



「よし、今年はみんなで遊びに行こう!」

「えっ!本当に〜!?」

「やったぁ、やったぁ、おとーさん、大好き〜!」

「わーい、わーい!」

「遊びに行くって…あなた、本当に行けるの?」



母親が心配そうに尋ねる。
142 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:31


「ああ、今年はまだ有給もとってないし」

「でも、どこに行くつもり?」

「実はな、同僚の山下さんが演劇のチケットをくれることになっているんだ」

「演劇?」

「ああ、何でもアメリカの大きな劇団が県民会館に来るらしい」

「県民会館か、遠いね」

「ま、せっかく行くんだから、ちょうどいいだろう」

「ねぇ〜どこに行くのぉ〜」

「演劇を見に行こう!」

「演劇ぃ〜?」

「え〜 ひとみ、遊園地がいい〜」

「麻琴も遊園地がいいよぉ〜」

「文句を言うなら行かないぞ」



父親の言葉に娘たちは黙り、しぶしぶ納得した。
143 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:32


8月31日、夏休み最後の日。



一家は自家用車で新潟市へと向かう。
北陸の大動脈R8、角栄ロードR116、日本一の交通量を誇る新潟バイパスを通り、新潟県民会館に到着した。
娘たちは初めての都会に興奮する。



「わぁ〜すごーい!高いお家がいっぱいだ〜」

「違うよ、麻琴 あれはビルって言うんだよ」

「コラコラ、みんなお行儀よくしなさい」

「ま、いいじゃないか 今日は楽しもう」
144 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:32


一家は新潟県民会館に入り、開演の時を待つ。



「ねぇ、あなた、凄い人ね」

「ああ、聞いた事もない劇団だったから心配だったんだけど…これは期待できそうだな」

「チケット高かったんじゃないかしら」

「これは山本さんに感謝しないとな」
145 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:32


開演のブザーが鳴り、幕が上がる。



開演と同時に何千人もの観客が舞台に惹き込まれて行った。
一点のズレもない完璧にシンクロしたダンス、感情のこもったよく通る歌声。



そのショーはさすがはアメリカ一と納得させるものだった。
言葉は分からなかったが、後ろの特設モニターに日本語訳が映し出されていた。
おかしなシーンでは観客が笑い声を上げていた。



ただ、子供たちには少し難解すぎる部分があった。
子供たちはすっかり寝てしまっていた。
一人を除いて。
146 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:32


「あなた、子供たち寝ちゃってるw」

「ああ、まだちょっと早かったかな」

「アラ、麻琴は凄く真剣に見てるわね」

「…麻琴のあんな真剣な目は初めて見るな」

「あなた、これは凄い収穫だったかもね」

「ああ、つくづく山本さんには感謝しなきゃな」
147 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:32

公演が終わり、一家は家路に着く。



「ね〜おかーさん、ひとみよく分からなかったよ〜」

「百子も〜 麻琴も不満でしょ〜」

「お姉ちゃん、私凄く感動したよ」

「え〜」

「凄いダンス…あの人たち、舞台の上で凄く光ってた…
 ダンスの学校へ行けば、私もあんな風に踊れるようになるのかなぁ…」



その時、7歳の麻琴の目は確かな輝きを放っていた。
前部座席で聞いていた両親が小声で囁く。



「フフw 麻琴にとっては忘れられない一日になったようね」

「ああ、山本さんには後でなにか贈っておこう」
148 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33



            〜


149 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33

少女は緊張の面持ちでドアを開ける。



30m四方程度の小ぢんまりとした教室。
左手の壁には一面に鏡が貼り付けられ、生徒たちが一心不乱に踊っていた。



少女は生徒たちのキレのあるダンスに感動した。
一人一人が真剣そのもので、そして自分よりはるかに上手かった。



麻琴が見入っていると一人の女性が近づいてきた。
150 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33


「Sorry,Are you a...」
[ごめんなさい、どちら様で…]

「あっ、そうか招待状渡さなきゃ」



少女は招待状をその女性に手渡した。



「I see. Makoto,nice to meet you. I'm Patrick・McLearn.
 Please call me Pat.」
[分かりました マコト、初めまして パトリック・マクリーンと言います
パットって呼んでね]
151 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33


パトリック・マクリーン、38歳。

ダンスインストラクターであり、ここの責任者。
ブロンドの髪が特徴的なカナダ系アメリカ人。
ダンスウェアの間からは、引き締まった腹筋が見えていた。
その顔は責任者らしい威厳のある表情に満ちていた。
152 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33


少女が自己紹介する。



「I'm Makoto Ogawa.」



挨拶もそこそこに、パットは早速少女の指導に入った。



音楽にあわせ、『ワン・ツー・スリー』の声と共にゆっくりと手本となる振り付けを見せる。
かなり複雑な振り付けのようであった。
153 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:33


「Your turn.」
[あなたの番よ]



促され、少女は先ほどの振りを再現して見せた。
パットはあの複雑な振りを一度で覚えてしまった少女に驚きを隠せなかった。



「OK.Your skill is so high. Come and join them.」
[よろしい 技術は十分高いわ 彼らのチームに入りなさい]



パットは少女を上級生グループに入れ、レッスンを開始した。
154 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:34


さすがに上級クラスは厳しかった。
振り付けも、先ほどのテストのものとは比べ物にならないほど複雑だった。
それでも少女は何とか食らいついていった。



レッスンは休憩を交えて3時間に及んだ。
さすがに少女は疲れ果て、へとへとになって教室を後にした。



ただ、少女は悪い気分ではなかった。
心地よい疲労感の中、『NYで自分のダンスが認められた』という快感に浸っていた。
帰りの電車では自然と眠りに落ちた。
155 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:34


自宅アパートに到着する。



外からアパートの三階、少年の部屋を見るが人のいる雰囲気がない。
明かりもついていなかったし、眠っているにしても洗濯物が干してなかった。
少年はまだ帰宅していないようだった。



時刻は24:00を回っていたが、ベティには事情を知らせていたため何事もなかった。

156 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:34


「ただいま、ベティ」

「マコト、オ帰リナサイ 遅クマデ大変ネ」

「ねぇ、ベティ、拓海…沢田さんってまだ帰って来ないの?
 昨日も帰ってなかったみたいだけど」

「“タクミ”デ分カルヨ アナタタチノ関係ハ、タクミカラ聞イタヨ
 デ、タクミハネ、大学ノ研究ノタメ、ズット帰ッテ来ナイヨ
 シバラクノ間、大学ノ宿舎ニ泊マルッテ」

「えっ?そうなの?しばらくってどれくらい?」

「年内ハ、無理ダッテ」

「そっか…コロンビアまで通うのって大変だもんね…」

「エ? コロンビアマデ通ウ?」

「コロンビアって南米の国でしょ?私ちょっと調べたんだ
 そこまで通うのは飛行機使わないといけないから、大変だよ」

「???」

「ありがとね、ベティ じゃぁ、おやすみ」
157 :聖夜の舞姫 第九話 『夢への階段』 :2006/11/01(水) 01:34


少女は自分の部屋へと戻って行った。



「フフフw アノ子勘違イシテルネw 本当ニ、面白イ子w」



この勘違いが後にとんでもない事になろうとは、この時点ではまだ誰も知らなかった――――
158 :どら :2006/11/01(水) 01:45
今日はここまでです

これからまだまだ波乱万丈のストーリー展開が待っています
モー娘。メンも絡んできます

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