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Project No.1444 featuring TEAM85

1 :メカ沢β :2005/05/21(土) 09:39
いしよしなのに男が出る、なのにやっぱりいしよし。
もう愛しちゃってください。
116 :20 :2005/09/25(日) 17:42
作者さま、お元気になられたとのこと、ホッと致しました。
ますます期待いっぱいで読ませていただきますね。
117 :名無飼育さん :2005/09/25(日) 23:54
気になるー!
海のシーン大好きです。
118 :名無飼育さん :2005/09/26(月) 00:42
本当にだんだん面白くなってきた!
お体に気をつけて頑張ってください。
119 :名無飼育さん :2005/12/12(月) 05:37
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
120 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:34
「アンタ達って車何台持ってるわけ?」
「俺等が持ってるのはこの前乗せたイプサムだけ。コレは俺等のもんであって俺等のもんじゃない」

街路灯、派手なだけが取り柄のネオン、馬鹿に明るいコンビニの電灯。
これだけ光があるのにもかかわらず鉄の箱は律儀にも一台一台ライトをつけてアスファルトに列を成す。
その中の一台、薄抹茶色のマーチに乗っているのはシキと吉澤。

「前に中古車業者と仕事したことがあってな。コレはそん時の報酬」
「車もらったの?」
「いつでも好きな時に好きな車に乗れる、っていう約束だよ。無料レンタカーみたいなもん」

ふぅ〜ん、とあまり価値がわかっていない吉澤。
ステレオから流れてくるスロージャズの音色は細かい音の粒子となって車内を満たす。
仕事が終わって疲れている吉澤に眠気は睡魔はまとわりつき、不快なテンポでアクセルとブレーキを
踏まされているシキの顔には薄っすらと睡魔が張り付いている。

「この調子だと三十分位かかりそうだな」
「どこ行くの?」
「内緒。ってか言ってもわからないだろうし。着いたら起こすけど?」
「ん〜、じゃあ起こしてね」

そう言って助手席に深く身を委ね、窓に頭をつけて瞑目する。
シキはステレオの音量を少し下げると欠伸を噛み殺した。
121 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:34
少々鼻息が荒くなっている吉澤。眠りの第一段階。
未だ不調な舞踏で進むシキの携帯電話がジーパンの生地越しに着信を知らせる。
道路情報に切り替えていたラジオを切り、携帯電話を取り出す。

「どうだった?」

電話特有の挨拶を無視して話し出す。
相手の話を前の車をナンバープレートに視線を固定しながら聞き、右手だけでハンドルを掴みながらアクセルを踏む。

「わかった。ゴクローサン。……あぁ? ちげーよ。じゃあな」

携帯電話を畳む音は密室によく響いた。
122 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:35
大通りを逸れて少し走り、止まったのはとある駐車場。
マーチの他に車は二台止まっている。

「着きましたよ。起きてください」

吉澤の肩を揺らす。
長いまつげが小刻みに揺れた。

「起きて、ホラ。着いたから」
「……ん、ぁあ」

まぶたを擦って辺りを見回す吉澤。
見えるのはテナントの壁と電柱、駐車場の看板。

「……どこ?」
「それは後で。とりあえず行くぞ」
「どこに?」
「目の前のテナントだよ。いいからさっさとしろよ」
123 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:35
灰色のテナントに寄り添うように作られた螺旋の非常階段。
紅泥色の塗装は所々錆びていて、足音は悲壮的な鉄琴と化していた。

「中にエレベーターあんでしょ? なんで外から……」
「文句言うなよ。エレベーターにカメラついてんだから」

徐々に視界は高くなっていくものの景色は住宅方面にしかひらけておらず、甍を争う家々の半分は消灯している。
足音のように淡々と登っていくシキの後ろ、カメラくらいどうってことないじゃん、などと
小声で愚痴を言いながら後をついていく吉澤。
五階建てのテナントの最上階に着いた。

「行き止まりじゃん」
「行き止まりじゃねっての」

ポケットから鍵を取り出し鍵穴につっこむ。
滞りなくドアを開けた。

「まさかここシキの家とか?」
「んなわけねーだろ。いいから入れよ」

シキを鍵をしまうのと引き換えに財布を取り出し、何かを取り出してまたしまった。
電灯もついていない室内に吉澤は足を踏み入れた。
124 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:35
明かりは向かいの建物のネオンだけだが意外と明るく、影に入らなければ顔が容易に確認できるほどだった。
部屋の隅は闇が居ついて確認できないが特に何が置いてあるわけではなく殺風景そのもの。
電気は?、と吉澤。そんなもんねーよ、とシキ。
乾いた足音を立ててフロアを進んでいく。

「仕事上逃げ隠れたり、活動前に潜伏したりするためにどうしても各地に基地みたいなもんが必要なわけ。
ここがその内の一つ。このフロアはきちんと正規の手段を用いて借りてる。まぁ来るのは久々だけど」
「それにしてもなんにもないねぇ」
「なんかあっても邪魔なだけだしな。あまり窓の方に行くなよ」

窓の外を眺めたそうにする吉澤に、近づくなって、とシキ。
チェッ、と言ってまた部屋を見回す。

「なんか座るもんとかないの?」
「だからねぇって。その辺に座りたくなかったら壁によしかかるなりしてくれ」
「ホント有り得ないよね。せめてイスぐらい置いときなよ」
「それよりこんな所にいて怖くないのか?」

そーいやそーだよねぇ、と吉澤。
お化けとか出ちゃうぞ、とシキ。
125 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:35
「アイドルとしての自覚が足りないかな? アタシ」
「アイドルってか女として、人間として足りない」
「それは言い過ぎじゃない?」
「どこがだよ。男と二人っきりでこんな所にいるのに恐怖感がない方がおかしいだろ」

視線を散らしていたシキの瞳が止まった。
右手に持っていた何かを握り直す。
吉澤はシキから離れるようにして歩き出すと壁に寄りかかった。
右半身にネオンを浴び溜め息をつく。

「まぁでもシキがいるなら何かあっても助けてくれそうだし、シキの事男として見てないし大丈夫」
「なんだよそれ」
「とりあえず危険じゃないんでしょ? ここ」
「そりゃあな。でも……」

そう言って吉澤に正面を向いていたシキが右足を引いた。
何かを持った右手を振り上げる。
でも、の後を聞き出したい吉澤だがシキの不可解な行動に口も目を動かせないでいた。
何か、がキラリと光った。
126 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:35
それは一瞬だった。

振り上げた右腕を瞬目止めて次のモーションに入ろうとした刹那、窓側の隅の暗がりから
ムササビにしてはあまりに速く、小さく、薄っぺらいモノがシキめがけて飛んでいく。
吉澤の腰の高さを地面と平行に飛んでいたソレはシキの目の前で急に高度を上げると
シキの顔面左を鼓膜にさえ気付かせないほどの速さですれ違っていった。
ピッチングモーションを本能が止め、左頬に瑕疵が引かれた。

何が起こったかわからない吉澤はただ息を飲むだけだった。
右腕を糸が切られたマリオネットのように下ろし、左手の中指でメガネをそっと上げるシキ。
シキが何かを投げようとしていた部屋の隅の空気が、動いた。

「安心しろ。今のは紙だから」
「紙でも十分だけどな」

シキの口調は明らかに緊張が解けたものだった。
得体の知れない状況に恐怖以前に感情が生まれようとしている吉澤は視線をゆっくりとその隅に向け、
それよりゆっくりと首を回した。
闇から現れたソレはネオンにシルエットを切り取られ、人間の形をしていた。
127 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:36
「驚かしちゃったかな?」

ライターの火が灯る。
やんわりとした火の向こうにナインの顔が浮かび上がった。

「うわっ!」
「あれ? 今驚かしちゃったか」
「驚くも何も……ちょっとシキ! ナインがいること知ってたの!?」

使われることの無かった何かを財布にしまっているシキ。
安堵半分、怒り十分にシキに言い寄る吉澤。

「知らなかったけど」
「じゃあなんで――」
「知らなかったけど、誰かいることはわかってた」

はぁ?、と怪訝な表情の吉澤に、詳しく説明するとな、とシキ。
ライターの火を消して月光の生える床に座るナイン。
128 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:36
「まず階段を上がってくる時点で誰か入るんじゃないかってことは予想してた」
「……意味わかんないですけど」
「ほとんど人の来ない非常階段で最上階まで来る間にまったく蜘蛛の巣が無かったろ?
蜘蛛の巣ってのは大抵一日でできるもんだから俺等より先に誰か、おおよそ二十四時間以内に来てる
ってことが予想できたわけ」

クエスチョンマークが頭から沸き上がる吉澤をよそに説明を続ける。

「鍵はまぁピッキングの力があれば誰でも開けられる種類のもんだから別にいいとして、
部屋に入った瞬間にまず人の気配がした」
「アタシは全っ然しなかったんだけど」
「そりゃ一般人にはわからないだろうな。俺等は商売柄たまに命狙われたりすることがあるんだけど。
部屋に入ってまず火薬の匂いがしなかったから拳銃は持ってないことはわかってた。
まぁこれも一般人にはわからないだろうけどね」

上から下まで全身黒ずくめ、黒いニット帽までかぶっているナインがフッと笑う。

「それで気配から位置を特定して部屋に入る前に持っておいた五百円玉投げて牽制しようと思ったら、
先にトランプが飛んできた、と」
「トランプ?」
「見えなかった?」
「いや、まぁ……」

何か、は見えたが、何が、見えたのかはもちろんわかるわけがない。
129 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:36
「さっき仕事終わったって電話くれたけど、なんでいんだよ?」
「いたっていいだろ、別に」
「別にいいけどいるなら普通にいろよ」

これが普通だ、とナイン。これが普通なら普通じゃないよ、と吉澤。
普通じゃないことが普通なのが俺達だから、とナイン。意味が不通な吉澤。
立ち話もなんだから座りなよ、とナインが月光とネオン光の当たるコンクリートの床を払う。
吉澤はナインが払ってくれた場所に座ったがシキは窓と窓の間の壁に立ったまま体を預けた。

「何から話した?」
「まだなんにも」
「じゃあ俺が話してもいいか?」
「どうぞ」

シキを腕を組むと俯いて目を閉じた。
じゃあ何から話そうかな、と楽しそうなナイン。

「面白い話と面白くない話、どっちから聞きたい?」
「面白くない話」
「……面白くない奴だな」

二人からは闇にしか見えないシキがフッと笑った。

「じゃあ面白い話からな」
「なにそれ。聞いた意味ないじゃん」
「聞いた意味がなくなる返答をしたからだろ」

まぁとりあえず聞けって、とナイン。なにさ、と吉澤。
130 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:36
「前に海に行った日あったろ? あの日のことなんだけどさ。
あの日海行ってる間に俺等の事務所のパソコンにハッキングした奴がいたんだよ」
「ハッキングって他人のパソコンに無断で侵入するってやつでしょ?」
「そうそう」
「大丈夫だったの?」
「いやまぁウチのパソコンはクロスが全部管理してるからまず問題はないんだけどな。
それで、そのハッキングしてきた奴が面白かったわけだ」

その部屋に入ってきて一番大きく響いたナインの声は実に快活で愉快だった。
次の展開が聞きたくなってしまうナインの喋りにひきつけられるように前のめりになる吉澤。
外で鳴ったクラクションの音にもまるで反応しない。

「どこだと思う?」
「どこどこ?」
「お前等を張ってる探偵事務所」
「た……」

おそらくは探偵事務所の、た、なのだろうけれど、あまりに意外な正体に開いた声門が塞がらない。
蒸し暑さのピークは過ぎたものの快適とはいえない室温。
汗一つかかずにニヤッと笑ったのはナインだった。

「まぁクロスの罠に引っかかったおかげだけどな。その罠ってのが――」
「オイ、あまり喋りすぎるなよ」

ナインはシキのいるはずの闇を見据え、わかってるって、と一回だけ頷いた。
131 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:36
「探偵事務所がそんな、ハッキングなんてしていいわけ?」
「いいわけねーだろ。バレねぇと思ってやったんだろうけど、俺等にはバレバレ」
「じゃあ犯罪なら証拠を警察に突き出せばいいじゃん」
「馬鹿か! そんなことしたら色々調べられて俺等が捕まっちまうだろ! そしたらお前等の計画も水の泡だぞ!
そういうことがわかってて向こうだってハッキングしてきたんだろうしな」
「あそっか」

アンタ達が悪いのがいけないんでしょう、と吉澤。
その悪いオレ達に仕事依頼してる奴は誰だよ?、とナイン。

「お前等を張ってる探偵事務所が俺等のパソコンにハッキングしてきた、これがどういう意味かわかるか?」
「何? どういう意味?」
「俺等と吉澤と石川との関係がバレてるってこと。つまりお前等が何かしようとしてることがバレてるってことだ」
「オランダに行くことも?」
「いや、それはバレてないだろう。でもこれでもう一つ別の所に俺等との関係がバレたわけだ」

深夜の入り口に近い時刻。
外部から五階まで届く人の声はなく静寂は闇の密度に比例している。
吉澤はナインの次の声を待った。

「吉澤と石川の事務所だよ」
「エッ!」
「そりゃそうだろ。事務所がその探偵事務所に仕事依頼してんだから、当然入手した情報は
お前等の事務所に流れるに決まってる。もちろん全てではないだろうけどな」

やっと事態の深刻さに気付いたようで吉澤は初めて動揺の色を見せた。
132 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
「俺等だって細心の注意を払って行動してきたから絶対にバレねぇって自信はあった。
探偵を目の前で騙したのだって海に行った日が初めてだったのに、その日にハッキングされてるってことは
もっと前から俺等とお前等の関係を把握してたってことになる」

言葉の所々にイラつきを見せ、ナインは言い終わると軽い舌打ちをした。
口からやや大きく息を吸い込み、一瞬止めるとゆっくりと吐き出しながら、どうするの?、と吉澤。
すると今まで黙っていたシキが壁から背を離し二人の所までやってきた。

「ここからは面白くない話だから、交代」
「なんだよそれ」

肩を叩かれたナインは不機嫌そうに立ち上がるとさっきまでシキがいた場所まで行き、ドカッと座った。
ナインの体温が残るコンクリートの床にシキはゆっくりと腰を下ろした。

「それじゃあここからが面白くない話だから」
「今までも大して面白くはなかったんだけど……」
「じゃあ吉澤にしてみれば逆にここからが面白い話になったりしてな」

変顔の満月が映る眼鏡をクイッと上げた。
133 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
「さっきナインが言ったように俺達は絶対にバレない自信がある。それなのに
表の世界では中の上程度の実力しかない探偵事務所に正体がバレた。これが意味することは一つ。
誰かが情報をリークしているってこと」
「リークって、バラしてるってこと?」
「そう。そしてそのリークしている人物は吉澤と石川が俺達のことを話している四人、
里田まい、アヤカ、柴田あゆみ、藤本美貴の中にいるかもしれない」
「チョッチョッ、ちょっと待ってよ! そんなわけないじゃんか!」

仰天と逆上が綯い交ぜになった声は音響設備のない室内にエコーの尾を引いて走り回った。
言葉としてはまだ誰も言ってはいないが、意味としてはその四人の中に裏切り者がいるということが
吉澤には信じられなかったのだ。

「そんな! あの四人の中にそんなことする人なんていない!」
「たしかに。まだ四人の中にリークした奴がいるとは限らない。俺等がミスした可能性もある」
「そうだよ!」

言ってしまってからそれが失言だと気付くのにわずかに時間がかかった。
一気に高揚していた気持ちが静まり一回り小さくなる吉澤。
そんな吉澤を察してか特に怒る様子もなく話を進めるシキ。

「とにかく、これからはより慎重に行動していかなければならなくなったわけだから、
吉澤も気を引き締めてほしい」
「……ウン」
「石川には俺等から言ってもいいし、もし吉澤から言うならバレた原因は俺等の失敗ってことでいいから」
「いやそんな……そんなつもりで言ったわけじゃ……」
「それはわかってる。わかってるけど石川が話を聞いて原因が四人の中にリークした人がいるってことで
治まるとは思えないしな。とりあえず俺等ってことで話しつけといてくれたほうがいい」
134 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
ネオンは相変わらず下品な彩光を振り撒き三人のいる部屋を照らしている。
赤、オレンジ、黄色とテンポよく変わる光を顔の左側で受け俯く吉澤。
用意周到にナインがハンカチを取り出したが、顔を上げた吉澤に涙を浮かべた様子はなかった。

「アタシから言うよ。もしかしたら四人の中にいるかもしれないってことも言っとく。
言った上でシキ達が失敗したって言っとくわ」
「ん〜なんかアレだけど、是非そうしてくれ」

わかった、とある種の安堵を浮かべて頷く吉澤。

「でも四人に対して急に態度がよそよそしくなっても不自然だし、教えなくなったせいで関係がこじれるのもあれだから
情報はいつも通り四人に流してもいいよ」
「エッ? それじゃあ今回の、その、ハッキングのやつみたいに……」
「心配するなって。俺達はそんなにじゃ負けねーよ。ただ俺等が探偵に気付かれてるってことは言わないでくれ」
「わかった」
「そういやもう一個面白い話なかったか?」

暗い中手の感覚だけで器用にコインウォークをしていたナインが思い出したように会話に入ってきた。

「なにそれ、聞きたいんだけど」
「いやまぁ、そんなに面白い話ではないんだけど。一応面白くない話の中で話そうと思ってたし」
「いいから聞かせてよ」
「ん〜とじゃあ。まずこれからの注意点を一つ。いくら探偵にバレたとはいえ俺達との接触は今まで通り内密に」
「そりゃまー、そうだろうけど……なんで?」
「お前等を張ってるのはなにも探偵だけじゃない」

もっと愚劣な奴がいる、とシキ。
135 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
「週刊誌の記者も張ってるらしい」
「マジで!?」
「前に矢口の交際が撮られてからハロプロのメンバーにはわりと記者がつくようになったらしい。
吉澤と石川の交際が発覚することはまずないだろうけど、俺等と接触してる所はマズイ」
「たしかに」
「俺等もそっちに目ぇ光らせてるから。とりあえず今まで通りにしてくれればいい」

吉澤はシキから視線をはずすと室内の中に浮く月光を眺める。
何か思慮している様子に見えたシキは吉澤の次のアクションを待った。

「それって……面白い話?」
「いや、ここから」

結局面白い話なのかそうでないのかを判別していただけらしくすぐにシキに視線を戻した吉澤。
粋がるバイクの騒音も生々しく聞こえるほど静かな空間。
ナインが落としたコインの音に吉澤が驚き、わりーわりー、と軽くナインが謝るとシキが口を開いた。

「先月、ここらのビルで火事があったの知ってるか?」
「火事? ……そういやあったような」
「幸い死傷者は出なかったようだけどそこに構えていた事務所は全焼したらしい」
「ふ〜ん。で?」

その火事が自分達が海に行った次の日に起こった事を言おうと思っていたシキだが
無駄にショックを与える必要もないだろうとそのことを胸の内で消化した。
136 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
「その事務所は何の仕事してたかってーとな、ブブカっていう雑誌を出版してたんだよ」
「知ってるか? ブブカ」

吉澤の左後方からのナインの問いにシキから視線をはずし、知ってるよ、と答える。
片膝を立てて座っていたシキが膝を叩いて立ち上がった。

「なら話は早い。面白い話終わり」
「えっ?」
「あの三流低俗雑誌はもう出版されません。以上」

自分から近づくなと言っていた窓に近づき、向かいのネオン光を上半身全てに受けるシキ。

「それってどういうこと? アタシ達を張ってた週刊誌ってのがブブカだったってこと?」
「違うよ。ブブカは週刊誌じゃないし。もっとれっきとした週刊誌が張ってるから心配すんな」

心配すんなってのもおかしいか?、とシキ。
ある意味合ってるしある意味間違ってる、とナイン。

「ああいう雑誌はあることないこと書いてくるから、やっかいっちゃーやっかいなんだよ。
昔吉澤と石川も書かれたことあるだろ? 知らないかもしれないけど」
「……まぁ知ってはいるけど、石川がレズだみたいな記事でしょ?」
「そうそれ。そういう情報って意外にメンドーなんだよ。これからまた出ないとも限らないし」

シキはひんやり冷たい窓ガラスに背をつけ体を任せる。
引き伸ばされた影のせいで部屋の中は急に暗さを増した。
137 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:37
「まぁあまり関係ない話だったかもな。気にしないでくれよ」
「そうそう。迷惑してたんだろうからちょっとスッキリしてんだろ?」
「いやまぁそりゃ迷惑、してたけど……」
「まだ犯人は捕まってないらしいけど、どうでもいいよなそんなこと。ホラ帰るぞ」

ナインを立たせ吉澤に手を差し延べるシキ。
まだ何か引っかかっている様子の吉澤はシキの手に気付かず自力で立ち上がると尻についた埃を払った。
投げたトランプを拾い戻ってきたナインが吉澤の肩を叩く。

「なに気にしてんだよ」
「気にはしてないけど、気になることがあって」
「なんだよ?」
「まさかその犯人って……」

シキとナインに交互に視線を配る吉澤。

「まさか。それよりもう帰ろう」
「だな」

軽く受け流して出入り口に向かう二人。
二人と少し距離が離れ、すぐに後を追う吉澤。
ドアノブに手をかけて、シキが言った。

「吉澤さんはやっぱり危機感が足りないな」
「なに? こんな暗い所に男の人二人といる――」
「そうじゃない」

ドアを開けるとこれでもまだ新鮮な外の空気が滑り込んできた。

「俺等の関わっているという危機感が足りないんだよ」
138 :メカ沢β :2006/01/30(月) 23:41
今日はここまで。

>>116 20さん、ありがとうございます。
膨らませた期待をしぼませないよう努力いたします。

>>117名無飼育さん、ありがとうございます。
そう言っていただけると幸いです。

>>118名無飼育さん、ありがとうございます。
身体はもう大丈夫です。(多分)



長い間待たせてしまった申し訳ありませんでした
139 :名無飼育さん :2006/02/01(水) 18:19
今回もドキドキさせられました!笑
次回も期待してます。
140 :名無飼育さん :2007/07/22(日) 12:30
作者様いつまでも待ってます

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