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101 : えいえんの娘。A (67) 
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【101:67】  えいえんの娘。A
1 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/05/12(土) 21:48
※注意書き※
陰鬱になるテーマを扱っているため、この先、体調悪化や興奮を引き起こす可能性があります。
そうなったときは、ブラウザのタブかウィンドウを素早く閉じてください。
読み進めようとして何度も上記を繰り返す場合、この物語の存在を忘れ他の物語に没頭してください。


65 名前:4.世間を欺くには、世間と同じ顔色をなさらなくては 投稿日:2017/04/29(土) 00:30
「この卵焼き、ちょっと甘いけどおいしいな」

声をかけると無表情でパンを貪る亀井に感情が戻ってきたようだ。
頬に赤みがさし、目の輝きが戻ったような気がする。
それでも食べ終わると頭痛を訴えたので保健室まで付き添った。
遠ざかっていく教室からはざわめきまでもが戻っていくような気がした。
階下へと進むたびに教室から聞こえるひときわ大きな笑い声が波のように小さくなり、そして静寂に包まれる踊り場が世間から急速に取り残される感覚を覚える。

「せんせ」

そんなの慣れたよ何でもないよ、という乾いた声だった。
緊張して喉が乾いていたのかもしれない。
ん? と返し、続きを促す。

「あのぉ、道重さんに中澤先生が教室来るよって教えてもいいですかぁ」
「ええよ。大切なクラスメイトなんやろ」
「やったぁ」

朝に見たときよりは控えめな喜びようだった。
それでも中澤は、誰かの支えや励ましになっている現状にホッと胸を撫で下ろし、教師としてのやりがいを感じる。

「中澤せんせぇは怖いけどぉ、でもぉ嘘はつかないですよねぇ」

怖いんか! と突っ込みたくなったが深呼吸をして抑えた。
普段の亀井だろうか、乾いた言い方からゆったりとした口調に戻り安堵する。
担任も持たず準備室にこもりきって関係を遮断しているような日常からすると、明るく過ごせている。
引きこもりだったな、と一人反省した。
ピリピリした空気と疲れはあるものの、選択と行動に後悔はない。

保健室にはお昼休みを満喫する藤本一人だけで他の生徒はいなかった。
いつものことだと保健室来室カードに記入するとさっさとベッドに行き、横になったようだ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

66 名前:4.世間を欺くには、世間と同じ顔色をなさらなくては 投稿日:2017/06/14(水) 22:51
加護は涙を流しながら目を開けた。
ベッドの回りはカーテンで区切られている。
そうだ、ここは病室だ。
夢を見ていた。
あの保田とかいう医者の診察が良くなかった。
グッタリ疲れ果て、昼食と処方された薬を飲んだらグッスリ眠ってしまったようだ。
幼い頃から今までの夢。
その内容を直前に診察で洗いざらい話すことになった。

「また、病院に運ばれて入院したくないよね?」

医者の言葉が重い。母には泣かれた。
というか、びっくりするぐらい周りの大人の顔が青白くなってオロオロしていた。
そうなったらきっと「ざまーみろ」と思うはずだったのに、全然違った。
「どう生きてようと健康にさえ、迷惑さえかけなければそれでいいと思ってたのにどうして?」
泣きながら母は繰り返し呟いた。
答えの出ない問いを母自身に、そして加護自身につきつけるかのように。
夢ではない、現実だ。恐ろしいことに現実だ。
母の見ていた現実とは違う。悪夢だったんだ。

その悪夢は父が家に居た頃に始まった。
「亜依、一緒に出かけよう」
兄弟が多い中、父が自分だけを誘ってくれるのが嬉しかった。
「みんなには内緒だぞ」
心なしか強く、嬉しそうに念入りされると二人だけの秘密を持っているようで、なお嬉しくなった。
最初は屋外での撮影会で、父がどこからか募集した素人のカメラマンを連れてきて、撮影する代わりにお金を取るのだった。
カメラマンたちは「かわいいね」「そのポーズいいね」などともてはやしてくる。
時間指定しており、時間が来ると父は加護を抱きしめて、もう撮られないようにした。
カメラマンたちもよくわかっているのか「また次もお願いしますよ」と言いながら離れてくれた。
撮影が終わるとパフェやクレープなどおいしいおやつを食べた。
家では出されない、見たこともない。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

67 名前:4.世間を欺くには、世間と同じ顔色をなさらなくては 投稿日:2017/06/14(水) 22:52
プロのカメラマンが来た。今までと違ってスタッフも何人かついている。
父は「亜依がかわいいから来てくれたんだよ」と言う。
うすうす嘘なんじゃないかと思っていたけれど、言わなかった。
言えなかった。
父も、このカメラマンみたいに商品としか思ってないんじゃないかって。

父のいないところで時々知らないおじさんから「あいちゃんの写真買ったよ、大切にしてるよ」「宝物だよ」と話しかけられることがあったからだ。
母と一緒の時は「知らないよ」と答えた。
本当に知らないおじさんだからだ。
たまに素人のカメラマンとすれ違っても、父も相手も会釈すらすることはなかったから、何も問題はなかった。
ただ、父が徴収しているあのたくさんのお金はどこに消えているんだろうと不思議に思っていた。
兄弟が多い分、食事内容はお粗末だし、おもちゃだって買うお金がないと母は愚痴をこぼす。
おいしいおやつを食べられるのも父と撮影に行く日だけだ。
おやつはそんなに高くない。
不満と不思議は、それから中学生になるまで氷解しなかった。

プロのカメラマンの次があった。ビデオクルーだ。
かわいい洋服に着替えてから、脱いでいく過程までじっくりと撮影された。
何も身に付けてない裸になってもそのカメラでなめまわすように体を撮られた。
どんな表情をしていいかすらわからなかった。
笑顔がいいのかと、そうしてみたけれど違う。
いい子にならなきゃと思いながら、緊張して固くなっていたら、また同じ失敗を繰り返す。
やっぱり父は助けない。
誰も手助けしてくれない。
ただ撮影が終わったらスタッフみんな興奮してるのがわかった。

「これは高く売れるぞ」

誇り高そうに父は胸を張る。
商品になるんだと、はっきりわかった。

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