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真希 Theブラスター ☆

1 :へなちょこ#maki510mikiaya :2005/05/26(木) 03:23
ぼく×後藤 藤本 松浦
なんちゃってSFアクションです。

某所の『賞金稼ぎスレ』を見たときから頭を離れない世界があって、
ここでお世話になろうかと思った次第です。

メインは後藤で、まっとうも絡めたいなー、とは思ってます。
エロも萌えもなさそうですが、愉しんでもらえれば幸いです。
15 :名無飼育さん :2006/06/27(火) 01:21
「さてと、そこのお二人さん」壮年紳士が真希さんとぼくに言った「今夜の宿は決まっているのかな?
良ければうちでもてなすが?」
 壮年紳士はやけににこやかだった。
 ぼくは真希さんに目を向けた。小首を傾げた真希さんの表情が「どうする?」と聞いていた。
 真希さんの貌に乗せられて、ぼくはにや、とわらって言った。
「じゃあ、ひとつご厄介になりますか」
「よろしくお願いしまあ〜す」
 ぺこりと腰を折って真希さん。美貴さんをちらと見ると、まだ口元に笑みを浮かべたままだった。
「ま、そういうことだ。客を採りそこなったな」
 壮年紳士が階上の亜弥さんに言った。
「ま、いんじゃないの?せいぜい犬の肉でもご馳走してもらえば?」
 亜弥さんのふてくされた声が降ってきた。
「残念ながら、猫派でね」
 言って壮年紳士はげらげらと笑った。
 真希さんを見ると、唇をアヒルのように突き出していた。眼が笑っていた。
 美貴さんがつまらなさそうに壮年紳士の隣に戻った。
 ちっこいのとマッチョ2号がマッチョ1号の死体を両脇から担ぎ上げた。

「うちの車には乗っていかんのか?」
 壮年紳士が言った。ワゴンのエア・ラフトの後部にマッチョ1の死体が放り込まれていた。
「ぼくにはコイツがいるんで」
 ぼくは両眉を上げて「せっかくですが」の意を表しながら、中古でぼろぼろの
エアバイクのタンクをぺちぺちと叩いた。
 近くのオアシスで注水したので、まだタンクの水(素は満タンに近い音を立てた。
「じゃあたしもこっち乗ろっと。名無くん、よろしく!死体は怖くってさ♪」
 真希さんがハンドバッグでも選ぶように言ってタンデムにまたがった。なんだか嬉しかった。
16 :☆1.3_1 :2006/06/27(火) 22:09
 壮年紳士―クラントン氏の家は、小さな街から、ところどころの背の高い雑草以外なにもない荒地を
エア・ラフトで15分ほど行ったところの、ひろびろと白い木の柵で囲まれた緑の丘台の上にあった。

 門から屋敷の前まで、エア・ラフトでゆうに30秒かかっていた。
 門柱に、気になるプレートがかかっていた。共和国委任大使館のプレートだった。

「はぁ〜、お金持ちって、いろんなとこに居るんだねぇ〜」
 屋敷の前、玄関、噴水前の車回しで、ぼくのエア・バイクのタンデムから降りながら真希さんが言った。
「敷地全体を緑化してるとはね」
 ぼくはジェットヘルメットを脱ぎながら言った。
 真希さんのやたらと大きな胸の感触が背から離れるのがさびしい気がしていた。
「まあまあ、他所の金持ちの真似をしてみただけでね」
 クラントン氏が、今にも うひょひょ と笑いだしそうな笑顔でぼくに言った。

 玄関が内から開き、中年男性が一人出てきた。

 ヤツだった。

 真希さんの左手が、右腰のコルトの銃把に跳んだぼくの右の二の腕を掴んだ。

 ヤツがにやりと笑って言った。
「よう、また会ったな。酒場じゃいいとこを邪魔してくれたな」

「イリッチ・ラミレス…共和国領に…」
 真希さんが、かみ締めた歯の間から言った。

 ぼくの腹の底に、言いようの無いどす黒いものが渦巻いていた。
17 :名無飼育さん :2006/06/27(火) 23:30
>>12


×→>〜迷彩のパンツとジャングルブーツに〜
○→>〜モスグリーンののパンツとジャングルブーツに〜

にしましょう
18 :☆1.3_2 :2006/06/29(木) 21:28
「どうする?ここで抜くか?」
 ヤツがにやにや笑いながら言った。

 ぶっ殺す!!

 が、真希さんの手が、コルトを抜かせてくれなかった。
「国際的な問題を背負えるほどあたしたちの背中は大きくないみたい。
クラントンさん、今日のところはやっぱりおいとまします」
 真希さんがぼくの腕を掴む手に力を込めて、
なにやらにやにやとむかつく笑みを浮かべたクラントン氏に言った。
 引き下がるしかなかった。声も出なかった。

 殺す!

 それしか頭に無かった。
 しかし、今のぼくの一挙手一投足に、連邦と共和国の全面戦争の危機が懸かっていた。
 しかも連邦は、全ての諸外国が援護してくれるとわかっていても、反撃するのかわからない内政にあった。

 全てを背負って抜くには、右腰のコルトは、重すぎた。
 ぼくは大きく息を吐いて、全身の力を抜いた。その場にくず折れてしまいそうなほど、膝の力が抜けた。

「じゃっ、帰ろうか、名無くん?」
 真希さんが全てをとろかせるような笑顔で言った。ぼくはバイクにまたがり、メットをかぶった。

「なあ坊主」ヤツがぼくにしゃあしゃあと言った「前にどこかで会ったか?酒場よりずっと前だ」

 殺す!

「ぼくはお前に会ったことは無い。けどお前はぼくを知っているかもしれない」
 ぼくは、なんとか、それだけ言った。
 ヤツは目を細め、いぶかしげにぼくを見た。

「イリッチはわが国で刑に服すると誓っている。
なにがあったにしろ、安心してくれ。若いの」
 クラントン氏が、ガキのように無邪気に言った。

 ふざけるな。そのクソ野郎は、ぼくが、この手で、確実に、殺す。
19 :名無飼育さん :2006/06/29(木) 22:11
「イリッチ・ラミレスと何があったの?尋常な殺気じゃなかったよ?」
 真希さんがバイクのタンデムシートから、耳元に口を近づけて言った。
 腰に回された腕の感触、背に押し付けられるやわらかで大きなおっぱいの感触、
耳に感じる吐息にとろけてしまいそうだった。
 が、ヤツの存在はそれを許してはくれなかった。

「ヤツらに親父を殺された。無口で偏屈な世捨て人だったかもしれないけど、
ぼくにはかけがえの無い、いい親父だった。ぼくが留守をしている間に押し込まれて殺された。
ぼくは親父の無念を晴らすため、ヤツらを皆殺しにすると誓った。
あいつらは皆賞金首だった。ぼくは喜んで賞金稼ぎになった。あのクソが最後の一人だ」

 ぼくは溜まった澱を吐き出すように言った。
 どうしても、掃き捨てるような口調になってしまっていた。

「そうなんだあ〜。つらかったんだね…」
 真希さんが、ぼくを抱きしめるように腕に力を込めた。なぜか涙がこぼれそうになった。
「ラミレス、名無くんに気づいたみたいだよ?右後方、エアラフト2台」
 真希さんが言って左手首の、賞金稼ぎは全員身につけているインタセプタのレコードボタンを押した。
「名無くん、衛星にコンタクトして。正当防衛を記録して、返り討ちにしてやろ?」
 明るい声だった。思わずぼくもにや、とわらってインタセプタの記録をオンにした。

「了解。皆殺しにしてやる!」
 ぼくの声も自然と大きくなった。
「じゃ、左前方の茂みの入れて。あたしアンブッシュとか強襲とかのが得意なんだ♪」
「了解!」
 弾むような真希さんの声にぼくは応えた。真希さんになら、背中を預けられる。そんな気がした。
 ぼくは、真希さんが大好きになった。
20 :へなちょこ :2006/07/03(月) 20:51
居るとは思えないけど、読んでくれてる人いたらちょくちょくごめんなさい

名無がバイクに乗るときメットかぶるって描写は忘れてください

彼は基本的にいつも、茶色い古ぼけたテンガロンハットをかぶっています
バイクで飛ばしても、なぜか次元の帽子並みに外れません
21 :1?4_1 :2006/07/03(月) 21:45
 真希さんの言った"茂み"は、森と言うべきだった。
 それは禿山の裾野に、指し渡り1キロほど、奥行き500メートルほどで拡がっている。
 木々は平均して10〜15メートルの高さだろうか。立派なものだ。
 ぼくはその森の真ん中ら辺に向かって、中古のエアバイクを、夕暮れ近い荒野の上で飛ばしていた。

 右のバックミラーを覗くと、真希さんの言う通り、こちらに向かっているセダンのエアラフトが2台映っていた。
「MAX10人。これだけの時間で追って来たってことは、5、6人てとこかな?」
 ぼくは森を眺めたまま真希さんに言った。
「そんなとこだろうね。ね、名無くん、メンバーズリンクの仕方とインカムの使い方、わかる?」
 真希さんがぼくの右の耳元に口を寄せて、心地よい声で聞いた。吐息が耳たぶにかかった。
「ごめんわからない。使ったことがないんだ」
 ぼくは少し首をひねって応えた。横目の視界に真希さんの顔が拡がった。
 真希さんの顔は、夕陽を受けて、凛々しく、美しく見えた。
「じゃあいいや。茂みに入ったらスピード落として」
「何するの?」
「森の入り口で飛び降りるの。名無くんは適当に奥に進んでバイクを停めて」
「了解。ぼくが森の奥へ奴らを引き寄せて、真希さんと挟み撃ちにするわけだ」
「ご名答。よろしくね!」
 明るく言って、真希さんはぼくの腰を強く抱き、胸をぼくの背中に押し付けた。
 ちらりと、こうやって今日まで生きてきたんだとは思いたくないな、と思った。

「じゃ、行くね!」
 森に入ると真希さんが言って、さほどスピードも落とさないうちに飛び降りた。
 バックミラーをちらりと見ると、真希さんは木々にぶつかるでもなく、下生えの茂みに転がり込んだ。
 そのまま木々の間を100メートルほど直進すると、ぽっかりと空いた半径5メートルほどの空き地に出た。
 空き地を越えて奥側の茂みにバイクを隠し、空き地に面した木の幹の陰に立った。

 さあ来い、クソ野郎ども。皆殺しにしてやる。ぼくは両手で、ベルトに挿した2丁のレイガンを抜いた。
22 :1☆4_2 :2006/07/03(月) 22:44
 ぼくはしゃがんで下生えの中を左側へ移動した。

 不意に森の外で爆発が起こった。

「なんだ?!」
 左に回っていた奴らが振り返った。動く影3つ。距離7、8メートル。
 ぼくは立ち上がり、人影に向かって両手のレイガンを連射した。
 脇の2人に命中、2人はターンを打つようにくず折れた。
 真ん中の奴がこちらを振り向ききらないうちに集中砲火。奴の身体でレーザーが反射した。

 リフレクトクロース!

 ぼくは右後方に身をよじって地面に倒れこんだ。さらに右側に地面を転がる。
 ぼくの動きをトレースするように地面にレーザーが撃ち込まれた。
 地面の弾痕がしゅうしゅうと紫煙を上げる。
 ぼくは転がり続け、太い木の幹にぶつかってあたふたと陰に入った。

 右視界にも迫る人影が10メートルを切っている。地面に伏せる。
 レーザーが頭上を薙ぐ。オゾン臭。両手のレイガンを撃ちまくってけん制。3人の人影が茂みに沈む。
 身体を反転させレイガン連射。左側の生き残りは5メートルの距離に来ていた。レーザーは反射される。
 腹這いの体勢から必死で跳ねた。寝転がっていたところへ左の奴のレーザー、紫煙。
 視界の隅で、右側から迫ってくる3人が立ち上がった。注意がぶれる。

 空き地側から、ブラスターの橙色の熱線が迸った。
 左側のレフレクトクロースの奴の首から上が吹き飛ぶ。

 ぼくはレイガンを手放して立ち上がった。左掌が右手のコルトの撃鉄を叩き起こし、右人差し指が引き金を絞る。
 4連撃。右側から来ていた3人のうち手前の2人がはじき飛ぶように向こう側に倒れた。
 3人目が一瞬停まった。レイガンのレンズが、ぼくか空き地か迷った。

 空き地から、真希さんのハンディアサルトブラスターの熱線が、そいつの胴体のど真ん中をぶち抜いた。
23 :1☆4_2(完全版) :2006/07/03(月) 22:45
 陽の落ちかけた薄暗い森の中、6人の人影が動いていた。
 3人3人2組の影が、森の入り口からこちらを一直線に目指して近づいてきていた。
 ぼくは待った。
 奴らは空き地の前まで来て、空き地を迂回するように3人ずつ左右に分かれた。
 真希さんはバイクの左側へ、今のぼくからは右側へ飛んでいた。
 ぼくはしゃがんで下生えの中を左側へ移動した。

 不意に森の外で爆発が起こった。

「なんだ?!」
 左に回っていた奴らが振り返った。動く影3つ。距離7、8メートル。
 ぼくは立ち上がり、人影に向かって両手のレイガンを連射した。
 脇の2人に命中、2人はターンを打つようにくず折れた。
 真ん中の奴がこちらを振り向ききらないうちに集中砲火。奴の身体でレーザーが反射した。

 リフレクトクロース!

 ぼくは右後方に身をよじって地面に倒れこんだ。さらに右側に地面を転がる。
 ぼくの動きをトレースするように地面にレーザーが撃ち込まれた。
 地面の弾痕がしゅうしゅうと紫煙を上げる。
 ぼくは転がり続け、太い木の幹にぶつかってあたふたと陰に入った。

 右視界にも迫る人影が10メートルを切っている。地面に伏せる。
 レーザーが頭上を薙ぐ。オゾン臭。両手のレイガンを撃ちまくってけん制。3人の人影が茂みに沈む。
 身体を反転させレイガン連射。左側の生き残りは5メートルの距離に来ていた。レーザーは反射される。
 腹這いの体勢から必死で跳ねた。寝転がっていたところへ左の奴のレーザー、紫煙。
 視界の隅で、右側から迫ってくる3人が立ち上がった。注意がぶれる。

 空き地側から、ブラスターの橙色の熱線が迸った。
 左側のレフレクトクロースの奴の首から上が吹き飛ぶ。

 ぼくはレイガンを手放して立ち上がった。左掌が右手のコルトの撃鉄を叩き起こし、右人差し指が引き金を絞る。
 4連撃。右側から来ていた3人のうち手前の2人がはじき飛ぶように向こう側に倒れた。
 3人目が一瞬停まった。レイガンのレンズが、ぼくか空き地か迷った。

 空き地から、真希さんのハンディアサルトブラスターの熱線が、そいつの胴体のど真ん中をぶち抜いた。
24 :1☆4_3 :2006/07/04(火) 01:47
「こいつらこの辺でのさばってる山賊のようだなあ」
 わざわざ森まで来てくれたシェリフ――ウォルター・ブレナン翁が、手にした端末のモニターで
死体のDNA鑑定結果を見ながら言った。
 3人の若い助手は、森の外で燃えている、真希さんがぶっ飛ばした2台のエアラフトの消火と
森に散らかった6体の死体の回収作業に勤しんでいた。

「そこのクロースを着とる2人には賞金がかかっとるな。嬢ちゃんら、一日でいい稼ぎだ」
 首無しと、コルトの銃弾で倒れた2体の死体をあごで指し、愉快そうに続けてバンクユニットを取り出した。
 ぼくは左眉を跳ね上げて、にや、と真希さんを見やった。
 真希さんはえへへ〜とばかりに歯茎までむき出して無邪気にわらっていた。
「…ラミレスともクラントン邸とも、つながっているって証明はできんがね」
 ブレナン翁は薄く目を閉じて、両眉を押し上げながら続けた。

「今晩の宿はどうする?なんならウチのホテルで面倒を見てやってもいいぞ?鉄格子が気にならなけりゃな?」
 ブレナン翁の言葉に、ぼくは真希さんを見、左眉を上げ「どうする?まかせるけど?」の意を表した。
 勝手に、真希さんは一緒に居てくれるものと決め付けていた。
「お気持ちだけもらっときます。今日はあ、なんかなんかあ〜、星も良く見えそうだしい〜。
キャンプかなあ〜って。ね、名無くん?」
 真希さんが満面の笑みでぼくを見て言った。瞬間、無意識の期待で腹が締まり、胸が躍った。

 ブレナン翁と3人の仲間と共に、一旦街へ戻った。
 街に一軒の雑貨屋―ドラッグストア―で飲食物を買い込んで、亜弥さんの店に落ち着いた。

「やっぱり、来るよねえ〜?」と真希さん。
「多分」ぼくは応えた「関係者を全員殺す気なんろうね」
「でもさあ〜、なんかわかんないんだよねえ〜。なんでなのか…」
「やりかけた殺しを完全にしたいんじゃ無いのかな?」
「それだけでさあ〜、あんな――つかつながりわわかんないんだけど――手下を送り込んでくる?…
放っぽいといても、自分はすぐに共和国で自由の身になるんだし…?」
 真希さんは頤をつまんで天井の扇風機を見上げた。

「おっかえりぃ〜。やっぱウチ泊まる気になった?サービスするよぉ〜」

 亜弥さんが飛び切りに明るい笑顔を浮かべてぼくたちのテーブルにやってきた。
 黒か濃い緑を基調とした、銀の縁取りが派手に見える、重そうなドレスを着ていた。
25 :1☆4_4 :2006/07/04(火) 01:48
「あ、ああ〜、せっかくなんだけど、キャンプにするわ」
 真希さんが言って、彼女のブラスターが空けた壁の穴をちらりと見た。
「え?あぁ〜、なぁ〜に、気にしない気にしない!もう済んだことじゃなぁ〜い」
 亜弥さんが変わらず明るい笑顔と口調で言った。
 店への損害は、賞金首の持ち金と賞金の一部(を二人で折半)で補填済みだった。
「でさ、キミ凄い早撃ちなんだって?どこで習ったの?」
 亜弥さんが不意にぼくを振り向いて言った。眼がまるく、大きく見開かれていた。
「お、親父に習ったんだ」
 ぼくはなぜかどもって応えた。
「そぉなんだぁ〜。お父さんて有名なガンマンだったり?」
 眼を見開いたまま、亜弥さん。
「いや。…ヤツに殺されたときは、ただの農民だった。けどこいつは残してくれた。
だからぼくは賞金稼ぎになった」
 ぼくは言って、懐から、首に架けたインタセプタを取り出した。
 瞬間、亜弥さんの眼が鋭く尖り、また見開かれた。
「そうなんだぁ〜。じゃ、お父さんのインタセプタから新規で登録したんだ?」
「してないよ。普通に使えたんでそのまま使ってる」
 なぜかぼくは素直に応えていた。真希さんに聞いてもらいたかった。
「へえ〜、そんなことあるんだねえ〜」
 真希さんも眼をまるくして、ぼくのインタセプタを見つめた。

 その後しばらく亜弥さんと当たり障りの無い世間話をした。
 陽も落ち、通りも暗くなって、店の客も増えてきたので、礼を言って立ち上がった。
 いいと言ったのに真希さんが自分ひとりのカードで払い、店を出ようとしたぼくたちに
亜弥さんがささやくように言った。

「夜明けまでは何も無いよ。夜明け前に、ラミレス本人が手下を連れて、自ら出てくる」

 ぼくは振り返って右眉を上げ「なんだって?」の意を表した。
 真希さんはにっこり笑って「そうなんだあ〜、あ〜がとまっつー」と言った。
26 :亜希 :2006/07/07(金) 19:09
はじめまして〜
なんだかハマってしまったのでレスつけます
かなり自分的に好きな内容なので続き待ってます
27 :へなちょこ :2006/07/07(金) 23:53
>>26
うひょー、レスありがとうございます!

ミスは多いし、書きながら次考えてるし、半年放置したりしてるし、
ハロメンは影薄いしともうめちゃめちゃですが、楽しんでもらえれば
こちらも嬉しいです!

ミスとか見つけたら教えてください。すぐ謝りますw
28 :1☆5_1 :2006/07/07(金) 23:54
 キャンプ地は、夕方山賊どもとやりあった空き地よりずっと奥、ほとんど禿山の麓の小川のほとりにした。
 真希さんとぼくは、3,40センチの微妙な距離で、並んで地面に腰を下ろしていた。
 ぱちぱちと音を立てる焚き火と、炎の向こうに見える小川を、眺めるとも無く眺めていた。
 森に包まれて、街で買い込んだ食糧を腹に収め、ぼくはすこしうとうとしていた。

「結構食べちゃったね」
 不意に真希さんが言った。真希さんを振り向くと、実に幸せそうににいっ、とわらっていた。
「お腹に実弾食らったら、雑菌拡がって長くは無いね」
 ぼくもつられてわらいながら言った。
「まあ〜、それはそれでえ〜って感じかなあ〜」
 真希さんは実ににのんきに言って笑った。
「でもさあ〜、名無くん、これが終わって、お父さんの敵討ったらどうする?賞金稼ぎ続ける?」
 真希さんが続ける。
「そうだなあ、どうするかなあ」
 ぼくは、なんとなし右眉を上げて「困ったなあ」の意を表しながら応えた。

 3秒ほどの沈黙。

「あ、あのさ、組もうよ。あたしたち、上手くやっていけるよ、きっと!」
 なにやら勢い込んで、こちらに身をねじって真希さんは言った。
 真希さんの右手の指が、地面についたぼくの右手の甲に触れ、すぐにびくりと離れた。
 ぼくは右肩越しに真希さんの方を振り向いた。
 真希さんの瞳が、焚き火を映してきらきらとひかっていた。どこか、真剣な色を湛えていた。
 ぼくの胸の中で、何かが、大きく跳ねた。

 そのとき、隠そうともしない足音が、森の中から聞こえた。入り口の方から、こちらに近づいていた。
29 :亜希 :2006/07/11(火) 18:04
更新乙です!
続き楽しみ〜♪
30 :1☆5_2 :2006/07/12(水) 00:49
 ぼくたちは、そいつが近づいてくるのをまったりと待った。
 ぼくは焚き火の火で葉巻に火をつけて、芳醇な香りを胸いっぱいに吸い込み、吐き出した。

 小川の向こう側、暗い木々の影の中から、亜弥さんが現れた。
 髪をひっつめ、ジャングル迷彩の戦闘服を着、右腰のホルスターにレイガンをぶち込み、
首からストラップでアサルトレイライフルを架け、肩にでかいレールガンを担いでいた。

「やほ。お二人さん♪イイとこ邪魔したんじゃなきゃいいけど?」
 亜弥さんはにこにこ笑って言った。
「んぁ〜、すっごいイイとこだったのにい〜」
 朗らかに真希さんが返す。ぼくも亜弥さんに右眉を上げ「ま、そんなとこでね」の意を表した。
「ごぉ〜めんごめん!でもさ、あたしも仲間に入れてもらおうかなぁ〜とか思って」
 言って亜弥さんは左耳をこちらに向けた。
 イヤリングにしたインターセプタの金属部分が、焚き火の灯りにきらりと光った。

「そっかあ〜、まっつーもラミレスを追ってたんだねえ〜」
 真希さんがのほほ〜んと言った。3人で焚き火を囲んでインスタントコーヒーを飲んでいた。
「そそそ。ん〜てかちょっと違うカナ?」
 亜弥さんは言って、ちらりと意味ありげにぼくに微笑みかけた。
 ぼくは短くなった葉巻の煙を大きく吸い込んで大きく吐き、ミルクも砂糖も無しのコーヒーを飲んだ。
「なんか良くわかんないけどお〜、でもなんでラミレスの動きがわかったの?」
 両手でアルミのマグカップを包むようにして持った真希さんが小首をかしげる。
「さてぇ〜、なんででしょねぇ〜♪」
 楽しくてたまらないように亜弥さんが言った。
 なんとなくつられて、真希さんとぼくはにっこり笑った。なんとなし和やかな沈黙が落ちた。
 葉巻が持つ指が火傷しそうにちびて、ぼくは吸い残しを焚き火にくべた。

 その後しばらく緊張感もなくだらだらと談笑し、お互いに「じゃ」と言い合い、一眠りした。
 すっきりと眠りから覚めたとき、東の空がうっすらと、紫色に明るみ始めていた。

 さあ来いクソ野郎。決着をつけようぜ。
 この世には、悪をもって成す正義があるってことを、教えてやる!
31 :へなちょこ :2006/07/12(水) 01:26
>>29亜希さん
うおっと、どうもです!


あとすみませんひとつミス発見しました。

>>25
×:「でさ、キミ凄い早撃ちなんだって?〜
○:「でさ、キミ凄い早撃ちだよね?〜

松浦は一度名無の抜き撃ちを見ていますねorz
32 :1☆5_3 :2006/07/14(金) 00:29
 ぼくは、「友達のだけど」と言いつつ亜弥さんがくれたSIGと2本の予備弾装をヒップホルスターに、
'45コルトのオートマティックと予備弾装2本をショルダーホルスターの両脇にぶち込んで、
キャンプ地にぼんやり座っていた。
 東の方からうっすらと光がさしつつあったが、まだ空は暗かった。

『後藤、配置に着いた』
 メンバーズリンクとレコードをオンにしたインターセプタを介し、
インコムから骨振動で真希さんの声が聞こえてきた。
『了解。松浦少し待って』
 続いて亜弥さんの声。
「名無。変わりなし。見えていないのかも」
 ぼくは言った。
『大丈夫っしょ。なんか名無くんが要みたいだから、寝ちゃだめだよ♪』
 亜弥さんの弾むような声が聞こえた。インコムから伸びた、左目を覆う半透明のバイザーの隅で
亜弥さんのインコム/バイザーが取得した映像が小さく揺れていた。
「了解。葉巻が吸いたくなってきた」
 苦笑しながら返す。
『いいんじゃないかな?名無くんには目立ってもらった方がいいし』
 笑顔が見えるような声で真希さん。真希さんの映像モニタは、下生えの間から暗い森を映して微動だにしない。
「じゃ、お言葉に甘えようかな」
 言ってシャツの胸ポケットに手をかけた。

『松浦位置に着きましたぁ〜、って、エアラフト接近中。図々しい。昼間店に来たのと同じタイプじゃん
2機いるよ。結構高度とってる。ヘリボーンかも』
 亜弥さんの視界に点のような飛翔体が2つ映っていた。
 ぼくは葉巻を咥え、蝋マッチを取り出した。マッチの先を爪で擦った。一発で火がついた。
 葉巻の先に火をつけ、大きく吸って、葉巻を咥えたまま腹から2丁のレイガンを抜いた。いよいよだ。
33 :名無飼育さん :2006/08/15(火) 08:56
続き希望です
34 :へなちょこ :2006/08/19(土) 00:29
>>33
うおっと久々に覗いたらお客様が。いらっしゃいませ
そうかあもう一月放ってたのかあ

行き当たりばったりなのでちょっと行き詰っておりますが
えいやあで進めたいと思います

間違いや改善点など、お申し付けください
35 :名無飼育さん :2006/08/19(土) 18:01
マイペースでいいですよ
ずっと待てますからw
36 :名無飼育さん :2006/08/21(月) 10:54
〜の意を表した
っていう表現がなければもっと面白い
37 :へなちょこ :2006/08/21(月) 23:53
>>36
えー困ったなあ。お気に入りのフレーズなんだけどなあ

右眉を上げた 左眉を上げた だけで通じる?
ならいいんだけどなあ

つか眉で意思表示するのがダメなのかなあ
これ封じられると困るんだよなあ
基本的に主人公に自分語りさせるのが大キライなんで…

と思いつつ1レスだけ更新します
38 :1☆5_4 :2006/08/21(月) 23:53
『待って……なんかおかしい』
 葉巻の甘苦い香りを胸に吸い込んでいると、亜弥さんが続けて言った。
『一機方向変える……そっか!ごっちん動いて!あいつらサーモセンサーかノクトビジョンで
二人の位置知ってるみたい。まっすぐにそっちに向かってる』
『了解。移動する』
 言った真希さんの視界モニタが激しく揺れると同時に、亜弥さんのモニタの中で、
一機のエアラフトの側面から地表に向けて5,6条のレーザーが奔った。
 肉眼でも確認。左前方60メートルというところか。真希さんのブラスターが応戦するのが見えた。
 ブラスターの熱線はエアラフトのルーフの端辺りを吹き飛ばしたようだった。
『名無くんも動いて!前方、ラフトの真下に。そこは死角になって射てない』
「了解」
 亜弥さんの声に応えて右前方に走り出す。焚き火の跡を越え、小さな小川を渡り、森の中へ。
 案の定ぼくが立っていたあたりにレーザーが降り注ぎ、ぼくの動きを追ってきた。
 小川に着光したようだった。水蒸気が吹き上がる音がし、首筋に熱いしぶきがかかる。葉巻を噛み締めた。
 草むらに転がり込みながらちらりと見ると、真希さんが居たあたりにレーザーが雨あられと降っていた。
 地面に仰向けになって、空中10メートルのレーザー源、エアラフトの側面あたりに向けて
両手のレイガンを射ちまくる。
 車体で弾けるレーザーを確認する間も無く地面を転がった。レーザーがすぐ傍に着光する。
 転がり、膝立ちになり、勢いで立ち上がる。脇の木の幹に右の側頭部と肩をぶつけた。気にせず走る。
 エアラフトの真下にもぐりこむ。と、上空のエアラフトの両脇からばらばらとロープが降ってきた。

 兵隊どもが降りてくる?!

 反射的にレイガンを放り出し、腰の後ろのSIGを安全レバーを上げながら引っこ抜いた。
 両手で真上に向け、撃てるだけ連射する。いつものコルト.45と比べると容易な連射。
 7,8発連射すると、ラフトの腹で火花と黒煙が散った。
 左側、真希さんがいる方向へ走り抜ける。下生えに足を取られ、地面に転がった。

 一瞬視界に入った木々の枝の間に、禿山の方から真希さんを追っているエアラフトの方向へ、
亜弥さんのレールガンの弾頭が、青白いプラズマ煙の軌跡を曳くのが見えた。
39 :名無飼育さん :2006/08/22(火) 19:18
更新乙です
書き方とかは作者さんの好きなようにしたほうがいいと思いますよ
40 :1☆5_5 :2006/08/29(火) 23:45
 ちらりと左目で亜弥さんの視界モニターを覗いた。
 真希さんを追っていたエアラフトに、亜弥さんのレールガンの弾体が吸い込まれ、がくんと震える。
 ぼくは頭上のエアラフトの底面に向けて、SIGの残りの鉛球を全弾ぶち込む。エアラフトは黒煙を吹いて
空中でくるくる回り始めた。
 視界の隅で、亜弥さんがレールガンを、真希さんがブラスターが同時に撃つ。
 二人の視界に映る同じエアラフトが後部から派手に火を噴いて傾き、地上に一直線に突っ込んだ。
 大きな爆音、オレンジの爆炎。

『おっけぇ〜、さんきゅーまっつぅ〜♪』
『いえいえ。どういたしまして〜♪ごっちん、名無くんのフォローにまわってねえ〜』
『了解。まかしといてぇ〜』

 二人の会話を聞きながら、上空でくるくる回るエアラフトからロープで降下しようとする歩兵たちを眺め、
SIGのマガジンを交換した。真希さんの視界が揺れ、亜弥さんの視界が上のエアラフトを捕らえる。
 エアラフトが木の枝にぶつかって回転を止めた。兵隊どもが降下を始めた。
 SIGの銃口を上げてめちゃぶつけで連射。二人がだらんとする。
 すかさず移動。上からレーザーが降り注いだ。
 兵隊どもの降下にあわせてこちらの銃口も下がる。3名が降下に成功、地面に身を伏せた。
 10メートルあるかという距離。SIGで掃射、スライドがオープンして動きを止める。
 SIGを捨て、左脇のコルト・45オート――コルト・ガヴァメント――のスライドを引きながらを引っこ抜く。
 身をかがめながら、一番近い人影に2連撃。そいつは頭からのけぞって後方に吹き飛ぶように倒れた。
 地面に転がる。上半身があった空間を3条のレーザーが灼く。
 
『名無くん、キャンプの場所を通って左に走って!』
「了解!」
 亜弥さんの声に体が反応した。下生えを書き分けて走る。ぼくを追うレーザーが背の高い草を灼いた。
41 :名無飼育さん :2006/09/01(金) 18:47
更新乙です
やっぱアクションはいいですよねぇ
42 :1☆5_6 :2007/07/15(日) 01:52
 小川を飛び越えてキャンプ地を走り抜ける。
 左視界の隅の亜弥さんビジョンがぼくを追う2人の兵隊が小川に駆け入るのを捉えた。
 順々にレイライフルで狙撃され、小川に倒れ込む。
 またもすっ転んで左肩をしたたか地面にぶつけた。一瞬眼が回る。
「あはははは♪危ない危ない♪」
 真希さんの声がすぐそばでした。真希さんビジョンにぼくのみっともない姿が映っていた。
 ぼくは両眉を上げて同意しながら起き上がった。転んでぶつけまくった身体のあちこちが痛かった。
『んじゃウォル爺呼ぼっか?ラミレスの死体確認しようよ』
 亜弥さんが明るく言った。

『そいつはまだ早いんじゃねえかな?』
 インカムに不意にヤツの声が割って入った。

『あんた…』
 亜弥さんの視界がぐるりと反転した。完全に後ろをとられていた。
 ヤツと、その後ろの黒い戦闘服の5人が映った。歯並びの悪いちっこいのと、のっぽと、美貴さん。
 後の二人は新顔の兵隊のようだった。
 のっぽは今にも大出力アサルトレイガンのトリガーを引きそうな顔をしていた。
 美貴さんは今世界が滅んでも全く気に留めないような貌だった。何故かヤツの背中を見ているように見えた。
 ヤツが左手に持ったレイガンの銃口ーーレンズーーを持ち上げて亜弥さんの顔に向けて言った。
『さあて、坊主、どうするよ?よかったらここに来て、話をしようぜ。親父さんの話、してえだろ?』

「おもしろいじゃないか、ふざけてろよ。ぶっ殺しに行っててやる。待ってろ。
 亜弥さんに指一本触れてみろ。死んだ方がましな地獄ってのがどんなものなのか、教えてやるよ」

 自分の声が、不思議なほど冷静に、どこかから聞こえてきた。
 左目前バイザーの隅、真希さんの視界に見えたぼくは、ただの人殺し、それ以外の何者でもなかった。
43 :1☆5_7 :2007/07/15(日) 03:41
 キャンプ地から禿山を見上げた亜弥さんが「あの辺かなー」と言って指さした高台に、ぼくは真希さんと並んで立ち、
ヤツらと向かい合っていた。
 距離は約5メートル。向かって左から、全員銃口をこちらに向けて、兵隊、兵隊、美貴さん、亜弥さんとヤツ、のっぽ、ちび。
 それぞれの間隔は1メートルほど。兵隊と美貴さんは無表情に、ヤツ、のっぽ、ちびはにやにやとぼくたちを眺めている。
 亜弥さんは、レイガンで灼かれたらしい、派手に血で染まった迷彩服の右脚をひきずるように立ち、ヤツにヘッドロックをされて
地面を向いていた。ひっつめた髪と頭頂部が見えていた。

 20メートル四方ほどの岩場のそこからは、ヤツらの向こう側に、右手からの白い朝日に照らされた森とその先の荒地、
遠くの丘陵が見え、左手にはこの一件がはじまった、あの小さな街が見下ろせた。
 空は高く澄み、少し涼しい風が、軽くぼくたちのマントとポンチョをゆらしていた。
 ぼくの脳裏に、ボコボコに銃弾を撃ち込まれるヤツと、親父の厳しく優しい笑顔と、ここでピクニックをしている
真希さん亜弥さん何故か美貴さん、そしてぼくのイメージが浮かんでいた。

「よう。思い出したぜ、坊主。亜弥ちゃん好きだろ?うっごくっくなよ?♪
……お前あいつ、なんつったか、ジョーだかモンコだかの息子だよな?居間の写真だったか、いい親父だったんだな。
渓流釣り、楽しかっただろ?いい写真だったよなあ?羨ましいぜ♪綺麗な姉ちゃんも…おっとありゃ母ちゃんか?」

「うるせえ!てめえっ!ぶっ殺す!」
 亜弥さんの首を右脇に抱え、左手のレイガンのレンズをぼくに向けた、ヤツの言葉に咆哮した。
「…名無くん!」
 小さく、しかし力強く、ぼくの右から真希さんが言った。
「おーおー、おっかねえの♪…やっちまうか!?」
 ヤツが言って真顔をぼくに向け、一瞬笑ってそれたレンズをぼくの額にポイントした。
 ぐいと亜弥さんが顔を上げた。ぼくににっと笑いかけ、向かって左、美貴さんに顔を向ける。

 またピクニックのイメージがよぎった。真希さん、亜弥さん、そしてやはり美貴さんもそこにいた。

 ヤツの左隣でぼくを見据えたまま、美貴さんの眼が優しく細まった。唇が横に拡がり、1センチは上向いた。魅力的な笑顔だった。
 美貴さんは身体をひねり、構えたグロックの銃口を、レンスをぼくに向けたレイガンを持つヤツの左手に向け、発砲した。
44 :1☆5_8 :2007/07/15(日) 14:44
 銃声と共に、ヤツのレイガンが、ヤツの左手首から吹き出した血と共に宙に舞った。

 ヤツの全身がびくりと痙攣し、亜弥さんがヤツの右腕を抱えこみながら、ヤツの背中側に体を回す。

 ぼくの右1メートルのところから、真希さんのブラスターが向こう側右端のちびの土手っ腹に熱線を曳く。

「亜弥ちゃん!」言いながら美貴さんがグロックを放りつつ、身を向かって左に反転させ右手首を彼女の隣の兵隊に向ける。

 兵隊二人のアサルトレイガンのレンズがこちらから美貴さんに移動する。

 ぼくの右腰のコルトが美貴さん側の兵隊の腹に1発、左端の奴の腹と胸に1発ずつ、'45口径弾を叩き込む。

 亜弥さんが左手でヤツの右腕を捻り上げ、左膝でヤツの腰を押し下げながら、美貴さんが放ったグロックを右手でキャッチ、
体ごとヤツの背の上に倒れ込む。

 ヤツと亜弥さんの右隣ののっぽがレイガンを地面の亜弥さんに向ける間に、のっぽの左腰を真希さんのブラスターが吹き飛ばす。

 美貴さんの右手首から飛んだ――昨日サルーンで扇子からぼくの帽子を狙って真希さんのナイフに弾かれた――ワイヤーつきの楔が
美貴さんの隣の兵隊の、剥き出しの首を横から貫く。

 亜弥さんの右手に移ったグロックが、バランスを崩して倒れかけたのっぽに4連射を叩き込む。

 着弾のショックで吹き飛んだちびと左端の兵隊が地面に落下し、
 のっぽが射出孔から血をまき散らしながらくるくる舞って地面に倒れ込み、
 楔が、曳いたワイヤーで兵隊の首を半分斬り落として美貴さんの右手首に戻り、
 顔は胸と並行になったその兵隊の身体がゆっくりと地面に倒れた。

「脚、撃たれてさ、痛いんだけど!?」
 地面に腹這いになったヤツの背の上に寝そべった亜弥さんが、ヤツの右脚にグロックの弾を3発ぶちこんだ。
45 :名無飼育さん :2007/07/19(木) 18:53
久々に見たら更新キテタ!!!!
ちびとのっぽってry
46 :へなちょこ :2007/11/02(金) 22:59
御気遣いありがとうございます
なんつうか……すみません
47 :1☆5_9 :2007/11/02(金) 23:00
 亜弥さんはヤツを仰向けにひっくり返し、右肩を美貴さんの左肩に支えられながら立ち上がって、
ヤツの左側、ぼくと真希さんからは右側に立った。二人の髪が風に揺れていた。
 ぼくはヤツの足側に、1メートルほどまで近づいた。真希さんはぼくの隣に居てくれていた。
 ヤツは左手首と右脚から大量の血を流して、ひゅーひゅーと息をしながら、まだ薄い空を眺めていた。
 美貴さんと亜弥さんの撃ったグロックの弾は動脈をやったらしく、もうヤツは長く無さそうだった。

「美貴、か…まんまと、やられたな…」
 ヤツは眼だけで美貴さんを見上げ、なぜか楽しそうに言った。
「死ぬ前に言え。なぜ親父を殺した?」
 ぼくは空気を読まずにヤツに訊いた。ヤツの顔は、まだ生きている人間とは思えないほど蒼褪めていた。
「なんでも、ねえさ…通り道に…家が、あって…お前の、親父が…居た。邪魔だった、の、さ…」
 ヤツが目玉をぐるぐる回しながら言った。ぼくのことが見えているのかもわからなかった。
「ぼくはこれまで、お前の手下だった奴ら5人に会って、3人を殺した。話をした4人が4人とも、
お前は、明らかにぼくの家の方へ向かおうとした、と言っていた。ただの強盗なら、うちに用はなかったはずだ」
 少し早口になっていた。真希さん、亜弥さん、美貴さんの視線が、妙に熱く、ぼくに向くのがわかった。
「へっ…へ。そう…かい、えれえ、な、坊主…」
 ヤツはへらへらと、必死に目玉をぼくに向けようとした。ぼくのことを嗤いたいようだった。
「ヒント、だ…お前ら、全員、共和…国に、潰さ、れ…っぞ♪」
「共和国!?どういうこと?!」
 やたらと嬉しそうなヤツの言葉に、真希さんが言って、右手のちいさなハンドブラスターを向けた。

 ヤツの右手が、おそらくは無意識に真希さんの顔に向いた。
 戦闘服の袖口から、小さな火薬式デリンジャーが飛び出す。瞬間、風が止まったようだった。

 脊椎反射。
 右手が腰のコルトの象牙グリップを引き抜き、左掌が撃鉄を降ろし、右手人差し指が引金を絞る。

 やけに乾いた銃声は、額に穴を開けたヤツが、生物から物体になった後から聞こえてきたようだった。
48 :1☆6_1 :2007/11/02(金) 23:03
 ぼくたちは、亜弥さんがカードで共和国委任大使クラントン氏から巻き上げたサルーンで乾杯した。
 4人でテーブルを囲み、なんやら紅いカクテル片手の亜弥さんが、実に楽しそうに音頭をとった。
「なあんか皆、一蓮托生になっちゃったみたいだし、よろしくね〜。乾杯!」
「なんであんた、そんなに嬉しそうなのよ」
 にこにこと満面の笑みで美貴さんが言って、ビールのジョッキを口に運んだ。
「んんん〜?なんでしょうねえ〜♪」
 亜弥さんは笑顔で意味ありげに言って、美貴さん、真希さん、ぼくの顔を、順に見回した。
 真希さんは、何やら唇をアヒルのように突き出して、ウーロンハイのグラスを眺めていた。
「でさ、あんた…ごっちんなんか共和国に怨みでもあんの?」
 美貴さんが少し強い眼で真希さんを見て言った。
 真希さんは、はっと顔を上げた。美貴さんを見て、亜弥さんを見て、ぼくを見る。
 こくんとうなずいた。小さくつぶやくように「名無くん、ごめん…あいつ…」とだけ言った。
 亜弥さんが眼だけで真希さんとぼくを見た。笑顔は消えていた。傍らの松葉杖の握りを撫でた。

「まあなんか、若かろうがなんだろうが、こんなご時世、生きてりゃ色々あんだろて。なかよくやんなー」
 カウンターからウォルター・ブレナン老保安官が沈黙をぶち壊すように言い、ひゃっひゃっと笑った。
 亜弥さんがしょーがねーなーという笑顔を浮かべ、横目でブレナン保安官を見た。
 美貴さんは「えーおじいちゃんなんかよくわかんないんですけどー」と楽しげに応える。
 ぼくは真希さんを見た。弱々しげな上目使いと眼があった。
 両眉を上げて、笑って見せた。ちゃんと笑えたかは自信がなかった。
 真希さんはちょっとびっくりしたように、一瞬眼を大きく見開き、
何か安心したような、とても幼く見える笑顔を浮かべた。みぞおちのあたりが、ぐい、と締まった。
「…で、お前さん達、これからどうするね?」
 というブレナン翁の言葉に、なぜか3人の、期待に満ちた視線がぼくに集まった。
 少し考えてから、言った。

「その…よければ…親父の墓参りに付き合ってくれないかな?…手伝ってもらった皆で報告がしたいんだ」

 真希さん、亜弥さん、美貴さんは意外そうに顔を見合わせた後、にっこり笑い、それぞれのグラスを持ち上げた。
 ぼくも、ウイスキーのカットグラスを持ち上げた。皆無言で、笑顔で乾杯した。
 ブレナン翁が拍手をした。ぼくたちは飲み物を一気に飲み干した。何かが始まった気がした。
49 :名無飼育さん :2008/01/16(水) 23:12
地味に更新待ってるんですよね
50 :へなちょこ :2008/01/20(日) 01:30
うわああ〜読んでくれてる人がいたのか
なんつうかもうありがとうございます
51 :2☆1_0 :2008/01/20(日) 01:33
「よう、小僧、なぁんかやけに羽振りいいじゃねえか。親父さんの仇、お前ぇが討ったのか?」
 透き通るような蒼天も涼しげな秋のお昼前、なんだかもう懐かしい感じもするブシュミ保安官が、
いつものおんぼろパトラフトのサイドウィンドウから、妙に白い、にやついた顔をつき出して言った。

 そのときぼくは、地元の町にほど近い、きれいな小川に沿った田舎道の道端に停めた、
亜弥さん&美貴さん所有の大型キャンピングカー2階リビング窓際のスツールに座り、
開けた窓から葉巻の煙を吐き出していた。
「友達が助けてくれたんだ。この車も友達のだし」
 ぼくはシェリフの、どこかキモいながら、妙に人懐っこい笑顔に釣りこまれて笑って応えた。
「おうそうかー。ラミレスがおっちんだってニュース見たけどよー…」保安官は笑って続ける
「お前ぇがを親父の後継いで賞金稼ぎやるったときゃあ、どうなるもんかって思ったが…」
「いや、友達がね……」
 何やら自分のことのように嬉しそうに笑って言う、なぜか実際以上に歯並びの悪く見える
保安官に、もごもごと言った。なんだかくすぐったくて、また嬉しかった。

「へえー。良い友達できて良かったじゃねえか。紹介しろよ」
「あー……」目で青空を見上げてから言った「今、水浴びしてるんだ。下の川で」
「で、お前ぇはなんでそこでぷかぷかやってんだ?」
「見張り。車盗もうとする奴とか水浴び覗こうとする奴がいたら撃ち殺せって」
「なんだそりゃ?それで友達とかおめでてぇな」ちょっと顔をしかめた。すごく悪い顔になった。
「ああ、けどそれがねえ…」
 言いかけたとき、川側から真希さんたちの明るい声が聞こえてきた。
 ブシュミ保安官が口をだらしなく開き、ただでさえギョロっとした目を大きく見開いてぼくを見た。
 ほどなく車の川側の出入口が開く音がして、真希さん、亜弥さん、美貴さんがきゃいきゃいと
笑いながらリビングに上がってきた。3人ともジャージ姿で、髪の毛をタオルで拭いている。
 保安官の目は、1階の窓から見える出入口→階段→2階の階段傍の窓→リビングの窓と
3人の姿を追って移動し、ぼくに戻った。
 ぼくは保安官に、両眉を上げ口を横に開き、笑ってみせた。
52 :2☆1_1 :2008/01/20(日) 01:33
「で?ようやく町についてサルーンでの1杯目をおっぽらかしてでも見る価値のある死体なの、コレ?」
 美貴さんが、保安官事務所地下の霊安室で、死体のシーツを捲ったスティーブ・ブシュミ保安官に
半目にした目を向けて言った。死体に一瞥もくれなかった。
 一方で真希さんと亜弥さんは、よく知る知人でもあるかのように、その死体の顔を覗き込んでいた。
 死体の彼女は、まだその丸顔にあどけなさの残る女の子だった。両側頭部後方でおだんごにした
黒くつやつやした髪の毛が、紙よりも蒼白くなった顔と対照的で、なぜか哀しくなった。
「お前も賞金稼ぎなら、この子を見てやれよ」
 ブシュミ保安官は、シーツの端を持ったまま、彼女の顔を痛々しそうに見下ろして言った。
 美貴さんは眼を一瞬彼女に落として、すぐ保安官に戻した。半目のまま、無表情なままだった。
「誰?」
「あいぼん……」美貴さんの抑揚の無い問いに、真希さんが応えるようにつぶやいた。
 保安官が、何やら申し訳なさそうに真希さんを見やる。
「あのねあんた、この子、有名なタイプのクリエイトヒューマンでしょ。知らないんじゃないでしょね?」
 苛立たしげに亜弥さんが美貴さんに言った。
「知らないし。どうせあたしゃ世間知らずですよぅー」美貴さんはちょっと厚めの唇を尖らせる。
「あたし……あたしが居た部隊にもこの娘のひとりが居たんだよね……」
 死体の顔を覗き込んだまま、真希さんが言った。皆の視線が真希さんに集まる。
「あいぼんは、「うちらって、不幸になるDNAが組み込まれとんねん」て……
「皆、成人前に不幸になって消えてまうねん」て……その子も……」
 真希さんは、死体の子に話しかけるように、どこか一所懸命に、言った。
 一瞬、空気が、時間が、停まった。
「…あーあー、はいはい。ごっちんて軍隊で…海兵隊だったっけ?でこの子と同じシリーズのクローンと遭って、
なんか知んないけど共和国ともなんか因縁があるわけね。盛り沢山な人生で良かったじゃん」
 美貴さんは頭の後ろで両手の指を組み合わせて、つまらなさそうに真希さんを見やって言った。
「で?保安官があたし達とこの子を会わせたってことは、相手は『宇宙の意思』の『代行者』ってことだよね…」
 亜弥さんが、目だけをブシュミ保安官に向けて言う。
 真希さんと美貴さんが、亜弥さんの言葉に反応するように、ぼくを見た。
「……ああ。この子の仇をとってやってくれ……彼氏を亡くしたばっかだってたのに…いい子だったのになあ…」
 保安官は、愛おしむように、もうとっくに冷たくなった、女の子のクローンの死体に向かって、暖かく言った。
53 :名無飼育さん :2008/01/22(火) 12:26
読んでるに決まってるじゃねえか!
54 :名無飼育さん :2008/02/03(日) 23:17
毎日楽しみに更新待っていますよ
55 :へなちょこ :2008/02/14(木) 05:12
うれしいお言葉を
と感謝しつつこんな感じで恐縮ですが…
56 :2☆1_2 :2008/02/14(木) 05:14
「はぁん…この5人組の旅行者とキャラバン、あっやしいなぁ〜」
 町の小さなサルーンのテーブル席で、亜弥さんがインターセプタに繋いだ仮想モニタに向かって言った。
 左手の傍らには、なんだかよくわからない碧いカクテルの入ったグラスを置いていた。
「ねー、亜弥ちゃん本気でやんのー?どこの誰ともいまいち分かんないクローンの子の仇討ちとかさぁー」
 美貴さんが地ビールのジョッキをテーブルに置いて言った。ぽってりした唇を尖らせたっぱなしだった。
「『代行者』の目的がさっきのあの子なんだったらいいけど、そうとも限んないっしょ?」
 亜弥さんは仮想タッチパッド上で、緩く開いた右手中指を動かしながら応えた。眼が一瞬ぼくを向いた。
「でもさぁ〜、名無くんのお父さんのお墓参りしなきゃいけないじゃん?」
 真希さんが抹茶ハイ片手に言った。いつもどおり、ぼくの妙に好きな、不機嫌なのか、
気を使ってるのかよく分からない、曖昧な笑顔を浮かべていた。真希さんもちらりとぼくを見た。
「そうだよー。名無んち行く予定だったんじゃーん。これ呑んだら行こうよー」
 美貴さんが亜弥さんの方に身を乗り出して言った。言った後、ジョッキを持ち上げて一口呑んだ。
「ふぅ…ん…」亜弥さんは両眉と唇の両端を下げた「じゃまずは名無くんち行こっか。で、その後行動開始。
なんにしても、名無くんの関係者とされてるあたしたちは、この件は避けては通れないんだろうし」
「何ソレ?」と、亜弥さんに向かって美貴さん。
「だってなんかぁ〜、名無くんと関係があるのって、共和国なんでしょぉ〜?」と、同じく亜弥さんに真希さん。
「……さっきのあの子と彼氏がこの町に来たのって、名無くんがラミレス達を追ってここを出た後なんだよね」
 亜弥さんが眼をぼくに向けた。強い眼だった。真希さんと美貴さんもぼくを見た。
 少し考えてから、ぼくは亜弥さんに言った。

「『代行者』は、ぼくを、親父のクローンのぼくを狙って、ここへやって来て、彼女と彼氏に、たまたま、会った?」

「あたしはそう踏んでるんだよね。あいつら、『宇宙の意思』に即わないと見境ないから」亜弥さんは眼で頷いた。
「はぁ?」美貴さんが言って、真希さんと顔を見合わせ、ぼくに顔を向けた。「名無あんた…?」
「多分……親父は何も言わなかったけど……お袋の話は一度も聞いたことが無いし、顔も知らない……」
 なんとか平静を装って言った。装いきれていた自信は無かった。
「だから、お父さんのインターセプタも、なんの登録も更新もなく、使えたんだと思うんだよね……」
 亜弥さんが、顔をモニタに向けて言った。無表情をつくろっているのが、痛いほど分かった。
 真希さんの、少し悲しげで優しく、暖かい瞳がぼくの腹の底に、大きく熱い何かを落とした。
57 :2☆1_3 :2008/02/14(木) 05:15
「名無くん、ラミレスが言ってた、居間の写真の女の人ってこの人?どんな人?」
 そう言う亜弥さんの前の、こちら側から裏面の見える仮想モニタには、圭織さんの住民登録の
写真が写っていた。腹の底から熱く柔らかく大きなものが、喉元まで、もの凄い勢いでこみ上げた。
「名無くん!」
 思わず腰を浮かせかけたぼくの左手の甲を、真希さんが強く掴んでいた。
 真希さんの切なげな瞳が、必死で何かを訴えていた。

 亜弥さんはぴくりともせず、まっすぐに、強い眼でぼくの目を見ていた。

 美貴さんがつまらなさそうにテーブルの一点に視線を落とし、ジョッキを口に運んだ。

 視界の隅で、カウンター奥の馴染のおやじさんが、グラスを拭く手を止めて布巾とグラスを置く。

 ぼくは腰を椅子に落とし、大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
 おやじさんのカウンターの下に伸ばしかけた手が、再びグラスと布巾を取った。

「よくは知らないんだ。確か……3年前に、うちの隣に越してきて、よく遊びに来てくれていた。
圭織さんに言われて、夕食の材料を買いに町に来ている間に、親父は殺された」
 ぼくの声が震えていた。ずっと、認めたくなかったことと向き合おうとしていた。
「協会で調査してもいい?名無くんには、『知らない権利』もあるとおもうけど……」
 亜弥さんが静かに、とても暖かい笑顔で、力強く、はっきりと言った。
 もう一度、深呼吸をした。真希さんの手の温もりが、熱いほどだった。ゆっくりと口を開いた。
「そうかも知れない……。でも、『知らない権利』よりも、『知る義務』の方が大切だと思う」
 自分でも驚くほど落ち着いた声だった。左手が、真希さんの両掌に包まれていた。
 美貴さんが眼だけでぼくを見て、口元を微かにほころばせて、微笑んだ。
 亜弥さんが優しく、瞬きで頷いて、インターセプタに触れ、どこかへ電話をかけた。

 圭織さんには、3年前に、生還を絶対条件に賞金が懸けられ、翌日に取り下げられていた。
 依頼自体『無かったこと』とされた賞金を懸けていたのは、圭織さんの、ご主人だった。
 ぼくが町を出た1週間後に、ご主人と息子さんは旅行に出たらしかった。現状は不明だった。
58 :名無飼育さん :2008/02/14(木) 15:08
なんかしばらく見ない間に急展開してますね
『宇宙の意思』の『代行者』ってなんだろう
気になるところです
59 :名無飼育さん :2008/02/16(土) 10:31
SFというか西部劇ですね
60 :名無飼育さん :2008/03/09(日) 13:30
真希さんマダー?
61 :名無飼育さん :2010/07/10(土) 18:12
「ここだここだ。ここでまあ呑気に飯喰ってやがんだよ。
真っ先に圭織ちゃんに会いにいけっつんだよなあ」
 へんな顔のスティーブ・ブシュミ保安官が、どこか抜けた声を発しながら、
サルーンのスイングドアを肩で押し開いて、店内に入ってきた。
 長い髪、カーキ色のベスト、こげ茶色のロングスカートの圭織さんの手を引いていた。
「で、でもーー」
 圭織さんの、控えめな、微かな叫びが、厚めの唇から漏れていた。
 眼があった。明らかな怯えがみえた。白いブラウスの腕が顔の下半分を隠す。

 真希さんの手が、ぼくの左手から離れた。店内の空気がひやりと触れた。
 美貴さんがビールのジョッキをテーブルに置いた。右手が腰に落ちる。
 亜弥さんの眼が一瞬ちらりとぼくを見て、入り口の保安官と圭織さんに向いた。

 ここまでの旅の途中ですっかり馴染みになった空気。3人の静かな殺意は、
 圭織さんの後ろからにこやかに現れた、1組の若いカップルに向いていた。
 ぼくたちのテーブルと、入り口の4人の距離、約5メートル。障害物はなし。

「よーお小僧、やっぱここだったな。お友達と買い物中だった圭織ちゃんのご登場だあ」
 ブシュミ保安官は案の定、少し赤い顔をしていた。クリエの娘を悼んでいたのだろう。
 保安官が素面なのは、女の子を口説いているときと、奥さんに叱られているときだけだった。

「やあ、君がキッド君か。圭織から聞いてるよ」
 白い毛皮ジャケットを着た、黒い山高帽のカップルの男が言って、左手を挙げた。
 男の体が、圭織さんの陰に隠れるように移動する。
 男と色違いの茶色いの帽子に圭織さんとお揃いのベスト、ミニスカートの女が
ショートブーツの紐を結わえるかのようにしゃがみ込む。

 美貴さんが木の椅子ごと床に倒れ込んだ。椅子と木の床のぶつかる音。
 真希さんのモスグリーンの外套の合わせ目からブラスターの熱線が迸る。
 床から美貴さんの火薬式グロッグの連射音2つ。

 熱線に右肩口から背中まで撃ち抜かれた女がひっくり返った。右手に小さなレイガン。
 圭織さんの後ろから、男くるりと回ってカウンターの端にぶつかる。左腰あたりから血。
 男の右手にレイガンを見たときには、ぼくの両手のレイガンが彼を蜂の巣にしていた。

 カップルの死体の間に立ちつくした圭織さんの悲鳴。
 保安官は目と口を大きく開けて固まっていた。
62 :名無飼育さん :2010/07/10(土) 18:59
 香織さんに駆け寄ろうとしたぼくの肩を真希さんが掴む。
 ほくを奥に下げ、真希さんは一歩前に出た。
「スナイパーがいたらイチコロだから。ちょっと待って」
 亜弥さんが言いながらレイガンにロングバレルとストック、スコープを
取り付けて、簡易スナイパーレイライフルを組み立てていた。
「おじさん、銃があるなら裏口を見張って!」
 美貴さんがグロックの銃口を裏口にホールドしたままマスターに言う。

「どういうことなんですか?」
 ぼくは、出来うる限り冷静に、香織さんに聞いた。
 香織さんはしゃがみ込んで頭を抱えたまま、首を横に振っただけだった。
 僅かな沈黙を、きい……と小さな音とグロックの3連射が破った。
 重いものが倒れる音と、レイガンのレーザーが合成木材を灼く音が続く。
「あたしの家族が……」
 かすかな声で、香織さんがつぶやいた。
 両脚を投げ出してヘタリこんだブシュミ保安官の眼が、香織さんを向いた。

「『宇宙の意思』に利用されてたんだね」
 ぼくは言った。自分の声とは思えない酷薄さだった。
 香織さんが顔を上げてぼくを見た。悲愴な眼をしていた。
「ジュニくん!」
 香織さんはそれだけ言った。それだけで十分だった。
63 :名無飼育さん :2010/07/11(日) 10:37
うわー字全部間違ってんじゃん
64 :名無飼育さん :2010/12/31(金) 13:40
でも面白いから

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